ROCKHURRAH紋章学 ペントアワード編

20240421 16
L’Anjub Breweryのベラ・チャオはMarçalデザインのインパクトがあるパッケージ!】

SNAKEPIPE WROTE:

約3ヶ月ぶりに更新するカテゴリー「ROCKHURRAH紋章学」。
今回は、世界的に有名な国際的なパッケージング・デザイン・コンペティションである「pentawards(ペントアワード)」を特集していこう。

ペントアワードは、2007年に設立され、賞の運営本部はベルギーのブリュッセルに置かれているという。
優れたパッケージング・デザインを称賛し、業界のイノベーションとクリエイティビティを奨励することを目的としているペントアワード。
受賞作品は、世界中のデザイン・コミュニティやメディアで注目され、国際的な認知と名声を得る機会となっているというから、デザイナー垂涎の的だろうね!
毎年数千を超えるエントリーがある中、ダイヤモンド、プラチナ、金、銀、銅という受賞作が決定される。
なんだか楽天会員のレベルみたいだね。(笑)
2023年の受賞作は全部で392あるけれど、ナンバーワンのダイヤモンド受賞は1作品のみ。
毎年1作品だけ、もしくは該当なしとなっている厳しい審査が待っているようだね。
2007年からのダイヤモンド受賞作を古い順に見ていこう!
世界トップレベルのデザイン、楽しみだね。(笑)

2007年ペントアワード初回のダイヤモンド賞受賞作品はこちら。
デザインブリッジ・アムステルダムがデザインしたSwinckelsというビールだよ!
オランダのビールといえばハイネケンを思い浮かべてしまうけれど、スウィンケルズも知名度が高いビール・メーカーとのこと。
創業1680年というから340年以上の歴史があるんだね。
画像で見ているだけでは、ダイヤモンド賞受賞の決め手になる優れたデザイン性を感じることができないSNAKEPIPE。
今から17年前には斬新だったデザインが、今では特別感がなくなっているのかもしれない。
実物を見てみたいよね!

2008年の受賞作品は、フランスのPiper Heidsieck (パイパー・エドシック)。
パイパー・エドシックは1785年に創業したシャンパーニュ・メゾンで、なんとあのマリー・アントワネットに献上されたという。
マリリン・モンローは「毎晩1滴のシャネルNo.5を纏って眠り、毎朝一杯のパイパー・エドシックで目覚める」と語っていたとか。
シャネルの話には続きがあるとは知らなかったよ。(笑)
ダイヤモンド賞を受賞した限定版のシャンパンをデザインしたのは、フランスのSleever International
ボトルを完全に逆さまにしてるんだよね!
格式高いブランドが面白さを売りにしただけではなく、品質にも文句なしと太鼓判を押す商品に仕上げている点が評価されたのかな。
コルクの部分がどうなっているのか謎だね!

2009年はティッシュでお馴染みのクリネックスが受賞。
三角形のボックスに描かれたジューシーな果物は、見ていて楽しいよね!
アメリカでは、このクリネックスが大ヒットしたみたいだよ。
日本では四角い箱のタイプしか販売されていないので残念。
「スライス・オブ・サマー」と名付けられたパッケージのイラストを描いたのはヒロコ・サンダース
今にも果汁が流れ出してきそうなリアルな仕上がりだよね!
ヒロコ・サンダースのサイトには、イラスト以外にも商品化されたパッケージ・デザインが載っていて、日本の商品も手掛けていたことがわかる。
コンビニやスーパーで目にしていたかもしれないよね!

2010年のダイヤモンド賞には、日本のメーカーであるホーユー株式会社の3210(ミニイレ)のパッケージが選ばれたんだね。
日本のデザインが世界のトップに輝くとはすごい!
ホーユーはヘアカラーで有名な会社だよね。
受賞した作品は美容室で使用されるプロ用のスタイリング剤とのことなので、一般には流通していないんだね。
デザインを手掛けたのは株式会社アサツー ディ・ケイ(ADK)。
くにゃっとした不思議な形は、手に馴染むように工夫されているという。
心地良い重さも重視し、ガラスが採用されているんだって。
美容室で見かけたら触らせてもらいたいね!

