映画の殿 第19号 ジャック・ブラック01

【ジャック・ブラック、3つの顔】

SNAKEPIPE WROTE:

アメリカの有名なコメディ俳優、ウィル・フェレルについての特集を4回連続で書いたのは去年のことだ。
ほとんどコメディ映画を観たことがないSNAKEPIPEとROCKHURRAHが、かなりドギツい毒のあるジョークに夢中になってしまった。
いわゆるアメリカンジョークとされる、日本人には意味が分からない類いではないのでお腹を抱えて笑ってしまう。
毒気と下品な部分には賛否両論あるとは思うけどね?(笑)

ウィル・フェレルのおかげで(?)すっかりコメディ映画に目覚めてしまったので、他のコメディ俳優にも注目してみる。
ウィル・フェレルの出身は「サタデー・ナイト・ライブ」という、1975年スタートのバラエティーコメディテレビ番組なので、そこに出演していた人をチェックしてみた。
ブルース・ブラザーズ、エディ・マーフィー、ジム・キャリーなど、日本でも知られているような有名人が多数輩出されているんだよね。
今から思えば、80年代に高視聴率を獲得していた「俺たちひょうきん族」は「サタデー・ナイト・ライブ」を目指していたんだろうな。
モノマネあり、コントあり、寸劇ありという「笑い」を追求した番組構成は、様々な分野に影響を与えたに違いない。
2015年から、また「サタデー・ナイト・ライブ」の41シーズンがスタートしているというから、今でも人気のある長寿番組なんだろうね。
「サタデー・ナイト・ライブ」出身のジム・キャリーが出演している映画も数本観たけれど、ウィル・フェレルの毒が回った身体には、刺激が弱い。(笑)
慣れって怖いよね。

映画のジャンルによって、DVD最初に必ず強制的に見させられる「新作案内」が違うんだよね。
ホラーの時、サスペンスの時、アクションの時。
それぞれ似たジャンルの映画の新作案内になってるので、恐らくウィル・フェレルの何かを観た時の紹介で「面白そう!」と思ったように記憶している。
それが今回特集するジャック・ブラックだった。

小太りで丸顔、いかにも厚かましそうな顔立ち。
はっきり言って第一印象は最悪である。
なんでこんな男が主演?と思ってしまう。
ところがその新作案内(とはいってもかなり古い情報だったけど)で見る限りでは、かなり好きなタイプのコメディ映画。
借りて観てみよう、ということになった。
そして一番初めに観たのが「 テネイシャスD 運命のピックをさがせ!」(原題: Tenacious D in The Pick of Destiny 2006年)である。

トレイラーが英語版なので、映像だけ観てなんとなく分かってもらえたら良いかな?
アクション多めのバカっぽいロック系コメディ映画なんだよね。(笑)

ロックをこよなく愛するJBは故郷の田舎町を飛び出して、一路ロックの聖地ハリウッドへ。
そこでKGと出会った彼は、その天才的ギタープレイに惚れ込み、彼を口説き落として“テネイシャスD”を結成する。
ビッグになることを誓い合った2人だったが、デビューライブは惨憺たる結果。
2人はビートルズ、ストーンズ、ジミヘンらを成功へ導いた、あるピックの存在を発見する。
悪魔の歯から作られたというその伝説のピックを手に入れるため、300マイル離れたロックンロール博物館に向かう。

JBがジャック・ブラック、KGがカイル・ガスなんだよね。
この2人、本当に「テネイシャスD」というバンドをやっているのに、映画で初めて結成したようなストーリーになってるね。
こんな太めの2人組なのに、びっくりするほど動きが機敏!
ライブ・パフォーマンスもなかなか!
毒のあるジョークで笑わせるライブは大人気というのもうなずける。
それにしても、この左の画像。
太めの男2人の尻出しってどうなの?(笑)

ジャック・ブラックもカイル・ガスもティム・ロビンスの劇団の出身らしい。
そこで出会ってテネイシャスDを結成したというから、ティム・ロビンスがカメオ出演するのも納得だね。
かわいい劇団員のためなら、というところかな。
まるでホームレスのような風貌での登場だったけれど、こんなに長身のホームレスはあんまりいないよね?

