ベリーに口づけ Tout,tout pour ma berry

【これが噂のBlackBerryだ。まるで巨峰?少しデカ過ぎないかSNAKEPIPE?】

ROCKHURRAH WROTE:

携帯電話がこの5月で満期(言い方が変か?)になったので、かねてから考えていたスマートフォンに機種変更をした。と言っても流行りのiPhoneでもアンドロイド携帯でもなく、ROCKHURRAHが選んだのはBlackBerryと呼ばれる端末だ。
ご存知の人は多かろうが、海外では使っているビジネスマンも多く、オバマ大統領も使用しているとかで一時期脚光を浴びた。が、日本ではあまり普及しなかったし、持ってる人も近場では見かけないなあ。ノキアとかモトローラとかが日本で普及しないのと同じで、やはり日本人の体質と合わないのだろうかね。
しかしウチの場合はROCKHURRAHよりもSNAKEPIPEが独特の流線型に惹かれて早くから目をつけていたのがBlackBerryだ。

二人にとってあまり魅力的な機種がないドコモをやめてソフトバンクに鞍替え、そしてiPhoneユーザーになってしまおうかと、直前まで考えていた。特にROCKHURRAHは昔からずっとアップルのMacのみを使い続けてきた。携帯や音楽プレイヤーやタブレットだけアップルという人よりはずっとこのメーカーに愛着もあるし、心はものすごくiPhoneに傾いていたのは事実だ。んがしかし、電車の中を見渡してもiPhoneだらけという光景、そして自分がその仲間になるのはどうしても耐えられなかった。
かつては圧倒的に少数派で挑戦する姿勢が好きだったMacだが、ここ数年はヒット連発で常に先端を走っている印象がある。ところが反主流だったものが一転して王道になる、という傾向がどうやらROCKHURRAHは好きじゃないらしい。これはもう理屈じゃなくて根っからのアンチ体質のヒネクレ者なんだろう。
だからと言ってiPhoneじゃなくBlackBerryにする理由にもならないんだけど、まあとにかく、急激に猛烈に欲しくなってこれを選んだというわけだ。理知的でなくてすみません。

さて、このBlackBerryはカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)という会社が作ったスマートフォンだが、誰でも調べりゃわかる歴史だとかはくどくど語る気はない。
カナダ、よくは知らないがなぜだか昔から憧れてる国だった。
SNAKEPIPEが穿いてるカナダ軍のカーゴパンツはなぜだかカッコ良く見えるし始祖鳥マークで有名なアークテリクス(アウトドア&ミリタリーのブランド)も高級で高品質の印象がある。大昔にシモキタで働いていた時に同僚でカナダ帰りの男がいたが、音楽センスも抜群で「カナダ、恐るべし」とずっと心の中で一目置いていた国、カナダ。
どれもこれもBlackBerryとは何も関係ないな。
とりあえず日本でドコモが販売してるのは現在2機種のみ。この夏に3機種に増えるらしいが、世界的な普及率から考えると実に貧相なラインアップだと思える。

そういうわけで我が手の内にカナダを手に入れたわけだが(大げさ)、この製品のいいところ、悪いところなどを軽く語ってみようか。ただしスマートフォンについて全く疎いのは間違いないしiPhoneだってほとんど触った事すらない男だから、何かと比較しての文章にはならないのは確か。しかも最新機種でも何でもなくて「今さら」な感じ。
こんなんでいいのか?このブログ。

BlackBerryを見た事がある人なら誰でもわかるだろうが、日本の携帯よりもキーが格段に多い。これは通称QWERTYキーボードと呼ばれる配列で、いわゆるパソコンのキーボードの簡易版といったものだ。パソコンと同じローマ字入力で文字が打てるのは携帯キーが苦手だったROCKHURRAHにとっては嬉しい。SNAKEPIPEとの日常メールに英語がやたら交じる文章を書きたいと思っても、携帯のキーじゃラチがあかなくて実に簡単にそっけないメールしか書けなかったROCKHURRAHも、これで人並みのメールが書けるのが良かった点だな。ただし立ったまま片手で打てるほどにはまだ熟練してないので、両手使いが今のところの基本。はじめて携帯持った頃はこんなだったなあ。
非常に細かいキーで「大丈夫なのか?」と感じる人は多かろうが、キーが独立して配置されてるので意外と押し間違わない。ゲームウォッチ時代からピコピコしまくってるのでこの辺は大丈夫。キーの小ささで躊躇してる人はチャレンジしてみるといい。

