シリアルキラー展 鑑賞

【ヴァニラ画廊の看板を撮影】

先日出かけた伊藤若冲展で、長年来の友人Mから
「面白そうな展覧会があるよ」
と言われた。
以前にも書いたことがあるけれど、友人Mは情報収集能力に長けていて、SNAKEPIPEの興味がありそうな企画を提案してくれるのである。
お互いの好みは長い付き合いの中で熟知しているため、「面白そう」と言われて外れたことがない。
SNAKEPIPEにとって、非常に貴重な存在なのである。
今回紹介されたのは「シリアルキラー展」。
大好きなジョン・ウォーターズ監督の「シリアルママ」でも使用されている、日常的に殺人を犯すタイプ=連続殺人犯を表すシリアルキラーという名称の展覧会だという。
つまり、実在するシリアルキラー達の作品を展示している展覧会だというのだ。
最近流行りの「Based On A True Story」じゃなくて、正真正銘のモノホンだよ!(笑)
世界を震撼させた凶悪犯の作品、これは観に行かなくては!

友人Mとの日程調整により、展覧会鑑賞の日は「シリアルキラー展」の初日になった。
なんだかノリノリの行く気満々のようだよね。
本当はたまたまそうなったんだけど、待ち焦がれていた人みたいになってしまった。(笑)

展覧会鑑賞前に用事があったため、青山方面からギャラリーのある新橋方面に出る。
あまり経験のない順路なので、naviで検索。
バスを使い、電車を乗り継いで銀座に出る。
会場となっている「ヴァニラ画廊」に行くのは今回が初めてだけれど、方向感覚に優れている友人Mが一緒なので安心、安心。(笑)
ただし自慢できるほどの方向音痴のSNAKEPIPEだけれど、銀座の〜丁目だけは全く問題ないんだよね。
そのためすんなりと新橋方面に歩いて行くことができたよ。(笑)
ほとんど新橋駅前の、交番の斜向かいの地下にヴァニラ画廊はあった。

階段を降りて会場に到着。
中には既にかなりの数のお客さんが入っている。
やっぱり話題の展覧会なんだね!
「いかにも」好きそうな人は意外と少ないように感じたけど、見た目じゃ分からないもんね。(笑)

会場がとても狭いし、展示も観易いとは言い難い状況だったので、苦労しながら鑑賞する。
最初に持った感想は
「みんなとても絵が上手い!」
である。
びっくりしてしまうほどの腕前なんだよね!
恐らくほとんどの作品が獄中で制作されたはず。
人によっては販売目的だったみたいだけど、時間制限もなく人の目を気にすることもない環境だから、伸びやかに描けたのかな?

それにしても作者は名だたる連続殺人犯達!
殺人犯にアートの素養があるという意外性に驚かされるんだよね。
もしかしたらアーティストと犯罪者は紙一重なのかも、などと考えながら作品鑑賞を続ける。
白紙にキッチリまっすぐとカリグラフィーのような美しい書体で書いてある手紙の展示もあった。
文字だけ見ていると、几帳面で真面目な人としか感じられないんだよね!
だけど書いているのはシリアルキラー。
その事実を知ると美しい書体までも異常に見えてしまう。
シリアルキラー展には、「事実を知る/知らない」で認識や意識が変化する瞬間が何度もあったよ。

ヴァニラ画廊は撮影禁止、更にウェブサイト上にも著作権に関する注意書きを載せているため、これから先の画像は別の場所で見つけた「シリアルキラー展」には展示されてなかった作品を載せているので4649!

ジョン・ウェイン・ゲイシー (John Wayne Gacy)

パーティなどでピエロに扮することが多かったことから
キラー・クラウン(殺人道化)の異名を持ち、スティーヴン・キングのホラー小説「IT」に登場する殺人鬼ペニーワイズのモデルとなった。
1972年から1978年のあいだ、少年を含む33名を殺害した。

多くの作品を獄中で描き、販売をしていたというジョン・ゲイシー。
今回展示されていたのも、左の画像を同じようにピエロを題材としていたよ。
本人がピエロに扮していたというから、自画像ってことだろうね。
他にはディズニーの7人の小人を描いている絵もあって、子供向けのはっきりした色使いの作品が多かった。
線画に色を塗ったタイプなので、漫画っぽい雰囲気。
猟奇殺人者の絵とは思えないよね。
映画化された「IT」は未鑑賞だと思うので、今度観てみようかな!

