がっちりBUYましょう!vol.11 SUBDUED編

【地味で目立たないサブデュードな部隊章たち。派手好きは一流兵士になれないのか】

ROCKHURRAH WROTE:

何とこのシリーズ記事も本当に一年ぶりとなるので、書く前から自分で呆れ返っている。
これはウチが買ったさまざまなアイテム(主に着用するものが多いな)について割といいかげんな紹介をするというシリーズなんだが、わざわざ書けるようなシロモノをあまり買わないので、そこまでの頻度で書けないのが弱点。にしても一年も放ったらかしにしておくとは。
質素倹約で何も買わないわけでもなく、むしろ一般的には無駄なんじゃないか?と思えるようなアイテムを奇妙なこだわりで増やし続けてるというのに、人様に紹介出来るようなのは本当に少ないなあ。

そんな中、少しでも何か書けそうなものをピックアップしてみたよ。
今回もまたまたタクティカル系になってしまった。
知らない人は一生知らずに済むジャンルだが、ミリタリー系の中でも近代的なもの、特殊部隊や傭兵が着てるようなものをこの手の世界ではタクティカル・ウェアという呼び方をする。

世界的に有名なウッドランド迷彩から発展して現代では一般的な人が知らない迷彩がウヨウヨ蔓延しているという時代。ROCKHURRAHは近年の主流だったマルチカムはいくつか着用したりするが、それより後の時代のはほとんど着ない。というより似合わない。例外的にイギリス軍のDPM迷彩は割と似合うと自分では思っているが、基本的には迷彩服はあまり着ないことにしている。
だからその手のタクティカル・ウェアーを買う時も街着で違和感ない無地のオリーブドラブや黒のものを選んでしまう。

今回はたまたまファントム秋葉原ラジ館店で買ったものを紹介してみよう。ファントムと言えば東京のミリタリーショップでも大手、昔から渋谷にもあったし横田基地のすぐ近くにもある。東久留米とかになるとウチからかなり遠いので(横田も遠いが)なかなか足を運ぶ事ができないけど、それがROCKHURRAH家の最寄り駅から電車で一本で行ける秋葉原に2店舗もあるから「今度行ってみよう」と夏くらいから話していた。しかし秋葉原に行くような機会がそれからなくて、やっと今頃行って来ましたよ、しかもまんまと物欲に負けて買ってしまったよ、というのが今回の品物。

季節柄、二人ともクリスマス・プレゼントを考えていて、SNAKEPIPEにあげるものは実は事前にあっさり良いものが見つかっていたのだ。
しかしROCKHURRAHの方が案外難しく、直前に考えていたものが全然雰囲気に合ってなかったのでキャンセルして、何か他にないか考えていた。
探していてたまたま見つけたのがこれからの季節に重宝しそうな防寒ジャケットだった。
それがファントムのサイトで大々的にプッシュしているサブデュードというメーカーのもの。うーん、今まで全然聞いたことないメーカーだけど、商品紹介のページを見ていると、なかなか良さげに見える。
ファントムだったら近くにあるから見に行って試着してみよう、という事でやっと秋葉原に出かけたわけだ。

サブデュードはまだ新しいブランドで作ってるアイテムも少ない。
大まかに書くとゴアテックスっぽいハードシェル防水ジャケットとソフトシェル、中綿入りのジャケットの三種類がメインだ。
ROCKHURRAHがいいと思ったのはプリマロフトと呼ばれる中綿が入ったダウンジャケットっぽいもの。
英国軍御用達のSNUGPAK(スナグパック)というメーカーの薄手の中綿ジャケットはかなり前から愛用していて、防寒性抜群なのは実証済みだった。このメーカーのはソフティという中綿だったが、プリマロフトは米軍の要請で開発された人口羽毛でダウンの8倍も暖かいとのこと。本当かよ。
ソフティはかなりマイナーだがプリマロフトの方はワイルドシングスやヒステリック・グラマーが好んで採用しているな。
軍用や宇宙開発とこういった新素材の発明は密接な関係にあって、世界のあったか衣料や防水衣料が進化したのもそういう開発のフィードバックなんだろうね。何はともあれ、昔よりは格段に選択肢が多いのは歓迎するよ。

さて、ファントム内部の事とか途中を全部省略してしまったが、試着してみて気に入ったのがこの写真のもの。AMBUSH(待ちぶせ)などという名前がついたジャケットで石川ひとみの顔が脳裏を横切る。
持ってるSNUGPAKのパーカと似たような感じだが、こちらの方が分厚くて丈も長い。ダウンでパンパンに膨れ上がったのは嫌いだから、割とスマートなシルエットなのが気に入ったよ。同じSNUGPAKの最強防寒ジャケット、サスカッチはマイナス10℃までの寒さに耐えられるというけど、昔試着した時は一番小さいサイズでもブカブカでかなりデブに見えてしまったからな。このサブデュードのものはどれくらいの寒さに耐えられるか不明だったが、この肉厚さなのに比較的細身という作りは本格的ミリタリー・ウェアにはない魅力だから、すぐに購入(というかプレゼントで買ってもらったわけだが)を決めたよ。

ポケットも豊富で両方の胸に縦のジッパー・ポケット、ハンドウォーマーと合わせて外側に4つ、内ポケットも両サイドに大きめのがついてて、脇の内側にはカイロポケットまである。この辺は日本のメーカーっぽいな。
残念なのはハンドウォーマー用のポケットが予想より小さくて深さもあまりない事。さらにジッパーが女性用のジャケットに多いまっすぐ縦向きについてる事。
タクティカルやアウトドア系ではここのポケットは斜め向きのものが多いと勝手に思っている。縦一直線ではジッパーを閉めない時は中のものが落ちてしまう場合があるんだよね。
深みのあるスナグパックのものを参考にして欲しかったよ。ジッパー自体ももうちょっと強力そうな方が良かったかな、ちょっとレディースっぽいな。

