マン・レイ展~知られざる創作の秘密

【国立新美術館入り口近くの看板】

SNAKEPIPE WROTE:

中学・高校の6年間、SNAKEPIPEが所属していたのは美術部だった。
中学の時はデッサンをやらされたり、毎年恒例になっている行事や「○○のためのポスター」を描かされたりして自分が本当に描きたいと思って描いたわけではなかった気がする。
高校になっても恒例行事に関する義務的な絵を描くことはあったけれど、中学よりは自由があった。
本当に自分が描きたいと思う題材を好きに描いたように記憶している。
随分後になってから、高校時代に描いていた絵が「シュールレアリスム」だったんだと気付く。
幻想的で夢を再現したような、有り得ない光景。
想像したことを絵で説明したい欲求を持っていたようだ。
10代後半からSNAKEPIPEはやっと「自分が本当に好きな美術」についての勉強を自主的に始める。
美術の授業には「シュールレアリスム」についての項目はなかったからね。
「シュールレアリスム」について調べていくと、かなりの数のアーティストの名前がぞくぞくと登場してくる。
ダリ、マグリット、キリコ…。
絵を描くアーティストのほうが知名度が高いかもしれないけれど、高校時代から写真に興味を持っていたSNAKPIPEが気になったのはマン・レイだった。

「マン・レイって誰?」という方のために簡単に説明しておこうかな。
マン・レイ(Man Ray, 本名:エマニュエル・ラドニツキー Emmanuel Rudsitzky, 1890年8月27日 – 1976年11月18日)は、アメリカのフィラデルフィア生まれのユダヤ系ロシア人。
画家でもあり、彫刻家でもあり、写真家でもある。
映画も撮ってるしね。
アートに関することを全部一人でやっちゃった人なんだよね。(笑)
写真、と一口に言っても実験写真(レイヨグラフ、ソラリゼーションなどの技法を使ったもの)からファッション写真、ポートレイト写真など様々。
今でいうところのマルチ・アーティストって感じかな?
だから「マン・レイって何をやった人?」と聞かれると答えるのが大変。
SNAKEPIPEにとっては写真家としてのイメージが強いけど、ROCKHURRAHには画家として認識されてるしね!

なぜROCKHURRAHがマン・レイの絵を知っているのか訊ねてみると
「Skidsのジャケットに使われていたから」
とのこと。
元々このバンドが大好きだったので、その影響でマン・レイにも興味を持つようになったらしい。
ROCKHURRAHの場合は音楽から入ったパターンだね。
もしこのバンドがマン・レイの写真を使用していたら、写真家として認識していたのかもしれないね。(笑)

マン・レイ展」が開催されているのを知り、興奮した。
今まで何枚もの写真を目にしているし、マン・レイに関する書籍なども所持しているSNAKEPIPEだけれど、展覧会は初めてなのである。
同じくROCKHURRAHも初めてとのこと。
場所は六本木にある「国立新美術館」、ここも初めてなので是非行ってみることにした。

六本木って美術館がいっぱいあっていいよねー!
六本木ヒルズにある「森美術館」、今回行く「国立新美術館」、「サントリー美術館」等々。
森美術館には面白そうな企画の時に何度か足を運んでいるけれど、今回の「国立新美術館」はヒルズとは反対方角に進むこと約10分。
「政策研究大学院大学」という大学なのか大学院なのか判らない名前の学校を左手に見て、新美術館はあった。(笑)
さすがに「新美術」なだけあって、新しくてキレイな建物!
ミュージアムショップに建物のポストカードもあったしね。(笑)
施設内もとてもキレイでピカピカ。
長い傘の持込は禁止、と書いてあるのが今まで行ったことのある美術館にはなかったルールかな!

