映画の殿 第07号 スペイン語トホホ映画

【「俺たちサボテンアミーゴ」の仲良し3人組!】

SNAKEPIPE WROTE:

昨年の夏よりずっと書き続けているスペイン映画への情熱は未だに冷めやらず、更に鑑賞できるだけの映画を探している状態である。
スペイン映画のみならず、スペイン語圏の映画を鑑賞することもある。
スペインをキーワードにすると、たまにそんなこともあるんだよね。
そして当然のように、完成度が高い映画ばかりではなく、「トホホ」と感じる映画に当たることもある。(笑)
今回はそんな「トホホ」映画を紹介してみたいと思う。

1本目はアメリカ映画でありながら、全編スペイン語で撮影された「俺たちサボテンアミーゴ」(原題:CASA DE MI PADRE 2012年)だ!
簡単にあらすじを書いてみようか。(webから引用)
メキシコの片田舎で父の牧場を手伝い、お気楽な人生を送っていたアルマンド。
しかし牧場の実態は火の車。
そんな一家の一大事に、ビジネスマンとして成功した弟ラウルが美しい婚約者ソニアを連れて帰ってきた。
しかし、ラウルは牧場の借金問題を解決するどころか麻薬ビジネスに手を出して窮地に追い込まれ、一方のアルマンドはあろうことかソニアと禁断の恋に落ちてしまう。

主人公アルマンドを演じるのが、ウィル・フェレル
日本での知名度は低いけれど、アメリカでは大人気のコメディアンとのこと。
なんと「アンチェインド・メロディ」などで有名なライチャス・ブラザースのキーボードだったリー・フェレルの息子だという。
正直言って、どうしてこの人が主役なんだろう?と疑問に感じながら鑑賞していたんだけど、有名人だと知って納得。
どうりで歌もうまかったはずだよね!

「俺たちサボテンアミーゴ」はスペイン語圏映画ではお馴染みのガエル・ガルシア・ベルナルが麻薬王として出演していて、それも鑑賞するきっかけの1つだった。
だけど、この映画での役どころはあまりガエル・ガルシア・ベルナルには似合っていなかったように思った。
白いスーツに白いウエスタンブーツを履いてキメてるファッションも似合ってなかったし、そもそも残忍な大物って雰囲気じゃないもんね?

どうして「俺たちサボテンアミーゴ」を鑑賞して「トホホ」と感じてしまったのか。
1:映画最初の頃と途中での2回、主人公アルマンドと牧場で働いている2人と共に軽口を叩くシーンがある。
大して面白くない会話なのに、3人は笑い合い、やめたかと思うとまた誰かが笑い出し、つられて他もまた笑いだす。
このシーンがかなり長い時間使用されてるんだよね!
なんだろう、この無駄に感じる時間は。
どんな意味があったのか聞いてみたいね。(笑)

2:2012年の映画にもかかわらず、作り物であるのがバレバレなセットのオンパレード。
引いたカメラで撮影された街の風景は、カクカクに動くオモチャの車が走るジオラマのセットが使用されていた。
「母との思い出が残る神聖な場所」とされていた池なども完全なセット。
アルマンドを導く聖なる存在である白い豹は、ぬいぐるみ!(笑)
どうやら70年代メキシコでのソープオペラを意識して作られた映画のようなので、「わざと」だと思うけど、そのあまりのチャチさに笑ってしまう。
「わざと」やるほうが逆に難しいように思うけどね?
もし本当に狙ってやっていたなら、拍手だよ!(笑)

「俺たちサボテンアミーゴ」での救いは、ヒロインであるソニアを演じたジェネシス・ロドリゲスがキレイだったことかな。
母親はモデルで父親は俳優兼歌手だというから、美貌や才能を受け継いだんだね!
エキゾチックな美女がお好みの方にはお勧めだよ!(笑)

「俺たちサボテンアミーゴ」はコメディ映画だと思っていたのに、後半になってくるとハードなアクションが増えてくる。
それまでは「うすのろ」扱いをされていた主人公アルマンドが、好きな女のため、母の復讐のために目の覚めるような活躍をするのだ。
急に変貌するアルマンドには驚かされるし、意外性もあるので注目する点かな!(笑)

後で調べてみるとウィル・フェレルは「俺たち〜」というタイトルの映画にたくさん出演しているみたいで、他の作品も気になるところだ。
きっとまた「トホホ」に出会えるに違いない。(笑)

続いての作品は我らがカルロス・アレセス目当てで鑑賞した「人狼村 史上最悪の田舎」(原題:LOBOS DE ARGA 2011年)である。
こちらは「『パンズ・ラビリンス』のスタッフが集結!」なんて宣伝文句が踊るスペイン映画である。
文章にはB級ホラーとも書いてあったので、最初から「トホホ」だと知っていて鑑賞していたんだけどね。
それにしてもここまでとは…。(笑)
また簡単なあらすじを書いてみようね。(webから引用)

