80年代世界一周 羅甸亞米利加編

【羅甸亞米利加もいよいよ大詰め。今回はその他の地域に焦点を当ててみたよ】

ROCKHURRAH WROTE:

ROCKHURRAHが書く2022年最初のブログ記事・・・などという書き出しで始めようと思ってたが、何と去年はわずか3回しかブログを書いてなかった事に気づいた。

他の事をやっててものすごく多忙だったというわけでもなくて、こりゃサボりすぎだよ、と反省。
今年はもう少し書けるように頑張らないとね。

ROCKHURRAHが企画したシリーズ記事は、どれもこれも忘れ去られたのばかりなんだけど、久々に書こうと選んだのが「80年代世界一周」というタイトルで書いていたもの。
久々だからまたしつこく説明するならば、パンクやニュー・ウェイブが盛んだったイギリスやアメリカなどのロック主要国以外の80年代バンドはどういう状況だったのか、個人的な好き嫌いのみで書いてみようという企画だった。

最後に書いたのが2020年の11月だから、1年以上も続きを書いてなかった事になるよ。

で、最後の方で書いてたのがブラジルとアルゼンチン。
南米だけで大まかに1回で書こうと思ってたのに、意外とバンドの層が厚くて個別の記事としたんだったな。

今回はその続きという事でその他の南米各国の80年代ニュー・ウェイブについて考察してみよう。
タイトルに書いた羅甸亞米利加というのはラテン・アメリカの事で、スペイン語やポルトガル語を主に公用語とする(要するにその辺が植民地としてた)南米あたりの国というわけ。
ラテンもアメリカももっとわかりやすい当て字があったはずだけど、どうしても一般的に普及してなさそうなのを選んでしまうのがROCKHURRAHの性(さが)なんだな。

南米編も3回目、ブラジルとアルゼンチンという大国をすでに書いてるが、その次に挙げるべきメジャーな国と言えばどこかな?
と考えた結果、次はどう考えても不便そうな縦長すぎる大国、チリにしてみよう。
漢字で書くと割と普通な智利という当て字だそうだが、人名でもありそう。

遠く離れた日本では「南米と言えばどこの国?」と聞かれてもパッと国名が思いつかない人もいるだろうし、ROCKHURRAHもこの国の事をロクに知りもしない。
SNAKEPIPEが大好きな映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーの出身地だとか、好きな人も多いチリ・ワインとか、有名アウトドア・メーカー名にも使われたパタゴニアが南の方にあるとか、書いてて情けなくなるほどの貧困なイメージしかないよ。
異常なまでに縦長の領土を地図上で見ると、この国を旅するのは暑かったり寒かったり砂漠だったり大変な思いをしそうだな、と想像するよ。日本も十分に縦長だとは思うが。

大変遅ればせながら、だけど・・・いつの間にかようやく品薄状態じゃなくなったので、前々から欲しかった任天堂Switchを購入した。買うチャンスはあったんだろうが、手に入らない時に高い値段で買うのもなあ、という庶民的な理由で旬の時期は断念していたのだ。
早速遊んでいるのが「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」なんだが、行こうと思ってる場所の気候に合わせて毎回装備チェンジしないといけない。
前は草切ってたら貯まってたお金もシビアになったし、朝昼夜に加えて雨の日、雷雨の日などという細かいところが変にリアルになったので、ウチでは賛否両論になりながらも夢中で各地を駆け回ってる日々だよ。
上に書いた「暑かったり寒かったり砂漠だったり大変な思いをしそうだな」という一文の間に「耐暑効果のある服はゲルドのこれで防寒の時はリト族のこっち」などとゼルダ関連の情報が頭をよぎった、というだけの話なんだけどね。

