鴻池朋子 ちゅうがえり 鑑賞

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【会場入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAH RECORDSにとって特別な日が10月にある。
この日はお祝いをかねて、何かしらのイベントを計画するのが毎年恒例なんだよね。
「ここに行ってみない?」
とROCKHURRAHから提案されたのが、アーティゾン美術館の展覧会だった。
初めて聞く美術館だよ!

調べてみると2019年にブリヂストン美術館から、ART(アート)とHORIZON(ホライゾン)を合わせた造語であるアーティゾン美術館に改称したという。 
そもそもブリヂストン美術館に聞き覚えがないし、訪れたこともないんだよね。
もしかしたら今まで興味を引く展覧会がなかったのかもしれない。
アーティゾン美術館は日時指定の予約制で、WEB予約での受付と当日窓口での受付では料金が異なるという。
早い時間に予約し、ゆっくりランチを楽しむことにしようか。

当日は台風が関東地方を直撃か、という予想が外れた雨空だった。
それほど雨風は強くなかったので、展覧会の鑑賞には丁度良かったかもしれない。
日本橋から徒歩5分という案内通り、駅からそんなに遠くない場所に「BRIDGESTONE」の文字がガラス越しに見える。
そういえば高校時代は自転車通学をしていたSNAKEPIPE。
買ってもらったのは赤い車体に黒文字で「BRIDGESTONE」のロゴが入った自転車だったことを思い出す。
他の自転車より高い位置に展示され、お値段も高めだったけれど、一度の故障もなかった優秀さ!
さすがブリヂストンだな、と思ったっけ。(笑) 

ビルの建替えが2019年7月に完了し、2020年1月からオープンしたというアーティゾン美術館は、さすがに新築でピカピカ!
手指の消毒や体温測定に加え、入場は一人ずつ間隔を空けるなど、コロナ対策も行われている。
それにしても美術館のスタッフの方々が制服として着用しているのが、まるで作務衣のようで見慣れない感じ。
「こちらへ」
なんて手招きされると、美術館にいるというよりは旅館かと錯覚しちゃう。(笑)

今回は「3展覧会同時開催」として3フロアの展覧会を1枚のチケットで鑑賞できる企画だった。
「6Fからご鑑賞ください」
6F→5F→4Fと下っていくことになるんだね。
最初は鴻池朋子の「石橋財団コレクション×鴻池朋子 ちゅうがえり」。
展覧会名の前に「ジャム・セッション」という言葉が付いている。
どうやら石橋財団のアート・コレクションとのコラボ企画ということらしいけど、いまいち意味不明だよ。
それにしても鴻池朋子というアーティストは初めて聞くなあ。
少し調べてみようか。

1960年秋田県生まれ。
1985年東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業後、玩具、雑貨などのデザインに携わる。
現在もその延長で、アニメーション、絵本、絵画、彫刻、映像、歌、影絵、手芸、おとぎ話など、様々なメディアで作品を発表している。
場所や天候を巻き込んだ、屋外でのサイトスペシフィックな作品を各地で展開し、人間の文化の原型である狩猟採集の再考、芸術の根源的な問い直しを続けている。(オフィシャルサイトより)

1960年生まれといえば今年60歳、還暦?
とてもお若い見目姿に、うそでしょーと驚いてしまう。
芸大の日本画といえば、松井冬子の先輩にあたるんだね。
国内外で数多くの展覧会に参加しているようだけど、今まで一度も出会ったことがないみたい。
一体どんな作品なんだろう?
会場入口で撮影に関しての文章があった。
「撮影禁止」と表示されている以外はすべてオッケーとのこと!
アーティゾン美術館いいねー!
バシバシ撮らせてもらおう。(笑)

会場に入ってすぐ、目に飛び込んできたのは「皮トンビ」という大型作品だった。
横12m、高さ4mという大きさは、少し離れないと全体を鑑賞することが不可能だね。
遠目から、更に近付いて鑑賞してみる。
タイトル通り、レザーを革紐でつなぎ大きな一枚の皮にしている。
その上にアクリル絵の具とクレヨンで描いているという。
この作品は瀬戸内国際芸術祭 2019で発表されたらしい。
オフィシャルサイトに載っていたその時の様子をROCKHURRAHが観て、展覧会行きを決めたらしい。
面白そうだと感じた直感は正しかったね!
瀬戸内国際芸術祭で展示されていた森の中に静かに佇むトンビ、迫力あっただろうな。
その時に観たかったな、と思う。
レザーをキャンパスとして使用する作品を観たのは、初めてじゃないかな。

「竜巻」は2020年の作品だという。
作者の趣向なのか、タイトルが作品の近くに提示されてなかったため、タイトルを知ったのは帰宅後なんだよね。
鑑賞している時点では、何を表しているのか不明だった。
複数枚の謎の黒いラインが並んでいる様は、とても好みだよ。
これらの作品は、石版石を用い伝統的な方法で制作したリトグラフ版画とのこと。
「皮トンビ」とは違った雰囲気だったね。

「ドリームハンティンググランド」も大型作品だったよ。
シナベニヤに水彩で描かれているのは、原始の森のような不思議な情景だった。
その上に毛皮が貼り付けられているんだよね。
調べてみると「クマ、オオカミ、シカ、テン他」の毛皮を使っていたようだけど、全部は確認できなかった。
色合いが美しくて、存在感があったね!

