没後120年記念 月岡芳年展

20121007-top1【太田記念美術館正面入口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

現在原宿にある太田記念美術館で「没後120年 月岡芳年展」が開催されている。
今年1月に森アーツセンターギャラリーで鑑賞した「没後150年 歌川国芳展」であるが、その弟子にあたる人物が月岡芳年。
そして月岡芳年といえば無残絵、とすぐに連想されるように血みどろの浮世絵が有名なのである。

「おびただしい血が流れる残酷な場面を描いた芳年の血みどろ絵は、谷崎潤一郎や江戸川乱歩、三島由紀夫など、大正・昭和に活躍した文学者たちにさまざまなインスピレーションを与えました。」

と、太田記念美術館のHPに紹介文も載っているね!
浮世絵の世界にほとんど触れたことがないSNAKEPIPEなので、当然のことながら芳年を鑑賞するのはこれが初めて。
とても楽しみにして原宿に向かったのである。

80年代にはほぼ毎週のように渋谷~原宿を歩いて、買い物したりオシャレな人達を観察したりしていたSNAKEPIPE。
空気を吸ってるだけで嬉しかったあの頃…。
ROCKHURRAHも同じだったようで、
「あの頃が懐かしいね」
「あの店まだあるんだ!」
などと語りながら美術館へと歩く。
原宿に浮世絵専門の美術館があることすら知らなかった。
「てっきり大田区にあるもんだと思ってたよ」
とROCKHURRAHが勘違いするのも無理はないよね。(笑)

ほんの数分で太田記念美術館に到着する。
入り口からはとても小さな美術館に見えるんだけど?
しかも「没後120年」で「東京では17年ぶりの大回顧展」と謳っている割には、看板は上の写真一つだけのあっさりした様子。
前回のブログ「ジェームス・アンソール展」の時みたいに美術館に騙された、なんてことにならないかな、と少しだけ不安になる。
ところが展示会場は地下、1階、2階と工夫がされて展示されていたので、不安は解消されたよ。
作品は前期・後期と期間を2回に分けて、芳年の全貌を伝える方法を採るとのこと。
あ、これも歌川国芳展の時と同じだね!(笑)
そしてROCKHURRAHとSNAKEPIPEが前期を鑑賞するところも同じだなあ。

展示は第1章から第5章までの括りに分けられていたので、国芳展の時と同じように今回のブログもそれぞれの章ごとに感想をまとめてみようと思う。

第1章 国芳一門としての若き日々
1850年、数え年で12歳の芳年は浮世絵師歌川国芳に弟子入りする。
15歳でいきなり3枚続の大判錦絵を制作するほどの才能の持ち主だったとは驚きだね!
そしてその絵の見事なこと。
早熟さが良く解るね。
第1章では12歳から27歳の芳年が独立するところまでの期間を展示していたよ。
その中で気になったのはこの浮世絵。
 
「岩見重太郎狒々退治の図」1865年の作品である。
豊臣秀吉に使えた戦国武将、岩見重太郎が邪神(狒々)を倒し、生贄になろうとしていた半裸の女性を助けた場面ということらしい。
上の絵では小さ過ぎてよく観えないと思うけれど、狒々の絵がすごいんだよね。
見目形の想像力、表情の豊かさったら!
そしてその対比となるような女体の妖艶さ。
この時代のポルノ画といっても良いんだろうね!
ただし、若干女性の縮尺(足のほう)が変なように思ったけど、どうだろう?

