映画の殿 第59号 韓国ドラマ編 part14

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【ROCKHURRAHがたくさん集めてくれたよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回の「映画の殿」は韓国ドラマ編!
5つの作品について感想をまとめてみよう。

まずは「離婚弁護士シン・ソンハン(原題:신성한, 이혼 2023年)」から。
「離婚弁護士」と検索すると、天海祐希主演の日本のドラマがヒットしてしまうよ。
日本のドラマはほとんど観たことがないので、どんな内容なのか不明。
「シン・ソンハン」まで書かないとダメだね。(笑)
あらすじとトレイラーはこちら。

つらい出来事をきっかけに、ピアニストから法律家に転身した離婚専門の弁護士。
さまざまな事情を抱えるクライアントのため、型破りな方法で複雑な離婚訴訟に立ち向かう。(NETFLIXより)

離婚専門の弁護士シン・ソンハンを演じるのは、「秘密の森」や「シーシュポス: The Myth」でお馴染みのチョ・スンウ。
ドラマ毎に印象が変わる俳優だね。
今回は元ピアニストという役どころで、コミカルな一面も見せていた。
印象に残ったのは、いつでも行動を共にしているシン・ソンハンの親友2人との仲良しなところ。
弁護士事務所でシン・ソンハンと一緒に働いているチャン・ヒョングン役キム・ソンギュンが面白かった。
近所のラーメン屋の店主が「ラーメンを食べてる姿が素敵!」と惚れてしまうシーンが最高だった。
「あばたもエクボ」状態なので、どんな姿でも「うっとり」するのは分かるけど、ラーメン店主の脳内で麺をすすっているシーンがスローモーションでリフレインされて大笑いしたよ!(笑)
離婚に関するエピソードも興味深かったけれど、男3人の仲良しぶりがとても良かった。

このエリアのクレイジーX(原題:이 구역의 미친 X 2021年)」は、タイトルだけで「何か問題がありそうな人の話だろう」と予想がつくよね。
今の時代は、精神に障害を抱えている人は多いはず。
全く聞いたことがない病名がたくさんあるんだよね。
韓国ドラマでは自閉スペクトラム症の「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」、「サイコだけど大丈夫」やアスペルガー症候群の「ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です」など、障害がある主人公をよく見かけるよ。
「このエリアのクレージーX」はどんな話なんだろうね?

家が隣同士で、かかりつけの精神科医も同じ2人の男女。
関わりをもたずにいる方がお互いのためなのに、なぜか事あるごとに顔を合わせる羽目になり…。(NETFLIXより)

黒いサングラスをかけ、耳に花を飾る女、イ・ミンギョン。
本人にとっては人目を避け、魔除けとして花を身に着けているらしいけれど、傍からみると怪しい女だよ。
演じているのは「花遊記ファユギ」で三蔵法師役だったオ・ヨンソ。
大きなサングラスが良く似合ってるんだよね!
正統派美人女優だけれど、今回のドラマでは強迫性障害のためか、感情を爆発させることが多いエキセントリックな役だったよ。
途中から同居することになる犬がとても可愛いかった!(笑)
チョン・ウ演じる隣人のノ・フィオは憤怒調整障害という怒りを抑えることができない病気の持ち主。
最初は顔を見るのも嫌、というほど嫌い合っていたのに、次第に意識する関係になる。
小さなことで怒りを覚えたり、ガスの元栓を気にするのは、誰にでも経験あるので、いつの間にか主人公の2人に共感し応援していたSNAKEPIPE。
ただ、夜中に笛を吹くのはやめたほうが良いと思ったけどね。(笑)

椿の花咲く頃」「最高の愛」などで主役を勤めているコン・ヒョジンは「ラブコメの女王」や「視聴率女王」の異名を持つ女優なんだよね。
ROCKHURRAH RECORDSもコン・ヒョジンのドラマはいくつも鑑賞していて、好きな女優の一人!
コン・ヒョジンが出演している未鑑賞のドラマが他にないか探していたところ、「主君の太陽(原題:주군의 태양 2013年)」がAmazonプライムで鑑賞できることが分かった。
「最高の愛(2011年)」より2年後のドラマになるんだね。

ケチで傲慢で自己中な社長と、霊視能力がある変わり者の女。
そんな2人を取り巻き次々と起こるさまざまな事件を通じ、次第に2人の距離が縮まっていき・・・。(Filmarksより)

