映画の殿 第10号 ウィル・フェレル02

【「主人公は僕だった」は一味違うウィル・フェレルが堪能できるね】

SNAKEPIPE WROTE:

映画の殿 第8号」でも特集したウィル・フェレル
amazonのDVD販売ページには

ハリウッドのトップ・コメディアンでありながら、
日本ではなぜか知名度が上がらないウィル・フェレル

と書かれちゃってるよ!(笑)
まあ、確かに好き嫌いのハッキリするタイプの芸風だろうね。

ウィル・フェレルと同じように世界的にはヒットしているのに、日本での知名度がイマイチといえば、「トレンテ ハゲ!デブ!大酒飲みの女好き!超・肉食系スーパーコップ」(原題:Torrente, el brazo tonto de la ley 1998年)サンティアゴ・セグーラ とかね?
すでに「トレンテ5」まで製作されていて、「トレンテ6」まで2018年公開予定になっているほど人気シリーズなのにもかかわらず、日本では「トレンテ2」すらDVDになっていない!
もちろんROCKHURRAHとSNAKEPIPEはウィル・フェレルもサンティアゴ・セグーラも大ファン!
「トレンテ2」以降のDVD化を強く願っているよ!

全てではないにしても、ウィル・フェレルの映画は手に入るので、その後も鑑賞し続け、ますますその魅力の虜になっているところである。
かなりの本数になってきたので、ウィル・フェレル特集としてまとめておきたいと思う。
「映画の殿 第8号」の時と同じように、製作された順番ではなくて鑑賞した順番で書いていこう!

 1本目は「映画の殿 第8号」でも楽しみにしていた「俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」(原題:Anchorman 2: The Legend Continues 2013年)からにしようか。
「俺たちニュースキャスター」の4人のキャスター達と再会できるとは嬉しい限り!
約10年ぶりになるのに、4人共ほとんど変わってないのにはびっくりした。
ロン・バーガンディ、健在である!(笑)

地元サンディエゴのTV局で愛妻のヴェロニカと看板キャスターを務めてきたロンだったが、ある日、上司からクビにされてしまう。
NYにある24時間放送の 深夜枠を担当することになったロンは、かつての仲間を集めて新天地に渡る。
そこでは超強力なスターキャスター・ジャックとの熾烈な視聴率競争が待ち受けていた。

「俺たちニュースキャスター」をリアルタイムで鑑賞した場合は、以前の話を忘れてしまった人もいるかもしれないよね。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHはウィル・フェレル・デビューが割と最近だったので、それほどブランクなしで鑑賞できたのは良かった。
おかげで4人のキャスターの性格や特徴を知った上で観ることができたから。

ウィル・フェレルの映画には、どん底まで落ちてから這い上がりライバルに勝つという黄金パターンがあるんだけど、今回もまさにそれ!(笑)
あらすじにも登場したスターキャスター・ジャックとの視聴率勝負になるのである。
深夜枠だからこそ面白くしよう、と次々にアイデアを出していくロン。
時代はまたもや70年代。
その当時は本当に深夜枠は実験の場だったんだろうね。
もし実際にそんなテレビ番組があったら、人気出ただろうな。
ウィル・フェレル得意の70年代ファッションも堪能できるよ!(笑)

そして「俺たちニュースキャスター」でも登場した各局とのケンカのシーンも健在。
いかにも作り物のミノタウロスや南北戦争の時の将軍の亡霊まで参戦してるんだよね。
前回よりもスケールアップしたハチャメチャなおバカぶりには大笑い!

「俺たちニュースキャスター3」の予定はないのかな?
あったとしてもまた10年後だったりして?(笑)

続いては「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」(原題:The Other Guys 2010年)ね!
今回は元マーキー・マークことマーク・ウォールバーグとタッグを組んでいるよ!

ニューヨーク市警のアレンとテリーはその性格が災いし、いつもヒーロー刑事の活躍を恨めしくながめるだけの「アザー・ガイズ=その他大勢」。
上司からは見放され、手渡された拳銃は木のオモチャ。
移動は日本製のエコカー。
そんな2人が無謀にも、市民を食い物にしてきた、金融業界に巣食う国家レベルの「巨悪」に立ち向かっていく!

