ROCKHURRAH RECORDS残暑見舞い2019

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【Der KFCの曲にちなんで作ってみたポストカード。地味だな】

ROCKHURRAH WROTE:

毎年夏になると「今年の暑さは異常」とか「夏嫌い」などと書いてるROCKHURRAHだが、今年こそは本当に危険な暑さと湿度ですっかりグッタリになってるよ。
去年までは汗をかいてもそこまでダラダラじゃなかったような気がしてたが、今はちょっと外に出て下を向くと顔からびっくりするほどの汗が落ちる。周りにそこまでブザマな発汗をしてる人はいないように見えるから、そういう体質なのか病気なのか?
誰からも心配されてないから、きっといつも汗っかきの人だと思われてるんだろうな。

お盆休みが人並みにあるので、その間はここまで汗ダラダラになる場所に行かなくて済むのが嬉しい。

あまりの暑さで外から帰ってくると服が全て汗だく、その場でシャワーを浴びて全部洗濯するのが日課になってる。
しかし先日、汗だくで意識が朦朧として(大げさ)大失敗。
何とポケットにiPhoneを入れたままジーンズを洗濯機に漬け込んでしまったのだ。
気づいたのが水や洗剤を入れて90分後、慌てて取り出したがもはや遅すぎて我がiPhoneはあえなく水没死。

ROCKHURRAHのは防水ではない旧機種なので、汗だくのポケットに入れておくだけでも良くないと前々から危惧していた矢先に、こんな事故になってしまったよ、トホホ。
不幸中のちっぽけな幸いだったのがその日は金曜日、翌日にiPhoneの水没修理をしてくれるところに早速行ったわけだが・・・。
そういう修理に疎いROCKHURRAHはもしかしたら直せるかもと思ってたんだが、要は中のデータをバックアップして新しいiPhoneに復旧させるだけのものです、という説明を受けて修理を断念した。
結局はiPhoneを買い替えしなきゃならないのは必至で、最終のバックアップ後からそこまで死守しないといけないデータはなかったから、さらに数千円(場合によっては数万)の出費はしたくなかったのだ。
その足で秋葉原に行き、全く同じ機種のSIMフリーiPhoneを買って、その日のうちにちょっと前のバックアップから復元。あっさり元の環境に戻す事が出来たよ。
これをきっかけにもう少し新しいiPhoneに機種変更とも思ったけど、たまたま安くなってる目玉商品もない。
この大きさに愛着もあるし機種変更するならSNAKEPIPEと同じタイミングの方が都合がいいから、今は現状維持でいいかなと思ったよ。
持ってはいても大した活用はしてないし、スマホ依存の人種が一体何を活用してるのかさっぱり不明なんだけど、なきゃないで不便なのは間違いない、というのが悔しいよ。

さて、こんな前フリは全く関係なかったが今年も残暑見舞いを作ってみたよ。
毎年、何らかのテーマを決めて作るのがROCKHURRAH RECORDSの方針だったが、今回は上記のハプニングもあって、制作にかける時間があまりなくなってしまって・・・などと言い訳しなくても自分が一番よく分かってる。
とにかく夏場はグッタリしてしまって何かを作る意欲が減退してるのは確かだよ。
自分でも何だかよくわからん「雰囲気だけ」のポストカードになってしまった。
SNAKEPIPEなら「色合いはキレイだったよ(この記事参照)」くらい言ってくれるかな?
毎年言ってるような気がするが、とにかく夏が終わらない事には活動的になれないROCKHURRAHなのだった。

それではまた秋に、さらば太陽圏。

LOOKIN THROUGH THE WINDOW/ANIMITAS II 鑑賞

20190811 06
【GYREギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

約2ヶ月ぶりに長年来の友人Mと約束をした。
待ち合わせたのは表参道。
まずは早めのお昼を頂くことにする。
フレンチ風中華、という一風変わったスタイルだったけれど、さすがは友人Mのお勧めだけあって、とても美味であった。
価格もお手頃で、雰囲気も良かったよ!

友人Mとは前回の「トム・サックス」と「横尾忠則」も展覧会のハシゴをしているんだよね。
なんと今回もまた同じ経験をしてしまったよ。(笑)
そこまで大規模な展覧会ではなかったけどね!
最初に向かったのは表参道GYREギャラリー
ここは今年2019年のゴールデンウィークに「デヴィッド ・ リンチ 精神的辺境の帝国展」を鑑賞した場所なんだよね。
リンチ関連の企画でお馴染み、キュレーターの飯田さんが絡んでいない日本人の写真展とのことだけど、どうだろうね?

