開校100年 きたれ、バウハウス 鑑賞

20200719 top
【東京ステーションギャラリーに向かう階段を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

制限付きではあるけれど展覧会が開催されるようになってきた。
東京は感染が拡大しているので、より一層用心する必要があるけれど、情報を知った瞬間に「あっ!」と声を上げてしまったSNAKEPIPE。
それは東京ステーションギャラリー で、7月17日から開催される「開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎―」なんだよね!
今まで当ブログでは何度も登場しているバウハウス。
2018年7月に書いた「好き好きアーツ!#51 世界アート(仮)探訪 2」の中で「バウハウス博物館」を紹介しているね。
そこでバウハウスについて説明しているので、転記してみよう。

1919年、建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長としてスタートした学校「バウハウス」。
工芸・美術・写真・建築・デザインなどの総合的な教育機関だった。
1933年にナチス・ドイツにより閉鎖されるまで、合理的で機能主義的なアートを模索する。
現代にまで強い影響を与える活動をしたのが「バウハウス」なのである。

簡潔で分かりやすい文章だね。(笑)
バウハウスは憧れの学校なので「バウハウス博物館」には死ぬまでに行きたい、とまで書いていたよ。

今回の展覧会は、設立されてから100年経った2020年にバウハウスを特集するという、と企画なんだね。
バウハウスと聞けば居ても立ってもいられないROCKHURRAH RECORDS。
東京ステーションギャラリーでは完全予約制でのチケット販売とのことなので、早速日付を決めてチケットを手にしたのである。

雨が強まったり弱まったりしながら降り続いている。
SNAKEPIPEには長靴を履いて、降りたたみではなく、長い傘を持った時には帰りは晴れるというジンクスがある。
行きでは真っ当な服装に見えるんだけど、帰りはちょっと恥ずかしい感じね。(笑)
そのためなるべく折りたたみ傘を使用し、 長靴を履く時には細心の注意を払うことにしている。(大げさ)
東京ステーションギャラリーは東京駅構内にあるので、そこまで大きな傘は必要ないと判断。
防水のブーツで出かけたのである。

前回東京ステーションギャラリーに行ったのは、2019年8月の「メスキータ展」だった。
メスキータの作品の素晴らしさはもちろんのこと、ギャラリーが東京駅のレンガを使用した壁だったのも印象的だったことを思い出す。
残念だったのは、撮影許可がなされていなかったこと。
その経験から、恐らく今回も同様だろうと予想していた通り、撮影可能なポイントは2箇所のみ!
作品の著作権の問題があるのは理解できるけれど、もう少し緩めてくれても良いのに、と思ってしまう。

チケットは日付の他に時間の指定まであるので、そこまで多くのお客さんがいないのかと思いきや。
メスキータを鑑賞した時と、さほど違いのない観客数だったのが意外だよ。
ソーシャルディスタンスがきちんと守られているとは言い切れない環境だったんじゃないかな?
それでもなるべく人と離れるように鑑賞をしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
早速感想を書いていこう!

「バウハウス展」は5つのチャプターで構成されていた。

I 学校としてのバウハウス

1919年に建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長として設立されたバウハウスの授業内容を表した図のようだね。
この図だけでもオシャレに見えてしまうよ。(笑)
VORLEHRE  講義
NATURSTUDIUM  自然を学ぶ
LEHRE VON DEN STOFFEN  ファブリックから教える
MATERIAL UND WERKZEUGLEHRE  材料や工具
翻訳してみたけど、合ってるのかな?
バウハウスのバウとは建築のことだという。
松村邦洋のネタ「バウバウ」は全く関係ないってことね!(古い!)

II  バウハウスの教育

バウハウスには、錚々たるアーティストが教師として講義を行っていたんだよね。
モホリ=ナギやパウル・クレー、カンディンスキーなどが教鞭をとるなんて、まさに垂涎モノじゃない?
ちなみに展覧会ではモホイ=ナジと表記されていたけれど、SNAKEPIPEは昔覚えた通りにモホリ=ナギと書くことにしよう。
このチャプターでは、アーティストの授業に臨んだ学生の作品が展示されていたよ。
画像のように、一枚の紙から建築物のような立体を作り上げている作品。
独創的なカッティングでバランスを取って、ちゃんと立ってるんだもんね!
とても驚いたよ。

III 工房教育と成果

バウハウスは建築という外側だけじゃなくて、内装に当たる部分も学んでいたんだよね。
3章では椅子やティーポットなどの工芸品が展示されていたよ。
画像は会場出口付近に置かれていた、撮影可能エリアの椅子。
マルセル・ブロイヤーのワシリーチェアとミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアだって。
万が一壊したり汚したりしたら、と想像してしまい怖くて座れなかったよ。(笑)

広告に関する展示もされていたね。
家具やランプなども素敵だけれど、ROCKHURRAH RECORDSが最も目を輝かせるのは、紙媒体の作品みたいだね。
タイポグラフィやコンポジションのカッコ良さったら!
画像は1章に展示されていた、パウル・クレーの教科書だと思うけど、シンプルなのに印象的だよね。
このような構成は、まるで日本画のようだと以前書いたけれど、空間の使い方が独特だと感じるよ。
バランス感覚が素晴らしいんだよね!

