ROCKHURRAH紋章学 建築関連会社ロゴ編

【スペインのグラナダにあるCliff Houseを紹介するキャロラインとピアーズ】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAH RECORDSがNetflixに入会した話は以前書いたよね。
映画やドラマに加えNetflixオリジナル作品が多数あって、どれから観たら良いのか迷ってしまうほど。
ずっとテレビの前に座っているわけにはいかないので、「面白そう!」と思った作品を制覇するのには一体どれだけの時間がかかることやら?(笑)

「これ、好きそうじゃない?」
とROCKHURRAHから勧められたのが「世界の摩訶不思議な家」 という世界の変わった建築を紹介する番組だった。
SNAKEPIPEは建築物が大好き!
このブログでも「SNAKEPIPE SHOWROOM」とカテゴリーを設け、気になる物件を紹介しているんだよね。

さすがに世界中から選りすぐりの建築物を紹介するだけあって、登場する物件は全て「お金持ち御用達」の垂涎モノばかり!
物件を紹介するのは、女優で不動産投資のキャロライン・クエンティンと建築家のピアーズ・テイラー
元々この番組はイギリスの放送局BBCが制作していたようで、続編としてNetflixがオリジナルに制作したとのこと。
そのため案内役の2人ともイギリス人なんだよね。
物件はもちろん素晴らしいんだけど、SNAKEPIPEの目を釘付けにしたのはキャロラインだった。

SNAKEPIPEの持つイメージでは「イギリス人マダムは上品」だったのに、キャロラインは開けっぴろげで気さくなタイプ。
豪邸に当たり前にあるプールでは、水着になって泳ぐのがお決まり!(笑)
相棒であるピアースも歯に衣着せぬ発言をしたり、番組中建築に関するスケッチを描いて見せ、建築家としての存在感を示している。
この番組の中で、2017年1月に「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件11 地下物件編」として書いたスペインの物件が紹介されていて嬉しかった。
TOPに動画を載せたので、時間がある方は観てみてね。
内装はあんな感じになってたんだね!(笑)
「世界の摩訶不思議な家」は2019年までで終わってしまうので、次が制作されることを願っているよ。

長い前振りを書いたけれど、今回は建築関連の会社で使用しているロゴを特集してみよう。
最初に紹介するのはこちら!

Rot Repair Masterで使用されているのは白、赤、グレー、クロというシンプルな配色のロゴ。
右上のノコギリとトンカチが、まるで共産主義のシンボルである「鎌とハンマー」のように見えるところがポイント! 
一目で家に関する仕事をしている会社だと分かるところも良いよね。
ワシントン州エベレットを本拠地としているRot Repair Master。
新築物件はもちろんのこと、家の木材部分、例えば屋根だったりデッキなどを修理する会社だという。
ここで修理をお願いしたら、ロゴのステッカーくれないかな?(笑)

続いてもグレーと赤を使用したロゴを選んでしまったよ。
SNAKEPIPEは、この配色が好みなんだろうね。 (笑)
Carl Stahlは世界中に70の拠点を持つファミリー企業だという。
stahl一家が経営ってことになるんだろうね。
創業は1880というから約140年の歴史を持つ老舗とは、驚いてしまう。
リフティング技術、建築、テクノケーブルの分野でのサービスを提供していると言われても、いまいちよく分からないんだよね。
建築関係者なら使い方が分かる、特殊な機材を扱っている会社ということで良いか。
Carl Stahlが家を支えてます、というメッセージをロゴにしているようじゃない? 
HPで確認すると、本社の建築にも赤が効果的に使用されていて、オシャレだったよ!

まるでポーラ・シェアのタイポグラフィみたいなロゴ!
シンプル・イズ・ベスト。
このロゴを使用しているのがRobert Martin Companyなので、頭文字のRMなんだね。
えっ、このロゴではRとMに見えないって?(笑)
Robert Martin Companyは不動産会社なので、建築関連の会社ではないけれど、許してね!