タイトルは「LOOKIN THROUGH THE WINDOW」、訳すと「窓ごしの眺め」って感じか?
撮影可能だったので、作品の感想を添えて紹介していこうか。
白塗り暗黒舞踏集団だっ!
山海塾?白狐社?正解は大駱駝艦だって。(笑)
大駱駝艦といえば、麿赤兒!
この手の舞踏ダンサー(変な言葉か?)は、裸体を晒していることがほとんどなので、着衣に違和感があるよね。
しかもモデルとして撮影されているから余計だよ。
この写真を撮影したのは、小浪次郎という写真家。 

小浪次郎は1986年東京生まれ。
2010年、東京工芸大学芸術学部写真学科研究生課程修了している。
卒業前から展覧会に参加していたようで、2009年に富士フォトサロンの新人賞を受賞しているという。
現在はニューヨーク在住で、商業写真を撮っているようだね。
この画像は雑誌「VOGUE」に掲載された一枚とのこと。

タイトルが「KUMAGAYA」となっているので、埼玉県の熊谷と思われる。
気温が高い地域として有名だよね。
そこに住んでいる「バッド・ボーイ」をモデルにしているということなのか。
和彫りのモンモンが入った男性の写真が、何枚も使用されている。
最近はファッション雑誌などでも、こういった組写真を採用しているよね。
見慣れてしまったせいか、新鮮さはないけれど、色がキレイだったよ。

こちらは水谷太郎の作品。
やや、次郎に続いて太郎だよ!(笑)
順番を逆にするべきだったか?
水谷太郎は1975年、東京都生まれの写真家。
東京工芸大学芸術学部卒業後、写真家としてファッション、コマーシャルフォト撮影を中心に活動しているという。
大きなモノクロームの岩肌をバックに、小さめの写真が組み合わされている。
ネイチャー・フォトとでも言うのか、地層研究している気分になるね。
意味は分からなかったけど、色合いはキレイだったよ。

石田真澄の作品は壁一面を使用した大型の組写真だった。
一人のモデルだけを撮影しているので、夜の2時間程度の散歩風景といった感じかな。
同じ写真を重ねたり、別の角度や場所で撮影した写真を組み、ギザギザに貼り付ける手法はデヴィッド・ホックニーが有名だよね。
今から30年以上も前に発表されている「ジョイナー・フォト」が素晴らしいので、この作品が稚拙に見えてしまうのは仕方ないかもしれない。
目の覚めるような赤の色合いは鮮やかだったよ!

やはりキュレーターが飯田さんじゃない展覧会は物足りないね、と話しながら次の会場に向かう。
目指すのは、同じ通りにある「エスパス ルイ・ヴィトン東京」である。 
モノグラムで有名なフランスのブランド、ルイ・ヴィトンのアート・スペースなんだよね。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵する作品を展示していて、入場料は無料!

フォンダシオン ルイ・ヴィトンは現代アートとアーティスト、そして現代アーティストのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関です。
フォンダシオンが所蔵するコレクションと主催する展覧会を通じ、幅広い多くの人々に興味を持っていただくことを目指しています。

なんて素晴らしい理念なんでしょう!
EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」を鑑賞した、竹中工務店が支援する公益財団法人ギャラリーエークワッドも同じような理念に基づいて運営していたよね。
大きな企業は余裕があって良いですな!(笑)

エスパス ルイ・ヴィトン東京に行くのは、今回が2度目になるSNAKEPIPE。
2014年4月から8月にかけて展示されていたスティーブ・マックィーンの映像作品「Ashes」を鑑賞してるんだよね。
あの時から5年も経過していたとは…。(遠い目)
この展覧会についてはブログに書いてなかったみたいだね。
今回はなんと、クリスチャン・ボルタンスキーの「ANIMITAS II 」の展示だという。
つい先日、国立新美術館で「Lifetime」 を鑑賞したばかり。
友人Mは、未鑑賞だという。
「もう少し空いてから行く」とのこと。
SNAKEPIPEにとっては復習、友人Mには予習となるボルタンスキーだね。(笑) 

ハイ・ブランドのショップに入ることは滅多にないけれど、店の前を通りかかると大抵のショップでドア・マンが待ち構えているのを見かけるんだよね。
ルイ・ヴィトンもご多分に漏れず、ドアの前には白い手袋したドア・マンがおいでなすったよ。(笑)
最上階にあるギャラリーに行くためには、そのドアを開けてもらう必要がある。
友人Mは慣れているのか、すんなり開けてもらったドアを通ってエレベーター前へ。
SNAKEPIPEは「買い物するわけじゃないのにスミマセン」オーラを発しながら、急ぎ足で友人Mに続く。
サービスでドアを開けてくれるのは分かっているけど、なんとなく居心地が悪いんだよね。(笑)

エレベーターを降り、会場に入ると目に飛び込んできたのは大きなスクリーン。
全く同じ大きさのスクリーンが向かいあわせにもう一つ設置されている。
スクリーン前の床は藁や草、野花などで埋め尽くされている。
自然の中にいる疑似体験ができるような仕組みなんだよね。
ボルタンスキーの作品「アニミタス(ささやきの森)」の映像とつながっているように錯覚してしまうよ。
「ささやきの森」が撮影されたのは、瀬戸内海の豊島らしいね。
日本が舞台だったとは知らなかったよ。
撮影許可が取れたので、友人MもInstagram用にバシバシ撮り始める。