「最高の愛」と同じ、ホン姉妹が脚本を手掛けている。
コン・ヒョジンが主演だから余計かもしれないけれど、最初は男性から厭われて冷たくされていたけれど、最終的には恋愛に発展するという構成が「最高の愛」と同じなんだよね。
相手役の俳優がモデル体型のソ・ジソブで、「最高の愛」の時のチャおばさんを見本にしているんじゃないかな?
髪型までそっくりだったし。
幽霊が出てくるので、ジャンルが「ロマンス、ホラー、コメディ」になっているよ。(笑)
チング 〜愛と友情の絆〜」にも出てきたけれど、何故か「主君の太陽」にも日本の少女漫画「キャンディ♡キャンディ」のエピソードが出てくるんだよね。
「キャンディ♡キャンディ」なんて1970年代の漫画なのに、不思議だよ。
韓国でも人気があったんだろうね。
コン・ヒョジンに期待して鑑賞していたけれど、「最高の愛」のほうが面白かったよ。

「3食ごはん」「韓国No.1を探せ!」といったバラエティ番組や「奈落のマイホーム」で記憶に残る俳優イ・グァンスが主演している「サウンド・オブ・ハート(原題:웹드라마  2016年)」はウェブトゥーンが原作のドラマだという。
韓国では漫画が原作のドラマが多いよね!
左の画像にあるイラストが原作で、ドラマの中にも少し出てきたね。
顔の輪郭が「いびつ」で、絵を見ただけもコメディだと分かるよ。(笑)

とある漫画家が、彼女や家族とともに過ごすおバカな日常を描いたコメディ。(NETFLIXより)

非常に簡単なあらすじと、日本語字幕がないトレイラーしか見つからずスミマセン!
イ・グァンスは漫画家を目指す主人公チェ・ソクがピッタリだった。
ソクの兄ジュンは、「ミセン」でキム代理だったキム・デミョン。
両親や恋人役の俳優陣も、よくもこの「おバカ」なドラマに出演したものだ、と感心してしまう。
お腹を抱えて笑い過ぎて涙を流してしまったSNAKEPIPE。(笑)
卑猥ではなく、汚いほうの「下ネタ」が多いので、そこだけは要注意!
そしてこのドラマのリブート版が放映されていてびっくりしちゃう。
どうしてもう一度ドラマ化しようと思ったのか不思議でならないよ。

最後は「被告人(原題:피고인 2017年)」。
NETFLIXのマイリストにROCKHURRAHが入れてくれていたのに、ずっと鑑賞していなかったんだよね。
NETFLIXでは全26話になっているので、後回しになってしまった。
実際には18話だったようなので、編集されていたのかもしれないね。
たまにブツッと切れて変な終わり方してたもん。

ソウル中央地方検察庁のエース検事ジョンウは、どんな不正や悪も見逃さない熱血漢。
今日も暴力団のボスを逮捕し、華々しく活躍した。
その日、愛娘の誕生日を祝ったあと、幸せな気持ちで眠りについたジョンウ。
ところが目を覚ますと、そこは監獄。
妻と娘を殺した罪で服役していたのだ。
まるで状況が理解できないジョンウ。
彼は4ヶ月間の記憶を失っていた。
いったいなぜ、彼は殺人犯になったのか――?(KnTVより)

肝心な部分の記憶だけが消滅しているところがもどかしかった。
チソン演じる主役のパク・ジョンウが泣いたり叫んだりするだけだったからね。
刑務所同房の人達の交流が生まれて面白くなってくる。
まるで「刑務所のルールブック」のようで微笑ましかったよ。(笑)
みんな良い味出してたからね。
チャ・ソノ、チャ・ミノという双子を一人二役で演じたオム・ギジュンがヒール役に最適!
あれほどまでの悪人顔はなかなかいないだろうね。
「極上リベンジサスペンス」と書いてあるサイトを見たけれど、SNAKEPIPEは途中で少し「まだるっこしい」気分になったよ。
もしかしたらそれは、前述した「ぶつ切り」のせいだったかもしれないね。

タイトル曲が緊張感を煽る重要な役割を果たしていたので、載せてみよう。
耳に残るメロディなんだよね!

