Picnic On A Frozen Beach(鳥飼否宇の稀有)

【鳥飼先生の作品をイメージしてSNAKEPIPEが制作。ハート型の水たまりが印象的】

ROCKHURRAH WROTE:

今年のゴールデン・ウィークは人並みというかROCKHURRAHとしてはかなり長い、まるまる一週間という連休が取れて久しぶりに時間を気にせずゆったりと過ごせた。
後半には近場ではあるが最近毎年恒例となっている潮干狩りに出かけたんだが、これが「熱中症に注意」などという天気予報のコメントとは大違い。おそろしい強風と予想外の寒さでとてもじゃないがゆっくりのんびり行楽を楽しむどころではなかったのだ。
去年の潮干狩りがかなりの暑さだったために(当ブログ「アサリでアッサリ機種変更!」参照)ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも「海岸は風も強くて寒くなる」とは思いつつも油断した服装で大失敗してしまった。「さ、寒い!」という感想しか出てこない。
二人ともゴアテックスや保温力抜群のミリタリーな上着を持ってるのに海岸は薄着だったわけで、肝心なところで全く活用してないなあ。
寒さで震えながら長蛇のトイレ船に並ぶROCKHURRAHはアサリもさっぱりという具合。それでも負けずに黙々と掘り続けたSNAKEPIPEはまあまあの戦果、二人合わせて何とか人並みというところか。久しぶりのアウトドア、とても楽しかったけどね。

さて、前置きとは全然関係ない事をこれから書こうと思うんだがタイトルとは少しだけ関係あるかな?今年一月の発売日に素晴らしい奇跡的な出来事があって二冊も同時に入手したというROCKHURRAH家の家宝「このどしゃぶりに日向小町は/鳥飼否宇 著」について書こうというのだ。「一月に入手して何で今頃?」とタイムリーではない展開にほとんどの人が疑問を抱くことだろう。何度かこのブログでも紹介(?)しているし、鳥飼先生自身からもコメントを頂いたという大変に光栄な出来事もあった。なのにこの遅過ぎた感想文、推敲を重ねてこの時期になったわけでもないから自分でも情けない。
前置きは長いが肝心の感想は短いかも知れないと竜頭蛇尾気質を心配しつつも何とか書いてみよう。

「このどしゃぶりに日向小町は」は鳥飼先生の長編小説で架空の都市、綾鹿市が舞台となったものだ。2003年に発表された短編「廃墟と青空」に登場した伝説のロックバンド鉄拳の元メンバーが20年ぶりに集まるという話で2004年に発表された長編「太陽と戦慄」の主人公も登場する、鳥飼先生のファンならば大喜びという内容だ。

ウチのブログを詳細に毎週読んで下さる方はほとんどいないと思えるので過去に書いた事と重複するのだが、先生の作品を未読の人のために予備知識を少しだけ。
70年代プログレッシブ・ロックを知る人ならばすぐにピンと来るこのタイトル、「太陽と戦慄」はもちろんキング・クリムゾンの傑作が原典だし「廃墟と青空」は一般的にはあまり知られてはいないがドイツの実験的音楽集団ファウストの4thアルバムの邦題そのまんま。そう(ファー)、鳥飼否宇先生と言えばミステリー界きってのプログレ&クラウト・ロック&ノイズ&アヴァンギャルド・ミュージックのマニアックな文章で有名な作家であり、それが他の作家とは決定的に違った個性なのだ、と個人的には思える。ミステリー・マニアを自負する人でもこの手の音楽に造詣が深くなければちりばめられたもう一つの謎解きは出来ないという寸法。簡単に言ってしまえばほとんどの登場人物は実在したバンド・メンバーのもじりというわけで、ミステリーのみの人なら「けったいな名前」という感想くらいしか出て来ないはずだが、この手の音楽好きの人ならニヤリと(時には爆笑)するに違いない。この辺の謎解きに関してはウチのブログのアレコレで確認してみて。

さて、その「廃墟と青空」に出てくる伝説のバンド鉄拳とは、もちろんナムコの「鉄拳シリーズ」などではなくファウスト=拳骨というドイツ語の意味を換骨(拳骨)奪胎したものだ。
その鉄拳のメンバーもファウストのメンバーをモデルにしたのは明らかで
入村徹/Hans Joachim Irmler
出家舞矢(ザッポ)/Werner "Zappi" Diermaier
橋本順子(JH)/Jean-Hervé Péron(の頭文字)
というほとんどそのまんま単刀直入なもの(笑)。
この物語の重要人物ルビーだけが本名が明らかでなく(物語の最後で明らかになるが当ブログでは言えましぇん)途中ナカオスナオなどと名乗るが単刀直入な原典ははっきり分からなかった。Rudolf Sosnaあたりか?「ル」と「スナ」のみだな(笑)。

