映画「エンドレス・ポエトリー」公開記念 特別企画 鑑賞

【「エンドレス・ポエトリー」のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

2017年後半はROCKHURRAH RECORDSにとって大事なイベント満載の年なのである。
8月から放映が開始したデヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス The Return」を皮切りに、10月27日より公開されている「ブレードランナー2049」、そして大トリは11月18日に公開が決定しているアレハンドロ・ホドロフスキー監督の新作「エンドレス・ポエトリー」!
恐らくSNAKEPIPEと同じように「うひうひ」の人多いんじゃないかな?
「ツイン・ピークス」は25年、「ブレードランナー」は35年という月日が経っての続編なので、待ち望んでいるファンというのは、当然中高年が大半だろうけど。(笑)
「ブレードランナー2049」は近いうちに鑑賞するので、その後ブログにまとめる予定である。
「ツイン・ピークスThe Return」も後半に入ってきて、だんだん話が繋がってきている。
最終章の放映予定は12月1日なので、ブログにまとめるのはそれより後だね。

そしてホドロフスキーの新作公開である11月18日を待たず「公開記念」として、映画の撮影メイキングやインタビュー映像を上映する企画があるよ、と教えてくれたのは長年来の友人Mだった。 
渋谷にある「アツコバルー」 は、2014年9月にも「二人のホドロフスキー 愛の結晶展 鑑賞」として記事にまとめたことがあるギャラリー。
アレハンドロ・ホドロフスキーも会場に足を運んだ、という話も聞いたっけ。
今回もドローイングの展示・販売を行い、更に動画を上映しているという。
11月5日までという日にちが迫った中で、なんとか友人Mと日程調整し、 会場に向かったのである。

「アツコバルー」は入り口で靴を脱いで、靴下のまま展示会場を歩くという認識だったので、友人MもSNAKEPIPEも脱ぎ履きしやすい靴を選んで行ったのに!
なんと床を張り替えたとのことで、土足オッケーに変わっていたことに衝撃を受ける。
2016年7月に「エロトピア・ジャパン」を鑑賞した時には靴脱いでたよね?
一体何時の間に…。(笑)
脱がないで済むほうが楽なので、良かったね!
会場は撮影もオッケーとのこと。
これも良いね!

今回の「アツコバルー」は塙将良というアーティストの作品も展示されていて、会場の入り口から近い最初の展示として鑑賞することになる。
かなりどぎつい色彩に目を奪われてしまう。
勝手に命名させて頂くなら「土偶meetsサイケデリック」って感じかな?(笑)
塙将良って人、初めて。
ちょっと調べてみようか。
1981年茨城県生まれ、ということは、現在35歳くらい?
美大を卒業したのではなく、水戸美容専門学校卒業というので美容師さん志望だったのかな。
アート系のアカデミックな教育を受けていないのかもしれないね?
気になるのは、2009年に鳥取県境港市認定妖怪博士に就任しているところ。
これは一体なんだろうか?

「境港妖怪検定」は、妖怪の権威・水木しげる先生の妖怪考察を通じて高めた妖怪に対する知識を、「妖怪博士」として公式に認定するご当地検定。 

残念ながら国家資格ではないようだけど、「ゲゲゲの鬼太郎」ファンのSNAKEPIPEにとっても、興味のある検定だよ。
サイトには初級と中級のサンプル試験問題まで準備されていて、見ているだけでも面白かった。
京極夏彦は上級の妖怪博士になってるかなあ? (笑)
塙将良の作品を観て「縄文」を感じたSNAKEPIPEだけど、もしかしたら「妖怪」だったのかもしれないね。
そして2009年から個展を開いているようなので、精力的に活動しているアーティストみたい。

土着的な雰囲気と強烈な色彩の洪水は、めまいを起こしそうになるほどエキセントリックだった。
ブログと題されたHPで初期の頃からの作品を観ることができるけれど、土偶(もしくは妖怪)らしき本体(?)の周りにあった隙間(空間)がどんどんなくなって、現在のようなサイケデリックに変化していく様子が興味深い。
映画「薔薇の葬列」の中に出てきた展覧会に、似た雰囲気の絵があったことを思い出す。
あの絵はモノクロームだったけどね。
そう考えるとやっぱり60年代のサイケデリック・アートが近いのかもしれないな。

