ロン・ミュエク展 鑑賞

20260719 top.
【会場入口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

森美術館で開催されている「ロン・ミュエク展」は、2026年の目玉企画の一つであることは間違いないだろう。
「日本では18年ぶりの大回顧展」と銘打たている気になる企画展だよ!
ロン・ミュエクといえば、青森県の 十和田市現代美術館に所蔵されている、4mを超える大作「スタンディング・ウーマン」が有名だね。
ROCKHURRAH RECORDSでは2014年8月の「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」において、初めてロン・ミュエク作品を鑑賞したっけ。
あまりにも精巧な造形に感動したことを書いているSNAKEPIPE。
「ハイパーでスーパーでリアルな彫刻」
と評しているよ。(笑)

長年来の友人Mから「ロンロン観に行こうよ」と誘いを受ける。
勝手にあだ名をつけて呼ぶのが友人Mの特徴なんだよね。
会田誠は「まこっちゃん」、フランシス・ベーコンは「ベーコンさん」白髪一雄は「かずおちゃん」などと呼んでいる。
ロン・ミュエクのことは「ロンロン」に決めたらしい。(笑)
友人Mと展覧会を鑑賞するのは2022年8月の「ライアン・ガンダー」や「野口哲哉」以来で、ずいぶん久しぶりだよ。
六本木ヒルズでランチを食べ、森美術館に向かう。

53階の美術館に向かうエレベーターが満員だったので、嫌な予感がする。
会場に入るまでのエスカレーターも行列していて、ロン・ミュエクの人気ぶりがよく分かる。
一つの作品に群がって鑑賞する人の多さに困惑するほどだよ。
森美術館は全ての作品の撮影可能で、動画撮影も1分以内OKという太っ腹対応なので、余計に群がってしまうんだよね。
最初に展示されていたのは、2009年制作の「枝を持つ女」。
全裸で枝を抱えたら痛いだろうに、と思う。
重くて踏ん張ってる様子が伝わるよね。

2005年の「イン・ベッド」は、6m以上の大型作品なんだよね。
現代アートらしく観た瞬間に「うわっ」と驚かされるインパクトの強さ!
上空を見つめる視線を正面から捉えることはできないよ。
よほど背の高い人だったら可能かもしれないけれどね。(笑)
物憂げに考え事をしている大きな女性は、リアルすぎるほどリアル!
ロン・ミュエクの作品に登場する人物は皆、想いを巡らせているんだよね。
にっこり笑顔の人が見当たらないのが特徴みたい。

先に書いた2014年に開催された展覧会でも鑑賞していた「若いカップル」だよ!
あの時はじっくり観察し近寄り過ぎてしまい、係員から注意を受けたっけ。(笑)
1mに満たない身長のミニチュアサイズ。
ティーンエイジャー(?)の男女が寄り添っている。
服装から季節は夏だと分かるけど、全然ハッピーに見えないよね。(笑)
厳しい家庭で育っている少女が「親に交際がバレないか」を心配している?
駆け落ちの相談をしてるとか?
10代の悩みははっきり分からないけれど、若いうちはもっと笑って欲しいね!

初期の代表作「エンジェル」は日本初公開なんだとか。
「個人蔵」とのことなので、鑑賞できる機会は少ないよね。
1997年の作品「エンジェル」は、今回の展覧会の中で最も古いみたい。
天使なのに悩んでる姿が不思議な感じ。(笑)
ロン・ミュエクは1996年から作品を発表している、活動歴30年のアーティストなんだね。
当初はテレビや映画用のパペットや小道具などを制作していたという。
代表作はデヴィッド・ボウイが出演していた「ラビリンス/魔王の迷宮(原題:Labyrinth 1986年)」なんだとか。
ロン・ミュエクは声優としても参加しているみたいだよ。

ロン・ミュエクご本人がモデルになっている「マスクⅡ」は、2002年の作品。
幅が約120cmあるんだよね!
巨大な自分の顔を制作するのって、どんな気分だろうね?
展覧会で展示されて大勢の人の目に触れるわけだし。
友人Mが「ザ・スミスって感じ」と言う。
「モリッシーに似てない?」というSNAKEPIPE。
結局2人とも同じ連想をしてたんだよね。(笑)
横尾先生の作品「The Artists」にあったロン・ミュエクの肖像がこちら(画像右)。
「マスクⅡ」とは違った印象を受けるよね!