またバンドのプロデューサーである宇部譲は実際のファウストの仕掛人であったUwe Nettelbeckと伝説の音楽雑誌「ロック・マガジン」を主宰していた阿木譲を掛け合わせたものだろうと推測がつく。ついでに鉄拳のサウンド・エンジニアだった久能来人は当然Kurt Graupner(ファウストのエンジニア)だろうか。

まあこんな人々が主要登場人物で、詳しくは鳥飼先生の傑作「痙攣的」「太陽と戦慄」「このどしゃぶりに日向小町は」という順番で読んで頂きたいのだが、かいつまんで話すならば鉄拳と言うバンドは既成の商業主義ロックを打破するためにその宇部譲が仕掛人となって集められたもの。メンバーのヴィジュアルもプロフィールも性別も不明といった徹底した秘密主義、世間とは隔離された別荘で共同生活をして音楽を創るのだがその奇行や斬新な音楽という風評が先行して一部の音楽マニアに熱狂的に迎え入れられることになる。この辺もドイツの廃校で創作活動をしたというファウストとイメージがかぶるな。この話では天才的ギタリストでジャンキーのルビーが閃き、それに他のメンバーが加わるという形式で幾多の音源が完成する。そして満を持して後に伝説となる唯一のライブが開催され、そこで殺人事件が起こる。

「廃墟と青空」はこの数年後に事件の真相が明らかになるという話だ。秘密主義に守られて正体が不明だったために、事件当時にステージから消えてしまったメンバーがどこへ行ってしまったのか?その謎に肉迫するという構成がミステリーとしても面白く、大好きな作品。「面白そう」と最初に手に取ったのはROCKHURRAHだったがSNAKEPIPEが先に読んで一度でファンになってしまった事を思い出す。

「太陽と戦慄」はまた別の時代、別のバンドの話になるので今回は書かないがロックとミステリー、そしてテロリズムがミックスされた壮大な話でROCKHURRAHは非常に高く評価している作品。

そしてやっと本作「このどしゃぶりに日向小町は」となる。
鉄拳の解散から20年経ったという時代設定のために元メンバーはみんな40代後半となっている。先に書いた天才ギタリスト、ルビーはあまりのジャンキーぶりに病院送りとなっていたわけ(何と20年も)だが、そのルビーの訃報と共に意味不明のメッセージが入村の元に届く。入村は元メンバーと共にルビー死亡の真相を解明するために手紙の送り主、アイダ・サナトリウムに潜入するというような話だ。ミステリー要素もなくはないがどちらかと言えばヴァイオレンス風味のあるサイコ・サスペンスかホラーといった趣がある。
ROCKHURRAHは最近のミステリー事情には疎いし、いわゆる推理小説というのもごく限られた作家しか読んでいない。ただし大正から戦前あたりの探偵小説は割と読んだ方で、この時代は本格的探偵小説よりもむしろ変格と呼ばれた、ある意味ミクスチャー的な一風変わった作品群が大好きだった。中でも敬愛していた作家と言えば・・・。
冒頭にルビーがサナトリウムのベッドで目覚めるくだりは鳥飼先生と同じ福岡出身の伝説的作家、夢野久作の「ドグラマグラ」を即座に思い浮かべる事が出来る。そう言えば「廃墟と青空」の冒頭もボーン、ボーンという柱時計の音。「まるでドグラマグラじゃん」とSNAKEPIPEと語り合った事を思い出す。
夢野久作はそういう探偵小説の時代にデビューしたがちゃんとした探偵が何かの事件で活躍するというような作品は(たぶん)なく、もっと自由奔放な世界で自分なりの探偵小説を開拓した作家だ。

鳥飼先生の作品は生物学やアヴァンギャルド的音楽といったマニアックな世界が重要な要素となっているが、そういうものとミステリーが融合していて独自の世界を創り上げ、そして唐突にカタストロフィが訪れるというギリギリのバランスで成り立っている。そういう意味では現代のミステリーというフィールドよりはかつての「探偵小説」という大雑把で意味不明の括りの方がしっくりくるとROCKHURRAHは個人的に感じた。全然違っていたらすみません。