青年作家のトーマスは、新作小説を執筆するために長年戻らなかった故郷を訪れる。
旧友との再会に喜び、懐かしい思い出にひたるトーマスだが、幼いころの恐怖であった呪いが未だに村内のタブーとなっていることを知る。
それは、生け贄を献じることで村人全員が狼人間になることを逃れられるという、恐ろしい伝説 だった。
呪いを解くために生け贄にされたトーマスは、村人により穴に落とされてしまうのだった…。

恐怖、呪い、タブー、生贄、狼人間と「いかにも」な単語が並んでるよね!
そう、設定やら物語の進行は「いかにも」だから、度肝を抜かれるとか斬新ということはない。
珍しかったことといえば、ゴルカ・オチョア演じる主人公トーマスが生贄にされるくらいなら、と指を切断されるところ。
そしてその指をにんにくとパセリで炒める幼なじみであるカリスト役のカルロス・アレセス!
更にその指炒め(?)を飼い犬がくわえて走ってしまうシーンは、まるでデヴィッド・リンチ監督の「ワイルド・アット・ハート」のパクリみたいだよ。(笑)

主人公トーマスが指を提供したのにもかかわらず、呪いは解けなかった。
村人たちはウウウッと唸ったり叫んだりしながら、次々に狼人間に変身してしまう。
そして変身後の姿が左の写真!
どお、これ?
狼人間というよりは、 「スター・ウォーズ」のチューバッカか、もしくは東宝の特撮映画「サンダ対ガイラ」(古い!)みたいなんだよね。(笑)
実はSNAKEPIPE、チューバッカは大好きなので、似た雰囲気の狼人間が怖くなかったし、実際狼人間弱かったし!

噛まれることで感染して、狼人間になってしまうのはゾンビやら最近流行りのウイルス系パニック映画に共通している設定だよね。
この設定を最初に採用したジョージ・A・ロメロはやっぱりすごいな!
ゾンビ」(原題:Dawn of the Dead  1978年)は36年前、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(原題:Night of the Living Dead 1968年)に至っては46年前だからね!
そんなに昔からの伝統(?)が現在まで生き残っていて、それが恐怖とされていることを知ると、原型を作ったロメロの偉大さが良く解るよね。

「人狼村 史上最悪の田舎」鑑賞目的だったカルロス・アレセスは、今回主役ではなく、主人公の幼なじみという役どころ。
着ていたセーターも含めて田舎っぺ役はピッタリだったね。
カルロス・アレセスらしい特徴はあまり見受けられなかったし、自慢のヌードも披露されなかった。(笑)
それでも、もちろんファンだったら鑑賞しないとね!

「人狼村 史上最悪の田舎」で印象に残っているのは冒頭、村の呪いについて解説するシーン。
この劇画調の紙芝居形式が大人向けのエロチックなもので、なかなか面白かったな!
ラストシーンは思わせぶりだったけど、「人狼村2」はないよね?
もし製作されたら一応観てみようかな。(笑)

今回は「トホホ」な映画について書いたつもりが、結局「着ぐるみ」系映画紹介になってしまった!
こんな書き方をしているから誤解されてしまうかもしれないけど、「トホホ」な映画もSNAKEPIPEは大好きなんだよね!
また「トホホ」映画特集もしていきたいな!(笑)

映画の殿 第06号 好き好きスペイン映画

【霊能者役のサンティアゴ・セグーラ演じるカルロス・ホセ。最高!】

SNAKEPIPE WROTE:

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞROCKHURRAH RECORDSをよろしくお願い申し上げます!
毎週恒例の偏愛的ブログも更新していきますので、こちらもよろしくね!(笑)

ではSNAKEPIPEがお送りする年明け最初の記事、ブログ初め、というのかな?
ん?なんか変?(笑)
ベストオブ2013」以外にも散々書き続けている、スペイン映画だけれど、今回はそんなスペイン映画の中で注目している俳優について特集してみたいと思う。
注目という点では、我らがハビエル・カマラがいるけれど、彼の場合は別格扱いのため今回は他の方々に登場してもらいましょう。(笑)

 「トレンテ ハゲ!デブ!大酒飲みで女好き!超・肉食系スーパーコップ」というタイトルは一体誰が考えたんだろうね?
音楽関係でいうところの「ジャケット買い」のようにタイトルだけを読んで「観てみたい」 と思わせる戦略を一切採らなかったとしか思えないセンス!
ま、そうは言ってもROCKHURRAH RECORDSでは観たんだけどね。(笑)
上の画像右側の人物がトレンテという名前の、タイトル通り酒飲みで女好きの刑事。
演じているのはサンティアゴ・セグーラ
なんともびっくりなことに監督兼主役なんだよね。(笑)
タイトル通りにハゲでデブ、こんな俳優に主役をさせる他の監督はいないのかもしれないね?
だったら自分で自分を主役に映画を撮ろうと考えたんだろうか。