「幻のピック」があるという情報を与えてくれるのがギターショップの店員。
この顔を見て誰だかすぐにわかったアナタは、コメディ映画通に違いない。(笑)
そう、ベン・スティラーなんだよね。
ジャック・ブラックはその後「トロピック・サンダー」に出演しているよね。
コメディの方々は映画で共演すること多いので、つながりがあるんだろうね。
ベン・スティラー、良い味出してたね!

悪魔役で出演していたのが、元ニルヴァーナのドラムで現在はフー・ファイターズのデイヴ・グロール。
本物のミュージシャンも出演しているとは!
しかも本人だと分からないくらいの特殊メイクで。(笑)
他にもミートローフがJBの父親役で出ていたりして、ロックファンは楽しめる要素がたくさんあるよね!

映画の予告で観てやっぱり予想通り面白かったので、次もまたジャック・ブラック関連を探してみる。

続いて観たのが「 スクール・オブ・ロック」(原題:School of Rock 2003年)である。
映画の製作順じゃなくて、ROCKHURRAH RECORDSが鑑賞した順番なのでよろしくね!

バンドをクビになった男がひょんなことから
エリート小学校の教員となり、
管理教育に漬かりきった生徒たちに
「ロックの精神」をたたき込む
痛快ロックンロール・コメディ。

あらすじがワンフレーズで終わってしまっている!(笑)
非常に簡単だけど、決して間違っていないからまあいいか。

映画が始まり、キャストの名前を見せるための工夫がなかなか良いセンスなの。
ライブハウスに貼ってあるポスターなどを利用してるんだよね。
これは文章で表すのが難しいので、是非とも観て確認して欲しいね!

この映画でジャック・ブラックの幅を感じることができるんだよね。
偽物の教育者という役どころだったけれど、本物の教育者に勝るような心に響くセリフをいくつも残している。
生徒1人1人の特性を見抜いて、良い所を伸ばしていくという姿勢も素晴らしかった。
こんな先生に出会っていれば、その後の人生は変わるだろうなと予感させる。
ロックを教科書にしているところが、ロック・ファンにはより魅力的だけれど、ロックを知らない人が観ても充分面白いんじゃないかな?

生徒役を演じていたのは、全員がちゃんと演奏ができる子役だったという。
全員の個性を活かした配役はさすがだよね。
10年後にバンドを再結成している映像がYouTubeにあったけれど、みんな大人になっていたね。(笑)
ほとんどが音楽関係の仕事をしているようなので、やっぱり映画に出演したことが将来を決定付けたんだろうね。

バンドは白人、黒人、黄色人種をミックスさせ、更に男女も混合させている。
バンドで世界平和も訴えていたんだね。
破天荒な先生が主人公の映画は多いだろうけど、ロックの教義をする先生が主人公の映画はこれくらいじゃないかな?
ファミリーで観ても全く問題がないというのも珍しい。
ジャック・ブラックすごいな!(笑)

最後に「バーニー/みんなが愛した殺人者」(原題: Bernie 2011年 )を紹介しよう。

この映画は最近流行りの「Based On A True Story」いわゆる本当にあった事件の映画化なんだよね。

テキサス州の片田舎で葬儀屋に勤めるバーニーは、誠実な人柄で町の誰からも愛されていた。
やがて彼は、金持ちの未亡人マージョリーと仲良くなり、
いつしか銀行口座の管理を任されるほど信頼されるようになる。
しかし、ふとしたことで彼女を殺害してしまったバーニーは、その後もマージョリーが生きているかのように振る舞うのだった。

映画は町の人々のインタビューで構成されているので、最初は戸惑ってしまう。
観ていくうちにバーニーという男について話していることが分かる。
バーニーを演じたのがジャック・ブラック。
基本的に体型が同じで髪型も横分けなので「年をとったなあ」という感じはまるでしない。
もしかしたら太め体型の人のほうが若く見えるのかな?(笑)

そしてあらすじにあった金持ちの未亡人マージョリー役をシャーリー・マクレーンが演じている。
シャーリー・マクレーンといえば、「アウト・オン・ア・リム」のイメージが強いんだよね。
その映画まで観ちゃったし。(笑)
そのシャーリー・マクレーンが町中の人から嫌われる役を演じているというのが、面白いよね。
あんなにスピリチュアルな人なのに!