買ってすでに何度もかなり寒い日に着たが、防寒性防風性は申し分なし、前のジッパーも首の上の方まで閉まって良いね。表面もダウンでよくあるペラペラの光沢ナイロンではなく、ちゃんとリップストップ・ナイロンになっていて、この辺がただのダウンと違うところ。撥水性も多少はありそうだし、質感もいいよ。
街着のダウンともう一つ違うところは、タクティカル系ジャケットではおなじみの腕から脇にかけてジッパーが付いていて、これを開けるとベンチレーションが出来るという点か。防寒ジャケットは室内に入るととたんに汗だくになる欠点があるけど、そういう時の換気が出来るという機能ね。ただし閉め忘れて全開のまま電車の吊革につかまると内側が丸見えでちょっと変態っぽくなってしまうから注意。 裸にAMBUSHジャケットはやめよう(当たり前)。

今年の冬は寒い日が多いけど、これを着てる時の安心感は素晴らしい。
本来は毎日同じ上着を着ない事で一部有名なROCKHURRAHなんだが、寒さに耐えられず続けて同じジャケットを着てしまうくらい気に入ったよ。暖かくていい感じのジャケットをプレゼントしてくれてありがとう、SNAKEPIPE。

余談というか何と言うか、ここで話が終わらないのがROCKHURRAHのいつものパターン。
サブデュードのウェブサイトを見ていた時に発見したんだが、このメーカーはタクティカル系では珍しく、レディースのソフトシェル・ジャケットも販売している。
例えばアメリカだったら女性兵士も女性FBI捜査官もいるし、需要があるからその手のメーカーも女性用を作っているのは確か。タクティカルの大手5.11でも必ず女性用はカタログに載っている。しかし日本ではそういう需要もない=売ってないという事で華奢なSNAKEPIPEはいくら自分の好みがあっても男物のブカブカな服しか手に入らなかったのが現状。本格的な服でレディース出してるだけでも拍手ものだよ。これは試着してみるしかない。
そしてSNAKEPIPEが試着してみたところ、確かにソフトシェルとしてはかなり細身、それでもちょっと着丈は長いが、メンズを着るよりはずっと良いと思える。

実はアークテリクスの細身ソフトシェルを持ってて、その防風性、実用性は良く知ってた。が、やっぱり本当にタクティカル・ジャケットのディティールで作られたものじゃなかったから、これを見て一目惚れする気持ちはよーくわかるよ。遂に誘惑に負けてしまって、プレゼント用と自分用のまでお買い上げとなったわけだ。

Bellatrix(女戦士)というそのまんまな名前がついたジャケット、これは細身の男性用ではなくて、本当にレディース仕様のソフトシェルだ。ROCKHURRAHが買った中綿タイプではなく伸縮性がある生地で裏側が薄いフリースというもの。防寒性はそこまで高くないが暖かいものと重ね着することにより威力を発揮する。夏以外の3シーズンは着用出来るという高機能上着なので真冬しか着れないROCKHURRAHのよりは汎用性が高い。いいなあ。

アウトドア系のソフトシェルではおなじみの胸の縦ポケットはついてないが、その代わり大きく斜めに切れ込んだメインのポケットが結構な容量があり、さらに内部もコンパートメントがある。いいなあ。
TAD GEAR(この手のソフトシェルの元祖的存在)やコンドルなどの典型的ソフトシェル・パーカーと同じように左袖に小さなポケットもある。ROCKHURRAHにとってはほとんど実用性はなかったが、こういう意味のない小さなポケットが「かわいい」とのこと。リップクリームなどを入れるのにちょうど良いらしい。おお、実用性あるではないか。いいなあ。

そしてやっぱりお約束、腰の後ろ側両サイドにジッパーがついてて、これと両サイドのメインポケットを開けるとベンチレーション機能もバッチリ・・・とカタログには書いてあったが、これは本当に開くと内側丸見えで、女性で開く人は滅多にいないでしょう、の世界。
上記のTAD GEARタイプの(全く同じデザインのものが多数出回っている)ものはこの部分がちゃんと手袋などを入れるポケットになっていて、意外と役に立ってたのに、この辺はメッシュ張るとかもうちょっと考えて欲しかったね。
内側にはポケット類もなく「女性はポケットにじゃらじゃらものを入れない」ってことはわかってても、あるとないとではやっぱり大違いなんだよな。使うとか使わないではなくてね。

欠点はあってもSNAKEPIPEもとても気に入ったようで良かった。
ROCKHURRAH家は二人の趣味がほぼ一緒ということもあって服装もいつも似通っている。実は意外とお揃いの服が多く、ペアルック率も高いのだ。今回も一緒に着れて良かったね。

関係ないけど、買ってはじめてわかったこと。
SUBDUEDタグの裏側にKIWAの文字があり、どこかで見たことがあったと思ったら際コーポレーション、つまりはファントムの親会社でないの。ここが新しく作ったブランドだったわけね。ファントムで一押しするわけだ。

ただ褒めるだけなら誰でもできるから敢えて厳しい点も書いたが、開発者が謎の元米兵とかじゃなくて、日本人ならどこかでこの記事が目に入る事もなくはないだろう。
これを踏まえて改良して来年にはもっとより良い本格派タクティカル・ウェアを開発して欲しい・・・というのは建前で、本心は改良されてるのがすぐ出回ったら自分たちがかわいそうだもんな。何年かして新しいのを買いたくなった頃にはより良い品が手に入ればいいな。

ではみなさんも楽しいクリスマスになりますように。

がっちりBUYましょう!vol.10 クリスマスもミリタリー編

【時代を超えてカッコイイ。キリッとした海の男たち勢揃い】

ROCKHURRAH WROTE:

あまり買い物をしないROCKHURRAHとSNAKEPIPEなんだが、お互いの誕生日とクリスマスには人並みにプレゼントをし合うのが毎年の恒例。
買い物をしない、などと書くとちょっと殺伐とした人柄とか生活を想像してしまうだろうが、そういうわけじゃなくて「これは!」と思えるほど気に入ったものが少ないか、あっても高くて即座に買えないというだけの話。作れるようなモノは自作してしまう事も多いし。

あれが欲しい、と明確なものを持っているわけじゃないからクリスマスの時には何となく欲しいものがありそうなところに行って、何となく思いつきで欲しいものを買ったりしているのが毎年の事。
しかし今年は珍しくお互いに明確な欲しいものが見つかったので気が早すぎるがお互いのプレゼントにする事にした。いつものように直前になってアタフタしなかったのは良かったが、通常の人が考えるクリスマス気分とは程遠いな。

