マイク・ケリー展 デイ・イズ・ダーン 鑑賞

20180401 top
【マイク・ケリー展のフライヤー】

SNAKEPIPE WROTE:

意外に感じる方が多いと思うけど、ROCKHURRAH RECORDSでは毎年花見を実行してるんだよね。
今年はどこの桜を観に行こうか、とROCKHURRAHが言う。
なるべく人が少ない場所を選び、桜を眺めながらお弁当が食べたいと思っているSNAKEPIPE。
ところが今回は全く別の提案をしたのである。
「代々木公園はどうかな?」
これには理由があった。
ROCKHURRAHが調べてくれた、面白そうな展覧会が原宿近辺で開催されていたからなのである。
3月31日が展覧会の最終日なので、花見と展覧会を同時に楽しんでみてはどうだろう。
前述したように、なるべく人が少ない花見を心がけているROCKHURRAH RECORDSにとっては、都内での花見のメッカともいえる代々木公園は初めてのこと。
混雑は覚悟の上、出かけることにしたのである。

2日前の夏日から通常の気温に戻った3月の終わりは、これが最後の花見とチャンスと考える人が多かっただろうね。
元々原宿駅は人で溢れかえっているけれど、この日は花見見物らしき人を多く見かける。
代々木公園までの道も歩く人で渋滞している。
予想以上の人出に少しうんざりしたけれど、代々木公園って広いんだよね。
桜のメインストリート(?)を過ぎると、少しずつ人が減り、ストレスなく桜を鑑賞できる場所を確保することができた。
ここ数年の花見の中ではベストポジションだったんじゃないかな?
代々木公園と聞いて難色を示していたROCKHURRAHも満足したようだ。
今年もキレイな桜を満喫したよ!(笑)

花見を終えてから、会場まで歩くことにする。
今回はワタリウム美術館で開催されている「マイク・ケリー展」が目的なんだよね!
ワタリウムって聞いてピンと来ない人でも「オン・サンデーズ」なら分かるんじゃないかな。
実際ROCKHURRAHも「オン・サンデーズ」時代には通っていたらしい。
一体今から何年(何十年?)前のことだろうね?(笑)
代々木公園から歩くと結構距離あるよ。
良いウォーキングになったね。

さて、今回の「マイク・ケリー展」だけど、実はSNAKEPIPEもROCKHURRAHもその人、初めて知るアーティストなんだよね。
ワタリウム美術館が載せているマイク・ケリーの年表を一部流用させて頂き、どんな人物なのか紹介してみよう。

1954年 デトロイト生まれ。
デトロイト郊外のミシガン州ウェイン郡で、労働者階級の家庭に生まれる。
1970年代 地元のデトロイト音楽に熱中し、バンド「デストロイ・オール・モンスターズ」のメンバーとしても活動。
1976年 ミシガン大学を卒業し、ロサンゼルスへ移住。
1978年 カリフォルニア芸術大学で美術学修士号を取得。
在学中からさまざまなメディアを用いた詩的な作品を制作。
1980年代からは、使い古しのぬいぐるみやおもちゃを用いた作品を発表。
1987年 代表作「返済できない程の愛の時間と罪の重荷(More Love Hours Than Can Never Be Repaid and The Wages of Sin)」の制作が完成。
1988年 第43回ベニス・ビエンナーレに出展。
1992年 交流のあったロックバンド、ソニック・ユースのアルバム「ダーティ」のジャケットを手掛け、一躍世界に。
2005年 ロンドンのガゴシアン・ギャラリーで「デイ・イズ・ダーン」を発表。
2012年 ロサンゼルス近郊の自宅で死亡。享年57才。

この年表の中でROCKHURRAHが一番反応したのは「デストロイ・オール・モンスターズ」の部分。
このバンドのアルバムを所持していたらしいけど、マイク・ケリーがメンバーだったことは知らなかったそうで。
右の画像が「デストロイ・オール・モンスターズ」で、マイク・ケリーは一番左に映っているね。
もう一点、 「ソニック・ユース」のアルバム・ジャケットについても語ってくれたよ。
さすがにレコード屋だね。(笑)
ソニック・ユースと聞いてSNAKEPIPEの遠い記憶が蘇ってきた。
新宿ロフトのライブに行ったことあるんだよね。
村上隆のスーパーフラット・コレクション鑑賞」にも書いていたことすら忘れていたとは。(笑)

それでは会場の様子と感想をまとめていこうか。
ワタリウム美術館で展覧会を観るのは初めてなので、システムもよく分かってなかったよ。
ポストカードやグッズの物販がある1Fのチケット売り場に向かう。
大人2人ならペアチケットとして割引してくれるとは、ありがたい。(笑)
エレベーターで2Fに上がると、すでに目の前が人の山だった。
あやうく「つんのめり」そうになったSNAKEPIPEだよ。
そこで展開されていたのは映像作品だったんだよね。