ダニー・ローリング (Daniel Harold “Danny” Rolling)

フロリダ州ゲインズビルにおいて5人の女子学生を
殺害し、ゲインズヴィルの切り裂き魔の呼び名で
知られる連続殺人犯。

シュールリアリズムのような想像の世界なんだよね。
右に載せたのはモノクロームの作品だけど、今回の展示には油絵もあって、もっとシュールだったよ!
殺害方法が物凄く残酷で、こんなことをする人間がいるのかと思ってしまうほどなのに、作品は魅力的なんだよね。
そんな一面に惹かれたのか、獄中で婚約!
相手はプリズン・グルーピーと呼ばれる、連続殺人犯をスターと崇める女性だという。
いろんなファンがいるもんだねえ。
他にも獄中で結婚しているシリアルキラーが多いんだよね!
記憶違いでなければ、子供を作った人もいたような?
ビックリしちゃうよね。

アーサー・ショークロス
 (Arthur John Shawcross)

8歳と10歳の児童を殺害し逮捕されるがその後仮釈放され、再び逮捕されるまで13人の売春婦を殺害した。
「ジェネシー・リバー・キラー」と呼ばれる
連続殺人犯である。

一番最初に紹介したジョン・ゲイシーと同じように、獄中で作品を制作し、ネット販売していたというから驚いちゃう。
アニメのセル画のような手法で描いている絵はくっきりしていて、とても個性的だよね。
これなら確かに売れるかも。(笑)
「シリアルキラー展」には、チケットを購入するとパンフレットが付いてきて、展示の際に使われていた説明文や展示作品、殺人犯に関する簡単な説明まで載っていて親切なんだよね。
その中にある情報によると、描いた作品をインターネットオークションeBayで販売していたらしい。
協力者がいたってことだろうね。
次に紹介するチャールズ・マンソンにも協力者いるみたいだよ。

チャールズ・マンソン (Charles Milles Manson)

アメリカのカルト指導者、犯罪者。
1960年代末から1970年代の初めにかけて、カリフォルニア州にて「ファミリー」の名で知られる疑似生活共同体を率いて集団生活をしていた。

今回展覧された犯罪者の中で一番よく知っていたのがマンソンかな。
実はシリアルキラー関連の本は結構読んでいるSNAKEPIPEだけど、そのほとんどは「殺人者たち」として数人をまとめて紹介しているので、特定の個人だけに焦点を当てた本を読んだことはないと思う。
チャールズ・マンソンに関しては興味を持って何冊か読んだ記憶があるし、「チャールズ・マンソン」というドキュメンタリー形式の映画も観てるんだよね。

どうして「カルト教団の教祖」と成り得たのかは、その時代にいて、クスリでラリってないと分からないのかもね?(笑)
チャールズ・マンソン、今も獄中にいるって知らなかったよ。
現在81歳だって。
そしてオフィシャルサイト持ってて、絵とかグッズの販売してるんだよね。
これもまたビックリ!
チャールズ・マンソンというのは、かなり昔から象徴的な存在としてシンボルになっているからね。
カルトやカリスマ、と聞けば迷わずマンソンと連想する人も多いはず。
今でも影響力がある人物なのかもしれない。
そんなマンソンが描いた絵は、抽象的な色のミクスチャーが素敵だった。

当たり前のことなのに、本や映画の中でしか知らなかった人達の肉筆画(というのか?)は、本当に実在している人達なんだということに改めて気付かされたよ。
そして連続殺人犯の別の側面を垣間見ることができたのは、非常に珍しい体験だったと思う。
それにしても、作品のほとんどに狂気を感じなかったんだよね。
もしかしたらSNAKEPIPEだけなのかしら?

2012年の「好き好きアーツ!#18 DAVID LYNCH—CHAOS THEORY OF VIOLENCE AND SILENCE」で敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの個展についての感想をまとめた記事の中で

リンチの絵はまるで、知的障害者や精神障害のある人が、勢いに乗って制作しましたという雰囲気がある。
何かを内に秘めた人物の絵。
それは凶暴性だったり残酷性なのかもしれない。

と書いてるSNAKEPIPE。
これも記事に書いてあるけど、あの展覧会では肌が粟立ったからね!
本物の(!)連続殺人犯が描いた絵よりも、リンチの絵に恐怖を感じてしまうのは何故だろうか。

ほとんどのシリアルキラーが幼少期に虐待を受け、愛情を知らずに育っているという特徴がある。
貴志祐介の「黒い家」で
「あたしも親からおんなじことされたのよ!同じことして何が悪い?」
保険金目当てに子供を殺した大竹しのぶが叫んだセリフを思い出すね。