そんなチリを逞しく生きた80年代バンドがこれ、Los Prisionerosだ。
英語で言えばPrisoners、囚人という意味だと思うけど、スペイン語ではプリシオネイロとなるのか。やっぱり語感がいいねスペイン語、喋れはしないが大好きな言語だよ。
大都市サンティアゴ出身の彼らは1979年結成で84年くらいにレコード・デビューしたというから、チリでちゃんと英米のパンクやニュー・ウェイブに比べて「そこまで遅れてない」と感じさせる数少ないバンドのひとつだろう。
南米のバンドはパンクとか言ってても70〜80年代のリアルタイムでは自由な音楽活動すら出来ないような情勢の国(クーデター多発地域という印象がある)もあったろうからね。
チリもご多分に漏れず70年代に軍事クーデターがあって、その後の人々の暮らしがどうだったかROCKHURRAHは知らないが、Los Prisionerosの音楽はそういう暗い時代背景を笑い飛ばしてしまうような一見陽気なラテン・ミクスチャーな音楽をやっていて、したたかな生命力を感じるよ。

「Maldito Sudaca」は1987年に出たシングル曲でアルバム「 La Cultura De La Basura(ゴミの文化的利用法)」にも収録されている勢いのある曲。
スダカというのは支配層のスペインが南米人のことを侮蔑した言い方で呼ぶような言い回しで、Maldito Sudacaとなるとここでは書かないが大変バカにしたような汚い言い方になると思うよ。
まあどこの国にもよその民族をバカにしたり自虐的だったり、そういう言葉はあるけどね。
ちなみにこれ以降も勝手に日本語訳した邦題やバンド名を書いてゆくが、全て公式ではないんで誰も参考にしないように。

ビートルズを足蹴にする挑戦的なビデオも、いかにも南米的なチンピラの役どころにピッタリな三人組の表情がいいね。
金を貸したら絶対に返ってきそうにない面構えだな。
曲は同時期かちょっと後くらいに大人気だったフランスの多国籍バンド、マノ・ネグラや亜爾然丁編でも書いたソダ・ステレオのような雰囲気のエネルギッシュなパンク+ラテン・ミックスなもの。この国で人気だったのもよくわかるよ。

チリと言えばこれも名前の出てくるバンド、Emociones Clandestinas。
日本語に訳すと「秘密の感情」だそうで、変な邦題がついた大ヒット海外ドラマとかでありそうだね。
チリの中央、ビオビオ州出身のこのバンドは1987年に1枚アルバムを出しただけのようだが、チリのパンク・バンドとしてはパイオニア的存在らしい。

87年と言えばイギリスではニュー・ウェイブのようなロック的なものがネタ切れで沈静化、簡単に言えば下火になってきた時代で、マンチェスターあたりではロック的ドラムではなくダンスっぽいビートと融合したスタイルがブームになった頃かな。
後の時代のバンドはしばらくこういう路線が主流となって現在のロックにも受け継がれてる、そういう境目の音楽が登場し始めたのがこの時代だと言える。
ジョイ・ディヴィジョンあたりは79年当時にそういうリズムでやってたような気がするから、87年元祖説はイマイチ信憑性がないけどな。
アメリカではこの頃はカレッジ・チャートの「頭でっかち、聴けば普通」という音楽も相変わらず量産されてたけど、グランジやオルタナ系などと呼ばれるバンド達が来たるべき90年代に流行る、その夜明け前といった感じ。
ROCKHURRAHの個人的な感覚で言えば、80年代最初の頃の次はどんな新しい音楽が来るか?といった期待感が完全に薄れてきたような時代だったよ。

そういう世界的な音楽情勢を踏まえてこのEmociones Clandestinasを聴くと、1987年に女絶叫ヴォーカルのシンプルな曲をやってる古臭さは否めないね。
スペインのAlaska Y Los Pegamoidesあたりの雰囲気はあるものの、向こうの方がずっとヴィジュアルもキャラクターも際立ってたから小粒にもほどがあるよ。
Carmen Gloria Narváezという女性ヴォーカルのようだが、たぶんこのバンドのメイン・ヴォーカルではなく、彼女のいない男4人組の方がむしろ知られてるようだ。
いきなり主演女優がいなくなって今後の展開は大丈夫なのかね「秘密の感情」?え、違う?