無数の巨大な髑髏が積み上げられている。
「マス」というタイトルの彫刻100点だって。
この作品も展示会場に足を踏み入れた途端「うわっ」と驚かされるよ。
歩くための道は確保されているけれど、見渡す限りのドクロは圧巻!
しばらく撮影をしていると、だんだん見慣れてくるから不思議だよ。
「大量生産だね」と言い放つ友人M。(笑)
友人Mはパリの「カタコンブ・ド・パリ」で本物のドクロを見ているので、衝撃が少ないかもしれないね。

会場には「スティル・ライフ:制作中のロン・ミュエク」という動画も展示されていた。
あまりの人の多さに辟易して、鑑賞を断念したよ。
YouTubeに同じ動画もあったけれど、デヴィッド・リンチがロン・ミュエクを訪問した動画を載せておこう!
ロン・ミュエクもデヴィッド・リンチもカルティエ美術館と関わりがあるので、その流れでの対面だったのかな。
リンチが作品を観て感動している様子が伝わってくるね。(涙)

先にも書いたように、ロン・ミュエクの活動歴は30年で作品数は50点だという。
そのうちの11点が展示され、日本初公開作品が6点含まれているので鑑賞できて良かった展覧会だよ。
パリのカルティエ美術館から「イン・ベッド」のような大型作品を移動させるのって大変だろうね。
以前テレビで仏像や絵画作品を運ぶドキュメンタリーを観たことあるけど、なにせ1点物だし貴重な文化財を傷つけないように運搬するのは至難の業。
ロン・ミュエクの作品も苦労して集められたんだろうね。
森美術館の広い展示室にポツンと作品が1点だけ置かれていたり、全く何も展示されていない空間があるのは物足りない感じがした。
パネル展示も苦肉の策のように見えてしまった。
実物を鑑賞できる機会ではあるけれど、イマイチ感はぬぐえない。
行ったから言える感想だね!(笑)

杉本博司 絶滅写真 鑑賞

20260712 top.
【薄明るい空をバックに看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2024年11月の「江之浦測候所 見学」他、当ブログでは何度も登場している現代アーティストの杉本博司。
東京国立近代美術館で個展が開催されることを知ったのは、2026年2月の「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」を鑑賞した時にフライヤーを入手したからだよ!
絶滅写真」なんて、物騒なタイトルがついているよ。
「これは行かねば」と頭の片隅に置いて、忘れていなかったんだよね。(笑)
ROCKHURRAHの誕生祝いとして、この展覧会鑑賞もプレゼントしたのである。

梅雨はまだ明けていないけれど、雨は降らない予報の日、竹橋に向かう。
皇居のお堀周りは、道幅がゆったりしていて散歩コースに最適だよね。
この日は人が少なめだったので、余計に歩きやすかったよ。
会場内も予想よりお客さんが少なくて、ゆっくり鑑賞することができた。
撮影に関してはすべてOK、海景シリーズにいたっては動画撮影も可能とされている。
さすが杉本博司!(笑)
鑑賞者の気持ちに寄り添ってくれてありがとう!

