ライゾマティクス_マルティプレックス 鑑賞

20210606 01
【相変わらずの構図でスミマセン】

SNAKEPIPE WROTE:

2021年4月に東京都現代美術館で鑑賞した「マーク・マンダースの不在」の感想を書いたSNAKEPIPE。
「素晴らしい展覧会なので、ROCKHURRAHと一緒にもう一度鑑賞しよう!」という文章で締めくくったのだけれど、その直後に美術館は緊急事態宣言により閉館となってしまう。
例えば松濤美術館のフランシス・ベーコン展などは「臨時休館の再延長とフランシス・ベーコン展閉幕」となってしまった中、東京都現代美術館は6月1日から完全予約制で開館されることになった。
これは急いで行かなければ!
早速ROCKHURRAHが近い日付の予約をしてくれる。
せっかくなのでマンダース展と同時開催している「ライゾマティクス展」も行くことにする。
実は「ライゾマティクス」について全然知らないんだけどね。(笑)

どうやら「ライゾマティクス」は4月にNHKの「日曜美術館」で取り上げられたせいもあってか、人気の展覧会のため時間指定をする必要があるらしい。
早い時間を指定し、美術館に向かう。
前日は暴風雨が吹き荒れ、少し歩いただけでずぶ濡れになる悪天候だったけれど、日頃の行いが良いため展覧会鑑賞の日は良い天気に恵まれたROCKHURRAH RECORDS。
雨男のROCKHURRAHのパワー不足のせいかもね?(笑)
マンダース展の時間指定はないので、最初に「ライゾマティクス展」を鑑賞することにしよう。

まずは東京都現代美術館のサイト内にあった動画を載せておこうか。
「ライゾマティクス」とは一体何者?というのがわかるかも。
というより、この動画で展覧会の概要が分かるかもよ?(笑)

では会場に入ってみよう。
最初にお目見えしたのが、巨大なスクリーンに映し出される「ライゾマティクス」のオリジナルロゴと地下茎の映像だよ。
「ライゾマティクス」が、複数人でメディア・アートを構築する集団だと知る。
1976年東京生まれの真鍋大度が代表となり、2006年に「株式会社ライゾマティクス」を設立し、今年が15周年だという。
プログラマーや研究者などを含む団体の総称が「ライゾマティクス」と聞くと、今まで知っていたアートの形態と大きくかけ離れていることが分かる。
チームで作るプロジェクトなんだね。

今回の展覧会名にもなっている「マルティプレックス」という作品が素晴らしかった。
会場についた時には、画像左上のようなカウントダウン映像だけが流れていて、これから一体何が始まるのか全く不明。
カウントがゼロになるまで待っていると、イベントが始まった。
プロジェクション・マッピングのような 映像の投影と音響が入る。
そのうち5つの立方体が動き始める。
プログラミングされて動いていることは分かるのに、立方体自身が意思を持っているような錯覚に陥る。
鑑賞後ROCKHURRAHと話したのは、例えば「2001年宇宙の旅」のHALや「攻殻機動隊」のタチコマのように話すことができる機械とは違い、「マルティプレックス」の立方体は、純粋な無機物なのに感情移入しそうになるところが新しいということ。
今回の展示で一番面白かったよ!
本来はこうした作品の場合、動画でお伝えしたいところだけど、動画撮影禁止だったため、静止画で紹介することになったのが残念。
上に載せた会場の動画では、全く別のバージョンに見える「マルティプレックス」が紹介されているので、様々なパターンがあるのかもしれないね?

もう一つ「particles」という大掛かりな作品があった。
こちらも「マルティプレックス」同様、カウントダウンから始まるみたい。
またもやゼロになるまで待つことにする。
この会場には椅子が用意されていたので、ROCKHURRAHと座って待つ。
イベントが開始されるまでの時間が長く感じられ、せっかちなSNAKEPIPEは少しジリジリしてしまった。(笑)

ようやくイベントが開始される。
レールを動き回るボールに光が当たり、小宇宙のような空間になる。
ボールはまるで線香花火の火球(先の火種部分)のように見えて、儚い雰囲気だった。
「particles」のオリジナルは2011年で、今回は2021年版として発表された作品とのことだけど、10年前との違いはどこだったんだろう。
まばゆい光が美しかったよ!