メールはパソコン宛てのものが瞬時に転送されてくるのが嬉しい。自分の通販サイトでの注文に携帯メール・アドレスからじゃないパソコンのアドレスで外出先からでも返信出来るというわけだ。外から返信した事ないが(笑)。逆に不便になったのは普通の携帯からのiモードメール。ドコモがspモードとかいうのをやっていてiモードとの互換性を図っているらしいが、これがパソコン宛てのメールよりも遥かに遅延してしまい、受信するのは数分後というありさま。携帯とのやりとりだとリアルタイムで待ち合わせが出来ないよ。いわゆるiモード問い合わせで自分で確かめる事が出来ないのは欠点だな。BlackBerryだけがそういう仕様なのかスマートフォンというものがそうなのかは知らないけど。

インターネットについては表示は遅い。他のスマートフォンと比べた事はないが遅い、とよく書かれているので遅いんだろう。画面の解像度は低く、ディスプレイも狭いので快適なネット環境とは程遠いのは確か。iPhoneで自在にネットを楽しんでる人を見ると羨ましくなってしまう。しかし気長に待てばウェブページの再現性は意外と高く、ウチのブログなんかも一応ちゃんとしたデザインのまま表示されている。当たり前か?
最初から標準で搭載されているブラウザが殺風景なのでノルウェイの森で出来たOperaをインストールしてみたら少しマシになった。最初はものすごく細かい文字でウェブページ全体が表示されるが、トラックボールで拡大すれば割と快適に読める。表示は遅いがスクロールも高速で全体的にキビキビ、解像度の低さを感じにくいという設計になっているようだ。
FLASHが表示出来ないというのが個人的には致命傷だが、意味もなく大量に低レベルのFLASHを使いまくっているROCKHURRAHのサイト以外は、あまり気にせず閲覧出来るだろう。

アプリケーションやインターフェイスのテーマ、ゲームなどを追加して好きなようにカスタマイズ出来る、というのはBlackBerryに限らず、どのスマートフォンでも一番のお楽しみの部分だが、これは海外製の悲しさであまり使えるものがない。しかしMacのアプリケーションもこれと似たような境遇であるのは確かで、ROCKHURRAHは海外製のよくわからないアプリケーションが大好き、という嗜好を持っている。不遇であればあるほど燃えるのよ。
iPhone(というよりMac)のApp Storeのような存在がBlackBerry App Worldというもので、ここからいくつかフリーのアプリをダウンロードして使っている。ちょっと良さそうなのはたいてい有料で頭に来るが、 TwitterとかFacebookとかMy Spaceとかそういう機能を求める人には充実の多機能さだと言える。どのスマートフォンでも大体出来るんだろうが、BlackBerryは文字入力が得意技という点で一歩リードしているんじゃなかろうか。
最近気に入っているのが青空文庫を縦書きで読めるRoco Skyというアプリ。試しに久生十蘭の「金狼」や浜尾四郎の「殺人鬼」、国枝史郎の「神州纐纈城」など割とマニアックな作品をダウンロードして読んでみたら、これが文庫本読むよりもなかなか快適で、空いた時間にちょっと、という感じでスラスラ読めてしまう。全て大昔に読んだ事あるんだが、BlackBerryの中で懐かしいものに再会出来るとは思ってなかったので、嬉しい出来事。
「読書は紙をめくるものだ」と言われたらそれまでだが、最近読書がしにくい環境にいるROCKHURRAHにはうってつけのアプリだと言える。ただし最近の作家とかは青空文庫では手に入らないので、そのうち次の手を考えるか。フェイバリットの鳥飼否宇先生の作品などは何度でも読み返したくなるし、有栖川有栖先生なども読み返したいんだがねえ。暇があったら自力でテキスト化したいよ(笑)。

あと、買う前には全く気にしてなかったが割と良かった事といえば音質について。
最近iPodで音楽を聴くという事をあまりしなくなったけど、BlackBerryはiTunesからの音楽をそのまま同期させる事が出来る。最初から出来る機能だから使ってみるか、というくらいの気持ちで愛聴のライブラリをコピーしてみたんだが、昔持ってたiPodよりも格段に音質が良くて嬉しい誤算。micro SDカードにコピーしまくれば生涯分の音楽を常に持ち歩く事も可能だ。

そして最後になってしまったが、何と言っても姿形の美しさ、これがBlackBerryの最大の魅力だと個人的には思う。アップル製の端末のように「この手があったか!」というような革新的な部分は少ないオーソドックスなBlackBerryだが、何だか「昔のSFが示す未来的なアイテム」の形をそのまんまデザインしたようなフォルム。タッチパネル式のスマートフォンよりも心トキメクのはやはりROCKHURRAHが80年代野郎だからかな?