元々アートの才能があったにしても、連続殺人犯になったために絵も注目されて、コレクターも絵を欲しがるわけで。
確かジョン・ウォーターズもコレクターだったはず!
今回の「シリアルキラー展」もコレクターであるHN氏のコレクションの展示だし。
HN氏って一体誰なんだろうね。
パンフレットに「朱に交われば赤くなる」ことを懸念した、と書いてあったけれど、収集を始めて約10年が経過した今、HN氏に何かしらの変化があったのかどうか?
とても興味を感じてしまうね。

ROCKHURRAH紋章学 コーヒー・パッケージ編

【コーヒーといえば、リンチ!リンチ・コーヒーはどんな味だろう?】

SNAKEPIPE WROTE:

セブンイレブンのセブンカフェ効果でブームになったコーヒー。
美容や健康にも良いという効能も話題になったよね。
昔から飲んでいるし、今更どうした?という感じだけど、コンビニにカフェとしてコーヒーメーカーが併設され、近くを通ると芳しい香りをかぐことが多くなった今日この頃。(笑)
とても良い香りに、つい誘われそうになっちゃうよね!

ビザール・グッズ選手権」で「コーヒー・マグ」を特集したことはあったけれど、コーヒーそのものについて調べたことがなかったね。
パッケージ・デザインやラベルについて書いている「ROCKHURRAH紋章学」で取り上げてみようか。

一番初めはこちらから!
まるでアルコールのボトルのようなんだけど、ちゃんとコーヒーって書いてあるんだよね。
ラベルの上のほうにready-to-drinkと書かれているので、すぐこのまま飲めるアイスコーヒー用ってことなんだね。
これはノースカロライナ州にあるSlingshot Coffee Co で扱っている商品。
ボトルの形が少しコロンとしていて、ロゴとのバランスも良いね。
そしてこのデザインを担当したのがGOOD SOUTH という男女2人組のデザイナーチームとのこと。
HPを見るとシンプルなデザインを得意としているようで、清潔感があってお洒落だよね。

このGOOD SOUTHというチーム、 カスタムデザインやロゴをネット上で販売するという形式で商売しているみたい。
ちなみに上のパッケージ・デザインは日本円で22万程度、ドルにすると$2,200くらいなのかな?
アートとしてのデザインはもちろんだけど、ちゃんとビジネスとして成立させているところがプロだよね。
値段がはっきりしてるから、受注も多いのでは?(笑)
お洒落でカッコ良いからお願いしたいけど、あまり高かったら困るな、などと二の足を踏むことがないからね。
明瞭会計は良いね!

今度は民族調のデザインだよ!
これはギフト用のコーヒーを扱うウクライナにあるParadise. Gourmet-club™の商品なんだよね。
画像だと見え辛いけど、エクアドル、ネパール、インドネシア、ジャマイカといったコーヒー豆の産地にちなんだ仮面をモチーフにしたパッケージ・デザインになっているところがポイント!
コーヒーの味も楽しみだけど、飲み終わってもパッケージの使い道がありそうなところも良いよね。(笑)
こんなギフトをもらったら嬉しいだろうな!
デザインしたのはARTEMOV ARTELという、こちらもやはりウクライナにあるデザイン・スタジオ。
HPに他のデザインも載っているけれど、色使いがはっきりしていて好きな感じ!
SNAKEPIPEが勝手に想像しているウクライナの雰囲気とはまるで違っていて、その意外性も手伝って一層感心してしまったよ。(笑)
ウクライナのイメージ?
簡単には説明できないな!(笑)

こちらもまたコーヒー豆の地域を分かり易くパッケージ・デザインに生かしてるよね。
ウクライナのデザインは仮面だったけれど、今度は写真ね。
ありきたりとも言えるけれど、とてもお洒落なパッケージだと思うんだよね。
コーヒーを売っているKÖWA COFFEE & TEA COMPANYのリンクは残念ながら探しだせなかったけど、デザインしたところは判明したよ!
これはスペインのバルセロナにあるseriesnemoによるもの。
さすがはスペイン!
他にも素晴らしいデザインがたくさん載ってるんだよね。
デザインのベストアワードを何度も受賞してるその世界では有名なデザイン・スタジオなのかもしれないね?
なんでもないように見えるのに、惹かれるということはやっぱり何かあるんだろうね。(笑)
全体のバランスなのかな。