「カレワラ叙事詩」はオオカミとヒグマの毛皮を使用した作品だった。 
上の作品にも毛皮を貼り付けていたけれど、鴻池朋子は毛皮やレザーを使用することが多いみたいだね。
キャンバスに毛皮を貼り付けたといえば白髪一雄を思い出すよ。
どうやら鴻池朋子は「害獣として駆除」された獣の毛皮を入手して、作品に取り入れているらしい。
大きなヒグマの毛皮を広げ、お腹の部分にオオカミをお腹合わせに合体させているんだね。
これもいわゆるキマイラか?
タイトルの「カレワラ」は、フィンランドの民族叙事詩のことみたいね。

会場の中央に設置されていた円形の展示は、襖絵と滑り台だった。
滑り台の意味は不明だったけれど、ROCKHURRAHと共に子供さながらに滑ってみたよ。(笑)
そして襖絵を鑑賞する。
石が貼り付けられたもの、地球が描かれたもの、竜巻が描かれたものなど、いくつかのパターンがあった。
鴻池朋子が芸大の日本画出身と聞くと、襖絵は納得しちゃうね。
いわゆる日本画とは違う襖絵といえば、爆撃の様子を描いた会田誠の「たまゆら(戦争画RETURNS)」があったね。
伝統的なイメージとは、かけ離れて新鮮に映るよ。

「影絵灯篭」は自転車の車輪を組み合わせた仕掛けに、紙でつくったモチーフを吊り下げ、ライトを当てグルグル回した作品なんだよね。
次々と形を変える影絵が面白い。
どの瞬間を捉えたら良いのか迷いながら、複数回撮影する。
人間から動物に移り変わっていくかのような奇妙さ。
また人間に戻り、そして動物になる無限ループ状態なのか?
奇妙なモチーフを影絵で見せたクリスチャン・ボルタンスキーの作品を思い出す。
ボルタンスキーの場合は、風で揺らぐことで影の大きさを変化させていたね。
影絵をモーターで回す鴻池朋子の作品、とても良かったよ!

「こっ、これはっ!」
思わず声を発してしまったSNAKEPIPE。
本物のオオカミの毛皮が天井から吊り下げられているんだもん。
2015年に横浜美術館で観た「蔡國強展」を彷彿させる作品だよね。
会場の入り口に「毛皮が肌に触れる作品があります」といった注意書きがあったのは、この作品のことだったのかと納得。
この「毛皮カーテン(SNAKEPIPE命名)」をくぐらないと、通路は通れないからね。
好き嫌いは分かれるかもしれないけれど、インパクトが強かったよ。

順路を進んでいくと、まるで別の作家のような作品群が登場する。
これは様々なエピソードを、布で立体的に作った絵本なんだよね。
人から聞いた話をもとに、鴻池朋子が下絵を担当。
その下絵から話をした本人が手芸で立体絵本を制作したプロジェクトだという。
一つの絵にそれぞれ物語があるので、全部を読むことはできなかったよ。
どちらかというと他愛のない、子供時代のお話なのかな。
立体の絵本がとてもかわいらしくて、それまで観てきた作品とは全く違う雰囲気に驚く。
このシリーズは、とても女性的で一般受けしそうなんだよね。(笑)

例えば狩猟時代に男が狩りをして獲物を捕らえて帰ってくる。
獲物の皮を剥ぎ、肉を焼いて食べる。
家を守る女は毛皮で衣服を作り、肉を調理する。
人間が自然の一部として、循環の中に組み込まれ共存していた時代を、アートとして提示しているのが鴻池朋子なんじゃないか、という感想を持ったSNAKEPIPE。
そう考えると「害獣として駆除」された動物の毛皮の意味も違ってくるように思う。
何が一番の「害」なんだろうね?