「三つ組のバレエ」という動画も流れていたね。
上映時間30分だというので少しだけ観たよ。
ご丁寧に「インターネットでも鑑賞できます」と書いてあったので、ROCKHURRAHが調べてくれたよ。

1970年の作品とのこと。
随所にバウハウスらしい円形の回転が見られるよね。
30分あるので、時間に余裕がある時に鑑賞してみよう。
バウハウスで映像作品や舞台装置を制作していたとは知らなかったよ。

IV  「総合」の位相

ここではやっぱりモホリ=ナギの作品展示が嬉しかったね。
2011年9月にDIC川村記念美術館で鑑賞した「モホイ=ナジ/イン・モーション」にも展示されていたけれど、やっぱり好きな作品は何度観ても良いものだね!
モホリ=ナギの映像作品も非常にカッコ良いので、載せておこう。

「光の戯れ 黒 白 灰色」という1930年の作品。
ROCKHURRAHと共に映像に見入ってしまう。
「光の戯れ」というよりは「影の戯れ」が合っているような?
映像でも構成美を追求しているモホリ=ナギ、やっぱり好きだ!(笑)

V バウハウスの日本人学生

最終章ではバウハウスに在籍していた日本人の作品を紹介していたよ。 
1920年代に勉強のためにドイツに留学できるなんて、勇気と度胸とお金があったんだろうね。
羨ましいと思う反面、一歩足を踏み出すことができるのかと自問してしまう。
憧れの20年代をヨーロッパで過ごしたら、その後はどんな人生を歩んだんだろう。
山脇夫妻は夫婦で留学してたというので、きっと楽しかっただろうね。
奥様である道子さんの本が面白そうなので、読んでみたいな!

鑑賞し終わって、ミュージアムショップに行く。
大抵の場合は、展覧会で紹介されていた作品のクリアファイルやノートなど、どこに行っても特に代わり映えのしない商品が陳列されていることが多い。
ところが!
今回はROCKHURRAHと鼻息が荒くなってしまった。
Tシャツである。
言葉を発する間もなく、すでに手に取っていたSNAKEPIPE。
シュミットのポスターはバウハウスを象徴するデザインだからね!
ROCKHURRAHはヘルベルト・バイヤーの作品がプリントされた黒いTシャツをセレクト。
なんとSNAKEPIPEのTシャツ、プレゼントしてくれるって!
やったー!ありがとう、ROCKHURRAH!(笑)

バウハウスの展覧会を知り、喜び勇んで出かけたけれど、少々不満が残る結果だったことも加えておこう。
展覧会のサイトで「こんな作品が展示されます」と数点が紹介されているけれど、そのほとんどが「ミサワホーム所蔵」なんだよね。
まさか展覧会では違うよね、と思っていたのに、ほぼ9割程度が「ミサワホーム」の所蔵品。
他は国立近代美術館などで、どちらにしても日本に存在しているバウハウス作品を集めてみたよ!という展覧会だったんだよね。
そして撮影可能なのは、前に載せた椅子2脚と、誰の作品でもない「色のある影」を実感する展示のみ。
手がSNAKEPIPEで、撮影がROCKHURRAHの、この画像ね。
日本の所蔵品だったら、もう少し撮影可能領域を広げて欲しかったな。
それが少し残念だった。

ペイン・アンド・グローリー 鑑賞

20200712 top
【TOHOシネマズの看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

スペインの映画監督であるペドロ・アルモドバルの新作が発表されるニュースを知ったのは、随分前のことだ。
映画のタイトルは「ペイン・アンド・グローリー (原題:Dolor y gloria)」。
ROCKHURRAHが教えてくれた情報によると、アルモドバル監督の常連である俳優、アントニオ・バンデラスペネロペ・クルスも出演するとのこと。
2019年9月、アルモドバル監督プロデュースの映画「永遠に僕のもの」の感想をまとめた時にも新作映画のトレイラーを載せていたっけ。
公開日がいつになるのか、ROCKHURRAHと心待ちにしていたのである。

ところが…。
新型コロナウイルスの影響により、美術館や映画館は予定の公開を見合わせたり延期することになった。
コロナ以前には映画や展覧会情報を定期的に集め、鑑賞の計画を立てるのが日常だったけれど、そうした習慣が叶わなくなってしまった。
アルモドバルの新作についての情報を集めることも失念していたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。