「マン・レイ展」は活動していた場所と年代で4つのブースに分けられていた。
1:ニューヨーク 1890年~1921年(マン・レイ0歳から30歳まで)
日本でいうと明治23年~大正10年。
生まれはフィラデルフィアだけど、7歳でニューヨークに移ってるらしい。
そのニューヨークで画廊を経営するアルフレッド・スティーグリッツと知り合いになり…って軽く紹介されてるけどさ!
スティーグリッツって「近代写真の父」なんて言われてる大御所中の大御所よ!
その大物写真家と知り合いになるってところで、もう道は拓けてるよね。(笑)
この頃の作品はほとんどが絵画。
SNAKEPIPEが目を引いたのは「飾り文字の習作」と題された1908年の作品。
まだ17、18歳の頃の作品だけど、とてもデザイン的でおしゃれだった。
相当「できる子」だったんだろうな。(笑)
キュビズムにも影響を受けてるようなので、吸収する力もあるんだねえ。

2:パリ 1921年~1940年(マン・レイ31歳から50歳まで)
日本でいうと大正11年~昭和15年。
マン・レイの有名な作品はやっぱりこのシュールレアリスム時代の物が多いかな。
この頃のパリには強い憧れがあるSNAKEPIPE。
物凄く面白そうな時代、面白そうな場所!
カフェのあちらこちらで、後に有名になるアーティスト達がたむろして議論してたり。
人と人との出会いが新たな作品を生む力になったり、企画が出来上がったりしてイマジネーション渦巻くエネルギーに溢れた街だったんじゃないか、と想像する。
タイムワープできたら行ってみたいな!(笑)

パリ時代になると写真の展示が増えてきて、有名人のポートレイトがいっぱい。
モデルで愛人だった「キキ・ド・モンパルナス」の写真があると「マン・レイだなー!」と思ってしまう。
SNAKEPIPEにとってはキキのポートレイトが馴染み深いのかもしれないね。
それにしてもあの有名な「アングルのヴァイオリン」が展示されていないとはびっくり!
fの文字を背中に付けた、女性の丸みを帯びた裸体(キキ)をヴァイオリンに見立てた作品ね。
リトグラフとして後年の作品にあったけど、やっぱり写真で観たかった。

3:ロサンゼルス 1941年~1950年(マン・レイ51歳から60歳まで)
日本でいうと昭和16年~昭和25年。
この頃は戦争の時代。
本当はパリに滞在していたかったマン・レイも仕方なくアメリカに戻ったらしい。
そこで晩年を一緒に過ごすことになる女性、ジュリエットと結婚。
この時55歳くらいかな?
マン・レイというのは女性がいないとダメな人みたいで、女性からインスピレーションを受けて作品作りをしていたようなところがあるよね。(笑)
ジュリエットは今までのマン・レイの愛人でありモデルであった女性達とは、ちょっと違う印象を受ける。
そこが良かったのかな?(笑)

4:パリ 1951年~1976年(マン・レイ61歳から86歳)
日本でいうと昭和26年から昭和51年。
戦争終わった!パリに戻るべ、そうするべ!と夫婦揃ってパリへ。
やっぱりマン・レイにとって居心地がいいのはアメリカじゃなかったんだね。
高齢になっているせいか、あまり出歩かなくてアトリエに夫婦で引きこもり状態だったみたいだけど、なんだか楽しそう!
妻のジュリエットをモデルに写真(カラー・ポジフィルム)撮ったり。
ゆっくりした時間を仲良く過ごしてたんだろうな、と想像する。
そのカラー・ポジフィルムはマン・レイが考案した色彩定着を使っている、というから驚いちゃうよね。
いくつになっても新しいことにチャレンジしてたんだな、と。

かなり展示数が多くて、見ごたえのある展覧会だった。
だけど、2番目のパリ編でも書いたように「マン・レイといえばこれ!」と思われるような作品の展示が少なかったのが残念!
「アングルのヴァイオリン」も「涙」も針付きアイロン「贈り物」もなかったからね!
ジャン・コクトーの写真なんて3CMくらいの円形で、まるで集合写真から切り取られたくらいの小ささ。(笑)
出てはいけない線ギリギリに立って、ズズーーッと前のめりになってようやく見えたくらいだったし。

「マン・レイについて」なんてあまりに奥が深過ぎて、SNAKEPIPEには恐れ多すぎて書けましぇん!
ましてや「ダダとは」「シュールレアリスムとは」なんてことも、その道の評論家の方にお任せしましょ!(笑)
今回の展示を観て一番に感じたのは、やっぱりヨーロッパ(特にパリね)の文化、芸術のレベルの高さ。
マン・レイが一番ノリノリだった昭和15年までのパリでの20年間、日本での芸術ってどんな状態だったんだろう?
日本でもダダイストやシュールレアリストはいたと思うけどね。
SNAKEPIPEが興味を持っている前衛写真家小石清の写真集「初夏神経」出版が1933年。
割とイイ線いってるか。(笑)
この時代の日本のアートシーンについてはもっと調べてみたいと思う。