1975年から制作された「ジオラマ」シリーズは、アメリカ自然史博物館の展示物を撮影した作品で、杉本博司のデビュー作なんだよね。
「現場で撮影したような」仕上がりになっているところがポイントらしい。
実際に撮影された、人類創世の場面に思えたからね!
1976年、シリーズの中の一枚「Polar Bear」がMOMAに買い上げられているという。
70年代からコンセプトと作品がしっかりしている証拠だよね。
「ジオラマ」シリーズは、マルセル・デュシャンのレディ・メイドの系譜なんだろうな。
ニューヨークにある自然史博物館のジオラマとの比較もしてみたくなるね!

「劇場」シリーズを最初に観たのはいつだっただろう。
空っぽの客席と眩しい光を放つスクリーン、妙にくっきりした背景の意味が分からなかったSNAKEPIPE。
写真家だった父に尋ねると「1枚の写真に映画1本が写ってるわけよ」とニヤニヤしながら答え、「頭のいい人は考えることが違うねえ」と感心していたことを思い出す。
映画のスタートでシャッターを開き、映画終了でシャッターを切る長い露光時間をかけ、映画と時間を1枚に封じ込めている作品群なんだよね!
映画のタイトルもキャプションに加わっていた時もあったように記憶しているけれど、今回は劇場名だけが表記されていた。
載せた画像は、ディズニーの「白雪姫」が映写されていたとのこと。
廃墟と化した劇場にグッときたSNAKEPIPEだよ!

お馴染みの「海景」シリーズがズラリと横に並んでいる。
119.4 × 149.2 cmという大きさの作品が7枚とは、圧巻!
画像はROCKHURRAHが撮影してくれたパノラマ写真だよ!
「原始人の見ていた風景を、現代人も同じように見ることは可能か」
という問いから撮影された企画だという。
空と海が真っ二つという構図は、どの作品でも一緒。
シンプルな作品なのに、圧倒的な存在感とインパクトがあるんだよね!
ベンチに座ってゆったり鑑賞できるのが良かった。
今は亡き「川村記念美術館」にあったロスコ・ルームにいる時と同じ感覚になる。
ロスコ・ルームにあった作品数も7点だったはずなので、今回の展示は意識的なのかもしれない。
原始から現代まで変わらない悠久の時をしっとりと感じられたような気分になる。
ちなみに「川村記念美術館」は2030年頃六本木の国際文化会館に移転されるらしいので、またロスコ・ルームを訪問したいね。

「建築」シリーズを観たのは初めてだと思う。
1997年から制作されたのは「焦点をボカすことによって、建築が建つ前の建築家の脳内ビジョンを再現」しようとする試みだという。
クライスラービルやワールド・トレード・センターがピンぼけで撮影されている。
作品を鑑賞している時には杉本博司のコンセプトを知らなかったけれど、一目惚れしてしまった。
ROCKHURRAHも同じ感想を持ったという。
載せた作品は2002年の「バラガン邸」。
構図と形がバッチリ決まってて、カッコ良いね!

突然、クリスチャン・ディオールのドレスが登場して驚く。
何事かと思いながら進むと「観念の形」が並んでいるのを観て納得!
ドレスを「形」として捉えているんだね。
「観念の形」は「三次関数の数式を立体化した石膏」を撮影したシリーズ。
数式を具現化する作品を初めて観たのは、2023年の「ワールド・クラスルーム」だったみたい。
江之浦測候所にも「観念の形」が展示されていて、金属が放つ光に見入ったものよ。
ピカピカ光っていて美しいんだよね!(笑)

世界中の有名な人物の肖像写真が展示されている。
何百年も前に亡くなったはずの歴史上の人物まで撮影されていて、不思議だよ。
これらの写真群は「肖像」シリーズで、ロンドンにあるマダム・タッソー館の蝋人形を撮影したものだという。
杉本博司のデビュー作「ジオラマ」シリーズと同じ手法で、既存の展示物を「肖像写真のように」撮影したものなんだね。
蝋人形の精巧さに目を見張り、杉本博司がリアルタイムで撮った本物の肖像写真に見えるところにも舌を巻く。
日本の象徴だった「あの方」も蝋人形になっていたとは、びっくり!

