【アヴァンギャルド・ポスター展のフライヤー】
SNAKEPIPE WROTE:
2024年11月の「松谷武判展」以来、約半年ぶりに、当ブログのカテゴリー「行ぐぜ!exhibition」を更新しよう。
「行ってみよう」とROCKHURRAHから誘われたのは、渋谷ヒカリエで開催されている「第二弾 ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」だった。
以前も書いたことがあるけれど、ROCKHURRAH RECORDSは「アヴァンギャルド」という言葉に弱いんだよね。(笑)
アヴァンギャルドなポスター展、とても楽しみ!
乗り継ぎとしては利用しているけれど、渋谷で下車して歩くのは久しぶりだよ。
駅周辺を工事している関係で、近道なのか遠回りなのか分からない感じで歩き回り、ヒカリエに到着。
以前ヒカリエのギャラリーでデヴィッド・リンチ展を観たっけ。
調べてみると2014年7月の「鬼才デヴィッド・リンチの新作版画/写真展」だったよ。
今から11年前か。(笑)
ヒカリエの8階のBunkamura Gallery 8/を目指す。
8階にはいくつものギャラリーがあるので、人の出入りが多いよね。
少し歩くとポスター展会場が見えてきた。
ポスターは展示販売されているためなのか、撮影禁止を注意書きされている。
ブログで載せている画像は、展覧会場で撮影したものではないのでよろしくね!
会場にはおよそ30点ほどの作品が展示されていたよ。
気になる作品を紹介していこう。
1960年代〜70年代のアヴァンギャルドなポスターというと、劇団の公演を告知する作品が多い。
当時の2大アングラ劇団といえば、寺山修司の天井桟敷と唐十郎の状況劇場!
SNAKEPIPEは当時の人ではないので、後付けで調べてるタイプだよ。
天井桟敷も状況劇場も、リアルタイムで観たかったなあ、と思う。
もし公演の様子がDVD化されたとしても、空気感や匂いなど、同時代の感覚までは再現不可能だもんね。
載せたのは、天井桟敷公演の「毛皮のマリー」で、ポスターデザインは横尾先生だよ!
横尾先生は天井桟敷のポスターを多く手掛けていて、ミュージアムショップなどで目にする機会も多いよね。
宇野亞喜良の作品も多く展示されていたよ。
鮮やかな色使いで、とても美しい!
販売されていた金額は、作品によってまちまちだったね。
地下で営業している、色っぽいマダムがいる店に飾ったら似合いそう。
この感覚がすでに昭和な感じか?(笑)
載せたのは、1968年に公演された天井桟敷「新宿版 千一夜物語」のポスターね。
こんなポスターが街に貼られていた60年代に憧れるよ!
グラフィックデザイナーである粟津潔が手掛けたのは、1969年に天井桟敷公演の「犬神」。
白のバックに赤一色だけを使用した斬新さが見事!
シンメトリー構図で、上部や手のひらに印鑑が押されているのが不気味だよね。
印鑑を作品に取り込んでいるのを初めて観たかもしれない。
犬神と聞くと「犬神家の一族」や「犬神博士」を連想してしまうね。
どちらにしても怖いイメージがあるので、このポスターは恐怖を煽るのにふさわしい。
粟津潔デザインによる他の作品もカッコ良かったよ!
画家の金子國義が劇団状況劇場に関わっていたんだね。
1970年の「ジョン・シルバー 愛の乞食編」のポスターに金子國義の作品が使用されている。
すぐに金子國義と分かる特徴的な絵画だよね。
便器に座る全裸の女性。
身につけているのは靴下と靴だけとは。(笑)
60年代や70年代はヌードに関して寛容だったことが分かる。
それにしても、ポスターで横位置は珍しいね!
麿赤兒が1972年に設立した大駱駝艦の「48.DANCE-桃杏マシン」公演ポスター。
艦隊を持ち上げる手と手前の足は確認できたので、人体を描いているのか?
真ん中に様々なポーズを決める5人のシルエットがあるね。
両サイドの2人は、とても人間とは思えない特徴を持っていることが分かる。
さすが70年代、自由だわ。(笑)
ここでSNAKEPIPEは、かつて「白虎社の体験をしてきた」という知人がいたことを思い出した。
ほぼ1日、うさぎ跳びのような動きをさせられていたらしい。
一体何年前の話をしてるんだろうか。(笑)
舞踏集団白虎社は1994年に解散したようだけど、大駱駝艦は今も公演を続けていることを知ったよ。
一度は「BUTOH」を鑑賞してみたいね!
天井桟敷が1974年に公演した「盲人書簡 上海編」のポスターを手掛けたのは、漫画家の花輪和一!
「丸尾末広のポスター?」
と間違えそうになってしまったROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
どちらにしてもエログロ系ってことだね。(笑)
「盲人書簡」らしく、ポスターの人物は全員眼帯やサングラスを着けている。
猫の目の光で書物を読む、とポスターの中に書かれているように猫の目だけは描かれているね。
このポスター、とても気に入ったよ!
1978年、状況劇場が公演した「河童」のポスターに、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげるの作画が使用されている。
花輪和一に続いて漫画家が連続してしまった。(笑)
妖怪といえば水木しげるの登場になるんだね!
河童にしがみつかれている女性が、どちらかというと「うっとり」した顔をしていることに注目したい。
妖怪を怖がっていないので、愛情を持って接しているように見えるよ。
一体どんな演劇だったのか。
河童役の役者は、着ぐるみを着たのだろうか?
色々と気になってしまうよ。(笑)
最後は合田佐和子の作品にしよう。
状況劇場1976年の「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」のポスターね。
「おちょこの傘」も、中央に立つ女性の目がイっちゃってるのも謎だよ。(笑)
この作品は、2023年3月の「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」で鑑賞しているけれど、たくさんのポスターの中で観ても印象に残る作風だなと感じる。
ポスター下部に西武美術館「ドガ展」の告知があるね。
他のポスターにも同様の告知が載っていて、「エゴン・シーレ展」や「ムンク版画展」など1970年代の展覧会情報を知ることができる。
年に数回は海外大物アーティストの作品を渋谷で鑑賞できたとは羨ましい。(笑)
アヴァンギャルド・ポスター展はROCKHURRAH RECORDSの好みで、行って良かったよ!
1960年代〜70年代の雰囲気が皮膚を通して染み込み、ゾクゾクした。
「アングラ」や「アヴァンギャルド」にハズレなし、だね。(笑)