ビザール・ポストカード選手権!7回戦

20121216-04
【いかにもアメリカンジョークっぽいポストカード。ビンテージものは面白いね!】

SNAKEPIPE WROTE:

気付いてみると今年も残り2週間ほどで終わりになるんだね!
なんだか今年はいつの間にか12月に入っていて、あんまり年末の雰囲気を感じていないのはSNAKEPIPEだけだろうか?
年賀状の準備もしないといけないのにまだ全然進んでいないなあ。
ROCKHURRAH RECORDSでは毎年年賀状を作成して友人知人に送り、もちろんこのブログにもアップしてご挨拶させて頂いている。
「今度はどんな年賀状にしようか」と毎年2人で頭を抱えながら制作するのがならわしである。(大げさ)
できれば喜んでもらいたいと考えて、カッコ良いポストカードを作ることを目標にしている。
自己満足じゃない?と言われてしまえばそれまでだけどね。(笑)
それにしても、一枚の画像として何かを表現するのってかなり難しい。
ため息が出てしまうような、心憎く思ってしまうほどセンスの良いポストカードも世の中にはたくさん出回っているというのに…。

今回のビザールシリーズは、SNAKEPIPEとROCKHRRAHが目標としているカッコ良いポストカードとは対局にあるようなカードを選んでみた。
もしかしたらそのトホホな感覚が参考になるかもしれないしね!(うそ)
世界のビザールなポストカード特集、早速いってみよう!

一番最初は、これ!
どお、このインパクトの強さったら。(笑)
I am having a great time at~と文章が付いているので、お礼状としてのポストカードだということは判るんだけどね。
「楽しい時を過ごせてありがとう」と言うににしては、みんな笑い過ぎでしょ!
左下の女性が「今くるよ」に似ていると思うのはSNAKEPIPEだけかしら?(笑)
このカードをもらった人がどんな感想を持つかを全く無視して、自分の思いを伝えることに終始している点で秀逸なカードだね。

次はこれ!
どうやらトルコのカードみたいなんだけど、見た瞬間プッと吹いてしまったSNAKEPIPE。
この羊のインパクト、かなりのものだよね?
そして下の宮殿との対比。
世界3大料理の中の一つがトルコ料理で、トルコの人が羊を食べることは知ってるけどね。
上の写真の羊は何やら装飾がなされている様子。
何かの儀式かな?
トルコについてはほとんど知らないので、全く意味不明のカード。
このカードをもらったら「どんな意味があるのか」と考えこんでしまうかもね!
何年経っても「あの羊のカードくれた人」と印象に残ることは間違いないね。

次もトルコのカードね。
これは、上の羊カードに比べると解り易いね。
兵士が故郷に残してきた恋人を想っている、という図だと思うけど違うかな?
それにしてもこのバラの配置、モヤがかかった恋人の顔、それを打ち消すかのような手にした銃という、なんとも言えないチープ感はトホホに値するね。
ここで考えてしまうのが、このカードは誰が誰に出すんだろうという問題。
兵士が恋人に?それとも恋人が兵士に?
どちらにしても士気を低下させることは間違いなさそう。
第3者がもらっても「素敵なカードをありがとう!」にはならない類だろうね。
こういうセンスを持っているトルコ、恐るべし!(笑)

最後はこちら。
どうやらこれはフィンランドのポストカードらしい。
3人の軍人、と思ったらなんとマネキン人形なんだよね。
もしかしたら歴史博物館みたいな、何かの機関が発行しているポストカードなのかもしれないけど、全く意味不明。
真ん中の人のポーズもオーバーアクションだし、それを冷ややかな目で見つめている右のマネキンの顔も変!(笑)
真ん中のマネキンはYMOの「SOLID STATE SURVIVOR」のジャケットに出ているマネキンの顔に良く似てる!
そして右のマネキンの顔はYAZOOのアリソン・モエットに似てるー!(古い)
ということはアリソン・モエットは変な顔なのか?
どっちにしても80年代顔ってことだね。(笑)
現代のフィンランド軍がこの装備なのかどうかは不明だけど、懐かしい雰囲気にシンパシーを感じてしまうね。
コレクションとして一枚欲しいポストカードかな。