写真左に遠視用メガネをかけて、まるでケント・デリカットみたいに大きな目をして写っているのは我らがハビエル・カマラ!
いい加減な刑事トレンテの助手として活躍する近所の青年ラフィという役を演じていた。
実を言うとハビエル・カマラが出演しているのが「トレンテ」鑑賞の理由だったんだよね。(笑)
そうじゃなかったら「ハゲ!デブ!」で観ないって、普通!
「トレンテ」は1998年の映画なので、今から16年前なんだね。
当時30歳だったハビエル・カマラの若いこと!
体型も今とは違って痩せ型だったのね。(笑)

かなりハチャメチャで、とても刑事とは思えない行動をするトレンテなんだけど、最後はちょっと正義感に燃えたりして派手なアクションシーンもある。
トレンテ、最高!(笑)
トレンテ役のサンティアゴ・セグーラのすっかりファンになっちゃったよ!
「トレンテ」はスペインで大ヒットした映画らしく、「トレンテ4」まで制作されているというから驚いちゃうよね!
いいのか、これで?と思いながらも、この手の笑いに寛容なスペインが益々好きになるね。(笑)
残念ながら日本では「トレンテ1」しかDVD化されていないので、是非とも続きが観たいね!

 次にまたサンティアゴ・セグーラに再会したのは「クイーン&ウォリアー」という1999年の映画だった。
「クイーン&ウォリアー」は [魔法の国]のトレジャー・ハンターが呪いをかけられ、現代のスペインに住む少年に変えられてしまい、元の世界に戻るために[現実世界]で勇者のごとき活躍をする異色ファンタジー・サスペンスである。
この映画の中でサンティアゴ・セグーラはカルロス・ホセという謎の霊能者を演じている。
この時のサンティアゴ・セグーラ、「シュッ、シュッ、シュッ」と変な擬音と共に両手を口から前に出す怪しい動きをしていて大笑いさせてくれるんだよね!(笑)
ものすごくインチキ臭い霊能者の役がぴったりだったね!

 「スキと言って!」という2004年の作品もサンティアゴ・セグーラ目当てで鑑賞してしまった!
今回はカップルを誕生させるテレビ番組の中で、愛のキューピッドみたいな「ハートちゃん」という役どころ。
上の写真はハートのかぶりものをしているところなんだよね。
アップにすると意味不明でおかしい。(笑)
さすがはサンティアゴ、やっぱり変な姿で登場してくれて期待を裏切らないね。
これからもサンティアゴ・セグーラから目が離せない!

 次にご出演頂くのは「気狂いピエロの決闘」 で主役ハビエルを演じていたカルロス・アレセス
サーカス団に「泣き虫ピエロ」として入団したハビエルは「怒りのピエロ」セルヒオと、ガールフレンドを巡り争いを繰り広げるのである。
最初は弱気だったハビエルが、だんだん狂気へ向かって行く様は圧巻だった。
この映画の中で最も印象に残っているのは、入院していたハビエルが病院服のまま脱走するシーン。
割烹着みたいに後ろはヒモで結んでるだけの服なので、後ろ姿はほとんどヌード!
前述のサンティアゴ・セグーラと似た体型のカルロス・アレセスなのでぽっちゃりした肉体を晒してるんだよね。(笑)
この映画の内容や他のことよりも、その後姿が一番印象に残ってるなんて、まさかSNAKEPIPEってデブ専か?(笑)

 先日書いた「スパニッシュ・ムービー」 にもカルロス・アレセスの姿を発見!
この映画自体が様々なスペイン映画のパロディなので、元ネタを知っていると笑いが倍増する。
写真は「ノーカントリー」のハビエル・バルデムのモノマネしているシーン。
このシーンの前には「オープン・ユア・アイズ」のパロディで、ベッドに裸でうつぶせになっていたカルロス!
あ、また後ろ姿のヌード!
もしかしたらカルロス・アレセスって露出好きなのかも?

ゴースト・スクール」にもカルロス・アレセスが出演していたよ!
口うるさい厳格なPTA代表という役だったけれど、やっぱり露出するシーンがあったんだよね!
カルロス・アレセスの体を張った演技には今後も注目だね!