今回は5つのドラマを紹介してみたよ。
ジャンルが多岐に渡っていて、面白かったね!
次回をお楽しみに。

ワールド・クラスルーム 鑑賞

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【展覧会入り口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
おめでとう、ROCKHURRAH!(笑)
ここ数年、誕生日と休日が重なることが少なかったので、今年は休んでお祝いすることにしたよ!
森美術館で開催されている「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」を観に行くことにする。
NHKで放送している「日曜美術館」でも紹介されていたので、どんな作品が展示されているのかある程度知っていたんだよね。
テレビで紹介された作品だけではないので、実物を観てみることにした。
天気の良い暑い日、ROCKHURRAHと六本木に向かう。

前回SNAKEPIPEが森美術館を訪れたのは、2022年3月の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」以来、ROCKHURRAHに至っては2019年12月の「未来と芸術展」からおよそ3年半ぶりの訪問になるんだね。
開館と同時刻に予約していたのにも関わらず、エレベーターを待つお客さんでいっぱい!
こんなに人が多いのかと驚いていたら、どうやら別会場で開催されているディズニー・アニメーションの来場者がほとんどで安心する。
2018年3月に鑑賞した「レアンドロ・エルリッヒ展」で、チケットを購入するまでに約40分程度並んだ苦い経験があったからね。
コロナの影響で、チケット予約制度が確立したのは喜ばしい。
安心感があるからね!

入場すると最初に展示されていたのは、ジョセフ・コスースの「1つと3つのシャベル」。
この作品は撮影禁止だったけれど、テレビでは紹介されていたんだよね。(笑)
同様にヨーゼフ・ボイスが1984年に東京藝術大学で講義をした時の黒板も撮影禁止。
こちらも日曜美術館で説明があった作品だったので、不思議に感じてしまう。
公共放送と一般レベルの撮影の違いってなんだろうね?

撮影オッケーだった作品の感想をまとめてみよう。
展覧会は「国語・算数・理科・社会・哲学・音楽・体育・総合」で区切られていたよ。
かなり「こじつけ」っぽかったけど、面白い試みだよね。(笑)

森村泰昌の作品は「社会」に分類されていた。
画像上は1989年の「肖像(双子)」で、下は2018年の「モデルヌ・オランピア2018」。
マネの「オランピア」をモチーフにした作品を、更にセルフ・カヴァー(?)したということになるんだね。
もう森村さんに何も言うことはありません!
どんどん好きなこと、やっちゃってください!(笑)
楽しみに待ってます!

2009年に森美術館で開催された「アイ・ウェイウェイ展」に行かなかったことを今でも後悔しているSNAKEPIPE。
当時は「中国の現代アーティスト」と聞いても、あまりピンと来なかったんだよね。
「漢時代の壷を落とす」は3枚の連続写真で構成された作品。
漢時代とは前漢と後漢の総称らしく、紀元前206年から紀元後220年までの中国王朝を指すという。
手前も貴重な壺らしいんだけど、「コカ・コーラ」のロゴが描かれていて、社会的なメッセージを投げかけているんだろうね。

パンクロック・スゥラップの作品は、どうやら2017年9月の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」で鑑賞していたSNAKEPIPE。
作品リストに説明がされていたので、当時撮影した画像を確認してみたら、撮影していたことが判明。
「この作品面白いね」などとROCKHURRAHに話かけていたけれど、2017年のことを失念していたよ。
パンクロック・スゥラップはPUNK ROCKではなくPangrokで、多様なメンバーで構成されたマレーシアのコミュニティだという。
「どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ」というタイトルの作品は、マレーシア、フィリピン、インドネシア3国の連合体に関しているらしい。
社会派アート集団なんだね。

「Lime Works」から大ファンになった畠山直哉の作品も展示されていたよ。
2011年10月に東京都写真美術館で開催された「畠山直哉展 Natural Stories」以来、まとまった展示を鑑賞するのは久しぶりかもしれないと思っていたら、2017年の「ヨコハマトリエンナーレ」でも作品を鑑賞していたことが分かった。
記憶力が低いなあ。(笑)
「陸前高田シリーズ」は、静謐で彼方が霞み、儚い印象を受ける作品だった。
撮影地を知らないと、日本ではない場所のように見えるスタイリッシュさは健在だね!