SNAKEPIPE MUSEUM #05 Stephen Shore

【この風景を懐かしいと感じてしまうSNAKEPIPEはアメリカ人か?(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のSNAKEPIPE MUSEUMは「ニュー・カラー」の写真家として有名なスティーブン・ショアーを取り上げてみたいと思う。

スティーブン・ショアーは1947年ニューヨーク生まれのアメリカ人。
6歳で写真の暗室作業を始め、17歳の時にはアンディ・ウォーホルのスタジオ「ファクトリー」でたむろする人物を撮っていた、というから非常に恵まれた環境にお育ちで!(笑)
1972年頃より4×5や8×10の大型カメラで「ロード・ムービー」ならぬ「ロード・フォト」(というのか)を展開、アメリカやカナダの風景をカラーで撮影している写真家である。

実を言うとSNAKEPIPEは特別ショアーに思い入れがあるわけでもなく、写真集も所持していなければ写真展を観たこともないんだな。(笑)
たまに頭の中にフッと浮かんでは消える写真の中にショアーの色があるのだ。
そう、ショアーの写真の特徴の一つが色。
一番初めにニュー・カラーの写真家と書いたように、独特の色使いをする。
フィルターを使ってやや赤味を強めているために、それが昔っぽいなんとも懐かしい雰囲気を醸し出す。

そしてもう一つの特徴は「空っぽ」。
上の写真には人と犬が写っているけれど、景色の中に溶け込んでいるため存在感は薄い。
どことなく寂寥感があり胸がしめつけられるような感じがする。
あの時のあの空気、あの匂いを一瞬にして思い出させるような。
子供の頃にタイムワープする感覚に近いのかもしれない。
なんとも甘酸っぱくて、せつないよねえ。

ロバート・フランクの有名な写真に、まっすぐに伸びる道路を縦位置で切り取った作品がある。
あれは確かジャック・ケルアックの小説「路上」に使われていたような。
あの写真が撮影されたのが1955年らしいので、アメリカ人っていうのは50年代から「ロード」系が好みなんだね。
ケルアックの小説が1957年。
アメリカ大陸は広いから「放浪」とか「横断」が可能だし、車で行かれるとこまで行ってみようや!なんて若者文化が発生するのも納得。
日本ではロードムービーって難しいもんね。(笑)

ノーマンズランド (no man’s land)という言葉がある。
これは実際にオクラホマにある土地の名前だったり、軍事用語だったり、映画のタイトルにも使用されているようだけど、SNAKEPIPEが使いたいのは言葉通りの意味合いね。
人がいない、荒涼とした場所。
だだっ広くて、ずっと先のほうまで見通せる、歩いても歩いても変化のない風景。
人がいた気配はあるけれども、全く姿を見かけない。
ヴィム・ヴェンダースの作品「パリ・テキサス」の中に似た場面があることを思い出す。
SNAKEPIPEにはそんな寂しい土地への憧れがある。
そこで写真を撮ってみたい、とも思う。
その憧れを体験したのがショアーなんだろうね。(笑)

絶版となっていたショアーの写真集が手に入るらしい!
お値段的にも手が出せないほどではないからGETしたいな。
アメリカ人のノスタルジア。
ちょっとおセンチで感傷的な「アメリカ人の孤独」を垣間見ることができるような気がするからね。

CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez

【ロドリゲス監督の次回作「マチェーテ」。主演は大注目のダニー・トレホ!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のCULT映画ア・ラ・カルト!はロバート・ロドリゲス監督。
最近には珍しくこの監督の作品を観たい、と選んでいるのがロドリゲス作品。
全てを網羅しているわけではないけれど、かなりの本数を観ているので簡単にまとめてみようかな。

ロバート・ロドリゲス監督は1968年、テキサス州生まれのメキシコ系アメリカ人。
まだ42歳と、とても若いのである。
テキサスという土地とメキシコの血がそうさせるのか、ど派手なアクションが得意である。

