ROCKHURRAH RECORDS残暑見舞い2021

2021summer
【コロナに負けるな、という思いをオリエンタルに表現してみました】

SNAKEPIPE WROTE: 

8月も後半に入り、今年も残暑見舞いの時期になったね。
ROCKHURRAH制作のアジア風ポストカード、ギラギラ光る太陽がモザイク調にデザインされていてナイス!
清涼感はあまり感じられないかな?(笑)

年賀状と暑中(残暑)見舞は恒例として毎年制作しているけれど、今年は家族に不幸があったため、次のポストカード制作は1年後になるよ。
年賀状を楽しみにしてくれている皆様、再来年までお待ち下さい!

ROCKHURRAH RECORDSの二人は、無事にワクチン接種2回を終えて少しだけ安心しているところ。
情報通り、腕の痛みや倦怠感、発熱があったけれど、予想していたより副反応はひどくなかったよ!
これでもう大丈夫とは言い切れないけれど、ひとまず無事に終わって良かった。

まだまだ暑い日が続くので、体調管理気をつけて過ごしていこうね!

映画の殿 第45号 Netflixドラマ編 part3

20210815 top
【蘇る数々の名シーン。個性的な役者さんがたくさんいるよね!】

SNAKEPIPE WROTE: 

2021年5月に書いた「映画の殿 第44号 Netflixドラマ編 part2」 の後から、今まで鑑賞したドラマについてまとめていこう。
タイトルにあるようにNetflixで観られるドラマ限定でね!
今回もまた韓国ドラマだけになってしまったよ。
現在ROCKHURRAH RECORDSは韓流ブームなんだよね。(笑)

韓国ドラマ、と検索すると必ずオススメ上位にランクインするのが「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」 。
2016年に韓国で、日本では2017年に放映されたドラマなので、今から5年程前の作品ということになるんだね。
実はあまりROCKHURRAH RECORDSらしくないかも、と思いながら観始めたんだっけ。(笑)
予告映像を載せておこうかな。 

あらすじはこちら。

幽霊が見える女子高生チ・ウンタクは幼いころ母を失い、意地悪な叔母とその息子・娘のもとで暮らしていた。
ところがある日”トッケビ”と出会い、自らが”トッケビの花嫁”であることを知る。
トッケビは一千年の昔、謀反の冤罪で処刑された武将キム・シンが神の悪戯で、処刑に使われた剣を胸に刺したまま現世に留まっているのだった。
この世界でただひとり、トッケビの花嫁だけがその剣を抜くことができるのだが、それはトッケビがこの世から消えることを意味する。(Wikipediaより)

900年以上生きている主人公トッケビと女子高生との恋愛モノと言ってしまえば簡単だけど、そこはさすがにドラマ。
様々な要素が含まれているんだよね。
このドラマのファンという友人Cさんは、トッケビのロケ地であるカナダに行きたかった!と話した。
「せつないラブ・ストーリー」には、多くの女性が胸キュンしたことだろうね。(笑)
一番印象的だったのは、音楽かな。
イントロだけで「あ、トッケビだ」と分かる、この曲は強く耳に残っているよ。 

「鬼」を意味するトッケビ以外に、死神が登場し、幽霊達が会話している超常現象的な設定なのに、笑いもあって楽しめたよ。
SNAKEPIPEは、トッケビに宝くじの当選番号教えてもらいたいな!(笑)

続いてのドラマ「コーヒープリンス1号店」にもトッケビを演じたコン・ユが登場するんだよね。
「トッケビ」と時期が重なっていたので、まさに「コン・ユ祭り」状態!(笑)
たまたまだったけれど、ものすごいファンみたいだよね。
「コーヒープリンス1号店」は2007年に放映されていたというので、今から14年も前のドラマとは!

コ・ウンチャンは亡くなった父の代わりに家計を支える勤労少女。
それなのに失業。
ある日知り合った御曹司ハンギョルに男と思い込まれ、イケメンしか雇わないカフェ「コーヒープリンス」に採用され、男のフリをし続けることになる。(Wikipediaより)

女の子が男のフリをしているというのは、漫画などで読んだことがある設定かもしれないよね。
「コーヒープリンス」でウンチャンを演じているユン・ウネが、本当に男にしか見えないような食べっぷりやがさつな演技を見せるところに驚いた。
この先ユン・ウネは、女として、女優として大丈夫か?と心配するほど。(笑)
さすがに昔のドラマだけあって、途中で中だるみしていたのは仕方ないのかな?
コン・ユの従兄弟として、「マイ・ディア・ミスター」でドンフンを演じていたイ・ソンギュンが出演していたところにも注目していたよ。
イ・ソンギュンが若いの!(笑)

続いては、友人Mから強力に勧められた「ミスティ」。
2018年に放映されていたドラマだというので、今から3年前になるんだね。
主演のコ・ヘランを演じたキム・ナムジュの美しさとカッコ良さに惚れ惚れしながら鑑賞したものよ。(笑)
アイメイクが気になり、ちょっと真似したくなったSNAKEPIPE。
友人Mもコ・ヘランみたいになりたい、と似た色のアイシャドウを買いに行ったと聞き、笑ってしまったよ。
同じところに反応してるんだよね。(笑)