映画の中ではバーニーを完全に支配し、手中に収めようと躍起になっているマージョリーに対して殺意を感じたということは理解できたけど、その後のバーニーの行動が不可解だったんだよね。
あらすじにある「殺害後も普段通りに生活する」って部分。
嫌われていたマージョリーとは正反対に、町中の人から愛されていたバーニーも、町の人達とずっと一緒にいたかったのかな。
もしそうなら、もっとうまいやり方があっただろうにね?

マシュー・マコノヒーが地方検事役で出演していた。
テキサスという場所柄なのか、いつでもウエスタンハットにブーツ姿だったね。
町中の人が殺人者であるバーニーの味方であることに不信感を抱き、ある作戦にでるところが裁判のポイント。
実際の事件でも同じことが起こったのかどうか?
観ているうちに鑑賞する側もバーニーの味方になってしまい、地方検事が嫌なヤツにみえてくるのが不思議だった。

「バーニー」でのジャック・ブラックは今までのコメディ俳優から、本格的な役者としての地位を確立したように思う。
ミュージシャンなのでギターを弾いたり、自慢の喉を披露するシーンは観てきたけれど、「バーニー」では聖歌を歌ったり、ミュージカルの俳優としての演技もしていたもんね。
最初に書いた「 小太りで丸顔、いかにも厚かましそうな顔立ち」の男なのに、非常に芸達者なんだと改めて知ることになったね!

今回特集した 3本はジャック・ブラックが主演した映画についてだったけれど、実は脇役として出演している映画は他にも観ている。
これからも注目して鑑賞していきたいと思う。

ビザール・ランプ選手権!21回戦

【映画「Lost Highway」に登場するリンチの手作りランプ!三角形がお洒落!】

SNAKEPIPE WROTE:

近所に新しいアジア雑貨屋がオープンしていた。
かつては部屋のほとんどをアジア系の家具や置物で揃えていたSNAKEPIPEは、その手の店を見つけるとつい立ち寄ってしまう。
木材の色合いが落ち着いていて好きなんだよね!
そこで素晴らしいランプを見つけてしまった。
少しだけ開きかけた蓮のつぼみから細く漏れる光。
昔だったら購入を即決してただろうな。(笑)

かつてのアジア系だった頃は全てを間接照明にしていたので、それはそれは暗い部屋だったものよ。(笑)
その代わりいくつもランプを置いていたっけ。
気に入ったランプを見つけると買って、置き場を考えて。
現在の部屋はアジアンテイストじゃないからね。
またいつの日かアジア系の部屋にしてみたいものだ。

ということで(?)今回のビザール・グッズ選手権はランプにしてみよう。
今までランプを特集していなかったからね。(笑)
検索してみると数多くのビザール・ランプがあったよ!
そのうちのいくつかを紹介してみよう。

これはビザールというよりは便利グッズになるのかな。
1冊の本かと思いきや、中から出てくるのはランプ!
まるで飛び出す絵本みたいな造りだよね?
これはGenerate Designが販売している「Book of Lights」という商品なんだよね。
一体どんな仕掛けになってるんだろうと思ってHPを見ていたけれど、現在は販売終了してるようで詳細については分からなかった。
販売していた時は$92、日本円で約1万円といったところだね。
Generate Designは他にも面白・お洒落グッズがたくさんあって、HP見てるだけでも楽しくなるよ!

