Anish Kapoor: Selected works 他 鑑賞

20220522 top
【ピラミデビルで撮影。ギラついた太陽で暑さが伝わるね!】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mと六本木に行く。
ミッドタウン近くを歩いていたら、写真展のポスターを発見。
フジフィスムスクエア写真家エリオット・アーウィット作品展「観察の美学 筋書きのない写真たち」が開催されているではないの!
エリオット・アーウィットなんて写真の教科書に出てくる大御所中の大御所。
1928年フランスに生まれ、1947年からニューヨークを拠点に約70年活躍してきたマグナム・フォトのメンバーだからね。
せっかくなので行ってみることにする。

銀座にある富士フィルムフォトサロンは何度も通ったけれど、フジフィルムスクエアに入るのは初めてだよ。
A4より少し大きさのある、四切の印画紙が並んでいる。
大々的に宣伝している割には、展示数は少なめだなと感じてしまう。
壁一面のみ、およそ30点だからね。(笑)
「あ!この写真知ってる!」
名前は知らなくても、作品は知っていた友人M。
1955年に撮影された「カリフォルニア」は、ROCKHURRAHも知っていたよ。
「フェアーグラウンド・アトラクションのジャケットに使われてたよね」
80年代に「パーフェクト」という1曲だけヒットしたアコースティック系のバンドはSNAKEPIPEも知ってるけど、ジャケット写真まで知ってるのは、さすが元レコード屋。(笑)

全く予期していなかった、エリオット・アーウィットのオリジナル・プリントを観ることができて良かった!
フジフィルムスクエアは写真歴史博物館なので、カメラの展示があったり、フィルムの歴史などを知ることができるんだよね。
館内にいた初老のお客さんが、係員をつかまえて自身の写真歴なのかカメラ歴なのかを滔々と語り続けていたのが印象的だった。
かつては写真撮影に休日のほとんどを費やしていたSNAKEPIPE、使用していた印画紙はフジだったことを思い出す。
デジタルカメラとは違う、一枚の重みを感じた展覧会だった。

続いて向かったのはピラミデビル。
ここには複数のギャラリーが入っていて、2015年11月に「Gerhard Richter Painting展」を鑑賞したワコウ・ワークス・オブ・アートもこの場所!
ピラミデビル自体がカッコ良い建物なので、行くだけでもワクワクするんだよね。(笑)
今回はワコウ・ワークス・オブ・アートSCAI PIRAMIDEを目当てに訪れたよ。 

最初にワコウ・ワークス・オブ・アートへ。
開催されていたのはドイツ人作家グレゴール・シュナイダーの展覧会だった。
写真作品が並んでいる。
説明を読まないで観るだけでは分からない種類の作品みたいだね。
まずは簡単にシュナイダーの経歴を書いておこう。
1969年ドイツ生まれのシュナイダーは、10代から制作を始めたという。
穴を掘るパフォーマンスをしていたという記述からも、難解なタイプのアーティストだと想像できるよね。(笑)
ヴェネチア・ビエンナーレでは金獅子賞を受賞という輝かしい経歴の持ち主なんだって。

今回はシュナイダーのシリーズが3つ展示されていたようだけど、これも帰宅後調べて分かったこと。
画像は「400 meter black dead end」という2006年の作品。
興味の対象が「閉ざされた空間」だというシュナイダーにとって、400mの暗い一方通行の道はテーマそのものなんだろうね。
訪問した人は手探りで歩き、閉塞感と無限に続くような一方通行の暗闇により、精神的な臨界点まで追い詰められたんだって。
SNAKEPIPEは、あまり体験したくないアートだよ。(笑)

次は2014年の「ゲッペルスの生家でのプロジェクト」。
ナチス・ドイツの国民啓蒙宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの名前は有名だよね。
村上龍の「愛と幻想のファシズム」にも、鈴原冬二がゼロに「おまえがゲッペルスをやれ」と言うセリフがあったように記憶しているよ。
そのゲッペルスの生家をシュナイダーが買取り、家財や目録を調べ上げた後に、建物の内部の一切を破壊して残骸を破棄するまでを一連の流れとしている作品だという。
並んだ写真観ただけじゃ分かりませんがな!(笑)
グレゴールといえば、ザムザと思ってしまうSNAKEPIPEだけど、シュナイダーの名前も覚えておこう。
いつか別の作品観ることがあるかもしれないからね!