さっぱり意味は解らないんだけど、この3人娘のインパクトはすごかった。(笑)
モノマネしてトレイン・ダンス踊りたくなるくらいにね!
2Fには他にも映像作品がそこかしこに流れていて、全部観るには相当時間がかかりそう。
少しずつ観て回ると、プッと吹き出してしまうような内容に遭遇することもある。
映像はどれも複数のシチュエーションが編集されていて、それぞれの設定につながりがあるのかどうかも分からない。
映像は唐突に切り替わるので、それぞれのストーリーを追うことが難しいんだよね。

会場にはその映像のカラー写真と、もう一枚そっくりなモノクローム写真が並べて展示されている。
これは一体どういうことだろう?
「デイ・イズ・ダーン」についての説明もワタリウム美術館から引用させて頂こう。

「デイ・イズ・ダーン」は「課外活動再構成#2−#32」の総称です。
ケリーは、もともと1日1つの映像で1年間に365になるマルチメディア大作として構想し、生涯この作品を作り続けましたが、計画全体が完了することはなく、今回ここに展示した31作品が全てとなりました。

31の映像作品が並んでいたってことなんだね?
ではあのカラー写真とモノクロ写真の意味はなんだろう。
ワタリウム美術館の説明を読むと、どうやら高校の卒業アルバムや地域の新聞からとった放課後の「課外活動」のモノクロ写真の中から、あえて意味がないように思えるものをチョイスして、それを基に物語を作っているのだという。
ダンスの原案や音楽、シナリオテキストなどすべてがマイク・ケリーによるものとのこと。
一枚の写真からインスピレーションを受けて、映像を作っていたということなんだね。
それにしてもまあ、よくもここまでそっくりに再現するよね。(笑)

マイク・ケリーは「トラウマ」をテーマに作品制作したという。
階級やジェンダーなどのマイノリティに対する差別、トラウマや暴力、性などを題材に痛烈な皮肉やユーモアを交え作品として発表しているという説明を聞いて納得する。
SNAKEPIPEが吹き出してしまったのは、「痛烈な皮肉やユーモア」だったからね!

全部を観たわけではないけれど、登場人物がヴァンパイヤやグール、悪魔などのホラー系が多いんだよね。
目の周りを黒くしているようなゴシックっぽい化粧もよく見かけたよ。
元の写真は例えばハロウィーンや何かしらのイベントなどで撮られたものなんだろうね?
これだけ集まると、まるで黒魔術や悪魔崇拝者の集いのように見えてしまうよ。(笑)
アメリカの典型的な儀式をベースにして「偽りの記憶」を捏造した作品が「デイ・イズ・ダーン」ということになるみたい。
SNAKEPIPEはドギツい「お下品」な表現は好きなので、もっと観たいと思ったよ。
って下品好きを告白しなくても良いか。(笑)

会場2Fの天井から吊るされていたシルクスクリーンの作品は、色がとてもキレイだったね。
今回の展覧会は、残念ながら撮影が禁止されていたんだよね。
そのため左の画像は今回とは違う展示方法になっているものを採用させて頂いたよ。
マイク・ケリーがアイルランド系なのでシャムロック(クローバー)が使用されている、と書かれていたよ。
シャムロックとは葉が3枚に分かれている草の総称とのこと。
とすると、四葉のクローバーはシャムロックじゃないんだね?
アイルランドでは聖パトリックの祝日ではシャムロックや緑色の物を身に着ける習慣があると書かれている。
そのシャムロックをモチーフにしているけれど、愛国主義っぽくは見えないところがポイントかな。

ポップアートの表の顔がアンディ・ウォーホールならば裏の顔はマイク・ケリー、とワタリウム美術館に書いてある。
映画「ピンク・フラミンゴ」監督ジョン・ウォーターズがマイク・ケリーの親友だったと聞いて、更に「裏の顔」という表現に納得してしまう。
マイク・ケリーはドローイング、コラージュ、パフォーマンス、テキスタイルやビデオなど多岐に渡る作品を残しているという。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、2012年にオランダ・コッターは、この芸術家を「過去四半世紀の最も影響力のあるアメリカ人のアーティストの1人であり、アメリカの階級、人気のある文化、そして若々しい反乱についての刺激的な解説者」と述べている。

Wikipediaに載っていた文章を引用してみたよ。
こんな賛辞が送られているアーティストを今まで知らなかったとは!
今回は映像作品が中心だったけれど、ワタリウム美術館はこじんまりした美術館なので狭苦しく感じた。
キャパシティの問題もあり、作品の全てを落ち着いて鑑賞することができなかったのが残念。

マイク・ケリーの展覧会は複数回予定されているという。
次はどんなマイク・ケリー作品を観ることができるだろうか。
今後の展覧会が楽しみだね!

レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル鑑賞

【レアンドロ・エルリッヒ展のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

展覧会情報をチェックする際に、必ず確認する美術館がある。
例えば現在リニューアル中の東京都現代美術館や森美術館である。
ん?「必ず確認」と書いておきながら、森美術館で何の展覧会が開催されているのか覚えていない!
調べてみると「レアンドロ・エルリッヒ展」とのこと。
いやあ、失態だなあ。
昨年の11月から開催されていたというのに、全く確認していなかったようだ。
会期は終了間際なので、遅ればせながら春分の日に出かけることにしたのである。

春分の日は32年ぶりの大雪の予報だった。
それならば逆に外出を控える人が増えて、美術館が空くかも!と期待してROCKHURRAHと六本木に向かう。
10時の開館に間に合うように到着すると、森美術館入り口付近に人だかりがある。
同時開催されている「ジャンプ展」目当ての観客だろう、と列に近付いてみると、、、。
「レアンドロ・エルリッヒ展チケットお求めの方はこちらにお並びください」
係員が叫んでいる。
なんと!
行列を作っているのは「エルリッヒ展」で、「ジャンプ展」のチケット購入は待つ必要がない!
「エルリッヒ展」のチケットを買うための行列ができていたんだよね。
これには非常に驚いてしまった。

もしかしたらSNAKEPIPEの「雪で空いてるかも」という考えと、同じような思考パターンの人が多かったのか?
並んで待っている間に周りの会話が聞こえてきて、少しずつ状況が分かってくる。
春分の日が水曜日だったため、月火を連休にして東京観光に来ている人がいた模様。
そのスケジュールの1つが「エルリッヒ展」だったみたいだね。
学生が春休みに入っていたのも混雑の原因になっているようだった。
更に「エルリッヒ展」は2月末に観客動員数が40万人を超える大人気展覧会だった、ということ。
撮影が可能で、いわゆる「インスタ映え」する写真が撮れるというのが人気の秘密のようで。
これは益々、昨年中に鑑賞しておくべき展覧会だったなあ、と後悔するSNAKEPIPE。
本来ならば大人気企画には、できるだけ近寄らないことにしているけれど、今回は鑑賞することに決定。
ROCKHURRAHも快く付き合ってくれたよ!

結局チケットを購入するまで35分経過。
入場できるまでに2時間半待った2016年の「若冲展」に比べればカワイイものか?(笑)
あれだけ多くの人がチケット購入に並んでいたので、会場は押し合い圧し合いの大混雑だろうな、と覚悟する。
ところが、会場の内部はそこまで混雑していなかったんだよね。
これは嬉しい誤算だけど、あの人達は一体どこに行ったんだろうか。

展覧会の感想を書く前に、まずは簡単なレアンドロ・エルリッヒのプロフィールを紹介しよう。
1973年アルゼンチンのブエノスアイレス生まれで、現在45歳。
公用語はスペイン語だね。
南米のアート・シーンには驚かされることが多いので、今回も期待が高まるね。
1998年から1999年までテキサス州ヒューストンのアーティスト・イン・レジデンス・プログラムであるコア・プログラムに参加。
その後ニューヨークに移りニューヨークの商業ギャラリーで初めての展覧会を開催。
2000年にホイットニー・ビエンナーレに参加。
2001年には第49回ヴェネチア・ビエンナーレにアルゼンチン代表として参加。
それからも世界各国で2年に一度開催される美術展覧会である、ビエンナーレにはコンスタントに参加しているようだね。
20年以上に渡って世界的に活躍しているアーティストだけど、作品観たことあるかな?
2014年の「驚くべきリアル展鑑賞」は東京都現代美術館で開催されたスペインや中南米のアーティストの展覧会だったね。
今回のレアンドロ・エルリッヒ展の副題「見ることのリアル」と非常に似ているタイトルだけど、エルリッヒの作品も展示されていたのかな?
あまり記憶に残っていないんだよね。(笑)

エルリッヒの最も有名な作品は、金沢21世紀美術館にある「スイミング・プール」だって。
それはテレビで観たことある!(笑)
作品が大型のインスタレーションが多いためか、なかなか現物を鑑賞するのは難しいのかも?
今回はどんな展示になっているのかな?
作品は全て撮影オッケー!
森美術館のHPに記載されている「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の記載を忘れず、早速感想を書いてみようか。

「足元が暗いのでお気を付けください」と注意書きがされた会場は、本当にかなりの暗さだった。
中央には波止場(?)のような空間が広がり、何艘もの船が浮かんでいる。
浮かんでる?
暗さに目が慣れてきて、じっくり船を観察する。
これはどうやら水面に写った船影の部分まで作り込んでいる作品なんだね。
まるで水面を漂っている船のように見える錯覚を起こさせている。

撮影を続けるSNAKEPIPEに、
「真っ暗で何も映らない」
と嘆くROCKHURRAH。
何か設定がおかしいのか、せっかく撮影オッケーなのに残念なことになっている。
もう少し明るいところで設定を確認してみよう。 