続いてはクラゲ・ランプ!
ビザール・チェアの時も、生き物に似せたデザインを選ぶことが多かったSNAKEPIPE。
今回のクラゲもなかなかどうして!
空中をユラユラ漂っているようで素敵だよね。
これはRoxy Russellというカリフォルニアのデザイナーによる作品、「メデューサ・コレクション」。
PETボトルに使用されるポリエチレンテレフタラートを再生利用し、白くコーティングしたアルミを加えた材料を使用しているとのこと。
エコとデザインの融合だよね!
お値段はデザインによって$375〜$475、日本円で約42,000円から53,000円だね。
暗闇に1体いてもらうだけでも、うっとりしそう。
瞑想部屋に「もってこい」だね!(笑)

海洋生物のスチームパンク・バージョンもあるよ!
タコをモチーフにしたランプだね。
これはEvan Chambersの作品で、ブロンズとガラスで手作りされているという。
Evan Chambersのプロフィールによると、どうやら両親がステンドグラスの工房を持っていたようで、子供の頃から制作に携わっていたというから羨ましい環境だよね。(笑)
一つ一つにナンバリングされたパーツを組み合わせて完成させるらしい。
手間暇かかった作品のお値段は$3,600、日本円で約40万円ね。
高さ35cm幅が40cmなので、 意外と大きいよね。
かなり存在感ありそう!

インダストリアルな、非常に好みのランプを発見!
パイプを組み合わせて作られてるんだよね。
名前がSNAKEPIPEだけに、やっぱりパイプ好きなのよ。(笑)
単純な発想だけど、今まで見たことがないデザインだよね!
これはイスラエルのデザイナー、David BenatanのKozo Lampで扱っている作品。
どうやって使用するのかをYouTubeで見つけたので、それも載せておこうか。

手(?)になる部分が磁石になってるんだね。
遊び要素と実用性、そしてデザイン性と三拍子揃った小僧ランプ。
あれ?kozoは小僧なのかしら?(笑)
まるで小僧カンパニーみたいだね!
幅14cm 高さ34cm 奥行き 8cmで重さが3.8kg。
テーブルに丁度良いサイズ、さて気になるお値段は?
「お問い合わせください」としか書いてない!
しかも問い合わせページにいこうとすると「安全ではないサイト」と出てきてしまう…。
一体いくらなんだろう。気になる、気になる! (笑)

最後は「時計じかけのオレンジ」に出てくるコロヴァ・ミルク・バーを彷彿とさせるランプね!
女体モチーフは多いけれど、この部分だけを光らせるところがポイントかな?(笑)
地下にあるような、秘密倶楽部の壁にかかってたら似合いそうだよね!
これはロシアのデザイナー、Tembolat Gugkaevの作品ね。
実はお尻シリーズも展開しているので、せっかくなので載せてみよう。
なんと読むのか分からない名前なんだけど、この方の作品はどれもお洒落で面白い。
HPの造りも凝っていて、トップページから遊び心満載なの。
前にも書いたことがあるけれど、センスを売り物にしている人はHPに相当こだわっているよね。
当然とも言えるけど!
お尻シリーズはあまりエロティックに感じないのはSNAKEPIPEだけ?
これなら少し健全な店でもオッケーかもしれないよね。
とは言ってもお値段の記載がなくて分からないのよ。
気になる方はお問い合わせしてみてね!
それからお値段教えてね!(笑)

ランプについては全く検索してこなかったけど、調べていてとても面白かった。
様々な国のデザイナーの作品はとても新鮮だったよ!
このワクワクをまた体験したいと思う。

SNAKEPIPE MUSEUM #37 Joseph Seigenthaler

【自身の作品を使用したアニメーション作品。音楽がpeter gunn!】

SNAKEPIPE WROTE:

ちょっと気になるアーティストを見つけると、ブックマークに入れておくことにしている。
あとになって「あのアーティストのページを見よう」と思っても、もう一度たどり着けるとは限らないからだ。
いや、むしろ辿りつけないことのほうが多い。
特にSNAKEPIPEが検索するのは、海外のアーティストがほとんどなので、スペルを完全に覚えていることはないし、同じ検索ワードで拾おうとしても情報は移り変わっていくからね。

