開校100年 きたれ、バウハウス 鑑賞

20200719 top
【東京ステーションギャラリーに向かう階段を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

制限付きではあるけれど展覧会が開催されるようになってきた。
東京は感染が拡大しているので、より一層用心する必要があるけれど、情報を知った瞬間に「あっ!」と声を上げてしまったSNAKEPIPE。
それは東京ステーションギャラリー で、7月17日から開催される「開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎―」なんだよね!
今まで当ブログでは何度も登場しているバウハウス。
2018年7月に書いた「好き好きアーツ!#51 世界アート(仮)探訪 2」の中で「バウハウス博物館」を紹介しているね。
そこでバウハウスについて説明しているので、転記してみよう。

1919年、建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長としてスタートした学校「バウハウス」。
工芸・美術・写真・建築・デザインなどの総合的な教育機関だった。
1933年にナチス・ドイツにより閉鎖されるまで、合理的で機能主義的なアートを模索する。
現代にまで強い影響を与える活動をしたのが「バウハウス」なのである。

簡潔で分かりやすい文章だね。(笑)
バウハウスは憧れの学校なので「バウハウス博物館」には死ぬまでに行きたい、とまで書いていたよ。

今回の展覧会は、設立されてから100年経った2020年にバウハウスを特集するという、と企画なんだね。
バウハウスと聞けば居ても立ってもいられないROCKHURRAH RECORDS。
東京ステーションギャラリーでは完全予約制でのチケット販売とのことなので、早速日付を決めてチケットを手にしたのである。

雨が強まったり弱まったりしながら降り続いている。
SNAKEPIPEには長靴を履いて、降りたたみではなく、長い傘を持った時には帰りは晴れるというジンクスがある。
行きでは真っ当な服装に見えるんだけど、帰りはちょっと恥ずかしい感じね。(笑)
そのためなるべく折りたたみ傘を使用し、 長靴を履く時には細心の注意を払うことにしている。(大げさ)
東京ステーションギャラリーは東京駅構内にあるので、そこまで大きな傘は必要ないと判断。
防水のブーツで出かけたのである。

前回東京ステーションギャラリーに行ったのは、2019年8月の「メスキータ展」だった。
メスキータの作品の素晴らしさはもちろんのこと、ギャラリーが東京駅のレンガを使用した壁だったのも印象的だったことを思い出す。
残念だったのは、撮影許可がなされていなかったこと。
その経験から、恐らく今回も同様だろうと予想していた通り、撮影可能なポイントは2箇所のみ!
作品の著作権の問題があるのは理解できるけれど、もう少し緩めてくれても良いのに、と思ってしまう。

チケットは日付の他に時間の指定まであるので、そこまで多くのお客さんがいないのかと思いきや。
メスキータを鑑賞した時と、さほど違いのない観客数だったのが意外だよ。
ソーシャルディスタンスがきちんと守られているとは言い切れない環境だったんじゃないかな?
それでもなるべく人と離れるように鑑賞をしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
早速感想を書いていこう!

「バウハウス展」は5つのチャプターで構成されていた。

I 学校としてのバウハウス

1919年に建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長として設立されたバウハウスの授業内容を表した図のようだね。
この図だけでもオシャレに見えてしまうよ。(笑)
VORLEHRE  講義
NATURSTUDIUM  自然を学ぶ
LEHRE VON DEN STOFFEN  ファブリックから教える
MATERIAL UND WERKZEUGLEHRE  材料や工具
翻訳してみたけど、合ってるのかな?
バウハウスのバウとは建築のことだという。
松村邦洋のネタ「バウバウ」は全く関係ないってことね!(古い!)

II  バウハウスの教育

バウハウスには、錚々たるアーティストが教師として講義を行っていたんだよね。
モホリ=ナギやパウル・クレー、カンディンスキーなどが教鞭をとるなんて、まさに垂涎モノじゃない?
ちなみに展覧会ではモホイ=ナジと表記されていたけれど、SNAKEPIPEは昔覚えた通りにモホリ=ナギと書くことにしよう。
このチャプターでは、アーティストの授業に臨んだ学生の作品が展示されていたよ。
画像のように、一枚の紙から建築物のような立体を作り上げている作品。
独創的なカッティングでバランスを取って、ちゃんと立ってるんだもんね!
とても驚いたよ。