こちらはもう一つのスクリーンで上映されていた「アニミタス(死せる母たち)」である。
場所はイスラエルの死海とのこと。
先日国立新美術館で鑑賞したのは「アニミタス(白)」だったので、ケベックのオルレアン島バージョンだったんだね。
これは死者を祀る路傍の小さな祭壇へのオマージュとして、制作されているという。
ボルタンスキーが生まれた日の星座の配列をなぞるように、細い棒を大地に突き刺している。
その棒の先で300個の日本の風鈴が揺れるインスタレーション、と説明されているよ。
説明の文章がなくても、微かな風鈴の音色とガランとした風景で、厳粛な気分になること間違いなしだよ。
ガラス張りのギャラリーなので、外に教会が見えるのもイメージに合っていたね。

会場を後にし、帰ろうとした時にもう一点展示があることに気付く。
ボルタンスキーのインタビューを交えた作品紹介の映像だった。 
これこそ先日鑑賞した「ボルタンスキー 50年の軌跡」を復習するのに、最も適した教材といったところか。(笑)
初見の友人Mは感嘆の声を上げながら、一生懸命撮影している。
「それは撮影可能エリアにあった作品」
「これは撮影できなかった作品」
などと横で情報を与えるSNAKEPIPE。

撮影をしながら「あっ!そうだ」と声を出したのはSNAKEPIPE。
この作品紹介のビデオを見るためのヘッドフォンまで含めて、一枚の写真としたほうがボルタンスキーらしさが表現できるんじゃないか。
ボルタンスキーの特徴は、黒い電源コードを写真の顔部分などにかけた状態で作品となっているわけだからね。 
こうして撮影した祭壇の作品とヘッドフォンを組み合わせた画像がこれ。
「いかにもボルタンスキー」になったよね?(笑)

表参道で鑑賞した2つの無料展覧会について感想をまとめてみたよ!
GYREギャラリーは、是非ともキュレーターの飯田さんに登場して頂き、素敵な企画をお願いしたいね。
エスパス ルイ・ヴィトン東京には、ドア・マン対策を強化してから出かけよう。(笑)
都内には無料も含め、たくさんのギャラリーがあるので、これからもいろんな作品を鑑賞していきたいね!

メスキータ展 鑑賞

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【東京ステーションギャラリー前を撮影。光が反射してますな】

SNAKEPIPE WROTE:

どうしても行きたい展覧会がある、とROCKHURRAHから提案されたのが東京ステーションギャラリーで開催されている「メスキータ展」だった。 
展覧会のポスターには、まるで漫画のような絵が載っている。
メスキータって初耳だけど、どんなアーティストなんだろう?

1868年 アムステルダムでユダヤ人の家庭に生まれる。
1885年 国立応用美術学校に入学し建築を学ぶが、1年後に国立教育大学に転ずる。
1893年 初めてエッチングを試みる。
1895年 バティック(ろうけつ染め)の技法を始める。
1896年 初めて木版画を制作。
1900年 染織デザイナーとして、カーテンやテーブルクロスなどのデザインに従事。
1902年 この年から、ハールレムの応用美術学校で教師として働く。
1904年 M. C. エッシャーが同校に入学し、メスキータの指導を受ける。
1908年 この頃、アムステルダム動物園に通い、異国の動物たちをテーマに多くの木版画を制作。
1909年 ロッテルダムで初めての個展を開催。
1919年 リトグラフで多くの作品を制作。
1921年 グラフィックアート協会の会長に就任(~1924)。
1926年 応用美術学校が廃校となり、教師を辞める。1933 国立視覚芸術アカデミーの教授となる(~1937)。
1940年 ナチスによるオランダ占領。オランダのユダヤ人迫害は、他のナチス占領地域と比べて最も過酷であったと言われる。
1944年 1月31日夜、妻、息子とともにナチスに拘束される。アトリエに残された作品は、エッシャーや弟子たちが命懸けで持ち帰って保管した。妻とメスキータは3月11日にアウシュヴィッツで、息子は20日後にテレージエンシュタットで殺された。  

東京ステーションギャラリーのHPから転記させて頂いたよ。 
いつもなら略歴をそのまま載せることはないんだけどね。
エッシャーとナチスについての記述があったので、改変しなかったよ。

漫画チックに見えたメスキータの作品だったけれど、今から150年前に生まれた人だったとはびっくりだよ。
そして最初にポスターで見た作品が木版画だったとは意外だね。
この作品を実際に会場で鑑賞すると、バックの網の目部分が非常に細かく繊細に彫られていることが分かり、その技に驚嘆したSNAKEPIPEだよ。
ROCKHURRAHが絶対行きたいと言うのも納得。
東京ステーションギャラリーに行くのは、初めてのこと。
道に迷わないと良いけど?