第2章 幕末の混迷と血みどろ絵の流行
おおっ、ついに第2章で「血みどろ絵」になったよ!
これは歌舞伎や講談の凄惨な刃傷場面を題材とした浮世絵で、やや過剰に血を描写している作品である。
確かにかなりのインパクト!
「すごい!」
「凄まじい!」
と言いながら鑑賞し、その迫力に圧倒される。
刀で斬り殺す様子、切腹の様子、逆さ吊りにした女から夥しい血がボタボタ垂れている様子など、非常に残酷な浮世絵が並んでいる。
1866年から1869年頃の作品で、この2年間の芳年は悪夢にうなされてなかったのかなと心配になっちゃうよね。
ホラー映画を続けて観た後のSNAKEPIPEは、必ず悪夢をみてたからね。(笑)

このチャプターの中で気になったのは血みどろじゃなくて、この浮世絵。
「清盛入道布引滝遊覧悪源太義平霊討難波次郎」という1868年の作品である。
全く同じタイトルの浮世絵が師匠である国芳にもあるけれど、国芳は横に3枚並んだタイプ。
芳年は竪3枚続という大胆な構図を採用している。
滝を背景に落下する人物を表現するためには、最適な方法だったといえるね。
上部の源義平が雷になって復讐する、という題材とのことだけど、まるで後光が差しているかのような放射線は、後の横尾忠則に影響を与えているような感じ。
120年以上前の作品で、こんなに斬新な作品を作っているとは驚きだね!

第3章 新たな活路―新聞と西南戦争
時代はすでに明治になっていて、新聞が発行されていたようである。
その新聞に錦絵を載せていたのが芳年とのこと。
報道写真ならぬ報道浮世絵とでもいうのかな。
当時の日常的な事件や戦争などを描いている。
これは実際に取材してから描いているわけではないと思うので、聞いた話を想像力を補って創作してたんだろうね。
やっぱり得意の(?)無残な事件に焦点を当てた浮世絵が多いね。
当時の人々がどんな事件に関心を持っていたかも分かって興味深い。
それにしても浮世絵がこんな形に進化していたとは知らなかったよ。
まさしく出版とか印刷の元祖なんだね。
この章で目を引いたのが、新橋や柳橋の芸者を取材して浮世絵にした「新柳二十四時」シリーズ。
タイトルの副題が「午前五時」とか「午後十一時」という時間になっているところにセンスを感じるね。(笑)
その時間に芸者は何をしているかという時系列のような仕上がりになっていて、これはもうフォトジャーナリズムだよ!
そして女の顔が師匠である国芳より、ずっと色っぽく見えるね。
浮世絵の中の女を鑑賞して美しいと思ったのは初めてかな。(笑)

第4章 新時代の歴史画―リアリズムと国民教化

西南戦争が終わった後に芳年が取り組んだのが歴史画と言われる、歴史上の人物を題材とした作品の発表だった。
これは天皇を中心とする政治体制を確立しようと考える明治政府にとっても、国民教化としての教育的な役割を担っていたというから驚いちゃうよね。
ジャーナリズムの次は教科書的な浮世絵とは!
そんなに大々的な仕事をしていた浮世絵師なのに、芳年の名前はあまり有名じゃないんだよね。
SNAKEPIPEも国芳を知ってから調べて知ったくらいだからね。(笑)

第5章 最後の浮世絵師―江戸への回帰
絵入自由新聞社に雇われ、毎日のように新聞に挿絵を描いていた芳年は、大人気作家だったとのこと。
いわゆる浮世絵師というのとは違うから、現代においての評価があまりなされていないのかね?
1892年、54歳で亡くなるまで約40年間、ずっと浮世絵にこだわり続け、「最後の浮世絵師」と呼ばれる芳年。
後年の作品は、その卓逸な構図やデッサン力が見事に花開いて、本当に素晴らしい作品が並んでいる。
この章では下絵と作品、といった2枚同時の展示がされていて、どんな下描きをして作品を仕上げていたのかが解るようになっている。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、仕上がった作品よりも下描きの素晴らしさに驚いた!
赤鉛筆(?)を使ったあとに、細いペンのような黒い線で下描きをしてるんだけど、これがまるで漫画とかアニメの下描きみたいなんだよね。
このまま動き出しそうなタッチに、芳年のデッサン力の確かさを感じる。
国芳展では恐らく下絵を見ていないと思うので、今回が初めての浮世絵の下絵鑑賞なのかな。
あんなに完成に近い形で下絵を描いていたとはね!