ロドリゲス作品を一番初めに観たのは「デスペラード」(原題: Desperado 1995年)だった。
この作品はアントニオ・バンデラスが主役で、ギターケースの中に銃を隠し持ちギャングのボスに立ち向かう映画である。
ウエスタン調の雰囲気と残酷描写、そして馬鹿馬鹿しいまでに派手なアクション!
盟友であるタランティーノ監督も俳優として出演している。
タランティーノらしく、オチがかなり後にくる話を延々を喋り続ける役。
しかもそのオチがあまり面白くない。(笑)
いかにもウエスタン映画でありそうなバーのシーンで、いかにもありそうな殺され方が恐らくタランティーノの気に入ったんだろうな。
「ウエスタン映画で殺されてみたい」願望なのかもしれないね。
この映画の中で一番興味を持ったのは刺青を入れたナイフ投げの男。
一言もセリフがない役だったけれど、非常に存在感があった。

デスペラードは3部作になっていて、ぞの元ネタとなったのが「エル・マリアッチ」(原題:El Mariachi  1992年)である。
この映画で出演しているのは無名の俳優ばかり、予算もかなり低く、そういう意味では話題性に乏しい映画のはずである。
ところがぎっちょん!(笑)
この映画、すごく面白かったんだよね!
キレのあるカットやアクションシーン、話の面白さ。
「お金がないからできない」
「いい役者がいないから難しい」
なんてことはないんだね。(笑)
撮りたいから撮る、というガッツ(死語?)が存分に伝わってくる。
言い訳せずに、自分ができる範囲で充分人を納得させる面白い映画が作れるんだなと感心してしまった。
やっぱりいるんだねえ、真剣に映画作りをする人って!
これじゃあ出世するはずじゃわい。(笑)

そして「デスペラード」後編の「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」(原題:Once Upon a Time in Mexico  2003年)。
3部作とはいっても、全てのストーリーが連続しているわけではなくて、ギターケースを持った主人公という設定が同じなんだよね。
またもやこの映画の主役はアントニオ・バンデラス。
「デスペラード」がヒットしたせいだろう、準主役としてジョニー・デップも登場している。
SNAKEPIPEはジョニー・デップである必然性はあまりないなあ、という感想を持ったけどね。(笑)
予算が高くなったせいで、アクションはより派手になり火薬の量も増えている。
話もちょっと複雑になっていて、誰が味方で誰が敵なのかよく判らなくなる感じ。
お金をかければいいってもんじゃないんだなあ、という感想を持った。
低予算だと褒められるけど、予算が高く組まれると「それでこの出来?」と言われてしまう映画人って辛いねえ。(笑)

ロバート・ロドリゲスってどうやらかなりゾンビ映画が好きみたい。
フロム・ダスク・ティル・ドーン」(原題:From Dusk Till Dawn 1996年)と「プラネット・テラー in グラインドハウス」(原題:PLANET TERROR in Grindhouse  2007年)はホラー映画といっていいと思う。
ジョージ・A・ロメロ監督の特殊メイクでもお馴染みのトム・サヴィーニが俳優として両方の映画に出演しているのも、ホラー映画好きにはニヤッとさせられる。
とてもいい味出してるんだよね!

「フロム・ダスク・ティル・ドーン」はジョージ・クルーニーと、また俳優として登場のタランティーノが犯罪者兄弟という役どころ。
この二人が兄弟って設定自体ちょっと有り得ないけどね?(笑)
前半と後半で全く別のジャンルになってしまうところが斬新な映画である。
前半は犯罪者兄弟が人質を取って逃亡するアクション映画。
後半はタランティーノの血を見たダンサーがバンパイアに変身するところから、急にホラー映画になってしまうのだ。
この滅茶苦茶ぶりがたまらない!(笑)
そして人質と犯罪者が揃ってバンパイアに立ち向かう、という本来の筋とはかけ離れた物語になっていく。
ホラー映画なのに笑ってしまうのもなかなかない経験だよね。

