2024年元旦

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【20世紀初頭の「イタリア未来派(futurismo)」を意識した今年の年賀状。相変わらずセンスいいね(自画自賛)】

ROCKHURRAH WROTE:

明けましておめでとうございます。

2022年と2023年は身内に不幸があって年賀状を作れなかったけど、今年は久々に新年の挨拶を出来るようになったよ。

前回のブログでSNAKEPIPEが書いた通り、去年は事務所移転に関わるモロモロの事に明け暮れた1年だったな。

移転先の粗大ごみ収集が当日の朝8時まで、1回につき9点のゴミしか出せなかったので、粗大ごみ出すためだけに朝の4時くらいに起きて、SNAKEPIPEと2人でわざわざ1時間以上かけて行ったり。
やたら数字が多い上の1文だが、こんなことを何回繰り返しただろうか。
ゴミがなくなって部屋が空になってきてからは、ペンキ塗りだの壁紙貼り替えだので連日のように往復2時間以上かけて通ったのも今までの人生ではなかった経験。
引っ越しは何回もやってるけど去年は色んな分野で人生初の経験が多かった1年だったと言えるね。
何と内装DIYは年末休みの間も続いていて、年の瀬までペンキ職人化した2人だったよ。

久しぶりで作った年賀状はイタリアの未来派と呼ばれる美術様式(?)を意識した未来都市をROCKHURRAHが制作したものだけど、どうかな?
毎年意味不明な1文を書いてるが今年は大好きなPalais Schaumburgの名曲「Wir bauen eine neue Stadt」そのまんま。オリジナリティないけど、色々なところからアイデアを拝借して短時間でそれっぽく作り上げるのもROCKHURRAHのお家芸ですな。

毎年のように元旦は千葉の成田山まで行ってたんだが、今年は東京より西に移転したので初めて川崎大師に行ってみた。
参詣の道がイマイチで成田山みたいに初詣に来たぞ、という高揚感がないし、やっぱりロケーションや雰囲気は大事だなと感じたよ。
去年は成田で大吉だったROCKHURRAHだが今年は半吉というパッとしない結果に。
SNAKEPIPEに至っては凶を引いてしまった。
有名な川崎大師だがウチにはあまり合わないようなので来年からの初詣は違うところを検討したいな。

おみくじの運勢に負けないように充実した1年にしたいよ。
では、今年もROCKHURRAH RECORDSをよろしくお願いします。

思い出のサマリー・ビート 2023

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【ROCKHURRAH RECORDSが目指したインテリア集(うそ!)】

SNAKEPIPE WROTE:

今日は2023年の最後、大晦日だよ!
いつの間にかクリスマスも終わり、正月休みに突入している。
先週のブログ「アニッシュ・カプーア展」を鑑賞した時は、コートが要らないほどの強い日差しを感じていたのにね?

今回は「思い出のサマリー・ビート」と題して、一年を振り返ってみよう。
その年の総括として「ベスト・オブ〜」のように書いていたこともあったけれど、アズテック・カメラの「思い出のサニー・ビート」をもじって2018年から始めた企画なんだよね。(笑)

2年連続で身内の不幸に見舞われたROCKHURRAH RECORDSは、毎年恒例になっている年賀状の制作ができなかった。
それ以前には、元旦に年初のご挨拶をアップしていたけれど、叶わなかったわけ。
そのため2023年最初の記事は「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」だったよ。
記事の中でSNAKEPIPEは3つの抱負を述べている。

2023年の抱負1:人の話を真剣に聞くこと
2023年の抱負2:岡本太郎語録のような心に突き刺さる言葉や作品を多く知ること
2023年の抱負3:日々を大事に、楽しく笑って過ごすこと

抱負1にある「人の話」とは、主にROCKHURRAHの話、ということになるよ。
つい聞き逃してしまうことがあるので、態度を改めようと文字にしたわけ。
今年は生返事していないと思うけど、ROCKHURRAHに確認しようか?(笑)

抱負2にあるような「突き刺さる作品」に出会いたくて毎回展覧会に足を運んでいるSNAKEPIPE。
事務所移転で忙しいと言いながらも、いくつかの展覧会に出かけていたよ。