まあ要するにダメダメなところは多くても好きだってことか。

————-告知————-

実はROCKHURRAHとSNAKEPIPEは近々引越しをします。サーバーが、とかネットショップ云々ではなく、本人たちの引越しです。
現在はまだパソコンも片付けてなくてブログくらいは書ける状態ですが、ウチの主力商品のレコード類は、今回のブログの告知以降はダンボールの中となってしまい、通販に関わる事がしばらく出来ません。いつも「零細」とか「つぶれそう」とか書いていますが単なるお休みであり、引越しが終わって環境が整い次第にすぐ復活します。心配なさるな(偉そう)。
ブログは来週くらいまででその後少し休みとなります。
では必ず戻ってきますのでまた逢う日まで、逢える時まで。

SNAKEPIPE MUSEUM #10 Katherine Westerhout

【最近では珍しく一目惚れした写真。よだれダラダラ~!】

SNAKEPIPE WROTE:

自分の記憶を辿って印象に残っている「あの一枚」を紹介してきたSNAKEPIPE MUSEUMだけれど、今回はふと目にした写真をコレクションに加えたい。
観た瞬間に「欲しい!」と思い、「こんな場所に行かれてズルイ!」と歯ぎしりまでする始末。(笑)
それが上の、大好きなジャンルである廃墟写真。
この色合い、光の入り方、崩れ落ちている天井、すべてバッチグー!
自分だけ撮影するなんて悔しいとか、SNAKEPIPEもそこに行きたい、などという感情が伴う写真こそがまさしく琴線に触れた廃墟写真、ということになるんだよね。
さて、こんな素晴らしい一枚を撮影したのはどんなお方なんでしょ?

調べてみるとKatherine Westerhoutという女流写真家のよう。
初めてカメラを手にしたのは6歳か7歳というから早熟なお子様だったようで。
1975年サンフランシスコ州立大学で芸術の学位を取得。
1990年代後半から個展を開催しているらしい。
去年の個展情報も載ってたから、現在も活動中みたい。
キャサリンご本人の情報についてはこれくらいしか得られないんだよねー。
写真で拝見すると初老の女性のように見えるんだけど、おいくつなのかしら?
もしご年配の女性で、こんな写真を撮ってるのだとしたら益々憧れちゃう!
最近気付いたんだけど、SNAKEPIPEって自分より年上の素敵な女性が好きみたいなんだよね。
で、当然ながら自分が年を取ってくると、更にご年配の女性に目が行くみたい。(笑)
日本では残念ながら、目標にしたい年上の女性が少なくてねえ。
こういう外国人女性にめぐり合うと元気になるよね!
いいぞ!キャサリン!GO!GO!キャサリン!(笑)

キャサリンのHPには惜しげもなく、アメリカの廃墟写真がいっぱい載っている。
う~ん、どれも色合い、構図、崩れ具合文句なし!
SNAKEPIPEお気に入りの畠山直哉の雰囲気に似て、静謐で崩壊の美を感じさせてくれる写真群。
「解るっ!解るわよっ!」
と握りこぶし作って独り言を言いながら鑑賞するSNAKEPIPE。
ほとんどの写真が2000年代の物なんだけど、アメリカは広いから廃工場とか廃病院とかいっぱいあるんだろうなー!
羨ましい環境ですな!
まだまだ知らない好きなタイプの写真家がいることも分かって大満足。
写真集あったら絶対買おう!(笑)

SNAKEPIPE SHOWROOM 物件1 世界3大都市編

【SNAKEPIPEの理想はこんなガレージ風。倉庫にも住んでみたいな!】

SNAKEPIPE WROTE:

物件の間取り図を見るのが好きだ。
日本のマンションタイプは大体似たようなデザインが多いけれど、ちょっと変わった造りに出会うと興味津々。
そこに住むことを想像しワクワクしてしまうのだ。
先日たまたまネットで見た物件に、目が釘付けになってしまった!
まさに理想的な造りだったのである。
いいなあ、この物件!とまた空想の世界で遊んだSNAKEPIPE。(笑)
ところが、いざ引越しとなると腰が重くなってしまうのも事実。