ウィル・フェレルは街へ出て捜査するよりもデスクワークを好む会計員アレン・ギャンブル、マーク・ウォールバーグは熱血だけどいつも空回りしてしまう刑事のテリー・ホイツという役どころ。
両極端な性格の刑事がコンビになるというのはよくあるパターンだけど、ちゃんとウィル・フェレル色があるんだよね!
今回のウィル・フェレルは普段はおとなしいのに、昔ワルだった頃の凶暴性が突然出てきてキレるのが特徴である。
更に何故だか不思議なほど女性からモテモテなのも面白い。

SNAKEPIPEが一番気に入っているシーンは、酒場でアレンとテリーが飲みながら今後について打ち合わせをしているシーン。
後ろにいた老人に肩を叩かれ、立ち上がるアレンは、その場にいた老人達と歌い出すのだ。

この愛を捧げたエリン
僕に忠誠を誓ってくれた
だが戦場から戻ってみると
なんと5人のイギリス兵士と
枕をともにしていた
合意の上で寝たそうだ
父親たちは絞首刑
子供たちは急性結膜炎
ハリー・ポッターの本が
めらめらと燃やされる

曲調はスコットランド民謡といった感じだろうか。
歌詞を知らないで聞いていたら、宗教的な雰囲気の歌にしか思えない!
ところが、なんでしょこの歌詞!(笑)
この場面では大笑いしてしまったSNAKEPIPE。
本当にウィル・フェレルは歌が上手だよね!

笑いあり、ド派手なアクションあり、腐敗した金融業界の裏側に迫る内容あり、と見どころ満載な映画だった。
体の大きさの違いもあってか、ウィル・フェレルに比べるとマーク・ウォールバーグが小粒に見えてしまったのは仕方ないのかな。
監督がアダム・マッケイなので、コンビ歴が長いウィル・フェレルが伸び伸びしていたのは間違いないからね?

今回最後にご紹介するのは、「主人公は僕だった」 (原題:Stranger Than Fiction 2006年)というウィル・フェレル主演なのにコメディではない映画ね。
どこにでもいる冴えない男、ハロルド・クリックを演じるなんて、大丈夫なのか心配になっちゃうよね。

過去12年間、平日は毎朝76回歯を磨き、342歩でバス停へ行き、会社で平均7.134件の書類を調べ、45.7分間のランチタイムを過ごし、帰宅すると夕食は1人で済ませ、毎晩きっかり11時13分に寝る。
それが税庁の会計検査官ハロルド・クリックの毎日だった。
ところがその朝突然、ハロルドの人生に女性の声が割り込んできた。
ナレーションのように、彼の頭に浮かんだ想いと、今まさにとっている行動を、アカデミックな言葉遣いで語り始めたのだ。
ハロルドの人生は、悲劇作家が執筆中の小説だった。
しかも結末は、主人公の死!
果たして彼は、人生のストーリーを書き直すことができるのか?

声が聞こえ始めてからのハロルドは、今までの規則正しい生活とは少しずつ違う時を過ごし始める。
税金未払いのために訪れた先で出会うのがクッキー屋の店主、アナ・パスカルである。
この役を演じているのが、マギー・ジレンホール
この顔はどこかで…。
そうそう、ジョン・ウォーターズ監督の「セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ」(原題:Cecil B. Demented 2000年)で悪魔崇拝のレイヴンという役だった女優さんだね!
「ダークナイト」でもヒロイン役を演じていたし、今回もウィル・フェレル演じるハロルドと恋に落ちる設定なんだよね。
SNAKEPIPEには、どうしても山下久美子にしか見えなくて。
えっ、古い?(笑)

他の共演者として注目なのが、 ヒルバート教授役のダスティン・ホフマン
ダスティン・ホフマンと聞いて、懐かしいと感じてしまうのは、きっとある程度の年齢がいった人だろうね。(笑)
「主人公は僕だった」と同じ2006年に「パフューム」にも出演しているみたいなんだけど、どのシーンだったのか思い出せないよ。
ダスティン・ホフマンも年を取って、渋い役が似合ってるよね!

もう一人変わり種としては、女性ラッパーのクィーン・ラティファが女流作家のアシスタントとして登場していた点かな。
鑑賞後にやっとクィーン・ラティファだと判ったよ。
女優もやっていたとはね!
調べてみると、スパイク・リーの「ジャングル・フィーバー」(原題:Jungle Fever 1991年) で女優デビューしているというから、SNAKEPIPEも観ているはずなのに、覚えてなかったなあ。(笑)
さすがにラッパーなだけあって、声質と発声が素晴らしいよね!