レアンドロ・エルリッヒの作品はトリックアートなんだね!
次の作品からは「どんなトリックが仕掛けられているか」心して鑑賞することに決める。

10枚程度のアクリル板を重ねて、雲の形を国に見せる作品。
一枚一枚のアクリルはどんな状態だったんだろう?
重ねて正面から見ると立体的な雲に見えるから、あら不思議!(笑)
やっぱりこれもトリックアートなんだよね。
日本人には一番馴染みがある日本の雲を載せてみたけど、国は他にフランスやイギリスもあったよ。
ネットで検索すると、室内にぽっかり浮かんだ雲、という作品を発見した。
画像だけなので詳しくは分からないけど、同じ仕掛けなんだろうか。
アクリル板が見えないと、奇妙な印象が強くなるよね。
この雲に動きが出たら、もっと楽しいかも?
技術的には不可能ではない気がするよ。

ここでROCKHURRAHは設定ミスに気付いたようだ。
なんと「自撮りモード」にしてたらしい!
それでは作品を撮影できるはずないよね。(笑)

SNAKEPIPEが一番最初に海外旅行に行ったのは、かなり昔のことだ。
場所はニューヨーク!
長年来の友人Mと一緒に行き、ニューヨーカー気分を味わえるように、コンドミニアムを選択したのだった。
キッチンがついていたけれど、実際には食材を買って調理することはできなかった。
オーブンとか使い方が分からなかったからね。(笑)
寒い時期に旅したので散歩や買い物に出る以外は、窓辺に座って町並みを見ていることが多かった。
そこで気付いたのは、海外の人ってカーテンやブラインドを閉めないってこと。
室内が丸見えなのに、無頓着なんだよね。
エルリッヒの「眺め」という作品は、丁度そのニューヨークで見た景色とダブって見え感慨深かった。
あの時感じた疎外感や世界的に有名な都会で暮らす人々への羨望、どんな暮らしぶりなのか知りたい欲望などが蘇ってくる。
ニューヨークでは考えもしなかったけど、こちらから見えるってことは、あっちからも見えてるんだよね。(笑)
作品には、あっちから覗く人はいなかったのかな?
「見る/見られる」を考えさせられる作品だったね。 

この作品は、どうしても他のお客さんが映り込んでしまうため森美術館のHPからの画像を載せさせて頂くことにした。
SNAKEPIPEは撮影しなかったからね。
手前の教室にはリアルな存在が、そして奥にはまるで亡霊になったような薄い自分を発見する。
たまに電車やビルのガラスに、薄ぼんやりとした人影を見つけてギョッとすることがあるけれど、似た感覚だよね。
行ったことないけど、もしかしたら「おばけ屋敷」にも同じようなアトラクションありそうな気がするよ。

この作品も上述の「教室」と同じ理由で、SNAKEPIPEは撮影しなかった。
あり得ない場所に複数の自分を見る。
例えば左の画像では右側と左前方に同じ男性が見えるよね。
簡単な鏡のトリックなんだけど、驚きと共にゾッとする感覚がある。
鏡を使ったアート作品で思い出すのは、2017年正月に鑑賞した柳幸典の「ワンダリング・ポジション展鑑賞」での「Icarus Cell」だね。
同じように鏡の角度を変化させることにより、自分の姿を確認できなかったり、思わぬ場所に自分が映っていた。
「Icarus Cell」は薄暗い照明の中が迷路になっていたので、より一層不安な気分になったっけ。
「異次元に迷い込んだよう」と表現していたSNAKEPIPEだよ。

柳幸典の「Icarus Cell」の迷路に似ていたのが、「試着室」だったよ。
いくつもの同じ仕様の試着室が並ぶ中を、自由に行き来することができる。
どれが鏡で、どこまでが空間なのか判断が怪しくなってくる。
手をかざして空間の広がりがあるのかどうか、目の前に自分の姿が映っているのかを確認しないと前に進むことができない。
ここから本当に抜け出せるのか?と不安になってしまうのである。
最終的には出口にたどり着けるけれど、方向音痴のSNAKEPIPEにとっては恐怖体験だったよ。(笑)

ブラックユーモアの作品もあるんだよね。
これは根っこが生えた実物大の家をクレーンで吊った作品の模型ということになるのかな。
実物の作品はさすがにここにはなくて写真展示のみだったので、模型を撮影したよ。
「家シリーズ」は他にも「溶ける家」や「ファニチャーリフト」という空に向かう長い階段がある家など「んなバカな!」と笑ってしまうような作品があった。
鏡を利用して覗いている人が映る仕掛けの建造物も面白かったね。
実際に体験しないと、写真や模型では面白さは半減だろうな。

