映画の殿 第15号 映画の中のニュー・ウェイブ02

【今回は絶体絶命の男たち特集?】

ROCKHURRAH WROTE:

前に予告した通り「映画に使われた70年代パンク、80年代ニュー・ウェイブ」という企画の第二弾を書いてみよう。
やっぱり似たような音楽ネタばかりやってしまうなあ。
映画を観て感想はこれだけ、というほどじゃないんだが、真面目な感想を書くとなるとおそろしく時間がかかってしまうのがROCKHURRAHのいつものパターン。
だから評論でも感想でもない、違った視点で映画を語ってみようというのがこのシリーズの主旨なのだ。

さて今回、最初に語ってみたいのがいきなり映画じゃなくて、しょっぱなから視点が違いすぎという気がするが「ブレイキング・バッド」から。
数年前に大ヒットしたアメリカのTVドラマで日本でも中毒者が続出した、きわめて毒性の高い作品だ。
「ツイン・ピークス」以外の海外ドラマに見向きもしなかったし、日本のTVドラマはなおさら観ないSNAKEPIPEとROCKHURRAHが毎週末を楽しみにして(リアルタイムではない)観たのも記憶に新しい。
結局、まとまった感想はブログでは書かなかったが、前に書いたこの記事で少しだけ触れているね。

ガンを宣告された高校の化学教師ウォルターが、生きている間に家族に財産を残すために考えたのがメタンフェタミンという覚せい剤を製造、販売する裏事業。
元、教え子のジェシーを勧誘してトレイラーでこっそり作りまくる週末。
このジェシーが問題児でトラブルメイカー、ことあるごとに反発してくる。コンビとしては最低の結束力でスタートをする。
ウォルターは今でこそしがない教師だが、過去には素晴らしい業績を残した優秀な科学者という設定だ。だからメス(メタンフェタミン)を作るのも完璧にこなし、純度の高いメスは「ブルー・メス」と呼ばれ市場に出回り、口コミで評判を得てゆく。
作ったメスはさばかなきゃ商売にならない。その売人として現れるのが最低の奴ら。
物語の終了までに売人どもの元締めが何人か現れ、大掛かりな組織も出てくるが、ビジネスの常でどんどん敷居が高くなってゆき、欲に目が眩んだ売人たちとの抗争はエスカレートしてゆく。
ボンクラ弟子のジェシーとも毎回のように争いが絶えず、付いたり離れたりという展開に目が離せない。
こういう裏稼業を家族に内緒で始めて、表向きはいい夫、いい父親でいようとするんだが、いつかは破綻するに決まってるよね。妻や息子に隠すために毎回ウソをついて、そのウソによって自分ががんじがらめになってゆく。おまけにウォルターの義弟ハンクは麻薬取締局DEAのリーダー格であり、ものすごい執念でブルー・メスとそれを作った謎の存在(つまりウォルターなのだが)を追い詰めてゆく。
こういうのが幾重にもからみ合って複雑なドラマになってゆくんだが、最後の方はもう後戻り出来ないところまで行って、共感出来るどころかTVドラマ史上最も憎まれるキャラクターにまでなってゆく過程がすごい。
善良な市民だった主人公が一番の怪物になってしまうというわけ。

このドラマは映像や音楽も色々と凝ってて興味深いけど、今回紹介したいのはこれ。

これは一体何のシーンなのか観たことない人にはさっぱりわからないだろうが、左のハゲが主人公のウォルター。ベッドに座っているのが息子、右のハゲがDEAの義弟ハンク。そしてみんなで観てるのが変な男の変な映像というシーンだ。本来なら家族なごみの時間というシーンなのになぜウォルターはこんなに苦悩の表情なのか?関係ないけどこのドラマ、主要登場人物のハゲ率高すぎ。

途中からジェシーの代わりに麻薬密造の弟子になるゲイルという男がカラオケで歌っているのがピーター・シリングの大ヒット曲「Major Tom」だ。日本ではほとんどこの曲だけでしか知られてない一発屋だな。

「ロックバルーンは99」を大ヒットさせたネーナ、「ロック・ミー・アマデウス」や「秘密警察」を大ヒットさせたファルコなど、80年代初期になぜか英米ではなく、ドイツ語圏から世界的にポツッとヒットしたシンガーが何人か現れていて、この曲もそのひとつだと言える。
ROCKHURRAHがよく語ってるドイツ産のニュー・ウェイブ、ノイエ・ドイッチェ・ヴェレをすでに聴いてしまった後ではドイツ語のロックもポップスも特に目新しいものではなかったが、一般的にはドイツ語の違った語感が斬新に感じられたのかも知れないね。
ちなみにファルコはドイツではなくオーストリアのシンガーだが、ROCKHURRAHがかつて所有していたノイエ・ドイッチェ・ヴェレの三枚組アルバムには堂々と収録されていたな。
さて、この一発屋のヒット曲、メロディーに聴き覚えはあったのだが、歌っているピーター・シリングについてはほとんど知らなかったな。今回の記事を書くために改めて見なおしたがうーん、印象希薄。ここまで歌と歌手の顔が一致しない曲は珍しいかも。曲は有名なんだけどね。