「主人公は僕だった」でウィル・フェレルは、全くコメディ要素のない役を見事に演じていたと思う。
「俺たちシリーズ」とは全く無縁な人が観ても、楽しめるはず。
ただしこの映画だけを観ても、ウィル・フェレル本人の魅力には迫れないんだけどね。(笑)

今回は3本のウィル・フェレル主演作品を紹介してみたよ!
実はまだ他にもたくさんあるので第3弾、第4弾と続けていく予定。
皆様乞うご期待!(笑)

「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」鑑賞

【美術館前の作品を撮影】 

SNAKEPIPE WROTE:

今年の7月に書いた「好き好きアーツ!#26 DAVID LYNCH –「鬼才デヴィッド・リンチの新作版画/写真展」と「イメージメーカー展」」の時に、長年来の友人Mと
「次は竹橋の美術館に行こう!」
と約束をしていたのが今回鑑賞した「 現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」である。
なんとも奇抜なポスターと風変わりなタイトルに、ふざけた内容を想像してしまったのはSNAKEPIPEだけではないと思う。
ウケを狙ってのことだろうけど、成功したのかな?(笑)

この展覧会は台湾資本の大手電子部品メーカー、ヤゲオ・コーポレーションのCEOを務めるピエール・チェンと家族、そしてヤゲオ・コーポレーションからの寄付金によって創立された非営利の組織であるヤゲオ財団が所有する美術コレクションの展示だという。
ヤゲオ財団なんて名前は初めて聞くし、台湾に現代美術の収集に力を注いでいる企業があることも知らなかった。
例えばそれは、SNAKEPIPEとROCKHURRAHが気に入っている、佐倉にある川村記念美術館のようなものか?
あの美術館はDIC株式会社がその関連グループ会社とともに収集した美術品を公開するために設立してるからね。
世界的に有名なソロモン・R・グッゲンハイム財団により運営されているグッゲンハイム美術館も同じ形態ってことになるんだろうね。
国が運営する国立系の美術館ではなくて、個人や団体がコレクションできるのは、余程の目利きで、更に購入できるだけの資金がある場合に限られるだろうから、好きなだけでは難しいね。(笑)

そんなSNAKEPIPEの心の声に応えるように、今回のヤゲオ財団コレクションには「サザビーズ」や「クリスティーズ」のオークションでの落札金額についての文章が記載されている。
実際に展示されている作品がいくらだったかということではなくて、同じタイプの作品の金額が提示されているのね。
いやはや、なんとも!
億超えなんて当たり前!(笑)
初めは入り口で手渡された小冊子を読まないで鑑賞していたけれど、途中で読んでしまったらもう大変!
友人MとROCKHURRAHとの3人で
「12億超えるって〜!」
「ひ〜!」
などと通常の美術展館賞の途中で話す内容とは違い、お金にまつわる生々しい会話になってしまうのである。
心なしか目つきまで変わってくるような?(笑)
そして金額の高低(低いとは言っても億超えだけど!)の違いを考えてしまったりして、やっぱりこの点も通常の鑑賞とは大きく異なっていたところ。
小冊子にも書いてあったけれど、単なる鑑賞者としてではなく、コレクターとして購入する側に立って観るというのは初めての経験だったと思う。
金額が書いてある=裕福さの誇示、ということではないんだよね。
その趣旨を理解した上で鑑賞に臨もうね!(笑)

東京国立近代美術館は2013年3月のフランシス・ベーコン展以来になるんだね。
展覧会開催が終わる直前の土曜日は、薄い雲が広がり、いつ雨が降ってもおかしくない天気だった。
この時期にしては気温は低め。
夏のお出かけには最適な日だったね!
東京メトロ東西線竹橋駅を下車して、ほんの数分で美術館に到着。
この近さはとても良いよね!
そしてチケット売り場に行く前に、目に飛び込んできたのがトップの画像にある立体作品。
マーク・クインの「スフィンクス」はスーパーモデルのケイト・モスがヨガのポーズを取っている作品である。
展覧会のポスターで使用されていた金ピカの彫刻も、同じくケイト・モスをモデルにしたヨガのポーズのタイプ。
立っていた警備員に撮影しても良いのかを尋ね、オッケーが出たので撮影する。
その後友人MとROCKHURRAHと3人共ケイト・モスと同じヨガのポーズを取り、作品の前で記念撮影。
良い年した大人がやることじゃないよね!
しかもSNAKEPIPEとROCKHURRAHはヨロける始末!
ずっと様子を見ていた警備員も笑っていたに違いない。(笑)

チケットを購入し、いざ会場へ。
一番最初に展示されていたのはマン・レイの油絵だった。
かなり漫画風に描かれた作品で
「トップからマン・レイの作品とは」
と少し驚く。
マン・レイと結婚し晩年を共にしたジュリエットの肖像である。
2010年8月に「マン・レイ展」に行ってるけど、油絵の印象はほとんどないなあ。
今回鑑賞できて良かったね!