次はメキシコの、と書こうとして南米地図を見たらメキシコは南米じゃなかったのをこの歳まで知らなかったよ。
が、英語じゃないしアメリカの一部と見なす人もいないし、大体南米の仲間と言って差し支えないかな。え、ダメ?

この国のニュー・ウェイブ事情を調べたら80年代には実にチープなものばかり出てきて逆にビックリした。
いかにもごつい男たちの入れ墨パンクとかありそうな雰囲気なのに、よりによって探したのがこの軽薄そうなバンド、Sizeだ。

メキシコ初のパンク・バンドとして1979年にデビューしたと言うから、他の南米パンクよりはだいぶ早くから活動してたことになるがあまりレコードも出せずに、リアルタイムでは本国以外ではほとんど知られてない存在だった模様。
ビデオの曲「Go-Go Girl」は日本盤の出ている「音の宇宙模型」というノイズやアヴァンギャルド系多数収録のコンピレーションに、なぜか収録されてるのがとっても不思議だよ。

ヴォーカルの見た目はサイコビリー風なのに曲は甘い50’s調で、演奏は80年代初期のテクノポップ(シンセをたくさん使ったエレポップではなく、ちょっとだけ使用なのがポイント)という感じの、まとまってないちぐはぐさに満ち溢れたこのバンド。
イギリスやアメリカでは全く通用しなさそうなところが逆に唯一の個性と言えるのかもね。

これまたメキシコのSyntoma(症状) というバンド。
日本の80年代アイドルを彷彿とさせる女性ヴォーカルと冴えない男たちという3人組で、上のSizeと同じように初期テクノポップをやってるんだけど、その初々しさ、拙さがツボにはまる人もいるだろう。
一般的に考えるメキシコっぽさは皆無だね。
これは日本に輸入されてたら意外と大人気バンドになれたかも、と思うよ。
ヤング・マーブル・ジャイアンツのテクノ版という感じかな。

ヴォーカルの子がキーボードの演奏までして合間にマイクを握り歌うという、失敗しやすいスタイルのこの曲「Subliminal 」は1983年の作で、それを考えるとアイドル風衣装も初期テクノポップも決して古臭くもなく、メキシコは他の南米諸国のバンドとかよりはずっと英米の影響(ついでに日本も)を受けやすかったんだろうな。

またまたメキシコのバンド。
エドガー・アラン・ポーの詩にも出てくる由緒ある名前、ウラルメ嬢を中心としたCasino Shanghaiだ。
南米ではないメキシコから3つもバンドを持ってくる段階で今回の羅甸亞米利加編でかなり苦戦してる事がわかるだろう。
その通り、生粋の南米ではあまり目ぼしいバンドがなかったんだよ。

バンド名も世界で通用しそうだし、例えばZEレコーズ(フランスとアメリカを二股にかけた80年代ニュー・ウェイブのレーベルがあった)でリジー・メルシエ・デクルーやクリスティーナあたりに続いていれば割といい線いってたのではないかと思うくらいのレベルだよ。
メキシコ国外に進出しなかったから、やってる音楽はメジャーっぽくても知名度は低いのが残念。

ウラルメ嬢は写真ではコケティッシュ美女っぽいがビデオではちょっと微妙な感じがするね。
メイクや衣装のせいで大人びた、というよりは年増に見えてしまう。
全体的にちょっと陰影のある曲調と歌い方に雰囲気があって、目指す方向性はよくわかるけど、売り出し方がちょっと下手だったなあと思ってしまうよ。

次はブラジルとアルゼンチンに挟まれた小国ウルグアイ。
国名は知っててもこの国に関する知識がまるでないし、失礼ながらどんな国なのか全く想像出来なかったが、実は南米では最も高い水準の暮らしっぷりが出来るプチブル(最近聞かない言葉だな)国家だという。
今調べて知った付け焼き刃の知識だが、国民の3人に1人は銃を所持してるデンジャラスな国らしいな。
首都はモンテビデオという何だかよくわからんがカッコいい地名で羨ましい。