2011年はスウェーデンのミネラルウォーター・ブランドであるRamlösa(ラムローサ)がトップの座に。
ラムローサは北欧で人気のある発泡性の高級ミネラルウォーターとのこと。
炭酸ミネラルウォーターといえばペリエを思い浮かべるけど、ラムローサは日本でも販売されているのは不明だよ。
受賞作はGROWがデザインしたという。
ここまで書いて、2019年10月の「ROCKHURRAH紋章学 ウォーター・ボトル編」でも特集していたことを思い出したよ!(笑)

PETボトルでこのカッティングとは!
二酸化炭素排出量を大幅に削減し、デザイン・アワードも受賞したというから大成功だよね。
このスパークリング・ウォーター飲んでみたいよ!

以前書いていたことと同じことを言おうとしてしまった。
書いていたことを思い出しただけでもエライ、ということにしておこう。(笑)

2012年はコカ・コーラのダイエット・コークがダイヤモンド賞を受賞。
担当したのはTurner Duckworthという1992年創業のロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコに拠点があるデザイン事務所だという。
ターナー・ダックワースのサイトを見ると、世界的に有名な企業がクライアントになっていることがわかるよ。
ダイエット・コークのデザインは、シルバーをバックに黒と赤だけを使用し、フォントだけで勝負して非常にシンプルだよね。
このズバッと切り取ったところが潔くてカッコ良い!
缶の形などは変わってないのに、新鮮に見せるところがテクニックなんだろうね。

今回は2007年から2012年までの6作品を特集してみたよ!
世界レベルの優れたパッケージ・デザインは見ていて楽しいね。
2023年までの受賞作を紹介するのは、次回以降にしよう。
続きをお楽しみに!

ROCKHURRAH紋章学 グラス編

20240107 top
【グラスの底に顔があってもいいじゃないか、で有名な岡本太郎の作品。欲しい!】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPEが担当する今年最初の記事だよ!
本年もよろしくお願いいたします。(笑)

昨年末、ROCKHURRAHとお出かけした時、2人で一目惚れしたアイテムがあるんだよね。
それがグラス!
大昔、青山のF.O.B COOPで購入したDURALEXのグラスは、未だにROCKHURRAH RECORDSで使用しているアイテム。
そのDURALEXのグラスが「ぐにゃり」と変形し、1点ずつ形が違う逸品を見つけたんだよね。
どうやらこれは非常に高温の窯で再溶解させ変形させた「TIPSY GLASS」というものらしい。
どの形が良いか、色も含めて2人で真剣に選んだっけ。
ROCKHURRAHが購入してくれて、大事使っているところだよ!

2019年10月に「ROCKHURRAH紋章学 ウォーター・ボトル編」としてオシャレな水のペットボトルについて書いたことを思い出し、今回はグラスをテーマにしようと考えた。
SNAKEPIPEの好みで選んでいるので、多少偏っているかもね?(笑)

最初に紹介するのはモロッコのグラスね!
ROCKHURRAH RECORDSの新事務所で、この色味に近いブルーをアクセントに使用しているせいか、つい反応してしまうよ。
ちなみにこのグラスの説明では、イートンブルーの背景にムーア柄があしらわれている、とされている。
SNAKEPIPEは、イートンブルーって初めて聞くけどメジャーなのかな?
どうやらイギリスのイートン校で採用されていることから、この名前になっているんだとか?
またの名をシェルダックブルー、そしてケンブリッジ大学が使用するケンブリッジブルーにも似ているって説明もあったよ。(笑)
グラスの話に戻ると、グラスは6個セットで$89.95、約13,000円だって。
ハンドメイドと聞くと、益々気になるよね!