最後に今回の展覧会で使用されているシステムやデータの展示があった。
会場内での人の動きをスキャンしたり、数値化している様子が分かる。
「ライゾマティクス」が行っているメディア・アートは、最近よく鑑賞する形態なんだよね。
例えば2019年12月の「未来と芸術展」で観たアウチの「データモノリス」や2021年3月の「2021年宇宙の旅 モノリス_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ」展など、似た印象の展覧会だったと思う。
人間の動きや脳の活動を符号化し解読するプロジェクトなど、アートと研究が、それぞれの境界を超えて開発されているのは興味深いよね。
アニメやSF小説の世界が現実味を帯びているみたいだから。
今回は「ライゾマティクス」の初大規模個展とのことだけど、SNAKEPIPEには少し物足りなかったかも。
それでも日本でのメディア・アートの世界を知ることができたので、行って良かった展覧会だよ! 

マーク・マンダースの不在 鑑賞

20210418 top
【いつも同じ構図でスミマセン!】

SNAKEPIPE WROTE:

2019年5月に鑑賞した「百年の編み手たち〜ただいま/はじめまして」 で、恐らく「はじめまして」だったオランダ人アーティスト、マーク・マンダースの作品は、今でも強く印象に残っている。

かなり犯罪めいた雰囲気で、ドラマ「ハンニバル」の殺人現場を思い出してしまう。

そんな感想を書くほど、怖い作品だったんだよね!
東京都現代美術館でマーク・マンダースの個展が開催されることを知り、ワクワクした。 
タイトルは「マーク・マンダースの不在」だって。
その意味について解説が載っているので、転用させていただこう。 

架空の芸術家として名付けた、「マーク・マンダース」という人物の自画像を「建物」の枠組みを用いて構築するというもの。
その建物の部屋に置くための彫刻やオブジェを次々と生み出しインスタレーションとして展開することで、作品の配置全体によって人の像を構築するという、きわめて大きな、そしてユニークな枠組みをもつ世界を展開しています。
タイトルにある「不在(Absence)」は、インスタレーションに見られる時間が凍結したような感覚や静寂、既に立ち去った人の痕跡、作家本人と架空の芸術家との間で明滅する主体など、マンダース作品全体の鍵語として複数の意味を担うものですが、それはまたこの建物が作家の不在においても作品として自律的に存在し続けるものの謂いでもあるでしょう。
(展覧会サイトより抜粋)

長文になってしまったけれど、マーク・マンダースというアーティストを知る手がかりになるんじゃないかな?
SNAKEPIPEが架空の美術館に展示するための作品を集めるという企画である、当ブログの「SNAKEPIPE MUSEUM」に近い発想といえるのかも。
マーク・マンダースについてもう少し調べてみよう。 

1968 オランダ生まれ
1988〜92 アーネムのHogeschool voor de Kunsten(アーネム市芸術大学)で芸術を学ぶ。
最初にグラフィック・デザイン、次に作家を目指したという。
自身のスタジオを始める
1992 アート&パブリックスペースのカテゴリーにおいてDutch Prix de Romeの2等賞を受賞
1998 サンパウロ・ビエンナーレに参加
2002 ドクメンタ11に参加
2010 Dr.A.H.ハイネケン芸術賞を受賞
2013 ヴェネツィア・ビエンナーレに参加

1968年生まれなので、現在52歳。
1986年から「建物としての自画像」というコンセプトで、彫刻やオブジェを制作しているというので、かれこれ35年間になるんだね。
80年代を経験した人ということで、同志と呼ばせてもらおう。(笑)
世界各地で個展を開催し、現在はベルギーを活動拠点にしているという。
マンダースの個展、とても楽しみだよ!