関係ないが日本でもルーマニア・モンテビデオという意味不明の名前がついたバンドが90年代くらいに活躍してて、その頃、夜型の生活をしてたROCKHURRAHはTVが終わる深夜か明け方になぜかそのバンドのビデオが流れてたのを思い出したよ。
1曲も知らないバンドなのにそのバンド名だけを記憶してるという事はやはり名前のインパクトが強かったんだろうか。

国が豊かだと音楽や芸術に関する需要も高まるのかは全くわからないが、意外なことに今回の南米その他の国の中では最も英米にひけを取らないバンドが見つかったよ。
Los Estomagos (胃)というケッタイなバンド名のこの4人組は1983年頃から活動してたというから、ウルグアイのニュー・ウェイブではパイオニア的な存在だったんだろうな。

「Frio oscuro(寒い闇)」というこの曲は南米のバンドとしてはたぶん珍しい、ジョイ・ディヴィジョンやキリング・ジョークあたりを思わせる重低音ダークな曲調で、当時の英国から強い影響を受けた事を感じさせる。日本と似た温暖な気候だとウルグアイの旅ガイドには書いてあったけど、そういうのに関係なく心の寒さを歌いたくなる時もあるんだろう。
うーん、おざなりで他人事のコメントだったな。

さて、次は南米では最も北部に位置するベネズエラから。
これまた何のイメージも湧いてこない国で困ってしまうが、石油産出国として80年代前半くらいまでは割と裕福な国だったとのこと。
しかし原油の下落や政策の失敗で一気に落ち込んでしまい、ROCKHURRAHのような素人が南米に抱く漠然とした悪いイメージ通りの国になってしまったらしい。政情不安定とか貧困とか治安が悪いとかの負のイメージね。

そんな世界最悪の治安の悪さとまで言われるベネズエラで、したたかに生き残ってきたガールズ・バンドがこれ、Psh-Pshだ。
意味は、うーむ、わからぬ。プシュプシュでいいのかいな?
80年代初頭から活動してたようだがリアルタイムではレコードも出してなく、割と最近になって発掘音源みたいなのが出たに過ぎない幻のバンドみたいなもんだな。
写真で見ると割とケバい(最近言わない言葉だね)女3人組で、やっぱり治安の悪いところで活動するからにはこれくらいじゃないとナメられてしまうよね。

こんなバンドだから当然動画もなかったけど、ビデオは1983年の「Juego de computadora(コンピュータ・ゲーム)」。
音楽は割と暗めのシンプルなパンクで、声を荒げる事もなく淡々と歌い上げるクールな印象。
世界で通用するレベルとは思わないけど、南米という感じは全くしないな。

最後もベネズエラ。
首都カラカスで1981年に結成されたがレコード・デビューに苦労したタイプのようで、実際の活動は80年代後半というこのバンド、Sentimiento Muerto(死んだ感じ)だ。詩的な解釈が全く出来ないGoogle翻訳、ひどいな。

見た目だけは世界に通用しそうなレベルの男5人組で、ラテン系ニュー・ウェイブの中では売れ線狙いの正統派だと感じるよ。今回は売る気がなさそうなバンドが多かったからね。
パッと見た感じではラブ&ロケッツ(バウハウスからピーター・マーフィーを除いた3人組バンド)のハート・マークのモノマネか?というような似たトレードマークを売り物にしていたり、ヴィジュアル戦略にも長けたバンドのようだ。
南米ではバレるまい、と思っていたのかな。

