収集狂時代 第2巻 高額アート編#02

【ROCKHURRAHが制作した、なんとなく現代アートっぽい作品(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

シリーズ化しようと思っていたのに、すっかり忘れてしまっていたこの企画!
2011年11月に書いたきりになっていた「収集狂時代」は、コレクターズアイテムを紹介する記事である。
第1回目に書いたのは、高額で取引されたアート作品について。
写真と絵画と彫刻という分野で、最も高く売買された作品を紹介したんだよね。
アート作品の値段ということでは、2014年8月に書いた「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」鑑賞での台湾資本のヤゲオ財団が所有するコレクションを思い出すね。
この展覧会は珍しく作品の金額について触れていて、オークションでの落札金額が提示されていたっけ。
実際に展示されている作品をヤゲオ財団がいくらで買ったか、ではなくて同じタイプの作品はこんな金額でしたよ、というヒントだったけどね。
鑑定士と顔のない依頼人」という映画の中にもオークションの様子が出てきて、まるで市場のセリのように金額が飛び交っていたよね。
実際にアート作品の競売風景を見ることはないので、興味深かったね!

今回は2014年版の高額アート作品について書いてみようかな。
高額ランキングには必ず入っている印象派の絵画は抜かして、現代アートに絞っていってみよう!
2014年11月時点でのランキング、日本円のレートってことでよろしく。

2014年5月、ニューヨークのクリスティーズのオークションで売りに出され、今年の最高金額を付けたのがバーネット・ニューマンの「Black Fire I」(画像左)だ。
この手の絵画を理解するのは本当に難しくて、究極は「好き/嫌い」で良いと思っているSNAKEPIPEだけど、一応調べてみようか。
自己批判を繰り返しながら余計な物をそぎ落とし根本的な要素まで還元し、形態・輪郭・色彩が平面上ですべて一つになる「形態的な純粋性」にいたる途上にあるモダニズムの前衛として評価されているとのこと。
カラー・フィールド・ペインティングと呼ばれるそうだ。
解るような解らないような説明だけど、まあ良いか。(笑)
確かにシンプルこの上ないけれど、絶妙なバランス感が心地良いよね。
バーネット・ニューマンってどこかで聞いたことがあるな、と思ったら!
千葉県佐倉市にある大好きなDIC川村記念美術館 にバーネット・ニューマンの代表作「Anna’s Light」があったはずだけど?
残念ながら2013年10月、今から1年前に美術館が手放しているみたい。
その時の落札金額107ミリオンダラー、日本円で124億7500万円也!
うひゃー、ゼロの数を数えるのが大変なのよ。(笑)
さすがにバーネット・ニューマンの代表作なだけあるよね。
それにしても、佐倉にあるうちに鑑賞するべきだったなあ!
「Black Fire I」は今年の最高金額で84ミリオンダラー、97億8000万!
誰が買ったのか、気になるところだよね!

2014年の高額ランキング第2位はフランシス・ベーコンの「Three Studies for a Portrait of John Edwards」で80ミリオンダラー、93億9000万円!
ベーコン得意の三幅対、きっとこの絵は2013年3月に「フランシス・ベーコン展鑑賞」の時に観ているはず。
3枚で1組セットの実物は、迫力満点で存在感抜群なんだよね!
100億近い金額で購入できる人なら、絵のための部屋を用意するだろうな。
自宅にベーコンの絵があるってすごいよね!
ベーコンは非常に人気があって、144ミリオンダラーで取引された作品もあるんだよね。
144ミリオンって168億円ね!(笑)

続いて第3位はマーク・ロスコの「Untitled」が66ミリオンダラー、76億9000万円で取引されているね。
前回もそうだったけど、書いているうちにだんだん金額に驚かなくなってしまうのが不思議だよね。
ジャンボ宝くじの6億も当たらないっていうのに、76億だもんね。(笑)
1位と3位が共に抽象絵画で、どちらも前述したDIC川村記念美術館に縁のあるアーティストという点に注目かな。
DIC川村記念美術館には世界に3つしかない「ロスコ・ルーム」があるからね!
千葉県民として誇りに思うよ!(大げさ)
「ロスコ・ルーム」については今までブログに書いているから詳細は省くけれど、本当に素晴らしい何度でも通ってずっと室内に身を置いておきたい部屋なんだよね!