ROCKHURRAHがSNAKEPIPEに贈ったのはまたもやしつこいくらいに軍モノ、アメリカのFIDELITYというメーカーが出してるCPOシャツ・ジャケットだ。
CPOとはアメリカ海軍の兵曹長(Chief Petty Officer)の事。などと書いても軍の中の事などよくわからんし、2つ以上の役職が出てくるとどっちが偉いのかも知らないんだが、うんちくのために買ったわけじゃなっしー(パクリ)、どうでもいい事だ。
たぶん船の上で北風ピープー寒くないように厚手で風を通さないシャツというような目的なのかねえ?
厚手のメルトン素材で出来てて胸にフラップ付きのポケットが2つというシンプルなもの。裾がシャツのようにラウンドしてるから、本来はシャツなんだろうが、厚みはちょっとしたジャケット並み。

海軍といえば即座にピーコートを思い出す。
ROCKHURRAHはダブルのボタンが似合わないので自分でこれを持っていた事はないが、昔小倉にいた頃に兄が持っていたのを拝借してたまに着てたものだ。それは革のライダース・ジャケットで有名なショットのものだった。 裏地もしっかりキルティングで分厚い装甲のような固いコートだったな。確かに保温素材が昔よりも格段に進歩した現在でも、北風程度では揺らぎもしない確実な暖かさは素晴らしい。いつの時代でも廃れないのはその普遍的なデザインと品質だろう。
SNAKEPIPEはそういう片田舎出身のROCKHURRAHとは違いずっと東京をテリトリーとして育ってきたから、高校生の時に上野の中田商店で買った本当の海軍モノのピーコートを所持していたそうだ。しかし軍人が着るいかついコートだから、かなり大きいのを無理して着てたらしい。今みたいにショート丈とかレディース・サイズとかがなかったから仕方ないんだろうね。
彼女は何年か前にショットの真っ赤のピーコートも買ったんだが、やっぱりその重さに耐え切れず(虚弱体質)、暖かいんだけど動きにくいから最近はあまり着てないのが現状。

さて、いつものように話がそれてしまったが、SNAKEPIPEがちょっと前に古着屋で見て気にったのがこのCPOの形。ものすごく昔にはちょっとした古着通だったROCKHURRAH、もちろんCPOの名前と形は一致したんだが、過去にヴィンテージ古着屋とかで見てたCPOと言えばなんだかチェックだったり重くて固いウールシャツだったり、今回買ったものとは似ていても全然違った印象を個人的には持っていた。
70年代に流行ったヘビーデューティーなどというアウトドア初期の言葉が頭の中をよぎる、それがROCKHURRAHの持つCPOのイメージだったのだ。だからSNAKEPIPEがグッと来たCPOは最近めのブランドが今風にアレンジしたCPO風だと勘違いしてたわけだ。
しかし調べてみるとこのフィデリティなるメーカーは由緒正しく、上に書いたピーコートを主力商品として海軍に納入していたらしいのだ。
いやはや、ミリタリー好きなどと言ってもROCKHURRAHの知識なんてこの程度、お恥ずかしい。

この軍納入メーカーの歴史ある本物は意外なほど細身でスマートなシルエットを持っていて、ヘタなブランド品よりもずっと格好良い。フィデリティとコラボしてるブランドとかもあるくらいだしね。
本物でしかもオシャレに見えるものだからSNAKEPIPE が惚れるのもよくわかるよ。
丈の長さもSサイズならそこまで長くなくて、女性でも全然問題なく着用出来る。試しに男でも割と細身のROCKHURRAHも袖を通してみたが、ちょっと窮屈なほど。マッチョな人にはとても着れませんというレベルだな。
前にこの「がっちりBUYましょう!」の企画でMASSIF社のジャケット(米軍納入の本物)を紹介した事があったけど、あれも本当の鍛えた軍人には細すぎるでしょう、と思ったもんだ。
昔の軍服=動きやすい=太くて野暮ったいというイメージとは全然違う最近のスタイリッシュな軍服。時代はやっぱり変わったなあ。

メルトンは暖かいけど固くて重い、といったイメージはこのCPOにはなく、意外なほど柔らかくて軽いのも時代の進歩だね。
何の装飾もなく普通のウールシャツなのにおしゃれで上質に見える、こういうのがウチの大好きなものなのでSNAKEPIPEもとても気に入って喜んでくれた。いいプレゼントで良かったね。

SNAKEPIPEがROCKHURRAHに買ってくれたのはサングラスで有名なオークリーのアサルト・ブーツだ。ちょっと前にもこのコーナーでタクティカル・ブーツ特集をやってベイツと5.11のブーツを紹介したが、今回はサイドジッパーではなく、普通の編上げブーツ。しかも今まで履いた事ないショート丈の6インチ仕様。

これまた去年の記事だが、SNAKEPIPEがナイキID(ナイキがやってる特注システム)にて素晴らしいタクティカル・ブーツを購入した。なぜだか知らないが購入した直後にこの商品はカタログから消えてしまったという幻の商品なんだが、消える直前に入手出来た幸運のブーツを横目に、自分のも注文すれば良かったと後悔していたROCKHURRAHなのだ。サイドジッパーは本当に着脱が容易で履きやすいんだけど、やっぱりちゃんとした編み上げの方がスッキリしててカッコイイからね。
そんな「隣のものがうらやましい病」のROCKHURRAHが密かに憧れていたのがこのオークリーのSIアサルト・ブーツなのだった。
オークリーと言えばアメリカの軍用サングラスでも本格兵士の着用率が非常に高いメーカー(ESSという名前でも有名)。本社ビルも何だかSF映画に出てくる要塞みたいで素晴らしくカッコイイ。ミリタリー好きの人にとっては信頼度の高いブランドだと言える。その実力派メーカーのタクティカル・ブーツ、悪かろうわけがない。
しかしこれは売ってる店も少なく5.11とかよりはやや高価、サイズもなかなかないので諦めていたんだが、つい最近、とある通販サイトで電撃的特価(何と半額)のものを発見。興奮してロクに考えもせずに注文したのが今回のプレゼントというわけだ。
注文した後で「パチもんじゃなかろうか?」「キズもんじゃなかろうか?」などと色々な不安にかられもしたが、そこはミリタリー・ショップの中でも名門と言える本格的な品揃えのお店。滅多に騙される心配はなさそうだ。
以前に5.11のバッグを通販で買った時に店に在庫があるかのような書き方をしててダマサれた事があった(アメリカから取り寄せに2ヶ月近くもかかった)ROCKHURRAH。そういう意味の猜疑心は強いのだ。
もし同じパターンだったらクリスマスに間に合わないと思ったが、心配をよそに商品はあっという間に届いた。
実は今回のクリスマス・プレゼント編の「気が早過ぎる」理由がここにあったのだ。到着が非常に遅れた、または注文したけど品切れだった、とかに対応して次の行動が起こせるために早めの注文を心がけていたというわけ。

