久しぶりで作った年賀状はイタリアの未来派と呼ばれる美術様式(?)を意識した未来都市をROCKHURRAHが制作したものだけど、どうかな? 毎年意味不明な1文を書いてるが今年は大好きなPalais Schaumburgの名曲「Wir bauen eine neue Stadt」そのまんま。オリジナリティないけど、色々なところからアイデアを拝借して短時間でそれっぽく作り上げるのもROCKHURRAHのお家芸ですな。
そんな壁紙への恨みを込めてこの曲を選んでみた。 1980年に出たエコー&ザ・バニーメンの1stアルバムに収録されていた「The Pictures On My Wall」だ。 1979年にシングルとしてリリースされたデビュー曲なんだが、シングルの時はまだドラムがいなくてリズムマシンと弾き語りみたいなスタイルだったな。 このアルバム・ヴァージョンの方よりも個人的には最初の簡素な方が好きって人も多かろう。
80年代的に言うとあまり知られてないノルウェーのバンドの中で、最も知名度が高いのがこのa-Haで間違いないだろうな。 知名度云々よりも音楽とかに特に興味なくても、この当時に青春期だった人ならば彼らの「Take On Me」はどこかで一度は聴いたことがあるだろうというくらいの、1985年の大ヒット曲だよね。 ノルウェーで活動してたわけではなくイギリスに渡ってから大成功を収めたから、故郷に錦を飾った(最近あまり言わない表現だな)ノルウェー人バンドというわけだ。
1982年の結成以来、メンバーが変わることなく不動の仲良し3人組で、いまだに活動しているというのもビックリだ。 デビュー曲「Take On Me」はデッサンがアニメーションして実写と混ざるという、当時としては斬新なビデオが話題を呼び大ヒットしたが、実はこれより前のあまりヒットしなかったヴァージョンというのも存在しているようだ。
「Take On Me」があまりにも有名だからこの時だけの一発屋だろうと思ってたが、それなりにヒットで食いつないでいたようで、上の方のビデオも大メジャー映画「007 リビング・デイライツ」のテーマ曲だったな。 実はROCKHURRAHもSNAKEPIPEも007シリーズは1作目からダニエル・クレイグが最後を飾った「ノー・タイム・トゥ・ダイ」まで(どのタイトル言われても内容がパッと思い出せるほどのファンじゃないけど)ほぼ全作観ている。 「リビング・デイライツ」は歴代ボンドの中でも一番印象が薄いティモシー・ダルトンによるもので、前のロジャー・ムーアの陽気なボンドの方が良かったよとか言いながらも、もしかしたらジェームズ・ボンドの本来の雰囲気を最も出していたのかも。 ウチでは満場一致で(2人しかいないけど)やっぱり一番はショーン・コネリーだけどね。
a-Haのテーマ曲は「Take On Me」よりは骨太でいかにも80年代ヒット曲のオーラに溢れる野心作だが、007のタイトルバックをそのまんま当てはめたようなビデオもいいね。 知名度の高いa-Haを冒頭に持ってきたが、個人的に何も思い入れがないからぞんざいな文章になってしまったし、ノリも悪いな。 やっぱりROCKHURRAHはこういうメジャーどころには疎いと痛感したよ。
「Down in Japan」というタイトル通り、日本の映像がメインとなって、そこに浮かび上がるアンドレイ・ネッブの顔と抑揚ない歌という構成で、プロモーション・ビデオがある自体が謎。売る気はあったんだろうな。 ちなみに今はミュージック・ビデオとかMVとか言ってるけど、80年代的にはプロモーション・ビデオ、プロモと言ってたのでウチでは80年代方式を貫くよ。
ビデオはメジャー路線も板についてきた1986年のヒット曲「Shouldn’t Have To be Like That 」だ。 涼し気なメロディーと大仰ではない等身大のポップス、というような図式はイギリスのスミスとかギターポップのいくつかのバンドにも呼応するが、そういう取り入れ方もうまいバンドなんだろうな。 しかしビデオの方は実写がデッサンで塗られていったり、a-Haの「Take On Me」をさりげなくパクったような出来。 うーん、やっぱり拝借するのが上手なバンドとしか言われないだろうな。
Alle Tiders Dusterは地元ベルゲンを舞台に、子どもたちを主人公にした「Carl Gustav, gjengen og parkeringsbandittene(カール・グスタフと仲間たち)」というコメディ映画にそのまんまバンドとして出演している。 1982年のノルウェー映画で日本で公開もDVD化もされてなさそうだが、この時代に流行した子供が主役のちょっとした冒険ものみたいな雰囲気が楽しそう。
さて、知ったバンドも少ないし大して書けないだろうと予測していた諾威編だが、意外と長く書いてしまった。 最後のバンドは首都オスロで1982年に結成したバンド、前述のブラックメタルとは何の関係もないGarden Of Delight、これで終わりにしよう。
ビデオを見ればわかる通り、派手な女性を4人も含む5人組で本場イギリスにもいない本格派のポジティブ・パンク、ゴシックのバンドだった。死体役だけが男なのかな? 女性メンバーが多いこの手のバンドというとドイツのX-mal Deutschlandが同じような編成だが、ヴォーカルや演奏のスタイルはたぶん多くの影響を受けてるような気がする。 とは言ってもほぼ同時代のバンドでしかもゴシックなシーンもなさそうなノルウェーだと考えれば、Garden Of Delightはかなりポイント高いと思えるよ。 ヴィジュアル的にも良いのでもう少し頑張って音楽活動に勤しんでいれば、伝説のバンドにもなれたのに惜しい。 1984年にシングル2枚と87年にアルバム1枚出しただけで終わっていて、しかもアルバムの方は全くゴシック要素もないようなジャケットで、間違って買う人も稀だったに違いない。
この手の先駆者で絶対的女王と言えばスージー&ザ・バンシーズで、同じようなジャンルの女性ヴォーカルというと大半がスージーっぽい。 演奏がちょっと違うだけでバンシーズなのか別のバンドなのか違いがわかりにくい、などという苦情が寄せられてもいるが(ウソ)、Garden Of Delightはまあ見栄えの良さで数あるポジパン・バンドの中でも高得点をつけられると思うよ。 イギリスに渡れば良かったのにね。