そんなことを習慣にしていると書いたのにも関わらず、何気なく開いたブックマークに見慣れない名前を発見する。
Joseph Seigenthaler
誰だろうと思いながらクリックしてみる。
見てびっくり!
いかにもSNAKEPIPEが好きそうな不気味な立体作品がたくさん載ってるんだもん。
随分昔にブックマークしておいて、そのまま忘れていたようだ。
自分で検索したことすら忘れているとは!とほほ。

それにしてもJoseph Seigenthalerってどう読んだらいいんだろう?
ジョセフ、もしくはヨセフは良いとしてSeigenthalerのほうが問題ね。
同じファミリーネームの人で調べてみると、アメリカのジャーナリストでJohn Lawrence Seigenthalerという方がいて、読み方はシーゲンソーラーだって。
スペル同じだからそれで良いかな?
と思ったら、その方の息子ジョンにはセイジェンタラーという読み方が表記されてる!
親子なのに違う読み方が記載されているとはね!(笑)
有名なのはジョン・ローレンスさんのほうみたいなので、シーゲンソーラーで統一しようか。
アメリカ人なので、Josephもジョセフにしようね。
それにしても全くジョセフ・シーゲンソーラーについての記事が見つからなかったということは、日本で紹介するのはSNAKEPIPEが初めてってことなのかしら?
SNAKEPIPEはどこから見つけてきたんだろうね?(笑)

ジョセフ・シーゲンソーラーについては、自身のHPにもそんなに詳しく載っていなかったので、分かる範囲だけ書いてみよう。
ジョセフ・シーゲンソーラーは1959年テネシー州ナッシュビル生まれの彫刻家/ビデオアーティスト。
1981年にメンフィス美術大学の油絵科を卒業後、いくつかの蝋人形館で働く。
1984年から1986年までセラミック・アートを学び、単位を取得。
ハラルド・ワシントン大学やモンタナ大学でセラミック・アートを教えているという。
自分の作品を使用したアニメーションの制作もしていて、それがブログ1番上に貼ったYouTube。
かなり不気味で良い感じに仕上がっているよね!(笑)
フランス人の画家アン・ギルバードと結婚、3人の娘と共にシカゴに在住し活動を続けているという。

作品はホノルル美術館やシカゴ現代美術館など世界各国の美術館に所蔵されているらしい。

この経歴だけでは、どうして絵を描いていた人が、急に蝋人形館で働くことになったのか分からないんだよね。
平面から立体へ変更するには、何かしらの理由があると思うんだけど?
これはSNAKEPIPEの想像だけど、ジョセフ・シーゲンソーラーはスーパーリアリズムの絵を描いていたんじゃないかな。
もっとリアルに近づけるため、立体に変化していったのではないか、と推測してみたよ。
ジョセフ・シーゲンソーラーの特徴の1つは、スーパーリアルであることだからね。
まるで本物にしか見えない、見事な出来に驚いてしまう作品ばかりなので、推測は正解なように感じるよ。
そしてもう1つの特徴は、その人物が最も醜く見える瞬間を定着させている、ということかな。
上の作品「Busta」(1994年)は、この人物が怒りにかられて怒鳴っているところを表しているように見える。
青筋を浮かべ、鼻にはシワが寄っているよね。
同じ人物の笑顔の瞬間を作品にしても良いのに、ジョセフ・シーゲンソーラーは、あえてこのような醜悪な表情にこだわっているようである。

ダイアン・アーバスの写真に出てくるモデルを、ハンス・ベルメールが制作したような「sisters」は1999年の作品である。
まるでピンヘッドを思わせる頭部、ぽっこり出たお腹。
全裸だけど、何故だか靴は履いている。
そして膝の部分が抜け落ちているのに、立っているように見えるのが一層不気味だよね。
上で吊ってるから固定できるんだけど、ギョッとさせられてしまう。
この作品にモデルがいたのかどうか不明だけど、目の前に生きているように見えるリアルさが怖い!
ジョセフ・シーゲンソーラーの作品は、いわゆる「カルト映画」と分類されている世界観に通じる雰囲気があって、そこが好みみたい。(笑)