このSIアサルト・ブーツはオークリー社がU.S.SOCOM(United States Special Operation Commandの略でアメリカ特殊作戦軍の事)の要請で制作したという本格派仕様のブーツ。ただし本物はそうそう手に入るシロモノではないので、これを民間用にマイナーチェンジしたのが入手した商品となる。ふむふむ「ターミネーター4」でも使用された、などと謳い文句があるな。
最初見た感じは硬そうで重そうだったが、履いてみてビックリ。足にピッタリんこフィットして感動的な履き心地。前にベイツのブーツを履いた時に思ったのと感想はほぼ一緒だが、こちらは見た目のシャープさとは全く違う快適さで、もうメロメロに惚れてしまった。ソールはごつくて路面にピッタリと吸い付き、足音もほとんどしない感じがする。建物の中の階段だとカツカツと足音がするんだけど、外ではなぜか無音に聞こえる不思議。
ベイツのように革新的なインソール使ってるわけでもないのに、まさにハイ・テクノロジーが凝縮された高性能ブーツだと履いてみてわかるよ。自分のキック力が1.5倍になったような感じ。
ただ一点だけ、このブーツは普通の編み上げなんだが、非常に靴紐がほどけにくいようになってて、履くのに結構時間がかかるのだけが難点。本物のミリタリー・ブーツとかで採用されているスピードレースと呼ばれる金具がついた方式ではなく、あくまで原始的に穴を通した紐という普通のブーツと変わらないためだ。しかも紐の角度が途中から変わっていて、実はこれがほどけにくい原因なんだよね。考えてみれば兵士は一旦ブーツを履いたらずっと履きっぱなしが当たり前。脱ぎ履きしやすいよりはほどけにくい方がありがたいのは間違いない。
その点以外はものすごく気にって毎日でも履きたいブーツだと言える。個人的な好みだとは思うがデザインもミリタリー・ブーツとしては最高点だな。本当にありがとう、SNAKEPIPE。

これでお互いのプレゼント交換は終わったわけだが、ここで終わらないのがROCKHURRAH RECORDS流というか何と言うか。
SNAKEPIPEが入手したCPOを眺めてまたしても「隣のものがうらやましい病」にかかってしまったROCKHURRAH。気がつけばフィデリティだのCPOシャツだのを無意識で探してしまう。そんな時に偶然見つけたのが今回のオマケ、フィデリティのM65ジャケットだ。
数多くのミリタリー、タクティカル系のジャケットを所有している二人なんだが、ROCKHURRAHは個人的にM65は今まで持ってなかったのだ。最近のブランドはどこもM65みたいなものを作ってはいるが、ディティールや素材がイマイチで安っぽい。本物はでかくてブカブカのサイズが多く、これまた似合いそうにない。
しかしフィデリティのはピーコートやCPOシャツと同じメルトン素材で出来てて、やっぱりかなり細身でカッコイイ、しかもM65を作ってた実績はなくても一応本格派のメーカーなのは間違いない。チャラチャラしてない大人の逸品M65だと一目惚れしてしまった。
それならばブーツも安かった事だし、もう一つオマケでプレゼントしてあげるよ、というSNAKEPIPEの優しい申し出を受けて買ってもらったのがこの1枚。

CPOと違い、こちらは全部裏地が付いててさらに暖かそう。前に何回か書いてきた事だが、ROCKHURRAHは上着選びの運が悪くて、ちょっと寸足らずか長すぎかどっちかの上着しか持ってない不幸な星の下に生まれたようだ。もしかしたら人よりもちょっとだけ胴が長いのかも知れないが、胴の長さを合わせると絶対にぶかっとした着こなしになってしまうんだよね。
しかしこのM65はそんな事がなく、まさに誂えたかのようなジャストフィット。外側4つのポケットも完全に本物のM65と同じ仕様になっていて妙なアレンジとかも一切ない。こんなのが欲しかったんだよ、ありがとうSNAKEPIPE。

着た事ある人はみんな知ってると思うがM65とかECWCSとか陸軍仕様のミリタリー・ジャケットは前ジッパーで閉めた後にスナップ・ボタンでさらに前を留めるタイプになっている。これが非常に苦手なROCKHURRAHはいつもこの時点でアタフタしてしまう。この辺は好みや慣れの問題だろうかね?

今回のお互いのプレゼントはどれも大満足の素晴らしい質感のものだった。いつでもこんなありがとうの気持ちを持ってお互い暮らしてゆきたいものだ。
しかしブーツとM65、これを同時に着用する時は靴紐とスナップボタンで結構手間取りそう。来年の目標はこれを瞬時に着脱出来るようになる事だろうな。では特訓して来ます。

がっちりBUYましょう!vol.9 タクティカル・ブーツ編

【世界の平和を守るみたいな主旨で相変わらず大げさな5.11のプロモ】

ROCKHURRAH WROTE:

「がっちりBUYましょう!」のコーナーも随分久しぶりの気がする。
このコーナー、そもそもROCKHURRAHやSNAKEPIPEが買った何かを紹介(ずいぶん前に買ったようなのも含めて)するという主旨のモノなんだが・・・。
大昔のTV番組が元ネタというタイトルも古臭いし扱ってる題材も一般的でない、そして何よりROCKHURRAH家はあまり大した買い物をしないという点が致命的で、滅多に新しい記事が書けないのが難点という三重苦に満ちた企画なのだ。偶然この記事を読んで「うん、わかるわかるよ」」と同意してくれる人はほぼ皆無なんじゃなかろうかとさえ思えてくる。それでも何とか書けるものがあったら更新してやっとvol.9までこぎ着けたよ。
さて、今回はROCKHURRAH愛用のブーツについて。