ある夜、自動車事故が起きる。
参考人として警察に召喚されたのは人気キャスターのコ・ヘラン。
刑事からある男の写真を見せられたヘランの記憶は事故の1か月前に遡る…。
ジャーナリスト大賞を5年連続受賞するという栄冠を手に入れたヘランだったが、後輩にメインキャスターの座を譲るよう、上層部から迫られていた。
その座を守ろうと、ヘランはマスコミ嫌いで有名な世界的ゴルファー、ケビン・リーの独占取材を宣言する…。(「Oricon」データベースより)

何枚も仮面をかぶっているような女に見えるコ・ヘラン。 
仮面を一枚乗せるごとに過去を、男性との記憶を塗りつぶしているような。
タイトル通り「ミスティ」で「愛の真実」だね。(笑)
それにしてもPGAゴルフツアーで優勝したケビン・リーを、あの俳優に決めたのが謎だよ。
目元がニヤけていて嫌なり。ケビン・リー!(笑)

サイコだけど大丈夫」は2020年の作品で、一度聞いたら忘れないタイトルだよね。
太陽を抱く月」で王様を演じていたキム・スヒョンが主演、「花郎」で王女役だったソ・イェジがヒロインとして登場している。
椿の花咲く頃」でギュテを演じていたオ・ジョンセが自閉症スペクトラム症という役なんだよね。

人が傷つくことを理解せず愛を知らない人気童話作家コ・ムニョンと、精神病棟で献身的に働きながら、自らも自閉スペクトラム症の兄ムン・サンテと静かに暮らすムン・ガンテ。
それぞれ辛い思いを抱え生きる2人だが、その運命が交錯する時、互いの心と人生に変化が生まれていく。(TVログより)

とにかくすごいのがオ・ジョンセの演技!
本当に障害を持っている人みたいに見えるんだよね。
そしてソ・イェジのスタイルの良さにも驚いてしまう。
「花郎」は時代劇だったため、体の線が出る服装じゃなかったからね。
傍若無人で自分勝手な役どころがピッタリ合っていたよ。
ハートウォーミングなだけではなく、殺人事件が絡んだり、童話にちなんだストーリー展開もドラマの幅を広げるのに効果的だったね。
精神科に入院している患者の妄想を映像化するシーンがすごかった!
それにしても、本当にあんなゴシック建築が韓国にあるのかなあ?(笑)

続いての「ハイバイ、ママ!」 は、「刑務所のルールブック」でハニャンを演じたイ・ギュヒョン目当てで観始めたんだよね。
「ハイバイ、ママ!」は2020年に放映されたドラマとのこと。
ドラマを観ていると、どんどんファンになる俳優が増えて、その人が出演している別のドラマを探してしまう。
このループが、韓国ドラマを連続して鑑賞する理由の一つかも。(笑)
どんな内容なのかも確かめず、ハニャン出演だけで観ることを決めてしまったよ。

ある日事故に遭って命を失ってしまった妊娠中のユリ。
亡くなったあとは無事生まれてきたソウと夫ガンファのもとに幽霊として見守っていた。
ユリが生まれたころからソウのことを見守っていたせいでソウは幽霊が見えることを知りショックを受ける。
娘を心配するあまり成仏しなかったことで娘を危険な目にさらしていたと知り、神に不幸を訴える。するとユリはなんとまた人間の姿として生き返ることとなる。
更に生き返った49日間にもとにいた場所に戻ることができればそのまま人間として生き返ることができるのだが。(Wikipediaより)

主人公ユリが幽霊の状態で話が始まるんだよね!
ところが生き返ってしまうという驚きの展開になるとは。 
ユリが生き返ってからは、ドラマの半分以上の時間に誰かが泣いているシーンが続く。
一度死んだ人間が生き返り、家族や親友と時を過ごすことは通常あり得ないので、ちょっと冷めた目で鑑賞してしまったSNAKEPIPE。
「サイコだけど大丈夫」にも出演していた女優が、「ハイバイ、ママ!」ではユリの母親役で出演していて、どちらのドラマでも「膝が痛い役」を演じ、同じ薬を飲んでいるところに大注目してしまった!(笑)
そしてソウを演じた子役が、実は男の子だった事実を先程知り、驚いているところ。
女の子にしか見えなかったんだけどね?

最後は、友人Mから「早く観て!」と毎日のように催促された、お勧めドラマの「ヴィンチェンツォ」。
2020年は「愛の不時着」で、2021年は「ヴィンチェンツォ」と評されている大人気ドラマという情報は得ていたけれど、上に書いた「サイコだけど大丈夫」と「ハイバイ、ママ!」を観終わってからの鑑賞となる。
「ヴィンチェンツォ」は2021年のドラマなので、今年の作品だね。
友人Mを熱狂させたドラマ、早速観てみよう! 