彫刻部門では2014年11月4日サザビーズでアルベルト・ジャコメッティの「Chariot」が100ミリオンダラー超えで落札されたとのこと。
117億3000万!
今までの彫刻部門ランキングでもトップのジャコメッティ、1位と2位を独占することになるんだね。
3位にランクインしているのがジェフ・クーンズの「Balloon Dog (Orange)」。
ジェフ・クーンズは人をおちょくっているようなタイプの作品が多いので、高額で取引されているのを知って驚いた。
かつて一世を風靡したポルノ女優で国会議員のチチョリーナと破局していたことも初めて知ったよ。(笑)

クリスティーズやサザビーズのオークションでの落札金額は、アーティストの人気度や評価の高低を知る目安になるよね。
今回はトップ3しか書いていないけれど、SNAKEPIPEには全く知識がなかったアーティストの作品が高額取引されているのを知り、どんな作品なのか興味を持つきっかけになったり。
億単位の金額に驚くだけじゃなくて、注目されているアーティストの情報を仕入れるソースとしての役割も担っているんだろうね。
購入できないからこんな書き方になっているのがバレバレだ。 (笑)
世界のコレクターズ・アイテム探し、次はどんなアイテムにしようか。
また書いてみよう!

野又穫 展 「Ghost」浮遊する都市の残像 鑑賞

【展覧会告知ポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

かつて新宿で働いていた時、週に1度は必ず青山ブックセンターに立ち寄り、日本の写真家や読み方も分からないような外国のアーティストの画集や写真集を鑑賞していたSNAKEPIPE。
どうしても自分の物にしたい時には、値段に関係なく購入することにしていた。
食事よりも写真集が大事だったんだよね!
ある時、ふと目に止まったのが左の画集。
表紙に全く日本語が書かれていないので、恐らく外国のアーティストだと勘違いして観ていたはずだ。
ページをめくるうちに手が震え、心臓がバクバクしてきたことを覚えている。
何故なら、その画集にはSNAKEPIPEが撮りたいと思っている景色や建築物がそのまま表現されていたから!
最後のページまで鑑賞し、その作者が日本人と判り驚いた。
よくよく見れば、「のまた」と書いてあるじゃないの。(笑)
もう居ても立ってもいられない!
値段もちゃんと確認しないままレジに向かい、画集を購入したのである。
自分でもどうしてなのか分からないけど、ものすごく急いで帰宅し、慌ててもう一度鑑賞したっけ。
画集や写真集を購入したからといって、作品が自分の物になるわけじゃないけど、いつでも手に取って鑑賞できる安心感が重要だったんだね。

そんな衝撃的な出会いをしたアーティストの展覧会が「二人のホドロフスキー 愛の結晶展 鑑賞」で初めて行ったアツコバルーで開催されている。
野又穫 展 「Ghost」浮遊する都市の残像をとても楽しみにしていたSNAKEPIPE。
友人Mと待ち合わせ、ROCKHURRAHも加わった例の怪しい3人組、再びアツコバルーに参上である。(笑)
前回お邪魔した際に、写真撮影やブログへの掲載も快く承諾して頂いたアツコバルーの美人さんと入り口でバッタリ!
美人さん、相変わらずキュート、お会いできて嬉しいわ。
怪しい3人組を覚えていてくれたようで良かった。(笑)

ここで簡単に野又穣氏のプロフィールをご紹介してみようか。

1955年  目黒区の染物屋に生まれる
1975年  東京芸術大学美術学部入学。形成デザインを専攻
1978年  安宅賞受賞
1979年  東京芸術大学美術学部デザイン科卒業 マッキャンエリクソン博報堂へ入社
1984年  マッキャンエリクソン博報堂を退職し独立
1995年  第45回(平成6年度)芸術選奨新人賞美術部門受賞(文化庁)
2007年  第17回(平成18年度)タカシマヤ美術賞受賞
2014年  女子美術大学芸術学部デザイン・工芸学科ヴィジュアルデザイン      専攻教授