それからも有名アーティストの作品のオンパレード!
フランシス・ベーコン、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタイン、マーク・ロスコなどなど。
40作家、75点の作品が展示されているのは圧巻!
そして日本ではなかなかお目にかかれない、中国や台湾のアーティストの作品の展示もさすがに台湾の財団だからだね。
中では蘇旺伸(Su Wongshen)という台湾のアーティストの「川の桟橋」という作品が気に入ったな!

展示されている作品の中でとても衝撃的だったアーティストが2人。
1人はドイツのゲルハルト・リヒター
恐らくリヒターの作品は今までにも数点は鑑賞しているはずだけれど、これだけのまとまった数を観られるのは嬉しいね!
写真がブレたように見えるフォト・ペインティングを観るのは初めてかもしれない。
左の画像で抱かれているのはリヒター本人という「 叔母マリアンヌ」は1965年の作品。
インターネットの画像検索などでも簡単に作品を観ることはできるけれど、やっぱり実物を自分の目で観るのとはわけが違うよね!

リヒターの作品は他にも抽象絵画が展示されていた。
小冊子の説明にあったけれど、リヒターは現存する作家の中での最高落札価格を記録したとのこと。
Wikipediaにもエリック・クラプトンが所有していたリヒターの抽象絵画が約26億9000万円で落札されたなんて書いてあるしね。(笑)
金額を聞くと驚いてしまうけれど、実物を観ると確かに部屋に飾りたいなと思ってしまうね!
いつ買えるんだろう?(笑)

鑑賞できて嬉しかったもう1人のアーティストはロン・ミュエク
実はロン・ミュエクの作品は写真集でしか観たことなかったんだよね。(笑)
左の「若者」は、まるで黒人青年のポートレートのように見えるけれど、実はハイパーでスーパーでリアルな彫刻なんだよね!
そして更に驚くのは、この作品は高さが65cmしかないこと!
まるでミニチュアサイズの人間が、台の上に立っているかのような不思議な感覚に襲われてしまう。
Tシャツやジーンズまで、ここまで小さく精巧に作れるのか?
あまりの出来に3人でじーーーっと近付いて観ていたら、
「もう少し離れて頂けますか」
と係員から注意されてしまった。(笑)
ロン・ミュエクはもう1点「若いカップル」という、こちらもミニチュアサイズの若い男女の作品も素晴らしかったな!

展覧会ではヤゲオ財団のCEOであるピエール・チェンの自宅の様子も展示されていた。
惜しげも無く飾られている現代アート!
バスルームやリビングに、世界的に有名な彫刻や絵画があるのってどんな感じだろうね?
SNAKEPIPEもブログの企画としてSNAKEPIPE MUSEUMをやっていて、自分で美術館を持って展示するなら買い取りたいなという作品紹介をやっている。
それが現実になったらすごいことだよねー!
SNAKEPIPEが知らないだけで、きっと世界には大金持ちが道楽でコレクションしてる人いるんだろうなあ。
またどこかで企画して作品みせて欲しいよね!

SNAKEPIPE MUSEUM #28 Aitch

【こんな学術書があったら欲しいな!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のSNAKEPIPE MUSEUMはルーマニアのイラストレーター、 Aitchをご紹介してみたいと思う。
一体なんと読めば良いのかな?
どうやら彼女の名前がHelianaというらしく、恐らくそのイニシャルから「エイチ」というアーティスト名にしているみたいね。
詳しくは書いてなかったけど、多分そうだと思う。(笑)

Aitchはルーマニア西部トランシルヴァニア地方の都市、ティミショアラの美術大学でグラフィックやイラストを学んでいたらしい。
そしてその在学中に「weird chubby fantastic creatures(不思議なまるまる太っている空想的な創造物) 」を描き始める。
この当時の絵がどんなものだったのかはサイトに載っていないけれど、 Aitchの作風を決定したんだろうなと想像する。
自分の作風についてAitchは

ピンク色でかわいくて上品な
ぞっとするするような半宗教的奇人が
シュルレアリスムの世界でミックスされている感じ

と表現しているらしい。
SNAKEPIPEの訳し方がおかしいためか、ちょっと意味不明だよね。(笑)
言いたいことはなんとなく解るから、良しとするか。
相反する物が混在する、と言いたいんだろうね。(笑)
確かにAitchの絵はかわいいけど、残酷な雰囲気があってそこが気に入ったからね!

