未来と芸術展 鑑賞

【未来と芸術展の紹介映像】

SNAKEPIPE WROTE:

「面白そうだから、行ってみようよ」
長年来の友人Mから誘われたのは、森美術館で2019年11月19日から開催されている「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」である。
森美術館の企画はいつも注目しているので、SNAKEPIPEも気になっていたんだよね。
2011年12月に鑑賞した「メタボリズムの未来都市展」を彷彿させる内容なのかなと予想したけど、実際はどうだろう。
開催日の次の日、友人Mと待ち合わせたのである。

チケット購入に30分以上並んだことがある森美術館だけれど、この日はすんなり!
受付の女性が「今日はシティビューがキレイですよ」と教えてくれる。
森美術館のチケットは展覧会鑑賞に加えて、ビルの52階にある屋内展望台に入場できるセットなんだよね。
いつもはシティビューに興味を示さなかったけれど、お勧めに従い行ってみることにする。
森ビルを中心とした東京を一望することができるんだよね。
東京タワーも新国立競技場も、くっきりキレイに見えるよ!
展望台をぐるりと歩いていくと、あっ!
富士山だっ!(笑)
上に雲がかかっているけれど、山頂付近に雪がかかった様子もよく分かるね。
受付の方に教えてもらわなかったら、この景色とのご対面はなかったかも。
受付の方に感謝だね!

展望を満喫した後、いよいよ「未来と芸術展」へ。
展覧会の紹介をHPより一部抜粋させて頂こう。

本展は、「都市の新たな可能性」、「ネオ・メタボリズム建築へ」、「ライフスタイルとデザインの革新」、「身体の拡張と倫理」、「変容する社会と人間」の5つのセクションで構成し、100点を超えるプロジェクトや作品を紹介します。
AI、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方をみなさんと一緒に考える展覧会です。

アートだけではなくて、様々な分野に範囲を広げているようだね。
一体どんな展示がされているんだろう?
会場に入ると、以前観た「メタボリズム建築」に似た雰囲気の建築物の模型や写真が展示されている。

そんな建築物の中でひときわ目を引いたのがこれ!
パリを拠点にしているXTUアーキテクツの設計による「エックス・クラウド・シティ」。
まるで現代アートのオブジェみたいなんだけど、れっきとした建築の提案なんだよね。
大気汚染により、地表に住めなくなった時、雲の上の大気圏内に居住空間を作るというもの。
3Dプリンターでモジュールを作り組み立てるらしい。
垂れ下がっている植物の浄化作用を利用して環境負荷を軽減させているという。
モジュールの構造がどうなっているのか、よく分からなかったけど、実用化されたら非常にユニークだよね!
どうやって大気圏にとどまらせるのかも疑問だよ。
アイディア、ということで良いのかな?

我らが「まこっちゃん」こと会田誠も出品していたよ。
 「NEO出島」は2018年2月に「会田誠展 GROUND NO PLAN」で鑑賞している作品だったね。
霞が関や国会議事堂の上空に都市空間を作る、というもの。
会田誠は実現可能な計画を提案するというより、批判的な精神から作品を作っているようだよ。
説明文を読んで、やっと意味を理解したSNAKEPIPEなので、昨年観た時にはイマイチ、ピンとこなかったんだけどね。(笑) 

この作品だけ、作者名と作品名を記録するのを忘れていたSNAKEPIPE。
森美術館は、ほとんどの作品の撮影許可を出しているんだけど、WEBにアップする際の注意があるんだよね。
それは必ず作者名と作品名、更にライセンスに関する明記も必要なんだけど。
巨大なスクリーンに映し出される都市の様子は、色が変化していき、観ていて飽きない。
都市と色の関係については、よく分からなかったけれど美しかったよ!
もう一度行くとしたら、必ず作者名等記録しておかないとね。(笑)

ハッセル・スタジオ+EOSの作品「NASA 3Dプリンター製 住居コンペ案」は、まるでSF映画を観ているような気分になった。
火星に移住するために住居を建設する、というアイディアなんだよね。
3Dプリンターって、そんなに強度があるの?
この映像を観ていると、すぐにでも実現しそうだよ。
動画は1分なら撮影可能とのことなので、載せてみたよ!
ん?1秒過ぎてるかな?(笑)