最後は極彩色のデザインにしてみよう。
Piedra Negraが提供しているコーヒーのパッケージの素晴らしいこと!
このメーカーのサイトは発見できたんだけど、スペイン語にしか対応していなくて。
英語とロシア語も対応と書いてあるのに、クリックできなかったんだよね。
ロシア語になれば少しは分かったのにね。(うそ)
翻訳しながら見てたんだけど、それでもどこの国なのかは分からなかった。
大胆なデザインの割には、真面目な文章が並んでたし。(笑)

デザインを担当したのはAlmaというポルトガルのデザイン・スタジオ。
パッケージのイラスト部分を拡大して右に載せてみたけど、素晴らしいよね!
アジアっぽい雰囲気も感じるよね。
孔雀の羽根のようにも、目のようにも見えて摩訶不思議!
こんな派手な色使いのデザインが採用されて、商品化されるって素敵だよね!
やっぱりデザインに対しての歴史が違うんだなあ、と改めて感じるよ。

今回はアメリカ、ウクライナ、スペイン、ポルトガルのデザインだったね。
今度はどんな国のデザインを紹介できるかな?
今からワクワクするね!(笑)

ビザール・ウエポン選手権!22回戦

【おバカな武器といえばコレ!】

SNAKEPIPE WROTE:

第42回先進国首脳会議、通称伊勢志摩サミットとアメリカのオバマ大統領が広島を訪問するというニュースで賑わった今週。
「核なき世界への決意を表明」というニューストピックも目にした。

今回は核兵器から連想した「そんなバカな!」という武器を特集してみよう。
政治経済・世界情勢とは全く関係なく、ビザールな逸品探しね!
この手の記事の時には、いつも書いてるけど、ROCKHURRAH RECORDSはテロ礼賛とか戦争に賛同するような思想は一切ないのでヨロシクね!

世界の「おバカな武器」を調べていて、一番最初に目に入ったのがこれ!

これはアメリカ陸軍などで正式に使用されている「AR-15」という機関銃の同型なんだよね。
そのハローキティ・バージョン!
見た目はラブリーだけど、本物だからね。
機能的には通常の銃と同じらしい。
実際にこの銃を構えている画像もあったんだよね。
屈強な男性がラブリー銃を持つ、そのアンバランスでミスマッチな光景。
それが逆に怖いかも!

物騒な武器をラブリーにする企画は人気があるようで、ハローキティのピストルも登場しているんだね!
カラシニコフ銃のキティちゃんバージョンも発見したし。
探してみるとサンリオがイメージしているキティちゃんとは程遠い使われ方されてる画像がたくさんあるんだよね!
戦車にペインティングされていたり、棺桶に描かれていたり。(笑)
そこまで世界的に有名になったということかな?

もしこんなプレゼントをもらったら?
日本では大変なことになっちゃうかもね。
だけどよーく見ると…あれ?
これはchocolateweapons.comが販売しているチョコレート!
なんて精巧にできてるんだろうね?
お値段は約$30から$40なので、3,000円から4,000円くらいかな。
ギフト仕様になっていて、右の画像のようなケースに入っているみたい。
食べるのもったいないよね。
ずっと飾っておきたくなる逸品!
この会社は他に石鹸バージョンも出しているんだよね。
トランプ氏とクリントン氏の頭部石鹸もあったけど、使っていくとホラーっぽくなりそうだよね。(笑)
石鹸のピストルはオブジェに良いかもしれないな!

こちらも精巧な造り!
なんてカワイイんでしょ!(笑)
SwissMiniGun company が製造・販売している大きさ5.5cmのミニ・リボルバーである。
会社名の通り、スイス製なんだよね。(当たり前か)
世界一小さい可動式リボルバーのギネス記録も保持していて、ちゃんとwebに証明書を載せてるんだよね。(笑)
HPには機能についての説明がされていて、スペックを知ることができるよ!
スイス国内では問題ないけれど、国によって規定が違うため販売できない場合もあるとのこと。
意外なことにアメリカはダメなんだって。
もちろん日本も無理だろうね。(笑)
こんなに小さくてかわいいリボルバー、キーホルダーにしてみたいよね!
お値段は6,500スイス・フラン、日本円で約72万円也!
キーホルダーにしては高いか!(笑)

例えば「007シリーズ」などに出てくるスパイグッズに憧れることってあるよね!
SNAKEPIPEはかかとを蹴ると、つま先から毒のついた刃が飛び出す靴を思い出すよ。(笑)
「ローマの休日」ではライターに見せかけたカメラもあったっけ。
ん?時代が古い?(笑)
最後に紹介するのは、The R. J. Braverman Stinger Pen Pistol。
上の画像は途中で折れ曲がっているけれど、まっすぐにしたらペンだよね。