引越し作業自体も大変な労力と時間がかかるけれど、その前に最も苦痛を感じるのが不動産屋なのである。
個人情報満載の書類に記入し、家族や親類に関する情報まで提示、更に審査を受けなければならない。
契約する前段階で、会ったばかりの見ず知らずの他人に向かって全てをさらけ出す必要があるとは!
この時点で疲れちゃうんだよね。
しかも審査に通らなければこの苦労も水の泡。
年収が1000万以上で誰もが知ってる企業勤務、親兄弟親類縁者全て国家公務員です、なんて人だったら苦痛を感じることもないのかな?(笑)

今回書きたいのはそんな現実的な話じゃなくて、見ていて楽しい物件のお話。
日本の物件はフローリングか畳か、狭いか広いか、駅から近いか遠いか程度の、あまり特徴がない物件が多いので、海外の賃貸事情はどうなのか調べてみた。
世界の大都市といえばやっぱりロンドン、パリ、ニューヨークになるかな。
2LDKとか3DKというような呼び方って日本独自みたいだね。
外国だとベッドルームとバスルームがいくつある、という表し方が一般的なよう。
間取り図を掲載したり、細かい条件を設定して検索するようなシステムは海外にはあまり見られなかった。
間取り図あったほうが解り易いのになあ、と思うのはやっぱりSNAKEPIPEが日本人だからか?(笑)
では、世界の素敵な物件をご紹介してみよう。


まずはロンドンから。
リバプール・ストリート駅からわずか160mに位置する賃貸物件。
2階建で寝室とバスルームが2つある。
1階は広~いリビング!(写真①)
リビング壁面はクローゼットも配置されている。
ガランとした空間だからどんな配置も自由自在。
窓も多いので日当たり良好!
天井部分からの陽射しも期待できる造りになってるね。
カウンター式キッチンもすごく使い勝手が良さそう。

階段上がって2階へ。(写真②)
階段横の壁に絵や写真飾りたいなあ。
外国映画でよく見かけるけど、憧れなんだよね!(笑)
清潔なバスルーム。(写真③)
まるでホテルみたいな洗面台だよね。
う~ん、素晴らしい!
外観はこんな感じ。(写真④)

こちらで130㎡、賃貸料金およそ185,000円。
ロンドン中心部でこの広さだとしたら割とお手頃なのかな?
寝室が2つあるなら2家族同居も可能かも。
広いリビング、最高だよね!
こんなフラットにふらっと帰れたらいいよねえ。(ぷっ)
ロンドンで部屋を借りる時にもやっぱり契約手数料と敷金として家賃の1ヶ月分相当のお金は支払うみたい。
この物件は家具が付いてないみたいだから、自分で用意しないとね!
家具付き物件も検討してみよう。


次はパリの物件。
アパルトマンのテラスからエッフェル塔が見えるなんてワンダフル!(写真①)
部屋はエレベーター付の8階。
階段じゃキツいもんね。(笑)
ポン・デ・ラルマ駅に歩いて行かれる距離にあり、広さは30㎡。
少しこじんまりしてるけど、雰囲気いいよね!
140cm幅のダブルベッドやソファー、テレビなどの家具付き。(写真②)
ポイントカラーが赤になっていて、とてもオシャレだよね。
キッチンには電子レンジ、トースター、コーヒーメーカー、食器洗い機まで揃っているので、すぐにでもパリ生活を送ることが可能ね!(写真③)

この物件は5日間から滞在が可能みたいだから、パリに1週間なんて時には良いかも。
時期によって賃貸料が違うみたいだけど、例えば2011年5月現在で1ヶ月滞在する場合にはおよそ410,000円!
5日間で115,000円。
5、6月はクリスマス時期に次いで人気のある季節みたいで、お値段が少し高く設定されてるね。
それにしてもテラスからのこの眺めは格別だよね。
カフェオレ片手にのんびりしてみたいね!