ブログのトップ画像と同じ「Beautiful Us」シリーズから「Blood」という作品。
ちなみにトップ画像のタイトルは「Skeleton」ね。
書いてあるから分かるか。(笑)

この絵を見て思い出したのがメキシコの女流画家フリーダ・カーロ。
「2人のフリーダ」は、心臓と、そこから伸びている血管がインパクトのある絵だよね。
Aitchの「Blood」も、フリーダ・カーロと同じように血管が伸びているけど、心臓だと思われる部分は松ぼっくりに見えるよね。
赤い血管が走り顔にはお花がいっぱいで綺麗だけど、やっぱり少しグロテスクなところがとても素敵!(笑)
「Skelton」も周りに植物が描かれていて、それがAitchの特徴なのかも。
そこでもう一人思い出したのが、アンリ・ルソー。
左の「蛇使いの女」だけではなくて、ルソーの絵には木が生い茂ったジャングルが描かれていることが多いからかもしれないね。
そして人物が逆光のためなのか、黒いシルエットになり、目だけが光っている点も魔術的で惹かれる。
夜のジャングルに行ったら、是非ともこんな場面に遭遇してみたいと思わせる静謐さと危険さを併せ持った幻想的な美しい絵だよね!
フリーダ・カーロも、アンリ・ルソーも少し漫画っぽいタッチなので、その点でも共通点を感じてしまうのかな?
もちろん2人共、SNAKEPIPEは大好きなアーティストなんだよね!

「The Garden of Good and Evil」という別のシリーズからチョイスしたのは、魚をモチーフにした作品。
魚の形を枠にして、中に様々なモチーフが所狭しと描かれているね。
この絵から、2013年10月に「コレクション♪リコレクション VOL. 2色彩のラプソディー展鑑賞」で鑑賞したエーリヒ・ブラウアーを思い出したSNAKEPIPE。
エーリヒ・ブラウアーはウィーン幻想派を代表する画家として有名と説明されているので、グロテスクで不思議な世界観がAitchとつながるように感じるのかもしれないね。
エーリヒ・ブラウアーの左の作品「Sternpuppe」はスクリーンプリントによるもの。
Aitchはすべての作品を水彩で描いているというので、油絵の厚みがないところも共通しているのかもしれないね。
ちょっと強引過ぎる説明か?(笑)

Aitchは自身のサイトで作品をモチーフにしたiphoneケースやトートバッグなどの小物の販売も行っている。
ちゃんとドルで表示させて、しかも「日本への配送可能です」まで書いてあるから恐れ入る。(笑)
近頃の若いアーティストはメディアを活用して、マルチに頑張るなあ!
SNAKEPIPEは「Beautiful Us」のポスターあったら購入してみたい。
日本へもポスター郵送してくれるかしら?(笑)

映画の殿 第09号 バッド・アス  ジャスティス・リターンズ

【Bad Assesの2人のじーさん達!勇ましい姿に応援したくなるよね!】

SNAKEPIPE WROTE:

TSUTAYAに行って何気なくDVDの背表紙や面出しされているパッケージを見ていると、ふとある一枚に目が止まった。
あれ?これダニー・トレホに似てるじゃない?
手に取ってみると、やっぱりトレホ!
そして映画のタイトルは「バッド・アス ジャスティス・リターンズ(原題:Bad Asses 2014年)」って、まさかあの「バッド・アス」の続編ーーーっ?
じっくり裏面を読んでみると、間違いない!
「うわー!大変ーーー!」
横にいたROCKHURRAHに向かって叫んでしまったSNAKEPIPE。
やっぱりあの「バッド・アス」の続編ができてたんだね。(笑)
ダニー・トレホのファンなのに、こんなビッグ・ニュースを知らなかったとはファン失格!
早速レンタルして帰ったのである。