イタリアマフィアの顧問弁護士を務める韓国系イタリア人のヴィンチェンツォ・カサノは、マフィア間の抗争の末に韓国のクムガ・プラザという雑居ビルに向かった。
その目的はビルの地下に眠る金塊を手に入れることであった。
しかし、クムガ・プラザは違法な手段で地域の開発を進めるバベル建設の手に渡ってしまう。
ヴィンチェンツォはクムガ・プラザの個性的な住人たちとともに数々の悪事に手を染める巨悪の企業に対し、悪をもって悪を制するべく、立ち向かう。 (Wikipediaより)

ヴィンチェンツォとは韓国系イタリア人の名前なんだよね。
ほとんどの人が正確な発音ができず、ヴィンチェンツォの肩書である「コンシリエーレ」も別の呼び方になっていて笑いを誘う。
「ヴィンチェンツォ」は社会派な筋が根底にあるけれど、笑いの要素を多く含んでいる点が魅力なんだよね。
クムガ・プラザの住民が、とても良い味出していたよ!
国際安保情報院のアン君、最高だったね。(笑)
梨泰院クラス」で憎々しい会長を演じたユ・ジェミョンが、人道的な弁護士役で出演していたし。
ブライアン・デ・パルマの「キャリー」やヒッチコックの「」、そしてデヴィッド・リンチへのオマージュがドラマの中に散りばめられていて、ニヤリとさせられる。 
「ゴッド・ファーザー」に因んだ内容も出てきたしね!
友人Mのお勧めに間違いはないよ。(笑)

今もまた別のドラマを鑑賞中なので、近いうちにパート4を計画しよう。
お家時間、Netflixのおかげで楽しく過ごせるね!(笑)

ビザール・ツリー選手権!45回戦

【木をテーマにしているので選んだ曲。ロバート・スミスの目線が変!】

SNAKEPIPE WROTE:

いつの間にか8月に入っていて、オリンピックも開催されている。
もうすぐお盆という、本来であれば休み前のウキウキした時期なのにね。
コロナの影響で帰省したり、旅行に行くことも難しいのは残念だよ。
今回は非日常的な景色を観て、旅行した気分を味わう記事にしてみよう。
こんなところに行ってみたいな、というSNAKEPIPEの願望ね!
近所の公園を散歩するだけでもリフレッシュするので、木をテーマに選んでみたよ。
早速紹介していこう! 

暑い日本から脱出して、水辺で涼もうか。
なんと美しい湖の色!
そして水面から垂直に林立している木々。
どうやらこの木はエゾマツの変種であるトウヒのようだけど、すでに枯れてしまっているらしいよ。
湖のブルーに映える白いトウヒのコントラストが見事だよね。
この風景を眺めることができるのは、カザフスタン共和国にあるカインディー湖。
そして水面より上は枯れてしまったけれど、水面下では画像のように別の世界が広がっているという。
藻類や他の水生植物が、水没したトウヒを覆い、水中の森を形成しているとは!
植物の生命力の強さを感じるね。

続いてはポーランド北西部にあるクシュヴィ・ラスという森に行ってみよう。
おや?木の幹がくにゃっと曲がってるよね?
この木はヨーロッパアカマツとのこと。
とても不思議な景観だけど、どうしてこんな形になったのかは、未だに解明されていないという。
仮説の中には「宇宙人説」や「木が意志を持った説」などがないのが残念!
自分なりの仮説を立てに、現地に赴いてみたいよ。
ミステリー好きにはたまらない森だよね。(笑)

森の奥深くに分け入る。
気持ちの良い空気を深く吸い込み、森林浴を楽しむ。
と、そこに、、、。
まるで巨人が見下ろしているような光景。
急に現れたら立ちすくんでしまうかもしれない。
これはブルガリアのバルカン山脈にあるブナの木だという。
任天堂のゲーム「ゼルダの伝説」に出てくる「デクの樹」様のように、神秘的な精霊に見えてしまうよね。(笑)
方向音痴だけど、こんな森を歩いてみたいよ! 

続いてはアフリカ大陸に渡ろうか。
ナミビアにあるナミブ=ナウクルフト国立公園の中にある「死んだ沼」を意味するデッドフレイと呼ばれる木々は、なんとすでに枯れているんだとか。
言ってみれば木のミイラだよね。
500年以上、この姿のまま保っていられるのは、極度の乾燥のためだという。
まるでインドのターセム・シン監督の映画みたいな風景は、訪れる価値あるよね!(笑)

木にペイントするなんてイタズラはやめなよ、と言いたいあなた!
ちょっと待って!(笑)
この木は、多くの色を持つ樹皮が特徴のレインボーユーカリだという。 
まるで蛍光塗料を塗ったように見えるよね?
フィリピンやパプア・ニューギニアに生息しているんだって。
たまに街路樹の幹の外皮が剥がれ、ウッドランド迷彩に見える時に興奮するROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
レインボーユーカリを見たら、どんな反応になるのか。
今から楽しみだ。(いつ行くのか?)

強風により斜めになってしまった木。
バックの空模様も怪しげで、寒い印象を受けるよね。
こういう風景に憧れるROCKHURRAH RECORDS。
北欧の景色かと思っていたのに、ニュージーランドの南島だったとは意外だよ。
ちょっと暗めの80年代のニューウェーブ・バンドが、プロモーション・ビデオ撮ったら似合いそうじゃない?
この例え、分かってくれると嬉しいよ。(笑)

最後はアメリカのカリフォルニアに行ってみよう。
幹や枝が、まるで回転するようにねじれた存在感抜群の木!
青空をバックに、どっしりと大地に根を張っているよね。
まるでマックス・エルンストの絵画作品に出てくるような印象だよ。
これはメトシェラと名付けられた、推定樹齢が4850年を超えている長寿の木とのこと。
さすがに何かが宿っている雰囲気あるよね。
メトシェラは、保護のために場所の公表がされていないという。
ホワイトマウンテンのどこかにあるらしいので、メトシェラを探す旅も楽しいかもよ?(笑)

今回はビザールな木を鑑賞する世界旅行を計画してみたよ。
カザフスタン→ポーランド→ブルガリア→ナミビア→パプア・ニューギニア→ニュージーランド→アメリカと7ヶ国を駆け抜けるなんて素敵じゃない?(笑)
今度はまた別のビザールな風景も探してみよう!
 