余談だが「このどしゃぶりに日向小町は」の英題「It’s A Rainy Day, Sunshine Girl」
そして各章のタイトル
「ほんのちょっとばかりの痛み(It’s A Bit Of A Pain)」
「シェンパル・ブッダ(Schempal Buddah)」
「ねえ、なんでニンジン食べへんの?(Why Don’t You Eat Carrots)」
これらは全てファウストの曲名からつけられている。さらに小説中に登場する音響兵器(?)の曲名「ギギー・スマイル」や「ノー・ハーム」なども全てファウストそのまんま、ここまでこのバンドづくしの一篇を書き上げた小説はたぶん他にないだろう。海外ではマイケル・ムアコックホークウィンドのように音楽と小説が密接な関係にあるという例もあるが、この試みはおそらく本邦初と言えるはず。まさに稀有な出来事、などと書くと少し大げさかな?
ROCKHURRAHの今回のブログ・タイトルもファウストの名曲「Picnic On A Frozen River」にちなんでみたのはおわかりだろうか?え、陳腐?

それにしても「廃墟と青空」でははっきりとわからなかった鉄拳メンバーだが、今回は会話や行動により愛着のあるキャラクターとなった。その矢先に、うーむ。この人たちの話をもっと知りたくても、もう叶う事がないんだな。そう思うと寂しい気がするのはROCKHURRAHだけじゃあるまい。

以上、評論も解説も感想文も苦手なROCKHURRAHが鳥飼先生の魅力を伝えるために書いてみました。クラウト・ロックのファンでまだ未読の人がいたら是非読んでみてね。

逸品制作日誌 フレクターカモ・ヒップバッグ

【ドイツ軍カーゴパンツを使用して制作したヒップバッグ(私用)】

SNAKEPIPE WROTE:

ゴールデンウィーク真っ只中、今年は例年よりも長いお休みでゆっくりできるよね!
とは言っても特別な予定はない。(笑)
せっかくだからどこかに出かけてみようか、と普段はなかなか行かれない西東京に行ってみた。
目的は「ファントム」というミリタリーショップ。
ROCKHURRAHが是非とも行ってみたいと強く要望する。
2週前のブログ「CAMOのマイハウス」でもお分かり頂けると思うけど、かなりのミリタリーマニアだからね!
一番近い店舗は渋谷店だと知っていたけれど、せっかくなら基地のある横田店を目指してみよう。
SNAKEPIPEはかなり昔に友人のお供で行ったことがある福生だけれど、ROCKHURRAHは未開拓の地とのこと。
散歩がてら少し福生の町を歩いてみることに。

ファントム横田店の一番近い駅は東福生のようだけど、福生と東福生はそれほどの距離がないようなので歩くこと約10分。
国道16号沿いに長い塀が出現!
おおっ、これが横田基地!
そして「U.S.AIR FORCE 横田基地」と書いてあるゲートのはす向かいにファントムはあった。
こんなに目の前にあるとはびっくり!
しかも表のディスプレイ、銃が飾ってあり「危ないから触らないで」と書いてある。
基地正面前で大丈夫なのかなあ?(笑)

SNAKEPIPEはちょこちょこっと店内を見回しただけで、そんなに楽しい場所とは思えなかったファントム。
何故なら自分が着られるようなサイズがなかったから。(笑)
ところがマニアのROCKHURRAHはじっくり丁寧に見ていて、長い長い!
途中で飽きたSNAKEPIPEが「まだ~?」と様子を見に行くこと数回。
名残惜しそうなROCKHURRAHだったけれど、今回は特に買う物もなかったようで。(笑)

「ファントム大したことなかったね」
という言うSNAKEPIPEに
「なかなかすごいよ!Crye PrecisionやARMAとか揃ってて!」
と熱く語るROCKHURRAH。
でもねえ、やっぱり自分が着られないのは面白くないんだな。(笑)
先日行った秋葉原にあるミリタリーショップのほうが楽しかったSNAKEPIPE。
なぜならアメリカ物だけじゃないミリタリーがあったから。
ドイツのカモフラージュのキャップを購入しちゃったし!
そういう意味では上野の中田商店もいろんな国のミリタリーが見られるから楽しいんだよね。
ROCKHURRAHも本当の好みはどちらかというとあまり出回ってない国のミリタリーらしい。
たまたま最近購入したECWCS(ゴアテックス素材のパーカー)以来メーカーによる素材の違いに興味を示しているため、アメリカ物を研究してるみたい。
それにしても最近ミリタリーショップ巡りしてるな。(笑)