世界のビザール・ポストカードは検索しているだけでも非常に楽しかった。
「ええっ、これを送っちゃう?」と驚いてしまうようなトホホ感たっぷりの逸品がたくさんあって、興味深い分野だね。
また機会があったら特集してみたいと思う。
今回勉強になったのは「相手を無視しても自分の思いを伝える」ということかな。
ん?これで良いのか?(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #18 Aaron Johnson

20121209-top【Now We Hunt Hippopotamusという2009年の作品】

SNAKEPIPE WROTE:

最近は展覧会鑑賞が続き、なかなかアーティスト発掘をしていなかった。
前回SNAKEPIPE MUSEUMを書いたのが7月だったとは。
なんと5ヶ月ぶりの記事になるとは、月日が流れるのは早いねえ。(しみじみ)
SNAKEPIPE MUSEUMファンの皆様、お待たせしました!
今回は一枚の絵を目にした瞬間から魅了された、アーロン・ジョンソンを特集してみたいと思う。

アーロン・ジョンソンは1975年ミネソタ州セントポール生まれのアメリカ人。
現在の活動の舞台や住居はニューヨークとのこと。
1997年にアリゾナ大学で細胞生物学を学んだ後、1998年にはニューヨークでデザインの勉強。
1999年にはPratt Instituteというブルックリンにある美術学校に入学、2005年にはニューヨーク市立ハンター大学にて美術を学んだようだ。
アメリカの学校制度について詳しくないSNAKEPIPEだけど、23歳から30歳くらいまで美術学校や大学に通ってアートの勉強をする人って日本では珍しいんじゃないかな。
もしかしたらアメリカでは一般的なのかしら?
羨ましい環境だよね!
そしてアーロン・ジョンソンは2003年あたりからグループ展に参加、2004年には個展を開いているというから大したもんだ!
ということは大学在学中には作品を発表していたことになるんだね。

上に書いた以外には、残念ながら情報をほとんど入手できなかったよ。
SNAKEPIPEは知らないんだけど、イギリスに同姓同名の俳優がいるんだね?
しかもその俳優が23歳年上の女性と結婚しているらしく、「歳の差婚」みたいな記事ばかりが載っているという、全く意味をなさない検索作業になってしまった。
ウチのブログはその俳優とは別人で、現代アーティストのアーロンについて書いているので、そこんとこ夜露死苦!(笑)
では作品紹介いってみよう!

20121209-01「Stargazer」と題された2005年の作品である。
60.96cm×76.2cmの大きさとのこと。
アーロン・ジョンソンはアメリカ人なのに、作品からは東洋的な匂いがするんだよね。
赤い部分が、本当は血液とか血管なのかもしれないけれど、曼珠沙華の花に見えるせいかもしれない。
曼珠沙華、別名彼岸花も好き嫌いがはっきりする花のひとつだよね。
SNAKEPIPEはあの不思議な形や、色使いが大好き!
山口百恵の歌にもあったっけ。(遠い目)

タイトルには「星を眺める人」という単語が使われているけれど、SNAKEPIPEには魂が少しずつ抜けていき、その人を形作っていた記憶や生命力が空へと漂っていくような絵に見えたよ。
不幸な死に方をしてしまったけれど、念仏唱えて極楽浄土を夢見ているような。
そんな感想を持ったけれど、どうだろう?
怖い印象の絵には間違いないけどね。

20121209-02続いては「Tea Party Nightmare」という2011年の作品。
106.68cm×137.16cmというから、さきほどより大きなサイズだね。
まるでジェームス・アンソールを思わせる作風だけど、アンソールよりも残酷。
ブログだと絵を大きく載せていないので判り辛いけれど、アーロン・ジョンソンの絵は細部の描き込みがすごいの!
主役部分よりも、SNAKEPIPEは魅力を感じてしまう。
例えば上の絵だったら、右から2番めの女性の上部に描かれた小さい女性や、テーブルの上の人間入りハンバーガーなどが気になるなあ。
アーロン・ジョンソンは「アメリカ」を象徴する、例えば国旗や歴史上の人物などを描くことが多いので、上の絵も誰かをモデルにしてるのかもしれない。
そう考えてみると、真ん中の人物がクリントン元大統領に見えてくるよ。
えっ、全然違う?(笑)