アンティーク物も気になるんだよね!
こちらは詳しい説明があまり載っていなかったアール・デコ調の黒いグラス。
カッティングの模様と「ペデスタルベース(台座)」がオシャレなんだよね!
高さが約15センチ、傷や損傷のない商品だという。
1個4,500円だったらお値打ちかも?
黒いグラスがとても気に入ったので、日本への配送可能か聞いてみようかな!(笑)

1910年代から1930年代に流行したアール・デコは、建築や家具などの工芸だけではなく、美術やファッションにまで影響を与えた様式だよね。
日本では大正時代が、まさにアール・デコのブームと重なるのかな?
先日、大阪に残る大正時代の近代建築を特集する番組を観たせいか、アール・デコ調のグラスも気になってしまうSNAKEPIPE。
シンプルだけれど優雅なアール・デコには、精神的な余裕を感じるよ。
紹介するのは、現在製造販売されている商品で、ドレープ状のラインが入った表面と台座のゴールドが印象的なグラス!
自宅でカクテルを楽しむことを目的にしているんだとか。
画像の中で一番小さいグラスが約350ml用で、2個セットで$37.99、日本円で約5,500円とのこと。
$60以上の買い物で送料無料というのも良いね!(笑)

最後はこちら。
1920年代ドイツ製のカクテル・グラスだよ!
持ち手部分がヌードの女性になっているのがポイント。
このグラスもアール・デコ様式なんだよね。(笑)
グラスの色や女性のポーズに種類があるので、いくつか揃えてみるのも面白そう。
レトロな雰囲気のバーに似合いそうじゃない?
気になるお値段は、1個$160、約23,000円だって。
SNAKEPIPEがいつかバーを経営した時に、購入してみよう。(笑)

合理的でシンプルな大量生産に向いたデザインといえば、真っ先にバウハウスを思い浮かべるけれど、機能主義的なアプローチを強調したアール・デコにも共通点がみられるよね。
どちらも現代のプロダクトデザインの基!
これからも探求していきたいところだね。
現在ポーラ美術館で開催されている「モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン」がドンピシャの企画なんだよね。
箱根、行ってみたいなあ。(笑)

ROCKHURRAH紋章学 タイル・デザイン ヨーロッパ・南米編

【ポルトガルのViúva Lamegoの動画。ブルーのタイルが美しいね!】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAH紋章学 タイル・デザイン アジア編」では、中国、シンガポール、インドと日本のタイルについて特集した。
今回は「ヨーロッパ・南米編」を書いてみよう。

まずは東ヨーロッパのロシアから。
ロシアには惚れ惚れしてしまうような美しい建造物がたくさんあるんだよね。
今回紹介するのは、モスクワのクレムリン内にあるテレムノイ宮殿
世界遺産に登録されて、観光地になっているというから一度訪れてみたい場所だよ。
17世紀にはロシア皇帝の邸宅だったというだけあって、外装も内装も素晴らしい!
SNAKEPIPEが選んだ画像は、タイル張りのストーブだって。
ロシアでストーブといえばペチカを思い浮かべるけど、このストーブは形状が違うみたいだよね?
赤を基調にシンメトリーの図柄が見事な出来栄え!
後ろの壁も赤で統一されて、アール・ヌーボー調の流れるような蔓も豪華だよね。
他の内部画像では、アジア風の装飾もあって、アジアやアラブ、ヨーロッパのミクスチャーのようで面白いよ。
ロシア文化はもう少し調べてみたいね。

次はスペイン。
満場一致でガウディに決定だよね!
画像は1882年から工事が始まり、2026年完成予定とされているサグラダ・ファミリア
完成しない建築と認識していたので、このまま完成しないで欲しいと思ってしまうのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
それにしてもいつの間にガウディの名前が「アントニオ」から「アントニ」になったのか?
どうやらスペイン語表記と出身地であるカタルーニャでの表記が違うためみたいね。
グネグネした曲線と丁寧に貼り付けられたモザイク・タイルはガウディの代名詞だよね!
実物を目の前にしたら失神するかもしれない。(笑)

スペインの隣国であるポルトガルといえば、アズレージョを思い浮かべるよ。
青一色のタイルが特徴だと思っていたら、多彩色アズレージョもあるみたいね?
Wikipediaにある「ポルトガル人たちは、ムーア人のhorror vacui (あいた空間の恐怖)の伝統を引き継ぎ、壁をアズレージョで完全に覆い隠した」という部分が非常に興味深い。
間を厭う民族と、日本画のように間を含んだ構図を好む日本人との違いがハッキリしたからね。
2015年11月に「SNAKEPIPE MUSEUM #35 Adriana Varejão 」として、ブラジル人アーティストであるアドリアナ・ヴァレジョンを特集したことを思い出した。
アズレージョを使ったアートを展開しているアドリアナだけど、作品には多くの間があったような?(笑)
現代に「あいた空間の恐怖」は存在しないのかもしれないね。