胸ポケットにさりげなくしのばせて、いざというときに素早く取り出し使用する、という本当にスパイ映画っぽいアイテム!
製造されたのは1990年代のようで、その時点での価格は$100くらいだったみたい。
実際に武器として使うよりは、コレクションだろうね。
現在は$500をくだらないだろうと書いてあったけど、 もっと高値で取引されていても良さそう。

実際に使用している映像があったので載せてみよう。
この方がたまたまなのか分からないけど、ペンを折るのに時間がかかってるような?
これじゃスパイ・グッズとしては失格かも。(笑)

生誕300年記念 若冲展鑑賞

【行列に並んでいる時に撮影した1枚】

SNAKEPIPE WROTE:

映画の殿 第20号」でROCKHURRAHが予告していたように、今週より当ブログのデザインを一新!
実はまだ多少の修正が必要な箇所はあるけれど、早めに切り替え作業を行っている。
今までとは違う印象になったかな?
ほとんどの作業をROCKHURRAHが一人で行っているので、SNAKEPIPEは今から勉強しないと!(笑)
では気分を新たに、今週のブログを書いていこう。

若冲展」を知ったのは、昨年10月に鑑賞した横浜美術館での「蔡國強展」だったのではないだろうか。
展覧会に行く度に、面白そうな企画をチェックするのが毎回恒例で、その時に「若冲展」のフライヤーを発見したように記憶している。
長年来の友人MとROCKHURRAHと共に
「これには絶対に行こう!」
と非常に楽しみにしていた「若冲展」。

もらってきていたフライヤーを壁に貼り、前売りチケットの販売はまだか、と待っていたSNAKEPIPE。
ようやく展覧会開始1ヶ月程前から前売りチケットの販売が始まり、早速購入手続きを済ませ、あとは展覧会鑑賞の日付を決めるだけ、という段取りになっていた。

後悔先に立たずというけれど、展覧会が始まってからすぐに鑑賞しておけば良かった…。
長年来の友人Mと日程調整が決まらないうちに、若冲展は大変な話題になっていた。
連日長蛇の列で、美術館に入るまでに180分待ち、240分待ち、などの情報が耳に入ってくるようになったのである。
どうやらNHKの番組で「若冲展」を取り上げたのが、きっかけらしい。
「若冲展」は4月22日からの開催で、NHKの「若冲 天才絵師の謎に迫る」は初回の放送が4月24日。
今から思えば、4月22日から4月24日の間に鑑賞するのがベターだったことになるね。

人混みも、長時間待つのも嫌いなSNAKEPIPE、ROCKHURRAHに長年来の友人Mが加わった「怪しい3人組」。
あれほど行く気満々で楽しみにしていたはずの「若冲展」だったのに、行くのが苦痛になってしまった。
ウダウダしているうちに会期終了も迫ってくる。
「待つのも、混雑も、覚悟の上で行こう!」
行かなくて後悔するほうがイヤだよね、ということで決着した。
3時間や4時間待たされることを前提に、軽食や飲み物を各自持参の上、「若冲展」に行くことになった。
当日は普段の出勤時間よりもずっと早く家を出た。

朝の5時から並んでいる人がいる、とか朝7時半で1000人並んでいるという情報通り、人の流れは一直線に上野動物公園方面へ向かっている。
そう、もちろん東京都美術館の「若冲展」の方角ということだ。
友人Mと合流し、行列の最後尾に並ぶことにする。
「チケットお持ちの方はあちらが最後尾です」
の案内に従い「あちら」を目指すけれど…
どこまで行っても人、人、人!
結局最後尾は東京芸大が見える位置だった。
そしてそこから更にトグロを巻いたように行列が続いている。
並んだ時に友人Mが美術館関係者が「3000人だ」と言ったのを聞いた。
朝の8時で3000人!
前代未聞の若冲フィーバーだよね。
覚悟していたとはいえ、これからの待ち時間を考えるとゲンナリする。

時間に余裕があるので、客層をチェックしてみる。
美術館にそぐわない、騒いだり走ったりする子供が皆無!
当然のようにファミリーもいない。
ベビーカーを使用しているようなママさん連中もいない。
そして圧倒的に多いのがシルバー層。
最近は美術館巡りを趣味にしている高齢者が多いと聞くけれど、鑑賞するのに何時間も待たされて大丈夫なのかと心配になるような人も大勢いた。