ニッチ用美術館 第7回

【夏っぽく暑苦しいタイトルバックにしてみました。鬱陶しいよう。】

ROCKHURRAH WROTE:

ここしばらくブログ執筆者(大げさ)としては全然登場しなかったROCKHURRAHだよ。
特に忙しかったわけでも病気だったわけでもなく、SNAKEPIPEがブログを書いてる横でただぼんやりしてただけ・・・うーん、相変わらず書いてて情けないな。

そう言えば連休前、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは二人して同じ会場、同じ時間で予約出来たのでコロナ・ワクチン接種に行ってきたよ。
区がやってる役所仕事だと思って、どうせ待たされたり不快になる事が多いと予想していたが、ヘタな病院よりもずっとシステマティックに手順が進み感心した。
看護師もスタッフも毎日数多くこなしてるからだろうが、熟練の極みでストレスがなかったのは良かった。
ちょっとでも様子が変だったらすぐに駆けつけて「大丈夫ですか?」と至れり尽くせり。
ここまで手厚い看護を受けた事ない人も多数だと思うから、感激する人もいるだろうな。

注射自体は痛くもなくあっという間に終わり、気分悪くなる事もなく「大したことなかったね」などと言いながら帰宅。
先にワクチンを打ったSNAKEPIPEの友人Mが色々な助言をしてくれたので予備知識はあったが、翌日から2日くらいは腕に筋肉痛のような痛みが出た。
よく言われるように腕が上がらないというほどはなかったけど、連休はどこも行かずダラダラ過ごして回復に努めたよ。
8月に2回目があるけど、その時の方が副反応が重いというから気をつけないとね。

久しぶりにブログを書く気にはなったけど何を書こうか迷ってたら「ニッチ用美術館」というSNAKEPIPEからのリクエストがあった。
そうだね、ROCKHURRAHが書いてるものの中では、アイデアとしては一番出来がいいシリーズ(自画自賛)だから。
では頑張って書いてみようか。

さて、毎回のように説明してる「ニッチ」とは生態的地位とかくぼみ、適所などの意味を持つけど、音楽とアートワークの隙間を埋めたいとROCKHURRAHが考え命名した企画というわけだ。
簡単に言えばレコード・ジャケットを展示して美術と音楽の両サイドから語ってゆくという素晴らしい企画なんだけど、キュレーターとしてのROCKHURRAHがB級なもので、いまだに人々を感動させられないでいるのが現状。

そして説明がしつこいがROCKHURRAH RECORDSは70年代のオリジナル・パンクと80年代ニュー・ウェイブしか語らないという、めったにない類いのレコード屋だから、展示物もその範疇にあるもの限定。
これ以外のものは語れないがよろしいか?(偉そう)

ROOM1 烏拉的米爾の美学

予備知識もなくこれを読める現代日本人はいないと思うが、烏拉的米爾と書いてウラジーミルと読むらしい。
ロシアの都市名を漢字表記してた時代にはこう書いていたんだろうけど、みんなスラスラ読めたのかな?
100%当て字だとはわかっていても、いちいちこういう字を当てはめようと考えた人がいたのがすごい事だと思うよ。こういうのを一日中考えるような仕事があったらしてみたいとさえ思える。

さて、その烏拉的米爾は人名としてもポピュラーでレーニンやプーチンもウラジーミルだそうだ。
人名の方は漢字表記するのかは不明だが。
ついでに、ROCKHURRAHはロシア人の名前をウラジーミルではなくてウラジミールと疑いもなく呼んでいたが、これはチェコ人とかの読み方で、ロシア的にはウラジーミルだという話。裏地見るではない。
知らなかったけど一ヶ月後には忘れていそうな豆知識だったな。

1910年くらいから1930年代頃まで盛んだったロシア・アヴァンギャルドという芸術運動、その中でも斜め直線や円形を大胆にあしらった構図や色使いの見事さで、ドイツのバウハウスと共にROCKHURRAHが大好きなジャンルなのがロシア構成主義だ。
これはROCKHURRAHもSNAKEPIPEも過去に何度も力説してるから、ROCKHURRAH RECORDSの基本ポリシーとなるデザインと言っても良い。

以前に銀座グラフィック・ギャラリーでアレクサンドル・ロトチェンコの企画展に感銘してからすでに10年近く。
それ以前からROCKHURRAHのスクリーンセーバーはずっとロシア構成主義のものを使っていたんだが、OSを新しいのに変えたら残念ながら使えなくなってしまった。
うーむ、それくらいずっと大好きなデザインだと言いたいだけで、数行も費やしてしまった。
ロシア構成主義の趣旨とは真逆のムダの多い文章だな。

ロトチェンコやリシツキーなどのポスターは有名だが、派手で斬新な構図を得意とするステンベルク兄弟も映画ポスターなどで活躍した素晴らしいアーティストだ。
色使いもとってもカッコいい。
そしてやっと烏拉的米爾につながったが、ウラジーミル(兄)とゲオルギー(弟)の二人でステンベルク兄弟だったというわけ。
兄弟でポスターを制作する分担は不明だが、初期の藤子不二雄みたいに合作してたのかね?