鴻池朋子の作品に満足しながら5Fに降りる。
次のフロアは「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示 Cosmo-Eggs|宇宙の卵」の展示だった。
2019年に日本館のパビリオンで発表された作品の帰国展とのこと。
大きなスクリーンに映し出されるモノクロの風景映像に、音楽や効果音(?)が加わる。
会場の中央には、オレンジ色の丸いソファ(?)があり、座ることができた。
少しの間鑑賞していたけれど、あまり意味が分からなかったよ。
とても静かな空間だったね。

続いて4Fへ。
このフロアでは「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 新収蔵作品特別展示:パウル・クレー」が展示されていた。
ここでも撮影が許可されていて驚く。
モネやルノワールの作品までオッケーとは。
ROCKHURRAH RECORDSの好みとは違うけれど、石橋財団太っ腹だよねー!
載せた画像はカンディンスキー、1924年の「自らが輝く」。
 同じ並びにはジャコメッティ、ポロックと続き、石橋財団お金持ち!(笑)

石橋財団コレクションからスポットを当てて特集されていたのが、パウル・クレーだった。
パウル・クレーといえば、ROCKHURRAH RECORDSが大好きなドイツの美術と建築に関する総合的な教育を行った学校、バウハウスで教鞭を取った人物だよね! 
今年2020年7月に鑑賞した「開校100年 きたれ、バウハウス」の記事にも書いているよ。
ROCKHURRAHと「これが一番だね!」と声を揃えたのが、1929年の作品「羊飼い」だった。
その時期は丁度、バウハウスの時代ということになるんだね。 
クレーの作品については、そこまで詳しくなかったので、今回鑑賞することができて良かった!

初めて訪れたアーティゾン美術館の3つ展覧会はボリューム満点!
これでチケット代金が1,100円とは驚きだよ。
入場者数を制限していることもあり、ゆっくり鑑賞することができたのも良かった点だね。
素敵な企画があったら、また足を運びたい美術館だよ! 

オラファー・エリアソン ときに川は橋となる 鑑賞

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【東京都現代美術館の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週、草間彌生美術館鑑賞についての記事を書いたよね。
実は草間彌生の後、長年来の友人Mと美術館のハシゴをしようと計画していたSNAKEPIPE。
ところが先週の記事にも書いたけれど、その日の湿度が非常に高く、少し歩いただけでも不快になってしまう天気だった。
そのため予定を変更して、美術館に行くのをとりやめたのである。

計画していたのは、東京都現代美術館で開催されているオラファー・エリアソン「ときに川は橋となる」と「おさなごころを、きみに」だった。
友人Mとは断念してしまった鑑賞計画だったけれど、せっかくなので行ってみたいと思ったSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHと出かけることにしたのである。

東京都現代美術館を訪れたのは2019年5月のこと。
百年の編み手たち〜ただいま/はじめまして」は、3年のリニューアル後に鑑賞した展覧会だったね。
「リニューアルの意味がなく非常にガッカリした」と感想を書いているSNAKEPIPE。
あの時からすっかり足が遠のいてしまった東京都現代美術館。
今年に入ってからは自粛期間があったから余計だよね。
本来は2020年3月から6月だった開催期間が、6月から9月に変更された展覧会。
秋晴れの少し気温が高い平日に出かけたのである。

展覧会を鑑賞する時は、大抵の場合午前中に鑑賞を終えて、ランチを食べながら感想を述べ合うことが多い。
今回は午前中に外せない用事があったため、午後からの鑑賞になった。
久しぶりに行く東京都現代美術館は、コロナ対策のため正面入口以外は封鎖されていた。
入り口から見える風景に驚く。
広い通路に人が溢れかえっているじゃないの!
「チケット購入まで20分待ち」「入場まで20分待ち」などの看板が立てられている。
2019年に訪れた時には、どちらかというと空いていたように記憶しているけど?
なんでこんなに人気になっているのか不思議に思いながら、チケット売り場に並ぶ。

コロナ対策のため、間隔を空けて並ぶ必要があるのも原因だろうけど、並んでいる顔ぶれをさり気なく観察すると理由がなんとなく分かってきた。
高校生くらいから20代くらいの世代が多いので、SNSに写真をアップしたいがために来館しているのかもしれない。 
普段見かけるような「アート好き」やSNAKEPIPE命名の「国立系」 (年配の鑑賞者グループ)は、ほとんど見当たらない。
この様子で思い出すのは、2018年3月に森美術館で鑑賞した「レアンドロ・エルリッヒ展」 かな。
大雪の中出かけたのにもかかわらず、チケットを購入するまでに30分以上並ぶほどの大混雑、大人気ぶりだったからね。
あの時に近い印象があるよ。
ということは、今回も「参加型」っぽい作品があるのかも?

待ち時間を利用して、オラファー・エリアソンについて調べてみようか。

1967年 コペンハーゲン(デンマーク)生まれ
1989年~95年 デンマーク王立美術アカデミーで学ぶ
1995年 ベルリンに渡り、スタジオ・オラファー・エリアソンを設立
2003年 テート・モダン(ロンドン)にて《ウェザー・プロジェクト》を発表
2008年 滝のインスタレーション「ニューヨークシティ・ウォーターフォール」を発表
2009年〜14年 ベルリン芸術大学の教授を務める
2014年 建築家のセバスチャン・ベーマンと共同でスタジオ・アザー・スペーシズを設立
ウルフ賞芸術部門を受賞