SNAKEPIPEをはじめ、ROCKHURRAHも友人Mも「行列ができる〜」のような記事や店には全く興味がなく、並ぶくらいなら違う選択肢を考えるタイプ。
ところが「人が並んでいるなら」と、並ぶことを選択する人って多いんだよね。
今回の「若冲展」も本気で観たいと考えて並ぶ人は少数で、話題だから観ておかないと、という理由の人が多いように感じた。
さすがに外国人は全く見かけなかったね。
並ぶの嫌いだろうからね。(笑)

一歩、二歩、という牛歩だったけれど、少しずつ列が進んで行く。
東京都美術館手前でトップの写真を撮影したのが9時半くらい。
そして実際に鑑賞を始めたのが10時半くらいだったのかな。
待ち時間2時間半、約150分ということだね!
思ったよりは短かくて良かった。(笑)

ここで若冲の略歴を書いてみようか。
1716年 京都の青物問屋に生まれる
1739年 23歳で家業を継ぐ
1755年 40歳で隠居し、絵の制作を始める
1800年 85歳で死去

ものすごく簡単にしか書いてないので、気になる方は調べてね!
絵に関しての補足としては、狩野派の画家に弟子入りしていた、とか別の画家の門弟だったなどの説があること、宋元画の模写や南蘋派の画僧・鶴亭との類似が指摘されているところかな。
SNAKEPIPEはそれぞれについてほとんど知識がないし、日本画そのものについても詳しくない。
そのため技法や専門的なことは無視して、純粋に若冲の肉筆画を直に観ることを目的にしよう!

館内に入ると、思ったよりは人が多くない印象だった。
人数制限をかけているんだろうね。
それでもやっぱり今回の目玉である「釈迦三尊像」と「動植綵絵」のコーナーは、8重(!)ほどの人だかりができていて、とても作品を目の前にすることができない。
係員が「一歩ずつズレて下さい」などの注意喚起をしても、最前列を陣取った人が動く気配はない。
作品の前に張り付いたまま、である。
他の注意としては「大人迷子が連日続出しているので、帰りの待ち合わせ場所をあらかじめ決めておいてください」というのがあった。
あれだけの人だから、いなくなっても分からないもんね!(笑)

観られるところでは近付き、人だかりがすごい場所では人の頭の間から観られる範囲だけを鑑賞する作戦に出る。
それしか方法がないしね。(笑)
近付いてみた若冲の筆使いの素晴らしさ!
タッチが精緻で非常に細かい。
そして一筆描きみたいなラインがピシャッと決まってる!

豪華絢爛な極彩色が、現代でも色褪せることなく再現されていることにも驚くけれど、SNAKEPIPEが一番「すごい!」と感じたのは構図。
なんともいえないバランスなんだよね。
前述したように、それほど日本画に慣れていいないため、他の日本画家との違いなどを論じることはできないんだけど、縦位置の写真として考えるとそのスバラシサを感じることができると思う。
左の画像「老松白鳳図」は旭日と、老いた松に白い鳳凰がいる情景を描いている。
鳳凰は想像上の伝説の鳥なので、若冲の脚色が入った幻想的な作品だと思われる。
鳳凰の目が切れ長なところ、羽根の先端が赤と緑のハートになっている点が、かなり漫画っぽくて面白いよね。(笑)
「動植綵絵」は宮内庁が管理しているため、なかなか人目に触れないんだろうなあ。
だからこそしっかりした管理がされている、とも言えるだろうけど。
全部で30幅の「動植綵絵」、こちらのサイトで観られるので、若冲の構図と色使いを確認してみてね!

上の画像「鳥獣花木図屏風」は約1cmのマス目を使って制作された「枡目描き」と呼ばれる作品である。
近付いてみると、マス目の中に小さなマス目が描きこまれているものもある。
江戸時代にこんな手法で描いていたとはビックリ。
それはまるでデジタル・アートだもんね!
若冲の作品ではない、という美術評論家もいるようだけど、作品としてとても楽しく鑑賞できたよ!(笑)

若冲は日本画家としては珍しい色の重ね塗りの技法を駆使したり、絵具にこだわりを持って制作していたようだ。
新しいことに挑戦するチャレンジャーだったのかもしれない。
その試みは成功して、没後200年以上経った今でも若冲の存在感をアピールしてるんだね。

今回の「若冲展」での教訓は、
前売り買ったら早めに行くこと!
だね。(笑)