20121209-03最後に紹介するのは「Operation Bulldog」という2011年の作品ね。
213.36cm×254cmというかなり大きいサイズだね。
戦車モチーフというのが気に入って、紹介させて頂くことにしたよ。(笑)
その戦車を操っているのはブルドッグ。
その下にいるのは…いばらの冠に手の釘だから…キリストかな?
顔がまるでインド神話に出てくるガルーダみたい。
アーロン・ジョンソンの絵にはキリストを描いた物も多いんだよね。
やっぱりキリスト教徒だからかな?
その割にはコミカルだったり、人によっては冒涜と感じるような描き方をしてるんだけど大丈夫なのかしら?
上の絵でもブルドッグがキリストと思われる人物を喰らっているように見えるんだけどね。
「人間は犬に食われるほど自由だ」
と言ったのは藤原新也だけど、キリストを人間扱いして良いものなのか?
難しい話だから、ここで言及するのはやめておこうね。(笑)
ここでまた調べていたら判明したことがあったよ。
なんとアーロン・ジョンソンの3代前、曾祖父の時代にジョンソン一家はインドでキリスト教の宣教師やってたらしい。
アーロンの時代はアメリカ在住だけど、家にはインド文化が溢れていたなんて書いてあるじゃないの!
これなら東洋文化やインド神話が絵の中に表れていても不思議じゃないね。

アーロン・ジョンソンの絵にはとても不思議な魅力がある。
残酷な笑いとでもいうのか、コミカルさと残酷さの共存。
サイケデリックや浮世絵的な要素の融合。
神話や歴史について研究を続けているという記事も発見したよ。
HPには2011年の作品までしか紹介されていなかったので、残念ながら2012年の活動については不明。
今は一体どんな材料をどんな風に料理して提供しているのか。
こういうアーティストの作品を日本でも観られる日が来ることを待つばかりだ。
エグいのが好きな人にはたまらない展覧会になるだろうね!(笑)

SNAKEPIPE SHOWROOM 物件5 海と山編

20121202-top【究極の人嫌い用物件は宇宙かな?駅まで徒歩35万光年!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

去年実に大変な苦労をして引越しをしたばかりだというのに、また「引越したい病」に感染中のSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
ポール・デルヴォー観に行った府中が良い環境だった、なんていうのを知ったことなども理由かもしれないね。
普段はほとんどテレビを見ないけれど、毎週やってる世界の紀行番組だけは楽しみにしていて、「外国住みたいなあ!」なんて夢を見たりすることもしばしば。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHの好みで共通しているのは、ゆったりした環境で人がまばらに活動していること。
狭い場所に人が窮屈そうにしている、そう、まさに日本の環境が最悪なんだけどね。(笑)
年末ジャンボも売りだされたことだし、せっかくだから世界のゆったりした人のいない環境で生活できる物件を探してみようか。

20121202-01
一番初めにご紹介するのはプライベートアイランド!
プライベートアイランドと聞いてパッと思い浮かべるのはスウェーデン版横溝正史といった感じの「ミレニアム」の一番最初に出てきた話の中の孤島かな。
あの島は本島とつながっていたけどね。
あとは「サンダーバード」の秘密基地。
そしてもちろん忘れちゃならない「パノラマ島」だよね。(笑)
何か秘密めいたことをするには良いシチュエーション。
だって、自分達以外に人がいないんだもん。(笑)
推理小説の舞台としても密室物として大活躍だしね!

先日の「尖閣諸島問題」でも明らかになったように、島って買えるんだよね。
SNAKEPIPEは随分前から「島は買える」ということを知っていた。
だって「さだまさしが関白宣言の印税で島を買った」って聞いたことあったからね。
えっ、関白宣言自体が古い?まさか知らない?(笑)
ちなみにさだまさし所有の島は長崎県にある詩島ってところらしいよ!