やっぱりパンクやニュー・ウェイブと一緒で、時代の波が一番きてる瞬間に人々が求めるものを提示して、華々しく活躍した者が寵児となる。
1920〜30年代のステンベルク兄弟がまさにそれだったんだろう。

弟の方は30年代にバイクで事故死、それ以降は目立った活動をしてないようだ。
ウラジーミルは弟の死を国家的な暗殺と信じ、後悔したまま(社会主義に反する芸術家弾圧が進んでいたソ連から亡命しなかったため)その後の人生を隠遁者のように送ったというような話。
本人がそう言ってるだけで真偽のほどは不明だけど、確かにそういう話はありそうだよね。

例えばメスキータもユダヤ人だったというだけでナチスによって殺されてしまったり、芸術でも何でも、やってる事が戦争や歪んだ社会体制によって踏みにじられる事に怒りを感じるよ。
今の時代でも何もかも自由な事なんてないし、多数のつまらん意見が個人を殺す事だっていくらでもある。

思わずシリアスになってしまったが、話を進めよう。
そんなステンベルク兄弟の作品をジャケットとして使用したのがザ・サウンドの1stアルバム「Jeopardy」だ。

このジャケットは1926年のソヴィエト無声映画「The Crime of Shirvanskaya」のポスターを使ったものだが、オリジナルのポスターはカラーだったのをなぜかモノクロのジャケットにしている。映画はもちろんモノクロなので別に違和感はないんだけど。
この映画、邦題が一切見当たらないので日本で公開された事もないんだろうけど、そして何者なのかは不明だが、シルヴァンスカヤなる人物が主役を務める映画が何本かあった模様。
シリーズ化されてたのかな?

ザ・サウンドは1980年代前半、ネオ・サイケの時代に活躍したバンドで、初期はエコー&ザ・バニーメンと同じコロヴァ・レーベルよりレコードを出していたな。
何か覚えがあるなと思ってたら去年の記事、「俺たちダーク村」で書いてたのを思い出した。

エイドリアン・ボーランドというちょっとぽっちゃり顔のソングライターが中心人物だったが、パンクの時代にはアウトサイダーズ、初期ニュー・ウェイブの時代にはセカンド・レイヤーというバンドで活躍していた。そのどちらでも才能を発揮していたが、このザ・サウンドが彼の集大成とも言える優れたバンドだった。

ちなみにネオ・サイケというジャンル名は、実際にやっている音楽とあまり一致しないという事で後の時代にはダーク・ウェイブなどと言われてたようだが、ROCKHURRAHはネオ・サイケで覚えた80年代世代だからこのまま書きすすめるよ。

1stアルバム「Jeopardy」のトップを飾る名曲がこの「I Can’t Escape Myself」だ。
ゆったりしたイントロからサビの盛り上がりが初期U2っぽいけど、こちらの方が先輩だね。
ボノはこの辺から影響を受けたのかもしれないな。
哀愁を帯びた良いメロディと、そんなに緻密にまとまってないラフな演奏が大器の片鱗を漂わせていたザ・サウンドだが、歌がいいだけで見た目やキャラクターとしての魅力には乏しかった。
バンド名もただのサウンドじゃ抽象的過ぎてイメージもまるで湧いてこないよな。

同ジャンルの有名バンド、ジョイ・ディヴィジョンやエコー&ザ・バニーメンのように国際的な人気になるほどの活躍はなかったが、たまにインディーズ・チャートに名前が出る程度。
ネオ・サイケという暗くて重苦しい音楽ではヒットする方が難しいので、それでもこのジャンルでは中堅どころとしてのネームバリューはあったというべきか。

ザ・サウンドの人気がどれほどだったかのかは正確に知る術はないが、具体的な例で言うなら80年代に下北沢のUK EDISON(南口降りた右側のビル2Fにあった)で2ndアルバムがしばらく面出しされて置いてたのを目撃、それで初めてこのバンドのレコードを買ったという思い出がある。
ステンベルク兄弟のジャケットの1stは後に中古盤で買ったんだよな、などと人によってはどうでもいい事をなぜか何十年も覚えてるROCKHURRAH。
ちょっと前の事をすぐに忘れるくせに変な部分にだけ異常な記憶力なんだよな。
しかも具体的な例が人気や知名度を知る材料に全くなってない。

ぽっちゃりの割には鋭く狷介な目つきのエイドリアン・ボーランドはその後、精神を病んで、ザ・サウンドの解散後10年以上経ってから電車に飛び込み自殺で生涯を閉じた。
バンド以降の音楽キャリアもちゃんとあったのに、プライベートとかについてはよくわからないからね。
まさに「I Can’t Escape Myself」そのものの人生だったな。

ROOM2 黯然の美学

この「ニッチ用美術館」という企画の最も大変な苦労はチャプターごとにつける○○の美学、ここになぜか難読熟語を当てはめるという形式を勝手にROCKHURRAHがやり始めたのが全ての元凶だよ。
最初の頃はそんなにこだわってなかったはずなのに、チャプター・タイトルをつけるのに大変時間がかかる。
まさにニッチもサッチもいかない状態。
漢字で書くと「二進も三進も」となるのも初めて知ったよ。