パリの賃貸事情を調べてみると、日本よりもっと大変な様子。
揃える書類も多く、保証人立てるのは当たり前。
収入が家賃の4倍ないと貸してくれないこともある、など書いてある。
築100年以上の建物も珍しくないので、水回りのトラブルも多いとのこと。
パリジェンヌを気取るのも、苦労しないといけないんだねえ。(笑)


最後はニューヨークの物件。
チェルシー地区にある新しいアパートで寝室とバスルームは1つだけ。
広さは62㎡からいくつかのタイプがあるみたい。
全ての部屋の窓が大きいのが特徴で、広々としたリビングは開放感抜群!(写真①)
ベッドルームも向いのビルから完全に見えちゃうほどの窓の大きさ!(笑)(写真②)
ニューヨークの人はカーテン付けないのかな?
カウンター式のキッチンも広くて素敵!(写真③)
こんなキッチンじゃ納豆ご飯なんか食べちゃいけないかも。(笑)
この物件は施設が充実していて、スポーツクラブ、スパやプールにヨガスタジオまで完備されてる。
こんな雰囲気の良いテラスもあるとは至れり尽くせり。(写真④)

ペン駅にも近く、交通の便もばっちり!
24時間ドアマンもいるのでセキュリティも安心ね。
そして気になる賃料は約280,000円。
ただし手数料無料で一ヶ月は家賃サービスと書いてあるよ。
すごい太っ腹!(笑)
こんなラグジュアリーな物件でニューヨーク生活が送れたら最高だろうね!

ニューヨークの住宅事情は、仲介手数料として家賃1.8ヶ月分と保証金が家賃1~2か月分必要みたい。
上で紹介した物件に余裕で入れるのは余程のヤンエグ(死語?)だけだろうね。
契約は1年で途中解約はできないとのこと。
そしてニューヨークは慢性的な物件不足で、空きがでると半日から1日で埋まってしまうなんて記事もあったよ。
競争して物件探しとは凄まじいね。(笑)

「部屋空いてる?」
「一番奥の部屋」
と大家が親指で2階を示しながら返事をすると、いくらかの金を払って鍵を受け取るようなシーン、映画で観たことない?(笑)
海外ではお金があれば、簡単に部屋を貸してくれるものだとばかり思ってたのに。
どこの国でも賃貸契約は難しいんだねえ。
面倒な手続きやら資金繰りが必要なのは日本だけじゃないと知って、ちょっとびっくり。
観ていた映画は一体なんだったんだろう?(笑)

SNAKEPIPEの最も理想に近いのはガレージや倉庫みたいなガラーンとした、だだっ広い空間が広がるだけの家。
屋根と囲いがあるだけでいいんだよね。(笑)
キッチンと風呂・トイレは必要だけど、あとは何もなくて土足のままでオッケーだったら最高!
一番上の写真はまさに理想的な部屋なんだけど、これはテキサス州の物件みたいね。
「興味があったら訪ねてこいよ!ステーキご馳走するぜ!」
なんて書いてあるよ。
テキサスに引っ越すか?(笑)

CULT映画ア・ラ・カルト!【09】黒蜥蜴

【SNAKEPIPEオリジナル黒蜥蜴ポスターを切り貼りで作ってみたよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

ひと月に何本もの新作映画が封切られ、それに合わせてDVD化されているため仕方がないのかもしれないけれど、
「あの映画をもう一度観たい」
と切望しても叶わぬことが多い。
古い映画はどんどん新しい映画に入れ替わってしまうようだ。
DVDが出る前のビデオ時代の作品になると尚更である。
もしかしたらSNAKEPIPEがややマイナー作品を好む傾向があるせいかもしれない。
残念なことにメジャーから外れた作品はDVD化されず、排除されてしまうようである。

今回ご紹介する1968年深作欣二監督の「黒蜥蜴」もそんな映画の中の一本。
随分昔にビデオで観た記憶があり、もう一度鑑賞したかった作品なのである。
ROCKHURRAHが苦労して手に入れてくれたおかげで、再び観ることができた。
ありがとうROCKHURRAH!と涙を流して喜んだSNAKEPIPEである。(←本当?)

「黒蜥蜴」とはご存知の方も多いと思うけれど、我らが江戸川乱歩先生原作の推理小説である。
その小説を元にした戯曲が書かれ、舞台化や映画化が何度もされているらしい。
戯曲で有名なのが三島由紀夫の作品とのこと。(未読)
今回の深作欣二監督版の映画も三島版の戯曲を元に作られているようだ。
「黒蜥蜴」のあらすじは簡単に言うと、宝石泥棒の女と明智小五郎との対決である。
「黒蜥蜴」とは宝石泥棒の女が使っている、怪盗ルパンやキャッツアイなんかと同じような感じのペンネームだね。
見所は好敵手としての明智と黒蜥蜴の駆け引きや、ちょっと恋愛要素が入るあたり?(笑)
明智小五郎シリーズで恋愛問題が語られることは非常に稀だと思うので、この作品は珍しいんじゃないかな。