SNAKEPIPEだったらどんな島にしようかな、と調べていて見つけたのが上の写真の島ね。
これはカナダ、ブリティッシュコロンビア州南西部に位置する同州最大の港湾都市にあるブラインド・ベイの北に位置するフォックスアイランドである。(写真①)
名前がフォックスだからって残念ながらキツネがいるわけじゃないみたいね。
George Lane-Foxさん所有の島だったから、というのが理由みたい。
なーんだ、せっかくキツネと私の12ヶ月ごっこができると思ったのにね!(笑)
でも名前がカワイイということでいいか。

バンクーバーからフロート水上機なら約20分で移動可能、とのこと。
フロート水上機って何?と調べたら水上飛行機のことで、水上にて離着水できるように設計された航空機のことだって。
ここでちょっとした疑問。
水上で離着水する時ってボートを使うんだよね?
上手にできるかなー、難しそうだよねー。
プライベートアイランドを持つくらいなら、マイ水上機も買うだろうから練習もできるし、買い物も大丈夫か!
いや、本当にリッチな人だったら、自分では買い物しないかもね?(笑)

この島は「Developed」とされていて、多分前述のフォックスさんが家を建てたり、例えば水が使えるように整備していてくれた模様。(写真②)
海の近くの家に憧れたことがあるSNAKEPIPEだけど、これは360℃が海、という素晴らしい環境だもんね。
どの場所に家があっても、必ず窓から海が見えるだろうね。
おおっ、これで「魅せられて」ごっこもできるよ!(笑)

この島の周りの海域北側にはカキ、ムラサキガイが採れたり、なんとサケ、カニ、クルマエビなども採れるとのこと。 (写真③)
この船着場からボートに乗って釣りをしたら、気分は釣りキチ三平だね!
きっと大物がいるに違いない、だってカナダだもん!(根拠なし)
オラ、大物釣るだぁ~!
自分で釣ってサケやらエビが手に入るなら、狩りで生活できるかもね?
その釣った魚をこのオーブンで調理するってわけね。 (写真④)
ああ、憧れのオーブン!
やっぱりいいなあ、カナダ!

この島の広さは46エーカーらしいんだけど、単位としてエーカーで言われてもよく判らないよね。
調べてみると、どうやら東京ドームの約4倍だって!
ま、そんなことどうでもエーカー!(ぷっ)
そんなに広い敷地を持って一体何するのって感じだけど、ゆったりと自分だけの時間を過ごすにはもってこいのこちらの物件!
さて気になるお値段は?
4,359,549USドル、日本円にして約35億9000万円!
この環境や広さだったら納得のお値段かな。

バンクーバーについて調べてみたら、緯度が高いわりには寒くなくて、夏は暑過ぎない西岸海洋性気候なんだって。
そしてかなりアジア系の人種が多く住んでいる、なんて書いてあるので差別も少ないのかもしれないね。
考えちゃうねー、いいよね~!(笑)

20121202-02
続いては山のご紹介!
海の次は山って短絡的だけど、この規模がすごいからまあ、見てって頂戴よ!

今回ご紹介するこの物件は、アメリカ、ノースカロライナ州にあり、South Mountains State Parkの近くにある山なんだよね。(写真①)
山の中の一部分を切り取って売りだされてるから、地名もはっきりしないみたいだね。
写真①の黄色く縁取られている場所ってことで許してね。

ノースカロライナ州について詳しくないSNAKEPIPE
州の北はバージニア州に、西はテネシー州に、南はジョージア州とサウスカロライナ州に接し、州の東側は大西洋に面している場所って分かるかな?
アメリカって広いから州名だけ言われても、馴染みがない限りは知らない場合が多いよね。
ノースカロライナ州は山が多いのか、他にもたくさん物件が載ってたんだけど、この山に決めたのには理由があるんだよね。

なんとこの物件、湖付きなのよっ!(写真②)
ウィリス湖っていうらしいんだけど、この湖も所有できちゃうってすごくない?
マイ湖持ってる人ってあまり聞いたことないんだけど、どお?
マスが釣れるみたいだから、釣り好きにはたまらないよね。
ここでもまた釣りキチ三平できるじゃん!
オラ、湖の主、釣るだぁ~!(しつこい)
広い牧草地も完備。(写真③)
馬にも乗れるみたいだし、ゴルフもできるかも?
ハイキングに、自転車に、とアウドドア好きも大満足なこと間違いなし。
野生動物のウォッチングにも最適な環境だね。