続いて向かったのがSCAI PIRAMIDE。
谷中にあるSCAI THE BATHHOUSEを訪れたのは2019年6月の「横尾忠則 B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」を観に行った時だったね。
2021年、SCAI THE BATHHOUSEが谷中、天王洲の続いて会場に選んだのが、ピラミデビルだという。
先に行ったワコウ・ワークス・オブ・アートの隣だよ!(笑)
開催されているのはインドのアーティスト、アニッシュ・カプーアの展覧会なんだよね。
アニッシュ・カプーアの作品を一番最初に観たのは、2008年6月の「ターナー賞の歩み展」だったよ。

「Void #3」という空中にぽっかりと浮かんだ球体の前で眩暈を起こしそうになった。

自分が何を観て、どこにいるのか一瞬分からなくなってしまったのだ。
本当は立体物なのに、闇が目の前に迫っているように感じてしまう。

圧倒的な迫力について感想を書いているSNAKEPIPE。
アニッシュ・カプーアの名前は鮮明に記憶しているんだよね。(笑)
残念ながら撮影が禁止だったので、感想だけをまとめておこう。
会場入ってすぐ、入り口に展示されていたのは、青い円形の作品だった。
磨き上げられたブルーのステンレスは、鏡のように鑑賞者や周りの景色を写し込み、1歩左右に動くたび、写った顔が歪む。
観ているうちに目眩が起き、立っているのがつらくなるほど。(笑)
先にあげた2つの円形の作品は、反射の具合で色味が変化し、いつまでも観ていたくなったよ。
天井近くに黒い三角形があるので見上げると、黒色に吸い込まれていきそうになる。
ターナー賞の時と同じ現象だよ!
どうやらカプーアは、99.965%の光を吸収する「地上で最も黒い黒」Vantablack(ベンタブラック)の芸術的用途における権利を買い取り、作品にさらなる強度をもたらしているという。
地球にいるのに、ブラックホールを体感している気分になるのは、そのせいなのかもね?
鑑賞できて本当に良かった。
カプーアの作品、お金あったら欲しいわあ!(笑)

今回は3つの無料ギャラリーを「はしご」してみたよ。
これで無料とは、申し訳ないほどだよね。(笑)
六本木にはたくさんのギャラリーあるので、また探して出かけよう!

パンとサーカス展 鑑賞

20220515 top
【ミヅマアートギャラリー外のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

だんだん日が伸びてきたので、仕事帰りのウォーキングを再開することにした。
道中には、会田誠が所属しているミヅマアートギャラリーがあるので、ふらりと立ち寄ってみることにする。
パンとサーカス展」と書いてあるけれど、一体何を展示してるんだろう。
 
以前訪れた時、予約なしの場合には名前と電話番号などの記載を求められたことを思い出した。
「予約していませんが、観られますか?」
と尋ねるSNAKEPIPEに、怪訝そうな受付の男性。 
いいですけど、のような返答だったように記憶している。
名前書くんでしたよね?と重ねて訊くと
「別にどっちでもいいですけど」
と、書きたいなら書けばといった投げやりな態度に驚いてしまう。
前回訪れた「インディゲリラ Cosmic Waltz」の時にいた、感じの良い受付の男性とは大違い!
ミヅマアートギャラリーで、こんな対応をする受付がいて大丈夫なんだろうか、と心配になるほどだよ。
せっかく来たので、一応鑑賞しておこう、と気を取り直す。
撮影許可ももらったので、記事にまとめてみよう。

そもそも「パンとサーカス」って何だろう。
帰宅後ミヅマアートギャラリーのサイトで確認してみる。

島田雅彦氏による新聞連載小説「パンとサーカス」の挿画を担当した6名の作家によるアーティストユニット「コントラ・ムンディ」。
その全382回に及ぶ挿画の原画、および小説の世界観に着想を得た新作を一堂に集め展示いたします。
(ミヅマアートギャラリーより) 

新聞小説の挿絵を展示しているってことね。
ROCKHURRAH RECORDSでは新聞も読まないし、島田雅彦の小説も全く知らないよ。(笑)
今回挿絵を担当した6名のアーティストについての知識も皆無。
何も情報がない「フラットな状態」で鑑賞するのも面白いかもね?