久しぶりに晴れた風の強い日、長年来の友人Mと待ち合わせる。
気温も低く、冬に逆戻りしたような寒さに驚いてしまう。
初夏を思わせる陽気の3月を経験した後だから、尚更だよ。
友人Mはあまりの寒さに3回、着替えて用心したらしい。
SNAKEPIPEも友人Mも寒がりなんだよね。(笑)
現代美術館に到着すると、入り口に観慣れない彫刻を発見!
「これ、マンマンのだよね?」
友人Mは、いつの間にかマンダースのことを「マンマン」と呼んでいるよ。(笑)
「2つの動かない頭部」というブロンズ彫刻は、表と裏で顔が違っていた。
明るい日差しを浴び、木場公園の新緑を背景にした彫刻は、とても良かったよ!

撮影を終えて、入場する。
この日は行列もなく、すんなりチケットを購入。
空いてて良かったよ!
マンダース展は、一部作品の撮影が可能とのこと。
どんな作品が待っているのかな?

マンダースの代表作とされる2010-11年の作品、「マインド・スタディ」。
遠景で観ると分かるように、ロープを張った微妙なバランスの作品なんだよね。
両腕と片足がもがれ、残った1本の足を思い切り突っ張らせて、ようやく立つことができそうだよ。
人物のアップも載せてみよう。
顔立ちは穏やかというより無表情。
恐らくマンダースは子供時代、何かしらの適応障害だったんじゃないか、と予想する。
周りに馴染めず、読書や絵を描くなど一人の時間を多く過ごしていたように思える。
孤独感や精神的に追い詰められた様子を、この作品から感じたSNAKEPIPEだよ。

2014-18年の作品「黄色と青のコンポジション」。
今回展示されていた作品に多く観られたのが、この黄色い板(?)が左目から頬に埋め込まれているもの。
何かの抑圧を意味しているのかな、と思ったのは作品が「自画像」だと知ってからだよ。
作家本人を表しているのでなければ、狂気の犯罪者になってしまうからね。

1992-93年作の「狐/鼠/ベルト」は、床に置かれた作品だった。
動物がこの状態でいるということは、恐らく死んでしまった状態だと思うけれど、とてもかわいらしかったんだよね。
どうして鼠がベルトで固定されているのか?
鼠がマンダースで、なんて想像は陳腐と言われてしまうかな。(笑)

東京都現代美術館の「ただいま/はじめまして」の展示も、薄いビニールで仕切られた空間に、ポツンと作品が展示されていたんだよね。
今回も作品ごとにビニールの仕切りがあり、次のスペースに行くまで、 どんな作品が待っているのか分からないようになっている。
ビニールを抜けて目に飛び込んできたのが、この4体の彫刻だった。
観た瞬間に「うわっ」と声を出してしまうほどの大きさと迫力!
巨大な仏像が目の前にあるような感覚だよ。
そしてこの彫刻も左目に黄色い板が埋め込まれているんだよね。

2019年に鑑賞して怖かった作品「椅子の上の乾いた像」。
東京都現代美術館が所蔵している作品なので、当然ながら東京都が購入した、ということになるんだろうね?
現在東京都民のROCKHURRAH RECORDSなので、アートに関することに税金使ってくれるなら喜んで払いますとも!と両手を挙げて賛成するよ。(笑)
そしてやっぱりこの作品は、犯罪っぽく見えたんだよね。

まるで「ブレードランナー2049」に出てきたような巨大な頭部の彫刻作品。
タイトルは「乾いた土の頭部」で、2015-16年の作品だよ。
この作品も大きさがあるので、インパクトが強いよ。
SNAKEPIPE MUSEUMに展示して、ブレード・ランナーごっこしようかな。(笑)
この作品が中庭にあったら嬉しいだろうな。
早速価格交渉してみよう!(うそ)

「wrapped in plastic」な状態の作品「黄色い鉛筆のある土の像」を観て、真っ先に頭に浮かんだのはアメリカのTVドラマ「ツイン・ピークス」のローラ・パーマー!
ビニールからはみ出たブロンドヘアは、絶対ローラだよ。(笑)
きっとマンダースも観て、ファンだったに違いないと勝手に解釈する。
そしてツイン・ピークスの迷宮のような謎に、SNAKEPIPEや友人Mと同じように喜んだだろう、と想像する。
同志、と書いたのはそんなこともあったからなんだよね!