2周間前に「森山大道の東京 ongoing」の中で、約半年ぶりに長年来の友人Mに会ったことを書いた。
情報通の友人Mから「そういえばアルモドバル、始まったね」 という発言があった。
なんと!
情報検索を忘れている間に、いつの間にか公開日が決定していたとは!
ありがとう、友人M。
早速、ROCKHURRAHと映画鑑賞の日取りを決めたのである。

アルモドバル作品を劇場で観るのは、今回が2回目だ。
前回は「アイム・ソー・エキサイテッド!」だったので、今から6年も前のことになるんだね。 
実は2016年に「ジュリエッタ」が公開されているけれど、劇場には足を運んでいない。
DVDになってから鑑賞していたことを思い出したよ。(笑)
アルモドバル監督作品のコンプリートを目指しているので、この作品もブログにまとめないとね! 

「ペイン・アンド・グローリー」を観るのに選んだのは日比谷のTOHOシネマズ。
ここは2019年12月に「パラサイト 半地下の家族」鑑賞のために訪れていて、「恐らくどのシートに座っても、快適に映画が楽しめそう」と感想を書いているSNAKEPIPE。
いつ雨が降ってもおかしくない曇天の中、ROCKHURRAHと共に出かけたのである。
電車の遅延が発生し、予定より少し遅れて日比谷に到着。
上映されるスクリーンによってフロアが異なっているようで、予約したチケットを発券しようとしても「予約なし」という画面しか出てこない!
フロアが違うのか、と4Fに上がって作業を繰り返すも結果は同じ。
チケット販売の係に問い合わせると
「こちらはTOHOシネマズ シャンテのチケットで当TOHOシネマズ日比谷ではございません」
ときっぱり言われてしまうではないの!
がーん!

日比谷にTOHOシネマズが2つあるんだよね。
間違った方に行ってしまい、慌ててエスカレーターを降りる。
この時点でROCKHURRAHと共に小走りになり、東京ミッドタウン日比谷を出る。
出る間際にいた係員に「TOHOシネマズ シャンテはゴジラの後ろの建物」と教えてもらい、走って行く。
電車で遅延した時間、劇場を間違えた時間が悔やまれる。
無事に上映開始時間には間に合ったけれど、2人とも汗だく!
次回日比谷のTOHOシネマズに行く時には、ちゃんと調べてからにしようね。(笑)
案内役が遂行できなくて、ROCKHURRAHに「ごめんなさい」だよ。
2014年にも「マチェーテ・キルズ」鑑賞の時、チケット予約の日にちを間違えるという大失態があったよ、とROCKHURRAHから指摘が!
全然学習してないなあ。
重ね重ね、本当にごめんなさい!

前振りが非常に長くなってしまったけれど、話を戻して。
「ペイン・アンド・グローリー」のトレイラー(日本バージョン)を載せようか。

続いてあらすじを紹介しよう。

脊椎の痛みから生きがいを見出せなくなった世界的映画監督サルバドールは、心身ともに疲れ、引退同然の生活を余儀なくされていた。
そんななか、昔の自分をよく回想するようになる。
子供時代と母親、その頃移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局。
その痛みは今も消えることなく残っていた。
そんなとき32年前に撮った作品の上映依頼が届く。
思わぬ再会が心を閉ざしていた彼を過去へと翻らせる。
そして記憶のたどり着いた先には・・・。 ( 公式サイトより)

それでは感想を書いていこう。
ネタバレしないように書いているつもりですが、未鑑賞の方はご注意ください。

「ペイン・アンド・グローリー」の主役、サルバドールを演じるアントニオ・バンデラス。
あらすじにもあるように映画監督なんだよね。
これはもうアルモドバルの分身と言って良い設定だよ。
予告で観た時には「老けたなあ」なんて思ってしまったけれど、年齢なりの魅力が増しているのが分かる。
グリーンのレザー・ジャケットをさりげなく着こなしたりして、「ちょい悪オヤジ」系ファッションが良く似合うこと。(笑)
バンデラスがアルモドバル監督作品で主役を務めるのは「私が、生きる肌 (原題:a piel que habito 2011年)」以来じゃないかな?
収まるところに収まったような、非常にしっくりくるキャスティングで、観ていて安心感があった。
そしてバンデラスの演技も、自然でとても良かったね!