デヴィッド・ボウイが名曲「Space Oddity」で創作した宇宙飛行士、トム少佐は宇宙の彼方に行ってしまったが、この曲でのトム少佐は帰還したというような内容らしい。
ニュー・ウェイブの世界の人ではないのだろうけど、曲調やSFっぽい歌詞などのムードは明らかにその路線を狙ったものだと思える。取ってつけたようなバックバンドの宇宙服と全員で首を振るヘンな振り付けはクラフトワークとDEVOとゲイリー・ニューマンあたりを意識したつもりか?
演奏は別にテクノでもエレポップでもなくa-haとかの路線。
その辺をごちゃまぜにした「なんちゃって感」が満載という気がするが、肝心の本人がブレザーに白パンツという周りを無視した若大将並みの姿。

「ブレイキング・バッド」に出てくるゲイルはウォルターと同じ化学者だが、変なこだわりと趣味を持つオタクみたいな描かれ方をしている。自撮りで陶酔したカラオケの映像を録画してたら、そりゃ大抵の人間は引いてしまうよな。しかし、そこまで重要人物とは思わなかった彼が思わぬところでドラマのキー・パーソンになるという展開は面白かった。

ひとつ目が長くなりすぎたからすでに疲れてしまったが、次はこれ。
1990年代以降のイギリス映画をリードしたのがダニー・ボイル監督。
大ヒットした「トレインスポッティング」や「スラムドッグ$ミリオネア」「28日後…」などで知られた監督なんだが、この映画はそこまで話題にならなかったのかな?「127時間(2010年 )」という作品だ。

この監督は毎回違った題材で映画を撮っていて、一貫した作風もないのに、スピード感ある演出と映像という点でダニー・ボイルっぽさを感じてしまうというのが特徴だと、ROCKHURRAHは勝手に解釈している。
具体的には走ってるシーンがとにかく多い印象。

「127時間」は実在する登山家、アーロン・ラルストンの体験を原作とした映画でストーリー自体は実に単純そのもの。
主人公はユタ州の広大な峡谷でキャニオニングというアウトドア・スポーツを楽しんでいる。個人的にはあまり耳慣れない言葉だけどトレッキングと様々なスポーツが合体したようなものか?要するに峡谷の中に入り込んで楽しむためにはそういうハードな難関を突破する技術が必要ということだろうね。しかし自然の事故で大岩に片腕を挟まれて身動きが取れなくなってしまう。
誰にも行き先を告げずに来た深い谷の中、ここを偶然に通りかかる人などいるはずもない。そういう絶体絶命で死を覚悟した彼は、持っていたビデオカメラの電池が尽きるまでメッセージ(というより日記)を残す。

広大な自然の中の密室劇で観ている方も息詰まるような緊迫感、絶望感。
たったこれだけの内容で90分ほども飽きずに見せるのは難しいと思うが、想像しただけでその恐怖はわかるだけに目が離せない。
そんなに大げさなものじゃなくても誰にだって何かに挟まって抜けなくなって焦ったような経験はあるだろう。ん?ない?ROCKHURRAHは大昔に狭い隙間に半身を入れたが抜けなくなってものすごく焦った経験があるよ。たぶん落とした何かを拾うためにやったんだと思うが、この程度でも恐怖が脳裏に焼き付いているほど。人里離れた山の中でそんなことになってしまったらどうなるだろうか?

映画の中で主人公が回想する、楽しかった思い出のシーンで使われているのがこれ。

ベルギーの70年代パンク・バンド、プラスティック・ベルトランの大ヒット曲「Ça plane pour moi」だ。
プラスティック・ベルトラン率が非常に高いと一部で有名なウチのブログだが、またまた書いてしまうな。しかもいつどの記事を読んでも同じような事しか書いてないよ。

元々はベルギー産パンク・バンドとしてかなり早い時代から活動していたハブル・バブルのメンバーだったのがロジェ・ジューレ、この人のソロ活動がプラスティック・ベルトランという事になるのか。
「Ça plane pour moi」はベルギー、フランスだけでなく世界中で大ヒットして日本でもプラスティック・ベルトランのアルバムは発売された。
アルバムのタイトル曲は「恋のウー・イー・ウー」だったがシングルではなぜか「恋のパトカー」という邦題がついてたな。どっちも同じヴァージョンなのにね。しかもどっちもどうでもいい、ぞんざいなタイトル。
とにかくものすごい数のカヴァー曲が存在していて英語版の替え歌(?)「Jet Boy Jet Girl」なども含めると星の数ほど(大げさ)。
曲自体はとてもシンプルなロックンロールなのになぜここまで多くの人の心を掴んだのか?奇跡の大ヒットとしか言いようがないけど、誰でも覚えられるキャッチーさあってこその大ヒットというわけかな。

実はこの曲、本人が歌ってなくてプロデューサーだか何だかが歌ったのを口パクしてただけというような情報もあったんだが、そんな事はどうでもいいと思えるハッピーさが炸裂する名曲だなあ。
うんちくやオタクみたいな考察は抜きにして楽しめばいいのだ、と思ってしまう。プロデューサーが歌って本人がTVに出るよりも、見栄えがしたからプラスティック・ベルトラン名義にした。そういう戦略だったのかも知れないし。
ちょっと前のゴーストライター騒動で正義感ぶってたような人間が読んだら「とんでもない詐欺師だ」などと言われてしまうかな?