例えば上のジャケット見てROCKHURRAHがすぐに連想する言葉がアンニュイなんだけど、最近ではこの言葉も滅多に聞かないな。
物憂げとか倦怠とかを意味するフランス語だが、80年代的には「アンニュイな表情した彼女」などと誰でも使ってた言葉だろう。
で、アンニュイに相当する難しい言葉を様々な方面から調べてみるが、得意の当て字もなくROCKHURRAH本人も別に漢字博士なわけでなく、ここで大変な労力を使って何とかそれっぽいのを考えたのが黯然。
あんぜんだから暗然でもいいのにわざと難しい漢字にしただけ。

黯然とは「悲しみでくらく沈んでいるさま」だとあるが、うーん、そういう表情とはちょっと違うかもな。
というわけでさんざん考えた難読漢字がジャケットをうまく言い表してない失敗もあるということだ。
相変わらずだが言い訳長いな。

さて、こんな黯然なちょっと良さげなジャケットで80年代初頭に人気だったのがB-Movieというバンド。
このジャケットの曲「 Nowhere Girl 」や同時期の「Remembrance Day 」が割とヒットして、当時は聴きまくっていた人も多かったはず。
この有名なジャケットを撮ったのがピーター・アシュワースという写真家で、80年代ニュー・ウェイブの有名ジャケットを数々手掛けた人。ヴィサージやアダム&ジ・アンツ、ソフトセル、ユーリズミックス、アソシエイツなどなど、あれもこれも知ってるジャケットの多くはこの人の写真、というくらいに売れっ子だったようだ。

英国ノッティンガム近くのマンスフィールドという郊外出身のB-Movie、元々はパンク・バンドをやっていたそうだが1stシングルもヒットした曲に比べるとアグレッシブで暗めの初期ニュー・ウェイブという感じがなかなか素晴らしい。

代表曲「 Nowhere Girl 」は元々1980年にオリジナルを発表したが、これは普通のバンド編成に初期デペッシュ・モードのようなチープなシンセを取って付けただけのようなヴァージョン。
それがあまり売れなかったからなのか1982年に大々的にメジャーっぽいアレンジをほどこして、どこに出しても恥ずかしくない哀愁のエレポップ・サウンドに仕上げたのがようやくヒットしたという経緯がある。
上に展示したレコード・ジャケットも80年ヴァージョンよりは遥かに良くて、ソフトセルやザ・ザで一儲けしたサム・ビザール(レーベル)の本気が垣間見える名盤。
が、いいバンドだから売れるというわけでもなかったようで、2曲はヒットしたものの誰でも知ってるバンドにはなり得なかった。
何でかはわからないが1stアルバム発表が85年、レコード・デビューしてから5年もの歳月が流れた頃で、世間から忘れ去られてしまうほどの遅咲きバンドだったな。
レーベルもちょこちょこ替わってるし苦労したのかね。

ビデオで歌ってるのが売れ線を意識した方のヴァージョンだが、ヴォーカリストの動きも明らかにメジャー狙い。
Bムーヴィーというバンド名とは裏腹なんじゃない?
最初のヴァージョンももったり感はあるけど味わい深く、本当はこんな風に変身したくないバンドだったんじゃないかな?と想像するよ。
インディーズで2曲もヒットしないバンドが多い中、後世に残る名曲を残しただけでも良しとしなければ。

ROOM3 软盘の美学

馴染みのない漢字だがこれはある種の人々になら読めると思う。
中国語でフロッピーディスクの事をこう書くらしい。

フロッピーディスク自体を知らない人や見たことない人、そういう世代も多いだろうけど、IBMが発明した古いパソコンの記憶媒体だ。
大まかに言うと四角いプラスティック板のような3.5インチとさらに大きな5インチのサイズのものがあったな。ちょうど上の画像みたいなヤツね。
ROCKHURRAHが大昔に使ってたモニタ一体型のMac(iMacとかよりもっと昔の時代)にはまだ3.5インチフロッピーを差し込めるようになってたが、それでもフロッピーディスクはあまり使った記憶がない。記録出来る容量が少なすぎたからね。

5インチの方はそれより前に働いてたゲーム屋になぜか古いパソコンが置いてあり、どうでもいいような仕事に使ったり、どうでもいいようなゲームをしたり、要するに役に立ってなかった。
頻繁にディスクの入れ替えしないと先に進めなくて、ものすごく面倒な割には大したことない機械だと思っていたよ。
この時代はまだMacなど知らずMS-DOSだったしなあ。

そんな厄介な大型フロッピーディスクをヒントにデザインされたのがニュー・オーダー初期の大ヒット曲「Blue Monday」だ。

英国マンチェスターで70年代末に設立されたファクトリー・レコーズはニュー・ウェイブの歴史において最も重要なレーベルのひとつだと全世界的に認められているはず。
TV番組の司会者だったトニー・ウィルソンを中心に作られたインディーズ・レーベルだが、地元のジョイ・ディヴィジョンを獲得してから歴史が変わるほどの発展を遂げた。
ちょうどパンクからニュー・ウェイブへの変換期で、人々が何か従来とは違った音楽を求めていた頃に出てきたというタイミングの良さもあったな。
暗くて重苦しかったり、風変わりでカッコ良さとは無縁だったり、実験的でポップスとは無縁のものだったり、方向性は色々だけど、従来のロックだったらヒットしそうにない部類のバンドも次々と話題になってゆく、そんないい時代だったのが70年代末のイギリスだったわけだ。
ジョイ・ディヴィジョンはそこまで風変わりなバンドではなかったが、世界との隔絶や絶望、死など負のベクトルに向かってゆく歌詞とぴったりな演奏、暗いバンドは数多くあっても(その多くはジョイ・ディヴィジョン以降だが)、ここまで突き詰めたのは他にいないのではなかろうか?と思えた。
その絶望のクライマックスがイアン・カーティスの首つり自殺というショッキングな幕切れだったのは、今ここでROCKHURRAHが書かなくても周知の事実だろう。