2月 ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界
交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー
3月 合田佐和子展 帰る途もつもりもない
佐伯祐三 自画像としての風景
4月 エドワード・ゴーリーを巡る旅
5月 超複製時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?
ヴォルフガング・ティルマンス Moments of Life
6月 横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes
ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画
7月 ワールド・クラスルーム
8月 蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる
9月 テート美術館展
12月 ケリス・ウィン・エヴァンス L>espace)(…
アニッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来

 

ROCKHURRAHに今年の一番を聞いてみると「蔡國強展」だという。
SNAKEPIPEも全く同意見です!(笑)
夏の強い日差しを避けて、夜に六本木に向かったっけ。
蔡國強といえば「火薬ドローイング」だけど、絵画作品の展示もあったんだよね。
過去の作品から2023年の最新作までたくさんの素晴らしい作品を鑑賞することができた2023年のベストにふさわしい展覧会だったよ!

SNAKEPIPEは、フランス人であるポール・ジャクレーの浮世絵にも感銘を受けたよ。
日本の浮世絵をベースにしているけれど、色使いやモチーフ、構図に独自の美学を感じたからね。
特に色彩の美しさには「ため息」が出るほどだった。
100回以上、色を塗り重ねて完成させる執念にも驚いた!
今まで知らなかったアーティストを知ることができて嬉しかったよ。
どちらも先に書いた「抱負2」の「心に突き刺さる作品」に出会えた展覧会だったね!

2023年は、ROCKHURRAH RECORDSにとっては「事務所移転に関して動いた年」というのが一番だったよ。
3月頃から移転先の片付け作業に追われ、ROCKHURRAHは6月と7月の2ヶ月間、移転準備に専念することになった。
DIYで壁紙を貼ったり、ペンキを塗ったりして、まるで職人みたいだったよ。
顔にペンキをつけたまま電車で移動したこともあったっけ。(笑)

前回の事務所移転は2018年で、移転前1週間は平均睡眠時間2時間を切るほどのハードさだったことを思い出す。
今回はその時の教訓を生かして、早い時期から作業を進めていたんだよね!
無事に移転が完了してホッとしているよ。(笑)

2023年のもうひとつの話題は、5月に「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」が発売されたこと!
前作である「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」が発売されたのは2017年だけれど、その時点では購入せず、ゲームを始めたのは2021年になってから。
2022年の総括記事「思い出のサマリー・ビート 2022」の最後に「2021年から始めた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を終わらせたくなくて、未だにプレイしているROCKHURRAH」と書いてあるね。
実は、前作を完結させる前に「ちょっと見てみよう」と新作に手を出してしまう。
そのため現在プレイしているのは「ティアキン」で、「ブレワイ」はそのまま放置されているんだよね!
一体ROCKHURRAHはどうするつもりなんだろうね?(笑)
それにしても「ブレワイ」では大好きだったコログが、「ティアキン」ではちょっと鬱陶しい存在になっているのが残念でならないよ!

正月休みになっても、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEのDIYは続いている。
来年には満足がいく仕上がりになる予定だよ。
苦労しているだけ愛着も湧いてくるね!

来年はもっと展覧会行ったり、近場を散策したいと考えている。
抱負3の「日々を大事に、楽しく笑って過ごすこと」を実践しないとね。(笑)

一年間ありがとうございました。
また来年もよろしくお願いします。
どうぞ良いお年を!

アニッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来 鑑賞

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【ジャイルギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週のブログ、「ケリス・ウィン・エヴァンス 『L>espace)(…』」の記事の続きを書いていこう。
展覧会を「はしご」した話だよ。
表参道で必ず立ち寄る場所といえばジャイルギャラリー!
2024年1月まで開催されているのが「アニッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」なんだよね。
今回キュレーションしているのは、「デヴィッド・リンチ大好き」な飯田高誉さん!
飯田さんが企画した展覧会は難しいことが多いんだけど、リンチアンとして共通しているので、なるべく足を運びたいと思っているSNAKEPIPEだよ。
今回はアニッシュ・カプーアなので、ワクワクしながらROCKHURRAHと一緒に会場へ。

アニッシュ・カプーアについては2008年6月の「ターナー賞の歩み展」や2022年5月の「Anish Kapoor: Selected works」などで記事にしているよね!
大好きなアーティストだよ!