 続いてはラウール・アレバロのご紹介!
マルティナの住む街」は結婚式当日、花嫁に逃げられたディエゴが、いとこのフリアン、ミゲルと青春時代に素敵な夏の思い出を作った懐かしの村を訪れ、当時のガールフレンドに再会する話である。
ラウール・アレバロは写真の中央でサングラスをかけて写っている。
この写真だと判り辛いかもしれないけど、ショーン・ペンに似てるんだよね!
よし、勝手にラウール・アレバロに「スペインのショーン・ペン」と命名させてもらおうかな。(笑)
右の写真はショーン・ペンだからね。
お間違いないように!(笑)
「マルティナの住む街」は出演者のキャラクターが立っていて、とても面白かった。
フリアン役だったラウール・アレバロも非常に良い味出してたね。
昔のアダ名が「イワシ」というのに大笑いしたよ。(笑)
元ビデオ屋店主のバチのセリフに、必ず映画紹介が入るところもニヤリとさせられたね!

 前述の「ゴースト・スクール」の主役がラウール・アレバロなんだよね。
ラウール・アレバロ演じる霊視能力を持つ教師モデストが、学校に平和を取り戻すために5人の生徒の幽霊を卒業させるために奮闘する話である。
幽霊が見える、なんていうとホラー映画と思ってしまうけれど、「ゴースト・スクール」は全然怖くなくてコメディ映画といったほうが良いんじゃないかな。
ラウール・アレバロはもちろんのこと、5人の幽霊や他の出演者たちも個性的なんだよね!
前述したカルロス・アレセスのお尻にも注目だし、用務員役のシルヴィア・アブリル も良かったね!
校長先生役だったアレクサンドラ・ヒメネスと共に「スパニッシュ・ムービー」に出演していたんだね。
同じ人とは思えない変身ぶりに脱帽!(笑)
「ゴースト・スクール」はハリウッドでリメイクが噂されているらしい。
確かに展開が面白かったし、ちょっとハートウォーミングなところもあったからウケるだろうね。
リメイクか、、、あえてコメントしないでおこう。(笑)

今回紹介したカルロス・アレセスとスペインのショーン・ペンことラウール・アレバロ、そして我らがハビエル・カマラの3人が、客室乗務員となって乗客を楽しませるというストーリーの映画「アイム・ソー・エキサイテッド!」 はペドロ・アルモドバル監督の最新作!
今月25日から公開予定だよ!
って、なんだかお勧め新作映画の前フリみたいな記事になっちゃったね。(笑)

映画の殿 第05号 キャリー

【嬉し泣きしているキャリーなのに、どうしても幸せそうには見えないね】

SNAKEPIPE WROTE:

映画のリメイクが流行っているようだ。
例えばジョン・ウォーターズ監督1988年の作品「ヘアスプレー」は2007年にリメイク版が公開されたよね。
大好きな作品だっただけに、オリジナルを超えるはずはあるまいと思いながらも、一応は鑑賞することにした。
結果は予想通り、オリジナルを踏襲することに懸命だったようで、オリジナル以上の出来栄えではなかったと思う。
どうしてオリジナル以上の作品を作ることができないのにも関わらずリメイク版を作るのか。
単なるネタ切れということなのかもしれないけれど、全く理解できない現象である。
そしてまたリメイク作品の情報が入ってきた。
なんと今度は「キャリー」だという。
先日ブライアン・デ・パルマ監督のオリジナル「キャリー」を鑑賞したばかり。
今回の「映画の殿」はオリジナル版の「キャリー」を特集してみたいと思う。
2013年版「キャリー」と比較する記事ではないのでよろしく!(笑)

「キャリー」はスティーヴン・キングの小説を原作とした、1976年のアメリカ映画である。
上述したように監督はブライアン・デ・パルマ。
SNAKEPIPEが一番初めに「キャリー」を観たのは、日曜洋画劇場などのテレビだったな。
まだ義務教育を受けていた年頃で、観た翌日にキャリーのモノマネをして遊んだ記憶がある。
子供の頃はいろんなモノマネやってたんだよね。(笑)
「ホラー映画好き」を公言しているROCKHURRAHは、当然のように今まで何度も「キャリー」を鑑賞している。
今回初めて2人でものすごく久しぶりに鑑賞することにしたのである。
映画の殿 第3号」で特集した「悪魔の追跡」も同じなんだけど、70年代の映画には独特の雰囲気があって、魅力的だからね!