中国のSF作家・劉慈欣(リウ・ツーシン)が2006年に発表した「三体」に夢中になったことは「映画の殿 第71号 三体 テンセント版」で熱っぽく語っているSNAKEPIPE。
雷を見ると「三体」や球状閃電を想起するようになっている。
これはROCKHURRAHも同じで、杉本博司の「放電場」を観た瞬間、頭に浮かんだのは「三体」だという。
「暗室内で人工的に放電を発生させ、その小さな雷のような光跡をとらえた」シリーズなんだとか。
この発想がまさに球状閃電だよね。(笑)
とても気に入ったので、スマホの待受画面に採用させてもらったSNAKEPIPEだよ!

観た瞬間「ロスコだ!」と思う。
赤と黒のバランスがロスコ風だけど、画面が2分割されているところは「海景」だよね。(笑)
色合いがとても美しいよ。
「Opticks(オプティクス)」は、アイザック・ニュートンが1704年に出版した「光学」に載っている分光実験を再現し、光の色を撮影したシリーズだって。
この実験をするために英語版の初版を購入した、と書かれている。
AIに値段を聞いてみたら、600万円から2500万円と幅のある答えが返ってきたよ。
歴史的な価値やコンディションによって価格が変動するためらしい。
そんなに高額な「光学」(プッ!)を購入して、実験をしたと知り、改めて杉本博司の意気込みを認識したよ!

1970年代のデビュー作から現在までの写真展示は見応え充分!
すべての作品に添えられた短歌も面白くて、笑ってしまう文章もあったよ。(笑)
タイトルの「絶滅写真」とは、デジタルに置き換わりつつある銀塩写真のことを表しているらしい。
杉本博司は確乎たるコンセプトに基づき「これを撮る」とテーマを決めてから撮影を行っている。
解説を文章化できる、写真を使った現代アートなんだよね。
コンセプトを決めるために自問自答することや能と杉本作品についての考察が図録の解説に載っていて、興味深かったよ。
載せた画像は2021年10月「The Artists」展で観た、横尾先生が描いた杉本博司の肖像。
背景を白と黒で2分割されてても良かったかも、と思ってしまうよ。(笑)

かつては写真撮影が趣味で「マイ引き伸ばし機」を持ち、自分で現像や焼付やっていたSNAKEPIPEも、今はデジタル写真しか撮っていない。
現像するまで何が写っているか分からず、ドキドキしていたあの頃が懐かしい。
レコードも同様でアナログ文化が衰退していることは非常に残念に思うよ。
「江之浦測候所」を遺作とし、この展覧会に向けて「私は銀塩写真の寿命と私の寿命とが響き合っていることに幸せを感じている」という言葉を記している、現在78歳の杉本博司。
何をおっしゃるウサギさん!(笑)
まだまだ銀塩写真を使ったコンセプチュアル・アートを見せて欲しいと思う。
「江之浦測候所」も再訪問したいね!

映画の殿 第84号 韓国ドラマ編 part32

20260705 top.
【ドラマの登場人物をピックアップ。みんないい味出してたね!】

SNAKEPIPE WROTE:

本日7月5日はROCKHURRAHのお誕生日!
おめでとうROCKHURRAH!(笑)
プレゼントも喜んでもらって良かった。
これからもお互いの誕生日をお祝いしようね。

では通常のブログを書いていこうか。
ほぼ毎日ドラマ鑑賞しているので、定期的に更新している「映画の殿 韓国ドラマ編」。
前回書いた「映画の殿 第83号 馬医編 part31」より先に鑑賞していたドラマについて感想をまとめよう。
最近配信されたドラマばかりだね!