前に一回書いたけど個人的な思い出としては、ROCKHURRAHがまだ故郷である小倉の住人だった頃、レコード探しにちょくちょく福岡まで出かけて行って、チマチマとパンクやニュー・ウェイブのレコードを買い漁っていた。なぜかベスト電器という家電量販店の中にすごいパンクのコーナーがあって、そこのスタンプ・カードが満タンになって獲得したのがこのプラスティック・ベルトランのアルバム「An 1」だった。いや、別にどのレコードでも良かったんだが、たまたま探してたのが見つかったから。

それから何十年経つだろうか?おとといも昨日も今日もプラスティック・ベルトランを聴いている、精神的にまるで何も変わってない自分がいる。たかが音楽だけど音楽の持つ力は偉大なり、と思うよ。プラスティック・ベルトランだけじゃなくてROCKHURRAHが普段聴いてる音楽は全てあの頃のまんまなんだよ。

今日はえらく長くなってしまったからたった2つだけでカンベンしてね。
「映画の中で使われたパンクやニュー・ウェイブについて」というテーマはいいかげんに書けるとは思ったけど結構難しい部分もあるな。もっといっぱい映画を観ないとな。
さて、今日は何を観ようかな。

映画の殿 第14号 映画の中のニュー・ウェイブ01

【映画に使われた80年代音楽特集号 その1】

ROCKHURRAH WROTE:

このシリーズ記事を発案したにも関わらず、わずか二回だけしか担当してないROCKHURRAHが久々に書いてみよう。

映画がものすごく好きなマニアというわけでもないし、よほど観たい映画以外は映画館にも行かないんだが、DVDとかで毎週2本は観てるから面白い映画もどうでもいい映画もそれなりには知ってるつもり。

そんな中から今回は「映画に使われた70年代パンクや80年代ニュー・ウェイブ」といういかにもROCKHURRAHらしい話題で選んでみようか。

まずはカナダの若手映画監督、グザヴィエ・ドランの2012年作品「わたしはロランス」から。

1989年生まれ、すでにカンヌ映画祭などでも絶賛された映画を何本か撮っていて、現在でもまだ二十代半ばというから驚きの早熟。若手監督の中でもとびっきりの若さなのではなかろうか?
映画の世界に詳しいわけじゃないからわからんが、よほどの天才性を発揮しない限りは俳優やスタッフも付いて来ないんじゃないか?などと想像してしまうよ。
そのドラン監督の三作目がこの映画なんだが、まだ二十代そこそこの若造が作った映画とは思えない出来。登場人物も監督より年上ばかりだし。
写真の主人公とヒロインの10年間に渡る恋愛を3時間弱というかなりの長さで綴った問題作だ(長すぎ)。
主人公ロランスは女性になりたいという願望を持つ教師。そういう嗜好を持ちながらも女性の恋人(写真下)がいる両性愛者だ。そして彼女フレッドにその真実を打ち明けるのだが、当然理解されない。二人は全然違う考えを持っているんだが、お互いを理解しようと努力してやっぱり叶わなかったり。結局、別れてそれぞれの人生を歩んでゆくんだけど、ロランスの方は執拗に元恋人を追い続け、そしてまた再会、というような話だ。

映画については公開当時、話題になったし色んな人が詳しく書いてるのでウチとしては大筋とは全然関係ないところに焦点を当てたい。
関係ないと言えば、ロランスの母親役で出てくる人、フランスの痛快スポ根映画「ママはレスリングクイーン」でもいい味出してたよ。人の顔や名前が覚えられないROCKHURRAHは全然気づかなかったのだが、SNAKEPIPEが見事に指摘してくれた。

90年代のカナダが舞台との事だが、この映画にはキュアーやデュラン・デュラン、デペッシュ・モードなど80年代を感じさせる楽曲が使われていて、その中でも最も印象的なのがパーティ・シーンでヴィサージの「Fade To Grey」がかかるところ。

ヴィサージは1980年代初頭にイギリスで大流行したニュー・ロマンティックというムーブメントの中心的な存在だった。ブリッツというナイトクラブの仕掛け人だったスティーブ・ストレンジが率いていたんだが、メンバーが当時のニュー・ウェイブ界の豪華連合軍だった事でも有名だ。
元リッチ・キッズ、スキッズのラスティ・イーガン、マガジンからジョン・マクガフ、バリー・アダムソン、デイブ・フォーミュラという主要メンバーが参加し、ウルトラヴォックスのビリー・カーリー、元リッチ・キッズでウルトラヴォックスのミッジ・ユーロまでいた。これはすごいメンツとしか言いようがない。