 主人公のキャリーが左の写真である。
そばかすだらけの顔。
いつもうつむき気味で、内気な様子。
高校生という設定なのに、朗らかに友人と語らうこともなく一人でいる少女。
クラスの中で浮いてしまうのも納得してしまう。
演じていたシシー・スペイセクはハマリ役だったと思う。
怒りを爆発させた後の、目を剥いた顔はまるで別人で、本当に怖かったからね!
シシー・スペイセクが1973年に出演した「地獄の逃避行」も鑑賞してるんだけど、やっぱりこちらでも一人行動する女の子の役!
きっとそれがシシー・スペイセクの個性なんだろうね。
「地獄の逃避行」も全く古さを感じさせない映画で、いつか特集記事を書いてみたいと思っている。
余談だけど、シシー・スペイセクは1974年に映画美術監督のジャック・フィスクと結婚している。
このジャック・フィスクって名前はどこかで…。
そうだ!デヴィッド・リンチの昔からの友人で、確か「イレイザーヘッド」で 惑星を回す役でも出てたし、リンチの映画の美術も担当していた人だったはず!
うわー!こんなところでリンチにつながるとはびっくりんこ!
Wikipediaに載っているシシー・スペイセクの説明の中には、アンディ・ウォーホルの映画にも出演なんて書いてあるよ。
アート寄りの女優なんだろうね。
シシー・スペイセク、良いねー!(笑)

キャリーの母親は狂信的な信者である。
特に性に関して厳しく、キャリーという子供を授かったことに対して未だに後悔するほどの徹底ぶり。
狂信的な母親というと「サンタ・サングレ」を思い出すね。(笑)
過去の行いを懺悔するよう娘にも強要する、かなり複雑な心境の女性を演じていたのがパイパー・ローリー
おや?パイパー・ローリーにも見覚えがあるよ?
そうだ!「ツイン・ピークス」の製材所にいた、所長の妹だったよね!
またもやここでリンチにつながってしまったよ。(笑)

他の出演者で特筆するならば、若いジョン・トラボルタを観ることができる点かな。
「キャリー」はジョン・トラボルタの映画出演2作目だったようだけど、かなり重要な役どころを見事に演じていたね。
「キャリー」の翌年に「サタデーナイトフィーバー」で世界的に有名になったよね。

「キャリー」の中でトラボルタの恋人役でキャリーをいじめる同級生を演じていたナンシー・アレンが、いかにもアメリカンな70年代のイカした女の子という雰囲気で良い味出してたね。
ナンシー・アレンは監督のブライアン・デ・パルマと結婚したようだけど、数年で離婚しているみたいだね。
ロボコップ」 ではアン・ルイスという名前の巡査役で登場!
なんとこの「ロボコップ」もリメイク版が来年公開とのこと。
ぎゃーーーっ!(笑)

「キャリー」の中で印象的だったのは、キャリーが怒りを爆発させ、超能力を発揮しているシーンの見せ方。
今となってはよく見かける「画面を2分割して同時に起こっている出来事を知らせる」方式を採っているんだよね。
キャリーが目を見開き視線を動かすことで、物を動かしたり扉を閉めたりする右の画面と、それによってどんな被害があったかを示す左の画面といった具合である。
名付けるなら「before_after戦法」といった感じか。(笑)
1976年より以前にこの撮影方法を実施していた映画があったのかどうかは検証していないけれど、「キャリー」での効果は絶大だったと思う。
Wikipediaによれば「分割画面や、長回し、スローモーション、目線アングルなどを使用し凝った画作りはデ・パルマ・カットと呼ばれる」とのことなので、やっぱりデ・パルマ監督考案の見せ方なのかもしれないね?
ブライアン・デ・パルマ監督作品は何本か鑑賞しているけれど、大いに語れるほどではないので、もっと勉強してから発言しようかな。(笑)

37年も前に制作された「キャリー」は、2013年の現代でも十分通用する強烈なインパクトのある映画だと思う。
もちろん登場人物のファッションは70年代だし、車の型などは当時の物だから年代を感じるのは当たり前のこと。
CGなどで加工しなくてもこんなにすごい映像を作り出すことができるんだなと感心してしまう。
まだまだ未鑑賞の素敵な作品はたくさんあるはず。
故きを温ねて、新しきを知る映画の探索は続くよ!

映画の殿 第04号 ヒロイック・ファンタジー三選

【ほとばしる汗と筋肉!スポーツの秋?】 

ROCKHURRAH WROTE:

映画通は全然唸らないとは思うが、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEの2人が自分の主観で何かネタに出来ると感じたものだけを特集するのがこの「映画の殿」という企画だ。
SNAKEPIPEの書いたものは割とオーソドックスな感想だったり、ためになるレビューだったりするけど、ROCKHURRAHの方はあまり感想文のようなものは書けないから、どちらかと言うと映画以外の部分から攻めてゆくという方向性でやっていこうかと今思いついた。

さて、今回書きたいのはSFやファンタジーで古典中の古典と言える作品を題材とした映画について。
ROCKHURRAHはミステリーや古典的な探偵小説は子供の頃から読んでいたんだが、SFやヒロイック・ファンタジー(特に海外の)はそこまで詳しいわけではない。
兄が2人いて読書家だったので、自分独自の路線を見出す前の少年時代には、当然影響を受けて同じ小説を読んでいたのが始まりだった。兄たちが特に好んでいたのがSFやヒロイック・ファンタジーだったのでその辺に置いてあった本というのがコナンや火星シリーズ、レンズマンにスカイラークにエルリックにノースウェスト・スミスなどなど。例の挙げ方がメチャクチャ(しかも実際にちゃんと読んだものは少数)で済まないが今何となく思い出したのがこれらの作品。
どれが面白いのかわからずに(主に表紙や挿絵で面白そうなのを選んで)テキトウに断片的に読んだものだった。今考えると随分とマセた小学生だったなあ。