東京ステーションギャラリーはまさにその名の通り、東京駅直結の場所だったので、方向音痴のSNAKEPIPEでも問題なく到着できたよ。(笑)
美術館の入り口には大きな看板があり、横には「メスキータ展」の宣伝用映像が流れていた。
その様子はトップ画像で確認できるよね。
チケットは、自動販売機になっていて、まるで駅の改札で切符を買うみたい。
エレベーターで、会場である3階に向かう。
アクセスの良さが原因なのか、会場はかなり多くのお客さんで溢れている。
「エッシャーが命懸けで守った男」というコピーが効果的だったのかも。(笑)

作品の前に立ち、鑑賞することはできるくらいの人の多さ。
少しずつ感想を書いていこうかな。
東京ステーションギャラリーでは、作品は全て撮影不可だったのが残念だよ。
「メメント・モリ」と題された作品は、メスキータ本人と対峙する頭蓋骨がモチーフになっている。
1926年に制作されているので、この時メスキータは58歳くらい?
もう少し年寄りに見えてしまうよ。
1920年代といえば、ROCKHURRAH RECORDSにとって憧れの時代!
ついフランスやドイツのアートを考えてしまうけど、オランダはどんな状況だったんだろうね。
シュールレアリズムや構成主義の影響はあったのかな。
「メメント・モリ」は「死を忘れるな」という意味なので、ゆっくりと死へ向かう自分と、未来の自分(頭蓋骨)というダブル自画像なのかもしれないね。

白と黒のコントラストが強烈な「トーガを着た男」は、1923年の作品。
ものすごくシンプルな線だけで、男の顔や輪郭が見事に表現されているんだよね。
それにしても「トーガ」って何だろう? 
調べてみると「古代ローマ市民が着用した外衣で、半円形または楕円形の布をからだに巻くように袈裟がけに着る物」らしい。
マントとかショールといった感じかな?
まるで80年代のニューウェーブ時代にいた人みたいだよね、とROCKHURRAHと話す。
やっぱり1920年代、良いよねえ!

「これカッコいいっ!」 
ROCKHURRAHが興奮気味に感嘆の声を上げる。
体の輪郭が彫られていないのに、光と影、体の立体感が表現されているところに着目したらしい。
メスキータの木版画は、その手の手法を取り入れていることが多かったよ。
それにしてもROCKHURRAH、鑑賞の仕方がプロっぽくないか?(笑)
左が「喜び」で右が「悲しみ」と題された1914年の作品である。
100年以上前に、こんな作品が存在していたとは驚いちゃうよ。
ポスターになっていたら、購入していたこと間違いなし!
残念ながら、ミュージアム・ショップで見つけることができなかったよ。

「こ、これはっ!」
すごいよね、と「喜び」と「悲しみ」の感想を言い合いながら隣の作品を観た瞬間、思わずSNAKEPIPEが発した言葉なんだよね。
1922年の作品「エクスタシー」 である。
「カッコいい」を連発していた矢先、この作品に遭遇し驚く。
同じ作者の作品とは思えないほど、コミカルに映ってしまったよ。
思わず「プッ」と吹いてしまったほど。
天高く両手を上げた裸婦もさることながら、両脇の顔もすごいよね!(笑)
そしてタイトルが「エクスタシー」(恍惚)とは。 
SNAKEPIPEには、あまり恍惚の表情に見えなくて、かなり意味不明の作品だったんだけどね。
ビザール・ポストカード選手権!34回戦」 で紹介した「ハルナー」を思い出してしまったよ。
どこが似てるかと言われると答えに詰まるけど、なんとなく雰囲気が近い気がしたんだよね。

メスキータは木版画を制作する前に、実際にモデル(もしくは知人?)のデッサンをしてるんだよね。
油絵も描いていたし、水彩なども扱っていたみたい。
左は「緑色の服の女」、1913年のパステル画なんだけど。
まるで別人の作品に見えてしまうんだよね。
木版画以外は、メスキータらしさが全く垣間見えないの。
どうしてこの手の絵から、カッコいい木版画に生まれ変わるのか?
非常に不思議でならないよ。(笑)

メスキータは人物以外にも、植物や動物をモチーフにした作品を多く残している。
略歴にも「動物園に通った」と書いてあるよね。 
動植物にも、たくさんカッコいい作品があるんだけど、あえてこの作品を選んだのには訳があるの。
どこかでみたことがあるような気がして、あとで調べようと思っていたからなんだよね。
調べて思い出したのがこの作品。
どお、ちょっと似てない?(笑)
河鍋暁斎の版画、「雨中白鷺図」なんだよね。 
もちろん河鍋暁斎は1889年に亡くなっているので、メスキータのほうが40年以上後の時代だけど。
オランダの有名な画家であるゴッホも浮世絵に影響を受けた一人だったので、後年のアーティストも日本の版画を見る機会はあったのかもしれないね?
そう考えるとオランダと日本のつながりを感じてしまうよ。