ヴォーカリストが死んだからといって神格化とか伝説にするのは意味がないが、深くリスナーの心に残る傷跡となったジョイ・ディヴィジョンは実像以上に過大評価されまくって、現代に至るまで何十年も多くの人に影響を与え続けている。

今回はジョイ・ディヴィジョンを語るつもりで書いてないからここまでにするが、ショックで活動休止となっていたバンドはその後、残りの3人でニュー・オーダーとして活動を再開する事になった。

ファクトリー・レコーズはリリースしたレコード以外にも、例えば飼ってた猫にも規格番号をつけるといったユニークなレコード会社だったが、そのセールスに貢献したのは昔マーティン・ゼロという名前で活動していた名プロデューサー、マーティン・ハネット。
そしてレーベルとしてのトータルなデザインに関与していたピーター・サヴィルの存在だろう。

世界的に有名なジョイ・・ディヴィジョンの1stアルバムのレコード・ジャケットは、その道の人じゃない限りわからないような天文学の分野から持ってきたデザインだそうだ。
CP1919という初めて発見されたパルサーからのパルス信号だという。
そういうところからヒントを得るセンスもピーター・サヴィルの手腕なんだろう。

上の12インチ、超大型フロッピーディスクと呼ぶべきデザインもニュー・オーダーのスタジオに置いてあったものを、ピーター・サヴィルがデザイン的に感ずるものがあってこのジャケットに採用したという話がある。
横の方のカラーチャートみたいな配列にもちゃんと意味があるそうだが、わかる人でもわからん暗号みたいなもの。

実用的に作られただけのものが整然とした美しさになるというのはインダストリアルなデザインでも今や当たり前だが、1983年当時ではどうだったのか?
80年代半ばくらいにパソコンではなくワープロを買って「これはすごく画期的」などと喜んでたレベルのROCKHURRAHには確かに斬新だったろうな。

ニュー・オーダーの初期はジョイ・ディヴィジョンの曲調の延長線という路線だったが、演奏は同じでも不世出のヴォーカリスト、イアン・カーティスがいないという喪失感に満ちあふれていて、個人的にはあまり聴く事はなかったな。
しかし途中からシンセサイザーなどの電子楽器をうまく取り入れ、ジョイ・ディヴィジョンの時代にはなかったダンサブルなバンドへと方向転換したのが成功して、当時のイギリス物が好きな人だったら誰でも知ってる知名度を得た。

イアン・カーティスの死から3年経ってリリースされた「Blue Monday」はニュー・オーダーの人気を決定づけた名曲。
月曜日にイアンの自殺を知ったことからつけられたタイトルで、過去の呪縛を断ち切らなかったバンドの苦悩が逆に聴衆の心を掴み、大ヒットとなった。

ビデオはタイトルにそうあったので1985年に初来日した時のライブ映像なんだろうが、2分以上もあるイントロで用意は十分かと思いきや、何だ?この高音は?
ヴォーカルが1オクターブ、歌の音程を間違えてそのままいつもの音程に戻すというハプニング映像で、見ている方がコケてしまうくらいの情けなさ。

ジョイ・ディヴィジョン時代にはギタリストだったバーナード・サムナーが付け焼き刃のヴォーカルという事はわかるが、もう歌い始めて数年経つのにまだ拙いというのは、よほど大舞台に弱いタイプなんだろうか?

 ROOM4 俊邁の美学

今回はたまたま選んだものが暗いのばかりになってしまったから、最後くらいは明るく終わりにしたいと思って、急遽予定を変えて別のジャケットを展示したよ。

一般的にはあまり使われる事はないと思うが、ROCKHURRAHとかよりもずっと上の世代だったら普通に使ってたかも知れない表現だな。
俊邁と書いて「しゅんまい」と読み、才知がすぐれていることという意味だそうだ。

子供の時に知能テスト、IQテストというようなものを受けた記憶はあるが、本人には結果を知らせない意向だったのか、親が知ってても教えてくれなかったのか?どういうシステムなのかはよくわかってないが、自分のIQはわからないでいる。
ROCKHURRAHの時代と制度が変わっても全然おかしくないから、今の時代の子はそういうのはどうなってるんだろうか?