ニュー・ロマンティックは化粧をして着飾った男たちが流行らせたニュー・ウェイブの1ジャンルなのだが、70年代の同じ系列グラム・ロックをより繊細にしたムーブメントだと思える。この「わたしはロランス」に出てくる夜会のような時のBGMとして最も正しい使われ方をしてるな。

スティーブ・ストレンジは今年の2月に心臓発作で亡くなったそうだが、実は今回の記事を書くまでその事を知らなかったのでビックリしてしまったよ。情報に疎すぎ?
出てきた当初はほんのその場限りの流行りだと思っていたこのジャンルは意外にも1980年代を代表するようなミュージシャンを多数輩出し、現在に至るまでにさまざまな影響を与えてるのは確か。
80年代が一番軽くて薄っぺらな時代だと言う人もいるが、個人的には90年代以降の行き詰まったような音楽よりもよほど創造性に満ち溢れてた、輝ける時代だったと思っているよ。

しかしニュー・ロマンティックだのグラムロックだのにやたら理解を示してるROCKHURRAHだが、本人はそういうのとは真逆の風貌をしていて、 マカロニ・ウェスタン調。荒野で孤独にしてるのがよく似合うな。しかし服装は全然ウェスタンじゃないし、先の尖ったウェスタンブーツだと足が痛くてたまらないタイプだ。ん?そんな事どうでもいいか?

次は2013年の「LIFE!」。これは大昔の小説「虹をつかむ男」の映画化・・・をリメイクした作品だそう。原題は「The Secret Life of Walter Mitty」なんだが、日本では誰でもわかるようにこの邦題がついていたな。
正直言って原作も元の映画も知らないがイマドキのアレンジがされていて面白かった。
監督・主演は「ズーランダー」などのコメディで活躍していたベン・スティラーだが、「ナイト・ミュージアム」の人と言った方がわかりやすいか?今回はギャグも控えめで地味な男を熱演している。

LIFE誌はフォト・エッセイというスタイルを確立させた、1930年代から続く伝統の雑誌だった。アメリカ文化を象徴するグラフ誌だね。
しかしデジタル化の風潮で長い歴史を持つ雑誌は経営難となり休刊。編集部にも大幅なリストラが行われようとしていた。現実ではこれが2007年の事だが、映画の舞台もおそらくその頃だろうと思う。
主人公のウォルターはそのLIFE誌で写真のネガ・フィルムを保管するという業務をやっている、地味で冴えない中年男という設定。しかし妄想、空想の世界でさまざまな自分になりきるという特技(?)を持っていて、予告編などに出てくる大冒険の映像はその妄想モードの中の出来事なのだ。
ある時、LIFEの最終号の表紙を飾る写真のネガが紛失している事に気付いたウォルターだったが、そのネガを探して妄想ではなく、今度は自分自身が大冒険の旅に出る。

あらすじとしてはこういう感じなんだが、この冒険の途中、異国の寂れすぎた酒場で酔っぱらいがカラオケで歌っているのがヒューマン・リーグの大ヒット曲「Don’t You Want Me (愛の残り火)」だ。物語の大筋とは関係ないし、ほとんどの人は無反応だったシーンだろうが、これをなぜここで?しかも映画の挿入歌ではなくカラオケというすっとぼけた演出にSNAKEPIPEと二人で大ウケだった。

ヒューマン・リーグは最近別の記事でも書いたが1970年代末にデビューしたイギリスのバンドだ。クラフトワークやウルトラヴォックスを元祖としてチューブウェイ・アーミー(ゲイリー・ニューマン)、デペッシュ・モードにニュー・オーダー、ヤズー、ビル・ネルソンなどなど、80年代初期に隆盛を誇ったエレクトロニクス・ポップスという分野で活躍した。
そこまで大好きなバンドではなかったが1stアルバムをちゃんとオリジナル盤で所有してたので、好きになる意気込みは充分にあったらしい。1曲目の「Almost Medieval」や「Empire State Human」などは結構好きだったよ。

彼らは単なるエレポップで終わっておけば良かったのに、上の方で書いたニュー・ロマンティック方面にも進出した。ニュー・ロマンティックというのは音楽の形態ではなくてどちらかというとファッションや風俗のひとつ、着飾ったという点に重点を置く。で、実際にやってる音楽の大半はエレポップに近いものだったから、両方に位置するバンドがあるのは当然なんだが。
ヴォーカルのフィル・オーキーはデビュー当時は片側だけ伸ばした髪型でいわゆるワンレンっぽかったのだが、これで化粧したらかなり気色悪い。しかも目つきがダランとしたタレ目で「お人好し」に見えて仕方ないのだ。化粧して着飾ったニューロマンティックのバンド達の中では色物扱いされても仕方ないなあ。曲はいいんだけどね。近年は変な髪形もやめてスキンヘッドにしてるようだが、この目つきだとお人好しの和尚にしか見えないんだよな。小坊主たちにいつもダマされてそう。
このバンドの事を書く時、毎回髪型と気色悪さについてばかり言ってしまってファンや本人に申し訳ない。