ペネロペ・クルスも「しっくりくる」女優の一人。
アルモドバル監督作品では「ボルベール」で主役を務めていたことで有名かな?
「ペイン・アンド・グローリー」では、少年時代のサルバドールの母親役だった。
貧しい暮らしぶりだったため、華やかな衣装に身を包むことはなく、どちらかというといつもイライラしている役どころ。
それでもペネロペの美貌は健在で、現在46歳だけれど老けた感じはなかったよ。

セシリア・ロスもアルモドバル監督作品の常連。
「アイム・ソー・エキサイテッド!」ではSMの女王役だったよね。
「ペイン・アンド・グローリー」では、冒頭にちょっとだけ出演していたけれど、存在感は抜群!
サルバドール監督作品にかつて出演したことがある女優、という役どころ。
サルバドールをアルモドバルに置き換えても、全く問題ないよね。(笑)

フエリタ・セラーノも、アルモドバル監督作品でお馴染みの女優だね。
バチ当たり修道院の最期 (原題:Entre tinieblas 1983年)」から出演しているので、相当長いお付き合いだよ。
リンクを貼った「バチ当たり〜」についての感想に、若き日のフリエタの画像があるので、見てみてね!
御年87歳だけれど、そこまで老けてなかったフリエタ。
サルバドールの母親役がぴったりだったよ!

少年時代のサルバドールが座って読書をしている。
あらすじにある「バレンシアの村での出来事」のワンシーンなんだよね。
この時点では意識していなかったようだけど、恐らく白いタンクトップの青年に出会ったことが同性愛者であることを自覚する引き金になったようだよ。
そしてこの子供時代のエピソードが、アルモドバルの自伝的映画「バッド・エデュケーション (原題:La Mala Educación 2004年) 」以前の物語なんだろうな。
「ペイン・アンド・グローリー」で神学校に推薦されることになっていたからね。

あらすじにあった「マドリッドでの恋と破局」の相手がフェデリコ。
演じているのは、アルゼンチン俳優レオナルド・スバラーリャ。
出演作を調べていたら鑑賞している作品が何本かあったよ。
バンデラスと並ぶと2人が似ていて分からなくなることがあったので、服の色で区別していたSNAKEPIPE。
皆様もお気を付けください。(笑)

32年前のサルバドール作品に出演し、仲違いしていた俳優のアルベルト。
セリフを勝手に変えたことが原因だったらしいけれど、実際の映画制作現場でもありそうな話だよね。
アルベルトを演じたのは、アシエル・エチェアンディア。
カッとしやすい雰囲気がとても上手だったよね。
そして画像で着用しているレザー・ジャケットがオシャレ!
バンデラスが着ているグリーンのジャケットもそうなんだけど、こちらのスタッズ付きジャケットも販売されているんだよね。
映画を元に作ったんじゃないかな?
因みにスタッズ付きは$179、日本円で約19,000円だって。
お買い得かも?(笑)

過去における3つのペインが上述した3人の男たちとの関係なんだよね。
そして身体には脊椎の痛みもあるサルバドール。
サルバドールを癒やしてくれるのはアート作品だったのかもしれない。
アルモドバルの作品には、今までにも数々のアートが登場してきたよね。
まるで美術館のようなサルバドールのコレクションを紹介してみようか。

上の画像で右端にチラリと見えている絵画。
Sigfrido Martín Begué、シグフリド・マルティン・ベゲと読んで良いのか?
読み方違ってたら教えてください!
そのカタカナで検索してみたところ、日本のサイトで情報は得られなかったよ。
1959年マドリッド生まれのシュールレアリズムや未来派の絵画を描いていた画家だという。
これは「El olfato Santa Casilda」(サンタ・カシルダの香り)というタイトルで1986年の作品とのこと。
シチュエーションがよく分からないけれど、大きな絵画でインパクトがあったよ。

Maruja Mallo、マルーハ・マロは1920年代のスペインの画家だという。
スペインでの呼び方なのか「1927年の世代」と言われるアーティストの一人なんだって。
よくゴルフなどで同年代にキャリアをスタートさせた大型新人グループを、「黄金世代」と呼ぶことがあるけれど似た感じなのかな?
マルーハ・マロは女流画家でダリ、マグリット、エルンストやミロといった錚々たるメンバーの仲間だったらしいのに、SNAKEPIPEは初めて名前を知ったよ。
教えてくれてありがとう、アルモドバル!(笑)
バンデラス演じる主役の名前がサルバドール・マロなのは、マルーハと関係があるのかもしれないね?
「El racimo de uvas」(ぶどうの房)は1944年の作品だという。
シンメトリーの構図で、一粒一粒の輝きが美しい。
左右で光の当たり方が違うところが人の運命のようにを感じてしまうのは陳腐な感想だろうか?