なんとも華々しい経歴だよね!
芸大から広告業界にいたとは知らなかった。
やっぱりその辺りが日本人離れしたセンスの良さと関係あるんだろうね。

「Ghost 浮遊する都市の残像」展会場に入ると、先客が数人いたけれど、ゆっくり自分の好きなペースで観ることができた。
アツコバルーの室内は天井にパイプが這っているインダストリアルな雰囲気なので、野又穣氏の作品を展示するのにピッタリね!
作品に近付いてみると、筆の跡がわかる。
でも少し離れてみると、スーパーリアリズムのように精緻な作品にみえるところが不思議!
印刷物になると更に「まるで写真」にみえてしまうんだよね。(笑)

野又穣氏の作品は、どれも「行ってみたい」とか「目の前に立ってみたい」と思ってしまう建築物が描かれている。
非常に気になる階段や、小さな窓やドア。
SNAKEPIPE MUSEUM #3 Giorgio de Chirico」で書いた大好きな画家、デ・キリコに通じるシンメトリー構図。

 一体何のための塔なんだろう。
中で何が行われてるんだろう、
と想像するだけでワクワクする。

デ・キリコの建物に対しての感想を書いているけれど、野又穣氏の作品にも同じ感想を持ってしまうね。

ひと通り鑑賞し、飲み物を頂きながら野又穣氏の画集を観て談笑していると、アツコバルーの美人さんが話しかけてくれた。
そして教えてもらったのが、今回の展覧会の作品はほとんどが2014年制作だということ。
30点以上の作品が今年描かれているとは、そのスピードに驚いてしまうね!
更にテーマが渋谷だということも教えて頂いた。
もちろん渋谷そのものを描いているのではなくて、野又穣氏の空想としての渋谷という意味でね!
SNAKEPIPEが疑問に感じていた「動物」についても簡潔に答えて頂いて、大笑いしてしまったよ!
まさかそんな意味だったとはね!(笑)

今まではアクリル絵の具を使っていたけれど、「Ghost」では油絵だったというのも教えて頂いた。
「油絵、良いねえ」
と芸大出身の野又穣氏が言っていたというからビックリだよね。(笑)
展示作品はどれもカッコ良くて美しかったけれど、SNAKEPIPEが非常に気になったのは、野又穣氏が朝日新聞に連載しているというドローイング!
上の画像は今回の展覧会にはなかった作品だけど、鉛筆で描かれてるんだよね。
色鉛筆で着色されている作品もあって、身近な道具でこんなに素敵な絵を生み出せるなんて!
嫉妬してしまうよね、この才能!(笑)

 帰宅後、かつて写真撮影に夢中になっていた頃の自分の写真を引っ張りだしてみた。
左の写真は写真学校に通っていた頃に撮った一枚で、モノクロームのフィルムを使っていた写真をデジタル化したもの。
現像も焼き付けも自分でやっていた。
フィルムの魅力はたくさんあるけれど、現像してみないと何が写っているのか分からないドキドキ感があったことが一番かな。
左の写真は撮影している時から興奮していたけれど、現像して焼き付けてからも嬉しかった記憶がある。
この写真、ちょっと野又穣氏の作品っぽいよね?(笑)
こんな風景を追い求めて休日の度に撮影していたあの頃。
SNAKEPIPEも若かったねえ。(笑)

アツコバルーの美人さんが教えてくれた情報に、野又穣氏が震災によって意識が変化した話がある。
震災前は建築物というのがどっしり構えていて揺るぎないものと思っていたけれど、震災によって認識が変わったというのだ。
地震による津波で今まであった物全てが簡単に流され、崩壊してしまったことは日本人なら誰もが知っている事実だからね。
そのため「Ghost」では、モヤがかかっているように浮遊しているのだという。
確かにSNAKEPIPEが観てきた野又穣氏の作品は、全ての建物がしっかり地に建っていたから、その違いは大きいよね。