他にこの章で気になったのが「風俗三十二相」という女性ばかりを描いた作品。
何が気になったのかというと、副題である。
「いたさう」「あつさう」「じれつたそう」「みたそう」といった感じで痛そうな刺青を彫っている途中の女、熱そうにしているお灸中の女などの様子を描いている。
こんな副題と題材を使うなんて、笑いを取るためだったのか真剣だったのかと疑ってしまうほど面白いよね。(笑)

歌川国芳展は、宣伝効果もあったし、元々の知名度の高さもあって、鑑賞するのが大変なほどの観客数だった。
そのため所々は飛ばしたり、順路を変えて鑑賞し、少しでもストレスを感じないように工夫していたことを思い出した。
今回の芳年展は、そこまでの人出ではなかったし、順路を変える必要もなく気に入った絵の前には好きなだけ立ち止まっていられたのが良かった。
こじんまりした美術館だったけど、意外と作品数が多かったのも良かった。

言い換えれば、芳年の作品が全体的に小さかったんだよね。
大判三枚続とはいっても、A4サイズが3枚並んでいる程度の大きさだからね。
もしかしたらその作品のサイズが、せっかくの芳年の迫力を少し小さく見せている原因なのかもしれないね。

そして更に1872年頃には神経衰弱で倒れる、なんてこともあったようなので、精神的にも弱い人物だったのかもしれない。
思うように人気を得ることができなかったことが原因とのこと。
現代でいうところのメンタル的な病気ってことだろうからね。
生真面目な性格だったんだろうな。

月岡芳年は、師匠である歌川国芳や、同門である河鍋暁斎のような型破りな面はなかったけれど、構図の見事さと無残絵の迫力、そのインパクトは強烈である。
国芳のように鮮やかな色彩ではないため、ちょっと渋めのトーンに鮮血の赤がよく映える。
そういう効果的な演出も含めて、この時代の第一線の浮世絵師であり、恐らく後の時代のイラストや漫画に与えた影響は多大だろうね。

国芳、芳年と鑑賞して、今まで浮世絵の世界に益々興味を持ったSNAKEPIPE。
また機会があったら違う作家の作品も鑑賞していきたいね!

ジェームス・アンソール~写実と幻想の系譜~

20120930-top1【今回の展覧会に行くキッカケになったアンソールの「陰謀」】

SNAKEPIPE WROTE:

とある小冊子をたまたま見ていた時に、その中で紹介されていたのがジェームス・アンソールの展覧会だった。
そこに載っていたのが上の絵、「陰謀」だったのである。
「仮面や骸骨などのグロテスクなモチーフ」や「シュルレアリスムや表現主義に影響を与えた」など、SNAKEPIPEの興味を惹く言葉がズラリと並んでいる。
ジェームス・アンソールなんて画家、今まで聞いたことがない!
これは観に行かなければ!(笑)

そして出かけた新宿西口にある損保ジャパン東郷青児美術館
この美術館に行くのは全く初めてである。
それにしても美術館名、長くないか?(笑)
西口に行くことがあっても、勤務でもしていない限りは、あのビル群に用事がある人ってあんまりいないよね?
損保ジャパンビルの42階に美術館があることすら知らなかったSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも同じだったようで、わざわざ美術館に行く道のりを検索してくれていたよ。
「ビルの正面から左に曲がって4つ目の階段から上がると美術館入り口に出る」
という細かいところまで教えてくれて、ありがとう。(笑)
歩いている途中で話しかけたら
「数えているんだから話しかけられたらわからなくなる」
という返答が。
たかだか4つなのにね!(笑)
そのROCKHURRAHの細かい気遣いのおかげで(?)、無事に美術館に到着。
1階にはアンソールを紹介するビデオが流れていて、ちゃんとソファまで用意されている。
ビデオは帰りに観ることにして、まずは42階会場へ向かう。