メスキータは版画や絵だけではなく、デザインの世界でも活躍していたという。
これは1918年から1932年に、アムステルダムの出版社が刊行していた「WENDINGEN」という建築と美術の月刊誌なんだって。
メスキータがデザインした表紙、なんてオシャレなんだろうね!
ヨーロッパはこの時代から、アートと建築を別のジャンルとして分離しないで、同じ次元として捉えていることを改めて知ったよ。
バウハウスも同時代だから、同じ思想だろうね。
月ごとにテーマを変えて刊行していたようで、どんな雑誌だったのか見てみたかったな!

総点数約240点という、大掛かりな展覧会だったよ。
鑑賞を終えると、足が棒になってる感じだったからね。(笑)
出口に向かうと待っていたのは、大きなポスターだった。
このエリアだけは撮影オッケーとのこと。
もちろん複製だけど、大きさがあったので迫力満点!
こんなロール・カーテンあったら嬉しいな。(笑)

略歴にも書いてあるけれど、メスキータはユダヤ人だったため、ナチスに拘束され命を落としている。
その事実を知った時、強いショックを受けた。
こんなに偉大なアーティストが悲惨な最期を遂げたなんて、悔しい気持ちになったよ。
先月2019年7月に記事を書いた「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」でも、ナチスが暗い影を落としていたことを思い出したSNAKEPIPEである。

「メスキータ展」は、多くの素晴らしい作品を鑑賞することができて大満足だった。
ROCKHURRAH、誘ってくれてありがとう!(笑)

好き好きアーツ!#51 鳥飼否宇 part21−天災は忘れる前にやってくる-

【タイトルに因んだ映像。音が出るよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

「ゔぁっ!」
何やら言葉にならない声でROCKHURRAHが叫ぶ。
一体どうしたの?何があったの?
「鳥飼先生の新作が出るよっ!」
「ええーっ!」
きちんとした言葉で大反応するのはSNAKEPIPE。
いつも同じパターンだけど、ROCKHURRAH RECORDS内での事実なんだよね。(笑)

大ファンの作家・鳥飼否宇先生の新作とは、なんというビッグ・ニュース!
2018年に刊行された「隠蔽人類」以来の作品になるんだね。
およそ1年間、待ち望んでいた鳥飼先生の新作とご対面できるとは嬉しい限り!(笑)
明日にでも本屋に行くか、と鼻息を荒くしたSNAKEPIPEだったけれど、今の御時世、通信販売が一番早いよね。
その日の注文で、翌日には新作を手にすることができたよ!

今回のタイトルは「天災は忘れる前にやってくる」だという。
天災って自然災害のことだよね?
光文社の紹介ページからあらすじを紹介させて頂こう。

眉唾の噂やホラばなしをネット配信して生計を立てている「特ダネ ゴーダニュース」の目玉企画は、社長の郷田とバイトの智己の災害現場への突撃ルポだ。
しかし、二人の行くところ、なぜかいつも災害の陰に怪しい事件が待っている!
ブラックなギャグとダークな欲望が軽快に展開し、意表を突くトリックと鋭い推理もたっぷり盛り込んだ、サービス満点の傑作。

有料会員向けのネット配信だけで生計を立てる人物が主人公とは、今どきだよね。(笑)
「眉唾の噂やホラばなし」とは、例えば「目から鱗、夜尿症にはナマズエキスが効く!」や「不忍池に半魚人が出現!!」といった類のものらしい。
「絶対うそでしょ」と思ってしまうヘッドラインだけど、お金払っても読む人がいるみたいなんだよね。
この手の会員費って月額いくらなんだろう。
例えば月額100円で3万人の会員なら月収300万円!
「特ダネ ゴーダニュース」には、それくらいの読者が存在しているとの記述があるので、そこまで違った数字ではないよね。
取材費とアルバイト代を支払ったとしても、良い収入になりそうだよ。
よし、これから当ブログも有料にしてみるか。(笑)

冗談はさておき、鳥飼先生の新作に話を戻そう。
「特ダネ ゴーダニュース」の社長である郷田俊男とアルバイトの三田村智己が、災害地域を取材中、事件に遭遇する。
それらの事件を連作短編にした小説が、「天災は忘れる前にやってくる」なんだよね!
さて、彼らはどんな事件に遭遇したのか?
小説の順番通りに感想をまとめていこう。
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未読の方はご注意ください!