この作品を観て「欲しい!」と2人で声を出してしまう。 
「黄色い縦のコンポジション」は、木の間に切断された頭部がはさまっている。
不気味さと美しさが混在している作品なんだよね。
「こんなブックスタンドがあったら良いのに」
友人Mがいう。
確かに、本棚にこの作品があったら素敵だろうね!
本を探す度に、ギョッとしそうだけど。(笑)

大量のドローイングは非常に気になった作品群だよ。
頭に浮かんだヴィジョンを即興で描いた、という雰囲気の作品に見えたけど?
このエリアも「かなり犯罪めいた」タッチで怖いんだよね!
「ヴァニラ画廊の『シリアルキラー展』に展示されてもおかしくないよ」
2016年に友人Mと鑑賞した、本物の(?)シリアルキラー達が描いた作品が展示されていた企画を思い出したんだよね。
マンダースも内に異常性や残虐性を秘めているんだろうか。
ドローイング群は撮影できなかったので、この作品はSNAKEPIPEの撮影じゃないのが残念!

「調査のための居住」(だったと思う)も、色鉛筆やカセットテープが床に直置きされていた、撮影禁止の作品だった。
カセットテープというところが、やっぱり同志!(笑)
TDKのカセットを見て嬉しくなってしまう。
「the cureのPornographyって書いてあるよ!」
友人Mがすかさずカセットテープを確認する。
1982年に発表されたザ・キュアーの「ポルノグラフィ」を、マンダースも聴いてたんだね!
マンダースが同時代に、似た傾向の音楽を聴き、恐らく同じように感じていただろうと思うと、より一層親近感が湧いてくる。
素晴らしい展覧会なので、ROCKHURRAHと一緒にもう一度鑑賞しよう!(笑)

佐藤可士和展 鑑賞

20210328 top
【毎度お馴染みの構図で看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

「すごく有名な人なんだよ。知らないの?」
長年来の友人Mの発言である。
現在、国立新美術館で開催されている佐藤可士和展についての会話なんだよね。
SNAKEPIPEは佐藤可士和という人物を全く知らなくて。 
せっかくなので、経歴を調べてみようか。 

1965年 東京生まれ
1989年 多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン科卒業後、博報堂に入社
2000年 独立し、株式会社サムライ設立
2007年〜 明治大学客員教授
2008年〜 多摩美術大学客員教授

博報堂に入社して独立とは、エリート中のエリート!
ROCKHURRAH RECORDSではグラフィックやタイポグラフィに関する記事を書いてきているつもりだったけれど、佐藤可士和は全く知らなかったよ。(笑)

気温が上昇し、初夏の陽気になるという快晴の日、六本木に向かう。
なんとこの日、SNAKEPIPEに珍しく待ち合わせに遅刻してしまったんだよね!
1時間勘違いしていたことが原因なんだけど、友人Mはショップ巡りをして優雅な時間を過ごしていてくれたので良かった。
もちろんランチをご馳走して、お詫びしましたとも。(笑)
桜が満開で、とてもキレイ!
会場である国立新美術館を撮影してみたよ。 

国立新美術館は、コロナ対策のため予約制が原則とのこと。
事前に友人Mが手配してくれたので、距離をとって列に並ぶ。
入場を待っている客層は、全体的に若いよ。
SNAKEPIPEが命名した「国立系(高齢者のアート好き)」とは 違うことに気付く。