ここで簡単にジェームス・アンソールについて書いてみようか。
アンソールは1860年、ベルギー生まれの画家である。
北海沿岸の海岸リゾート地であるオーステンデに生まれ育つ。
両親はここで観光客相手の土産物屋を営んでいて、貝殻や民芸品、そしてカーニバルで使用する仮面などを売っていた、とのこと。
そう、上述した「仮面のモチーフ」は、ここから来てるんだよね。
そしてベルギーのカーニバルって一体何だろう、とこれも調べてみたよ。
「ジルのカーニバル」もしくは「バンシュのカーニバル」と呼ばれる、仮面を付けた道化師が木靴を踏み鳴らしながら行進する祭りが有名らしい。
他にもアールスト、道化師シネル、ブランムーシ、マルメディといったカーニバルがあるみたいだけど、どれも仮面を付けたり仮装するタイプのお祭りなのね。
写真で見る感じでは、マルメディのカーニバルで使用されている仮面がアンソールの絵画に出てくる顔によく似ているように思ったよ。
上の写真がそのカーニバルなんだけど、どお?

アンソールは初めからグロテスクモチーフの絵画を描いていたわけではない。
当時流行していたのは庶民の肖像や朝食の静物画で、アンソールもその流れに乗った絵画も描いている。
そしてグロテスクモチーフを描いた当初は、異端児扱いされ、人々の嘲笑を受けたらしい。
ところがそれらの作品のほうが、後の時代には評価されることになるんだよね。
そして実際、グロテスクモチーフの作品はとても面白いね。

損保ジャパン東郷青児美術館のチケット販売、チケットもぎり、「会場はこちらです」とわざわざ教えてくれた案内係、美術館会場内での監視役の人達すべてが、かなりの年配者でびっくり。
もしかして、元は保険外交員だった人が定年退職後にバイトしてるのかな、などと勝手な想像をしながら会場を歩く。
アンソールが生まれた1860年代にはこんな絵画が主流だったんですよという年表やら、その時代の他の人の絵画まで展示されていて、勉強にはなるけれども観に来たのはアンソールなんだけどな、という2つの思いが揺れ始める。
そしてアンソールの写実時代の展示が長い、長い!
一体いつになったらグロテスクモチーフが出てくるんだろう、とちょっとイライラしてきてしまう。
更に、バタバタ走り回る子供を連れた外国人にも大迷惑する。
この走り回る子供は、「入ってはいけません」のラインより中に入り、絵に触ろうとして監視員も手を焼いていたようだった。
その他の客も、今まで行った美術館では見かけないタイプが多く、
「もしかしたら損保ジャパンが顧客にチケット配ったのかな」
という疑惑まで浮上。
タダなら行くか、みたいな感じの客層に思えたからね。

そしてやっとほとんど最後のセクション辺りでグロテスクモチーフの絵画が登場。
えっ、たったこれだけ?
あんなにグロテスクという単語を用いて宣伝してきたのに…。
一番上に載せた「陰謀」と「首吊り死体を奪い合う骸骨たち」を観ることができただけでも良かったのかな。
この「首吊り死体」はアンソール本人で、骸骨の1つは母親で、もう1つは誰か忘れた。(笑)
そして左下で横たわっているのが死んだ父親、という解説だったはず。
生涯独身だったアンソールにとっての家族というのは、両親と自分との関係だけだったんだね。
ん?その解説聞かないほうが面白かったように感じるのはSNAKEPIPEだけかしら?(笑)

大抵の場合、鑑賞した展覧会の図録は購入するSNAKEPIPEだけれど、今回のアンソールは写実時代の作品展示があまりに多過ぎたので図録はパス!
骸骨と仮面の絵画のポストカードだけを購入することにした。
他にはどんな商品があるのかな、と店内を物色してビックリ!
店内には「ひまわり」グッズがいっぱいなんだよね。

この損保ジャパン東郷青児美術館というのは、1987年安田火災海上保険時代にゴッホの「ひまわり」を53億円で落札してるんだよね。
この件に関しては、かつて「収集狂時代 第1巻」でも書いてるんだけど、バブルの時代の象徴的な出来事だよね。
ゴッホなんて全然興味がないから、今まで気にしていなかったけれど、今回初めてその「ひまわり」も鑑賞することになってしまったROCKHURRHAとSNAKEPIPE。
だって、一番最後のブースに鎮座してるんだもん。
まさかあの絵まで鑑賞対象に含まれていたなんて知らなかったよ!