青山悟の作品は、「六本木クロッシング2010」「ヨコハマトリエンナーレ2017」でも鑑賞したね。
工業用ミシンでミッチリと刺繍された作品は、インパクトがあるよ。
室内を暗転させ、ポッカリと浮かび上がる展示方法は効果的だったね。
久しぶりに観たけれど、やっぱりとても好きな作品群だよ!
ウチにある工業用ミシンでも作成できるんだろうか?(笑)

今回の展覧会で最も驚いたのがアラヤー・ラートチャムルンスックのビデオ作品だったよ。
「授業」というタイトルで、教授としてアラヤー本人が出演し、引き取り手のない6体の遺体に死についての講義をしている。
ブラック過ぎるブラック・ジョークだよね!
アラヤーの経歴を調べると、「タイのシラパコーン大学で版画を学び、ドイツのブラウンシュヴァイク美術大学に留学し修士号を取得。その後、30年にわたりチェンマイ大学で教鞭をとる(森美術館より)」というから、驚いてしまう。
アラヤーも「サンシャワー展」に出品していたらしいけど、ビデオ作品は最後まで鑑賞することが少ないので記憶に残りにくいよね。
今回の作品はバッチリ覚えたよ!(笑)

宮島達男の作品は見間違うことがないよね!
少し離れて鑑賞すると、床に反射した光まで含めて美しい赤色を堪能できる。
画像は引いた状態(上)とアップ(下)を2枚つなげているよ。
上部は、まるでマーク・ロスコみたいだね!
近づくと、無数の数字が並んでいる。
LEDの一つ一つが生命を表し、9から1へとスピードを変えてカウントしているという。
0は死を意味し暗転するんだとか。
そしてまた9からスタートするというので、輪廻転生なんだね。
デジタルと仏教的な思想が融合した作品、素晴らしい!

杉本博司の「観念の形」シリーズは初めて鑑賞する作品だよ。
三次関数の数式を立体化した小さな模型を撮影したんだとか。
展示された作品の横に書かれていた数式を解くと、あの形になるんだろうね。
建築家がイメージする世界を肖像写真として作品化したという解説を読んだよ。
説明を受けなくてもカッコ良い作品群だけど、説明を受けて更に魅力が増したね!(笑)

2022年7月にミヅマアートギャラリーで開催された「くぼみに眠る海」の宮永愛子も展示されていたよ。
感想をまとめたブログで「全体的にロマンチックな少女趣味だったため、
SNAKEPIPEは少し居心地が悪くなった」と書いている。
今回の展示は全てナフタリンで作成された靴で、可愛らしい作品だったよ。
やっぱりSNAKEPIPEには向いてないかも。(笑)

福岡の太宰府天満宮に所蔵されているという田島美加の作品。
背面からのライトにより、淡い色彩が浮かび上がり神秘的だったよ。
それはまるで原始の記憶を呼び起こすようなイメージ。
夕暮れ時や朝日が昇る空を見ていた遠い祖先を連想してしまう。
田島美加は、ロサンゼルス生まれの日本人だという。
アメリカに生まれ育ったアーティストの作品をもっと観てみたいね!

ヤン・ヘギュの「ソニック・ハイブリッド」は、とてもユニークな作品だった。
まるで子供が描いたロボットみたい。
鑑賞した時は静止していたけれど、どうやら動くみたいだね。
画像左の緑と紫の作品は「移り住む、オオタケにならって」という副題が付いている。
オオタケとは、大竹伸朗ではなく大竹富江というアーティストのことだって。
背景も含めてカラフルで楽しい空間だったよ!

ヤコブ・キルケゴールの「永遠の雲」は、薄衣のようなスクリーンに繰り返し雲が映し出されるビデオ作品だったよ。
ベンチに座って鑑賞してみる。
空っぽの空間に浮かぶ雲は、ゆったりしていて観続けると意識が飛びそうになる。
重低音のサウンドも含めての作品なんだけど、SNAKEPIPEの好みとしては音がないほうが良かったかも。
調べてみるとヤコブ・キルケゴールは、サウンドと映像のアーティストなんだとか。
音がないほうが好きと言ってごめんなさい!(笑)

「ワールド・クラスルーム」は全体的に物足りない展覧会だったかも。
ワールドと銘打ってる割には、アジア中心だったし。
今まで全く知らなかった作品に興奮することが少なかったからね。
前述したように「こじつけ」感が強いな、というのが正直なところ。
次の展覧会に期待だね!(笑)

好き好きアーツ!#58 世界アート(仮)探訪 4

20230625 08
【アリゾナ州の砂漠にあるジェームズ・タレルの作品】

SNAKEPIPE WROTE:

当ブログのカテゴリーである「好き好きアーツ!」の中にある「世界アート(仮)探訪」は、「鑑賞できたら良いな」という願いを込めて、SNAKEPIPEが行ってみたい場所を特集する記事なんだよね。
今回はパブリック・アートやインスタレーションについて書いてみたいと思う。
現地に赴かない限り、観ることができない作品を集めてみたよ!
早速紹介していこう!