2012年に大好きな写真家畠山直哉氏の写真展「Natural Stories」を鑑賞したけれど、畠山直哉氏自身が震災に遭っているために、観ていて辛くなる写真が並んでいたことを思い出す。
鑑賞した写真展や展覧会は記録の意味もあって、ブログに残すことにしているSNAKEPIPEが「書けない」と感じてしまった唯一の展覧会なんだよね。
崩壊の美学とでも言ったら良いのか。
畠山直哉氏の写真も日本人離れした感性と抜群の色や構図で、SNAKEPIPEを魅了した作品を数多く発表してきた写真家だったのに、震災の影響でその感性に変化が生じたようで非常に残念に思っている。
そして実はSNAKEPIPEも、崩れていく様や廃墟に魅了されていたのに、震災後にその美を疑うようになってしまったのである。
今でも大好きな崩壊や廃墟だけど、 同時にあの時の映像や記憶が蘇ってきてしまう。
自分の身内も友人の誰一人も被害に遭っていないのに、である。

SNAKEPIPEには3月11日が誕生日の友人がいて、毎年「おめでとう」を言うのが習慣になっている。
2012年に「おめでとう」を言うと
「この日のおめでとうは言いづらいでしょ?でもね、私は再生の日と考えることにしたから、ありがとうと言うね」
と答えてくれた。

野又穣氏は認識の揺らぎを見事に昇華し、表現しているんだと感じた。
きっとSNAKEPIPEの友人と同じように、自分の中で震災の折り合いがついているんだろうね。
画集でしか観ていなかったアーティストの作品を肉眼で観ることができて、本当に嬉しかったな!
アツコバルー、面白そうな企画がこれからもあるので、また行ってみたいと思う。
今回もまた撮影許可して頂いてありがとうございました!
アート談義、とても楽しかったです。(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #29 Wangechi Mutu

【「Riding Death in My Sleep」2002年の作品】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のSNAKEPIPE MUSEUMはアフリカのケニア出身のアーティストをご紹介してみよう。
アフリカ系といえば「SNAKEPIPE MUSEUM #19 Kendell Geers」で特集したのが南アフリカのケンデル・ギアーズがいたっけ。
恐らく日本で開催される現代アート展では、アフリカ大陸からの作品を目にすることは少ないと思う。
そして自分の好みのアーティストに出会える確率も非常に小さいよね。
Wangechi Mutuの作品に出会った瞬間、ハッとした。
色使いも構図もモチーフも、とても新鮮に感じたのである。
調べてから初めて、ケニア出身の女性だと解り驚いた。

ワンゲチ・ムトゥは1972年ケニアのナイロビ生まれ。
現在はニューヨークのブルックリンに住んでいるという。
どうしてもケニアと聞くと、広大なサバンナと野生動物を思い浮かべてしまうけれど、ナイロビのロレト修道院で教育を受けた後にはウェールズのユナイテッド・ワールド・カレッジで学んだというから、10代でイギリスに渡ってるのね。
1990年代にはニューヨークに移り、エール大学を卒業したのが2000年とのこと。
ずっと社会研究やアートと科学について勉強していたというから、最初に書いた「広大なサバンナ」のイメージとは大きく異なっているようだね。

作品もアメリカ、イギリス、ドイツ、モスクワなど、世界各国で展示されているようで、どうやら2006年には森美術館で「アフリカ・リミックス展」として開催された展覧会にも参加していたことを今更ながら知ったSNAKEPIPE。
さすが、森美術館は早いね!(笑)

ワンゲチ・ムトゥがどんな女性なのか気になって画像検索してみたら、あらまびっくり!
ファッショナブルで知的な美女だったの!
ダイアナ・ロス(左)に似てると思ったんだけど。
右がワンゲチ・ムトゥなのね。
どお?似てない?(笑)

ワンゲチ・ムトゥの作品は、ネット上で見ていると判り辛いんだけど、描いている部分に写真を組み合わせたコラージュがほとんどなんだよね。
SNAKEPIPEも現物を見ていないのでハッキリ言い切れないんだけど、拡大して見ると明らかに写真が使われているのが判る。
左は「Family Tree」(2012年)というコラージュ作品。
例えば手だったり、目の部分に写真が使用されているよね。
SNAKEPIPE MUSEUM #22 Hannah Höch」で特集したダダの女流アーティストであるハンナ・ヘッヒもフォト・モンタージュで素晴らしい作品を完成させていたよね!