自分の人生の大半はブーツを履いて過ごしていたというくらい根っからのブーツ好きなROCKHURRAH。当然、ブーツなら何でもいいというわけではなくて、こだわりを持ってさまざまなブーツを履きこなしてきた。
今ではパンクのパの字も知らないような女子でも履いてるドクター・マーチンを日本でも最も初期から履いていた一人だと豪語出来るくらいだ。

今の一文でわかり通り、ROCKHURRAHにとって一番馴染みのあるブーツはマーチンやゲッタグリップなどメイド・インUKのごつい編み上げブーツだった。これが一番好きな形だと言える。

その当時のROCKHURRAHと言えば年季の入ったマーチンに前ジッパーが壊れるまで穿き込んだリーバイスのブラック・スリム・ジーンズというのがトレードマークだったな。復刻もされたように記憶するが、今あるようなリーバイスとはたぶんちょっと違うシロモノ。股上が深いのじゃ。さらに前ジッパーが壊れて歩いててもすぐに下がってくるという恐ろしい事態になった(竹下通りを全開で歩いた経験あり)ので、取っ手の穴にゴムひもを通して、それを上のボタンに引っ掛けるというバカ情けない応急処置をして、カッコつけて歩いていたものだ(笑)。しつこく書くが最近じゃなくて1980年代の若き頃の話だからね。
当時好んで穿いてたリーバイスは当たり前のようにYKKとかリーバイスのオリジナルじゃなくてタロンのジッパーだったしな。
古着についてる外国製ジッパーはロックが効かなくなったものとかあるから要注意だね。
SNAKEPIPEと知り合ってからは彼女の影響で前ジッパーの総取替えくらいは何とか出来るようになったので、古着でたまに壊れたのを買って自分で修理とかして穿いている。当時よりは格段に技倆は上がっているはず。
ハイ、前フリがここまで。

しょっぱなから話が大きく逸れてしまったが、そういうブーツばかり履いてたという事が言いたかっただけだ。 ん?ブーツについてはあまり書いてないかな?なに、全然書いてない?

Bates Delta-8 Tactical Boots
長年ごついパンクなブーツばっかりだったROCKHURRAHだが、最近はライブに全然行かない事もあってタクティカル・ブーツばかり履いている。
ミリタリー系に興味ない人には「?」の名称だろうが、軍や警察などの特殊部隊が履いているようなブーツをタクティカル・ブーツと呼ぶ。ちなみに軍人が履いてる官給品のミリタリー・ブーツとはちょっと違うもの(最近では違いも少なくなったみたいだが)。

一般的なファッションのためだけのブーツとは大違いだが、要するに潜入だの制圧だの、そういう荒事に特化したブーツの事だ。
当然ながらソールは滑りにくくて足音がしない、長時間の着用でも疲れにくい&耐久力も優れた作りになっているのが特徴。
見た目は色々だけど、どちらかというと昔流行ったハイテク系スニーカーのハイカットに近いものがあり、今の尺度でいくとカッコ良くない系統のものが多いと思う。まず一番に機能性が来るので、これを履いておしゃれに見える人間はなかなかいないんじゃなかろうか?

やっとここまで話が進んだが、ベイツはそういうタクティカル・ブーツを作っているメーカーだ。主にバイク用のブーツ&軍用ブーツを作っていたので、その方面の人々には有名なブランドと言えるな。

ROCKHURRAHがなぜタクティカル・ブーツに興味を持つようになったのかは覚えていないが、数年前に急に思い立ってこのベイツを買った。普段履きに足が疲れなくてサイドジッパーだから簡単に脱ぎ履き出来るよのさ(ピノコ)というのが大きな理由だったと思う。
もう一つ、敢えて言うならミリタリー系どっぷりの人しか興味を示さないようなブーツでもっとおしゃれに出来ないか?という実験の意味もあった。
もっと以前に東ドイツ軍のサイドジッパー・ブーツを気に入って履いてて、これが非常に履きやすかったんだが、残念ながら履きこみすぎて底に穴が開いてしまった。それの代わりに脱ぎ履きがしやすいブーツを探しててタクティカル・ブーツに行き着いたというわけ。

ベイツはまだ値段も安く購入しやすい方で、例えばオークリーとかアディダスとかリーボックとかメレルとかもこういうタクティカル・ブーツを作っている。完璧なミリタリー系のメーカーだともっと高いから、今言ったようなブランドはまだまだ初歩用のもの。

しかし何でも手に入る東京でも、タクティカル・ブーツを存分に試着(試し履きと言うべきか?)出来て、買える店はそうそうないのは確か。
他のメーカーに興味はあっても現物を手に取ってみないとイメージ涌かないんだよなあ。ベイツの場合は中田商店あたりに行けばほぼ手に入るので「購入しやすい方」と書いたわけだ。

ROCKHURRAHも何年か前の夏、暑い時にわざわざ試着して買ったのを覚えてる。最初に見た印象は「カッコイイ」とは思わなかった。
ウチの長年の命題「パンクとミリタリーの融合」はアイテム選びを間違えると大失敗してしまう諸刃の剣だと最初からくじけそうになったよ(大げさ)。
ただしそう思っても初志貫徹で買う気の時は思い切って買ってしまう、それがROCKHURRAHというものだ。
結果としてこれは買って良かったシロモノだったと胸を張って言える。

このブーツはベイツ独自のシステムでインソールに特徴がある。外すと裏側に円形の歯車みたいな弾力のあるディスクが出てくる。
「円形じゃない歯車は滅多にないよ」という声がどこからか聞こえてきたが、それはさておき。
言葉では説明しにくいが、この歯車はゲル状のくさびのようなもの。これのポジションを変えて装着することによって靴底の反発力を調整したり歩く時のクセを補正してくれたりするという何だかすごいもの。
全部を試してみたかどうか覚えてないほどに違いについてはよくわかんが、そんな事は抜きにしてもこのクッション性の素晴らしさは抜きん出ている。ブーツが足と一体化したかのような抜群のフィット感なのだ。この履き心地にはショックを受けたよ。
ベイツのブーツよりもこのインソールだけが欲しくなってしまうほど。でも別売りはしてないんだよね。