天網恢々疎にして漏らさず

いきなり難しい文章から始まったけど、「天災は忘れる前にやってくる」では、タイトルに名言や格言が採用されている。
最初のタイトルは中国の思想家である老子の言葉だという。

天網は目があらいようだが、悪人を漏らさず捕らえる。
天道は厳正で悪事をはたらいた者には必ずその報いがある。

こんな意味だったんだね。
恥ずかしながらSNAKEPIPEは初めて知った言葉だよ。
鳥飼先生のデビュー作「中空」でも老子や莊子の思想について触れられているので、特に違和感もなくすんなり本文を読み進めることができた。
画像は牛に乗った老子だよ。(笑)

第1インシデントは地震!
震度7の地震が発生、死者・行方不明者合わせて約2,300人、負傷者は7,000人以上の甚大な被害が報告されたのである。
そんな被災地にネタ探しに乗り込む「郷田プロダクション」の郷田とアルバイトのトモミ。
ボランティアとして活動するため、ではないんだよね。
あくまでも「特ダネ ゴーダニュース」のネタを探すため、ジャーナリストとしての使命だ、と主張する郷田だけれど、実態は行き当たりばったり。
眉唾もののフェイク・ニュースで、読者の興味を煽る文章を捏造するのが得意な郷田は、地震からどんなニュースを創り出すんだろうね?
胡散臭い人物だけれど、何万人もの人が食いつく記事を書くことができるというのは、やっぱり才能だろうなあ。(笑)

2人が足として使用しているのは「ジムニー」だという。
SUZUKIのジムニーって名前は聞いたことあるけど、どんな車だったかな?
おお、改めて検索してみると、とってもカワイイじゃない!(笑)
色によっては軍用車両にも見えそうで、ちょっとジープっぽい感じ。
ミリタリー好きのROCKHURRAH RECORDSでは大好評だよ!
ただし大の男2人、しかも少し太り気味の郷田が隣では、窮屈になるかもしれないね。

郷田の年齢は50代のようだけど、トモミはいくつなんだろう。
郷田にコキ使われているアルバイトなので、20代から30代だと思われる。
南国生まれで、現在は一人暮らしをしているとのことだから、アルバイトでもそれなりの収入を得ているんだろうね。
こんなデコボココンビだけど、一応「阿吽の呼吸」で行動しているみたいだよ。

郷田の小さな「気付き」から犯人が割れる。
タイトルの「天網恢々疎にして漏らさず」と絡んで、見事にまとまったよ!
それにしても郷田が探偵役とはね?
己の欲を優先させる、いかにも人間臭い人物で、今までの鳥飼先生の著作では見かけなかったタイプなんだよね。

大山鳴動して鼠一匹

事前の騒ぎばかりが大きくて、実際の結果が小さいこと

これよくあるよね!
鳴り物入りで登場したけど、結果はまるでダメダメっていう話ね。
ラテン語のことわざが元になっているようだけど、この文言も初めて知ったSNAKEPIPE。
こんなところで無知を自慢してどうする。(笑)
ROCKHURRAHが「ことわざ」を分かりやすく画像にしてくれたよ。
あの山からこのネズミが!
なんてキュートなんでしょ。(笑)

第2インシデントは浅間山の噴火!
浅間山と聞いて連想するのは「浅間山荘事件」だね。
1972年2月、長野県北佐久郡軽井沢町にある河合楽器の保養所「浅間山荘」において連合赤軍が人質をとって立てこもった事件(Wikipediaより)である。 
あまり事件について詳しくないSNAKEPIPEは、だいぶ前にROCKHURRAHと一緒に「光の雨(2001年)」という映画を観て、連合赤軍について少し知ったくらい。
私刑による支配での団結は難しいこと、そして人間の残酷さを見たことを覚えている。
そんな浅間山が噴火し、その現場にネタ探し目的で訪れる郷田とトモミ。
命の危険を顧みず、よく頑張るよね。(笑)

郷田は一応(?)ジャーナリストなので、ドキュメンタリー映画も観ているんだね。
感銘を受けた映画としてヴェルナー・ヘルツォークの「ラ・スフリュール(原題:La Soufrière 1977年)を挙げる。
ヘルツォークといえば、2019年5月に「デヴィッド ・ リンチ_精神的辺境の帝国展 鑑賞」の中で、「狂気の行方(原題: My Son, My Son, What Have Ye Done (2009年)」の感想をまとめたっけ。
デヴィッド・リンチが製作総指揮だったために鑑賞したんだけどね。(笑)
記事にも「そんなに詳しくない監督」と書いているヘルツォークなので、「ラ・スフリュール」も知らなかったよ。
映像があったので、載せておこうか。(29分)

郷田とトモミ以外にも、命知らずの登山家がいる。
台風で波が大荒れの時にサーフィンやるような人がいるけど、似た感じかな?
そこで事件が起きるのである。

まさかそんな動機だったとは!
あっさり郷田が解き明かしたのは、年の功か?
そしてあんな結末とは、ね。
それにしても特に女性にとって、1歳の年齢間違いは大問題よねっ!(笑)

我が物と思えば軽し笠の雪

自分の利益になることならば、苦労を苦労と思わない。

これは松尾芭蕉に弟子入りした其角の句「わが雪と思へば軽し笠の上」からできた「ことわざ」だという。
この画像が其角のようだけど、ほとんど漫画だね。(笑)
酒豪だったという俳人だけれど、芭蕉からも才能を認められていたという。
なんだかドラマの主人公になりそうなタイプじゃない?