ではここで「バッド・アス ジャスティス・リターンズ」のあらすじを書いてみようか。

かつて“バッド・アス”というヒーローとして街の悪を退治したベトナム帰還兵のフランク。
今は外出恐怖症のコンビニ店員のバーニーという親友もでき、ボクシングジムのオーナーとして平和に暮らしていた。
しかしある日、ボクシングジムの教え子が何者かにより殺されてしまう。
犯人が麻薬組織の一員だと知って怒り狂った彼は、情に厚いバーニーと最強タッグを結成し、報復を決意。
“Wバッド・アス”となった2人は組織へと乗り込んでいく!

前作「バッド・アス」のラストで念願だった警官になり、バッジを手にした時から3年が経過し、フランク・ベガはボクシングジムのオーナー兼指導者として生活してるところから話が始まるんだよね。
確か40年間もホットドッグの屋台で働いていたはずなのにね?
主演しているのがダニー・トレホだから、この設定には何の疑問も持たないけど。(笑)
マッチョな肉体、後ろで1つに結んだ黒髪、見事なタトゥーなどダニー・トレホの特徴は健在で、ファンとしては姿を見られるだけでも嬉しいのにまた主役だもんね!
強くて優しい正義漢という役どころはよく似合ってるよ。

あらすじの中に「外出恐怖症の親友」とされているバーニーを演じているのは「リーサル・ウェポン」シリーズでお馴染みのダニー・グローバー
おおっ、「Wバッド・アス」だし、「Wダニー」だにー!(笑)
病気を患い、更にメンタル的にも弱くなっているせいで外出恐怖症になっているみたい。
そのためなのか、最初は親友とは言ってもただの偏屈じーさんにしか見えない役だった。
フランク・ベガを助けるところから、キャラクターが急変!
その変化の面白さのために、偏屈じーさんを演じていたんだろうな。

SNAKEPIPEが一番喜んだのは、2人のじーさん達が戦いに挑むために気合いを入れて着替えるシーン。
フランク・ベガは「I AM A MOTHERFUCKER」Tシャツ、白いソックス、黒い帽子、ウエストポーチにウッドランド迷彩のM-65。
バーニーはアディダスの緑色のジャージ上下にプーマのスニーカー、リストバンドとヘアバンドはラスタカラーで統一!
これが2人のユニフォームであり、今から行くぜ!という武装スタイルということになる。

最近はシニアの方々も健康で活発だから、いろんな場所でアウトドアスタイルでバッチリ決めているのを見かけるけど、フランクとバーニーみたいなカッコ良いじーさんは見たことないな。
そこら辺の「ファッションだけアウトドア」系なんてへなちょこ。
特にダニー・トレホはその道の本物(?)だった人だから迫力と存在感が違うよね。(笑)

フランク・ベガは、今回も暴れる、暴れる!
前作で一番痛かったのはディスポーザーのシーンだったけど、今回はフランクが手にしている扇風機!
ひゃー!何が始まるんでしょ!
怖いよ、痛いよー!
他にもナイフの柄でグリグリ、とか「あんな場所」をプスッとかいろいろ痛いところはあるんだけどね。(笑)
正義のために悪を打つ!
ダニー・トレホには残酷シーンが似合うよね。

やってばかりじゃなくて、やられることもあるんだけど。
このシーンで注目なのは、やっぱり吊るされてる肉塊だよね。
本筋と関係ない、単なるSNAKEPIPEの興味か?(笑)
だってフランシス・ベーコンデヴィッド・リンチを思い出しちゃうからね!
冷凍庫でこんな目に遭っても、無理のない設定で回避するところはさすがダニー・トレホ!(笑)
今回はiphoneのメッセージが画面に出てきたり、アプリを使ったりする場面もあって、まさに「今」なんだなと感じたよ。
なんだか時代遅れの人みたいな言い方になってしまった。(笑)

いつの間にか製作されていた「バッド・アス2」を発見することができて良かったなあ!
我らがダニー・トレホは70歳だけど現役でアクション俳優だもんね!
ただのアクションだけじゃなくて、今回はダニー・グローバーが加わったことにより、老人ギャグとでも言うのか、シニアをネタにした笑いも含まれていたのも良かった。
どうやら「バッド・アス3」も計画されているみたいだから、とても楽しみだよ。
また「Wダニー」で頑張って欲しいよね!(笑)