なるほど、だからミュージアムショップには「どうだ!」と言わんばかりにひまわりグッズがあふれていたのか。
ひまわり複製画、ひまわりポストカード、ひまわり携帯ストラップ、ひまわり柄の缶入りクッキー!(笑)
もしかして以前に購入した53億円を少しでも回収しようとしてないか?
だってアンソールの展覧会、あれで1000円は高いもんね。
きっと「ひまわり基金」に充てられてるんだろうなあ。
だったら53億円なんて使うことないのにね、などと言いながら久しぶりにインドカレー「ボンベイ」で食事。
やっぱり美味しい!
これで少し機嫌が直る。(笑)

今回のアンソール展だけでは満足できなかったので、
「こんな絵を鑑賞したかった」
という絵を何枚か選んでみたよ。
下に挙げる絵は、今回の展示には含まれていなかったんだよね。
アンソールの「幻想」を伝えるには、このジャンルの絵画を加えないと!

The Assassination(暗殺)と題された1890年の作品。
それぞれに役割分担があったり何かしらの意味があるんだろうけど、そんな解釈なしでも充分だね。
まるで神州纐纈城を思わせる題材で、非常に怖いのにコミカルにも見えてしまうから不思議。
この稚拙そうに見える部分が余計に恐怖を煽るよね。

Skeletons Fighting over a Smoked Herring(燻製にしんを巡る骸骨の戦い)というタイトルの1891年の作品。
これもまたコミカルさに溢れているけれど、モチーフは骸骨なんだよね。
死んでも尚欲深い人物、なんて意味なのかしら?
これじゃあ成仏できないね?(笑)

Self-Portrait With Masks(仮面の中の自画像)は1899年の作品。
アンソールの絵画に特徴的なのが「上向きの鼻の顔」が多いこと。
どうやら付き合っていた彼女が「上向きの鼻」だったようで、その彼女のポートレートも写実時代に描いてるんだよね。
タイトルはそのまま「上向きの鼻の女」だったかな。(笑)
自分の彼女のことをそんな風に言わなくても良いのにな、と思いながら鑑賞していたけれど、その鼻のインパクトが強くアンソールに残っていたのかな。 上の絵の中にもいっぱい「上向きの鼻」があるよね!

ほんの数行の紹介文と1、2枚の絵(写真)だけで興味を持って出かけた展覧会だったので、ちょっと騙された感があったことは事実である。
アンソールに、ではなくて、損保ジャパン東郷青児美術館に、である。
ま、これも行って観たから言えることなんだけどね!
ただ、今まで全く名前も絵画も知らなかったジェームス・アンソールの存在を知ることができたのは収穫だった。
シュルレアリスムの前の時代にこんな画家がいたとはね!
きっとまだまだ知らないアーティストいっぱいいるんだろうな。
SNAKEPIPEの探求は続くよ!(笑)

ビザール・チェア選手権!6回戦

20120923_top【椅子に座っている人物を描いている画家といえばやっぱりベーコンだよね!】

SNAKEPIPE WROTE:

久しぶりに変わったグッズはないかな、と検索してみる。
前回ビザール・グッズ選手権を書いたのが今年の5月だったので、新しいデザインが増えていることを期待したのだ。
おおっ、電化製品なども月単位で新しい商品が生まれていると思うけれど、デザインの世界も同じことがいえるみたいだね。
思った通りに今まで見たことがないビザールな逸品を発見したよ!
今回もビザール・グッズ選手権を始めたキッカケになった、椅子に焦点を当ててみることにしよう!