リビングに飾られていたのはGuillermo Pérez Villalta、ギレルモ・ペレス・ビジャルタの作品。ビジャルタは1948年生まれの画家、彫刻家、デザイナーだという。 
1949年生まれのアルモドバルとはまさに同世代のアーティストだね。
この作品は「Artista viendo un libro de arte」(アーティストがアートブックを閲覧)とのこと。 
まるで着物のように見える衣装を身に着けたのっぺらぼうの人物。
2次元と3次元が混ざりあったような不思議な空間は、昼なのか夜なのかも判別できない。
本当に画集を観ているのだろうか?
とても奇妙な絵画に見えるけれど、アルモドバルはどんな感想を持っているのかな。

「ペイン・アンド・グローリー」はアルモドバルの自伝的映画とのことで、私物を多く使用したらしい。
アート作品以外にも家具や食器など、心から愛している物を登場させることでリアリティを出したかったんだろうね。
アルモドバルの感性に触れることができて、「あの部屋に行ってみたい!」と思ったSNAKEPIPEだよ。

アルモドバルは今年で70歳。
人生の終盤にさしかかり、過去の振り返りを行っているのかもしれない。
そしてその時々で心に深く刻まれた印象的な出来事を映像化しているのかな。
そうしたペインがあるからこそ、今のアルモドバルがあり監督として成功しているという意味のタイトルなのか。
ちょっと短絡的かな?(笑)

2019年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、 2020年のアカデミー賞国際映画賞も獲ったのは、ポン・ジュノ監督の「パラサイト」だったけれど、アルモドバルもノミネートされてたんだよね。
どちらかの賞はアルモドバルだったんじゃないかな、と思ってしまったSNAKEPIPE。
いつの日かアルモドバルにもパルム・ドールなどのグローリー獲って欲しいよね。
まさに「GET THE GLORY!」だよ。(笑)
次回作も楽しみに待っていよう! 

写真とファッション&ヒストポリス 絶滅と再生 鑑賞

20200705 top
【ジャイルギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
おめでとうROCKHURRAH!(笑)
プレゼントを渡し、とても気に入ってもらったよ。
毎年お互いの誕生日にお祝いをしているROCKHURRAH RECORDS。
これからも続けていこうね!

さて、先週のブログ、森山大道の個展鑑賞の続きを書いていこう。
東京都写真美術館で開催されている「写真とファッション展」にも足を運ぶ。
この展覧会については、全く何の予備知識もなく、たまたま同時開催されていたから行ってみたのである。
こちらの会場も、大道展と変わらず、ほぼ貸し切り状態での鑑賞。
途中で女性が1名入場してきたけれど、その後はいなかったね。
森山大道展に引き続き、監視員などの美術館関係者のほうが客数を上回る結果になっていたよ。

展覧会についての説明を一部転用させてもらおう。

本展覧会では、「写真とファッション」をテーマに、1990年代以降の写真とファッションの関係性を探ります。
これまでのファッションが発展する過程において、写真は衣服が持つ魅力を伝えるという重要な役割を担ってきました。
写真によって作り出されるイメージは、ときには衣服そのものよりも人々を惹きつけ、時代を象徴するイメージとなっています。

今から30年前の90年代以降のファッションって、どんなだっただろう。
80年代と言われれば分かるんだけどね。(笑)
「流行り物」や「マストアイテム」などを取り入れたいと思わなくなったのが、90年代以降かも。
30年前のSNAKEPIPEといえば、サーファーと間違えられるほど日焼けして、写真撮影に情熱を持っていた頃だな。
サーファー・ギャル(死語?)御用達のブランドで服を購入することが多かったことを思い出した。
今とは別人ね。(笑)

最初に展示されていたのは、マルタン・マルジェラのファッション・フォトを撮影していた写真家アンダース・エドストロームの作品。
1966年、スウェーデン生まれだという。
ちょっとカッコ良いと思ったのは、この画像だけ。
他は、なんとなく淡い雰囲気を感じるような写真だったかな。
もしかしたらそれが90年代なのかもしれない。

続いて高橋恭司が撮影した、昔懐かしい雑誌CUTiEで使用されたらしい作品。
ちょっととんがった雰囲気の女の子向けの雑誌だったためか、モデルの女性がリーゼントだよね。(笑)
それにしてもモデルさんの腕、傷だらけで気になるよ。
何があったんだろうか?
SNAKEPIPEはほとんど雑誌に縁がないけれど、なんとROCKHURRAHがCUTiE読んでたと聞いて驚いた。
お店の情報を仕入れていたらしいよ。
ストリート・ファッションを紹介する雑誌だったらしいからね。