暴君のシェフ(原題:폭군의 셰프 2025年)」は、朝鮮王朝時代と料理がテーマのドラマと知って、興味を持っていたんだよね。
朝鮮王朝時代劇に慣れているし、「宮廷女官チャングムの誓い」のおかげで宮廷料理も認識あるし。(笑)
「暴君のシェフ」の主演はアイドル・グループ「少女時代」のユナ(画像右)と王様を演じているイ・チェミン。
2人とも第62回百想芸術大賞を受賞しているんだね。
世界的にもヒットしたドラマなんだとか。
あらすじを書いておこう。

フランス料理大会で優勝したジヨンは、偶然古い調理書によってタイムスリップし、最悪の暴君であり、絶対味覚の持ち主である朝鮮の王ホンに出会う…。(wowkoreaより)

トレイラーも載せてみよう。

フランス料理のシェフが罪人になったり、王様と必要以上に接近したりするシーンが確認できるね。
王様は1495年に在位した第10代国王、燕山君(ヨンサングン)をモデルにしているらしい。
実在した燕山君は、朝鮮王朝史上前例のない暴君と言われているとWikipediaに書いてあったよ。
それがドラマのタイトルにつながるんだね。
「チャングム」の時みたいに、名人たちとの料理対決が面白かった。
どの料理も美味しそうで、観ているとお腹空いてくるよ。(笑)
ファンタジー要素があるドラマなので、あの終わり方で良いんだろうね。

夜に咲く花(原題:밤에 피는 꽃 2024年)」は、ドラマ「熱血司祭」や映画「エクストリーム・ジョブ」でファンになったイ・ハニ目当てで観始めたドラマ。
ミス・コリアになった経歴があるのに、コミカルな演技で笑わせてくれる女優だからね!
「夜に咲く花」の原作はウェブ・トゥーンで、ロマンティック・コメディ・アクション時代劇だという。
このジャンルだけでも面白そうだよね。(笑)
あらすじを書いてみよう。

朝鮮最高の両班に嫁いだものの、一夜にして寡婦になってから15年も節操を守ったチョ・ヨファは夜は力のない者たちを助ける覆面武者として二重生活を送る。
この日は少女コンニムの父が家財を売って賭けをし、負けたためコンニム達が身売りされるのを助けようとしていた。
コンニムの父が行った賭博場に忍び込むヨファはイケメン従事官のパク・スホと偶然出会う。
スホは一目でヨファが女性であることを知り戸惑うが、ヨファはその場を逃げ切り、難局を乗り越える。(Wikipediaより)

トレイラーを観てみよう。

日本語字幕付きが見つからなかったので、こちらで勘弁してね!
夫を亡くした妻は「寡婦」として「つつましやか」に生き、後追い自殺するのが美徳とされていた話に驚く。
日本にもこうした風潮はあったのかな?
貞淑な女性と忍びの姿でアクションをこなすイ・ハニが見ものだよ。
今までの傾向や見た目から判断すると、活発な印象を受けるので貞淑な妻のイメージは違ったかも。(笑)
そして「ロマンティック」な相手役とのバランスもイマイチだったように感じる。
従事官であるパク・スホ役のイ・ジョンウォンよりイ・ハニのほうが迫力あると感じたのはSNAKEPIPEだけかな?

ユミの細胞たち(原題:유미의 세포들)」はシーズン1が2021年、シーズン2は2022年に放映されていて、ROCKHURRAH RECORDSでは2023年に2つのシーズンをまとめて鑑賞し「映画の殿 第57号 韓国ドラマ編 part13」で感想を書いている。
シーズン2を観終わって3年が経過した今年の2026年、なんとシーズン3が配信されることをROCKHURRAHから教えてもらう。
せっかくだから続きを観ようということになったけれど、前までのストーリーはあまり覚えていない。(笑)
アニメ化された細胞たちが面白かったので、今回もその点に注目していこう!
あらすじはこちら。