「プラネット・テラー in グラインドハウス」は初めからアクション・ホラー映画って書いてあるよ!(笑)
SNAKEPIPEが知らないだけかもしれないけど、アクション・ホラーなんてジャンルあったのかな?
これもまた「んな馬鹿な!」連発のど派手な映画である。
ゴーゴー・ダンサーが事故に遭遇し、失った片足の代わりにマシンガンを装着して街に溢れたゾンビと戦う話である。
と書いたけど、これだけでもその滅茶苦茶ぶりがよくわかるよね。(笑)
丁度同時期に「片腕マシンガール」という映画があったので、それの足バージョンだね!
それにしてもあの片足の撮影はどうやったんだろう?
ものすごくリアルだったんだけどね。
あの女性がロドリゲス監督の婚約者だっていうから驚くじゃありませんか!
ま、あそこまで徹底してロドリゲス世界を表現できる女性なら上手くいくか!(笑)
そしてこの映画にもタランティーノが俳優として出演。
かなり情けない役だったけど、やっぱり出たいんだね。(笑)
かつてSNAKEPIPEがそうだったように、ゾンビ映画と聞くだけで嫌悪感を感じる人が多いと思うけど、この映画は絶対お薦めよ!

子供向けだからやめようかと思ったけれど、一応観てみた作品が「スパイキッズ」(原題: Spy Kids 2001年)。
さすがにファミリー向け映画だけあって、ロドリゲス特有の(?)毒気はほとんど感じられない。
大活躍する2人のお父さん役、アントニオ・バンデラスがあんなにコミカルな役を演じるとはびっくりした。
子供達が手に入れるスパイ・グッズ屋さんのオーナーが「デスペラード」のナイフ男!
バンデラスの兄、という役どころである。
今まで観たロドリゲス映画の中に彼は必ず出演しているけれど、笑った顔を見たのはこの映画が初めて!
子供向け映画ではいい人になってるんだ、とびっくりしちゃったよ!
皆さん、今までのイメージとは違ってるのね。

「シン・シティ」(原題: Sin City 2005年)はアメリカン・コミックが原作の映画化。
ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、ルトガー・ハウアーと知っている俳優がクレジットされているけれど、特殊メイクされているため判り辛い。
話が3つのパートに分かれているため、話の区切りがはっきりしない時があって苦労したのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
コミックが原作なだけあって、結構エグい描写があったけれど、モノクロームだからそこまで酷く見えなかったね。
血の色は白になってたし。(笑)
2つめのエピソードに出てきた娼婦の防衛隊がカッコ良かったな!

「プラネット・テラー in グラインドハウス」には偽の予告編が入っていて、そのタイトルが「マチェーテ」(原題:Machete 2010年)である。
グラインドハウスはジョークで作ったような部分があって、「マチェーテ」予告編もいかにもありそうなB級映画らしい作りになっていた。
そしてその主演が「デスペラード」の時から注目していた俳優、ダニー・トレホ
調べてみるとダニー・トレホ、ロドリゲスの従兄弟だって。(笑)
傷だらけの顔と鍛え上げられた筋肉、そして刺青!
一度見たら忘れられない俳優だよ。
こんなに存在感のある従兄弟だったら出演依頼したくなるよね!
初めは偽の予告編だったはずなのに、「マチェーテ」本編を本当に作ったらしい。(笑)
これは非常に楽しみ!
1987年公開のアーノルド・シュワルツェネッガー主演「プレデター」のリメイク版、現在公開中の「プレデターズ」もいつか観てみたい。
ど派手アクションとB級っぽさプンプンのロドリゲスからは目が離せない!(笑)

大人社会科見学—NHKトップランナー観覧—

【ここに集合!と出された看板】

SNAKEPIPE WROTE:

「大変!」
とROCKHURRAHが叫びながら走ってきた。
「当たったよ!NHK!」
「うそーーーー!」

話は少々さかのぼる。
「お願いがある」
と長年来の友人Mから電話があったのは、忘れもしない7月12日のことだ。
友人Mとはこのブログに何度か登場している、アート系好きの情報収集能力に優れた才能を持つ女性である。
「今度NHKのトップランナーという番組に松井冬子が出演するから、その観覧希望に応募して欲しい」
とのこと。
松井冬子とは日本画の手法を使って心象(内面世界)を描くアーティスト。
内臓や幽霊など、人によっては目を背けたくなるようなモチーフも描いている。
その題材や作品自体も話題だけれど、ご本人の美貌にも注目が集まっている。
友人Mは松井冬子の作品にもご本人にも心酔している大のファン。
本人以外に2名を申し込めるので、ROCKHURRAHにも協力してもらいそれぞれがMを含めた3人の名前を記載し応募した。
それから1時間も経たないうちにSNAKEPIPEのパソコンが壊れたのである。
だから忘れもしない日、なんだけどね。(笑)