以前より、現代アートに言葉は要らないと思っているSNAKEPIPEなので、観て解る作品は大賛成だね。
この作品の実物大を観てみたいよね。 

今回の展覧会で一番人気だった作品「建物」の模型ね。
レアンドロ・エルリッヒ展のポスターになっている作品は、仕掛けを知らないで見ると重力に逆らっている瞬間を撮影したものかと勘違いしてしまう。
SNAKEPIPEはポスターだけでは意味が分からなかった。
その全貌を知ることができるのは、床と斜めに掲げられた鏡を見てから!
寝転んでいる人を鏡に写すと、まるで窓に張り付いているように見えてしまう。
この視覚効果が展覧会入場者数を増やした原因で、自分が寝転び作品の中に入り込んだ写真を撮り、SNSにアップするのが目的だったみたいで。
これは森美術館の作戦勝ちかな。(笑)
それにしても、肖像権がどうのとうるさいことを言う人が多い昨今なのに、こういう時に他人の写真に映り込むのはオッケーなんだ?と少し冷めて見ていたSNAKEPIPEだよ。

「覗き」や「鏡」というと連想するのは江戸川乱歩!
延々と連なる鏡の中の鏡の世界は正に無限の鏡地獄。
覗く、という行為からは「押絵と旅する男」を思い出す。
双眼鏡で覗き見るシーンがあるからね。(笑)
SNAKEPIPEが独自のエルリッヒと乱歩の共通項などを喋りながら美術館を出ると、外は吹雪になっていた!
横殴りの雪が体にまとわりつく。
東京タワーの先端が霞んで見えなくなっているのが印象的だった。
こんな悪天候の日だったけど、鑑賞して良かったね。
南米のアートは、期待通り面白かったよ!(笑)

森美術館キュレーターが「レアンドロ・エルリッヒの現代アートとトリックアートの違い」について語っているインタビュー記事を読んだ。
「仕掛けを全部見せるかどうか」
が決めてで、その違いによりエルリッヒの作品は現代アートなんだって。
SNAKEPIPEはトリックアートを集めた美術館に行ったことがないので、どこまで仕掛けが見えているのかどうかを知らない。
そのためそのキュレーターの言葉がいまいちピンとこないんだけどね?
エッシャーやアルチンボルドのだまし絵はアートで、トリックアート美術館は不思議体験ができるアトラクションとして扱われているのかな。
その違いについてはよく分からないなあ。

自分が作品に入り込み、それを撮影することができる参加型・体験型の展覧会だったエルリッヒ展。
SNAKEPIPEやROCKHURRAHは、自分が写った写真をアップすることに興味がないし、今回のブログにもその手の写真は載せていない。
そもそも撮ってないからね。(笑)
自分が写りこんだ写真を撮ることに熱心な人がいかに多いことか。
これは世界的に同じ傾向なんだろうね。
自己愛の強さなのかな?

大勢の人がアートに関心を寄せて鑑賞するのは良いことだと思う。
ただ、鑑賞にはルールがあることを知らない人も多かったように感じた。
模型を触ろうとする何人もの人が、係員に注意されていたのを目撃したからね。
寝転び撮影する「建物」では「譲り合ってください」と何度もアナウンスが聞こえてきた。
自分が納得する写真を撮ることに夢中になり、他の人が順番を待っていることにはお構いなしなんだろうね。 
最低限のルールやマナーを守れない人は、本来は入場してはいけないように思うけど、どうだろうか。

2時間半並んだ「若冲展」について書いたブログの最後に載せていた文章がこれ。
「展覧会は早めに行くこと!」
ああっ、この教訓胸に刻むべし!(笑)

会田誠展 GROUND NO PLAN 鑑賞

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【会田誠展入り口を撮影。まるで隣のレストランが主役みたいだね】

SNAKEPIPE WROTE:

大ファンの作家、鳥飼否宇先生から「会田誠展」に関する情報を頂いたのは先週のことだった。
鳥飼先生は既に鑑賞されたというではないの!
鳥飼先生って奄美大島にお住いなのよね?
それなのに東京や横浜はおろか、海外にまで 軽いフットワークでいらっしゃるんだもの驚いてしまう。

教えて頂いた時には、鳥飼先生に「残念ながら行かれそうにありません」などと答えていたけれど! 
鹿児島県よりは会場である青山に近い住まいのROCKHURRAH RECORDS。
なんとか会期の最終日に時間を調整して出かけることにしたのである。

一桁の気温の翌日は桜が咲く頃の陽気になったりする2月の後半。
日頃の行いが良いせいか、「会田誠展」最終日は晴れて気温が高い日だった。(笑)
会場は方向音痴のSNAKEPIPEでも迷わないで行かれる程、表参道交差点から近い良い立地!
会場である青山のクリスタルビルというのは、普段は何をやっているところなんだろう?
しかも入場無料なんだよね!
これは一体どんな企画なんだろう。
調べてみると「公益財団法人 大林財団」が2017年にスタートさせた「都市のヴィジョン-Obayashi Foundation Research Program」という、アーティストに理想の都市のあり方を提案・提言してもらう助成制度だという。
そしてめでたく第1回目のアーティストに決定したのが「まこっちゃん」こと会田誠だということなんだね。
テーマが都市だったから、ジオラマが多く展示されていたわけだ。
大林財団、やるなあ!(笑)
SNAKEPIPEが知らないだけかもしれないけど、日本の企業ってあまりアートに力入れないように思って。
こういう企業が増えると日本も変わってくるんじゃないかな?
ましてや「美術界の過激派」(SNAKEPIPE命名)である会田誠を選択するというのは「何やらかすか分からない」と、ヒヤヒヤする企業が多いはず。
そんな危険(かもしれない)を顧みず、展覧会を実施した大林財団に拍手を贈りたいね!(笑)