もう一つ、今回の記事の趣旨とは関係ないが、ウォルターが所属するネガ管理部門の同僚として出てきたのがウィル・フェレル主演の「俺たちサボテン・アミーゴ」にも出ていた太った男。ウィル・フェレルもベン・スティラーもジム・キャリーもアメリカのコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」 で大人気になったので、周辺の俳優も含めて色々な映画で共演しているな。この辺の同窓会感覚も好きなところ。

さて、意外と長くなってしまったからまた次回にパート2を書くというつもりで、今回の最後はこれにしよう。
「ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド」は2011年のキューバ映画だ。社会主義国でゾンビ映画とは何となくビックリ。
キューバ情勢について全然詳しくないのに、なぜか最近キューバについてどうでもいい発言をしてるな。ウチのブログのこんな記事でも書いてたよ。
しかしキューバでこんな娯楽映画が出てきて、そこそこ話題になったらしいというから、時代が変わったなあと実感するよ。
ROCKHURRAHは大昔はゾンビ映画通だったけど最近はほとんど観てないから他の映画と比較は出来ないが、これはホラーというよりはコメディに近いノリの良い痛快ゾンビ映画だった。さすがカリブ海の真珠と称されるだけある。ん?関係ないか?

ファンではなくフアンというのは主人公の名前ね。ドンファンのファンと同じ綴りだがスペイン系によくある名前らしい。舞台は現代のキューバ、主人公のフアンは40歳過ぎても定職についてないニートおやじだ。不安はないのかね?
ある時、相棒のニート仲間と海で釣りをしていてゾンビに襲われるが、何だかわからないうちに撃退。
ハバナに帰ってみるといつの間にやら街はゾンビのようなものに溢れて異常事態になってしまってる。

ここでゾンビものとしては定番のパニック&サバイバルが始まるんだが、守るべきものが非常に少ないその日暮らしの主人公だから、そこまで危機感もない。
元軍人だったらしいがとにかくメチャメチャに強い男でゾンビを倒しまくる。同じような境遇の強い仲間たちを集めて、これをチャンスに金儲けの事業を始めた。
ゾンビになってしまった家族をやっつける事に躊躇するのがこの手の映画としてはお決まりだが、その代わりに殺戮をしてあげようというゾンビ・バスターズのチームを作るのだ。このチーム、とにかく強いし個性もあっていいね。最初からずっと相棒だったラサロという腹の出た中年男、すっとぼけてていい味出してるね。スペイン映画で言うならサンティアゴ・セグーラ(「トレンテ」最高)のノリに近いよ。「つい殺しちゃった」みたいなブラックなノリが満載で、ゾンビとの戦闘シーンもかなりバカっぽくて笑える。
タイトルに革命などとつくからキューバ=革命という社会情勢なども織り交ぜた内容のようだが、その辺は全然気にならないほど娯楽性の高い映画でスカッとする。

この映画の最後、ゾンビの大群に立ち向かうフアン達の映像がなかなかスタイリッシュで格好良い。キューバ映画、なめてたけど思ったよりずっとレベル高いなあ。
ここでエンディング・テーマとなったのがシド・ヴィシャスの代表曲「My Way」だ。

元はフレンチポップスの曲なんだがフランク・シナトラのヒット曲として有名になった。人生の最後に自分を振り返る歌だね。麻薬で死んだシドやこの映画のラストとしては相応しい内容だと言えるか。

いまさらヘタなコメントも要らないが1970年代ロンドン・パンクの代名詞、セックス・ピストルズの二代目ベーシストとして参加したのが暴れん坊でやんちゃ、ヘロイン漬けのシド・ヴィシャスだ。ロクに演奏も出来ずにステージでいいかげんにしてるだけの男だったがルックスと生き様、死に様がパンクそのものだったので、これ以降のパンク・ロッカーに多大な影響を与えた。
ロックの歴史を変えた巻き舌ヴォーカルのジョニー・ロットンとは対照的にシドの歌は舌っ足らずで迫力ないけど、その実力の伴ってないイキガリもパンクの真骨頂と言える。

1980年代のリアルタイムに80年代の音楽が使われるのは当たり前で面白くないから、あえて最近の映画なのに音楽は80年代テイストというのを選んでみた。まだもう一回書ける分くらいはあるので、次の機会に書いてみたい。

映画の殿 第13号 ジェイコブス・ラダー

【ジェイコブの悪夢はいつ消えるのだろうか?】

SNAKEPIPE WROTE:

「ベーコンさんっぽい映像の映画があるの、知ってる?」
と食事をしている時に長年来の友人Mが聞く。
友人Mは何故だかいつでもフランシス・ベーコンのことをベーコンさん、とまるで知人のように話す。
ベーコンっぽい映像の映画って何だろう?
教えてもらったのが、「ジェイコブス・ラダー」(原題:Jacob’s Ladder 1990年)だった。
25年も前の映画とは!
ベーコンっぽい映像だったら興味を持っていて不思議じゃないのに、どうして当時観ていなかったんだろう?
その頃はパソコンも持っていなかったから、今のように簡単にインターネットで情報を得ることはできなかったのも要因かもしれないね?