最初はウォーキング・シューズのようで気に入らなかった見た目もそのうち気にならなくなってきた。鏡を見る以外は通常、自分の靴は真上から見下ろすもの。上から見るとそんなに違和感ないんだよね。何だかサメの一種のような戦闘的なフォルムは一般的なブーツでは得がたい迫力があるとさえ思える。
ソールのゴツゴツした雰囲気からは全然想像出来ないけど、かなり柔らかくて雨でも滑らないグリップ力も素晴らしい。
もう3年以上も乱暴に愛用しているが靴底の減りも少なく、まだまだピンピンしている。耐久性から言ってもかなりのコストパフォーマンスなのは間違いないよ。
ただひとつ残念なのはちょっとケチってゴアテックスじゃないノーマル・ヴァージョン(現在はたぶん廃版)にしたが、どしゃ降りの雨ではおそろしくびしょ濡れになってしまう。横がメッシュみたいな素材だから仕方ないけどね。参考記事
今はベイツのこのシリーズは大体ゴアテックスの内張りが付いてるから、もし次に買った時は雨の日のミッションでも大丈夫だね。

5.11 A.T.A.C.8” Shield CSA/ASTM Boot
お次はこれ、この「がっちりBUYましょう」のシリーズ記事でも何回も紹介したメーカー、5.11のタクティカル・ブーツだ。
5.11の製品はどこのミリタリー屋でも扱っているような商品ではないし馴染みない人も多いだろうが、アメリカのFBIや警察、パトロール関係で絶大な支持を受けているメーカーだ。
PMC(プライベート・ミリタリー・カンパニー)というのは民間軍事請負会社の事で平たく言えば傭兵派遣会社みたいなもんか。正規軍とは違った目的で行動するから特殊部隊と言えなくもないが、そういうのについてはROCKHURRAHのヘタな説明よりは自分で調べてもらった方が早かろう。いいかげん?
まあその辺の軍事エキスパートの人たちが装備するようなものを主に作っているのが5.11だったりブラックホークだったり、タクティカル系と呼ばれるメーカーなのだ。
前にも何回も書いたがROCKHURRAHは服装以外の軍事的なものにはあまり興味ない。しかしタクティカル系の装備について解説してるようなサイトはほとんどがマニア向けのものばかりで、ウチが書くような事とは随分温度差があるはず。
ROCKHURRAH RECORDSの主義というほどじゃないけど、パンクもミリタリーも単に雰囲気だけで済ませたくはないからある程度は深入りして、そこから自分なりに抽出したものを発信してゆきたいものだ。
あらら、ちょっと大層な事を言い過ぎたかな?

その5.11は軍事系の人が身につけるあらゆる装備を幅広く作っているメーカーなんだが、タクティカル・パンツと呼ばれる独自のカーゴ・パンツやブーツ、ソフトシェルの上着などがシロウトでも手を出しやすい分野かな。特にブーツはまだタクティカル系ブランドがあまりなかった頃から出してたから、かなりのロングセラーなのかも。
価格帯の面でもベイツと大体同じ「安いけど一応本格的」なクラスだから、この2つはある意味競合メーカーだと言える。
ベイツのブーツが軽量化と履き心地に重点を置いてるのが特色とすれば5.11のはそこまで特徴的なものはなく、総合的な完成度に重点を置いてるように感じる。全体的に丸っこいデザインが多いベイツよりは細身でスマートな印象を受ける。潜入捜査とかで使われるから街着とマッチした靴という印象にしたのかな?

5.11のブーツも試着出来て買える店は東京でも少ない。それでも他のタクティカル・ブーツよりは売ってるところも多いかな。
以前にSNAKEPIPEの誕生日にここのブーツをプレゼントしたんだが、そのお返しに同じくブーツをプレゼントしてくれたのが去年の事。同じ店で探した結果、ROCKHURRAHが選んだのが写真のCSM/ASTMブーツなのだ。カタログで見て何だかよくわからんがカッコ良く見えたので試着して、ちょうどいいのがあったから買ったわけだが、このブーツの名称CSM/ASTMというのが実はよくわからんまま購入したという始末。5.11の他のブーツのラインとは明らかに異質な気がするが。

後から調べてわかったんだが、これはアメリカ材料試験協会ASTMという安全規格に合格したものすごく安全な安全靴というようなものらしい。
軍モノにはミルスペックという規格があってその試験に合格したものしか納入出来ないが、5.11もViking Tactics(VTAC)という銃火器アクセサリーのメーカーと共同でフィールドテストした商品が出てたりする。まあプロ品質を売り物にしてるんだろうが、ミリタリーでもポリスでもなくて安全靴とは、我ながらちょっとウカツな買い物だったなあ。日本で言えば寅壱とかワークマンみたいなものか?

これは先に書いたベイツと違ってゴアテックスではないが防水透湿のライニング付きで耐油、抗血液由来病原体レイヤー搭載という凄まじいまでの安全性を発揮する、大げさな特徴を持った5.11の最高峰ブーツらしいよ。こりゃ確かに安全だわ。

ベイツのように履きやすくないしジッパーはややキツイし、重みもあるんだけど、確かに安定性は抜群でさすがにプロユースの逸品だと言える。 こちらはまだ1年ちょっとしか履いてないけど、耐久性についても全く問題ないと言える。ベイツのソールより硬いしね。

以上、今回は一般的なおしゃれな人は滅多に履かないと思えるタクティカル・ブーツについて語ってみた。何年か前にアウトドアなものとおしゃれなものが融合したような時もあったし、どこのブランドでもミリタリー ぽいものを出してた時もあった。ファッションの世界もネタ切れのような気がするから、まかり間違って空前のタクティカル・ブームになったりしたらどうしよう?