会期最終日の土曜日。
さすがに会場内は人がいっぱい!
撮影はOKだというので、撮れる限りバシバシ撮影してきたよ。
とは言っても、今回は「都市のヴィジョン」だからね。
展示されていた作品の半分は、画像のような会田誠の文章(思想?)だったので、本当は作品を鑑賞するためには、文章全てを読む必要があるんだろうね。
でもね、なにせ人が多い。
みんな同じように感じて読んでるからね。(笑)
動かないのよ、前面から。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHも、人の隙間から目に入る文章は読み、会田誠が何を言いたいのか、ある程度は理解したつもり。
右の画像ではスラムについて語っていたんだよね。
レゴブロックみたいに家を作るのは面白いけど、ライフラインや衛生面はどうなるのかな、とSNAKEPIPEは考えてしまったけど?

左の画像は遷都計画についての立て看板ね。
東京から北海道に遷都してはどうか、という提案をしている。
会田誠が本気で言ってるのか、単なる思いつきなのかは不明だけど、「会田誠展」を鑑賞する前日に聞いて驚いた話がある。
SNAKEPIPEの勤め先でのこと。
2018年3月から会社を移転します、という通知が取引先の会社から入ったのである。
今までは東京にあった会社を北海道に移転する、というのだ!
その話を聞いた時には「会社の社員、全員が北海道に移住するんだろうか?」と疑問に感じたけど、引っ越しするんだろうね?
実際にそんな話を聞いた後で、会田誠の北海道遷都計画を観たので、
「本当にそういう会社もあるからねえ」
と冷めているSNAKEPIPE。
本来であれば突飛なアイデアだと思うはずだけど。
会社が北海道やアラスカに移転と言われたら、あなたならどうする?(笑)

ダンボールで城を作り、都庁の前に置いた作品「新宿城」は面白かった。
実際にダンボール城を置いて、下から見上げるように撮影したんだろうね。
撮影しているところを目撃したら、かなり怪しい人に見えるだろうな。(笑)
山口晃の「都庁本案圖」も、都庁を城にしてはどうか?という提案を描いていたね。
この山口晃というアーティストについて、ほとんど知らないよ。
調べてみようか。

1969年東京生まれ
1994年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1996年東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了
1997年、会田誠に誘われ「こたつ派」展に参加

おっ!ここで会田誠とつながるわけね!(笑)
検索してみると、浮世絵や大和絵に和洋折衷でレトロや現代のハイブリッドなモチーフを取り込んだ興味深い作品を発表しているようで。
このアーティストの作品も鑑賞してみたいね。

新国立競技場の設計に関してモメにモメたのは2015年?
最初に決定していたイギリス人建築家ザハ・ハディッド氏の作品に対して、森・元首相が「生牡蠣がドロっとたれたみたい」と発言していたっけ。
こんなことを言う人が日本を背負っていたとはね。
その森・元首相だったら、右の画像「東京オリンピック2020メインスタジアムのイラスト」について何と発言するだろうか?
まさかと思うけど、放送禁止用語言っちゃったり?(笑)
そんな想像をしながら鑑賞していたSNAKEPIPEだよ!

とても美しかったのは「セカンド・フロアリズム イメージ映像」だったね。 
全部で何台あったのか不明だけど、様々なスライドが大きな日の丸の旗に映し出されていた地下2F中央。
スライドに何が写っていたのか全部は確認できなかったけれど、 民家や植物を見ることができた。
瞬間でそれぞれのスライドが変わってしまうため、動体視力に優れた人以外は「なんとなく」しか観られないんじゃないかな。
色合いや雰囲気だけでも、その場所を堪能できたように思う。

既存の物や作品をおちょくるような、パロディ作品を展開するのが得意な会田誠らしさが満喫できたのが右の画像。
描かれているのは「エヴァンゲリオン」に登場するキャラクター達だよね。
「発展途上国から始めよう」と題された、前述した「セカンド・フロアリズム」 のテーマに沿った作品なんだよね。
会田誠が全体を通して伝えようとしているのは、まるで村上龍の「愛と幻想のファシズム」で、主人公・鈴原冬二が「狩猟時代に戻ろう」と言ってるのと同質なのかな?
もっとシンプルに生活しようよ、ということなのかなという気がするけど、どうだろう。