圧倒的な美しさを誇っていたのが、この作品。
ミハエル・ハンスマイヤーの「ムカルナスの変異」ね。
観た瞬間から「すごい!」と息を呑むこと間違いなし!(笑)
円形の中に入ると、様々な長さのパイプが連なっているんだよね。
そのパイプに光が当たって、得も言われぬ美しさにうっとりするSNAKEPIPE。
シルバー色でピカピカ光る物が大好きだからね!(笑)
ハンスマイヤーはアルゴリズムアーキテクチャ技術などを使ってコンピューテーショナル・デザインを行っているという。
この作品もイスラム建築で使用される幾何学模様を参照し、コンピューターで作図した後、ロボットアームがパイプを切り組み合わせたという。
人間が出る場面は「ここからアイディアを持ってこよう」と考える部分だけ?
アートという概念を覆す制作方法だよ。
さすがに「未来と芸術展」だよね!

「未来と芸術展」のフライヤーにもなっている作品。
エコ・ロジック・スタジオがオーストリアのインスブルック大学と共同で開発したバイオ技術を使った彫刻「H.O.R.T.U.S.XL アスタキサンチンg」とのこと。
この作品にも3Dプリンターが使用され、ブロックには微細藻類ミドリムシが埋め込まれているという。
ミドリムシのせいだったのか、元々のブロックだったのかは分からないけれど、この作品は独特のにおいを放っていたんだよね。
食用になることはわかっているんだけど、あのにおいは好き嫌い分かれるだろうな。
本当はもう少しじっくり観たかったけど仕方ない。

とても美しいエイミー・カールの「インターナル・コレクション」シリーズ。
繊細なカットのドレスは、人体の組織である「神経系」や「靭帯と腱」を3D CADでデザインしたものだという。
これはもう「人体の不思議展」の世界じゃない!
あの展覧会で「神経だけ」や「血管だけ」の標本があったことを思い出す。
エイミー・カールのHPでは、このドレスを身に纏っているモデルさんがいる。
身体の内部にある組織と同じ形状の物を身に着けるということは、皮膚がサンドイッチされてるってことだよね。
なんともシュールな世界だなあ!(笑)
エイミー・カールは他にも3Dプリンターで制作した心臓の作品も展示していたね。

「未来と芸術展」での一番の話題は、もしかしたらこの作品だったのかもしれない。
この作品を手がけたのがディムート・シュトレーベ。
印象派の画家として有名なファン・ゴッホの左耳を再現したものなんだよね。
ゴッホが1888年に自ら左耳を切り落としていることは、ご存知だろうか。
失われた左耳を、ゴッホの親族のDNAを基にバイオ技術で再現したものだという。
もうそんなことができる時代になっているのね!
この作品にはマイクが付いていて「話しかけてください」と書いてある。
外国人の女性が「Hello!」とマイクに向かって話すと、ゴッホの耳が漬け込まれている液体がパイプを通して動きだしたんだよね!
SNAKEPIPEも友人Mも試してみたけれど、残念ながら耳には届かなかったようで、動きがなかったよ。

展覧会の最後に展示されていたのは巨大な作品だった。
実験音楽のような音と共に映像が流れていく。
不規則で目まぐるしい映像に酔いそうになる。
これは一体何だろう?
世界最古の遺跡とされるトルコのギョベクリ・テペ
紀元前1万年前の遺跡に残された図像などをAI解析して、抽象的な映像に変換したという。
なんとも壮大な発想じゃない!
1万年以上前の人類の記憶を、最新技術を駆使して現代に蘇らせるとは。
そしてタイトルのモノリスは、キューブリック監督の作品「2001年宇宙の旅(原題:2001: A Space Odyssey 1968年)」に登場する物体のこと。
わざわざ説明するまでもないかな?(笑)
今から50年以上も前に公開された映画の影響力が、未だに続いていることにも驚いてしまうね。
「データモノリス」と名付けられた作品は、観るというより流れを体感するアートになるのかもしれない。
ずっとその場に留まっていたい欲望に駆られたSNAKEPIPEだったよ。

他にも面白い作品はたくさんあって、かなりボリュームのある展覧会だった。
人間とAIの境界について考えさせられる展示が興味深かったな。
どこまでをアートと呼び、作者は誰になるのか。
友人Mも大満足だったとのこと。
ROCKHURRAHと一緒に、もう一度訪れようかな!(笑)

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