がっちりBUYましょう!vol.8 Massif & Nike ID編

【こだわったモノ作りを強調し過ぎて全然ミリタリーっぽくないMASSIFの宣伝ページ】

ROCKHURRAH WROTE:

タイトルが長くなり過ぎて2行になるのがイヤだったから省略したけど、今回もまたまたミリタリー&タクティカル系となってしまう。 最近はライブも行かないしパンクな格好もあまりしなくなってしまったなあ。革パンだけは毎年冬になると穿くけど、これはROCKHURRAHにとってはジーンズとかよりもずっと快適だから。穿いてみた事ある人には当然わかるだろうが、サラサラの裏地がついてるから、見た目よりは動きやすいんだよね。無理して格好つけてるわけじゃないのだ。  ミリタリー系が好きだからといっても本物の◯◯軍を忠実に再現しようなんて気は全くなくて、そういうマニアとも違うから、ぱっと見にはパンクかミリタリーか、どっちつかずの得体の知れないヤツという事になる。 ある意味では独特の路線?

さて、今回紹介する持ち物は特にテーマもないんだが、そういうタクティカル系の装備(?)で買って良かったと思えるものを挙げてみよう。

Massif Army Elements™ Jacket UCP

マッシフ・マウンテン・ギアという米国オレゴン州のメーカーなんだが、名前の割にはいわゆるアウトドア・ブランドとは違って、軍隊御用達に限りなく近い商品ばかり作っているようだ。街着っぽいものもカタログには載ってるけど、よく見たら潜入捜査とか要人警護とか、そういう特殊任務の人が着そうな機能を持った服作りを得意としている感じ。ウチのブログでもしつこいくらい書いてきた5.11タクティカルと似た雰囲気だな。ただしこちらの方がずっと高級で上質、さらに5.11よりは格段にスタイリッシュなシルエットのものが多いという印象がある。5.11+アークテリクスの線を狙ったのかも。値段もかなり高級で5.11のCMみたいに泥の中にダイブしてほふく前進なんて、とてもじゃないが出来なさそう。

このメーカーは難燃性素材として名高いノーメックスをふんだんに使ったジャケットを売りものにしていて、エレメント・ジャケットもその一種だ。日本語に訳すとえーっと、成分上着。何じゃそりゃ? ノーメックスは最新の技術ではなくてデュポン社が大昔に開発したもの。MA-1の後継に当たるフライト・ジャケット、CWU-45/Pで使われて知られるようになったとミリタリー好きならば思い出すだろう。採用されたのが1973年というからかなり歴史のある素材だね。 実際に燃やしてみた事は皆無だがROCKHURRAHもパイロット用の衣服でノーメックス素材を所有している。しかしこれ、何か肌触りが非常によろしくないんだよね。ザラザラしてて体にまとわりつくいやらしさ。夏は絶対に着たくないな。耐熱性が優れてるのと着心地は別問題というわけか。 着用写真は怪人蝿男みたいで気色悪いけど加工したものなので許して。

まあこういう特殊な素材を主原料として作られたマッシフのエレメント・ジャケットは簡単に言えばノーメックスを90%使ったソフトシェル・ジャケットという位置付けになる。毎回書くのもアレなんで「ソフトシェルってなーに?」の人は自分で調べて下さい。 このエレメント・ジャケットは本国の通販サイトで見ても何と579ドルもする高級品で、日本でも扱っている数少ない販売店では7〜8万もするもの。しかしなぜかかなりの格安で手に入れてしまった。もしかして噂のパチもんか?とも思うが(ミルスペックはちゃんと本物らしく付いてたしメイド・インUSAだったが)、炎に飛び込むつもりはないので細かい事は気にしないようにしよう。細部まで丁寧な作りになってたよ。

主要な用途はエア・クルーか戦車兵か、要するに燃えるのが危ない人々ということになる。ん?燃えるのが危ないのは万人共通か? したがって迷彩は空軍の場合はABU、陸軍の場合はACUと呼ばれるデジタル迷彩になるが、ROCKHURRAHはたぶん一番普及率が高いACUにした。単に特価品はACUしかなかったから選択の余地がなかっただけだが、本国でのメインはたぶんマルチカムになるはず。ACUはすでに廃止されつつある迷彩だからなあ。ACU全盛の頃には曖昧な色合いを嫌って着ずに、こんな時期になって今さらACUとは、その辺の時代感覚のズレがさすがROCKHURRAH流と言うべきか? それらの迷彩がそもそもわからん人は当ブログの「CAMOのマイハウス」「〜2012」を読んでみてね。商品名にあるUCPとはユニバーサル・カモフラージュ・パターンの事でデジタル迷彩の総称。ACUやABU、MARPATなどはどれもUCPのヴァリエーションというわけだ。

表側はやっぱりちょっとざらついた感触で、他のソフトシェルの柔らか素材に慣れた目には着心地悪そう。しかし内側はちゃんと首の裏までフリースになってるので見た目ほどではなかった。硬くて肘を曲げるのも苦労、という事は全然ないから、購入を躊躇してる人でも安心して大丈夫。 裏側は袖のあたりまで全部総フリースとなっている。最近のタクティカル系では多い通気性とかは一切考えられてなく、脇の下のベンチレーションとかはまるで付いてない。内ポケットもなくて腰の両サイドポケット、それと右胸に縦ジッパーのポケット、左手にポケット+ペン差しのようなものが付いている。 ペン差しは袖近くにも独立して付いていて、戦車兵やエア・クルーという仕事がそこまで日常的にペンを多用してるのかとちょっと驚いた。あれば便利なのはわかるが、頻繁にペンを抜き差しするには不便だろうな。 袖のところは手首アジャスターのようなのは全くなくて、裏側にN3-Bのようなリブ(簡単に言えばトレーナーの袖みたいな感じ)が縫い込まれている。 結構手首が華奢なROCKHURRAHでさえややきついから、がっしりした体格の人は袖通すのが大変かもね。 こういう風を通しにくい袖口、そして顎のあたりまで来る高いスタンドカラーによって、このジャケットはかなりの保温性を持っている。一番の特色である難燃性や耐熱性ばかりは試してみる事は出来ないし、そういうのを試さないといけないような事態には絶対巻き込まれたくないものだ。 通常のソフトシェルでは飽き足らない珍しもの好きな人には、シルエットも非常にスマートなのでオススメ出来るよ。 製品のどこにも付いてないけどロゴマークもカッチョいい。マッシフ最高。