第3のインシデントは豪雪!
雪で閉ざされた地域での事件といえば、やっぱり映画「シャイニング」を思い出してしまうね。
建物に取り憑いている霊的な存在もさることながら、精神に変調をきたしたジャック・ニコルソンが怖くて!
あ、ジャック・ニコルソンの演技が素晴らしくて、に変えないとおかしな文章になってしまうね。(笑)

新年早々、豪雪地帯に取材に行く郷田とトモミ。
孤立した集落を目指して、雪道を車で移動する。
いわゆるジャーナリズムの精神を持つ人であれば、「眼の前にある現実」を報道したい、いやしなければならないという正義感が原動力になり、どんなに危険な場所にでも赴くだろう。
郷田の場合は動機が不純で、災害をネタにした記事を書き、会員数を増やし利益アップを狙っているにもかかわらず、目的地は正統派ジャーナリストと同じように危険な地域、というところにギャップを感じるんだよね。
ガセネタを書くなら、そこまでやらなくても良いような?(笑)

「我が物と思えば軽し笠の雪」は、またもや郷田が犯人を特定し、事件としての決着はついているけれど。
犯人の心境が腑に落ちないんだよね。
珍しく「おあとがよろしくなかった」作品かな。

善人なおもて往生をとぐ

善人でさえ救われるのだから、悪人はなおさら救われる。

親鸞の「歎異抄」に出てきた、非常に解釈が難しい言葉なんだよね。
タイトルでは「善人なおもって往生を遂ぐ」までだけれど、親鸞は「いわんや悪人をや。」と続ける。
意味を調べると「逆じゃない?」と感じてしまう不思議な言葉、どうやら「善人」と「悪人」の定義から勉強したほうが良さそうね。
しっかり文章にする力がSNAKEPIPEにはなさそうなので、親鸞について詳しい方のサイトをご参照くだされ!(笑)

第4のインシデントは離島での台風と火事。
郷田とトモミの当初の目的は、島で目撃されたジュゴンを撮影する、というものだった。
ジュゴンは人魚のモデルとされているので、眉唾もののニュースを発信している「特ダネ ゴーダニュース」では、格好のネタだろうと容易に推測できるよね。
ところが予想に反して、ジュゴンは現れず、郷田とトモミは火事の現場を撮影することに成功するのである。

臨場感あふれる動画をアップロードすると、たちまちアクセス数が増える。
「特ダネ ゴーダニュース」のフェイクではないニュースも人気があるんだね。(笑)
現場にいたからこその成果だけど、災害と聞くと「ほいきた!」とばかりに喜ぶ郷田は、非人道的とも言える。
そしてまた事件に遭遇するのである。

人それぞれに理由があるので、コメントが難しい事件だったね。
なんともやりきれない気分になってしまったよ。

株を守りて兎を待つ

古い習慣にとらわれて、時の変化に適応しないこと。
また、偶然の幸運を当てにする愚かさ。

中国春秋時代、ひとりの農夫が目前で木の切り株にぶつかって死んだウサギを手に入れ、それから毎日その切り株のところで見張りをしたという故事からできた中国のことわざみたいだね。
こういうタイプの人、今でもいるだろうな。
そんな話をしていると、急にROCKHURRAHが歌い出すではないの!

北原白秋作詞、山田耕筰作曲の歌だったとは!
静止画像がうさぎになってるし。
それにしても子供の頃の記憶により、ROCKHURRAHが2番まで歌い続けることに驚いたよ。(笑)
SNAKEPIPEは習った全く覚えがないんだけど、九州地方とは音楽の教科書が違ってたのかもね。

第5のインシデントは豪雨による川の氾濫である。
災害を取材し、有料サイトの会員数を増やすことで収入をアップさせた実績を持つ郷田は、新たな災害ネタを求めて水害に見舞われた地域に赴いていた。
自然災害が利益を生み出すことってあるんだけど、これを特需と言ってはバチが当たるよね。
郷田のような「人の不幸をネタにした記事を書く」タイプは気にしないどころか「ラッキー」くらいに思っているんだろうけど。

人間的には疑問を感じることが多い郷田だけど、推理力はあるんだよね。(笑)
かなり複雑なシチュエーションだったのに、今回の事件も見事に解決!
郷田はここまででいくら稼いだんだろう?