せっかく西東京地域に足を踏み入れたんだから、ということで2009年2月の記事「HELL- RACERミニアルバム到着」に登場した国分寺にある「超山田堂」に寄り道することにした。
そのブログで「いつか国分寺の超山田堂に遊びに行きたいな!(笑)」と書いてあるように、いつか行ってみたいと思ってた夢が実現!
15時の開店少し回った頃に到着。
本とCDがほとんどのお店で、少しだけ洋服とプリントTシャツが置いてある。
どこに何が置いてあるのか探すのが難しいお店はSNAKEPIPEが苦手なタイプ。
ところがここでもROCKHURRAHは水を得た魚のよう。
SNAKEPIPEとは逆でROCKHURRAHにとっては非常に居心地が良いお店らしい。
昼間歩き回ったせいで目が疲れていたから、あまり良く見られなかったと後から聞いたけど充分長く居たように思ったけどね?(笑)
好きなタイプのアングラでマニアックな品物が数多くあって、
「まるでかつて恵比寿(その後池ノ上に移転したけど現在は不明)にあったパテ書房を彷彿とさせる」
とこれまた得意分野(?)を披露するROCKHURRAH。
SNAKEPIPEは途中で飽きちゃったんだけどね。(笑)
一応目的の「ファントム」と「超山田堂」に行かれた、ということで良しとしようか。

前述したように秋葉原のミリタリーショップでフレクターカモのキャップを購入したSNAKEPIPEは、もう一点何かフレクターカモを使った物が欲しくなっていた。
洋服では本気の人に見えてしまいそうなので、小物で何かいいものがあったら買う気だったのに!
ファントムにはアメリカ物しかなかったしね。
と、いうことで自分で作ることにした。(笑)
古着屋でフレクターカモのパンツを購入し、それを解体して作ったヒップバッグ。
肩から斜め掛けしても大丈夫な設計。
ダブルジッパーにして容量も大きめにしたので、折り畳みの傘まで入っちゃう。
フラップ付きのポケットを前面に配置してアクセントにしてみた。
帽子とペアでかわいいぞ!
今年の夏はこれだね!(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #02 Bernard Faucon

【キャンプ?焚き火?まさか山火事?!】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPE MUSEUM第2弾はベルナール・フォコン
その昔は「フォーコン」と書いてあったような気がするけど、表記変わること多いもんね。(笑)
SNAKEPIPEは昔覚えた通りにフォーコンとして書いていこうかな。

「もう一度観たい」写真は数多くあるけれど、できれば写真集も欲しかったと思う写真家の一人がフォーコンである。
少年マネキン人形のシリーズを初めて観た時にすっかりファンになってしまった。
というよりそのシリーズ以外をほとんど知らないSNAKEPIPE。
ご本人のHPにまだまだ現役で活動されている情報が載っていて、びっくり!
もうマネキンシリーズはとっくにやめてる模様なので、SNAKEPIPEが知ってるのはフォーコンのほんの初期だけみたいね。

「サマー・キャンプ」と題された少年マネキンシリーズは6×6でスナップショットっぽく撮影されたコンストラクテッド・フォト、いわゆる「作りこみ」写真である。
あの少年の日の夏休みのこと。
みんなでキャンプに行ったっけ。
いたずらで点けた火が思いのほか大きくなっちゃって、慌てて手を離したら周りの草を焼いちゃって。
いつもは怒るキャプテンも、何故だか大喜びで歓声を上げてる。
みんなの顔が輝いて見えたのが不思議だった・・・。

SNAKEPIPEがお話を作るとどうも「どっかで聞いたような」オリジナリティのないものになるから要注意だ。(笑)
「陳腐だ」といつもROCKHURRAHから言われてるしね!
ま、創作話はいいとして。

「ぼくのなつやすみ」というゲームソフトのCFを観たのはいつだったろうか。
調べてみるとどうやら1975年に9歳という設定、ということは現在の40代をターゲットにしたゲームのようである。
そうそうセミを捕ったな、川で泳いだな、なんて感じの「昔を懐かしむ」追体験ゲームなのかな。
観たこともやったこともないので憶測で書いてしまって申し訳ないんだけど、この感覚とフォーコンの写真世界が少しだけ似ているような気がしている。