いよいよ入場となる。
人数をカウントしている係員の指示に従って入ったけれど、会場入口から密な状態になっていた。
今回の展示は、ほとんど全て撮影オッケー。
そのためスマホを片手にしたお客さんが立ち止まるんだよね。
佐藤可士和が手がけたパルコの広告(2000年)がこれ。
今年の1月に鑑賞した石岡瑛子展で目にした石岡瑛子版を彷彿させる作品だよね。

佐藤可士和が手がけたロゴマークの一部。
セブンアンドアイ、ツタヤ、ユニクロ、そして会場となっている国立新美術館もあったよ。
これらのロゴは1mくらいの大きさで、壁にかけられていたんだよね。
そんなに大きくしなくても。(笑)
あまりに有名過ぎて、撮影することに躊躇してしまうほど。

その他のロゴが一覧になっている。
どこかで目にしたことがあるロゴもありそうだけど、企業名と一緒に展示していないので、謎のロゴも見受けられるよ。
四角4つが横並びとか、横棒2本は、どんな会社なんだろう?
正解は、会場でもらったマップに記されているよ。
見ただけで全問正解の方はいるかな?(笑)

セブンイレブン商品のパッケージ・デザインもやっているんだね。
佐藤可士和の名前を知ったのも初めてだけれど、「クリエイティブ・ディレクター」という肩書も初耳だよ。
コンセプトを開発し、アイデアを具現化するための指針を決定する責務を担い、各分野の専門スタッフを指揮する中心的な立場の人物(wikipediaより)を指すという。
トータルプロデュースする人、という理解で良いのかな。

順路に従い歩いていくと、大きなパンダを発見!
これは「佐藤可士和展オリジナル お買いものパンダ」だって。
かわいいものには目がない、10代くらいの4人組女子が、かわるがわるパンダと一緒に撮影している。
時間がかかりそうだから、次に行こうとすると
「写真撮りたい」
と4人組女子が立ち去るまで待つという友人M。
そうだった!
友人Mが大のパンダ好きだったことを失念していた!(この記事参照)
女子達を待っていると
「撮影お願いしても良いですか」
と声をかけられてしまった!
SNAKEPIPEが快く応じ、パンダと女子4人をパチリ。
喜んでもらって良かった。(笑)
友人Mも思い切りパンダの撮影ができて良かったね。

展覧会のポスターになっている作品「LINES」。
上のパンダが着ているTシャツも赤白青のボーダーだよね。
このボーダーの太さが変化したり、格子状になったりして様々なパターンがあったよ。
この作品はムービーだったけれど、動画撮影は禁止されていたので画像で記録したよ。

「LINES」が有田焼になって展示されていた。
とても美しくて、販売されていたら欲しかったなあ!
きっとかなりの高額になるだろうけど。(笑)
飾皿としても良いけど、実際に使用するお皿だったら素敵だよね。
一体どんな料理を盛り付ければ良いのか考え中!(うそ)

現代の日本を代表する企業名が揃い踏み!
今まで目にしていたロゴ・デザインが、佐藤可士和の手によるものだったと知り驚く。
現代日本の消費を促す立役者、ということになるのかな。
客層が若いのも納得だよ。
確かに友人Mの言う通り「有名な人」だね。(笑)

対峙する眼/2021年宇宙の旅 鑑賞

20210307 09【岡本太郎記念館の入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

3月6日は我らが鳥飼否宇先生のお誕生日!
鳥飼先生、おめでとうございます!
SNAKEPIPEも先日、誕生日を迎えましたよ。(笑)

月に一度は、長年来の友人Mと約束をして、何かしらの展覧会を一緒に回っている。
今回はどこに行こうかと相談したところ、
岡本太郎記念館に行きたい」
という提案があった。
岡本太郎の展覧会といえば、2011年に東京国立近代美術館で開催された「生誕100年 岡本太郎展」で感動したことを思い出す。
今から10年も前のことだったとは、月日が経つのは早いものよ。
青山にある記念館のカフェに行ったことはあるけれど、内部は初体験なんだよね!
せっかくなので、表参道のジャイルギャラリーも観ることにする。