撮影についての許可を確認し、会場内へ。
入った瞬間、目に飛び込んできた風景がこれ。
「ぎゃっ」
叫んでしまいそうになるインパクトの強さ!
紙にガッシュで描かれた絵画作品と共に、赤黒い物体がそこかしこに点在している。
壁にも絵の具が飛び散っていて、まるで殺人事件現場に立っているかのよう。
ちなみにガッシュというのは、不透明水彩という絵の具のこと。
重ね塗りに適した水彩絵の具だという。
ペンキに近い感じになるのかもしれないね。

ウィーンでの展覧会で、カプーアは「大砲アート」とでも名付けたくなるパフォーマンスを見せている。
今回の「赤黒い物体」は似た雰囲気じゃない?
体を張ったアートは、まるで白髪一雄か!って思っちゃうね。(笑)

この展覧会に似合う音楽は何か、ROCKHURRAHと打ち合わせる。
BGMに選んだのがこちら!

Throbbing Gristleの「Beachy Head」だよ!
曲名の「Beachy Head」とは、イングランド・イーストボーン近くにある岬だという。
観光地としても有名らしいけれど、自殺の名所としても知られているんだとか。
不穏な雰囲気が、今回のカプーアの展覧会に似合っているように思うよ。
音を聴きながら、続きを観ていこう!

次の会場にも謎の物体が中央にドーンと置かれている。
壁の角にも、天井に迫るほどの高さにまで伸び上がるように成長している姿を確認。
そう、まるで生命体みたいなんだよね。
溶岩や肉塊にも見えるけど、今回は「謎の生命体」ということにしておこうかな。(笑)
「謎の生命体」が増殖していき、会場全体を覆ってしまいそうに感じたよ。

絵画作品はすべて「Untitled」となっていて、2022年制作とのこと。
アニッシュ・カプーアは現在69歳なので、68歳で描いた作品なんだね。
強烈な色彩と大胆な筆使いに、パワーがみなぎっている。
横尾忠則が86歳で100点以上の新作を短期間で描いていることにも驚いたけれど、今回のカプーアも圧巻!
力強さに満ちた作品を観て、SNAKEPIPEの体温が高くなってきたみたい。
エネルギーを注入され、血流が速くなったような感じかな?(笑)

展覧会のタイトルである「奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」に関して、キュレーターの飯田さんがサイトに解説を載せている。
カプーアの作品を鑑賞することで、自身の情動に気付くという。
先に「体温が上がり、血流が速くなったようだ」と感じたSNAKEPIPE。
まさにこの状態だったのかも?(笑)
「赤は神秘的な色」と語るカプーアは、意識的に赤色を使用した作品を制作していたので、鑑賞しているうちに闘牛の牛みたいに興奮状態に陥ったのかもしれないなあ。

展覧会用に動画が配信されていたよ。
とてもカッコ良い!

今まで鑑賞したことがあるカプーアの作品は、鏡や金属を使用した立体作品だけだったので、絵画作品は初めてだったかも。
エネルギッシュな作品群を鑑賞できて、とても嬉しかった!
こんな素晴らしい企画を無料で体験させてもらって、本当にありがたいね。
飯田さんの次のキュレーションにも期待だよ!

ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」鑑賞

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【エスパス ルイ・ヴィトン東京エレベーター前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されるケリス・ウィン・エヴァンスの展覧会「L>espace)(…」を知ったのは、数ヶ月前のことだった。
たまたまポスターを目にして気になっていたんだよね!
ケリス・ウィン・エヴァンスの名前は初めて聞くよ。
一体どんなアーティストなんだろうね?

1958年 ウェールズ生まれ
1980年 英国ロンドンのセント・マーチンズ・スクール・オブ・アートで美術学士を取得
1984年 ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのフィルム & テレビジョン専攻で修士号を取得
1986年まで 映画監督デレク・ジャーマンの助手を務める
1988年 短編映画「ディグリーズ・オブ・ブラインドネス」を発表
90年代初頭 彫刻またはインスタレーションに分類されるさまざまなメディアを用いた作品に移行

エヴァンスの作品はニューヨーク近代美術館やテートモダン、ポンピドゥー・センターなどに所蔵されているという。
ネオンなどの光や音、ビデオを使用したスタイルなんだとか。
そして経歴の中で注目したいのが、デレク・ジャーマンの助手だったところ!
デレク・ジャーマンといえば、やっぱり「ジュビリー」かな。
トレイラーはこちら。