そして初めの話、7月20日になるのである。
どのくらいの応募があるのか分からないけれど、見事当選!
頼まれただけの、しかも一番松井冬子に興味がないROCKHURRAHが当たるとは!(笑)
好き好きアーツ#3 松井冬子&金村修」で記事にしているけれど、あの時も3人で松井冬子のトークショー行ってるんだよね。(笑)
収録予定は7月25日なので渋谷のHNKスタジオまでお越しください、とのこと。
応募した時に申し込んだ人数と名前の人以外はダメですよ、とも書いてあった。
早速友人Mに連絡すると飛び上がらんばかりに喜んでいる。
当日は予定があったらしいけれど、それをなんとかクリアして3人でNHKに向かったのである。

トップランナー観覧希望の方と書かれた看板が出るのは17時です、と案内には書かれていたけれど、ちょっと早めに着きたいというMの強い希望により行動する。
Mは普段から早足しかも気が急いているため、ものすごいスピードで前方を歩いている。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHは鉄板入りのブーツで行ったので、足が重たくてMを見失わないようにするのがやっと。(とほほ)
なんとかNHKまで到着。
でもまだまだ先があったのだ。
NHK郵便局の近くが集合場所らしいけど、この場所とっても分かり辛い。
あんまりNHKに用事なんてないよね?(笑)
テレビが好きな人はいざ知らず、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEはテレビをほとんど観ないし、テレビ局にも縁はないからね。

またもやMが早足で駆け回り、看板が出そうな場所まで調べて手を振って待っていた。
ふー。暑い日にあんなに速く歩きたくないよー。
周りにはほとんど人がいなくて、歩いているのはNHK関係者ばかり。
そこでじっと待つこと約30分。
やっとトップランナー関係者が看板を持って登場したのである。

Mがどこからか聞き込んできた情報通り、3人で待っていた場所バッチリに看板が出され
「トップランナー観覧希望の方はこちらに2列でお並びください」
と関係者のにこやかな声。
Mの希望通りになんと1番で並んだのである。(笑)

ちょっと意外だったのが、関係者がみんな若いこと!
SNAKEPIPEの勝手な思い込みかもしれないけど、なんとなくNHKには年配のスタッフしかいないような気がしちゃって。
服装もかなりラフで首からIDカード下げてなかったら、誰がスタッフで誰が観覧希望者なのか判断できないほど。
実際に一日だけのアルバイトのようなスタッフも見受けられたしね。
スタッフやお客さんを仕切っていたドリカムの吉田美和似の女性に感心してしまった。
多分元々の素質に加えて様々な訓練を受けているのだろう。
人前で話をする訓練や的確に指示を与える教育、とかね。
あの女性だったら恐らく職にあぶれることはないだろうな。(笑)

並ばされた後、名簿で名前を確認、観覧者と判るステッカーを腿に貼らされたりして、NHK敷地内に入るまでに相当の時間がかかっている。
玄関からスタジオに行くまでは、ちょっと迷路のような作りになっていて、方向音痴のSNAKEPIPEは一人では無理。(笑)
NHK内部は思ったよりも殺風景で、まるで役所とか学校みたいな感じ。
テレビ局ってあんな感じなのかな?

中に入ってからも待たされる、待たされる!
収録前にすっかり疲れてしまったSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも同じだったようで、眠たそうな顔。
一人Mだけが元気いっぱいで目がギラギラしていた。(笑)
敷地内に入ってからは注意事項が示されて、携帯の電源は切って欲しいと言われたので実際どれくらい待たされたのかはっきり分かってないけどね。
他の注意事項は撮影、録音は禁止、収録内容についてブログなどで公開するのはやめて欲しいというのもあった。
なので、今回書いているこのブログも、収録内容については触れないからね!