夕方からは雨になるけれど、気温は高いという予報の日、ジャイル前で待ち合わせる。
気温が高いは嘘でしょ、というくらいの寒さ。
友人Mも服装を失敗した、と嘆いている。
建物に入れば寒さがしのげるよ、とジャイルに入ろうとすると
「OPEN 11:00」
の看板が出ていて、ドアが閉ざされている。
10時からのオープンだとばかり思っていたのに、勘違いだったか?
岡本太郎記念館を先に鑑賞することに決め、少し早足で歩いて向かうことに。
こちらは10時開館だったからね!

岡本太郎の伝記ドラマ「TAROの塔」を見ているSNAKEPIPEは、アトリエの様子などをある程度は知っていた。
実際に岡本太郎が活動していた場所に足を踏み入れることができるなんて、嬉しい限り!
ドアを開けるとチケット売り場があり、その後方にはグッズが並んでいる。
靴を脱いでスリッパに履き替え、入館する。
そうだよね、ここは岡本太郎の家なんだもんね。

2階の会場へ階段で上る。
まず目に飛び込んできたのは、「太陽の塔」の縮小版彫刻。
そして少し照明を落とした会場に並んでいたのは、「対峙する眼」という展覧会名通り「眼」をモチーフにした作品群だった。
載せた画像は「顔の花」。
まるでメラメラと燃える炎のように見えるけど、花だったんだね。
どの作品も勢いがあって、一目で「岡本太郎だ」と分かるインパクトの強さだよ。

会場の中央に置かれていた作品「愛」。
とても抽象的だけれど、男性(左)と女性(右)だと分かるね。
岡本太郎の顔がない作品をあまり見たことがないような?
それでも特徴的な曲線で、やっぱり岡本太郎だなと気付く。
エネルギッシュな作品が多い中、この「愛」という作品には穏やかな眼差しを感じたSNAKEPIPE。
静と動でいうと、静なんだよね。
岡本太郎の別の側面を見た気がしたよ。

かわいい立体作品群に目が釘付け!
「ひゃーかわいい!」
友人Mと叫んでしまう。
ユーモラスな表情を見て、思わず笑顔になる。
「午後の日」と題された頬杖をついた右奥の作品は、ミュージアム・ショップでペンダント・ヘッドとして販売されていたんだよね。
本気で購入を考えてしまうほど、気に入ってしまった!
ただしシルバー製なので、お値段約3万円ほど。
もう少しお値打ちだったらなあ!
作品の下に敷かれている布も素敵なんだよね。
スカーフにしたいくらい。

1階に戻り、別の会場に入る。
「ギャッ、びっくりした!」
まさか岡本太郎自身がお出迎えしてくれるとは思っていなかったので、非常に驚いてしまったよ。(笑)
庭に面した明るい部屋には、所狭しと岡本太郎の手によるありとあらゆる物があふれていた。
どれか一つ欲しいと思ってしまうよ。(笑)
こんな部屋で庭を眺めながらお茶を飲んだら、リラックスできるだろうね。

ミュージアム・ショップで散々迷った末、友人Mとお揃いでキー・カバーを購入。
これは「太陽の塔」の顔が裏と表になっているタイプで、とてもかわいい!
玄関の出入りの度にご対面できるのは嬉しいね。(笑)
最後に庭を散策してみる。
大きなバナナの木に負けないくらいの存在感を示す彫刻が、あちらこちらに点在している。
植物の影に隠れているのを見つけるのが楽しい!(笑)
ここにもいるよ、などと声を掛け合いながら作品を鑑賞する。
作品数はそんなに多くなかったけれど、建物内部に入っただけでも貴重な体験だったよ。
今度はまたカフェでお茶も良いな!