湖の周りは森になっていて、雑木林ではサバイバルゲームができそうだよ。(写真④)
この雑木林の中だったらギリースーツを試すにはもってこいだね。
ただし、SNAKEPIPEとROCKHURRAHが二人ともギリースーツを着て隠れていたら、お互いを見つけることができなくて苦労するかも。
敷地広いから、夕方まで見つからないかもね。(笑)

この物件、以前よりかなりお値下げして販売中とのこと。
351エーカー、東京ドームの約30倍と言われても想像すらつかない広さだよね。 そんな広大な土地のお値段、かつては7950USドル/エーカーだったのが、3500USドル/エーカーと半額以下!
351エーカーで計算してみると…えっ、お値段まさかの1億円!
以前の金額でも2億3000万円だったとは!
SNAKEPIPEの計算間違ってないよね?
うそー、こんなお値段で買えちゃうのー?
これなら年末ジャンボで余裕のお買い物よ~!(笑)

敷地があまりに広いためなのか、写真が少なめだったので、家が建てられているのか、ライフラインが通っているのかなどの詳しい情報は不明なんだよね。
自分の好きなように山荘建てるのも良いな!
こんなに広い土地なら、曜日毎に違う家とか気分で寝る場所を替えるなんていうのも面白いかも。
夢が広がるね!

今回は海と山の紹介だったけど、きっと他にも海外にはびっくり仰天物件があるはず!
また探していきたいね。
まずは年末ジャンボか。(笑)

好き好きアーツ!#18 DAVID LYNCH —CHAOS THEORY OF VIOLENCE AND SILENCE

20121118-top【ラフォーレの垂れ幕にリンチの名前がっ!交差点手前から撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2012年11月10日よりラフォーレ原宿にあるラフォーレミュージアムにて、「デヴィッド・リンチ展~暴力と静寂に棲むカオス」が開催されている。
この情報を教えてくれたのは、またもやROCKHURRAHだった。
それはもう今から2ヶ月くらい前のことになるのかな。
心待ちにして、展覧会の初日に鑑賞してきたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
2012年7月に鑑賞した渋谷ヒカリエで開催された「Hand Of Dreams」の記事に

「リンチは平面の作品だけじゃなくて、立体作品も制作しているのを海外のサイトで知った。
その作品もまた稚拙な雰囲気だけど怖いんだよね。(笑)
そんな作品群も鑑賞できたらいいなあ。 」

と書いていたのだけれど、今回の展覧会でその希望が叶うことになった。
なんて幸運なんでしょ!(笑)
1991年今はなき東高現代美術館での個展、1996年渋谷パルコギャラリーでの写真展「Dreams」、今年7月ヒカリエにおけるリトグラフ展に引き続いての鑑賞。
どうやら2010年に大阪でも個展を開催していたようだけれど、全然知らなかったよー!
その時に情報を入手していたら、初の大阪入りができたかもしれないのにね。(今まで一度も大阪に行ったことがないSNAKEPIPE)
今回は絵、写真、映像に加えミクストメディアの展示ということでリンチの世界を堪能できる企画になっているようだ。
ワクワクしながら原宿に向かう。

ラフォーレミュージアムという名前は聞いたことがあったけれど、そもそも原宿大好きだった少女時代(ぷっ)から、ほとんどラフォーレ原宿にすら足を踏み入れたことのないSNAKEPIPE。
聞いてみるとROCKHURRAHも同じく、ラフォーレ原宿には思い出がないと言う。
フロアの天井が低く、細かく店舗が分かれているため、買い物がし辛い印象があったんだけど?
やっぱり今回も同じように感じてしまった。
店内を物色することもなく、最上階にあるラフォーレミュージアムへ。

チケット売り場の前にはリンチの「ようこそ」的な映像が流れている。
なんだかこれって…夏に開催されたヒカリエの時とほとんど同じ。(笑)
前回は「愛・平和」の漢字を空中に書いていたリンチが、今回は日本語を喋っていること、モノクロからカラーに変わったこと以外は似た映像だね。