写真家ホンマタカシが、日本のブランドPUGMENTとコラボした作品群が並ぶ。
PUGMENTというブランドについて全く知識がないなあ。
迷彩服と撮影する場所に意味があるとかなんとかコンセプトが書いてあったけれど、意味不明。
洋服にも写真にも魅力を感じることができず、ほぼ素通り状態。
2001年にダフト・パンクの「ワン・モア・タイム」が大ヒットした時、「ダサカッコ良い」という言葉が流行った。
もしかしたらそんな流れをファッションに組み込んでいるのかもしれない、と考察してみる。
ダフト・パンクも迷彩も大好きだけど、このファッションは遠慮したいね。(笑)

少し大きな空間に展示されていたのは、そのブランドの服を着たマネキンが並んでいる。
ブランドのコンセプトを聞いたとしても、恐らくその時持った印象は変わらないだろうな。
それらのブランドが中心となって刊行されていたらしい雑誌が並んでいた。
これらの展示にも、全く心を動かされることはなかったSNAKEPIPE。
友人Mも同様だったようで、とても残念な鑑賞会になってしまった。
そこまでモードを感じることもなく、SNAKEPIPEが思うところのファッションフォトとは違う内容だった。
鑑賞したからこそ感想を持つことができるので、これで良いのだ!(笑)

恵比寿でランチを取ってから、原宿に向かう。
そういえば原宿駅が新しくなったニュースを聞いたっけ。
新原宿駅を初体験して、表参道に向かうことにする。
ところが!
久しぶりの外出だったため、原宿駅から表参道までの道に点在するさまざな店舗を見て歩き、なかなか表参道方面にたどり着けない!
見えているのに行かれない、まるで「カフカの城」状態!(笑)
そこまで大袈裟ではないけれど、一体何店舗立ち寄ったか数えきれないほど、見て回ったことは間違いないね。
かつては友人Mと原宿~渋谷の道のりを毎週のように歩いていたことを思い出す。
週に一度の日課みたいなものだったからね。
チープシック、という言葉かあるけれど、まさにその言葉通り、お手頃価格でキッチュなかわいい商品を探して歩いていたんだよね。
懐かしいあの頃。(遠い目)

ようやくたどり着いた場所は、ジャイルギャラリー
ここで開催されているのは「ヒストポリス 絶滅と再生」。
今回の展示は、デヴィッド・リンチ大好きな飯田さんが監修しているので期待してたんだよね!
テーマについてギャラリーのサイトから一部転用させて頂こう。

工学的にデザインされた、これまでとは別の次元の自然が立ち現れつつある。
それは同時に、技術が生命や生態系に溶け込み、あらゆるものを侵食していく現代において、人間が「絶滅」の危機といかに向き合うかを問いかけることとなる。
さらに、カオスの中で変態する時代状況の一端を映し出し、地球史における人類の存在理由を参加アーティストの作品を通して未来的展望にいかに結びつけていけるかを展覧会の主旨としている。

世界中に猛威をふるい、連日死者数が増えている新型コロナウイルス。
このような状況下だからこその展覧会開催だ、という説明がされている。
「人類の存在理由」というコンセプトを視覚化した作品ってどんなだろうね?
ここで「ヒストポリス 絶滅と再生展」の動画を載せてみよう。

ジャイルギャラリーは撮影オッケーなので、たくさん撮らせてもらったよ!
画像と共に感想を書いていこうかな。

最初に展示されていたのは、須賀悠介のLEDを使用した作品。
須賀悠介は1984年東京都生まれ、今年で36歳。
2010年、東京芸術大学美術研究科彫刻専攻修了後、作品を発表しているらしい。
塩基や核酸などを表現しているのかな、くらいしか分からなかったよ。
タイトルしかなかったので、詳細は不明。

続いては広い空間にテキスタイルと動画が展示されていた。
この展示は「AIやゲノム編集が生み出す新たなキメラの美学」についての考察とのこと。
キメラ!
2020年5月の「好き好きアーツ!#56 鳥飼否宇 part23−パンダ探偵-」で「キマイラ」について書いたSNAKEPIPE。
「キマイラ」は「キメラ」とも表記されるので、同じ意味なんだよね。
日常生活で見聞きすることは少ない単語のはずなのに、不思議だなあ。
確かユングのシンクロニシティにもそんな話が出ていたような記憶があるよ。
きっとSNAKEPIPEにとって意味があるんだろうね。

これらの展示は、ファッション・デザイナー3人による機械学習とファッションを融合するチーム「Synflux(シンフラックス)」の作品なんだよね。
「キメラ」を製造して、テキスタイルにした作品の部分を画像にしてみたよ。
ちょっと不気味に見える動物が分かるかな?
その素材を使ってスーツにした作品が天井から吊るされている。
どうしてもスーツになるとヨーゼフ・ボイスのフエルト・スーツを思い出してしまうよ。(笑)

流れていた動画を撮影してみた。
2種類以上の動物を混ぜてモーフィングのように変形させていく。
縮尺が違う、目の大きさがズレたイメージが連続している。
最初はギョッとするけれど、観続けているうちに「何と何の動物の合成だろう」と「キメラ製造」の元ネタを探してしまった。(笑)
「キメラの美学」までは感じられなかったけどね!