グレーの部分が象に見えてしまうは、SNAKEPIPEの特殊な能力によるものかしらん?
STAgencyも前に紹介した会社と同様、不動産会社なんだよね。
MO Real EstateとHPに書いてあったので調べると、どうやらミズーリ州の略号がMOとのこと。
象のように見えた部分はMOという文字なのかもしれない。
もしかしたら家のように見せているのかな?
想像すると面白いよね。(笑)

次はカラフルなロゴにしようか。
Kalido Interior Designはその名の通り、インテリア・デザイン会社なんだよね。
インドのムンバイにある会社だという。
イニシャルのKを印象的にしたロゴで、そこまで凝ったデザインではないけれど、色合いのせいかインパクトがあるよ。 
「世界の摩訶不思議な家」でもインドの素晴らしい物件を観たことがあるんだよね。
昔ながらのインドというイメージと、大きくかけ離れた現代建築を設計しているのもインド人!
インテリア・デザインだってモダンになってるよね。
ロゴも負けないようにポップになるってことか。(笑)

ロゴのデザインで水彩を使用するのは珍しいような? 
Blakely Interior Designもインテリア・デザインを手がけているロード・アイランド州 ノースキングスタウンにある会社で、スタッフが全員女性なんだよね。
産婦人科のスタッフが全員女性です、みたいな感じかな?(笑)
恐らくその特徴を表現するために、このロゴが採用されているんじゃないかな。
柔らかい印象を受けるもんね?
ただし実際には「女性だから優しい」という公式は当てはまらないように思うよ。(笑)

i-Chapterはシンガポールのインテリア・デザイン会社だという。
ロゴが分かりやすく家の形になってるよね。
そこまで凝ったデザインではないと思うけど、それでも日本の会社で使用されているロゴ・マークよりずっと面白い!
HPだったりロゴって会社の顔だと思うから、もっと力を入れたら良いのにね?

最後はこちら!
British Institute of Interior Designとは、世界で最も権威のあるインテリアデザイナー団体「英国インテリアデザイン協会(BIID)」のこと。
シンプルでスタイリッシュなロゴ・マークを見るだけで、いかにセンスが良いか瞬時に判るよね!(笑)
BIIDに入会するには厳しい審査があり、更に実績に応じてランクが決まるらしい。
トップランカーのデザイナーは、世界中で活躍しているという。 
このロゴ・デザインは一体誰の作品なんだろうね?
今回紹介した中で1番気に入ったデザインだよ! 

土地を買い、自分が理想とする家を建築家に設計してもらい、実際に家を建てるとする。
建築家や施工会社、インテリア・デザインはどこにお願いしようかと考えた場合、目を引くロゴ・デザインも重要な気がするんだよね。
名刺代わりになるデザインにも力を入れている会社は、恐らく良い仕事をするはず!
SNAKEPIPEはそんな判断をして、デザイナーを選びたいと思うよ。
そんな日が来るのだろうか?(笑) 

ROCKHURRAH紋章学 アルコール・ボトル アーティスト編

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【ジョージ・ダイアーとお酒を楽しむフランシス・ベーコン】

SNAKEPIPE WROTE:

「これ、知ってる?」
ある時、知人よりもたらされたのは、「ロック酒」についての情報だった。
なんとスターリンがラベルになったお酒があるというのだ!
販売しているのは、ロックバンドが製造工程にまで関わり、バンド名を冠することが許された公認のお酒を輸入している都商会
「遠藤ミチロウオフィス公認スピリッツ」って書いてあるよ!
このお酒はアルコール度数96%、つまり「ほとんどアルコール」という世界最高の度数を誇る、ポーランドのウォッカなんだって。
スターリンだけにウォッカ、とは、なかなかやりますな。(笑)
それにしても、どうして「trash*」のジャケットをラベルに採用したんだろう?
「trash*」には「ワルシャワの幻想」入ってないのにね。
スターリンをイメージしたウォッカだったら、「STOP JAP」で使用されたロゴのほうが良かったような?
「ワルシャワの幻想」も収録されてるし、インパクトも強いように思うけど。
どちらにしても、ファンだったら欲しくなること間違いなしだよね!
河内屋でも買えるみたいだから、行ってみようか。
お値段は税込2,178円とのこと。
もちろん飲む時に聴くのは、この曲に決まりっ!(笑)

都商会では、他にもロック酒を扱ってるんだけど、ほとんどがハードロック系なんだよね。
気になったのはポーグスのウイスキー。
ポーグスは80年代に活躍した大所帯のバンド。
アイリッシュ・トラッドをパンク風に歌って、大人気だったんだよね。
実はSNAKEPIPE、ライブ行ってたわ。(笑)
ヴォーカルのシェインが、あまりの酒飲みのせいで首になったという逸話が残っているくらい、ポーグスといえば酒、とイメージされてしまうバンドだったよ。
そんなポーグスがウイスキーのラベルになってるなんて、気になるじゃない?(笑)