夢にまで見たウェブ小説家としての成功を手にしたユミ。
だが皮肉なことに、成功がもたらした平穏な日々に退屈していた。
そんな彼女の前に、常識外れな新人編集担当者・スンロクが登場し、ユミの中に怒りをはじめとする感情が再び湧き上がる。
そして、出張先で最悪の状況の中、思いがけないときめきまで感じてしまうのだが…。
この関係の行き着く先は、破局か、それとも新たな恋の始まりか。(Disneyナビより)

シーズンごとに一つの恋愛話になっているんだよね。
ユミ役のキム・ゴウンは、前回までと変わらず等身大の女性を演じていて親しみやすい。
シーズン3では、小説家として「先生」と呼ばれ大成した場面から始まったけれど、ヨレヨレの服を着ていたり顔を洗っていないで外出する、いつものユミなので安心してしまう。(笑)
そうはいってもお肌がキレイでモデル並のスタイルのキム・ゴウンだから全く問題ないね。
いつもベスト(チョッキ)を身に着けていて、真面目な印象だったよ。
シーズン3で恋に落ちる相手役が、後半になって態度を一変させたのは話数が短いからかな?
都合よくエンディングを迎えたような気がして、SNAKEPIPEとしてはイマイチのドラマだった印象だよ。
ユミ本人と細胞たちは相変わらずで良かったけどね。(笑)

最後は「鉄槌教師(原題:참교육 2026年)」。
かなりの問題作らしく、インターネット上で物議を醸していたんだよね。
原作はウェブ・トゥーンで、映像化前から体罰や人種差別などが論争を引き起こしていたらしい。
キャスティングも一波乱あり、当初は「熱血司祭」でお馴染みのキム・ナムギルにオファーしていたのに辞退されてしまったことも話題になっていたんだよね。
そして主役は、ドラマ「未成年裁判」や映画「正直政治家 チュ・サンスク」でラ・ミランの秘書を演じていたキム・ムヨルになった。
世界各国でナンバーワンのヒットとなったという「鉄槌教師」のあらすじを書いておこう。

秩序が崩壊している学校に鋭いメスを入れ、正しい道へと導く。
型破りな監督官たちによる、教科書では決して学べない容赦なき真の教育が始まる。(Netflixより)

 

トレイラー観ただけで荒廃した学校の様子が分かるよね。
大げさに伝えようとしているのかと思ったら、実際にあった事件をもとにしている描写もあるんだって。
口で言って理解できなかったら相応の罰を与える。
そのためには体罰も辞さないという姿勢に対して賛否両論あるのはわかるけど、観ていてスッキリしたのは事実。
キム・ムヨル演じるナ・ファジンが元特殊部隊出身という設定も良かったね!
ドラマ「ミセン」や「財閥家の末息子」でお馴染みのイ・ソンミンの出演も嬉しかった。
そして「ユミの細胞たち2」でコントロールZというイラストレーターだったP.Oも面白かったよ!
「鉄槌教師」は犯罪まがいの行為を行う生徒や教師などの学校関係者や保護者に対して、鉄槌を下ろすドラマなので、生半可な復讐物に満足できなかった人には強くオススメしたいね。(笑)

今回は割と最近配信されたドラマ4本を特集してみたよ。
配信サービスをいくつも契約していると、たくさんの面白そうなドラマがあって鑑賞する順番を迷ってしまう。
現在も次のドラマを鑑賞中なので、また感想をまとめていくよ。
次回をお楽しみに!

アンドリュー・ワイエス展 鑑賞

20260628 top.
【東京都美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2024年10月に「田名網敬一 記憶の冒険」をご一緒した、現代アート好きの友人Hと久しぶりに待ち合わせる。
SNAKEPIPEの闘病生活前に約束していたけれど、高熱のためにキャンセルさせていただいた経緯があるよ。
およそ2年ぶりの再会になるんだね!
今回も何か展覧会を鑑賞しよう、ということで決定したのが「アンドリュー・ワイエス展」。
東京都美術館開館100周年記念として企画されているんだよね。

