ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編 3

20190414 top
【ロトチェンコのブック・デザイン】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は「ROCKHURRAH紋章学」としてブック・デザイン編の第3弾をお届けしよう!
ちょっと変で「とほほ」も大好きだけど、やっぱりカッコ良いデザインに巡り合うと嬉しくなる。
特にROCKHURRAHとSNAKEPIPEの目の色が変わるのは、バウハウスやロシア構成主義のようなタイポグラフィの作品なんだよね。
そういえばこの「目の色が変わる」という表現、普通に使ってるけど本当はおかしいよね?
「欲望に支配されて興奮状態となるため、目がギラギラする」ということになるらしい。
なるほどねえ!
話を元に戻そうか。(笑)

今回はロシア構成主義の素晴らしいブック・デザインをまとめてみよう。
1920年代の作品を中心にしているので、アーティストが偏ってしまうかも?

この画像の中でSNAKEPIPEが読めるのは「1921」だけ!(笑)
インポッシブル・アーキテクチャー展」で観た「第三インターナショナル記念塔」を思い出すような建築物が描かれているよ!
この本は一体何だろう?
どうやらこれは「ロシアの郵便料金と電信統計」 の1921年版みたいよ。
一般的な読み物じゃなくて、専門書ってことだよね。
そんな本には思えないオシャレなデザインに驚いてしまう。
制作したのはLyubov Popova、リュボーフィ・ポポーワと読むらしい。
ロシア構成主義を代表する女性アーティストとのことだけど、SNAKEPIPEは初めて知ったよ!
ウラジミール・タトリンの元で働いていたとの記事があり、 「第三インターナショナル記念塔」を連想したのはあながち間違っていなかったわけだ。(笑)
それにしてもロシア構成主義に女性が関わっていたことは衝撃だね。
ポポーワや他のアーティストについて、もっと調べていきたいよ。

インダストリアルにも興味があるので、タイポグラフィと組み合わされたデザインには目がないよ。
はっ!また目に関する慣用句を使ってしまったよ。
「思慮分別をなくすほど好きなこと」だって。
分別まではなくさないけどさ。(笑)
この本は1926年に発行されたロシアの詩人ウラジーミル・マヤコフスキー詩集で、デザインを担当したのはアレキサンドル・ロトチェンコ!(笑)
ロトチェンコについては2012年の「ロトチェンコ-彗星のごとく、ロシア・アヴァンギャルドの寵児-」で大絶賛の記事を書いているよね!
なんてカッコ良いデザインなんでしょ。
さすがはロトチェンコ!

こちらもロトチェンコのデザインね。
1929年に刊行された「Rechevik. Stikhi 」(読めん!)という小説のブック・デザインみたい。
ひし形に区切られた枠の中を、ボーダーやストライプで塗りつぶしただけなのに、どうしてこんなにスタイリッシュになってしまうのか。
上の作品と同様に、この作品もMOMAのコレクションになっているんだね。
こんなデザインのブックカバーがあったら欲しいな!

これは1928年の雑誌の表紙のようだね。
調べてみると1923年から1925年まで「LEF (“ЛЕФ”)」として、1927年から1929年まで「New LEF」に名前を変えて年に2回刊行されていた雑誌だという。
アヴァンギャルドのアーティストや写真家、批評家やデザイナーなどが所属していた「Left Front of the Arts (“Левый фронт искусств” )」という協会のための機関誌になるのかな。
このLEF、日本語訳だと「芸術左翼戦線」になるみたいだよ!
すごい名前じゃない? 
アメリカの雑誌「Arts & Architecture」の刊行は1940年から、その前身である「California Arts & Architecture」でも1929年刊行ということなので、もしかしたらこの「LEF」を参考にしていた可能性あるよね。
「Arts & Architecture」の表紙も非常にカッコ良いんだけど、それよりもロシアが先だったことに気付いたからね!
「LEF」の編集はマヤコフスキー、表紙を担当したのはロトチェンコ!

いわゆる左派芸術のイデオロギーと実践を再検討し、
共産主義を発展させるための芸術の価値を高めるために
個人主義を放棄することを目的とする

こんなプロパガンダを掲げた雑誌だったとは!
どんな内容だったのか非常に気になるよね。(笑) 

続いてはエル・リシツキーのデザインね!
1924年発行の「The ISMs of Art」はそのまま「芸術主義」と訳して良いのかな。
リシツキー自身の本のようなので、芸術論が展開されていると予想する。
シンプルながら目を引くデザイン。
はっ、また目の慣用句!(笑)
見た目により多くの人々から関心を向けられること」だって。
まさに広告に関連するデザインが目指すところだね。
リシツキーは、1923年に国家主導でプロパガンダのための「フォトモンタージュ研究所」をモスクワに設立したらしい。 
革命のための表現として構成主義が発達した、というところが資本主義国の芸術環境とは違う点だよね。

これもリシツキーのデザイン。
1927年に刊行されたウラジミール・マヤコフスキーの詩集とのこと。
先に紹介したロトチェンコもマヤコフスキーと組んでいたよね。
どんな詩を書いていたのか気になるよ。
内容と装丁は合っていたんだろうか?(笑)

構成主義三原色とでも言うべきベージュと黒と赤だけが使用されたシンプルさ!
色のバランスと空間の使い方が絶妙なんだよね。
SNAKEPIPEが注目したのは右下の赤。
ここに赤を置くかどうかで全体の締まり具合が全然違うんだよね!
こんなデザインのノートがあったら欲しいな。

最後はグスタフ・クルーツィスの作品ね。
詳細がよくわからなかったけど、カタログと書いてあるみたいじゃない?
もしかしたらクルーツィス本人の図録なのかもしれないね。
このデザインも構成主義三原色のみ使用だけど、なんともいえないインパクトがあるよ。
クルーツィスもLEFに所属していたアーティスト。
奥さんのヴァレンティナ・クラギーナもアーティストで、コラボ作品も残っているという。
1932年に共産党中央委員会の命により、全ての芸術団体が解散させられ、クルーツィスは逮捕された後処刑されたとWikipediaに書いてあるよ。
どうやらニューヨーク世界博覧会に出発しようとしたことが理由のようだけど、詳しい事情は不明。
国家や政治が絡み、アーティストが命を落とす非常に悲しいエピソードだよね。
時代が違っていたら処刑はされなかっただろうけど、あの時代だったからこそ素晴らしい作品ができたのかもしれない。

ロシア構成主義のブック・デザインを並べてみたけれど、改めてデザイン性の高さを知ることができたよ。
国が政治のために芸術を使用していたということが、様々な影響を及ぼすことも同時に知ることになった。
今までは作品を観てワクワクするだけだったけれど、少し観方が変わるかもしれないな。
ロシア構成主義やバウハウスについては、これからも勉強していきたいテーマだよ!

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です