「シン・ゴジラ」をパロディにした「シン・日本橋」や沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」を替え歌にして会田誠本人が熱唱していた「アーティスティック・ダンディ」の動画など、「いかにも」会田誠らしい作品で笑ってしまう。
ちなみに「ボギー、あんたの時代は良かった」の部分は「ボイス」になっていたね。
ヨーゼフ・ボイスは名前は当然のこと、代表作はいくつか知ってはいるけれど、、、。
スーツだけ観ても分からない。(笑)
このブログで何度か書いているけれど、解説を読んだり解釈について説明を受けないと理解できないアートには、あまり興味がないんだよね。
もしかしたら会田誠は、その辺りを茶化して歌詞にしていたのかもしれないね?
だから「アーチストがピカピカのサギでいられた」なのかも。 (笑)

トップにした画像は、本当は会場入口全体を撮りたかったけれど、入場制限がかかり入り口から通路にかけて行列ができていたため、ズラして撮影したもの。
そのため隣のレストランを撮影しているようになってしまったよ。(笑)
いくら入場無料とはいえ、会田誠の人気がよく分かるよね。
入場制限かかる前に、入れて良かったよ。

様々な展覧会に行くけれど、今回の会田誠展ほど観客の年齢層が低かったのは初めてかも。
30歳以下に見える若者ばかりだったんだよね。
マナーも良かったように感じたけど。(笑)
会田誠が、いかに若者からリスペクトされているのかを目の当たりにしたよ。
世界情勢や政治的な問題に関して、詳しくないSNAKEPIPE。
会場に来ていた若者達はどうなのだろう。
それらの問題をモチーフにした作品を発表することがある会田誠の口から出るのは、シンプルな言葉で理解しやすいように思う。
わかりやすいメッセージを伝えるからこそ、若者の支持を集めているのかもしれないね。 

入場無料ですがボリュームありますよ、と鳥飼先生から教えて頂いた通り、地下1Fと2Fでの展示は見応え充分だった。
最終日に鑑賞できて良かったなあ!(笑)
鳥飼先生、情報頂きありがとうございました! 

映画「エンドレス・ポエトリー」公開記念 特別企画 鑑賞

【「エンドレス・ポエトリー」のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

2017年後半はROCKHURRAH RECORDSにとって大事なイベント満載の年なのである。
8月から放映が開始したデヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス The Return」を皮切りに、10月27日より公開されている「ブレードランナー2049」、そして大トリは11月18日に公開が決定しているアレハンドロ・ホドロフスキー監督の新作「エンドレス・ポエトリー」!
恐らくSNAKEPIPEと同じように「うひうひ」の人多いんじゃないかな?
「ツイン・ピークス」は25年、「ブレードランナー」は35年という月日が経っての続編なので、待ち望んでいるファンというのは、当然中高年が大半だろうけど。(笑)
「ブレードランナー2049」は近いうちに鑑賞するので、その後ブログにまとめる予定である。
「ツイン・ピークスThe Return」も後半に入ってきて、だんだん話が繋がってきている。
最終章の放映予定は12月1日なので、ブログにまとめるのはそれより後だね。

そしてホドロフスキーの新作公開である11月18日を待たず「公開記念」として、映画の撮影メイキングやインタビュー映像を上映する企画があるよ、と教えてくれたのは長年来の友人Mだった。 
渋谷にある「アツコバルー」 は、2014年9月にも「二人のホドロフスキー 愛の結晶展 鑑賞」として記事にまとめたことがあるギャラリー。
アレハンドロ・ホドロフスキーも会場に足を運んだ、という話も聞いたっけ。
今回もドローイングの展示・販売を行い、更に動画を上映しているという。
11月5日までという日にちが迫った中で、なんとか友人Mと日程調整し、 会場に向かったのである。

「アツコバルー」は入り口で靴を脱いで、靴下のまま展示会場を歩くという認識だったので、友人MもSNAKEPIPEも脱ぎ履きしやすい靴を選んで行ったのに!
なんと床を張り替えたとのことで、土足オッケーに変わっていたことに衝撃を受ける。
2016年7月に「エロトピア・ジャパン」を鑑賞した時には靴脱いでたよね?
一体何時の間に…。(笑)
脱がないで済むほうが楽なので、良かったね!
会場は撮影もオッケーとのこと。
これも良いね!

今回の「アツコバルー」は塙将良というアーティストの作品も展示されていて、会場の入り口から近い最初の展示として鑑賞することになる。
かなりどぎつい色彩に目を奪われてしまう。
勝手に命名させて頂くなら「土偶meetsサイケデリック」って感じかな?(笑)
塙将良って人、初めて。
ちょっと調べてみようか。
1981年茨城県生まれ、ということは、現在35歳くらい?
美大を卒業したのではなく、水戸美容専門学校卒業というので美容師さん志望だったのかな。
アート系のアカデミックな教育を受けていないのかもしれないね?
気になるのは、2009年に鳥取県境港市認定妖怪博士に就任しているところ。
これは一体なんだろうか?