科学とアートを融合させた作品により、世界的に有名なアーティストなんだね。
日本でも東京の原美術館で展覧会が開催されていたり、金沢21世紀美術館に作品が所蔵されているとのこと。
今回初めて名前を知ったSNAKEPIPEなんだけど。(笑)

ようやくチケット購入後、今度は入場するために並ぶ。
うーん、並ぶのが苦手なROCKHURRAH RECORDSにとっては、我慢の時間だよ。
どうしても観たかったわけじゃないから余計かな。(笑)
やっと入場できるようになったけれど、会場も人でごった返していた。
ほとんどの作品は撮影可能だったので、誰もがスマホを片手にしていたね。
当然SNAKEPIPEも撮ったよ!(笑)

円形に、なにやら黒い線が描かれている。
説明を読まないと意味が分からないよね?
「クリティカルゾーンの記憶」は、ドイツ→ポーランド→ロシア→中国→日本へと鉄道と船を使って作品を運んだ時の揺れや動きを記録した線描だという。
空輸しなかった理由は「CO2排出削減のため」とのこと。
エリアソンは、エコロジー関連にも注目しているアーティストなんだよね。
旅の記録をこうした形で表現するとは、なかなか難解ですな!(笑)

続いて「太陽の中心への探査」というインスタレーションを鑑賞する。
広い空間の真ん中にキラキラ光る物体が浮かんでいるよ。
少し鑑賞していると、その物体がゆっくり回転していることが分かる。
せっかくなので動画にしてみようか。

「キレイ!」というだけの作品ではなくて、エリアソンの意図があるんだよね。
動きはソーラーエネルギーによるもの、そして行きていくために不可欠な太陽とこの世界を成り立たせている構造や法則を表しているらしい。
これまた難解じゃのう。(笑)

「あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること」は、何もない空間に光が投射されている作品なんだよね。
黄色、緑色、青色のハロゲンランプにより、部屋に入った人の影が壁に映る。
その影の「うつろい」を楽しむ作品ということなんだよね。
こうした「参加型」の作品が人気の秘密のようで、夢中でシャッターを切る人続出!
この装置が仕掛けなんだけど、見た瞬間「え?これだけ?」と思ってしまうのはSNAKEPIPEだけかな。
エリアソンの言葉によると「あなたが動いているときだけ物事が見える」とのこと。
これは「蝶の効果」みたいな感じなのかな。
ホドロフスキーがあやつるタロットカードでも、カードを引くという行為自体が運命を変える意味があると読んだ記憶が。
恐らくそういうことを言いたいんだろうな、と解釈してみたけどどうだろう?(笑)

続いては「人間を超えたレゾネーター」という作品ね。
これまた観ただけではさっぱり意味不明なんだけど、まあいいか。(笑)
どうやら灯台の光の仕組みを取り入れた作品だという。
観た瞬間にカルト映画「リキッド・スカイ」や「ホーリー・マウンテン」を思い出したSNAKEPIPE。
なんとなくサイケデリックな印象だったもので。(笑)

次の作品も光を使っているんだよね。
「おそれてる?」は赤、黄、緑のエフェクターガラスに光を当てている。
モーターによって照射位置が変化しているのか、様々な色が出現するんだよね。
これってまるで「光の三原色」の立体版だよ!
3色が重なると「何かが壁に現れる」と説明されていたけど、この画像が正解なのかどうかは不明だね。(笑)

展覧会のタイトルである「ときに川は橋となる」は、シャーレに張られた水に反射した様々な光の形を見せる作品だったよ。
これもまた動画にしてみようか。

「世界との新しい向き合い方を提示する」のが目的なんだって?

アイスランド系デンマーク人のエリアソンにとって、アイスランドは生まれ故郷になるんだね。
子供の頃の夏はアイスランドで過ごしていたらしいので、慣れ親しんだ土地ということか。
アイスランドといえば、氷河。
地球温暖化に伴い、氷河が溶けているニュースは聞いている。
溶けていく様子を1999年から撮影しているシリーズが「溶ける氷河のシリーズ」。
子供の頃に見た風景が変化していくのを目の当たりにするのは、辛いだろうね。
こうした経験がエコロジーとアートを融合させた作品制作に反映されるんだろうな。
アイスランドと聞いて真っ先に思い出したのは、ウィル・フェレルの「ユーロヴィジョン歌合戦」だけど、やっぱりあの映画でもアイスランド愛にあふれていたもんね。(笑)

環境問題をアートによって提起する、という作品といえば2015年8月に鑑賞した「ここはだれの場所?」のヨーガン・レールや2019年11月に記事にした「陸の海ごみ」を思い出す。
作品として鑑賞することで、問題を知り、自分ができることは何かを考えることが必要だと思っている。
テーマについては理解できるけれど、説明文を読まないと分からないアートというのは少々苦手!
エリアソンの代表作と言われる「ウェザー・プロジェクト」を観たかったな。
きっと文章や言葉がなくても、圧倒的なイメージだったと思うからね。
こうした感想も観たから言えるので、行って良かった展覧会だよ。