トマス・サラセーノの作品「Cloud City」は、空中都市生活をイメージして作られたという。
確かに「メタボリズムの未来都市展」や「未来と芸術展」などで見かけたセルの集合体みたいだよ。
2012年にニューヨークのメトロポリタン美術館屋上に展示され、体験型アートとして人気だったんだとか。
実際にセルに入れるなんて楽しそう!(笑)
ちなみにこの作品の評価額は$11million、日本円で約15億8,000万くらい!
トマス・サラセーノはアルゼンチンのアーティストで、環境問題や共存についてのヴィジョンを作品に取り入れているんだって。
2020年9月に鑑賞した「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」も、環境に配慮した体験型アートを作成していて似た雰囲気だと感じるよ。
最近の傾向なのかな?

イギリス人のジェイソン・デカイレス・テイラーは、海中彫刻で有名なアーティスト。
SNAKEPIPEもメキシコにあるカンクン海中美術館の様子はインターネットで見たことあるよ!
載せた画像はモルディブの高級リゾートに配置された「Coralarium」。
ターコイズブルーの海にポッカリと浮かぶステンレスの物体。
上部と内部に人を形どった彫刻が配置されている。
内部の彫刻は次第に周囲のサンゴや海洋生物が定着していき、新たな生態系の基礎を作っていくという。
時間の経過で作品が変化していくんだね!
どんな状態になっていくのかを知る前に、この作品は2018年、宗教的な理由により破壊されてしまったんだとか。
二度と目にすることができないと聞くと、残念でならないよ。

「Vessel:Stairway to Nowhere(どこへも続かない階段)」はイギリスのデザイナーであるトーマス・ヘザーウィックによって制作されたという。
場所はニューヨークの再開発エリアであるハドソン・ヤードで、高さは80m、階段の数は2500段というから相当な高さだよね!
まるで映画のセットのようなランドマーク、目の前にあったら腰を抜かしそう。(笑)
エッシャーのだまし絵のように見える画像も見かけたよ。
入場は無料らしいけど、予約でいっぱいなんだって。
いつかニューヨークに行った時には訪れたいね!(笑)

最後はこちら!
1979年から建設が進められているという、ジェームズ・タレルの「Roden Crater」。
まるでアレハンドロ・ホドロフスキー監督作品である「ホーリー・マウンテン(原題:he Holy Mountain 1973年)」の中に入り込んだみたいじゃない?
タレルのライフ・ワークとして有名な「ローデン・クレーター」は、アリゾナの砂漠地帯に40万年前にできた噴火口に作られているという。
一体どんな様子なのか動画で観てみよう。

 

火口から地下へと続く階段があり、空を見上げるようになっているんだね。
異空間にいる気分で、世界観が変わりそうじゃない?
11の地下室や長いトンネルを作り、月や太陽の光を感じる作品になるんだとか。
アリゾナ州立大学が作品完成へのサポートをしたり、カニエ・ウェストが1000万ドル(約10億円)の寄付をしたなどの記事もあったよ。
完成した暁には、今まで誰も観たことがない作品になること間違いなし!
いつか実物を観てみたいよね。

絵画や彫刻などと違って、現地に行かない限り実物を鑑賞することができないインスタレーションやパブリック・アートを特集してみたよ!
初回なので有名な作品ばかりを集めてしまったかも?
次回もお楽しみに!

映画の殿 第58号 奈落のマイホーム

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【映画に登場する魅力的なキャラクターたち】

SNAKEPIPE WROTE:

奈落のマイホーム(原題:싱크홀 2021年)」が日本で公開されたのは、2022年11月のこと。
その情報を教えてくれたのはROCKHURRAHだった。
これまで数々の韓国映画やドラマを共に鑑賞してきているので「面白そうな映画だ」と直感したらしい。
残念ながら時間の都合がつかず、映画館に足を運ぶことができなかったんだよね。
今回やっと新作DVDで鑑賞することができたので、感想をまとめてみよう。
まずはあらすじと予告映像を載せようか。

会社員のドンウォンはマンションを購入するため、長年節約を続けてきた。
その甲斐もあり、ソウルの一等地に念願のマンションを購入することに成功。
同僚たちを招いてパーティを開くが、大雨で巨大陥没穴が発生し、マンション全体が飲み込まれてしまう。
ドンウォンは馬が合わない隣人や同僚たちと地下500mの深さから脱出しようと奮闘するが、大雨によって穴の中はしだいに水で満たされていく。(Movie Walkerより)

 