「境港妖怪検定」は、妖怪の権威・水木しげる先生の妖怪考察を通じて高めた妖怪に対する知識を、「妖怪博士」として公式に認定するご当地検定。 

残念ながら国家資格ではないようだけど、「ゲゲゲの鬼太郎」ファンのSNAKEPIPEにとっても、興味のある検定だよ。
サイトには初級と中級のサンプル試験問題まで準備されていて、見ているだけでも面白かった。
京極夏彦は上級の妖怪博士になってるかなあ? (笑)
塙将良の作品を観て「縄文」を感じたSNAKEPIPEだけど、もしかしたら「妖怪」だったのかもしれないね。
そして2009年から個展を開いているようなので、精力的に活動しているアーティストみたい。

土着的な雰囲気と強烈な色彩の洪水は、めまいを起こしそうになるほどエキセントリックだった。
ブログと題されたHPで初期の頃からの作品を観ることができるけれど、土偶(もしくは妖怪)らしき本体(?)の周りにあった隙間(空間)がどんどんなくなって、現在のようなサイケデリックに変化していく様子が興味深い。
映画「薔薇の葬列」の中に出てきた展覧会に、似た雰囲気の絵があったことを思い出す。
あの絵はモノクロームだったけどね。
そう考えるとやっぱり60年代のサイケデリック・アートが近いのかもしれないな。

立体作品も面白かった。
こちらのほうがまさに「縄文時代」って感じだったからね。
妖怪と土偶のハイブリッド!(笑)
右に小さく載せたのが、本物の土偶だけど、雰囲気近いよね?
値段の表示があり、販売をしている。
72000や100000と書いてあるので72,000円とか100,000円なんだろうね。
ちょっと無理をすれば手が出せる金額だけど、この立体作品が似合う部屋ってどんな部屋だろう。
1体でも部屋の印象が変わってしまうほどインパクトがあるからね。
岡本太郎が観たら、どんな感想を持つだろう。
SNAKEPIPEと同じように縄文を感じることができるだろうか?

もう一つの会場では2014年に「2人のホドロフスキー」として展示されていたドローイングを再び鑑賞する。
色がとてもキレイなんだよね。
じっと観ていると、意味を考えたくなる絵。
販売をしていたけれど、さすがにこれは買えないなあ。
せめて画集があったら欲しいんだけどね。
大きなスクリーンに「エンドレス・ポエトリー」のメイキング映像が流れている。
ドローイングを鑑賞しているうちに、ホドロフスキーのメッセージ動画が始まった。

私はもう88歳で、死にかけている。
間もなく肉体は滅びる。

私は映画で、多くの観客を惑わせるのではなく、自覚させたい。
芸術は人に向かって扉を開き、その中に人は自己を見出す。

インターネットで検索すると出てくるのがこれらの言葉である。
メッセージ動画からの抜粋なんだろうね。
「死にかけている」なんて聞くと涙が出そうなくらい切なくなるけれど、実際88歳だからね。
メッセージ動画の中でも「100歳まで生きたとしても12年しかない」と言うホドロフスキー。

映画と芸術、そして人生についてのホドロフスキーからのメッセージは貴重で力強いものだった。

多少記憶違いはあると思うけど、気になった言葉を備忘録として断片的に書いていこう。
・ふりをする
「良い人のふりをする」「良い父親のふりをする」というように、「演じている」といつの間にか、それが真実の姿になっていく、と言う。
SNAKEPIPEはどんな人物を演じていこうか、考えてしまった。(笑)

・人生について強く願う(念じる)こと
念じる、という力については例えば「なりたい自分になるため」なんてハウツー本にありそうな言葉だけど、周波数を合わせて回路を開く作用があると思うので、念じることや強く願うことの有効性は理解できる。
昔よくこの手の本を読んだなあ。

・動物と人間の違いは芸術を理解できるかどうか
人間として生きるには芸術が必要ということは、SNAKEPIPEが子供の頃から聞かされていた言葉だったので、同じセリフを聞いたな、という感想を持った。

・芸術を理解しないで良いなら3D映画でも観て喜んでいればいい
「3D映画」というのはアメリカのハリウッドに対しての批判だと思う。
これは敬愛する映画監督デヴィッド・リンチも全く同じことを言っていて、断筆宣言ならぬ断映(写?)宣言までしちゃってるくらいだからね。
今回のホドロフスキーは寄付を募って映画を完成させているので、リンチもこの方法で映画が撮れるかもしれないよね?
結局商業主義で興行ランキングだけで、映画の良し悪しを決定している映画界にNOを突きつけているわけだからね。
アート作品としての映画が撮影できる環境(資金)が整えば、また映画の世界に戻ってきてくれるのではないか、と期待しているSNAKEPIPEなのである。 

このメッセージ動画、「エンドレス・ポエトリー」のDVD販売の時に特典映像で入れて欲しいな。
ホドロフスキーの芸術に対する信念は、これからのSNAKEPIPEの人生に大きな影響を与えてくれそうだ。
座右の銘ならぬ、座右の動画になりそうだよ。(笑)
そしてホドロフスキーにはまだまだ作品を作って欲しい!
まずは来月公開の「エンドレス・ポエトリー」鑑賞が楽しみだ。