少年時代の良い思い出も悪い思い出も、今となっては二度と体験できない記憶の中にだけ存在するものである。
郷愁は甘酸っぱさよりも、涙の塩辛さやほろ苦さを強く感じる。
少年時代はもう戻らないんだよね。
そして思い出はずっとフレームに固定されたまま変化することはない。
なんだかちょっと物悲しいね。
ちょっとおセンチになっちゃう。(ぐっすん)

それにしてもフォーコンは一体今まで何体のマネキン人形を所持していたんだろう?
写真で観ているだけでも顔やスタイルの違うマネキンが相当数いるよ。
外国にはこんなにたくさんの種類のマネキン人形がいるんだなあ、と違う感心をしてしまう。
そしてそのマネキン達の衣装を揃えるだけでもかなり大変だっただろうな、と余計な心配までしてしまったSNAKEPIPEである。

CAMOのマイハウス

【タイトルにちなんで作った樹海の我が家。目立ち過ぎだって】

ROCKHURRAH WROTE:

ありきたりなタイトルで情けないが今回はROCKHURRAHが好きだけど滅多に着られないという迷彩柄について書いてみよう。
迷彩、カモフラージュ、カモなどと呼び名は色々で世の中に溢れかえってるアレの事だ。当たり前だが本来は樹木や砂漠、市街地などの背景の中に紛れ込んで目立たなくするという目的で作られたパターンであり、TPOに合わせたコーディネイト(?)が肝要だったが、現在ではそんなことに関係なく非常にポピュラーな柄物として出回っている。これに対する思想もウンチクも特になく、何も考えずに進めてみようか。註:パロディなタイトルにするんだったら「CAMOなマイハウス」じゃない?と言われたがスパークスの「キモノ・マイ・ハウス」をもじってるので、これでいいのだ。

最初に書いた通りROCKHURRAHはこの迷彩柄とあまり相性が良くなく、今どきの若者としては珍しく・・・あ、いっけなーい、若者じゃなかった。まあ迷彩柄の服所持率はとても低いのだ。本当の意味で似合う日本人はわずかだし嫌いな人は一着も持ってないだろうが。
ROCKHURRAHの場合は嫌いなわけじゃなく似合わないわけでもなく、これを着用すると即座に本気の人、もしくはライト・ウィング系の人みたいになってしまうからだ。全ては顔だちや雰囲気のせいね。これに比べてSNAKEPIPEは非常に迷彩が似合う女性なのでいつも羨ましく思っているのだ。SNAKEPIPEが特別に迷彩の似合う顔立ちなわけではなく、いくらやっても本気の人には見えないからファッションとして似合うという意味だろう。とは言えSNAKEPIPEのミリタリー度合いは女性では珍しいのは確か。

さて、一口に迷彩と言っても実に多くの種類が出回っているわけだが、その全ての明細書を書くほどの気力もないので、テキトウに書いてみよう。

まずは最もありふれたパターンだと言えるウッドランド。昔は迷彩と言えばこれくらいしか出回ってなかったもんだ。その来歴はよく知らないが名前からしてジャングル用のパターンだと思える。樹木や森は国、場所によってもさまざまだから、この代表的なパターン以外にも亜流(?)が数多く存在している。ミリタリーショップや古着屋でも最も良く見かけるな。この柄を見るとかつて福岡のシーサイドに住んでいた頃の話を思い出す。ROCKHURRAHとは縁もゆかりもないサーファーが住みたがるような場所であり、何と駅から30分くらい歩かないと帰りつけないような僻地だった。「ドグラマグラ」にも登場するな。単に家賃が安かったからこんな場所に住んだわけだが、人里離れた土地なのをいいことに、上の部屋の住人がドッタンバッタンと毎日うるさい事。
ある日、たまりかねて怒り心頭のROCKHURRAHはこのウッドランド迷彩の見るからに戦闘的なつなぎをわざわざ着用、そして前述したような本気の人の顔立ちにサイコ刈り、サングラスという迫力あるいでたちで怒鳴り込みに行ったというだけの話。それから上の住人は大人しくはなったがこの海際にウッドランドというのはカモフラージュ本来の目的とはかけ離れているな。
派生型として色調をビルやアスファルトのグレイに合わせたモノトーンのアーバン・カモというのも割とポピュラー。