  • シェリーオーク樽で熟成させた10年物のシングルモルト・アイリッシュ・ウイスキー
  • バーボンオーク樽で熟成させた7年前のアイリッシュ・ウイスキー
  • バーボンで熟成させた4年前のアイリッシュ・グレイン・ウイスキー
  • これらをブレンドしていると海外のページに説明されているよ。 
    都商会にある文章と違うんだけど、手間をかけて美味しく作っていることに間違いはないね!
    「POGUES」とだけ書かれたボトルも美しいんだけど、アイリッシュ・ウイスキーだったら、クローバーのロゴを使用しても良かったのでは、と思ってしまうね。
    ROCKHURRAHがスコッチ・ウイスキーを好んでいるので、今度はポーグス・アイリッシュ・ウイスキーも飲んでみたいね!(笑)
    お値段は現在セール中で、税込3,500円。
    2本購入でTシャツも付いてくるらしいよ!

    世界にはどんなロック酒があるのかと探してみたけれど、ROCKHURRAH RECORDSらしいバンドが見当たらなかったため、「アーティスト」のラベルを検索してみた。
    まず最初に「DISARONNO」(ディサローノ)が発売した限定ボトルから見ていこうか。
    1525年からイタリアで作られているリキュールだというディサローノ。
    ちょっと待って、それって今から約500年前ってことだよね!
    さすがイタリア、歴史があるわ〜。(笑)
    遥か昔からイタリア人に愛されてきた「ディサローノ」が、イタリアのファッション・ブランドとコラボしたのが画像のボトルだって。
    左からベルサーチ、モスキーノ、エトロ、とブランドが一目で分かるデザインが使用されているね。
    デザインによって値段が違うけど、3,000円以内で購入可能みたい。
    リキュールって飲んだことがないので、おしゃれなパッケージで試してみようかな? (笑)

    もしかしてこれはバスキア?
    1800® Tequilaは、メキシコのテキーラ・ブランドであるホセ・クエルボ社が手がけているプレミアム・テキーラだそうで。
    上に書いた「ディサローノ」同様、毎年限定ボトルを発売していて、バスキアは第6弾目だったんだね。
    他にもキース・ヘリングなど、どちらかというとポップな印象のアーティストが多いみたい。
    オンライン・ショップで値段を確認すると$34、日本円で約3,700円くらいだね。
    テキーラって飲んだことがないので、一度試してみたいな!
    残念ながらオンライン・ショップでは日本への配送は行っていないようなので、限定ボトルを手に入れるのは難しいかもしれないね?

    ちょっとアルコール度数を下げてみようか。
    アーティストの作品からインスパイアされたワイン・ラベルを使っているんだね。
    左からジャクソン・ポロック、モンドリアン、ピカソ、ウォーホル、カンディンスキーだって。
    こんなオシャレなワイン・ボトルだったら、並べてコレクションしたくなるよね?
    デザインを手がけたのはドイツのLinkupDesignというデザイン事務所とのこと。
    商品化されているのかどうは不明なので、お値段までは調べられなかったよ。

    最後はこちら!
    アーティストをモチーフにしたラベルの使用を1924年にスタートさせているというChâteau Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)。 
    一番初めにラベルを手がけたジャン・カルリュは、シュールレアリスムと構成主義の影響を受けているように見受けられる素晴らしい作品を残している。
    そして1945年から毎年、アーティストの作品がラベルを飾っているという。
    名だたるアーティスト達の名前が出てきて、見ているだけでうっとりしちゃう。(笑)
    そんな中、SNAKEPIPEが是非ともコレクションしたいと思ったのは、ゲルハルト・リヒター(画像左)とフランシス・ベーコン(画像右)!
    どうやら日本でも扱っている店舗があるようでリヒターは約88,000円、 1990年物のベーコンは127,000円で購入可能だよ。
    2本合わせて215,000円!
    宝くじが当たったら絶対買おう。(笑) 

    ROCKHURRAH紋章学 ウォーター・ボトル編

    【水筒の水、美味しそうに飲んでるね!】

    SNAKEPIPE WROTE:

    10月に入ったというのに、最高気温が30℃を下回らず、記録が更新されちゃったらしいじゃないの!
    いい加減にしてよ、アグネス・チャン!って感じだよね。(古い)
    ほんの少し出かけるだけでも、喉が乾く。
    熱中症も怖いので、必ず飲み物を携帯する。
    遠出の時には、何本のペットボトル(500ml)を飲み干したのか覚えていないほどだよ。
    自動販売機で買えるし、携帯にも便利なペットボトルは優れものだよね!