草間彌生 我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである 鑑賞

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【画像左:ノーマル /画像右:草間彌生美術館の外壁に色を着けてみたよ】

SNAKEPIPE WROTE:

何年も前から友人Mに誘われていた2つの計画があった。
一つは有名中華料理店での食事。
そして草間彌生美術館に行くことである。

草間彌生美術館は新宿区弁天町にあり、東京メトロ東西線早稲田駅、都営地下鉄大江戸線牛込柳町駅から徒歩で行くことになる。
早稲田駅は大昔にミニシアターに通ったことがあったくらいで、ほとんど利用したことがないSNAKEPIPE。
映画行ってたのは10代の頃だもんね。(笑)
牛込柳町駅は一度も降りたことがない駅だよ。
草間彌生美術館には当日券がなく、チケットはネット予約するシステムを採用している。
日時指定して人数制限を行っているため、混雑することはないんだよね。
SNAKEPIPEがチケット予約をしたのは1ヶ月以上前のこと。
せっかくなので、以前からお勧めされている中華料理店で食事をしようということになった。
その中華も予約をしておかないと席の確保が危うい、とのこと。
友人Mも1ヶ月以上前に中華を予約。
単なるランチなのに、大げさだけどね。(笑)

当日はお腹を空かせて来るように、と友人Mから指示を受ける。
どうやらその店は、いわゆるランチ・メニューがなくて、全て一品料理を出すとのこと。
2人で行った時には、通常4品から5品注文し、お腹いっぱいに食べるという。
今回も結局2人で4品選び、ペロリと完食!
中華なのにこってりしていなくて、胃もたれもしない。
SNAKEPIPEが一番気に入ったのは前菜の蒸し鶏だった。
山椒が効いたソースは、いわゆる中華料理という枠を超えていたよ。
以前から話に聞いていた料理を堪能できて、大満足だった!(笑)

腹ごなしに散歩をしながら草間彌生美術館方面へ。
この日はピカピカの日差しはなくて雲が多かったけれど、湿度がマックス。
少し歩いただけでも汗だくになる不快な天気だった。
もっと涼しかったら、散歩も楽しかっただろうに。
大江戸線に乗り、牛込柳町駅を目指す。
何度もブログに書いていることだけど、SNAKEPIPEは大の方向音痴!
それに引き換え地図を完璧に読むことができる友人Mは、初めて降りた駅からでも難なく目的地を目指すことができるツワモノ。(笑)
今回も友人MがGoogle Mapを活用しながら、道案内をしてくれる。
いつもありがとう!(笑)

「多分向こうに見える建物だと思うけど」
友人Mが指差す方角に歩いていくと、見えてきた草間彌生美術館!
建物の周囲にはぐるりと、お馴染みの水玉模様が描かれている。
トップに載せた画像は、左が撮影したもの、右が水玉に色を着けたもの。
草間彌生だったらモノトーンより、カラーかなと思ったからね。(笑)
こういうこと勝手にやっちゃいけないのかな。
ダメだったらごめんなさい!

入り口で購入したチケットを表すQRコードを提示すると、係員がコードを読み取る。
前述したように日時指定されているチケットなので、この方法だと間違いがないよね。
確認が取れた段階で「y」と書かれたシールを見える場所に貼るように指示される。
これで入館できるってことなんだね。
入り口がある1階は草間彌生グッズの販売スペースとなっていて、展示は2階からだった。
ここは階段を使って上のフロアに上がるシステムなので、足腰に自信がない人は注意しないとね。(笑)
草間彌生美術館では明確に撮影可能と不可が明示されていたので、以下に載せる画像では1枚を除き、撮影することができたのは良かったよ!

2階に上がると、拙い感じの歌が聴こえてくる。
そして鏡に写って彌生、やよい、ヤヨイ、、、、と連なる草間彌生のお姿がっ!
歌っていたのは、草間彌生作詞作曲の「マンハッタン自殺未遂常習犯の歌」。
詩を紹介してみよう。 

抗鬱剤のんで去ってしまう
錯覚の扉撃ち破る
花の煩悶(もだえ)のなかいまは果てなく
天国への階段 優雅(やさし)さに胸果ててしまう
呼んでいるきっと狐空(そら)の碧さ透けて
幻覚(まぼろし)の影 抱擁(いだ)きわきあがる雲の色
芙蓉いろ食べてみて散るなみだの音
わたしは石になってしまう
時 永遠(とこしえ)でなく 自殺(は)てる 現在(いま)は

共感することは難しいけれど、統合失調症を患った草間彌生らしい詩なのかもしれない。
なんとも不思議な空間だったけれど、草間彌生に慣れている人は驚かないよね。(笑)

