宇宙と芸術展 鑑賞

【宇宙と芸術展のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

以前より長年来の友人Mから誘われていた企画が、森美術館で開催されている「宇宙と芸術展」であった。
7月の下旬から始まり、来年まで続いている展示のため「まだ大丈夫」と思っているうちに、いつの間にか2016年も終わりに近づいていたんだよね。(笑)
通常は午前中に展覧会を観た後でランチを楽しむスタイルだったけれど、今回は珍しくディナーの後で鑑賞することになった。
友人Mに会うのは夏以来なので、随分と久しぶりである。
話が弾み、食事の時間が長くなったよ。(笑)

夜には星空のイルミネーションを見る企画があるせいなのか、美術館のチケット売り場は長蛇の列!
まさかここにいる全員が「宇宙と芸術展」を鑑賞するわけじゃないよね?
15分も並んだだろうか、やっとチケットを手にして会場へ。
予想通り、チケット売り場の大群は「宇宙と芸術展」ではない別の何かが目的だったようで。
「宇宙と芸術展」は、そこまでの混雑はなく、ゆっくり鑑賞することができた。
海外からの人も多かったように感じたよ。

会場は4つのセクションで構成されていた。

1 : 人は宇宙をどう見てきたか?
2 : 宇宙という時空間
3 : 新しい生命観-宇宙人はいるのか?
4 : 宇宙旅行と人間の未来

といった具合に進んで行く。
全く違うジャンルを関連付けた展覧会としては、2010年に同じ森美術館で鑑賞した「医学と芸術展 MEDICINE AND ART」があったね。
この展覧会は非常に興味深い展示が多かったことを思い出す。

恐らくこの展覧会のために作ったのかなと思うような現代アート作品よりも、学術書や実用のために作られた作品のほうに興味を持ったSNAKEPIPE。
実用品のほうがより芸術的で、アートに勝ってると思った。

と感想を書いている。
なかなか気の利いたこと言ってるじゃない?(笑)
ところが今回の宇宙に関しては上記のコメントと同じようには言えなかったな。
正直なところ「宇宙」と「芸術」を同じ土俵に乗せるのには無理があると思ったんだよね。(笑)
そもそも宇宙の捉え方にも個人差があるような気がするし。
更に撮影OKの展示物が非常に少なかったことも「物足りなさ」につながっている。
そうは言っても、展覧会の撮影がオッケーになったのはつい最近のこと。
前述の「医学と芸術点」の時には撮影していないし、当然ながら1枚の写真も載せていないブログなんだよね。
それにも関わらず、未だに「面白かった」と覚えているわけだからね。(笑)

物足りない、と言いながら数点は気に入った作品があったので、紹介してみよう。
当然ながら撮影オッケーの作品でね!

ドイツ人アーティスト、ビョーン・ダーレムの作品は、夜に鑑賞して良かったみたいだね。
光が後ろのガラスに反射して、光の渦が奥行きを増して連続しているように見える。
どこまでも繋がっていく光の輪。
それはまるで永遠を表現しているかのよう。(陳腐!)
作品のタイトルはブラックホールなんだけど、 SNAKEPIPEのイメージとは違うかな。
ブラックホールは漆黒の闇だと思っていたからね。
大型の作品で、光がとても美しかった。

中国人アーティスト、ジア・アイリの作品に目を奪われる。
荒廃した風景に雷が落ちている、という非常にシンプルなモチーフなんだけど。
色合いのせいか、全く暖かみを感じない。
これが非常に好みなんだよね!(笑)
かなり大型の油絵だけど、我が家に飾りたいと思ったよ。
今まで知らなかったアーティストなので、 違う作品も鑑賞してみたいね。

この不気味な物体は一体何?
作者はパトリシア・ピッチニーニ
前述した「医学と芸術展」にも彼女の作品は出品されていたっけ。
ゲームをしている少年2人が、まるで本物の人間のように見える作品だったね。
今回鑑賞したのは、人間とアルマジロ(?)のハイブリッドのような謎の生物。
お世辞にも「かわいい」とは言えない。(笑)
2011年の東京都現代美術館で開催された「Transformation鑑賞」ではカモノハシと人間のミクスチャーを鑑賞したことも思い出した!
あの展覧会は「変身」や「変容」がテーマだったのでピッチニーニの作品が展示されているのは納得だけど、今回の宇宙ではどうだろう?
解釈でいかようにもなるってことかな?(笑)

空山基の展覧会が今年の1月から3月まで渋谷で開催されている情報は、いつも通り友人Mから知らされていた。
「ちょっと気になる」と言われていたけれど、 結局出かけなかった。
どうやらこのセクシーロボット、等身大の6分の1サイズが100体限定で2015年に販売されたらしい。
お値段は16万2千円!
今回鑑賞したのは等身大サイズ、更にお立ち台に乗っていたのでかなり背が高かったんだよね。
身長が200cmだとしても6分の1なら33cm。
自宅にミニチュア・セクシーロボットがいたら嬉しいかも!(笑)

撮影不可の作品で興味深かったのは曼荼羅。
曼荼羅の実物を間近で観たのは今回が初めてだからね!
細部まで精密に描かれているのには驚いた。
米粒くらいの大きさの人の顔がちゃんと分かる筆使いなんだよね。
「グヒヤサマージャ立体マンダラ」は、125cm四方の大きさの作品で、タイトルにあるように立体的な曼荼羅だった。
宗教的な作品というよりは、子供のおもちゃ感覚といった雰囲気で気に入ってしまった。(笑)
作品リストにも「製作:ギュメ密教大学ゲルク派学僧」と書かれているから、おもちゃじゃないんだけどね!
とてもかわいかったから、SNAKEPIPEも欲しくなってしまった作品だよ。(笑)

写真は「クリエイティブ・コモンズ表示-非営利-改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。

圧巻だったのは最後に鑑賞したチームラボの作品「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく – Light in Space」。
タイトルはまるでマルセル・デュシャンの「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」みたいに長いなあ。(笑)
完全入れ替え制で、一回の上映時間が4分未満という映像作品である。
真っ暗な部屋の中、床に直接座って鑑賞する。
ここだけは動画撮影OKだったので、肘で固定して頑張って撮影したSNAKEPIPE。
飲み込まれてしまうかと思ったほどの光の洪水。
飛び立つカラスの尾から流れ落ちるような光の帯は、速度を伴って上昇していく。
鑑賞しているうちに「これは『チベット死者の書』だな」と思う。
人が死んでから再び生まれ落ちる、輪廻転生を教えてくれる「チベット死者の書」をテーマに作品化したのではないか、と感じたのである。
そう思った途端、まるで死んでからの予行練習をしている気分になっている。
圧倒的な光に包まれて死んだ後のことを想像して思わず涙が出てきてしまった。
アート作品を観て、涙を流したのは今回が初めての経験だね。(笑)
この作品を鑑賞できただけでも、来て良かった展覧会だった。

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