やっと会場入り、というところまで来た。
ここでもまた注意事項。
貴重品以外の手荷物はすべて別の場所に置いて欲しい、とのこと。
ペロンと畳が数枚置かれた場所に全員がバッグや傘を置いていく。
せめてコインロッカーくらいあってもいいのにな、と思ったSNAKEPIPE。
どこの誰が来ていると分かってるかもしれないけど、貴重品以外の盗難だって考えられなくはないからね。
高級ブランドのバッグを持ってる人だっているだろうから。

そしてついに収録会場に入る。
右手に4段左手に3段の白い大きな階段のような作り。
そこに小さい座布団が人数分置かれている。
スタジオの中ってこんな風になってるんだね!
いつもそうなのか今回だけなのかは分からないけど、全部で64人分。
7割が女性、という感じか。
「最前列は女性の方でお願いします」
と指示をされた。
一番で入ったMは当然のように最前列に座ったため、SNAKEPIPEもその隣へ。
ROCKHURRAHは2段目に座り、離れてしまった。
しばしの別れじゃ、ROCKHURRAH!(笑)
それにしてもこの座布団だけで、背もたれがないので腰が辛い!
なるべく背筋を伸ばすようにしてたから余計に疲れそう。(笑)
やっぱりROCKHURRAHと同じように2段目あたりが良かったのかも?

周りを見渡すと、テレビカメラが3台。
遠隔操作で動く上方からのテレビカメラが1台。
スチール写真担当のカメラマンが一人。
このカメラマン以外はまたみんな若いスタッフばかり。
みなさん、あんまり面白くなさそうに仕事してるように見えたけど勘違いかな?(笑)

司会者、箭内道彦田中麗奈登場。
田中麗奈は思っていたよりも背丈があって、顔の印象は全体が吊り上ってる雰囲気。
結構キツい顔立ちなんだね
箭内道彦はいかにもカタカナ職業の人って感じ。
1964年生まれだから年代的にいっても80年代風なんだよね。(笑)
さすがに頭の回転が速いのか、話も上手く場をなごませていた。
松井冬子の登場が少し遅れたので、お客さんを飽きさせないようにアドリブでつないだりしていた。

(ここからは番組の核心に触れるような話はあえて書かないようにするので、ご了承を。)
そしていよいよ松井冬子登場!
相変わらず艶やかで美しく、とても華やか。
2008年7月ナディッフでのトークショーは知ってる人との対談だったから、上手いリードで割りと自然だったけれど、今回はちょっと違ってたかな。
緊張のためなのか、場に馴染んでない感じ。
元々声のトーンが低い松井冬子だけど、今回はもっと低くなってる。
マイク通してるはずなのに、会話がよく聴き取れない!
SNAKEPIPEの耳が悪いのかな?(笑)

あまり弾まないながらも番組は進行していき、
「はい、ありがとうございました!」
を合図に小休止。
その間にメイクや髪型の点検。
松井冬子にはなんと3人ものヘアメイクさんが駆け寄り、顔やら髪が直されていく。
扇子で扇ぐ係までいてびっくり。
大丈夫だよ、全然崩れてないから!(笑)

収録途中でちょっとしたトラブルが発生し、待たされてる時間があった。
お客さんに悪いと思ったのか、司会の箭内道彦が気さくに話しかけてくれる。
なんと箭内道彦、いきなりROCKHURRAHに質問してるよ!
派手な色の服だったのと、やっぱり目立ってたからだろうね。
それにしても普通に返答してたROCKHURRAH、恐るべし!(笑)

番組終了近くになると会場の雰囲気にも慣れてきたのか、松井冬子も饒舌になってきた。
笑顔も見えてきて、なごやかなムード。
箭内道彦は自然に人を笑わせる才能があるみたいだね。

そしてついに終了。
お土産に「TOP RUNNER」とプリントされた黒いトートバッグをもらう。
トートバッグとはいってもTSUTAYAの貸し出し用袋のような素材の、小さいバッグ。
記念品だね!

結局待たされた時間を含めて約4時間。
疲れたな~!
放送は8月28日とのこと。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは映ってるかな?(笑)
どんな風に編集されているのか楽しみである。