この映画については2018年3月に「映画の殿 第28号 パンクロッカー、スクリーンに現る」としてROCKHURRAHが記事にしてくれているので、そちらを参照してね!
独特の感性を持った映画監督の助手をしていたと聞くと、エヴァンスに興味が湧いてくる。
エスパス ルイ・ヴィトンの訪問予約をして表参道に向かったのである。

12月なのに夏日に迫る気温の高い日で、薄手のコートを脱いでしまうほど。
ピカピカの日差しに、日傘を用意すれば良かったと後悔したSNAKEPIPEだよ。
あと10日でクリスマスなのにね!(笑)

いつ行ってもルイ・ヴィトンの入り口では尻込みしてしまうSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも同じだったようだよ。
傘を傘袋に入れてくれたこともあったっけ。(笑)
買い物客ではなく、作品鑑賞のためだけに訪れているのにもかかわらず、ドアマン(?)が丁重にエレベーターまで案内してくれる。

7Fの会場に到着。
予約していたことを告げると、係の女性がにこやかに対応してくれる。
作品の撮影がオッケーなこと、作品の説明が載っているサイトの案内など、とても丁寧だよ。
ガランと広い会場に目をやると、最初に飛び込んでくるのは日差し!
エスパス ルイ・ヴィトンはガラス張りなので、まるで温室のような暖かさ、いや暑さ!(笑)

着ていたコートを脱ぎ、作品に近づいてみる。
「A=F=L=O=A=T」というタイトルの作品は、20本のガラス製フルートで作成され、音が鳴っていた。
大昔のSF映画に出てくる宇宙から来た生物みたいで、とても好き。
パリのフォンダンシオン ルイ・ヴィトンのために作られた作品なんだって。
ルイ・ヴィトンの説明に「この作品は少し変わった不気味な存在感を放っています」と書かれているよ。
その不気味さが良いんだね!(笑)

途中でROCKHURRAHも気付いたようだけど、今回の展覧会は夜になってから鑑賞すべきだったんだろうね。
明るい日差しの中でキレイに見えたのは松の作品「Still life(In course of arrangement…)Ⅱ」だね。
ゆっくりと回転する松には、何もトキメキはなかったのが正直なところ。
テキストがネオンで光る仕掛けになっている作品も、ほとんど空と一体になっていたもんね。
観ただけでは趣旨が伝わらないので、エヴァンスについて説明しているエスパス ルイ・ヴィトンの説明を引用させていただろう。

エヴァンスが作り上げるのは、意味の迷宮です。
空間に形となって現れる引用や原典のあるテキストは、しばしば不可解な難問の様相を呈します。
ポスト象徴主義や前衛の文学に垣間見られる遊びの要素や難解な側面が、インスピレーションの大きな源となっているのは明らかでしょう。(中略)
コンピュータに接続されている光が、その画面に流れていくウィリアム・ブレイクの詩や、フェミニスト理論家のジュディス・バトラー、神学者のミシェル・ド・セルトー、あるいはマルキ・ド・サドからの引用文をモールス信号の点滅で伝えるのです。
光を用いて不明瞭なステートメントを伝えるという手法に象徴されるような矛盾を顕在化させるのがこの作家の特徴です。
彼の見方では、詩は「実験のエキゾチシズム」と呼ばれるものから生まれ、その多義性の重なりの中で、事実とフィクション、現実とその分身、打ち立てられた確信と矛盾した感情などの間にある曖昧な領域を探求することができるのです。

「意味の迷宮」やら「矛盾を顕在化」「曖昧な領域を探求」といった文言が並んでいるので、かなり難解で複雑な作品なんだね。
アーティストの意図を理解してから鑑賞したら、もっと面白かったのかもしれない。

夜になると、こんな感じに見えるらしい。(笑)
この空間を目に前にしたら「うわっ」と声が出たかもしれない。
説明がなくても驚きや喜びを感じたかも。
光やネオンの作品を鑑賞する時には時刻を考えないといけないね。
そのためには事前に予習する必要ありだわ。
エスパス ルイ・ヴィトンは大失敗してしまったけれど、この後もう一つの展覧会を「はしご」したんだよね。
さて、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは何を観てきたのか?
次回をお楽しみに!(笑)