そんなROCKHURRAHの少年時代なんだが、中でもよく覚えているのが(つまり好きだった作風が)エドガー・ライス・バロウズの「火星シリーズ」とロバート・E・ハワードの「英雄コナン・シリーズ」だ。どちらもこの手のジャンルでは王道過ぎて、今どき誰も語らないくらいのシロモノなんだが、少年時代に読んでワクワクした感触は数十年経った今でも忘れるものではない。
ちなみにバローズと呼ぶのが最近では主流らしいがROCKHURRAHはずっとバロウズと読み書きしていたので、ここではその書き方にしておく。

それらの小説を一応原作とした映画が近年、なぜか公開されて、DVDにもとっくの昔になっていて「こりゃ懐かしいわい」と借りて両方とも観たのが今回のネタとなったわけ。

エドガー・ライス・バロウズの代表作とも言える火星シリーズ、その第一作目「火星のプリンセス」を元ネタとしたのが「ジョン・カーター」という2012年の映画。
何と原作から100年の時を経てやっとこさ本格的な映画化、さらにディズニー製作というのにビックリだったが、これについては製作が進んでいる頃から情報は得ていた。
ついでに、莫大な制作費をかけたにも関わらず予想よりは流行らなくてディズニー映画としては「コケた」部類の映画だという風評も知ってはいた。
どうせ原作とは違うものになるだろうし、全然期待してなくて映画公開時も観に行く事もなかったんだが、一応DVDになった時に借りてみた。

この作品を全く知らない人のために一応書いておくが、エドガー・ライス・バロウズが「火星のプリンセス」を発表したのは今から約100年ほど前、日本では何と大正時代にあたる。
バロウズはこの「火星シリーズ」以外でも「金星シリーズ」「月シリーズ」「地底世界ペルシダー・シリーズ」などヒット作を連発したベストセラー作家だった。これらを知らない人でもターザンの原作者と言えば大体誰でもわかるだろう(オリジナルの「ターザン」を読んだり映画で観たりした人は今どきさすがに少なかろうが、知名度という点で)。
宇宙や太古のような世界を舞台にしたからSFの範疇に位置する作品、というわけではなくて、話の内容はどちらかと言うと異郷の地で繰り広げられる冒険活劇と言うべきか。
正義のヒーローが悪漢に捕らえられた姫を助けにゆく、というような王道極まりない設定で、そこに至るまでの道には一切ひねりもない。まあ、そんな大昔に書かれた小説であっと驚くひねりがないのは当たり前と言えるか。

南北戦争の士官だったジョン・カーターがアリゾナ奥地でなぜだか火星にワープ(というより幽体離脱)してしまう。その火星はキュリオシティとかの映像によって現在我々が知り得た火星ではなく、100年前の1912年にバロウズが想像した火星バルスームであり・・・などといちいち書いてたらこの時代のSFについてなんか語れないな。
ROCKHURRAHは科学的な根拠なんか全然気にしない事にしよう。
さて、火星に着いたらビックリんな事に、ちょっとジャンプしただけで数十メートルもの跳躍が出来るという現象(重力の違い)に気付く。士官だからやや強く鍛えた男だったんだろうが、この火星では誰もが度肝を抜かれるような超人的な能力を持つ事になるのだ。人はちょっと跳べるだけでこんなに強くなる、という事が少年時代には驚愕だった。
ただピョンピョンと無人の火星を飛び回るだけでは小説にならぬから、バロウズは火星人を登場させる。どうやらこの火星では四本の腕を持つ緑色人種と地球人的な赤色人種、さらにいくつかの怪物のような生物がいる模様。タコの火星人はいないのか?それらの種族は互いに争いあっていて、ジョン・カーターも抗争に巻き込まれてしまうというような大筋だ。

火星に着いた後のストーリーは後のSFや「スターウォーズ」あたりに多大な影響を与えたのは間違いない。仲間になる四本腕の異形の緑色人種、タルス・タルカスや美女のお姫様デジャー・ソリス、マスコット的な火星の番犬(ただし全然かわいくない)などのキャラクター設定に似たものは、スペース・オペラと呼ばれるこういうジャンルの小説にはお約束のように手を変え品を変え登場していたのだろう。
そういった後世に登場したSFやアニメの偉大な元祖がこの火星シリーズというわけだ。
この手の冒険活劇は荒唐無稽だの子供っぽいだの陳腐だのと評されたりもするが、全てがリアルで科学的考証に基づいたSFだけが尊いわけじゃない。これはこれで立派な大衆娯楽なのは明らかだ。

