SNAKEPIPE MUSEUM #14 Harry Clarke

【ハリー・クラークによるエドガー・アラン・ポーの挿絵】

SNAKEPIPE WROTE:

昔からの好みはそうそう変わるものじゃないようだ。
「三つ子の魂百まで」の例えもあるように、恐らくSNAKEPIPEが3歳の頃から好きな物や傾向は変化していないように思う。
陽よりは陰、明よりは暗、メジャーよりはマイナーといった具合である。
「誰からも好かれる人になろう」と努力する人物像よりも「少数でも解ってくれる人がいれば良い」と自分の好きなことを追求するようなタイプに好感を持つことが多い。
100人中100人から好かれる人なんて、逆にウソっぽいよね?(笑)

アートの分野の好みも上述したのとほぼ同じである。
明るく爽やかなものよりも、ダークでちょっと恐怖を感じるような迫力があるアートが好みである。
きっとこのブログを読んで頂いている皆様はとっくにご存知だと思うけれど、鑑賞したいと思う展覧会にも、購入する画集や写真集にもその傾向が顕著だ。
「好きな人は好き」な世界なので、同じ嗜好を持つ友人との会話は大いに弾むけれど、逆の好みの方とは全く話が噛み合わないんだよね。
恐らく今回ご紹介する画家、ハリー・クラークも好みが分かれそうなアーティストだと思う。

ハリー・クラークは1889年アイルランド生まれのステンドグラス作家、挿話画家である。
ステンドグラス作家としての腕前はもちろんだけれど、SNAKEPIPEが注目したいのは画家としての活躍のほうである。
1920年代エドガー・アラン・ポー「ポオ怪奇小説集」にハリー・クラークが挿話画を描き、名声を得ることになる。

おお!憧れの1920年代!
やっぱりこの時代は革新的な出来事が多いんだよねー!
SNAKEPIPEは江戸川乱歩の作品は大ファンだから色々読んでるけど、その元(?)となるエドガー・アラン・ポーって実はほとんど読んだことないんだよね。
多分代表作の「黄金虫」と「黒猫」あたりをものすごく昔に読んだうっすらとした記憶が…。(遠い目)
今更ながら調べてみて、タイトルに「怪奇小説」なんて書かれると興味が湧いてくるよね!
ROCKHURRAHに話すと
「前に怪奇小説集だったら持ってたよ!」
とかる~く答えられてしまった。
持っていたとは、さすがROCKHURRAH!(笑)
今は所持していないようなので、今度探してみるかな。

ハリー・クラークの挿絵、とっても素晴らしいよね!
物語について知らなくても、上の絵を観ても物語が浮かんでくる感じ。
丸尾末広や以前ご紹介したトマー・ハヌカっぽい雰囲気もあるよね。
時代が古いのはハリー・クラークだから、丸尾末広やハヌカよりずっと先輩だったか!(笑)

ステンドグラス職人としての仕事も続けながら描いていたようで、死因はステンドグラス生産に使用される有毒化学物質による結核だったようである。
なんとも残念な享年41歳。若過ぎるよね。

時代は違うけど、先日版画を鑑賞したウィリアム・ブレイクもイギリスの画家だし、
ハリー・クラークよりちょっと前の時代に活躍したオーブリー・ビアズリーもイギリス人。
ビアズリーはアールヌーヴォーの代表的な存在で、やっぱり短命だった画家。
ポーやオスカー・ワイルド作品の挿絵を担当していたことや、結核で命を落としている点もハリー・クラークと同じなんだよね。
左の絵はビアズリーの作品なんだけど、アールヌーヴォーらしく植物の蔦を思わせる曲線的な縁取りが特徴的だよね!
ハリー・クラークはアールヌーヴォーとアールデコの両方から影響を受けていると書いてあるけれど、ビアズリーと比較してみるとその作品はイラストっぽい幻想画だなと感じるけど、どうだろう?
アールヌーヴォーよりも淫靡で毒のあるゴシックな雰囲気があるように感じるからね!(笑)

ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも憧れの時代の一つとして1920年代を挙げてしまう。
シュールレアリズム、バウハウスなどアート界での革新的な運動が起こったのはこの時代だからね。
この時代のパリやドイツはどんなにエキサイティングだったか!と想像するだけでワクワクしちゃうよね。
そしてイギリスでもやっぱりこんなに素敵な画家が活躍していたんだな、ということを知り、改めて1920年代の魅力を感じたSNAKEPIPEである。
きっとまだまだ知らないアーティストたくさんいるんだろうね。
また調べて新たなワクワクを経験したいと思う。

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