ブラジルが出たので、中南米のメキシコも紹介しよう。
メキシコのタイルを画像検索すると、急に視界がくっきりする。
色合いが濃い、派手目のタイルはSNAKEPIPEの好みだよ!
メキシコでは外装よりも内装にタイルを使用することが多いようで、検索すると室内の画像が多く出てくる。
使用した画像は洗面所で、洗面器の柄までタイルと揃っていて印象的だよね。
歯磨きするのが楽しくなりそう。(笑)

今回はロシア、スペイン、ポルトガル、メキシコの4ヶ国を紹介してみたよ。
残り1回のタイル特集をお楽しみに!

ROCKHURRAH紋章学 タイル・デザイン アジア編

20230122 top
【シンガポールにあるPeranakan Tiles Gallery。どれにしようか迷いそう!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のROCKHURRAH紋章学は、タイル・デザインを特集してみよう。
世界には様々なタイルがあるので、地域別のシリーズにする予定だよ!
タイル生産と消費が世界全体の約半分を占める中国から書いてみようか。

INAXのサイトによれば、中国で紀元前200年から紀元200年までの間に鳳凰や文字のタイルが作られていたという。
始皇帝陵の兵馬俑は紀元前246年から紀元前208年にかけて制作されたとすれば、タイルが作られていても不思議じゃないよね。(笑)

中国といえば龍、ドラゴンのイメージが強いよね!
画像は紫禁城の九龍壁、瑠璃タイルで1772年に制作されているという。
日本は江戸時代の中期から後期にかかる辺りだね。
かなり立体的な仕上がりで、迫力あるよ。
中国には3大九龍壁があるらしいけれど、どうやら横浜中華街にも北京で制作された九龍壁があるらしいので、一度観てみたいね!

続いても中国、北京にある天壇のタイルね。
天壇とは、1420年に皇帝が祭祀を行った宗教的な施設とのこと。
英語にすると「The Temple of Heaven」で、画像は祈年殿という北京のシンボル的な存在なんだとか。
1998年に世界遺産に登録されているというから、皆様ご存知の有名な建物なんだろうね?(笑)
タイルがとても美しいよ!

次はシンガポールのプラナカン様式のタイルね。
プラナカンとは欧米列強による統治下にあった東南アジアの各地域に、15世紀後半から数世紀にわたって移住してきたマレーシアに根付いた主に中華系移民の末裔を指すという。(Wikipediaより)
ドアが西部劇に出てくるような低い位置にあって、飲食店を営んでいるのかもしれないね。
ピンクドラゴンを連想する50’sなペパーミントグリーンとタイル、そして上に掲げられた漢字の看板がミスマッチで、レトロな雰囲気だよね。
タイルの使い方がオシャレなので、いつか自宅を飾る時の参考にしたいね!

カラフルでエスニックなタイルが敷き詰められている。
これはインドのアサングディ・タイルで、ガラス加工された表面に手作業でプレスして作られているらしい。
色鮮やかな見た目だけではなく、夏は冷房効果があり、冬には保温効果があるとのこと。
更に関節の痛みを防ぐというから健康面での利点もあるんだね!
いつかこんな素敵な床で、リングフィットアドベンチャーやってみたいよ。(笑)

最後に登場してもらうのは、我らが大竹伸朗!(笑)
直島銭湯「I♥湯」は、実際に入浴できるアート作品だという。
日本でタイルといえば、銭湯の富士山を真っ先に思い出す。
「I♥湯」のタイルは海中の様子が描かれているみたいだね。
湯船の下のタイル画も気になるところ。
内装から外装にいたる全てに大竹伸朗の世界を体感できるというから、一度行ってみたいよね!

地域別にタイルを紹介する企画と大見得を切ってきたけれど、中国、シンガポール、インド、日本の4ヶ国しか書けなかったね。
次回はどんな記事になるだろう。
楽しみにしていてね!(笑)