CD-Chair-by-Belen-Hermosa

パッと目に飛び込んできて惹かれたのが左の椅子。
なんとこれはCDで作られているんだよね。
CDでもDVDでも良いんだけど、裏の、あのピカピカ光る、カラスが嫌がるとされている部分に関してはSNAKEPIPEも以前より興味があったんだよね!
だって、見た目がキレイじゃない?
かつてファントム・ギフトのピンキー青木が、あれをブローチにしてジャケットに付けていたのを思い出すなあ。(笑)
この椅子はスペインのデザイナー・Belen Hermosaの作品とのこと。
このサイトは全部スペイン語で書かれているから、スペイン語について全く知識のないSNAKEPIPEにはお手上げ状態!(笑)
サイトを見ている感じでは、恐らくBelen Hermosaという方は商業デザイナーのようで、椅子だけじゃなくてカーペットや花瓶などの生活雑貨やインテリア全体についての作品を発表しているみたい。
実際作品が売られているのか、販売しているんだったら値段はいくらなのかなどの詳細については不明。
スペイン語わかる方がいたら教えて欲しいな!
上のCD椅子は、実際に座ってみたらどうなるんだろう?
クルクル回転して、滑り落ちちゃうかもしれないね?
デザイン的にグッド!だと思うけど。

rehherb_chair

はい、お次はまた座り心地を無視して、デザイン性に惚れた逸品ね!
Alexander Rehというアメリカのデザイナーの作品なんだけど、椅子本体に使用されているのはなんと薬莢!
武器を家具にしてしまうとは、ものすごい発想だよね。
そして金属のゴールド色とプラスチック部分の赤の取り合わせがなんともゴージャスに見えてくるから不思議だよね?
武器なのに。(笑)
実際に座るとこうなります、という写真がAlexander Rehのサイトに載ってるんだけど、わざわざ裸の女性をモデルに使ってるよ!
そして予想通りに薬莢の痕が付いていて、まるでお灸したみたいでおかしいね。
薬莢の種類を変化させるとまた違う雰囲気の椅子になる、という紹介もされていて、オリジナル薬莢椅子を作ってみたくなるよね。
気になる方はご連絡を、としか書かれていなくて、実際おいくら万円なのかは不明。
CD椅子同様、インテリアとして欲しい逸品だよね!

Shopping-Cart-Chair-2巨大ショッピング・センターで1周間分の食料をまとめ買いする主婦、というのは国内外問わず多いと思うんだけど、「残った材料からメニューを考える」のが苦手なSNAKEPIPEには難しい芸当だな。
ショッピング・カートいっぱいに食料品を積み込む様子は、例えばアメリカ映画なんかでよく見かけるよね。
うん、確かにそんな時に使われているのはこんなカートだったはず。
と、思ったらなんとこれはショッピング・カート型の椅子だったのね!(笑)
これはFernando Paulladaという、恐らくアート系の大学に通う大学生の作品みたい。
移動は楽だし、足の下に物は置けるし、肘掛けも付いてるし至れり尽くせり!
リサイクル的な発想も面白いし、SNAKEPIPEは気に入ったよ!(笑)
Fernando Paulladaのサイトには、他にもイラスト作品なども載ってるんだけど、このイラストがとても良いね!
ポストカードがあったら欲しいくらい。
若いっていいわねえ。(遠い目)

nobody_and_co_bibliochaise2最後はこちらの逸品!
なんと本棚と椅子を合体させてしまった、横着な人にピッタリの椅子のご紹介ね。(笑)
Nobody&CoはAlisée Matta と Giovanni Gennariというイタリア人2人組みユニット。
1994年から商業デザインを始めているらしい。
「トラブルは最大のインスピレーションの元」とHPに書いているように、本が多過ぎて座る場所がない、ということからデザインされた椅子とのこと。
カラーも豊富だし、様々なシチュエーションにも対応できる様子も詳しく紹介されているよ。
違うバージョンも存在するようで、寸法などもキチンと書かれているね。
確かに便利そうで一脚欲しくなるよね!
そこでお値段を調べてみると…なんと上の黒タイプは10,700ユーロ、日本円で約108万円也!
いつか自分好みのフレームとクッション色で購入してみたいね。