原作についてばかり書いたがこの映画は昔の時代には実現出来なかった特撮が、技術の進歩により100年もかかってようやくちゃんとした映画になったという点が評価出来る。「映像化不可能」という制限が今ではCGなどの発達で不可能じゃなくなったからね。確かにこれを着ぐるみやハリボテ、大規模なロケなどで全部アナログで作ってたら大変だもんね。

さて、主役をやっている2人については特に感想もない、というのが正直なところ。特に悪くもないけど、原作と比べてどうなんだろうか?
主人公のジョン・カーターを演じたのは同じ年にヒットした「バトルシップ」でも熱血バカ船長を演じたテイラー・キッチュなる男。
デジャー・ソリス役は「姫」というにはちょっと歳を取り過ぎてる気がするいかつい女、リン・コリンズ。絶世の美女役をやるのはちょっとなあ、と感じる。
原作では身長3メートルを超える大男タルス・タルカス(と言うより緑色人種全て)もこの映画では割と人並みの縮尺になっていたのも残念。何か細くてカマキリ星人にしか見えないんだよね。弱そう。
熱烈なファンが多い原作だけに、この辺のちょっとした齟齬が不評の原因だったのか?原作とここが全然違うというあら探しはいくらでも出来るけど、何も許さなければ永遠に映画化は不可能という気もする。

ちなみにこの「ジョン・カーター」より前の2009年に「アバター・オブ・マーズ(原題Princess Of Mars)」なる作品が出来上がってたりする。
こちらは80年代に一世を風靡したポルノ女優、トレイシー・ローズがデジャー・ソリス役をやっているようなんだが、この映画の時一体何歳なのか?と思うと怖くて観れないんだよね。上のリン・コリンズよりも明らかに年長だと思われる。ジョン・ウォーターズの映画「クライベイビー」の時はカッコ良いロカビリー不良少女役で良かったんだが。

あれ、もしかして映画の感想たったこれだけ?そうなんです、まだ次のコナンもあるし先を急ぐのです。

「英雄コナン・シリーズ」は1930年代に発表されたロバート・E・ハワードによる小説で、いわゆるヒロイック・ファンタジーの世界で燦然と輝く強烈なヒーロー、コナンの冒険物語だ。

ヒロイック・ファンタジーは剣と魔法の世界、こういうのを読んだ事ない人でもドラクエくらいは知ってるだろう。それらの元祖的存在がこのコナン・シリーズというわけ。拳銃自殺した人気作家というインパクトの強さもあって、日本での知名度も高い作品だ。

舞台となるのは 1万2000年ほど昔のハイボリア時代というハワード創作による架空の時代。主に古代のヨーロッパとアジア大陸、アフリカ大陸あたりと思われる地域が物語に登場する。この架空の時代には北方の辺境に蛮族が住むキンメリアという土地があり、コナンの出身地はそのあたりという設定になっている。キンメリアは実際に古代ウクライナあたりにあった土地で騎馬民族が住んでいたらしいが、ハワードのキンメリアはさらに北の最果てということになっているらしい。
そのウクライナ人の遠い祖先であるコナンは勇猛、というより獰猛極まりない荒武者で剣も馬も達人、とにかく人間離れした荒々しい田舎の蛮族で、決して正義のヒーローではないと描かれているのが「火星シリーズ」のジョン・カーターと違うところ。
盗賊、海賊の奴隷になったと思えばあっという間にそれらの軍団を乗っ取り牛耳るなんて事は朝飯前。ただの筋肉バカではないから悪巧みやどこかの要塞を落とすなんて芸当も得意技。ただし魔法と女にはちょっぴり弱いからダマサれたりしてピンチに陥る。んが最後にはやっぱり剣と筋肉で勝つ、というのがこのシリーズの定番だ。ジョン・カーターがデジャー・ソリス一筋なのに対し、コナンは毎回ボンドガール並に美女をとっかえひっかえというプレイボーイぶり。この時代に人気があったのもよくわかるよ。
さらにコナンのシリーズは彼の冒険が時代順ではなく、いきなり王様時代からエピソードが始まる。その後の作品で若造時代が描かれていたり、もしリアルタイムで読んでたら世界観を把握しにくいかもね。

英雄コナンは80年代にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で2回映画となっているが、「コナン・ザ・バーバリアン」はそれのリメイクみたいな感じでジェイソン・モモア主演、2011年に映画化されている。
ハワード原作のエピソードをちょこっとだけ色々とくっつけて一本にしたという雰囲気映画の典型なんだが、前述した通りの原作なので仕方なかったのかな?
「征服王コナン」を原作通り忠実に映画化したらダーク・ファンタジーの超大作になるんじゃなかろうか?と思うが、もう王になった後のコナンが戦争で負けて落ちぶれた後に再び王位奪還するという話なので映画一作目にはあまり向かない内容。この映画のコナンはもっと前の少年から青年時代を描いている。