フォト・モンタージュをマネして作ってみようと
思った場合、今だったらフォトショップなどを使用して、
レイヤーを部分的に消したり、重ねたりすれば
なんとなくそれらしいものは作れるだろう。
表面的な技法を取り入れることは可能なんだけれど、
ハンナ・ヘッヒが作っていたような作品とは
まるで違うものになってしまうのがオチだ。

とSNAKEPIPEは書いている。
その時代の空気感を纏い、情熱の持ち方が作品に反映され、重要なエッセンスになっていたのではないか、とも続けて書いていて、もうあんな作品を作ることなんて不可能だろうと思っていたんだよね。
ところが、ワンゲチ・ムトゥは最近の雑誌から切り抜いた写真を使用して、上のような作品を制作しているというから驚いちゃうよね!
ワンゲチ・ムトゥにはダダの影響もあるのかもね?

ケニア・ナイロビをあえて前面に打ち出しているような作品もある。
「Misguided Little Unforgivable Hierarchies」
(2005年)は直訳すると「小さな許しがたい階層の間違った指導」になるのかな?
訳が難しいんだけど、なんとなく言いたいことは判るよね?
人種問題、性差別問題、奴隷制の問題など、恐らくワンゲチ・ムトゥは差別についての問題を作品に含ませているんだろうね。
モチーフに女性を多様していることからも、自らが女性であり、アフリカ系であるということで訴えたいことがあるんだろうなと予想する。
ただしSNAKEPIPEは、 そういった主義主張について理解したいわけではなくて、作品を観て「好き!」と思った、ということを一番に考えているので、あんまり作品やタイトルについて調べなくても良いのかもしれないなあ。

アフリカっぽさだけじゃなくて、アジアを感じる作品もあるんだよね。
「The Bride Who Married a Camel’s Head」(2009年) は「駱駝頭と結婚した花嫁」と訳して良いのかしら?
花嫁といっても、ちっとも晴々しくなくて、手には何やら血飛沫が上がった物体があるし、花嫁の肌色もどす黒いし、髪の毛は蛇だし。
グロテスクで禍々しい雰囲気が素晴らしい!
背景の空間の使い方が秀逸で惹かれてしまうね。
パッと観た時にはヒンドゥー教の絵なのかと思ってしまったSNAKEPIPE。
他に思い出したのはワヤン・クリッ(Wayang Kulit) の人形かな。
ワヤン・クリッとはインドネシアのジャワ島やバリ島で行われる、人形を用いた伝統的な影絵芝居のこと。
そこで使われている人形に上の作品が似ているように感じたけれど、どうだろう?

ワンゲチ・ムトゥは、コラージュ作品だけではなく、彫刻やビデオ作品も手がけている。

「The End of eating Everything」(2013年)を観ることができるので載せてみようか。
現代アートのビデオ作品には、意味不明のものが多いので敬遠しがちだけど、この作品は時間も長くなくてストーリーもあって判り易かった。
ちなみに出演している女性はワンゲチ・ムトゥ本人ではないみたいよ。

ワンゲチ・ムトゥの特徴であり最大の魅力は異種混同。
それは人間と動物のハイブリッドだったり、機械と人の融合や土着的な題材と現代的な題材のミクスチャーだったり。
大陸や人種、宗教までもミックスされている面白さがある。
だからこそ国や人種の違いを超えて、どこかに懐かしさを感じるのかもしれないね。
観たことがあるような、初めて観るアート。
また森美術館でワンゲチ・ムトゥ展、企画してくれないかしら?(笑)

アフリカ大陸はまだまだ未知なので、これからも探索してみたいよね。
他の国のアーティストももっと調べていきたいな!