感じの悪い受付から一番最初に展示されていた作品群。
本来が挿絵だったためなのか、アーティスト名の表示がされていない。
そのため帰宅後に調べてはみたものの、はっきりしないんだよね。(笑)
恐らく水野里奈のブースで良いはずだよ。
全体に作品が小さめなので、上のほうに展示されているものは良く見えないのが残念。
色彩が美しくて、女性的な雰囲気なんだよね。
毒気が強い作品が好みのSNAKEPIPEには、少し物足りなかったかも。
そして画像のように、ポストカード大の大きさの作品が反り返ってしまっていたのは「わざと」だったのかなあ。

6名のアーティストが1冊の本の挿絵を担当するというのは、あまり例がないんじゃないかな?
それぞれタッチがあるから、散漫な印象を受けてしまう恐れがありそうだし。
続いての金子富之の作品群は、最初に書いた水野里奈と、かなり違うよね。
なんと言っても目を引くのは、中央の怖い絵!
そして強い赤色が目立つんだよね。
邪悪そうな鳥と、まるで亡霊のような人の顔。
黒くて大きなマントによって、善良さが失われ、悪を伝染させるべく右往左往している人の群れなのか。
また勝手にお話作ってみたけど、陳腐かなあ。(笑)

観た瞬間に「こういうのは苦手」と思ってしまった。 
ものすごくキレイに描けているし、写実的だし。
誰に似てるかというと、クリスチャン・ラッセンかな。
ラッセンは人気のある作家なので、恐らく岡本瑛里を好む人も多いはず。 
SNAKEPIPEの個人的な好みの問題だね。(笑)
複数枚展示されている中で気に入ったのがこれ。
臓物をなびかせながら(?)背中に張り付く老人。
モノクロームだから穏やかな絵に見えるのかもしれない。
今際にいるような老人を背負う全裸の青年との間には、どんな物語があるんだろう?

ちょっとブレた感じで、中間色が美しい作品群。
先にも書いたようにアーティスト名が分からなかったので、てっきり男性の作品だと思っていたのに!
調べてみると荻野夕奈という知的な美人だと判明してびっくり。 
情報なしで観ると面白いのは、こういう点かもしれないね。
6名の作品の中で、一番挿絵らしいと感じたよ。
作品を鑑賞すると、SNAKEPIPEの陳腐な物語ができそうだったからね。(笑)
壺を使った計画殺人の後の絵、というのはどうだろう。
血しぶきを浴びても大丈夫なように全裸になっていて、壺についた指紋を拭き取ろうとしているシーンとか?
「パンとサーカス」知らないので、勝手に作ってるだけだからね!(笑)

全て同じ大きさの作品が63枚並んでいたよ。
妖怪が描かれていたり、パロディ風の物もある。
くっきりした線で、とても見やすいよ。
山本竜基の作品は、挿絵というより一枚で完結しているように見える。
手前のおじさんが何者なのか不明だけど、夜空をバックに歌川国芳のドクロや魑魅魍魎が夜な夜な夢の中で暴れているようだよね。
筒井康隆原作のアニメ映画「パプリカ」に通じる世界観が面白い。
もっと大きな作品が観たいと思ったよ。

最後は3コマ漫画のような作品だった。
縦に3枚の絵が並んでいるので、便宜的にそのような言い方をしたけれど、実際には3つのコマに関連性はみられない。
もしかしたら小説の内容にはリンクしてたのかもしれないけどね?
 独特の雰囲気があるので、今まで観てきた5人より年長の男性が描いているものだと思っていたら!
なんと熊澤未来子という1983年生まれの女性の作品だったよ。(笑) 
あまり女性らしさを感じなかったので、勘違いする人は多いはず。
武蔵野美術大学の日本画を専攻していた経歴を持つのに、作品は鉛筆画というのも変わっている。
今回鑑賞した中で一番好みだったかもしれない。

予備知識がないまま鑑賞することはほとんどないので、珍しい経験だったよ。
作者の名前も帰宅後知ったので、持っていた感想と実際が違う意外性も楽しめたしね!
ミヅマアートギャラリーは面白い企画があるので、また訪れてみたいと思う。
今度の受付は感じが良い人であることを祈って。(笑) 

空也上人と六波羅蜜寺 鑑賞

20220508 top
【五月晴れのもと、撮影した国立博物館本館】

SNAKEPIPE WROTE:

2022年4月に青山のスパイラルで「OKETA COLLECTION」を鑑賞した時のこと。
「良かったら使って!」
と手渡されたのが東京国立博物館で開催されている「空也上人と六波羅蜜寺」のチケットだった。
友人Mも知人から受け取ったらしく、日付が迫っているため鑑賞する機会がないとのこと。
ありがたく頂戴し、ROCKHURRAHと出かけることにしたのである。

かつて京都在住だったこともあるROCKHURRAHは、すでに六波羅蜜寺を訪問済。
そのため空也上人像も鑑賞しているという。
「六波羅蜜寺って小さい寺だったはずだけど」
遠い記憶を辿り、首をひねりながらROCKHURRAHが言う。
何故この時、 不可思議な表情を浮かべ、意味深な言葉を発したのか。
謎は近いうちに解き明かされるであろう。(大げさ)

せっかくなのでゴールデンウィーク中に出かけることに決め、天気が良い日を選んで上野へ。
かつてはミリタリー・グッズを求めて上野に馳せ参じていたROCKHURRAH RECORDSだったけれど、最近は少々趣向に変化が生じているかも。
前回上野に立ち寄ったのは2021年7月の「イサム・ノグチ 発見の道」なので、およそ1年ぶりのSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHに至っては、2019年2月の「日本を変えた千の技術博」以来、約3年ぶりかも? (笑)

今回は招待券を手にしているため、通常行っているweb予約サイトでのチケット購入と時間指定をすることができず。
ひとまず会場に向かうことにしたのである。
国立博物館の前まで来ると、大行列が目に入る。
どうやら当日券を求める人の列のようで。
チケットがあり、入場の予約が必要な場合はどうしたら良いのかをインフォメーションで問い合わせる。
行列近くにいる係員に聞くように指示されたので、聞いてみると明確な答えがない!
大行列のほうにいる係員に再び聞いてみると、最後尾に並んで予約を取るように言われる。
国立博物館なのに、誘導するべき係員が正確な情報伝えられないのってどうなの?
チケット持っていても、結局は当日券組と同じ扱いになるのね。
30分ほど並んだところで10時半に入場できる予約券を入手。
若冲展ほどの混雑じゃなくて良かったよ。(笑)

10時半まで近くのベンチに座って時間を潰す。
5月晴れでも、風が強くて冷たい感じ。
少し体が冷えてきた頃、予約時間が迫ってきたので会場に向かう。
すると今度は会場前で大行列が!
何度も並ばされて、入場前からぐったりしちゃうね。

そしてようやく入場。
撮影は禁止だって。
会場入ってすぐに冒頭で書いたROCKHURRAHの「首をかしげる」意味が分かってしまった。
展示数が圧倒的に少ないのである。
ROCKHURRAHは、六波羅蜜寺は小さい寺なので展覧会を開催するほどの展示物があるんだろうか?と疑問に思ったらしい。
確かに、その予感は的中してるね。

そして展覧会の目玉である空也上人の像には人だかりが。
載せた画像よりも実際は薄暗く、人の頭の隙間から部分的に見えるにすぎない。
少しだけ待って近寄ってみても、一番肝心な口部分もよく分からない。
ROCKHURRAHから聞いていたけれど、空也上人の像は小さめだから尚更。
別の角度から見ると、影絵状態で口から出ている小さい物体が確認できた。
双眼鏡のような物で鑑賞している人がいたけれど、その方法が適してるかもね。

空也上人とは、平安時代中期の僧侶で、首から下げた鉦を叩きながら「南無阿弥陀仏」を唱えたと言われている。
その6文字を視覚化した「木造空也上人立像」が、今回展示されているんだよね。
東大寺金剛力士像などで有名な運慶の四男、康勝(こうしょう)の作。
言葉を立体で表すなんて、よく考えたよね!
想像を形にすることができる腕前もさすが。
こんなに不思議な木彫り彫刻が日本に存在していることに驚くよ。
他に類を観ない発想力に拍手だね!(笑)

他には中央に鎮座する薬師如来坐像、周りには四天王立像が並んでいる。
六波羅蜜寺ではどのように展示されているのか不明だけど、薄暗い空間の遠くに仏像などを見ることが多いように思う。
今回は間近で像を見ることができたので、足元まで詳細に観察することができたよ!
あれだけ並んで待ったのに、鑑賞時間はほんの10分程度。(笑)
ミュージアム・ショップでは「これでもか」というくらい空也をモチーフにしたグッズが並んでいたけれど、無理矢理な雰囲気が濃厚で笑ってしまったSNAKEPIPE。
目玉が空也しかないから仕方ないのかな。