簡単にあらすじを書いてみようかな。

ニューヨークの郵便局員であるジェイコブは最近夢と現実の区別がつかなくなるほど奇妙な出来事に遭遇していた。
疾走する地下鉄に乗る得体の知れない人々。
掛かりつけの医者の死亡。
自分を轢き殺そうとした車に乗る異様な人物。
そしてベトナムの悪夢や幻覚までもが見え始める。
そんな時、ベトナム時代の戦友から電話がかかってくる……。

悪夢、奇妙、異様、幻覚という魅惑的な単語が並んでいるよね!(笑)
フランシス・ベーコンっぽい映像ってことは、敬愛する映画監督であるデヴィッド・リンチっぽい映画と言い換えても良いと思う。
リンチの雰囲気を表すのに最適な単語が上の4つに集約されていると言っても過言ではないはず!(笑)
これは期待しちゃうよね!

「ジェイコブス・ラダー」の監督はエイドリアン・ライン
ほとんど聞いたことないなあ?と調べてみると「フラッシュ・ダンス」「危険な情事」「ナインハーフ」と1980年代話題になった映画がズラリと並んでいる!
ヒットメーカーと言えるけど、 リンチっぽい映像かと問われたら「?」になってしまうよね?

主役は「ショーシャンクの空に」や「ザ・プレイヤー」でお馴染みのティム・ロビンス
タイトルにあるジェイコブという名前の役である。
大ファンのスペイン人俳優ハビエル・カマラ目当てで観た「あなたになら言える秘密のこと」にも出演していたっけ。
「ジェイコブス・ラダー」では30歳くらいの、若いティム・ロビンスを観ることができるね。
とは言ってもかなり童顔なので、とても3人の子供がいる父親には見えなかったけどね。(笑)

ちなみに「ジェイコブス・ラダー」とは「ヤコブの梯子」のこと。
旧約聖書の創世記28章12節でヤコブが夢に見た、天使が上り下りしている天から地まで至る梯子あるいは階段のことを指すらしい。
左の画像はウィリアム・ブレイクの作品「Jacob’s Dream」(1805年)である。
ヤコブは天国に上る階段の夢を見て、自分の子孫が偉大な民族になるという神の約束を受ける、ということになっているらしいよ。
毎日のように夢をみるSNAKEPIPEも梯子の夢を見ないとね!(笑)

今回の「映画の殿」は映画の内容の紹介というより、リンチっぽい映像に焦点を当てていこう!
映画開始から10分程で気になる人物が登場!
主人公ジェイコブがニューヨークの地下鉄で出会う女性なんだけど、英語圏の人ではないためなのか、ジェイコブの問いかけに一切答えようとしない。
そればかりか一度も瞬きをしないんだよね!
カッと見開かれた目でじーーっとジェイコブを見つめるだけ。
通り過ぎるまでずっと見つめられ続けるのは怖いなあ!
リンチの映画に出てきそうな女性だったね。


外側から電車の中にいる人を見ているジェイコブ。
その流れていく映像を画像にして、ROCKHURRAHに3枚並べて作ってもらった。
これはもうフランシス・ベーコンだよね!(笑)
歪んだ口やブレた輪郭。
うーん、確かにベーコンさんっぽい映画だ!(笑)

あらすじにもあった「自分を轢き殺そうとした車に乗る異様な人物」というのがこれ!
追いかけてくる車を運転しているのは、普通の人間だったのは確認できた。
正面から見た時には後部座席の人影しか見えないんだけど、通り過ぎる時に窓から顔をのぞかせる。
いきなりこんな人がいたら怖いよねー!
更に通り過ぎた後、後方から車をみると、スキンヘッドの異形だったはずの人物がまた別の異形になっている!
隣にはこれもフランシス・ベーコンの絵から抜けだしてきたような、顔がぼんやりした異形がいる!
これらのシーン、時間にすると短かかったので、まさかこんな顔が隠れていたなんて知らなかったよー!
じわじわ怖いって感じてたけど、やっぱり怖い映像がミックスされてたんだね。

パーティ会場で冷蔵庫を開けると入っていたのがこれ!
人の家の冷蔵庫だから、何が入っているのか分からないのは当然だけどね。
牛か羊か分からないけど、動物の頭には違いないよ。
アントニオ・デ・ラ・トレ主演の「カニバル」では冷蔵庫に人肉入ってたけど、切り分けられてたからグロテスクじゃなかったんだよね。
やっぱり「頭部そのまま」っていうのが怖いんだろうな。

恋人の顔が急に変貌しているように見えるのも恐怖だよね。
悪魔に関する本を読んでいる途中で声をかけられ、生返事したら恋人が怒り出す。
よくある状況だけど、こんな顔で怒鳴られたら逃げ出してしまうよね。(笑)
この画像も一瞬だったからはっきり確認できなかったんだけど、目も鼻も口(歯)の全てに手が加えられてるね。
リンチの「ロスト・ハイウェイ」の中でも、隣に寝ている妻の顔がミステリーマンの顔に変わっていた怖いシーンがあったのを思い出す。
知っている人、愛している人の顔だから余計に恐怖するんだよね。