「El Payaso(ピエロ)」は1989年発表の「Sin Sombra No Hay Luz(影なし光なし)」というアルバムに収録のもの。
曲の方はチョッパー・ベースが全編リズミカルに鳴り響くもので、達者に音楽慣れした実力のバンドだと感じる。
明らかにベネズエラ、あるいは南米諸国というよりはヨーロッパ進出を狙ったくらいの意気込みを感じるが、大成したという話も全く聞かないから、これまたメジャー路線政策に失敗したのかね。

以上、今回は駆け足でラテン・アメリカの80年代を紹介して失敗したかも知れないが、この企画自体は個人的にも興味あるから、また機会があったらまとめてみたいと思ってるよ。
一番欲しいのは時間だね。毎年、初詣の時は「時間に余裕が出来ますように」と祈願しているよ。

ではまた、Jajoechapeve(ジャジョエシャペベ)
※グアラニー語(南アメリカ先住民の言語)で「さようなら」

映画の殿 第49号 Netflixドラマ編 part5

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【毎回表紙を作ってくれているROCKHURRAHに感謝!】

SNAKEPIPE WROTE:

2021年11月に書いた「映画の殿 第48号 Netflixドラマ編 part4」から2ヶ月が経過し、また鑑賞したドラマをまとめる時期になっているよ。
12話(13話)でシーズン1とされていた韓国ドラマが、最近は全16話など約半分の回数でシーズンを終えていることがあるんだよね。
短期間で5つのドラマを鑑賞できたのは、そういったことも理由だよ。
紹介するのは、ROCKHURRAH RECORDSが鑑賞した順番で、制作順ではないのでよろしくね!
 
最初に紹介するのは「サバイバー:60日間の大統領(原題:60일, 지정생존자 2019年)」 。
鑑賞し終わってから知ったことだけれど、どうやらこのドラマはアメリカの「サバイバー: 宿命の大統領(原題:Designated Survivor 2016-2019年)」を基にしていたらしいね。
 アメリカ版ではキーファー・サザーランドが主役を務めていたんだとか。
こちらもNetflixで観られるようなので、今度鑑賞してみようかな!

 韓国版「サバイバー」のあらすじを書いてみよう。

ヤン・ジンマン大統領の施政演説中、国会議事堂が爆弾テロで崩壊する史上初の事態が発生する。
政府要人の大多数が死亡すると、継承順位が低い環境副長官のパク・ムジンが大統領権限代行のポストに就くことになる。
政治感覚ゼロの理工系男子パク・ムジンは、果たして権限代行を無事に遂行できるのか・・・
(K-Marketより) 

続いてトレイラーね。

あらすじにあるように、ドラマの第一回目で国会議事堂が爆破されるシーンがあるんだよね。
その時点で度肝を抜かれ、目が釘付けになってしまったSNAKEPIPE。
北朝鮮のトップが似て蝶(!)だったり、アメリカとの関係など「ここまでドラマでやって良いの?」とヒヤヒヤしてしまう展開もあったよ。
政治には詳しくなくても、見応え十分なドラマだったね。
大統領代行役は「ミスティ」でコ・ヘランの旦那さんだったチ・ジニ。
人道的で思いやりのある大統領代行で、本当にこんな人が大統領だったら!と思う人が続出なはず。(笑)
「秘密の森」で形振り構わず上昇志向を見せていたイ・ジュニョクが、シリアスな役を演じていて、ギャップに驚いたよ。
どうしても最初に観たときの役柄を引きずってしまうからね。(笑)

「サバイバー:60日間の大統領」は、YouTubeの下のほうに感想を書いている英語圏の方々からも、「今まで観た韓国ドラマの中でのベスト」や「シーズン2を望む!」など高評価を受けているよ。
シーズン2がありそうな終わり方してたから、制作されるのかもしれないね?