ある日突然、地面や道路の一部が陥没する現象をシンクホールという。
地中の石灰岩の溶解、排水施設の老朽、破損、建築作業や地下鉄の工事により地下水の流れが変わることが原因で陥没するらしい。
韓国では3日に2件ものシンクホールが発生し、複数の都市部で急増しているというから驚いてしまう。
日本でも2016年に博多駅前の道路が陥没したことを思い出した。
「奈落のマイホーム」は、現実に起こり得るパニック映画といえるんだね。
※ネタバレしている可能性がありますので未鑑賞の方はご注意ください

念願のマイホームを手に入れた会社員のドンウォン。
演じているのはキム・ソンギュン。
今後韓国ドラマの感想で書くことになる「離婚弁護士シン・ソンハン」で印象に残った俳優だよ!
しっかりした妻と挨拶を欠かさない礼儀正しい子供との幸せな3人暮らしが嬉しくて仕方ない。
ソウルの一等地からは通勤時間が短縮され、朝ごはんもゆっくり食べることができるようになった。
社内でも羨ましがられ、ちょっと得意気な様子だよ。

ところが同じマンションにはクセがある住人がいるんだよね。
それが画像左のチャ・スンウォン演じるマンス。
マンションを購入したドンウォンとは違って、マンスは月払いの賃貸だというから、名前がマンスなのか?(笑)
車を所定の場所に駐車せず、移動をお願いしても無視するなど、非常に態度が悪いチャおばさん。
こんな隣人がいたら嫌だろうな。

ドンウォン一家がマンションに住み始めてすぐに、不具合が起きる。
床をビー玉が転がることで建物の傾きが分かり、駐車場のヒビを発見し、マンション入り口のガラスが割れるところを目撃する。
ドンウォンの部下達が引っ越し祝いのために、新居を訪れるのがこの時。
高額で購入した我が家の恥部を見られまいとするドンウォンは、何事もなかったかのように、パーティではしゃいでいる。
部下として登場するのが「探偵なふたり:リターンズ」や「3食ごはん」などに出演していたイ・グァンス。
映画の中ではキム代理という役どころ。
キム代理といえば「ミセン~未生」を思い出してしまうのはSNAKEPIPEだけかな?(笑)

新居祝いをした翌日、断水が起きる。
屋上で給水タンクを確認しようとしたマンスことチャおばさんも転倒してしまう。
隣のマンションには、「花遊記(ファユギ)」で沙悟浄を演じていたチャン・グァンが庭木に水やりをしながら、沈んでいくマンションを見ている。
陥没した地面にどんどん落ちていくシーンはとても怖かったよ!

500m落下したマンションの生存者たちが、一箇所に集まることができたのが良かった。
仲違いしていたマンスとその息子も生きるために力を合わせる。
ダメダメな息子かと思いきや、食料や薬を調達するように指示を出し、頼もしい存在に変化していく。
究極の状況になった時には、本来の人間性が出るもの。
イ・グァンス演じるキム代理は臆病、対して紅一点のインターンであるウンジュはサバイバル精神旺盛で男勝りの強さを見せる。
弱音を吐かず、必ず前向きな発言をして皆を勇気づけていたよ。

「3食ごはん」で料理の腕前を披露しているチャおばさんが、ここでも料理を担当していて笑ってしまう。
画像は「鶏の泥焼き」のシーン。
鶏はどこから調達したのか不明だけど、鶏を泥でくるんでからアルミホイルで蒸し焼きにした後、チャおばさんが固くなった泥を空手チョップさながらにカチ割る、という豪快な料理だったよ!
極限状態でも美味しい料理を作るチャおばさんに拍手だね。(笑)

マンションが地下に落下した知らせを受けて、救助隊がかけつける。
画像左は、「元カレは天才詐欺師 〜38師機動隊〜」など韓国ドラマでは悪役が多いキム・ホンパ。
今回は良い人役だったので、意外だった。(笑)
右は「チング」や「グリッチ-青い閃光の記憶-」などに出演していたコ・チャンソク。
自らの危険を顧みず、救助しようとする姿勢が素晴らしかったね!

「奈落のマイホーム」は、パニック映画でありながら、キャラクターが立っていて引き込まれたよ。
現実に起こりうる事象というのも、韓国での公開初日に12万6千人を動員した理由なのかもしれないね。
映画の制作にあたり20ものセットを用意したり、最先端VFX(Visual Effects)の使用により、臨場感溢れる作品になっているんだとか。
考えさせられるところもあるのに、笑いも忘れないのが、さすがに韓国映画!
「奈落のマイホーム」、おススメだよ。(笑)