日本の小説を思わせる作品もあるんだよね。
左の画像は「Pedestal」、1996年の作品である。
体型だけを見ると「芋虫」だし、テレビ台にされている様子は「家畜人ヤプー」 なんだよね。
どちらの小説もかなり「アブナイ」系なんだけど、それらの作品に近いリアルな立体作品を見ることができるとは!
SNAKEPIPE個人の希望としては、是非とも江戸川乱歩の「盲獣」の世界を制作してもらいたいと思う。
増村保造監督の映画化もなかなか良くできていたけれど、ここまでリアルにこだわるアーティストが作るとどうなるのか興味があるよ。
きっとジョセフ・シーゲンソーラーも好きなはず。(笑)
それにしてもジョセフ・シーゲンソーラーは大学の客員教授もやりながら、こういった作品も制作して発表しているってところがすごい!

上の画像は「Couple」という1993年の作品である。
男性の皮膚全体が赤い発疹で覆われている、アート作品としてはあまり見かけないタイプの人物像なんだよね。
そしてその発疹が奥さん(?)にも進行しつつある経過を表しているんだけど。
上の画像では表情が分からないので、奥さんだけ左に乗せてみたよ。
旦那さんが目を閉じ、もう運命を受け入れたかのような穏やかそうな顔立ちをしているのとは対照的に、奥さんの恐怖の顔!
私もこんな風に発疹で覆われていくの?
いくら夫婦だからって病気を共有し、運命まで共にしなければいけないの?
どうしよう、もう手から腕にまで発疹が伝染してきている!
こわいっ、醜くなりたくないっ!
と思っているように見えるんだよね。
好きだ、愛してると言いながらも、実際にはエゴイズムに支配されている人間の薄さ、のようなものまでも感じてしまうし。
その嘘っぱちをリアルに作る、という矛盾。(笑)
この作品にもモデルがいたのかどうか不明だけど、最初に書いたジョセフ・シーゲンソーラーの特徴である2つ、リアルな醜悪が存分に表現されている秀逸な作品だと思う。

先にも書いたように、もしかしたらジョセフ・シーゲンソーラーについて書いた記事は、このブログが初かもしれないので、間違った読み方や内容があった場合は許してね!
世界にはまだまだ知らない面白いアーティストがいっぱいいるね!
また探していきたいと思う。(いつも通りのワンパターン)
そして探したことを忘れないようにしないと。(笑)

劇的ビフォ→アフターpart5 

【染めQを染めてみた!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

3月6日は鳥飼否宇先生の誕生日!
鳥飼先生、お誕生日おめでとうございます。
SNAKEPIPEも2日前に一つ年を取りました!(笑)

鋲打ちが趣味だった頃、様々なタイプのスタッズを求めてパーツを売っているところに出入りすることが多かった。
例えば新宿のオカダヤ、ある時は渋谷の東急ハンズ。
記憶が正しければ、その時の東急ハンズで宣伝用のテレビで流れていたのが染めQだった。
その画面に見入って
「レザーを簡単に染められるなんてすごい!」
と感心し、「いつか試してみたい」と思ったSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも興味津々で、その話題で盛り上がったものだった。

あれから10年以上の月日が経過しているのに、
「いつか試してみたい」
という思いを残しつつ、結局やっていなかったんだよね。(笑)
理由その1は、染めたいと思う品物がなかったから!
本当はあったのかもしれないけれど、染めQを思い出さなかった、というのが正確な理由なのかもしれないね?
理由その2は、軽く試してみたいと思うほど染めQがお手頃じゃない、ということだろうか。
小さい70mlサイズと大きな264mlサイズがあるんだけど、大きいほうで約2000円なんだよね!
264mlで染められるのは平均0.8平米〜1平米という。
大きさによるけれど、1本で足りない場合は更にお値段がかかるってことだからね!
二の足を踏むのも当然かな?(笑)

SNAKEPIPEが2016年の目標に掲げたのが
「面倒がらない」
ということ。
やろうと思って後回しにすることって多いからね。
「面倒だから」を理由にせず、小さなことでも自分でできることはやってみよう!と思っているのである。