やくしまるえつこの「わたしは人類」が展示されていた。
この作品は2019年12月に鑑賞した「未来と芸術展」 でも鑑賞済だったね。
森美術館では、暗い展示室の更にビニールカーテンの奥まった場所に展示されていたので、あまりじっくり観られなかったっけ。
「わたしは人類」というのは「人類史上初めて音源と遺伝子組換え微生物で発表された、DNAを記録媒体として扱い楽曲データを微生物に組み込んでいる」作品だという。
バイオテクノロジーとアートを融合させた作品で、金沢21世紀美術館に収蔵されているとのこと。
調べてみて初めて知った作品の意味だよ。
観ただけでは意味が分からなかったね。 

コンセプトが重厚なので、理念を形として表現するのは難しいよね。
以前からSNAKEPIPEの鑑賞法は変わらず、直感で好き嫌いを感じている。
今回の飯田さん監修の展覧会は、やや観念的だったかな。
次回も期待して待っていよう!(笑) 

森山大道の東京 ongoing 鑑賞

20200628 top
【会場入り口付近の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

当ブログでは、展覧会や映画を鑑賞した時に「行ぐぜ!exhibition」というカテゴリーを使用して記事を書いている。
前回展覧会について書いたのは3月22日の「河口洋一郎 生命のインテリジェンス」なので、およそ3ヶ月も前のことになるんだね。
SNAKEPIPEも皆様同様、コロナの影響により外出自粛していたし、当然のように展覧会自体も開催されていなかった。
第二波に怯えながらも、少しずつコロナ前の日常に戻りつつあることは喜ばしいね。

昨年の年末に会ってから半年の間、全く面会していなかった長年来の友人Mと約束する。
友人Mからの提案により、いくつかの展覧会を鑑賞することに決定!
今回は恵比寿〜表参道を巡ることにした。

最初に訪れたのは、東京都写真美術館で開催されている森山大道の写真展「森山大道の東京 ongoing」である。
森山大道といえば、写真界で大御所中の大御所!
2008年、レジオンドヌール勲章シュバリエを受勲、2019年にはハッセルブラッド国際写真賞を受賞し、世界的にも有名な写真家なんだよね。
写真についてそんなに詳しくないROCKHURRAHも、森山大道のエッセイである「犬の記憶」を所持していたもんね。

かつて写真を趣味としていたSNAKEPIPEにとって、森山大道は当たり前のように知っている存在だった。ROCKHURRAHと一緒に観た2008年11月の「大道・ブランコ・コーヒー」が、森山大道の写真展を観た唯一の機会だったのかもしれない。
あの写真展では森山大道がブラジルを撮影、ミゲル・リオ=ブランコが日本を撮る、という企画だったね。
森山大道の写真に迫力を感じたことを書いているよ。

先日NHKのBSで「その路地を右へ~森山大道・東京を撮る~」を観た。
これはNHK ハイビジョン特集として2009年に放映されたもので、リクエストにより再放送された番組だという。
コンパクトカメラをポケットに入れて、東京を歩く森山大道を密着取材した、とても興味深い内容だった。
片手でカメラを構えてシャッターを押すまで、1秒かかってないんじゃないか、というくらいの素早さに舌を巻く。
スナップ撮る人は、あのくらいのスピードじゃないとダメなんだね。(笑)
森山大道の気取りのない素顔に触れた気がして、好感を持ったSNAKEPIPE。
そんな矢先、友人Mからの個展のお誘い、もちろん行きますとも!(笑)

約束した日は、どんよりした雲が空を覆っていたけれど、予報とは違って雨がパラつくことはなかった。
写真美術館のオープンである10時前に美術館前で待ち合わせる。
恵比寿駅近辺の人出は多かったけれど、恵比寿ガーデンプレイスにまで来ると、閑散としてきた。
半年ぶりの友人Mとは「やあ!」「おう!」というような、簡単な挨拶で終わり。
付き合い長いから、一言で伝わるんだよね。(笑)
チケットを買おうと入館すると、入り口には美術館関係者3名が待ち受けている。 
手の消毒、額の検温を済ませ、チケット売り場へ。
売り場には更に6名ほどの関係者が待っている。
階段でもすれ違ったので、恐らく10名以上の関係者が入り口付近にいたんだろうね。
入場者数を上回る関係者の数、本当に必要なんだろうか?
コロナ対策として消毒等は行っていたけれど、「三密を避ける」の部分に関しては疑問が残るよ。