「ワイエス展」を提案したSNAKEPIPEには、忘れられないエピソードがある。
今から4年前に他界した、SNAKEPIPEの父親が好んでいた画家がワイエスだったから。
写真をやっていたのに、部屋に飾っていたのはワイエスとアンリ・ルソーの作品だったっけ。
ワイエスの「クリスティーナの世界」は、筋肉疾患を患い歩くことができなくなってしまったクリスティーナ・オルソンをモデルにした作品。
ワイエスは1940年から約30年に渡り、妻の紹介で知り合った別荘近くに住んでいたオルソン家の姉弟、クリスティーナとアルヴァロをモデルに描き続けたとのこと。
クリスティーナは車椅子を使用せず、腕の力だけを使い這って移動したという。
精神力の強さが表現されている作品を観ながら「グッと胸に迫るものがある」とうなずいていた父親を思い出す。
SNAKEPIPEはこの作品以外知らないので、ワイエス展を観たいと思ったんだよね!

まずはワイエスの経歴を調べてみよう。

1917 米国ペンシルベニア州に生まれる
父は著名なイラストレーター・画家の N.C.ワイエス
1920-1930 病弱だったため学校にはほとんど通わず、自宅で教育を受ける
1937 ニューヨークの マクベス・ギャラリーで初個展を開催し、作品は即日完売する
1940 ベッツィ・ジェームズと結婚
1945 父 N.C.ワイエスが鉄道事故で死去
1948 「クリスティーナの世界」を制作
1950 「クリスティーナの世界」が Museum of Modern Art に収蔵される 
アメリカを代表する写実画家として評価を確立
1963 アメリカ合衆国大統領より、大統領自由勲章を受賞
全米芸術賞受賞
1988 アメリカ政府より議会名誉黄金勲章を授与
2007 国家芸術勲章受章
2009 老衰のため91歳で逝去

画家の父親からの手ほどきで描き始め、学校に通っていないことに驚く。
才能が受け継がれていたんだね!
「クリスティーナの世界」はMOMAが所蔵している点にも注目だよ。
たくさんあり過ぎて書ききれないほど、様々な賞を受賞している有名なアーティストなんだね。

梅雨の晴れ間といった快晴の日、上野に向かう。
つい先日、国立西洋美術館で「チュルリョーニス展」と「北斎 冨嶽三十六景」を鑑賞したばかり。
上野はいつでも人が多いよね。
友人Hとは公園改札口で待ち合わせ。
かなり早く着いてしまったので、駅構内を回って散策してから、友人Hの待つ場所へ。
ここにいる、と言われた場所に友人Hの姿が見えない。
首をかしげるSNAKEPIPEに向かって、手を振っている人を確認する。
「海外からの旅行者」と思って、視線を素通りしていた人が友人Hだったとは!(笑)
華やかなお顔立ちの彼女は、外国人に見えるのも納得。
久しぶりの再会に喜びながら、会場に向かう怪しい2人組だよ!

開館時間は並んでいるだろうという予想をして、少し時間をズラしたけれど、やっぱりチケット購入で並ぶ羽目になってしまった。
予約していなかったから仕方ないね。
それでも時間は短いほうだったのかもしれないな。
会場に入ると、予想通り大勢のお客さんで賑わっている。
とても鑑賞し辛い状態で、SNAKEPIPEが苦手な牛歩だよ。(笑)
撮影については一部のみOKだったので、載せている画像は全てSNAKEPIPE撮影ではないので4649ね!

1947年の「雪の朝(Snowy Morning)」はテンペラで描かれた作品だよ。
テンペラについては「チュルリョーニス展」の時に調べてるね。
「油絵具が普及する前には主にヨーロッパで使用されていた絵具だという。
顔料に卵を混ぜた卵テンペラが代表的なテンペラ技法で、卵テンペラは経年劣化しにくい特徴がある。」と書いているよ。
冬の寒い朝、灯台の明かりが周囲を照らしている。
ひっそりした中に、照明がついた窓にクリスマスリースが飾ってあるのが見える。
つつましやかで、穏やかな家庭のぬくもりを感じるね。
色合いと構図が気に入った作品だよ!