続いての「マイネーム: 偽りと復讐(原題:마이 네임 2021年)」は長年来の友人Mから強く勧められたドラマだよ。
何故だか友人Mはヤクザ物が大好きなんだよね。(笑)
このドラマは全8話と短め。
どんな話なのかあらすじを書いてみよう。

自分の誕生日に目の前で何者かに父親を殺されたジウ。
父の死の真相解明と復讐を誓い、麻薬組織のボスの後ろ盾を受け、名前を変えて警察に潜入する。

 

まるで昭和のスポ根ドラマだよ!(笑)
韓国の女優ってすごいなあって思うよ。
俳優でも歌やダンスや演技など複数のことが出来て当たり前みたいだもんね。
ストーリーは、あらすじにあったように韓国ドラマでは定番の(?)復讐物。
実際には、警察と麻薬組織の両方に関わるなんて難しいだろうけどね。(笑)
誰が本当の味方なのか、回を追うごとに分からなくなってくるところが面白かったよ。 
「梨泰院クラス」で会長の息子を演じていたアン・ボヒョンが、熱血刑事を演じていたところにも注目だったね。
ハード・ボイルドが好きな人に、お勧めのドラマかも。

アルハンブラ宮殿の思い出(原題:알함브라 궁전의 추억 2018-2019年)」は、スペインのフランシスコ・タレガ作の名曲、「アルハンブラの思い出 (Recuerdos de la Alhambra)」から取られたタイトルだという。
ドラマの中で何度も挿入される印象的なメロディは、耳に残るよ。
舞台がスペインで、「トッケビ」のカナダに対抗してるみたいじゃない?(笑)
トレイラーが英語版しか見つからなかったのが、残念! 

ビジネスで韓国からスペインを訪れた投資会社代表。
革新的なAR(Augmented Reality、拡張現実)ゲームの暗号開発者を探す中、スペインのグラナダで、古びたホステルを運営する韓国人女性と出会う。

 

VR(Virtual Reality:仮想現実)は聞き覚えがあるし、2021年10月に訪れた「りっくんランド」でもVR体験してるんだよね。
対してARとはなんだろう?
VR(Virtual Reality:仮想現実)において、ユーザーは目を覆うヘッドセットとヘッドフォンを着用し、現実の世界を仮想の世界に完全に置き換えるが、ARは「ポケモンGO」のようにスマートフォンやタブレットの画面を使用して2つの世界を融合させる、ことだという。 
「アルハンブラ宮殿の思い出」ではスマホではなく、コンタクトレンズを装着することでゲームの世界に入っていくんだよね。
ゲームに関するシーンは、最初の頃はとても面白かった!
途中からは敵を殺しまくる主人公と、いつまでもずっと追いかけて来る死んだはずの友人(宮迫博之似)が怖くて怖くて。(笑)
現実と仮想の区別がつかなくなりそうで、日常生活にも影響が出そうだよ。
シーシュポス」で見事な銃さばきを披露していたパク・シネが、ホテル経営者でギタリストという役を演じていたね。
ゲームの世界と現実、その現実も現在と回想が入り混じって、分かりづらくなっていたのが残念かも。

前回の記事で「2021年はイカゲーム」と書いたSNAKEPIPEは、まだ続きがあるとは想像していなかったよ。 
「地獄が呼んでいる(原題:지옥 2021年)」は「新感染 ファイナル・エクスプレス(原題:부산행 2016年)」「サイコキネシス -念力-」のヨン・サンホ監督が手がけていると聞いただけで、そそられるよね!(笑)
全6話という短さも良かったのか、Netflix配信後すぐに全世界で視聴時間1位を獲得だって。
「イカゲーム」で韓国ドラマを好きになった人が、すんなりと鑑賞しやすかったのかもしれないね?
あらすじに続いてトレイラーを載せてみよう。

この世のものではない何かが突如、現れる。
この不可解な存在によって地獄行きを宣告された人間は、残酷に焼き殺される。
人々が恐怖におののく中、この現象を神の裁きだと主張する宗教団体が勢いを増していく。
しかし、一部の人は団体の活動に疑念を抱き、事件との関連性を調査し始める。
(シネマトゥデイより)

 

ある日突然、異形の存在に「おまえは5日後に死ぬ」と一方的に告げられ、予告された日に焼き殺される理不尽さ。
理由が分からないまま、恐怖の時を迎える人たち。
死を宣告された人を罪人扱いし、その情報を拡散する人。
「矢じり」と呼ばれる集団にいる、インターネット配信する人物の狂気が最も怖かったSNAKEPIPE。
 ブラックライトに照らされた蛍光色の化粧は、カルト映画「リキッド・スカイ」を思い出したけどね。(笑)
シーズン2がありそうなエンディングだったので、続きが非常に気になるよ。
あまり間を空けずに配信して欲しいね!