これしか展示がなくて1,600円って高いよね?
ぶつくさ文句を言うSNAKEPIPEに、他の展示が観られることをROCKHURRAHが教えてくれる。
国立博物館には本館以外に平成館、東洋館など合計8つの館があるんだって。
今回のチケットでは「平常展」が観られるらしいけど、どこまでオッケーなのか分からないので本館の「日本美術の流れ」会場に行ってみる。
ここでは大好きな縄文土器などの展示から始まって、江戸時代までの美術・工芸品が鑑賞できるんだよね。
画像は縄文時代後期の「人形装飾付壺形土器」。
土器の色合いも素晴らしいし、人形(ひとがた)が人間っぽくないところに惹かれるよ。
やっぱり宇宙から誰か来てたに違いない、と想像させてくれる逸品だね!(笑)

仏教美術も興味がある分野なんだよね!
大きさのある曼荼羅図が複数展示されていて、熱心に鑑賞する。
十六羅漢の掛け軸などが並ぶ中、SNAKEPIPEがグッときたのは、画像の「阿字曼荼羅図」。
梵字が中央に描かれた斬新な構図で、日本画というよりはポスターっぽいんだよね。
グラフィックデザインというのか。
「密教では梵字の阿字を一切の言説・音声の根本として、更には一切仏法の根源として説きます。その阿字を本尊として向き合い、自分自身が物事の根源と一体化することをイメージする修行である阿字観に使われました。」(国立文化財機構所蔵品統合検索システムより)
全く読めなかったけれど、どうやら「阿吽」でいう「阿」の文字らしいね。
「阿字観」とは密教における瞑想法だとか。
その説明の中で「『蓮華』を描き、次に『月輪』を描き、その中に『阿字』を書いて軸装して目の前に掲げて、瞑想する」と書かれている。
SNAKEPIPEには珍しく見えたけれど、阿字観を実践していた当時の人々にとってはポピュラーな掛け軸だったのかもね?

江戸時代までやってきたよ!
ここで目を引いたのは「色絵桜樹図透鉢」という焼き物。
仁阿弥道八の作品だという。
器の内と外に桜が描かれ、ところどころに透かしが入ってるんだよね!
満開の桜が堪能できる作りになっていて、見事だよ。
素晴らしい出来にため息が出るほど。
こんな陶器を所持していたのは、誰なんだろうね?

江戸時代の着物にも目が釘付けだったよ。
和歌の文字を刺繍している「小袖 紫白染分縮緬地笠扇桜文字模様」。
あまり着物に詳しくないので、小袖というのがどういう時に着用するのか分からないんだよね。
艶やかで豪華な品だということは一目瞭然だよ!
江戸時代というのが、想像しているより遥かに進んだ文化だったことは、NHKの「浮世絵EDO-LIFE」などを通じて知ったけれど、女性が身に着けていた実物を見ると更に理解が深まるね。
男性が印籠を帯に引っ掛けるために使用した根付にも、驚くほどの高い技術力を見ることができたよ!

並び疲れてしまったこともあり、今回は「日本美術の流れ」だけを鑑賞して終了とした。
東洋館や法隆寺宝物館など、他にも面白そうな展示がたくさんあるので、また別の機会に訪れてみたいよ!

SF・冒険・レトロフューチャー 鑑賞

20220501 top
【昭和館の入り口にある看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2022年のお花見を千鳥ヶ淵公園に行った話は「Holidays In The 散歩 千鳥ヶ淵公園」として記事にしている。
その帰り道で見かけたのが昭和館のポスターだった。 
歩いている途中でROCKHURRAHが急に立ち止まったのだ。
「あれが気になる」
指を指した方向にあったのが「SF・冒険・レトロフューチャー×リメイク ~挿絵画家 椛島勝一と小松崎茂の世界」と書かれたポスターだった。 
5月まで開催していることを確認し、来館を予定する。
ROCKHURRAHから昭和館の話を持ち出されるまで、SNAKEPIPEはすっかり忘れてたんだけどね。(笑)
昭和の日を含む連休に、九段下に出かけることにしたのである。

ゴールデンウィークといえば、春を通り越して夏を感じる陽気が多いのに、今年は一体どうしたものか。
梅雨を思わせる雨の多さと湿度の高さだよね。
晴れた日を選んで出かけたけれど、風が強くて予想以上に寒い。
服装失敗したかも、と言いながら昭和館に向かう。
ここは九段下の駅から徒歩1分という素晴らしい立地なので、少し寒くても大丈夫だね!