「マザー・アーチーの教会(Mother Archie’s Church)」は1945年の作品。
教会とタイトルになければ、どこの場所なのか分からないよ。
どうやら廃墟だった校舎を教会に改築したらしい。
描かれている時は改築前の様子なのかもしれないね。
ひび割れた天井に壊れたランプとは、廃墟好きにはたまらないモチーフだよ。(笑)
この視点も写真家みたいなんだよね。
白い鳥には、どんな意味が含まれているんだろう。

ワイエスが好んで描いたオルソン家。
先に載せたクリスティーナの家だよね。
オルソン家の3階からの景色らしく、かつては煙突から住民であるクリスティーナと弟の声が聞こえていた話を「日曜美術館」で知ったよ。
タイトルは「オルソン家の終焉(End of Olsons)」で1969年の作品だよ。
クリスティーナは1968年、弟のアルヴァロはその前年に世を去っているという。
無人になったオルソン家を描いた作品になるんだね。
遠くに飛んでいる鳥を目ざとく見つけた友人Hの観察眼に感服!
「オルソン家の終焉」は、ほぼ正方形で完成となっているけれど、実際には縦の長さが倍だったみたいなんだよね。
下半分が白く塗りつぶされている展示があったので、切り取られた上半分が作品になったことが分かったよ。
トリミングされた下部分はどんなだったんだろうね?

画面中央に行儀良く「おすわり」しているのは、ワイエスの妻・ベッツィの愛犬だって。
犬種はイングリッシュ・セッターで名前はノームらしい。
ワイエスが所有していたメイン州サザン島にある灯台内部を描いた作品とのこと。
島を持っていたとは、憧れるね!(笑)
奥に灯台の階段が続き、灯台守の制服(?)が壁にかかっている。
静寂に包まれた優しい時間が感じられるよね。
ここに登場したノームが、ミュージアムショップでキャラクター扱いされていて驚く。
ノームが線で描かれプリントされたグッズを見かけて、友人Hと大笑いしてしまった。
あの静謐さが微塵も感じられなかったんだけど、ワイエス側からOK出たんだろうか。(笑)

会場を歩きながら、似た景色を思い出そうとする。
SNAKEPIPEが写真の勉強をしていた時に知った、ウォーカー・エヴァンスの写真に似ていることに気付き嬉しくなる。
まだ記憶力は衰えていないらしい。(笑)
載せた画像(左)はワイエスがオルソン家を描いた作品で、右はエヴァンスの写真作品。
三角形にとがった屋根や周りの雰囲気も似てるよね!
2010年8月のブログ「SNAKEPIPE MUSEUM #05 Stephen Shore」で、アメリカの写真家スティーブン・ショアーについて書いた。

「アメリカ人のノスタルジア。
ちょっとおセンチで感傷的な『アメリカ人の孤独』を垣間見ることができるような気がする」

と書いているSNAKEPIPE。
今回のワイエス展では、更に強く孤独を感じたよ。
郷愁、寂寥、喪失などの寂しさを表現する単語がいくつあっても足りないくらい。
そしてワイエスは生涯、生まれ故郷のペンシルベニア州と「オルソンハウス」があるメイン州だけで人生を過ごしたらしい。
狭く深い人間関係と毎日見慣れた風景に題材を見出す稀有なアーティストだったんだね。
父親が話していた「胸にグッと迫る」、魂を揺さぶられる感覚が理解できたように思うよ。

とても残念だったのは「クリスティーナの世界」が展示されていなかったこと。
MOMAが貸し出すことは滅多にないそうだから、ニューヨークに行って観るしかないね。(笑)
そして同行してくれた友人H、また別の企画ご一緒しましょ!