オープンしたばかりだったせいか、森山大道の個展会場に足を踏み入れたのは友人MとSNAKEPIPEのみ!
貸し切り状態は嬉しいけれど、友人Mとの会話は監視員に筒抜けになってしまうところが難点。
この監視員も数名配置されていたので、客より多い計算だよ。(笑)
写真展での撮影は禁止されていたので、写真美術館のHPや写真展のレポートをしている記事などから画像を転用させて頂いたことをお断りしておこう。

最初にお出迎えしてくれたのは、「三沢の犬」である。
前述したNHKの番組「その路地を右へ」でも、この犬について言及し、撮影した現場に向かう様子も紹介されていたよ。
三沢基地にいた米軍関係者が、アメリカに戻る際に飼っていた犬を置き去りにしたようで、これは見捨てられてしまった犬のポートレートなんだよね。
犬の恨みがましい視線に、強い憤りや哀愁が見て取れる。
この写真を観る時には何故か犬の気持ちになってしまい、人間の身勝手さを感じる一枚だよね。

まるでアンディ・ウォーホールか、という展示の仕方をしている唇の写真群。
向かって右側には、1968年に発表された「にっぽん劇場写真帖」などの写真が展示されている。
あの時代の空気感というのは独特で、大きく伸ばされているために余計に迫力があったね。
研ナオコが写っている写真は、なんだったのかな。

次の会場は、仕切りもなくガランとした広い空間だった。
ここでは、モノクロ写真とカラー写真が真っ二つに分けて展示されていたよ。
友人MとSNAKEPIPEしかいないので、どこから観たら良いのか迷うほど。
所狭しとみっちり写真が並んでいる。
まずはモノクロ写真から観ることにしよう。

展示されていた写真群の一部。
森山大道の写真は、圧倒的に人間を被写体にしていることが多いんだよね。
その中に「物(ブツ)」が入ったり、風景写真が混ざり合って全体を構成している。
例えばこの画像の真ん中にあるバナナの写真や2つ右隣のマネキンだけを観ても、意味不明なはず。

かつて写真を撮影することに命に捧げていたSNAKEPIPE。(大げさ)
どうしても森山大道の写真が許せなくて「こんなのは写真じゃない!」と怒ったことを思い出す。
「これが写真なんだよ」
と写真家である父親から言われても納得できなかった、あの頃。
SNAKEPIPEが怒ったのは、例えばこの画像でいうなら「入れ歯」の写真。
この一枚だけ観たら「なんだこの写真は?」と思うよね。
くたくたになるまで歩き回って、やっと1枚手応えのある写真を撮るような苦労をしていたSNAKEPIPEにとって、森山大道の写真は安直な気がしたからね。
今観ても、この「入れ歯」の意味は不明だけど、全体の中の一部だから良いんだろうね。 (笑)
写真から離れ、以前のような殺気立った執念(?)がなくなったSNAKEPIPEは、ようやく森山大道の写真が解ってきたみたいだよ。

プリントされて、雑多に机に置かれた写真。
この状態が「これぞ大道!」なんだろうね。
会期中にも増える予定になっているという記事を読んだよ。
もし次に来館することがあったら、違いに気付くことができるのかな?(笑)
毎日写真を撮り続けているからこそ、できる展示方法だね。

前述したブログ記事「大道・ブランコ・コーヒー」の中で、「大道氏は写真界のパンク」と書いているSNAKEPIPE。
一目観て、作者が分かる写真を撮る人は多くないよね。
森山大道はその数少ない写真家の一人だろうな。
そして昨今取り沙汰されている肖像権問題にも、果敢にアプローチしているようだよ。
森山大道の、あの撮影方法では「撮って良いですか?」なんて許可を得ることは難しいはず。
そんな部分も含めてパンクだなあ、と改めて書いておこうかな。(笑)

1960年代から一貫してスタイルを変えず、現在も活動中だもんね。 
カラー写真になっても、大道節は健在!(笑)
1938年生まれなので、現在81歳。
NHKの番組の時でも、70歳を超えていたとは驚きだよ。 
毎日歩いて撮影し、タバコも吸えば酒も飲む。
10年経った今でも、同じような風貌で東京を歩き回っているんだろうな。
今回の展覧会では撮影している自分自身を写し込んだ作品が数枚あったね。
森山大道が「いた」記録とでもいうのか、存在証明という気がするよ。
これからも自分が視た景色や人を写真という媒体を通して、共有してくれるんだろうね。

まさに今、を撮影していた「森山大道の東京」、とても良かったよ!
森山大道を体感した、という気分だね。
久しぶりの展覧会鑑賞に少し興奮気味の友人MとSNAKEPIPE。
他の展覧会鑑賞は続くけれど、来週に乞うご期待!(笑)