3階に上がると2009年から続いている「わが永遠の魂」シリーズがあった。
展示されていたのは、2018年以降に描かれた最新作だという。
(この1枚だけSNAKEPIPE撮影ではない画像)
2017年3月に新国立美術館で鑑賞した「草間彌生 わが永遠の魂」で、初めて鑑賞したシリーズだったね。

まるで南米の古代文明みたいな原始的な雰囲気もあるし、幻覚剤を使用したサイケデリック・アートのようにも見えるし。
もしくは邪心のない子供の落書きのようにも見えてしまう原色の世界に、思わず笑いがこぼれてしまう。

などとSNAKEPIPEが感想を書いているよ。
今回の展示は、2017年の時よりも少しサイズが小さかったのかな。
スカーフやハンカチになっていたらほしいよね、と友人Mと話す。
どうやら2017年にも同じ会話をしていたような?(笑)
「わが永遠の魂」シリーズは、タイトルにも注目なんだよね。
 SNAKEPIPEが「ハンカチにして欲しい」と思った一番下の列、右から2番めの作品のタイトルは「我々の知るすべての造形色がもたらしたわが心の無限の讃美」。
友人Mが気に入ったのは、その2つ上の「宇宙に降っている崇高なる魂たち」という具合なんだよね。
2017年に鑑賞した時にもファブリックになったら良いのに、と切望しているんだけどグッズとしてショップに置いているのは好みの作品じゃないのが残念!

3階にはもう一点作品の展示がされていた。
コロナ対策として1組4名までと制限をされ、扉を開けて鏡張りの部屋に入り鑑賞する。
同様の作品を一番最初に鑑賞したのは、2004年に森美術館で開催された「クサマトリックス」だったんじゃないかな。
調べてみると作品名は「水上の蛍」だったようで。
あの時に受けた新鮮な驚きと感動に比べてしまうと、 「無限の鏡の間」はイマイチな印象になってしまった。
「水上の蛍」を一緒に体験した友人Mも同様だったようで、少しだけ撮影するとお互いに感想を述べ合うこともなく次に向かった。

4階にも階段で上る。
友人Mはスタスタ上っていくけれど、だんだん足が重たくなってきたSNAKEPIPE。
遅い、と叱られてしまった!(笑)
4階では最近多い「体験型」の作品が展示されていた。
「フラワー・オブセッション」は、入り口で造花もしくは花のシールを手渡され、展示室の好きな場所に花を貼っていくというもの。
ちなみに花の持ち帰りはしないで、とのこと。
シールを壁に貼って、撮影する。
この手のアートって、ちょっと安直な感じがするんだよね。
今回の場合は花が部屋を覆い尽くすことで 「オブセッション(強迫観念)」としているのは解るけど。
特に感慨もなく、次に進む。

最後は屋上に置かれたブロンズの花。
このタイプの花も2017年の新国立美術館で鑑賞したっけ。
今回展示されていたのは2018年の作品で「天空にささげたわたしの心のすべてをかたる花たち」だって。
タイトルに「〜たち」と複数形を付けるのが、今の草間彌生のスタイルなのかも。
屋上にはベンチがあって、しばし休憩することができる。
3階辺りで遭遇した女性2名がどっかりとベンチ真ん中を陣取り、迷惑なことこの上ない。
この2名は4階でも係員から追い出されるまで写真を取りまくり、友人MとSNAKEPIPEは待たされていたんだよね。
こういう女性客がいると、1名で来館している男性客がかなり遠慮しながら鑑賞することになり気の毒だった。
SNSに画像をアップするために、他のお客さんの迷惑になることはやめてもらいたいものだよ。

この日はSNAKEPIPEにとって「初めてのことが2つ」ある日になった。
中華料理店と草間彌生美術館ね!
まだまだこれからも初体験を楽しんでいきたいと思うよ。(笑)

シリーズ現代の作家 横尾忠則/ピーター・ドイグ展 鑑賞

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【国立近代美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

「見つけてしまった!これは行かねば!」
長年来の友人Mからメッセージが届く。
何を見つけたんだろう、とメッセージに貼ってあるリンクを開いてみる。
そこには横尾忠則の版画展が載っていた。
2009年5月の「好き好きアーツ!#07 横尾忠則」や2019年6月の「B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」などで熱く語っている横尾忠則。
確かに観てみたい展覧会だよね!
場所はどこだろうと目を走らせる。
えー!町田なのー?
かなり遠い場所なので、数年前にも諦めた美術館だったことを思い出した。
あの時も横尾忠則展だったような?