昭和館に行くのは初めてのROCKHURRAH RECORDS。
ここは一体どんな場所なんだろう?

昭和館は、主に戦没者遺族をはじめとする国民が経験した戦中・戦後(昭和10年頃から昭和30年頃までをいいます)の国民生活上の労苦についての歴史的資料・情報を収集、保存、展示し、後世代の人々にその労苦を知る機会を提供する施設です。

靖国神社の遊就館と対を成すような館ということになるのかな。
常設展は有料で企画展は無料という、美術館などとは逆の料金形態も珍しい。
今回の目的であるレトロフューチャーは企画展なので、無料なんだよね!(笑)
早速中に入ってみよう。

入り口で来館者の名前と電話番号を書く。
常設展の鑑賞をする場合には自販機でチケットを購入し、それ以外の場合にはそのままエレベーターで目的のフロアに移動する。
係員の方が親切に案内してくれたので、迷わずに会場へ。
すべての撮影が禁止とは、非常に残念だけど仕方ないね。
中に入ると、予想以上に人が入っていて驚いたよ。
最初に展示されていたのは椛島勝一の作品だった。

1888年(明治21年)長崎県生まれの椛島勝一は、独学で細密画の技法を習得したという。
小さな画像で見ると、まるで写真と見紛うほどのスーパーリアリズムなんだよね!
載せたのは海野十三の小説「浮かぶ飛行島」の挿絵で、1938年の作品。
小説自体も面白そうなんだけど、この挿絵で更に臨場感がアップしただろうね。
船はもちろんのこと、波の表現にも驚いたよ。
「ペン画の神様」と呼ばれるのも納得!

山中峯太郎原作「亜細亜の曙」への挿絵。
1932年の作品で、小説は「少年倶楽部」に掲載されていたという。
大胆な構図で、空を表す空間の使い方が日本画的だなと感じるよ。
当時の少年たちは、小説も挿絵も、ずいぶん大人びた物を好んでいたんだね。
昭和初期に、一般庶民向けの高度な文化が日本にあったとは!
江戸時代にも読本と呼ばれる小説を庶民が読み、人気を博していたことを思い出せば、そこまで驚くことではないのかもしれない。
今の日本人が変わってしまっただけなのかな。

次は小松崎茂の作品が並んでいる。 
椛島勝一にあこがれて挿絵画家に転向したという小松崎茂は、元々日本画家を目指していたらしいよ。
作品を観て、ROCKHURRAHが嬉しそうにしている。
聞いてみると、少年マガジンなどの雑誌で小松崎茂の挿絵を観ていたこと、タミヤのプラモデルのパッケージでも馴染みのある画家だとか。
確かに小松崎茂の絵は、冒険に心をときめかせる少年の心をワクワクさせる要素が散りばめられているもんね!(笑)
載せた画像は、少年少女世界科学冒険全集の「深海冒険号」の表紙。
なんで「S」なんだろう、というSNAKEPIPEの問いに、
「深海のSだよ」
と自信満々で答えるROCKHURRAH。
本当に正解なんだろうか?(笑)

「ロケット競争の謎」の表紙は、1957年の作品。
商品のパッケージデザインでも同じことが言えるだろうけど、表紙を見て本を購入するかどうか判断するのは当たり前だよね。
奇想天外で早く続きが読みたくなるような、思わず本屋で手にとってしまうような表紙。
小松崎茂の作品を見ているだけで、気分が高揚してくる。
当時の少年少女と同じ気持ちになっていたのかも。
もう少女じゃないんだけどね。(笑)

椛島勝一と小松崎茂の作品は、どちらも素晴らしくて鑑賞できて良かったよ!
帰ろうとすると、出口には「アンケートに答えるとプレゼント」という文字が目に入る。
せっかくなので感謝の気持ちなどを書いて提出。
受付ではクリアファイルと缶バッチをプレゼントしてくれたよ!
ここまでしてもらって無料なんて感動的だよ。
昭和館、行かれて良かったなあ
思い出してくれてありがとう、ROCKHURRAH! (笑)
良い「昭和の日」記念になったね。