Nike iD SPECIAL FIELD BOOTS 

お次はこれ、スニーカー界の超メジャー・ブランドであるナイキについて。実はROCKHURRAHではなくSNAKEPIPEの持ち物だ。個人的には名のあるスニーカー、特にアメリカ・ブランドをほとんど所有した事がないし、たぶん顔つきとナイキは最も似合わないと推測されるからなあ。ROCKHURRAHよりは運動に縁のなさそうなSNAKEPIPEはヒップホップに傾倒していた時期があり、ナイキやアディダスなどにも慣れ親しんでいたそうだ。確かにジャージも似合うしな。 そんなナイキがやっているNike iDなるシステムはスニーカーのパーツや素材、色を組み合わせてカスタマイズするセミ・オーダーの事だ。 ここで偶然に割と本格的なタクティカル・ブーツを出してるのを知ったのはROCKHURRAHの方だった。 何度か書いてきた事だが、こういうスポーツ・ブランドが軍用のブーツを作るのは珍しくはなくて、アディダスのGSG9(ドイツ連邦警察特殊部隊)をはじめ、オークリーやコンバースなどもアサルト(強襲用)・ブーツを出しているし、ニュー・バランスも米軍トレーニング用シューズを作っている。ナイキがそういうのと同様に軍用ブーツを開発していたかどうかは知らないが、形を見れば紛れもなくそれ系なのは確か。 うん、これはカッコ良さそう。 ちょうど軽くて履き心地が良いブーツを探していたSNAKEPIPEにお知らせしたところ、思ったよりもずっと大反応で一目惚れした模様。ずっと本格派のミリタリーブーツを履いてたんだが、これはオールレザーでカッコ良い&高そう、しかしながらかなりの重量で足が疲れるのは確かだった。そこで軽いタクティカル・ブーツをずっと前からオススメしていたんだが、現実問題として女性サイズの本物タクティカル・ブーツは日本ではほとんど需要がないのは事実。海外サイトだと女性FBI捜査官とかもいるし小さいサイズもあるようだが、日本ではほとんどが24.5以上しか扱ってない。ところがナイキiDのものはちゃんと小さいサイズもあるようで、それだけでもSNAKEPIPEにとっては嬉しいに違いない。良かったね。

このブーツはアッパー部分やソールの色、柄、素材などを好きな組み合わせでシミュレーションしてゆき、それをオーダーすると海外で生産、一ヶ月くらいで手元に届くというシステムらしいが、実際に原宿にショップがあって、もしかしたらそこで手に入るかもと思って出かけたのが10月初旬。 迷彩柄とかもあったんだけどSNAKEPIPEが欲しいのはただの真っ黒一色のもの。ナイキiDのサイトでもやってみたけど、選ぶのは全て黒のパーツばかり。まるで全部Aボタンだけ押して一番最初の候補だけで作り上げたオーソドックスなゲーム・キャラクターみたいなもので、これだけ基本的だったら何も特注しなくても店に行けばあるんじゃなかろうかと期待したのだ。それに同じ大きさでも履き心地や微妙な幅の違いとかは実店舗で確認した方がいいしね。 で、実際に店舗で試着してサイズも素材も決めた。 が、このオーソドックス過ぎる現物は店舗には在庫がないとの事。家に帰ってオーダーするしかなさそう。

一ヶ月というから11月初旬には届く寸法。届くのを心待ちにしていたよ。ネットで調べると案外早かったという人も待たされたという人もいる。どうやら工場側の事情で出来上がりの期日に違いが出てくるらしいな。確かに小さいサイズで真っ黒一色のミリタリー・ブーツをわざわざ特注で頼む女子は少ないのかも知れぬな。 いつしか頼んだ事も忘れたある日、家にヤマト運輸の不在票があり、差出人に見慣れぬ苗字が。 「外園さん?」「一体誰だろう?」と不審がる2人だったが、そんな苗字に近い知り合いもいない。ん、待てよ。「もしかして外園じゃなくて外国?」とSNAKEPIPEがあっさりと謎解きを披露した。そう、ヤマトの配達ドライバーが英語の差出人をよく読まずに面倒だから「外国」と書いたのが、読みにくい字だったという「妄想女刑事」もビックリのオチだったわけ(笑)。しかしいくら何でもナイキを外国って・・・。しばし2人で爆笑して再配達を頼んだ。 ナイキiDが海外生産だとあらかじめ知らなかったらわからないまんまだったろうな。

届いたブーツはこちらの予想を上回るほどカッコ良くて、驚くほど柔らかくて軽い。これは素晴らしい。

オーダーのパソコン画面ではわからなかったが、現物は変なツヤがなくて、思ったよりも品が良いなあ。この手のスポーツ・ブランドはド派手な色合いやブランド・ネーム、ロゴなどが押し付けがましいほど入った商品が多くて、それがイヤだったけど、このナイキのはかかと付近にごく小さなナイキ・マークが入っただけ。見る人が見ればウチの商品だとわかるだろ、という自信がうかがえる逸品だね。

ナイキiDは注文時に好きなIDとかネームを入れられるようになっている。アップルストアの刻印サービスと同じようなものだが、これもちゃんとSNAKEPIPEと刺繍されてて、よりオーダーメイド感を味わえる。  右が着用写真。タクティカル・ブーツは足首を保護するためにクッション入りのものが多く、履き心地は良くなるものの見た目はイマイチになりやすいが、このブーツは足首も細身でシルエットも好みだよ。履いた感想は「地面で跳ねるような感じ」だそうだ。何より軽いのがいいね。大昔に流行ったフランス軍パラディウムのブーツをレザーにした雰囲気と言えばわかってくれる人もいるだろうか?

最後のオチというか何というか、今回このブーツの事を書こうと思ってナイキiDのサイトを久しぶりに覗いてみたら、どこにも載ってない。検索しまくったら「この商品は現在取り扱いがありません(11/10現在)」だとの事。単なる品切れなのか何かあってなくなってしまったのか、その辺は全然不明。まるでこんな商品は存在してなかったような扱いに謎は膨れるばかり。色んな想像をしてしまうではないか。土佐弁で言うところの「ナイキはもうないきに」という表現でよろしいか(笑)? まさに廃版スレスレのギリギリ最後のオーダーで手に入れる事が出来て本当に良かったね、SNAKEPIPE。