    いつの頃からか、お茶や水が販売されるようになった。
    SNAKEPIPEが子供の頃には売ってなかったもんね?
    お茶は急須を使って茶葉から入れるもの、水は水道水を意味していたからね。
    「おーいお茶」なんて商品名で、お茶が売られていることを知った時には心底驚いた。
    外国では当たり前だろうけど、日本で水の販売を知った時には、腰を抜かしたものよ。(笑)

    石油の次には水の価格が高騰する、なんて噂を聞いたこともあったね。
    実際水を買って飲んでいる人、多いよね。
    確かに最近では水道水をそのままガブガブ飲むことも少なくなったし。
    食の安全と叫ばれているせいもあるだろうけど、口に入れる物に気を配るようになったことは確かだよね。

    前フリが長かったけど、今回の「ROCKHURRAH紋章学」では、水のパッケージ・デザインを特集してみよう。
    最初はビザールなデザインを探していたけれど、さすがに水にビザールは少なくて。(笑)
    オシャレで、水が美味しそうに見えるデザインを選んでみたよ!

    最初のデザインはこちら!
    FUENSANTAはスペインで1846年に創立された飲料水メーカーだという。
    フエンサンタの起源は自然と結びついている、というメッセージを元に、緑の森にガラス瓶をおいたらどうなるか、というコンセプトでデザインされたという。
    デザインしたのは同じくスペインのPati Nunez Associats
    まるで日本酒の瓶のように見えてしまう形に、緑の葉が清涼感をもたらし、とても美味しい水なんだろうな、と想像させてくれるよね。
    この水を飲んだら心も体もキレイになれそうじゃない?(笑)

    続いても日本酒みたいに見えてしまう瓶の形だね。
    スペイン、バスク地方で高級な水ブランドを展開しているGOROBEL。
    何度もスペルを確認して検索したんだけど、このメーカーのHPを探すことができなかったんだよね。
    パッケージ・デザインをしたのはIsusko、やっぱりスペインの会社みたいだね。
    たおやかな曲線と、木の幹がプリントされ、そして縦書きの商品名が和風に感じる。
    スペインでは栓抜き使うタイプのパッケージが多いのかな?
    一度開けると、蓋ができなくて困らないのか、小さいことだけど気になってしまう。
    スーパーにこんなデザインがズラリと並んでいたら、買うよりも鑑賞したくなりそうだよね。
    さすがにスペイン、オシャレなデザインがたくさんあるね!

    ちょっとレトロな雰囲気が残るオシャレなデザイン!
    デザインしたのは、またもやスペインのSeriesNemoね。
    この名前に聞き覚えがあったSNAKEPIPE。
    調べてみると「ROCKHURRAH紋章学 コーヒー・パッケージ編」で紹介していたデザイン会社だったんだね。
    その時にも「さすがスペイン!」と褒めちぎっていたよ。(笑)
    まるでガラス瓶のように見えるけれど、素材はPETとのこと。
    そして二酸化炭素排出量を削減するように最適化もされているというから、デザイン性だけではなく環境問題にも取り組んでいるということが分かるよ。
    こんなペットボトルだったら、捨てるのが惜しいくらいかも。
    地中海の光を捉えたウォーターグリーン色も、清潔感と体に染み込む水を連想させるよね。
    いくら贔屓の国とは言っても、スペインの商品3つは連続し過ぎてるかな?(笑)

    スペインからスウェーデンに行きましょ!
    Ramlösaは北ヨーロッパで親しまれている、発泡性ミネラルウォーターのブランドだという。
    起源はなんと1707年まで遡るというから、日本では江戸時代だね。
    ヨーロッパとは水に対する歴史が違うことを、改めて認識するよ。
    このパッケージ・デザインをしたのはGrowという、ブランド開発コンサルタント会社だという。
    デザインだけではない専門知識により、需要を生み出し、真のビジネス価値を創造し総合的にプロデュースをする会社ということみたいだね。
    Ramlösaの親会社であるカールスバーグより安価で持ち運びが容易で環境に優しく、かつプレミアムなデザインを依頼されたという。
    PETボトルでこのカッティングとは!
    二酸化炭素排出量を大幅に削減し、デザイン・アワードも受賞したというから大成功だよね。
    このスパークリング・ウォーター飲んでみたいよ!