シュワルツェネッガー版の太い腕や体が動きづらそうで、ややもっさりした戦闘シーンだったのに対して、このモモア版の方はかなり機敏に動いていた。主にその戦闘スピードの違いが気になる点だったが、SNAKEPIPEは「本当に重い大剣で斬るというよりはぶつけて戦ってゆく打撃戦」というような点でシュワルツェネッガー版にリアルさを見出していたよ。何だかプロの発言みたいだね(笑)。
ジェイソン・モモアはハワイ出身の目つきがトロンとしたタイプの大男なんだが、コナンの狂戦士ぶりを表現するにはいい素材だったかも。この辺は人によって好き嫌いが分かれるので見比べるのも面白いだろう。
ロバート・ロドリゲスの映画「プラネット・テラー in グラインドハウス」のヒロインだった片足マシンガン娘、ローズ・マッゴーワンがすごいメイクと髪型で悪役やってたのがかなりのインパクト。

コナンと火星シリーズだけで良かったんだが、ついでというかオマケでこちらの紹介もして終わりにしよう。

「ソロモン・ケーン」は上のコナン・シリーズと同じくロバート・E・ハワードが原作で、2009年に映画化されている。が、日本では未公開でDVDだけ発売されたらしい。

原作の年度はコナン・シリーズとほぼ同じくらいの1930年代前後だが、このソロモン・ケーンやハワードの他の作品はROCKHURRAHの少年当時にはシリーズとしてまとまった本も出版されてなく、ほとんど読めなかったように記憶する。
ROCKHURRAHは兄との会話でソロモン・ケーンやキング・カルなどハワード作品の主人公の名前を知ってただけで、それが一体どういう話でどういう活躍をするのか全然知らないというわけ。知らずに書くなよ、とファンに言われそうだな。
日本では大体全部読めたコナンだけがヒットして、他の作品はロクに紹介されなかったのだろうか?海外ではこれらの作品のコミックス版などもあり、日本よりは確実に知名度も高かったはず。

そういう背景を踏まえての映画化なんだろうけど、このソロモン・ケーンはコナンなどと比べるとクールなカッコ良さが際立つダーク・ヒーローだ。
まず見た目がカッコイイ。ツバ広の帽子をまぶかにかぶって全身黒ずくめ、レイピアと呼ばれる(初期のファイナル・ファンタジーなどではおなじみの)細身の剣に銃を持ったダブル武装。原作は知らないが映画では剣も銃もさらに二倍持っていたかな?

舞台は16世紀の英国あたり。 Wikipediaなどで調べるとソロモン・ケーンはピューリタン(清教徒)という設定になっているようだが、原作読んでないからその辺は不明。なぜ清教徒の彼が一軍を率いてアフリカあたりで残虐な略奪をしてたのかも不明。その時ちょっと悪魔に呪われてしまう不覚があって、彼はその武力を封じて、故郷のイングランドに戻る事になる。静かな生活を望んだケーンだったが、例のごとく悪の妖術師に捕らえられた恋人を救うために、再び剣を手にするといった感じだ。

あらすじ書いてもちっとも面白くなさそうな平凡なストーリーしか想像出来ないだろうが、それはROCKHURRAHのあらすじがヘタなせいだ。
日本未公開なのが惜しいくらいに結構面白くて、B級のチャチい映画の雰囲気はなかった。主役の英国人俳優ジェームス・ピュアホイの存在感がイマイチという印象もあるが、そもそもあのソロモン・ケーンの格好したらどの役者がやってもそれなりに見えるんじゃなかろうか?
この人は最初に書いた「ジョン・カーター」でも火星の提督役だったらしいが全然記憶に残ってない。レンタルで観たのが一体いつだったか?もう一年くらいは経ってるはずだから忘れてしまうなあ。

というわけで今回は荒ぶる男三人の映画を語ってみたが、映画の感想はやっぱり少ないな。しかもROCKHURRAHの語りで興味を持って観る人もほとんどいなさそう。 これらの作品は単に映画化が遅かっただけで、原作の方はこの手のあらゆるルーツとも言えるような時代を超えた輝きを持っている。イマドキの若者受けは絶対にしなさそうだが、そういうオリジナルに敬意を持って次の世代に受け継いで欲しいものだ。

久々のブログ登場のROCKHURRAHだったが、得意の音楽ネタじゃないからこれでも結構しんどかったよ。涼しくなると調子良くなるから、また色々と書いてゆきたいものだ。