III 工房教育と成果

バウハウスは建築という外側だけじゃなくて、内装に当たる部分も学んでいたんだよね。
3章では椅子やティーポットなどの工芸品が展示されていたよ。
画像は会場出口付近に置かれていた、撮影可能エリアの椅子。
マルセル・ブロイヤーのワシリーチェアとミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアだって。
万が一壊したり汚したりしたら、と想像してしまい怖くて座れなかったよ。(笑)

広告に関する展示もされていたね。
家具やランプなども素敵だけれど、ROCKHURRAH RECORDSが最も目を輝かせるのは、紙媒体の作品みたいだね。
タイポグラフィやコンポジションのカッコ良さったら!
画像は1章に展示されていた、パウル・クレーの教科書だと思うけど、シンプルなのに印象的だよね。
このような構成は、まるで日本画のようだと以前書いたけれど、空間の使い方が独特だと感じるよ。
バランス感覚が素晴らしいんだよね!

「三つ組のバレエ」という動画も流れていたね。
上映時間30分だというので少しだけ観たよ。
ご丁寧に「インターネットでも鑑賞できます」と書いてあったので、ROCKHURRAHが調べてくれたよ。

1970年の作品とのこと。
随所にバウハウスらしい円形の回転が見られるよね。
30分あるので、時間に余裕がある時に鑑賞してみよう。
バウハウスで映像作品や舞台装置を制作していたとは知らなかったよ。

IV  「総合」の位相

ここではやっぱりモホリ=ナギの作品展示が嬉しかったね。
2011年9月にDIC川村記念美術館で鑑賞した「モホイ=ナジ/イン・モーション」にも展示されていたけれど、やっぱり好きな作品は何度観ても良いものだね!
モホリ=ナギの映像作品も非常にカッコ良いので、載せておこう。

「光の戯れ 黒 白 灰色」という1930年の作品。
ROCKHURRAHと共に映像に見入ってしまう。
「光の戯れ」というよりは「影の戯れ」が合っているような?
映像でも構成美を追求しているモホリ=ナギ、やっぱり好きだ!(笑)

V バウハウスの日本人学生

最終章ではバウハウスに在籍していた日本人の作品を紹介していたよ。 
1920年代に勉強のためにドイツに留学できるなんて、勇気と度胸とお金があったんだろうね。
羨ましいと思う反面、一歩足を踏み出すことができるのかと自問してしまう。
憧れの20年代をヨーロッパで過ごしたら、その後はどんな人生を歩んだんだろう。
山脇夫妻は夫婦で留学してたというので、きっと楽しかっただろうね。
奥様である道子さんの本が面白そうなので、読んでみたいな!

鑑賞し終わって、ミュージアムショップに行く。
大抵の場合は、展覧会で紹介されていた作品のクリアファイルやノートなど、どこに行っても特に代わり映えのしない商品が陳列されていることが多い。
ところが!
今回はROCKHURRAHと鼻息が荒くなってしまった。
Tシャツである。
言葉を発する間もなく、すでに手に取っていたSNAKEPIPE。
シュミットのポスターはバウハウスを象徴するデザインだからね!
ROCKHURRAHはヘルベルト・バイヤーの作品がプリントされた黒いTシャツをセレクト。
なんとSNAKEPIPEのTシャツ、プレゼントしてくれるって!
やったー!ありがとう、ROCKHURRAH!(笑)

バウハウスの展覧会を知り、喜び勇んで出かけたけれど、少々不満が残る結果だったことも加えておこう。
展覧会のサイトで「こんな作品が展示されます」と数点が紹介されているけれど、そのほとんどが「ミサワホーム所蔵」なんだよね。
まさか展覧会では違うよね、と思っていたのに、ほぼ9割程度が「ミサワホーム」の所蔵品。
他は国立近代美術館などで、どちらにしても日本に存在しているバウハウス作品を集めてみたよ!という展覧会だったんだよね。
そして撮影可能なのは、前に載せた椅子2脚と、誰の作品でもない「色のある影」を実感する展示のみ。
手がSNAKEPIPEで、撮影がROCKHURRAHの、この画像ね。
日本の所蔵品だったら、もう少し撮影可能領域を広げて欲しかったな。
それが少し残念だった。

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