この類いのテスト問題自体がものすごく嫌いなタイプのものだったので、どっちにしても良くはないに違いない。
嫌いなタイプの問題で意外と高得点ってのも考えにくいからね。

今回選んだジャケットの主人公が俊邁だという噂だが、書き始めた後でレコード・ジャケットについて語る「ニッチ用美術館」と俊邁は全然関係ない事に気づいた。
うーん、ジャケット自体に感ずるものは特にないなあ。
首の部分が長くなるモンタージュ写真みたいなものだが、不気味に感じる事はあっても美的に素晴らしいとは思えないよ。
どうやらグレース・ジョーンズの髪型がスパッと角刈りみたいになった有名なジャケットのアートワークを手掛けたフランス人によるフォト・コラージュみたいだが、意図は不明。

さて、そんな俊邁を言いふらすタイプの才女がこの人、クリスティーナという女性シンガー。
IQ165、ハーヴァード大を卒業した天才というキャッチフレーズでデビューした彼女は、1978年に元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルがプロデュースしたシングルでデビュー。
このレコードがZEレコーズというレーベルの最初のリリースとなった。

ZEレコーズはニューヨークに拠点を置くインディーズ・レーベルで、2人の創始者、マイケル・ジルカとマイケル・エステバンの頭文字を取ってZEを名乗り、アメリカのニュー・ウェイブ推進に貢献した。
この二人の経歴もエリートとしか言いようのないもので、普通の若者が仲間の協力で拙くインディーズ・レーベルを立ち上げたというような貧乏エピソードとは無縁のものだった。
この辺がイギリスとアメリカの温度差だと感じてしまうよ。

そのZEは世界的に有名なメジャー・レーベル、アイランドの傘下だった事もあり、インディーズ・レーベルとしてはかなり有名になった部類だと思う。
ROCKHURRAHがよく読んでた音楽雑誌の裏表紙とかがZEの広告だったりして、何だかよくわからんが興味を持って買ったレコードもあったのを思い出す。

このレーベルは所属ミュージシャンの傾向も意味不明で、キッド・クレオール&ココナッツやWAS(NOT WAS)などの売れ線ファンク系を主力としながらもフランスのリジー・メルシエ・デクルーを売り込んだかと思えば、一方ではコントーションズやリディア・ランチ、スーサイドなどのアンダーグラウンドで活動していたバンドも精力的にリリースしていた。
偏ってると言えばそうだが、単にニューヨークやパリを拠点とした最先端っぽいのを無差別に集めてみましたといった雑多なもの。
だからROCKHURRAHはZEレコーズについてはレーベルとしての魅力はあまり感じないというのが正直な感想だが、人によってはこのレーベルを絶賛してるのもいるから、捉え方は色々なんだろう。

さて、そのZEレコーズの看板歌姫としてリジー・メルシエ・デクルーと共にレーベルが強力にプッシュしていたのが本作の主人公、クリスティーナだ。

頭の良さだけでなくお色気もあるコケティッシュなシンガーとして売り出したかったようで、下着姿や露出度の高いドレスなど、ちょっと後の時代にマドンナがやるような路線の先輩と言えるような位置だったな。
ただし写真写りがいい時と悪い時の差が大きく、もしかしたら写りのいい奇跡の一枚を選んでジャケットにしたのかも、と思ってしまう。
デビュー当時が20代前半だったとしたら顔が大人び過ぎてる、平たく言えばもっと歳に見えるのもマイナスだったかな。
たまにクランプスのポイズン・アイビーっぽく見える時があって、それはそれでコケティッシュと言うべきか・・・。
インディーズのシンガーであまりプロモーション・ビデオも残ってないようなので、容姿がいまいちわからないよ。

「Ticket To The Tropics」は1984年に出た2ndアルバム収録でシングルにもなった曲。
今回展示した首長のジャケットであるこの2ndアルバム、邦題が「胸騒ぎのクリスティーナ」という恥ずかしいものだが、ちょうど同時期に少年マガジンで連載していた「胸騒ぎの放課後」を思い出す。
いつもそこだけ飛ばして読んでたなあ、という薄情なコメントしか出てこないが、それもまたいい思い出(ウソ)。

このアルバムを最後にクリスティーナは表舞台から姿を消すが、ZEレコードの首脳の片割れマイケル・ジルカと結婚。
逆に言えばジルカ氏が所属アーティストに手を出したという事が発端となって、ZEレコードに亀裂が生じ、そのうちレーベルとしての活動は休止したようだ。よくある喧嘩別れってヤツか。

その当時のニュー・ウェイブのエッセンスのひとつだった、割と無機的な声で60年代ポップスっぽい感じを歌うという手法は成功していて、本作も個人的にはなかなか良いと思える。
「ノー・ウェイブ(NYで流行ったノイジーでアヴァンギャルドな音楽)・シンガー」などと形容されることもあるが、アルバムを聴いてる限りはそんな感じはしない。
ROCKHURRAHの耳がおかしいのか?
その一年前くらいにイギリスで流行ったコンパクト・オーガニゼーション(マリ・ウィルソンで有名なレーベル)のやっていた事をアメリカっぽく、よりゴージャスに展開したという雰囲気はするね。え?全然違う?

結局、マイケル・ジルカとも離婚してその後にクリスティーナが何をやってたのかはよく知らないが2020年3月、つまり去年に新型コロナウィルスによって亡くなっている。
まだ流行り始めの頃で治療などが何なのかわからないうちに、だと思うと全然他人事には思えなくて恐ろしくなるよ。
うーむ、最後は明るく終わりたいと思って曲調だけで選んだのに残念な結果に終わってしまったな。

とにかく夏が大嫌いなROCKHURRAH RECORDSは毎年毎年言い続けてるけど、早く涼しくなって湿度も下がって欲しいと願うのみ。
ついでにコロナもいいかげんに国を挙げて、国民が一致して拡大を防ぐように誰もが努力して欲しいよ。

それではまた、ラーマス ブン(ルーマニア語で「さらば」)。