妖怪に用かい?(とほほ)

【ファンなら一度は扮装してみたい?水木しげる役の京極夏彦】

SNAKEPIPE WROTE:

この1週間で3冊の本を読破してしまった。
これは読むのが速いSNAKEPIPEにしても異例中の異例!
それ程までに熱中した、ということである。

今まで勝手に「怪奇現象を扱う禍々しい本に違いない」と解釈し、恐れていた作家。
京極夏彦の本である。
実はROCKHURRAHから随分前に薦められていたにもかかわらず、首を縦に振るのを嫌がっていたためだ。
食わず嫌いならぬ、読まず嫌いである。
子供時代に大ファンだった漫画は「ゲゲゲの鬼太郎」で「黄色と黒のちゃんちゃんこ」を母親に手作りしてもらった過去を持つSNAKEPIPEが、怪奇現象怖いというのは本来ヘンなのだ。
そして実際読み始めると止まらない!面白かったのである。

まず一番初めに読んだのは京極堂シリーズ2作目にあたる「魍魎の匣」だった。
恐る恐る手に取ったけれど、幻想小説の書き出し部分から始まる本作はかつて夢中になって読んでいた江戸川乱歩とか夢野久作の世界と似た雰囲気を持っていた。
そこにスパイスとして妖怪が加わる。水木しげるである。
あらすじみたいなものは省略するけれど、「鏡地獄」「押絵と旅する男」「人でなしの恋」が混ざったような、なんとも変質狂的な人物が登場したり。
そして根幹にはDNA。

主役(?)の京極堂が偏屈古本屋かと思いきや喋る、喋る!
「憑き物落とし」という名の下に事件を解決していくのだが、、、。
その解決に至る道筋を読み進めていくと
「んな、馬鹿な!」
「偶然が重なり過ぎ!」
などと声を出してしまうSNAKEPIPE。
余りにも京極堂が鮮やかにとんとん話をして、推理が当たっていくので追いつくのに精一杯になってしまう。
ちょっと悔しい思いをしながらも、やっぱり事件の行方を知りたくて活字を追っかける。

京極堂をとりまく友人達も魅力的だ。
うつ病の作家、他人の過去が見えるおマヌケ探偵、繊細な一面を持つ鬼刑事、のんきな釣堀屋、京極堂の利発な妹、そしてSNAKEPIPE大のお気に入りは三度の飯より解剖が好きという外科医だ。
それぞれがきちんと役柄を設定されているので、登場人物が増えても混乱しない。
なかなか面白いメンバー構成である。

続いて読んだのが「姑獲鳥の夏」。
本来であれば、これが京極堂シリーズ1作目なので最初に読むべきだったのだろう。
「魍魎の匣 」で京極堂の口調やら友人達に慣れてきていたので、こちらもするすると読んでしまった。
怪談めいた話も京極堂にかかると(一応)理路整然と片付いてしまうのが面白い。
そして読後、この本の映画版を観てしまうのだ。
映画化されていると知り、一体どんな配役になっているのか興味があったためROCKHURRAHに調べてもらった。
そうするとなんとも簡単にYou Tubeで13パーツに分けられた「ubume no natsu」を発見!
中国語の字幕付きなので、海賊版かもしれない。
小さい画面だけれど雰囲気を知るのにはいいか、と椅子を並べてROCKHURRAHと鑑賞。

説明不足、描写不足、演技不足、とまあすべてに「不足」を感じる映画だった。
SNAKEPIPEは原作読んだ後すぐに観たため、まだ理解できたけれど、何年も前に読んでいたROCKHURRAHは「意味解らない」と言っていた。
長い原作を2時間程度に収めるのは大変だろうけれど、ちょっと足りないなあ。
しかも配役が、、、。
京極堂役、まあまあ。悪くない、という程度か。
でも黒装束、黒じゃないじゃん!と突っ込みをいれる。(紫色に見える)
これはばっちり!と手を叩いて喜んだのは例の外科医、里村役の役者さん。
その俳優さん、SNAKEPIPEは初見なのだが、ものすごくいい線いってる!
母親役の「いしだあゆみ」も原作と違わない雰囲気で良かったな。
「水木しげる」役として原作にはない設定で京極夏彦自身が出演していたのには笑ってしまった。
残りはすべて散々だったので、これ以上の酷評は控えようかな。(笑)

そして京極堂シリーズ3作目の「狂骨の夢」を読んだ。
今度は宗教や精神分析が加わって、とてもお勉強になる本である。
高校時代にフロイト全集を読んで興味津々だった分野なので、「おさらい」をするような気分で読み進めていった。
また「偶然が重なり過ぎ!」だとは思ったけれど、これもまたユングの言う共時性(シンクロニシティ)だよね、として納得することにした。

まだまだ京極堂シリーズは続きがあるようなので、また読んでみたいと思う。
「読まず嫌い」の作家、まだ他にもいるかもしれないなあ。
毒見してから判断することを心に誓ったSNAKEPIPEであった。

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