    丸い蓋が印象的なデザイン!
    こちらはイギリスで1997年に設立された精製飲料水メーカーであるPURE WATERのもの。
    水源で精製および瓶詰めされ、輸送されるため、二酸化炭素排出の環境への影響を軽減しているという。 
    環境に配慮しています、という文言をどのメーカーでも必ず書いているんだよね。
    これがやっぱり世界レベルなんだろうな。
    このデザインを担当したのはNeueというノルウエーのデザイン会社ね。
    栓抜きが必要な瓶詰めの場合、こぼれないか心配だったけど、これなら大丈夫そうじゃない?
    そしてこのデザインだったら醤油入れたりして、再利用できそうなところも良いよね。
    えっ、ノルウエーの人だったら醤油入れないって?(笑)

    最後はこちら!
    今まで見たことがないデザインじゃない?
    LH2Oは2005年からポルトガルのリスボンを拠点にしているデザイン会社PedritaとLusoブランドのコラボレーションで生まれたデザインとのこと。
    5つの正方形と12の六角形の同一面を持ち、「3次元空間充填モジュール」と呼ばれているそうだ。
    意味は正確に分からなくても、こんな積み上げ方をされたら目を引くことは間違いないよね。
    手に取って、実際に飲む時はどうなんだろう?
    非常に気になる一品だね!

    今回は水をテーマにパッケージ・デザインを特集してみたよ!
    日本のスーパーで見かけるペットボトル、どれも大差ないように感じているので、オシャレなデザインに憧れちゃうよね。
    また世界の秀逸なデザイン、探していこう!

    ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編 4

    20190526 top
    【「盲獣」の英訳は「Blind Beast」だよ!】

    SNAKEPIPE WROTE:

    今週は「ROCKHURRAH紋章学」をお届けしてみよう。
    これで4回目の特集になる「ブック・デザイン編」は、これまでカッコ良いデザインや「とほほ」なデザインをまとめてきたよね。
    今回は少し趣向を変えて「外国で出版された日本の小説のブック・デザイン」を集めてみたよ!
    そうは言っても、日本の小説だったら何でも良しではROCKHURRAH RECORDSらしくない。
    大好きな作家、江戸川乱歩の外国バージョンに絞って紹介していこう!

    英語が苦手でも「Edogawa Rampo」くらいは読めるでしょう。
    そして乱歩で椅子とくれば「人間椅子」だな、という予想はつくはず!
    これは乱歩の短編作品を集めた英訳版なんだよね。
    「人間椅子」は1925年の作品だけど、この英訳版が出たのは2011年とのこと。
    もしかしたらそれ以前にもあったのかもしれないけどね?
    短編集にはどんな作品が掲載されているのかと調べてみる。
    「The Human Chair 人間椅子」
    「The Psychological Test 心理試験」
    「The Caterpillar 芋虫」
    「The Cliff 断崖」
    「The Hell Of Mirrors 鏡地獄」
    「The Twins 双生児」
    「The Red Chamber 赤い部屋」
    「Two Crippled Men 二癈人」
    「The Traveler With The Pasted Rag Picture 押絵と旅する男」
    一番初めに「人間椅子」が収録されているせいもあるだろうし、内容的にインパクトが強いためかブック・デザインに採用されているよね。
    短絡的ではあるけれど、内容を忠実に表している点が秀逸だと思う。

    英訳されると分かりづらいタイトルもあったけど、ほとんどが即答できるのは自称乱歩ファンとしては当たり前か?(笑)
    同じシリーズのスペイン語版のカバーが右の画像ね。
    上のアメリカ版のほうが少しおどろおどろしくて、乱歩の世界観を表しているように思ってしまうね。
    日本の小説だから長い黒髪の着物を着た女を描くのは、常套手段なのかもしれない。
    少しだけ狂気を孕んだように見える女の顔から、上に書いた小説に出てくる誰かに当てはまるか考えてみるけどなかなか難しい。
    特にこれといったモデルを想定したわけじゃないのかもしれない。
    どちらの画像も共通項は「障子」だね。
    これはタランティーノの影響なのかも?(笑)