怪我をしたジェイコブが連れて行かれる病院がすごかった!
ただの外科で良いはずなのに、担架で運ばれていったのは精神病院のようだ。
床に横たわる女性、窓に頭をぶつけ続け血を流す男性(嶋田久作似)、逆立った毛髪でじっと一点を見つめる男性(フランシス・ベーコン似)、網になった天井を這い回る小人など、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い起こしてしまうね!
まさに「狂人の開放治療」といえる映像化は見応え充分。
松本俊夫監督の「ドグラ・マグラ」(1988年)も映画館で観たSNAKEPIPEだけど、「ジェイコブス・ラダー」の精神病棟も負けてないね!

リンチの「ロスト・ハイウェイ」で印象的だった、顔が左右にブンブン揺れて痙攣しているように見える映像は「ジェイコブス・ラダー」が元ネタだったようだね。
「ジェイコブス・ラダー」は1990年、「ロスト・ハイウェイ」は1997年だから。
こんなに興味がありそうな映画を、どうして当時観ていなかったのか本当に不思議でならない、と再び思ってしまう。
「フラッシュ・ダンス」と「ナインハーフ」の監督だからなって思っちゃったのかもしれないね?(笑)
監督で作品を判断することが多いSNAKEPIPEなので、「ジェイコブス・ラダー」のような例もあることを覚えておかないとね!

映画の殿 第12号 ウィル・フェレル04

【「アダルト♂スクール」でステージに立つ全裸のウィル・フェレル】

SNAKEPIPE WROTE:

今週のROCKHURRAH WEBLOGは、ついに驚きのウィル・フェレル特集4回目!
どれだけウィル・フェレルの映画を観ているか、どれだけウィル・フェレルが好きかがよく解るよね。(笑)
何度も言うように日本での知名度は今ひとつというウィル・フェレルだけど、アメリカではドル箱スター!(言い方古い?)
どちらかと言えば「どぎつい」タイプの笑いなので、好き嫌いが分かれるだろうという予測はつくね。
ただし中年になったテディベアを主人公にした「Ted」も、ウィル・フェレル風の下ネタ系のジョーク満載だったにも関わらず、日本でもヒットしてるから驚きだ。
ぬいぐるみなら良いのか?(笑)
別に日本でウケなくても、全然関係ないけどね!
では早速いってみよう。
いつも通り、映画の製作順じゃなくてROCKHURRAH RECORDSで観た順番で書いているのでよろしくね。

最初は「アダルト♂スクール」(原題:Old School 2003年)から。

法務関係の仕事をしている主人公ミッチは、
婚約者の乱交パーティをきっかけに離別。
新しく借りた家はカレッジの敷地内にあるので、
悪友たちがそこを「社交クラブ」というクラブ名目で
利用することを画策する。
実情はバカパーティで、対立する学部長は難癖をつけて
クラブを潰そうとするが、
メンバーは試練に耐えて頑張り、学部長の陰謀を潰す。

非常に簡単過ぎるあらすじなので、これだけだと意味不明だよね。(笑)
「アダルト♂スクール」でのウィル・フェレルは、主人公ミッチの悪友フランクという設定で、一番初めに結婚式を挙げるんだよね。
最初は真面目な夫になろうと努力はしてみたものの、やっぱり友達と遊んでいるほうが楽しい様子。
新妻との約束を破り、アルコールを大量に摂取したせいで、またもやお得意の全裸になる始末。
映画の途中では定番のパンツ一丁シーンもあってノリノリのウィル・フェレル!
自慢の喉を披露するシーンもあったね。
新体操のリボンの演技は大笑いさせてもらったよ。(笑)

「アダルト♂スクール」の主人公はルーク・ウィルソン演じるミッチなんだよね。
なんとこの方、「映画の殿 第11号」で記事にした「ズーランダー」で新人モデルを演じていたオーウェン・ウィルソンの実の弟とのこと!
全然顔が違うから気付かないよね。(笑)
あらすじにもあったように婚約者と別れたミッチが一人暮らし用に家を借りる。
せっかくだから引越し祝いを兼ねてパーティやろう、と「ミッチ祭り」なるポスターまで作り、見知らぬ人まで押し寄せるような大規模な企画に発展したところから「社交クラブ」が発足してしまう。
ミッチ本人よりもやる気満々なのは、悪友たちなんだけどね。(笑)

もう一人の悪友はヴィンス・ヴォーン演じるバーナードである。
おや、この顔はどこかで見たような?
なんとヴィンス・ヴォーンも「ズーランダー」に出ていたんだね。
俺たちニュースキャスター」にも。(笑)
コメディ系の俳優というのは、皆どこかでつながっているみたいだね。
このバーナードが煽り、ミッチの家に実際に人を集めて「社交クラブ」が何故大切なのか力説したことで本格的に活動が始まってしまう。