そこで思い出したのが、数年前にリサイクルショップで購入したレザーのスカート!
びっくりするほどの安値で購入し、何かの材料にすれば良いとそのままにしていたスカートだったのである。
デザインは巻きスカートタイプで、前面にフラップ付きのポケットがあるのが非常に好み!(笑)
色がモスグリーン系で、傷がつきやすい表面加工のレザーだったため、いくら手入れをしても「汚れたスカート」にしか見えない。
色さえなんとかなれば、普通に着用できるんだけど、と思いながら放置されていたスカートだったのである。

ここで思い出したのが前述した「いつか試してみたい」と思っていた染めQである。
ものすごい安値で買ったスカートに使うのは勿体ない?
いや、似たタイプを購入すると考えたらお安いかも。
それに染めQをものすごくお気に入りのレザーで、初めて試すのも怖いような気もするし。(笑)

先ほども書いたようにこのスカートは巻きスカートなので、実は表面積は広いんだよね。
264mlで染められる範囲を超えてるだろうな、と思いながらまずは1本だけ購入してみる。
「室内でも染められる」と宣伝ではいわれていたけれど、スプレーが飛び散るのが怖かったのでベランダで試すことにする。
1回目の状態が右の画像。
まだまだだよねー!

散布したのは風が強い日だったので、スプレーが撒き散らされる状態になってしまった。
そのせいでスプレーの強烈なにおいが充満している。
ラッカーのにおい、なのかな。
ROCKHURRAHによると、プラカラーのにおいと同じ、だそうで。

これ、とても室内でなんて作業できないよ?
このにおいが落ちるのかあ?
心配になっちゃうよね。
上の画像で3回ほど塗った状態。
光の加減にもよるけど、黒というよりはブロンズに近いのかな?
心配していた通り、1本では足りなかったね。
スカートのサイズは135cm☓60cmなので810平米だけど、完全に色を変えてしまうためには2本必要ってことね。

1本目を購入した近所の店に出向くと…なんとブラック売り切れ!
えー!明日作業したかったのにっ!
きっと再入荷は未定だろうな、と見切りをつけてAmazonで購入。
通販のほうが早くて確実だね!
2本目は、まず裏から散布することにする。
上に書いたように、巻きスカートタイプのため、歩いたり何かしらの動きがあった時には、ペラッとめくれることがあるんだよね。
裏側のレザー部分は、そのめくれるかもしれない危険ゾーン!
ここもちゃんと塗っておかないと、急に別のカラーがチラリズムしちゃうからね!(笑)

めくれそうな部分を重点的に塗ってみた。
この後も数回塗って、多分見えても大丈夫な程度にまでなったはず!
表面とは違ってなんとなく黒っぽければ良いか、程度なのでこれで大丈夫かな。
写真がかなりピンぼけなのが気になりますなあ。

1本目の時にはブロンズ色にしか見えなかった表面にも再び散布。
洗濯をした後の、少し表面がボコボコした状態で塗っているので、どうしても角度によって色ムラがあるような気がするね。
靴とかバッグなどの、ある程度硬さがあるものへの散布だとキレイになるのかもしれないな。
それでもかなり黒っぽくなってるよね?

そしてこれがビフォ→アフター!
オイルを塗るようなお手入れはまだなので、シワシワだけどね。
色はかなり黒になったと思うよ!

初めて知った時から10年以上の時を経ての初体験!
それほど長い歴史がある染めQだけど、段階を追ってチャレンジしている記事が少なかったのが意外。
そしてレザーの洋服や靴などを染めた後、その後着用しても問題なかったのか、剥がれてきてしまったのかなどの記事は更に少ないんだよね。
SNAKEPIPEが見つけたのは1件だけで、「剥がれた」というもの。
その後その方がどうされたのかは載っていなかった。

今回のブログはここまでで書き終えるけど、追記としてその後の情報も載せたいと思っている。
染めQの実力やいかに?!(笑)