チケット売り場の横には物販店があった。
ポストカードと、リンチの絵をプリントしたTシャツや関連書籍などを販売している。
おや?お目当ての図録がないよ?
どうやらこれは完全予約制での受付となっているようで、11月下旬発送予定で受付だけ行なっているとのこと。
帰りに予約することにして、逸る気持ちを抑えながら会場へ。

20121118-01
最初は写真作品の展示からである。
ポーランドの廃工場を撮影した作品群が並ぶ。
イレイザーヘッドの舞台にもなっている、フィラデルフィアのリンチ撮影の写真を観たことあるけど、やっぱりそれらも工場地帯の写真だったんだよね。
工場にある魅力はSNAKEPIPEもよーく解る。(笑)
きっと今回のポーランドの工場なんて、目の前にしたらヨダレが出るだろうな。
クレジットを確認すると、今年の撮影ってことみたいね。
2012年にもまだこんな工場があるとは、ポーランド恐るべし!(笑)
他にも写真作品が続き、男女のヌードのクローズアップシリーズ、snowmenという雪だるまシリーズ、と全てモノクロームである。

ヌードのクローズアップの写真群には「その手があったか」と唸ってしまった。
クローズアップにすることで、体のどのパーツを写してるのか判らなくなるんだよね。
そして明らかに、通常ならば服や下着で隠れている部分を露出させた写真(まわりくどい言い方だけど)と並べて展示されることで、謎のパーツ写真が想像によってエロティックな方向に進んでしまうから不思議だ。
もしかしたらそれは肘を曲げたり、首のしわだったりするような、普段から目にしている部分かもしれないのにね?
この、ちょっとトリックめいたシリーズは興味深く感じたよ。

短編映像作品3作品を鑑賞する。
2009年、2011年、2012年の作品、というかなり最近の作品なんだけどね。
映像作品ガイドで確認しないと「最近の?」と思ってしまう映像作品。
だってリンチの初期映像作品との違いがはっきりしないんだもん。(笑)
1968年制作ですよ、と言われても何の疑いも持たないかもしれないなあ。
途中で出てきたゴッホは、やっぱり「耳つながり」ということでOKかしら?

続いては夏に鑑賞したリトグラフと同じ系列の、和紙への「にじみ」を活用したような絵画が並ぶ。
これらの絵画は、ヒカリエで鑑賞したリトグラフのような黒っぽさ、線の太さはなくて、強烈なインパクトは残さなかった。

またもや映像作品2作品。
リンチ自身が出演していて、まるでツインピークスのゴードン・コール並に声を張り上げて喋り、おかしい。(笑)
17分と13分、という合わせて30分の映像のため、全部を鑑賞するのを諦めることにする。
字幕もなかったので、さっぱり意味が解らなかったし。(笑)

20121118-02
次は油絵の登場である。
1991年に鑑賞した時のリンチの油絵は、色彩や題材がいかにもリンチらしく暗いもので、あの時には確かバンドエイドが貼り付けられてる作品もあったはず。
それでもほとんど「平面」の作品ってことになるよね。
今回は油絵、といっても単なる絵画ではなくて、油絵の具と粘土のような物を組み合わせたり、立体物がキャンパスに貼り付けられているような作品であった。

上は「I see my Love」と、そのまんま絵にタイトルが書かれてる作品である。
リンチの作品にはこのようにタイトル記載が多いんだよね。
以前も言ったことだけど、その字がまた「リンチ・フォント」とでも名付けたら良いような独特の風合を持ったアルファベットで、それだけでもアートになってしまう。
色彩の暗さは相変わらずだけど、立体になっている部分が新しいね。
そして貼り付けられているのは…じっと見ていると、もしかして歯?
ぎゃーっ、怖いっ!
目から飛び出してるのも嫌だけど、なんだか歯が本物っぽいんだよね。
ひー、顔が顔として写実的じゃないところが余計に不気味!
ROCKHURRAHは「レザーフェイスみたい」と言う。
リンチの娘であるジェニファー・リンチが監督した「サベイランス」にも、似たお面が出てきたことを思い出す。
世界一カルトな親子の作品!Surveillance鑑賞」 に画像を載せているので、ご参照くだされ。