映画の中で気になったのが、大学に勤めている職員の一人。
この俳優の顔は見間違えることがないね。
リンチの「マルホランド・ドライブ」でウィンキーズというダイナーで見た夢の話をしていた眉の太い青年だよね!
リンチの映画以外で見たのは初めてだからビックリだったよ。

もう一点気になったのは、「ミッチ祭り」でゲストとして登場したのがスヌープ・ドギー・ドッグだったこと!
今はドギーが抜けてスヌープ・ドッグになってるなんてことも知らなかったなあ。
映画の中で披露していたのが「paid in full」だったんだけど、SNAKEPIPEはEric B & Rakimの曲だと思っていたけど?
単なるカバーなのかな。
大好きな曲だったので嬉しかったな!(笑)

「アダルト♂スクール」も黄金期→挫折→復活というウィル・フェレル得意のパターンを踏襲しているタイプの映画だったね。
大人の男が真剣に遊ぶことについて考え、生きがいになっていく。
ハチャメチャなシーンは多いけど、共感できる人も多いんじゃないかな?

続いては「ペナルティ・パパ」(原題:Kicking & Screaming 2005年)ね!

闘争心あふれる父バックに育てられた冴えない
中年男フィルは、息子が所属する弱小サッカーチーム
「タイガース」の監督を引きうけることに。
バックが監督を務める強豪チーム「グラディエーターズ」にボロ負けしたことから、フィルは鬼コーチと化して
チームメイトたちを鍛えはじめるが……。

ウィル・フェレルの役名がフィルなんだよね。(笑)
フィル自身が子供の頃から運動が苦手で、大人になっても父親に見下されてしまうという役どころである。
どうしてダメダメな役なのか、って?
それは例の黄金パターンのためだよ!
ウィル・フェレルはスポ根物が得意だからね!(笑)

ウィル・フェレルの父親バックを演じているのがロバート・デュヴァル
「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」で有名な俳優だよね。
SNAKEPIPEは、前述した「paid in full」がサウンドトラックに入っているデニス・ホッパー監督作品「カラーズ 天使の消えた街」 の時のロバート・デュヴァルが印象に残っているけど。(笑)
「男は強くあるべき」という頑固で一歩も譲らないタイプのアメリカ男がよく似合っていたと思う。

弱小サッカーチームが、努力をすることで勢いに乗っていく展開は、予想通りだった。
そして父親vs息子という構図は、「巨人の星」や「美味しんぼ」などでもお馴染みのテーマだよね。
「ペナルティ・パパ」ではスッキリする結末で、ほとんど下ネタもないのでファミリー向け映画という感じかな。
実はSNAKEPIPEには物足りなかった。(笑)

最後は「奥様は魔女」(原題:Bewitched 2005年)で締めようか。

元はトップスターだったジャックのもとに、
テレビドラマ「奥さまは魔女」の出演依頼が来た。
そして、彼は相手役のイメージにぴったりな女性
イザベルと出会うのだが……。

タイトルは60年代にアメリカ人気テレビドラマだった「奥様は魔女」と同じだけど、この映画はそのリメイクじゃないんだよね。
映画の中でリメイクを作る、という設定になってんだけど。
元トップスターだったジャックを演じるのがウィル・フェレル。
すでに最初から落ちぶれている設定なのね。(笑)
出会う人のほとんどから「私あの人嫌い」と言われてしまうほど。
黄金パターンを信じて観ていこう!

相手役のイメージにぴったりな女性として登場したのがニコール・キッドマン演じるイザベル。
特別選んでいるわけではないのに、意外とニコール・キッドマンの映画って観てるんだよね。
今まで観てきた映画の中では、一番ニコール・キッドマンが美しく見えたと思うSNAKEPIPE。
それなのにゴールデン・ラズベリー賞でウィル・フェレルと共に最悪カップル賞を受賞したらしい。
なんでだろう?
そんなにひどい映画なのか?(笑)

ニコール・キッドマンのお父さん役がマイケル・ケイン演じるナイジェル。
このお父さん、娘が心配なのかどんなところにも顔を出して忠告を与えるシーンが面白かった。
例えばスーパーで買い物をしているとポップコーンのパッケージに隠れて喋り出したり。
他にも色々なバージョンがあって、よくできていたね!

60年代のテレビドラマ「奥様は魔女」に出演していた役どころが登場していたようで、当時を知っている人には懐かしく感じるんじゃないかな?
テレビドラマ版で魔法を使う時にサマンサがやっていた「鼻をピクピク動かす」仕草も、ニコール・キッドマン頑張ってやってたし。
なぜラジー賞なのか不思議でならないよ。
えっ?ウィル・フェレルを贔屓にしてるから、褒め言葉しか出てこないんだろうって?
うーん、もしかしたらそうかもしれない。(笑)

ウィル・フェレル特集を4回も書くとは、SNAKEPIPE自身驚き!
もうウィル・フェレルが主演、もしくは準主役の映画が少なくなってしまったので、5回目の特集記事を書くことができるとしたら新作が発表されてからになるのかな。
ウィル・フェレルの活躍を期待して待っていよう!