また定期的に新しいデザイン探しをしてみよう!
ワクワクすること間違いなし、だからね。(笑)

がっちりBUYましょう!vol.7 衝動買いツール編

【ROCKHURRAH制作のよくわからんビデオ。ウロウロしてるだけ?】

ROCKHURRAH WROTE:

使うかどうかは全然わからない、冷静に考えたらあまり使わないんじゃなかろうか?というようなアイテムを無性に欲しくなる時がある。     よほどの倹約家とかじゃない限り、誰にでもそういう時があるんではなかろうか?と思うけど、そういう時は理屈も何もあったもんじゃない。     欲しくなった時にはやっぱり買ってしまうのがいつもの事。特に大した金額じゃない場合は大抵入手してしまう。

今回はそんな感じの衝動買いアイテムをたった2つだけど紹介してみようか。そこまで物欲の権化ではないROCKHURRAHだから「こんな変なモノ買いました」というような記事ではないのは確か。

この数年は実にたくさんの映画を観る機会が多いせいか、自分でも何か映像を撮ってみたくなった。映画を作るとか何かの映像作品を作りたいとか、そんな大げさな気持ちは全然ないが、自分で撮った素材を映像編集ソフトで作り替えてみたいというようなささやかな欲求があったわけだ。もちろんものすごい情熱がありさえすれば映像作品にする事は可能だろうけど、そこまでの意欲も時間も技術もセンスも持ちあわせてないのは自分でもわかっている。単なるシロウトの映像遊びだと思ってほしい。

それで、今まで買うのを考えた事もなかったビデオカメラに急に興味が湧いてきたというわけだ。携帯やデジカメでさえ、ビデオ機能とか付いてても使った事なかったのにね。
早速調べてみたがいわゆるハンディカムのような形はどう考えても日常に持ち歩くはずないから、最初から断念。昔は決心しなければ買えない金額だったけど、今は適度な性能のものなら悩むまでもなく買えるほど安くなってるんだね。そんな事さえ知らなかったよ。

ROCKHURRAHが欲しかったのはポケットに入れてもかさばらない小型のもので、すぐに取り出せるくらいのヤツ。撮った映像を「素」のまま使うつもりはないので画質とかはそこまで気にしなかったよ。
丹念に調べたわけじゃないが、すぐに良さ気なものは見つかった。それが今回買ったコダックのPlaySport2(Zx5)というもの。何だか昔の携帯電話のような角丸の形と大きさがちょうど好みだったし、いつもBlackberryを持ってると全然違和感ないぞ。
光学ズームさえついてないし撮る基本機能以外は何もないシンプルさが今時良い。

関係ないがROCKHURRAHが最初にMacを買った頃に使ってた、はじめてのデジカメはコダック製だった。おもちゃみたいで何の役にも立たなかったけど、あの頃のデジカメはほとんど全て実用性もなくておもちゃの延長線上だったなあ。

さて、この商品はSportという名前からわかる通り、アウトドアやスポーツの際に使える事に特化した機種のようで、3メートル程度の防水機能や落としても大丈夫な耐衝撃機能なども備わっている模様。その辺の趣味が特にあるわけではないが、ヤワなビデオカメラよりは好感が持てるし、あって悪い機能というわけでもない。
ROCKHURRAHが好きなミリタリーもアウトドアの一種だと思えば、持ってて似合うのはやはりこの手のカメラだろうな。値段も安いし惜しげも無く使うにはちょうどいいというもんだ。
カタログには米国国防軍用規格MIL-STD-810Fに準拠などと書いてあって、この辺もそそられる要因。簡単に言えば過酷な試験に合格して軍用としても使用可能という事。ミリタリーの服の裏側とかによく付いてるミルスペックを満たしてるって事だね。