今回明智小五郎を演じたのは木村功
「美女シリーズ」で天知茂版明智小五郎に見慣れているSNAKEPIPEにはかなり物足りない配役。
印象が薄いし、セリフも聞き取り辛いんだよね。
そして黒蜥蜴役は美輪明宏(当時は丸山明宏)!
美輪明宏は舞台の「黒蜥蜴」も有名だけど、映画版も存在するんだよね。
これが本当にハマリ役。
恐らく美輪明宏版を観てしまったら、他の配役が考えられなくなるように思う。
気高く美しく、欲しい物は絶対に手に入れる強い意志と知恵を持つ。
ヨーロッパのマダムを思わせる、妖艶で少し残酷な黒蜥蜴。
日本人女性ではなかなか難しい役柄だよね。
「貞淑で従順」というのが日本女性の姿だろうから。
えっ、今は違う?(笑)
そんな強さと美貌を兼ね備えた妖しげな黒蜥蜴とぴったりマッチしている美輪明宏。
惚れ惚れしちゃうよ、ほんと!(笑)

映画の中で感心しながらも笑ってしまったのは黒蜥蜴一味の暗号。
通常ならば「山、川」くらいだろうけど、さすがに三島由紀夫の戯曲が元ではそういうわけにいかないんだな。
【暗号1】
女:美しい空は夕焼けで紫色になりました。
  猿達は牛の背中に蝋燭を飾り、朱肉のような吐息を漏らします。
男:山の中で人が燃え、人の中で海が燃える。
【暗号2】
女:黄色い獅子!黄色い獅子!夜の髭と朝の尻尾の…。
男:柘榴の帽子が硝子のように粉々になった。

いやはや、暗号とは言っても非常に詩的でしかも長い!
覚えるのも大変だろうね、これ!(笑)
紫色と黄色、という色が入っているところと動物の組み合わせが特徴か。
こういう点からも女賊・黒蜥蜴がエレガントで美的である、と言いたいんだろうね。
美輪明宏の有名な自叙伝も「紫の履歴書」で、やっぱり紫色だしね。(笑)
ちなみに江戸川乱歩の原作ではどうだったのかを読み返してみたけれど、黒蜥蜴一味が暗号を言い合う場面は登場していなかった。
三島由紀夫の創作なんだね。(笑)


深作欣二版「黒蜥蜴」の目玉は、前述したような美輪明宏の魅力と共に、戯曲を手がけた三島由紀夫本人の出演だろう。
黒蜥蜴の「人間コレクション」の中の一体として登場する三島由紀夫。
この「人間コレクション」は「美しい人間をそのままの状態で保持したい」という黒蜥蜴の願いにより人間剥製が展示されている。
三島由紀夫はケンカで刺され、ナイフが腹に埋まったまま剥製化されている設定。
それで上のような顔になっているんだよね。(笑)
肉体美を褒められ、更に美輪明宏から接吻を受ける役どころ。
自分のためにこのシーンを戯曲に加えるとはね!(笑)

「黒蜥蜴」の他のバージョンでは、黒蜥蜴役を小川眞由美が演じた「美女シリーズ版黒蜥蜴」、サブタイトルは「悪魔のような美女」を観たことがある。
明智小五郎は天知茂なので言うことナスだけど、やっぱり小川眞由美では黒蜥蜴の気高さが表現し切れてないように思った。
本当はできれば明智を天知茂、黒蜥蜴を美輪明宏で映画化して欲しかったなあ!
舞台では共演があったようだけど、残念ながら今となってはもう観ることができないからね。

京マチ子が黒蜥蜴を演じた「ミュージカル版黒蜥蜴(1962年)」が存在するようだけど、こちらは残念ながら未鑑賞。
京マチ子だったらイイ線いってるんじゃないかな?
いつの日か鑑賞したいものである。
岩下志麻が黒蜥蜴を演じたテレビドラマ版もあるらしい。
この時の明智小五郎はなんと伊武雅刀だって!
かなりハチャメチャみたいだから、これも観てみたいね。(笑)

深作欣二監督は翌年の1969年、再び美輪明宏を主演にした「黒薔薇の館」という作品を手がけているようだ。
現在手に入れられるのはVHSビデオのみ。
お値段なんと15000円也!(笑)
こちらもいつの日か鑑賞してみたいね。
またROCKHURRAHにお願いしてみようかな。(笑)