今まで一度も行ったことがない町田。
せっかくなので出かけてみようか、ということになった。
そして友人Mとは定番になりつつある、展覧会のハシゴは今回も実行する予定。
かなりの距離を移動することになりそうだね。(笑)

梅雨がまだ明けていないけれど、少し気温が低い曇天は、歩くのには丁度良いね。
小田急線の快速に乗ると代々木上原から町田まで約30分。
そこまで遠くはないのかな?
友人Mも町田は初めてだという。
展覧会が開催されている町田市国際版画美術館は、町田駅から徒歩15分とのこと。 
方向音痴のSNAKEPIPEとは違い、地図が読める友人Mにとっては、初めて歩く場所も怖くないんだよね。(笑)

いくつかの大通りを渡りながら歩くこと約10分。
こっちの方角だと思う、と友人Mが指す道を見てびっくり!
立っている場所から、完全なつま先下がりの急勾配が広がっているじゃないの!
山を切り拓いて宅地にしたような場所で、ここを毎日歩く人は登山しているみたいな感じだろうな。
足腰が鍛えられること間違いなし。(笑)
「ひーーー!」
叫びながら転げるように坂を下り切ると、ようやく美術館の入り口が見えてきた。
森の中にひっそりと佇むような外観に「いいねー!」と声を上げる。
帰宅後調べて知ったけれど、美術館は芹ヶ谷公園という大きな公園の一角にあったんだね。
天気が良い時には、公園の散策も楽しそうだよ。

いよいよ美術館へ。
その前に看板を撮影する。
インスタグラムで画像をアップしている友人Mも撮影。
以前は撮影するのはSNAKEPIPEだけだったのに、最近では場所取りの順番を待つことがあるんだよね。(笑)
展覧会は企画展と常設展という構成になっていて、横尾忠則は常設展だった。
企画展はインドネシアの版画家の作品が展示されていたよ。

お客さんは友人MとSNAKEPIPEだけという完全な貸切状態!
これは前回友人Mと鑑賞した「森山大道展」と同じ状況じゃないの!
しかも、横尾忠則の作品は撮影オッケー。
しかもしかも!なんと無料だったんだよね!(笑)
横尾忠則の作品は、ほとんどが観たことがあったけれど、遠路を来た甲斐があったよ。
画像は「W Wonderland Ⅱ」 。
ショッキングピンクに目を奪われる。

「入れ墨男」と題された作品は、同じスクエア型の3作品と共に「風景」として組まれていた。
それぞれの作品にはクローズアップされた人物が一人だけ登場する。
朝日なのか夕日なのかは定かではないけれど、太陽を背にした入れ墨男の輪郭が光に包まれている様が美しい。 
横尾忠則は高倉健のポスターも作成していたので、「紋々系」をテーマにするのは得意という印象があるよ。
「入れ墨男」は1969年の作品というので、高倉健の作品と同時代じゃないかな?

インドをテーマにした作品も展示されていたよ。
1977年から1979年に放映されていたドラマ「ムー」や「ムー一族」のタイトルバックを思い出すね。
ROCKHURRAH RECORDSではつい最近「ムー」を観終わって「ムー一族」にしようかって時に、Netflixに入会しちゃったもんで。(笑)
Netflixには面白そうなドラマがいっぱいあるんだよね。
またいつかチャンスがあったら、70年代のドラマも観てみようかな。
画像は「水其天」(だったと思う)で1974年の作品だよ。
上下に海が配されているシンメトリー構図で、3つの円が描かれた中央には交合しているような男女の姿。
横尾忠則の魅力はコラージュの面白さと色彩だなあ、と改めて認識する。
行って良かった展覧会だったよ!

ランチを済ませてから、続いて向かったのは東京国立近代美術館
昨年末にも友人Mと「窓展」を鑑賞した美術館だね。
この美術館は、他では観たことがない企画を立てることが多い印象があって、いつも楽しみなんだよね!
今回はスコットランドの画家、ピーター・ドイグの展覧会だという。
実はピーター・ドイグの名前を耳にするのは初めてのSNAKEPIPE。
経歴について調べてみようか。 

1959年 スコットランドのエジンバラに生まれる
1962年 カリブ海の島国トリニダード・トバゴに移る
1966年 カナダに移る
1979〜80年 ウィンブルドンスクールオブアートで学ぶ
1980〜83年 セントマーチンズスクールオブアートで学ぶ
1989〜90年 チェルシースクールオブアートで修士号を取得
1994年 ターナー賞にノミネート
2000年 友人であるクリス・オフィリと共にトリニダード・トバゴに戻る
2002年 活動拠点をポート・オブ・スペイン(トリニダード・トバゴ)に移す

テート(ロンドン)、パリ市立近代美術館、スコットランド国立美術館(エジンバラ)、バイエラー財団(バーゼル)、分離派会館(ウィーン)など、世界的に有名な美術館で個展を開催し、ドイツのデュッセルドルフにある美術アカデミーの教授にも就任している。
作品はクリスティーズやサザビーズなどで高額取引されている、世界的に有名な画家だという。

年表を見て気が付くのは、スコットランドで生まれてからトリニダード・トバゴ、カナダに行き、再びロンドンで学んだ後、またトリニダード・トバゴに戻っていること。
友人としてクリス・オフィリの名前が出てきたことにも驚いた。
2015年5月に「SNAKEPIPE MUSEUM #32 Chris Ofili」として紹介していた画家だったからね。
クリス・オフィリには注目していたのに、ピーター・ドイグは全く知らなかったのが残念ですな!(笑)