価格comみたいに細かい商品レビューとかはするつもりもないが、使いやすくて手軽、そして値段の割にはなかなか良いなめらか画像が撮れて気に入ってるよ。
そういう趣味の人が遊びで使うにはオススメ出来る。
まだ水中撮影とか雨の中の撮影もないし「落としてみたけど壊れなかったよ」なんて気軽に試しはしてないけどね。見た目はあんまり防水っぽくないから試すのは勇気がいりそう。ん?「惜しげも無く使うにはちょうどいい」などと書いていながら案外大事に使ってるぞ。

タイトル下の動画はこないだ九州に帰省した時の映像を試しに加工してみたもの。森山大道+60年代アングラ映像っぽいのを狙ったつもりが意味不明のシロモノになってしまった。このビデオカメラの特性を考えれば全く合ってないかもな。

お次はアウトドア繋がりでもう一品。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは「もどき」とか「ルック車」と呼ばれるものよりは多少マシなマウンテンバイクに乗っているが、いわゆる工具類を持ってなくてドライバーとか六角レンチとかをバッグの中に生身で持ち歩いていた。自転車専用のツールとしてその辺がひとつになったものは売ってるが、そこまで毎日整備しまくってるわけではないので持ってなかった。

そういう用途以外でも日常の便利ツールがないか探してて見つけたのがレザーマンのマルチツールだ。歴史も古くファンも多い有名なメーカーだから、アウトドアに通暁してるわけでもないROCKHURRAHごときが今さら語るまでもないけどな。
今までにミリタリー屋やアウトドア屋で何度も横目で見たけど買わなかったものを、なぜか今頃急に欲しくなった次第だ。過去にアーミーナイフとかサバイバルキットとかは持ってたけど、ああいうのは確かに何に使うのか明確な目的なくてもそそられるものがあるのは確か。

何年か前にSNAKEPIPEがおみやげで小さな迷彩アーミーナイフをくれて、それをキーホルダーとして持ち歩いてるけど、実用では洋服のほつれた糸を切った事くらい(笑)。

レザーマンはアーミーナイフと違い本体のメインはプライヤー、ペンチだが、確かな品質と色んな物に変身するギミックが面白いので大人気のツールだ。マルチツールとしてはビクトリノックス、ガーバーと並んで御三家といったところか。

ファンにとっては当たり前なんだろうが、2000円くらいから数万円までのピンキリなラインナップ、アウトドアを本業にするつもりもないので中途半端に安いものを選んでみたよ。どうせいつかは壊れるものだし、一生モノを買うような夢もない。カタログを見て選んだのはウィングマンというシロモノ。桂正和ではない。
安くて機能が絞られててカッコ良いものを選べば良かったが、中途半端に欲張って多機能なモノを選んでしまった。

店まで行くのを面倒臭がって通販で買ったんだが、届いたこれがずっしりと重いのでビックリした。レザーマンのは軽いもので50グラムくらいなんだが、このウィングマンは200グラム弱もあって、これをキーホルダー代わりにしている人間は滅多にいないであろうと思える。しかもこんなの携帯してた日にゃ軽く捕まってボッシュート状態間違いなし。というわけで買いはしたものの、あまりにも物々しすぎて普段使いは出来ない商品という事になる。

実際にこんなCMがあるのかどうかは不明だが、ウィングマンのバカっぽいCM映像があったので紹介しよう。おそろしく胡散臭い男だね。レザーマンの良さを伝えるのに逆効果じゃなかろうか?

プライヤーもハサミもバネ付きで使いやすいし、重量感や質感もさすが機能美に溢れたもので、男の子(気持ちはいつまでも)だったらきっとこのメカニカルな美を理解出来るだろう。

この手のマルチツールはレザーマン以外にも色々出ていて、実用の役に立つかどうかは抜きにして、他にも欲しくなってしまうな。価格と入手のしにくさで断念したがスパイダルコというメーカーのスパイダーレンチとか、最高にそそられる姿形をしているよ。

こういうのをコレクションする趣味はないけど、見かけたらそそられるのは確か。誘惑に負けてもう一つくらいは買うかも。次に買う時はもう少しコンパクトなものにしてみようかな。