次は淡い色彩が特徴のデザート・カモ。名前の通り砂漠地帯での使用を目的としたパターンで湾岸戦争の際に一躍メジャーになったな。見た目からチョコチップとも呼ばれるが確かにミスター・イトウ風。本来は自然の中に隠れるカモフラージュなんだが、ファッションの世界では着て存在感をなくしてしまいかねないこの柄、逆にあまり人気ないのカモ。ROCKHURRAHはなぜかこのチョコチップ柄のBDU(バトル・ドレス・ユニフォーム)ジャケットを所有していて一時期は好んで着ていたがやはりこんな茶色ベージュといったナチュラルな色柄は似合わない。砂漠地帯という暑い場所向けでどうしても薄着メインになってしまうから、防寒機能的ミリタリーを志すROCKHURRAHの琴線に触れるような商品もないんだろうね。

さて、格別に面白いネタでもないからどんどん先に行ってみよう。次はフロッグスキンと呼ばれる迷彩。第2次世界大戦の時に開発されたけど場所によっては逆に目立ってしまうからあまり普及しなかったような話を聞いたことがある。たしかに沼地とかでは有効かも知れないが、移動してしまえば単なるでかい蛙にしか見えない。リオレイアにすぐに見つかってしまいそう。後年はダックハンターという名称でも知られているな。名前はちょっとイヤだが柄的には割と好きだ。街路樹でよく迷彩柄っぽいプラタナスを見かけるが、このフロッグスキンの色褪せたものとはよく調和しそう。この柄のメッセンジャーバッグをかなり大昔から所有しているがいつまでたっても真新しいような素材で全然味が出ないぞ。

これはタイガーストライプと呼ばれるもので東南アジアの兵士が着ているのをよく見かけるな。確かにこんな色合いのジャングルは他にはあまりないかも。浅黒い顔立ちには似合いそうだが迷彩の中でもチンピラ度はかなり高いシロモノ。命を粗末にするなよ。色合いはかなり違うがROCKHURRAHはこれまたなぜかよりによってこの柄のTシャツを持ってる。迷彩マニアならまだしも唯一持ってるのがこれとは、似合わないものをわざわざ選んでるとしか思えない。自分でも恐れ入ったよ。

ちょいと色調補正間違えた気がするが、これは米軍ネイテック研究所とクレイ・プレジション社というのが共同開発したマルチカムという迷彩らしい。迷彩柄も人の知らないところで随分進化したようで、まあ簡単に言えばどんな場所にでも対応出来る汎用性の高い迷彩という感じだろうか。過去の迷彩のいいとこ取りのような複雑なパターンと色合いで人気も高いはず。何だかこんなものを大真面目に秘密裏に仕事としてやってる研究所員になってみたいという気はする。魅力的な柄なんだけど・・・。

もう飽きてきたしコメントも尽きたのでこれで最後にする。これはACUと呼ばれるものでユニバーサル・カモフラージュ・パターンを取り入れた迷彩服の総称らしい。デジタル・カモとも呼ばれるドット絵のようなパターンが特徴。2004年から米軍が正式採用しているが上のマルチカムはACUの採用により正式採用されなかったとか。この辺は専門家ではないから熾烈な争いを繰り広げて勝ったの負けたのというような物語を勝手に想像するしかない。実はブログ発表する前の日(妙な言い回ししたが昨日のこと)に迷彩研究を兼ねて上野にある中田商店に行ってきたのだが、この柄の普及率は確かに高かった。しかし個人的な感想として何だかハッキリしない薄ぼやけた柄にしか見えないACUにはあまり魅力は感じなかった。究極にいい迷彩とは何だかハッキリしない薄ぼやけたシロモノというのが最も実用的だという事だね。みんな同じような格好で同じようなアイテムを持って満員電車に乗る日本人こそが究極の都市型サバイバル迷彩なのではないだろうか?などという新聞の社説みたいな事は言わないが、そう言いたくなる人はたくさんいるだろうね。

以上、米軍迷彩を中心に書いたけど本当はヨーロッパとかの独特な迷彩の方が好みに合っていた。次はもうやらないと思うけど。

この後、2030年くらいには光学迷彩も実現するような世界になるんだろうが名前からして高額そうなのは確か。何者に対しても隠れなくていい世界になって欲しいよ。あ、珍しく真っ当なまとめだな。