立体作品も面白かった。
こちらのほうがまさに「縄文時代」って感じだったからね。
妖怪と土偶のハイブリッド!(笑)
右に小さく載せたのが、本物の土偶だけど、雰囲気近いよね?
値段の表示があり、販売をしている。
72000や100000と書いてあるので72,000円とか100,000円なんだろうね。
ちょっと無理をすれば手が出せる金額だけど、この立体作品が似合う部屋ってどんな部屋だろう。
1体でも部屋の印象が変わってしまうほどインパクトがあるからね。
岡本太郎が観たら、どんな感想を持つだろう。
SNAKEPIPEと同じように縄文を感じることができるだろうか?

もう一つの会場では2014年に「2人のホドロフスキー」として展示されていたドローイングを再び鑑賞する。
色がとてもキレイなんだよね。
じっと観ていると、意味を考えたくなる絵。
販売をしていたけれど、さすがにこれは買えないなあ。
せめて画集があったら欲しいんだけどね。
大きなスクリーンに「エンドレス・ポエトリー」のメイキング映像が流れている。
ドローイングを鑑賞しているうちに、ホドロフスキーのメッセージ動画が始まった。

私はもう88歳で、死にかけている。
間もなく肉体は滅びる。

私は映画で、多くの観客を惑わせるのではなく、自覚させたい。
芸術は人に向かって扉を開き、その中に人は自己を見出す。

インターネットで検索すると出てくるのがこれらの言葉である。
メッセージ動画からの抜粋なんだろうね。
「死にかけている」なんて聞くと涙が出そうなくらい切なくなるけれど、実際88歳だからね。
メッセージ動画の中でも「100歳まで生きたとしても12年しかない」と言うホドロフスキー。

映画と芸術、そして人生についてのホドロフスキーからのメッセージは貴重で力強いものだった。

多少記憶違いはあると思うけど、気になった言葉を備忘録として断片的に書いていこう。
・ふりをする
「良い人のふりをする」「良い父親のふりをする」というように、「演じている」といつの間にか、それが真実の姿になっていく、と言う。
SNAKEPIPEはどんな人物を演じていこうか、考えてしまった。(笑)

・人生について強く願う(念じる)こと
念じる、という力については例えば「なりたい自分になるため」なんてハウツー本にありそうな言葉だけど、周波数を合わせて回路を開く作用があると思うので、念じることや強く願うことの有効性は理解できる。
昔よくこの手の本を読んだなあ。

・動物と人間の違いは芸術を理解できるかどうか
人間として生きるには芸術が必要ということは、SNAKEPIPEが子供の頃から聞かされていた言葉だったので、同じセリフを聞いたな、という感想を持った。

・芸術を理解しないで良いなら3D映画でも観て喜んでいればいい
「3D映画」というのはアメリカのハリウッドに対しての批判だと思う。
これは敬愛する映画監督デヴィッド・リンチも全く同じことを言っていて、断筆宣言ならぬ断映(写?)宣言までしちゃってるくらいだからね。
今回のホドロフスキーは寄付を募って映画を完成させているので、リンチもこの方法で映画が撮れるかもしれないよね?
結局商業主義で興行ランキングだけで、映画の良し悪しを決定している映画界にNOを突きつけているわけだからね。
アート作品としての映画が撮影できる環境(資金)が整えば、また映画の世界に戻ってきてくれるのではないか、と期待しているSNAKEPIPEなのである。 

このメッセージ動画、「エンドレス・ポエトリー」のDVD販売の時に特典映像で入れて欲しいな。
ホドロフスキーの芸術に対する信念は、これからのSNAKEPIPEの人生に大きな影響を与えてくれそうだ。
座右の銘ならぬ、座右の動画になりそうだよ。(笑)
そしてホドロフスキーにはまだまだ作品を作って欲しい!
まずは来月公開の「エンドレス・ポエトリー」鑑賞が楽しみだ。 

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