映画の殿 第12号 ウィル・フェレル04

【「アダルト♂スクール」でステージに立つ全裸のウィル・フェレル】

SNAKEPIPE WROTE:

今週のROCKHURRAH WEBLOGは、ついに驚きのウィル・フェレル特集4回目!
どれだけウィル・フェレルの映画を観ているか、どれだけウィル・フェレルが好きかがよく解るよね。(笑)
何度も言うように日本での知名度は今ひとつというウィル・フェレルだけど、アメリカではドル箱スター!(言い方古い?)
どちらかと言えば「どぎつい」タイプの笑いなので、好き嫌いが分かれるだろうという予測はつくね。
ただし中年になったテディベアを主人公にした「Ted」も、ウィル・フェレル風の下ネタ系のジョーク満載だったにも関わらず、日本でもヒットしてるから驚きだ。
ぬいぐるみなら良いのか?(笑)
別に日本でウケなくても、全然関係ないけどね!
では早速いってみよう。
いつも通り、映画の製作順じゃなくてROCKHURRAH RECORDSで観た順番で書いているのでよろしくね。

最初は「アダルト♂スクール」(原題:Old School 2003年)から。

法務関係の仕事をしている主人公ミッチは、
婚約者の乱交パーティをきっかけに離別。
新しく借りた家はカレッジの敷地内にあるので、
悪友たちがそこを「社交クラブ」というクラブ名目で
利用することを画策する。
実情はバカパーティで、対立する学部長は難癖をつけて
クラブを潰そうとするが、
メンバーは試練に耐えて頑張り、学部長の陰謀を潰す。

非常に簡単過ぎるあらすじなので、これだけだと意味不明だよね。(笑)
「アダルト♂スクール」でのウィル・フェレルは、主人公ミッチの悪友フランクという設定で、一番初めに結婚式を挙げるんだよね。
最初は真面目な夫になろうと努力はしてみたものの、やっぱり友達と遊んでいるほうが楽しい様子。
新妻との約束を破り、アルコールを大量に摂取したせいで、またもやお得意の全裸になる始末。
映画の途中では定番のパンツ一丁シーンもあってノリノリのウィル・フェレル!
自慢の喉を披露するシーンもあったね。
新体操のリボンの演技は大笑いさせてもらったよ。(笑)

「アダルト♂スクール」の主人公はルーク・ウィルソン演じるミッチなんだよね。
なんとこの方、「映画の殿 第11号」で記事にした「ズーランダー」で新人モデルを演じていたオーウェン・ウィルソンの実の弟とのこと!
全然顔が違うから気付かないよね。(笑)
あらすじにもあったように婚約者と別れたミッチが一人暮らし用に家を借りる。
せっかくだから引越し祝いを兼ねてパーティやろう、と「ミッチ祭り」なるポスターまで作り、見知らぬ人まで押し寄せるような大規模な企画に発展したところから「社交クラブ」が発足してしまう。
ミッチ本人よりもやる気満々なのは、悪友たちなんだけどね。(笑)

もう一人の悪友はヴィンス・ヴォーン演じるバーナードである。
おや、この顔はどこかで見たような?
なんとヴィンス・ヴォーンも「ズーランダー」に出ていたんだね。
俺たちニュースキャスター」にも。(笑)
コメディ系の俳優というのは、皆どこかでつながっているみたいだね。
このバーナードが煽り、ミッチの家に実際に人を集めて「社交クラブ」が何故大切なのか力説したことで本格的に活動が始まってしまう。

映画の中で気になったのが、大学に勤めている職員の一人。
この俳優の顔は見間違えることがないね。
リンチの「マルホランド・ドライブ」でウィンキーズというダイナーで見た夢の話をしていた眉の太い青年だよね!
リンチの映画以外で見たのは初めてだからビックリだったよ。

もう一点気になったのは、「ミッチ祭り」でゲストとして登場したのがスヌープ・ドギー・ドッグだったこと!
今はドギーが抜けてスヌープ・ドッグになってるなんてことも知らなかったなあ。
映画の中で披露していたのが「paid in full」だったんだけど、SNAKEPIPEはEric B & Rakimの曲だと思っていたけど?
単なるカバーなのかな。
大好きな曲だったので嬉しかったな!(笑)

「アダルト♂スクール」も黄金期→挫折→復活というウィル・フェレル得意のパターンを踏襲しているタイプの映画だったね。
大人の男が真剣に遊ぶことについて考え、生きがいになっていく。
ハチャメチャなシーンは多いけど、共感できる人も多いんじゃないかな?