前門の虎、後門の狼

一つの災いを逃れても別の災いにあうたとえ。

中国の元代の学者である趙弼が記した書「評史」に書かれている「ことわざ」だという。
「ことわざ」に因んだ画像をROCKHURRAHが用意してくれたんだけど、なんてカワイイんでしょ!(笑)
こんな虎と狼だったら、大歓迎じゃない?
子供の頃から一緒にいたら、ずっと仲良しのままなのかな。
なんでこんなにカワイイ画像を選ぶか、ROCKHURRAH?(笑)

第6のインシデントは竜巻!
銀行強盗事件を取材するために訪れたのに、竜巻に遭遇する郷田とトモミ。
竜巻を間近で撮影した緊迫の動画だったら、かなりのアクセス数を稼げるだろうね。(笑)
郷田とトモミが乗っているジムニーまで、竜巻で車体が浮くほどの威力だったというから、自然の力は本当に恐ろしいよ。

この章では、なんと猟奇殺人を連想させる死体が登場する。
現場を想像すると、かなり怖い状態だよ。
郷田とトモミは平然と観察しているようなので、肝が据わってるのかな。

郷田の推理により、いくつかのパーツがカチッとはまりパズルが解けた。
人は土壇場になると、思いもよらない大胆な行動に出るのかもしれないね。
SNAKEPIPEにはできないだろうな。(笑)

同じ穴の狢

一見関係がないようでも実は同類・仲間であることのたとえ。
多くは悪事を働く者についていう。

さすがにこの「ことわざ」は聞いたことも、使ったこともあるよ。
「ことわざ」は知っていても、ムジナってどんな動物なの?
どうやらアナグマのことをいうんだね。
画像で見る限りでは、ハクビシンと区別がつかないよ。
「ことわざ」に動物が入っていることが多くて、今回の記事の画像だけみると何の記事を書いているのか不思議に思うかもね。(笑)

第7のインシデントは台風。
丁度この記事を書いている頃、台風6号が関東地方を直撃すると予想されていた。
現在では熱帯低気圧に変わったため、局地的な大雨に警戒する必要があるという。
ほとんど東京近辺から出たことがないSNAKEPIPEは、台風による被害という経験がないんだよね。
もちろん台風直撃で電車が動かない、ということはあるけれど、家の屋根が飛んだり窓ガラスが割れるというレベルの被害はないね。 
北九州出身のROCKHURRAHも、ほとんど被害に遭ったことがないという。

小説本文中の台風は猛威を振るっていて、傘が全く役に立たないほどの大雨と暴風の中、撮影に挑む郷田とトモミ。
「郷田が歩けば二次災害が起きる」じゃないけれど、 土砂崩れまで経験することになる。
これをまた好機と考え、取材を開始する郷田の根性は見上げたものだよ。

スクープを物にするために危険と隣合わせの行動をするジャーナリストといえば、戦場カメラマンなども同じだろうね。
SNAKEPIPEも写真の勉強をしている頃、その手の本を読んで刺激を受けたことがあるので、気持ちは分かる。
実際に行動に移すことができるかどうかが、ジャーナリストとしての資格だろうから、郷田は合格だね。(笑)

ペットのヨークシャーテリアが機動隊員によって助け出されるシーンがある。
ヨークシャーテリアといえば、鳥飼先生の「人事系シンジケート―T-REX失踪」 にも社長夫人のペットとして登場しているね。
好き好きアーツ!#44 鳥飼否宇 part18−激走&T-REX失踪−」 として感想をまとめているので、ご参照あれ!

まさかそんな展開になるとは!
そして「同じ穴の狢」がそういう意味で使われることになるとは思ってもみなかったよ。
「そんな」とか「そういう」といった「濁した」物言いしかできないのが歯痒いけど、仕方ないね。(笑)

鳥飼先生の新作は、今までの先生の著作である「逆説的」、「ブッポウソウは忘れない」や「激走」と上にも登場した「人事系シンジケート―T-REX失踪」などと同様、「実際に起こり得る状況」を背景にした小説だったね。
語り部であるトモミに関する記述があまりなかったので、特徴を捉えることが難しかったかな。
ROCKHURRAH RECORDSが得意としている、マニアックなミュージシャンから名付けた登場人物当てや、アート系の話題を見つけることができなかったのは残念。

天災をキーワードにした小説とはどんな感じだろう、と少し不安を感じながら読み進めた。
どうして不安だったかというと日本で実際に起こっている災害なので、被害状況を生々しく感じてしまうのではないか、と想像したからなんだよね。
郷田の視点が、有料会員獲得に向けスクープを狙っているという、ヒューマニズム寄りではないのは前にも書いたよね。
それが冷静なカメラのレンズ的な役割を果たしていたようで、被害が甚大であっても重たい文章になっていなかったように感じる。
読むのが辛い小説になっていなかったのは、さすがに鳥飼先生だよね!
最近の鳥飼先生の著作は「〜シリーズ」ではないので、また懐かしい登場人物に再会したいと思ってしまうのはSNAKEPIPEだけかな?(笑)