    これは上のスペイン語版のバージョン違いなのか。
    今度はかなり現代的なブック・デザインにしてるよね。
    ゲームのパッケージにありそうな雰囲気で、外国で流行りのカタカナも配置されている。
    わざとやってるのか、全く意味を成さない文字の羅列。
    和製ホラーは海外で人気のようなので、その一貫で乱歩の小説も括っているのかもしれない。
    乱歩ファンとしては「そんなに軽くしてもらっては困る」って言いたいんだけどね。
    もっと人間の根源的な部分を掘り下げて、小説にしてるのが乱歩だと思うんだけど。
    しかも今から100年くらい前に書いてる小説なので、最近出ているサイコ物の源流と言っても良い作家じゃないのかな。
    調べたわけじゃないので、断定はできないけど。

    これも完全に勘違いバージョンだよね。(笑)
    フランス語版の「パノラマ島奇譚」のようだけど、浮世絵風の半裸体女人が意味不明!
    和風を表現するのに効果的だと思ったのだろうか。
    「パノラマ島奇譚」は「なりすまし」のドキドキ感と、建設されたパノラマ島の壮大さが魅力の小説なので、このデザインからは内容を想像することは不可能に近いように思ってしまう。
    国によっては、日本の小説は「浮世絵風」として、ある程度形式化されているのかもしれないけどね?
    そしてフランス語版での乱歩の表記が「RANPO」と「N」になっている点にも注目。
    英語圏ではヘボン式ローマ字表記「RAMPO」に対して、フランスでは採用していないことが分かったね。(笑)

    次はスペイン語版の「盲獣」だよ。
    「盲獣」は1931年から1932年にかけて「朝日」に連載された小説で、1969年に増村保造監督により映画化されている。
    この映画については2009年に「CULT映画ア・ラ・カルト!【01】邦画編」としてまとめているんだよね。
    スペイン語版ブック・デザインにあるような「凶々しさ」というよりも、触感芸術の作品に注目している記事を書いている。
    スペイン語版で気になるところは、うっすらと透けて見える「感受性」という文字!
    誰がこの言葉を選んで載せることにしたのか、謎だよね。(笑)

    一体これは乱歩のどの小説を翻訳したものなんだろうね?
    「明智小五郎 初期の事件簿」とでも訳したら良いのか。
    そうして調べてみると「一寸法師」や「屋根裏の散歩者」などが、明智小五郎シリーズでは初期に当たる作品のようだけど、この本に収録されている内容については不明だった。
    ブック・デザインに注目してみよう。
    まず、手前の明智小五郎だと思われる男性。
    どお、この髪型と顔!(笑)
    そして後ろに丸く大きく存在感をアピールしている邪悪そうな顔。
    これが「一寸法師」ということなのかな?
    叫んでいるような女性が前にいるよね。
    なんとなく言いたいことは分かるんだけど、もう少し読者の興味を誘うような描き方はできなかったのか。
    この本が売れたのかどうか聞いてみたいね!(笑)

    乱歩作品の中で、映画化や舞台化により何度も上映されているのが「黒蜥蜴」だよね。
    1968年に映画化された作品については「CULT映画ア・ラ・カルト!【09】黒蜥蜴」で記事にしているよ。
    黒蜥蜴役を美輪明宏が演じていて、その気高き美しさに圧倒されてしまったSNAKEPIPE。
    そんな黒蜥蜴のイメージ通りのマダムをブック・デザインに採用しているのが、スペイン語版なんだよね。
    バックにちょっと不気味なトカゲが控えているのも、良いみたい。
    今回集めた江戸川乱歩の海外版の中では、このデザインが一番気に入ったよ!

    今週の「江戸川乱歩の海外版ブック・デザイン」は、検索していて楽しかったよ。
    まずはRAMPOの表記を探し、単語からタイトルを予想する作業が面白かった。
    そして外国人が乱歩作品に対してどんな感想を持っているのかを知ったのも初めてのこと。
    なんと、乱歩は高評価で人気があることがわかったんだよね!
    「エロチックでグロテスク」と感想に書いていながら、星5つが付いていたりして。(笑)
    日本の作家で人気があるのは三島由紀夫と村上春樹くらいか、と勝手に思っていたSNAKEPIPEには、とても意外だったよ。
    誤訳がある、という感想も読んだので、翻訳家の方にも頑張ってもらいたいね!
    そして今度はSNAKEPIPEが英文で乱歩読んでみるかな。(笑)