続いては「ペナルティ・パパ」(原題:Kicking & Screaming 2005年)ね!

闘争心あふれる父バックに育てられた冴えない
中年男フィルは、息子が所属する弱小サッカーチーム
「タイガース」の監督を引きうけることに。
バックが監督を務める強豪チーム「グラディエーターズ」にボロ負けしたことから、フィルは鬼コーチと化して
チームメイトたちを鍛えはじめるが……。

ウィル・フェレルの役名がフィルなんだよね。(笑)
フィル自身が子供の頃から運動が苦手で、大人になっても父親に見下されてしまうという役どころである。
どうしてダメダメな役なのか、って?
それは例の黄金パターンのためだよ!
ウィル・フェレルはスポ根物が得意だからね!(笑)

ウィル・フェレルの父親バックを演じているのがロバート・デュヴァル
「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」で有名な俳優だよね。
SNAKEPIPEは、前述した「paid in full」がサウンドトラックに入っているデニス・ホッパー監督作品「カラーズ 天使の消えた街」 の時のロバート・デュヴァルが印象に残っているけど。(笑)
「男は強くあるべき」という頑固で一歩も譲らないタイプのアメリカ男がよく似合っていたと思う。

弱小サッカーチームが、努力をすることで勢いに乗っていく展開は、予想通りだった。
そして父親vs息子という構図は、「巨人の星」や「美味しんぼ」などでもお馴染みのテーマだよね。
「ペナルティ・パパ」ではスッキリする結末で、ほとんど下ネタもないのでファミリー向け映画という感じかな。
実はSNAKEPIPEには物足りなかった。(笑)

最後は「奥様は魔女」(原題:Bewitched 2005年)で締めようか。

元はトップスターだったジャックのもとに、
テレビドラマ「奥さまは魔女」の出演依頼が来た。
そして、彼は相手役のイメージにぴったりな女性
イザベルと出会うのだが……。

タイトルは60年代にアメリカ人気テレビドラマだった「奥様は魔女」と同じだけど、この映画はそのリメイクじゃないんだよね。
映画の中でリメイクを作る、という設定になってんだけど。
元トップスターだったジャックを演じるのがウィル・フェレル。
すでに最初から落ちぶれている設定なのね。(笑)
出会う人のほとんどから「私あの人嫌い」と言われてしまうほど。
黄金パターンを信じて観ていこう!

相手役のイメージにぴったりな女性として登場したのがニコール・キッドマン演じるイザベル。
特別選んでいるわけではないのに、意外とニコール・キッドマンの映画って観てるんだよね。
今まで観てきた映画の中では、一番ニコール・キッドマンが美しく見えたと思うSNAKEPIPE。
それなのにゴールデン・ラズベリー賞でウィル・フェレルと共に最悪カップル賞を受賞したらしい。
なんでだろう?
そんなにひどい映画なのか?(笑)

ニコール・キッドマンのお父さん役がマイケル・ケイン演じるナイジェル。
このお父さん、娘が心配なのかどんなところにも顔を出して忠告を与えるシーンが面白かった。
例えばスーパーで買い物をしているとポップコーンのパッケージに隠れて喋り出したり。
他にも色々なバージョンがあって、よくできていたね!

60年代のテレビドラマ「奥様は魔女」に出演していた役どころが登場していたようで、当時を知っている人には懐かしく感じるんじゃないかな?
テレビドラマ版で魔法を使う時にサマンサがやっていた「鼻をピクピク動かす」仕草も、ニコール・キッドマン頑張ってやってたし。
なぜラジー賞なのか不思議でならないよ。
えっ?ウィル・フェレルを贔屓にしてるから、褒め言葉しか出てこないんだろうって?
うーん、もしかしたらそうかもしれない。(笑)

ウィル・フェレル特集を4回も書くとは、SNAKEPIPE自身驚き!
もうウィル・フェレルが主演、もしくは準主役の映画が少なくなってしまったので、5回目の特集記事を書くことができるとしたら新作が発表されてからになるのかな。
ウィル・フェレルの活躍を期待して待っていよう!