20121118-03
いよいよ大詰め!ミクストメディアの登場である。
今回の展覧会で一番観たかったのがこのシリーズ。
立体油絵(変な造語だけど)だけでもかなりのインパクトがあったけれど、ミクストメディアはまずその大きさに驚いてしまう。
「Boy Lights Fire」という作品は208.3cm x  330.2cmという巨大さ!
下地になっているのはどうやらダンボールのよう。
そこに「にじみ」を加え、更に立体を貼りつけたり、マッチ部分が光るように細工がされていたり、と実験的な要素が満載である。
このタイプと同系統の「Bob’s Second Dream」などを含めた巨大ミクストメディアが全部で4点展示されている。
川村記念美術館の「ロスコ・ルーム」ならぬ、「リンチ・ルーム」といった感じだろうか。
ゾワゾワと背中から寒気が襲ってくるような恐怖感。
それでもずっとその場に留まっていたいと思う相反する心情。
「怖いもの見たさ」なんて簡単な言葉では説明し切れない摩訶不思議な引力のある空間だった。
あの感覚はやっぱりあの場で体験・体感しないと解らない類のものだろうね。
行って良かった、鑑賞できて幸せだった、と心から思ったSNAKEPIPEである。

以上で展覧会の概要のまとめは終わりなんだけど、出口近くに設けられたスペースに、何やらゴージャス感漂うガラスケースがいくつか置かれている。
なんとそれはフランスのシャンパンであるドン・ペリニヨン
なんでリンチの個展にドンペリなの?

どうやらリンチがドン・ペリニヨンのボトルとパッケージデザインをした、ということらしい。
リンチアンを名乗って長いSNAKEPIPEがそんなことも知らないとは!(笑)
お詫びにドンペリ購入させて頂きますっ!
ではお値段を調べてって…えーっ!
「ドンペリニヨンヴィンテージ 2003」が2万1000円、「ドンペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2000」が4万3050円だって。
2本購入なら6万4050円だよー!
ドンペリってやっぱり高額品なんだね。
小さいことだけど、最後の50円ってところがものすごく気になるなあ。(笑)
2本買うから6万ちょっきりでどおだ?と言いたくなるよね!
いや、スミマセン、買えません。(涙)
カリフォルニアのスタジオで2日間かけて撮影されたのは、光や煙の中に浮かび上がるドンペリのマーク。
キラキラしていてとてもキレイ。
リンチらしいのかどうかは不明だけど、ドンペリのイメージには良く合ってるように思うね。

リンチの絵の怖さについてずっと考察していたら、結局行き着いたのは「境界」という言葉かな。
夢なのか、現実なのか。
正常なのか、異常なのか。
リンチの絵はまるで、知的障害者や精神障害のある人が、勢いに乗って制作しましたという雰囲気がある。
何も考えず、ただその欲求に駆られ、想いのまま筆を動かしたような。
子供が描いたようにも見えてくる。
その稚拙そうに見える部分が余計に怖いのだ。
例えば小説などで犯人が子供時代に描いた、心理検査として使用されるような絵、もしくは犯罪を目撃してしまった後、ショックで喋ることができなくなった子供が現場を描いたような絵、と説明したら解ってもらえるだろうか。
何かを内に秘めた人物の絵。
それは凶暴性だったり残酷性なのかもしれない。
展覧会のタイトル通り「静寂と暴力が棲むカオス」だね。(笑)
きっとそのカオスを、SNAKEPIPEの頭でも心でもなく、皮膚が反応していたようである。
背中がゾワゾワしたのはそのせいね、きっと。
図録の到着が楽しみである。

2012年は「Crazy Clown Time」のCDデビューに始まり、ヒカリエでの個展、そして今回のラフォーレミュージアムにおける個展と続きリンチ大活躍、ブログに登場することも多かった。
リンチアンには幸せな年だったね!
そしてリンチに、また子供ができたらしい。
「リンチ、66歳で再びパパに!」なんて記事も発見。
そんな精力的なリンチに、これからも期待しちゃおうね!