ランチ後、再び表参道ジャイルに戻る。
友人Mと約束すると、長い時間歩くことが多いんだよね。
デスクワークのSNAKEPIPEには、良い運動かも。(笑)
今回のジャイルギャラリーは「2021年宇宙の旅 モノリス_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ」という非常に長いタイトルの展覧会を開催中。
企画はリンチアン(デヴィッド・リンチ愛好家)の飯田高誉さんなので、期待してしまうよ!

タイトルを見て分かる通り、今回の展覧会はキューブリック監督の「2001年宇宙の旅(原題:2001: A Space Odyssey 1968年)」を意識した展覧会なんだよね。
入り口入ってすぐの左手には、ドーンとモノリスが!
もし触ったら、何か変化が起きたのかも?(笑)
展覧会のサイトには、飯田高誉さんが難解な文章で、展覧会の趣旨について説明しているよ。
「人類の膨大な記憶を蓄えた装置」がモノリスだって。
つまりアカシックレコードってことなのかな。

続いてはアニッシュ・カプーア の「Syphone Mirror Kuro」。
このアーティストについては、2008年の「ターナー賞の歩み展」で、感想を書いているSNAKEPIPE。
作品の前に立った時、吸い込まれそうな不思議な感覚になったんだよね!
そして鳥飼否宇先生の「中空」について感想を書いた時、その作品の画像を載せたことがあったっけ。
今回は日本の漆を使った作品だったんだよね。
以前鑑賞した時とは違って、漆の光沢のせいで自分や後方の景色が映ってしまい、幻惑させられることがなかった。
「ターナー賞」の時みたいな感覚に陥らなかったのが、非常に残念だよ!

森万里子の作品「トランスサークル」は、淡い光の色合いがとても美しかった。
時間の経過で色が変化していく。
たまに全く光を発してないこともあるので、写真を撮るタイミングに注意が必要だよ!
縄文と太陽系惑星群の運行や輪廻転生などの説明がされている作品だけれど、そうしたことを理解しなくても、印象に残る作品だね。
森万里子はあの森ビル創設者を祖父に持つ、森一族のお嬢様なので、その出自が羨ましいと友人Mと話す。
お金には全く苦労しないアーティストだろうと想像できるからね!

2019年12月の「未来と芸術展」で印象的だったのは、火星に移住するためのシミュレーション動画だった。
中でも3Dプリンターを使って、住居を組み立てるシーンは、観ているだけでワクワクしてしまったSNAKEPIPE。
3Dプリンターが欲しくなっちゃたもんね。(笑)
ネリ・オックスマンの作品「流離う者たち」も、地球以外の惑星で生活するための人工臓器を3Dプリンターで作成するシミュレーション動画だった。
なんでも作れちゃうんだね!
そしてこのネリ・オックスマンという方の経歴がすごい。
イスラエル出身の女性で、ヘブライ大学医学部、イスラエル工科大学建築学科、英国建築協会付属建築学校、マサチューセッツ工科大学で博士号取得、同大学で准教授として勤務、現在はメディアラボで研究を続けながらアーティスト活動をしているというスーパー・ウーマン!
医学と建築とアートを結びつけることができるんだもんね。
違う作品も観てみたいよ。

プロトエイリアン・プロジェクトの「FORMATA」という作品。
エイリアンを作ってみよう、という企画なんだって。
地球外生命体と聞くと、UFOに乗った宇宙人を作るのかと想像してしまうけれど、それは違うんだよね。(当たり前か)
水や酸素がない実験装置の中で、液状物質の状態変化の観察と考察がテーマらしい。
こうした試みをアートとして発表するのが最近の流行なのかな?
2020年7月に鑑賞した「ヒストポリス」も、飯田高誉さん監修で、似た雰囲気の展覧会だったもんね。
今回もやや観念的な展覧会だったけれど、鑑賞できて良かったと思う。
次はどんな企画なのか、楽しみだよ!