ピーター・ドイグについて少し勉強したところで、展覧会の感想をまとめていこうか。
「撮った写真をシェアしよう!」などと看板があったほど、作品撮影に対して寛容なのが嬉しい。
もちろんバシバシ撮らせてもらったよ!
たくさん撮った割には、曲がった写真が多かったのが玉にキズだけど!(笑)

「Swamped(のまれる)」は1990年の作品。
年表で確認するとチェルシーの学校に行っていた頃に描いていたことになるのかな?
湖だろうか、水面に映る木々の様子が描かれているように見える。
夜なのかもしれない。
枯れた木が骨のよう。
なんとも言えない魅力的な絵で、今回SNAKEPIPEが一番気に入ったのはこの作品だよ!
所蔵しているのは「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」で、素晴らしいコレクションを見せてくれたヤゲオ財団!
ちなみに落札額は約30億円らしいよ。(笑)

ピーター・ドイグは年表にもあったように、少年期に国をまたいで引っ越しているんだよね。
そのせいなのか、年代によって絵の雰囲気が違い、同じ画家の作品に見えないことがあったよ。
「Canoe-Lake(カヌー=湖)」は1997〜98年の作品だという。
緑色のカヌーに乗っている女性も緑色。
生きていないように見えてしまうのはSNAKEPIPEだけかな?
13日の金曜日(原題:FRIDAY THE 13TH 1980年)」の第1作目に、よく似たシーンがあるのをROCKHURRAHが教えてくれたよ。
この作品もヤゲオ財団の所蔵品だって。
もしかして好みが似てるのかも。(笑)

「この絵が一番!」
と興奮していた友人M。
「ラペイルーズの壁」は2004年の作品で、ドイグが撮影した写真をもとに描かれているという。
日傘から暑い日だということは想像できるけれど、陽気な明るさよりも物悲しさを感じるんだよね。
遠い記憶を呼び起こされるような、甘ったるい懐かしさも同時に味わう。
もうあの時には戻れない、という悔しい気持ちも入り交じる。
様々な感情が噴出する作品に巡り合うことは稀な経験だったよ。

作品のタイトルは「影」。
改めてじっくり鑑賞しても、この作品の人物がよく分からないんだよね。
顔だけ横向きの後ろ姿なのか?
「ギターを持った渡り鳥」(古い!)がテーマではないと思うけど?(笑)
彼方に見える船はおぼろげで、杭も本当に存在しているのか不明な描かれ方だよ。
SNAKEPIPEには、ギターの男が埠頭をさまよっている魂のように感じるんだけどね。
もしくはもぬけの殻になった男の心情なのか。
東京国立近代美術館では「ドイグ作品で物語を作ろう!」という子供向けの夏休み企画を立てているようだけど、この作品からはどんな物語ができるだろう?
入選作品はHPに掲載されるというので、楽しみに待っていよう。

ピーター・ドイグは自分のスタジオで映画の上映会を行っているという。
「スタジオ・フィルム・クラブ」は2003年から、誰でも無料で参加できるプロジェクトとして始まったんだって。
その開催を告知するポスターが多数、展示されていたのが興味深かった。
恐らくピーター・ドイグによってセレクトされた映画が上映されるだろうから、映画の好みも分かるってことだよね。
デヴィッド・リンチの「ブルーベルベット(原題:Blue Velvet 1986年)」も上映されたようで、これはそのポスター。
デニス・ホッパーやイザベラ・ロッセリーニを描かずに耳だけとは!(笑)
この思い切りの良さには脱帽だね。

ストレンジャー・ザン・パラダイス(原題:Stranger Than Paradise 1984年)」もチョイスされたんだね。
まるで一冊の写真集のような映画だったことを思い出す。
いとこのエヴァが描かれているね。
映画の上映後は、作品について話し合ったりするらしい。
文化サロン的な役割を担っているという上映会には、どんな人が参加するんだろうね?
トリニダード・トバゴについてよく知らないSNAKEPIPEなんだけど、アート関係の方が多いのかな。
楽しそうだよね!

こっ、これはっ!
「ZATOICHI」って書いてあるから、まさかと思うけど「座頭市」?
キャプションを確認すると間違いないみたい。
ということは、描かれているのは勝新太郎か。
このぞんざいにも見える絵に思わず笑ってしまったよ。(笑)
ドイグは日本映画にも興味があるようで、小津安二郎の映画にも影響を受けていると話しているという。
いや、それにしてもこの座頭市はどうだろう、、、。

ピーター・ドイグは初めて知ったアーティストだったけれど、とても面白かった!
作品のほとんどが大型なのも迫力があったよ。
年代や描いた場所によって全く印象が違う作品の存在を知ることができるのも、個展ならでは。
鑑賞できて良かったよ!