最後は「ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です(原題:무브 투 헤븐: 나는 유품정리사입니다 2021年)」を紹介しよう。
長年来の友人Mが「毎回号泣」と話していたので、重たい主題なのかと心配だったけれど、観始めると引き込まれてしまったSNAKEPIPEだよ!

アスペルガー症候群の青年と、これまでずっと疎遠だった彼の叔父が、ある事情から突然同居することに。
二人は遺品整理会社を経営していくなかで、故人が生前に伝え切れなかった思いを残された人に届けていく。
(シネマトゥデイより)

 

主人公ハン・グルがアスペルガー症候群というのは「サイコだけど大丈夫」の設定と同じなので、特徴についてある程度の知識を持ってから鑑賞できたよ。
ハン・グルの父親役が「サバイバー:60日間の大統領」のチ・ジニ!
大統領代行が遺品整理士になってる!とまたもやドラマを混同しながら観てしまった。(笑)
当たり前だけど、人それぞれに生きてきた歴史があることを再認識するよ。
じんわりと心に染みるドラマだね。
このドラマもシーズン2を匂わせる終わり方だったので、どうなるのか楽しみ!

現在も別のドラマを鑑賞中だよ!
また数カ月後にまとめ記事を書きたいと思っているよ。
次回をどうぞお楽しみに!(笑)

クリスチャン・マークレー とユージーン・スタジオ 鑑賞

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【看板を撮影し忘れたので、フライヤーを載せてみたよ】

SNAKEPIPE WROTE:

あけましておめでとうございます。
皆様、お正月休みをのんびり過ごされていますか?

ROCKHURRAH RECORDSは、久しぶりに成田山新勝寺へ初詣したよ!
SNAKEPIPEは、成田山に行くと気持ちが引き締まるんだよね。
一昨年に違う神社を参詣した時には、湧いてこなかった感情だよ。
おみくじはROCKHURRAHが吉、SNAKEPIPEは初めて大吉を引いて嬉しかった。(笑)

さて、今年最初のブログは、昨年末に鑑賞した展覧会について書いていこう。
正月でも、いつも通りの展開だね。(笑)
鑑賞したのは東京都現代美術館で開催されている「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」と「ユージーン・スタジオ 新しい海」の2つ!
クリスマス過ぎの晴れて寒い日に、ROCKHURRAHと一緒に木場に向かったのである。

朝一番の時間に予約をしていたせいか、人が少ない。
混雑している展覧会ではゆっくり鑑賞できないので、とても良い環境だよ。(笑)
最初に「クリスチャン・マークレー」の展示から鑑賞する。
東京都現代美術館には珍しく、今回は一部を除いて撮影オッケー!
バシバシ撮影させてもらおうね。(笑)
まずはクリスチャン・マークレーについて、少し調べてみようか。

1955 スイス人の父親とアメリカ人の母親の間に、アメリカ・カリフォルニア州で生まれる
ジュネーブで暮らす
1975–1977 ジュネーブのエコール・シュペリエール・ダール・ヴィスエルに通う
1977–1980 ボストンのマサチューセッツ芸術大学で美術学士のBFA取得
1978 ニューヨークの相互関連メディアプログラムのスタジオ、クーパー・ユニオンで学ぶ
1979 ターンテーブルでスキップするLPレコードの通常のリズムを打楽器として使用する、最初のパフォーマンス作品を発表
1980- 即興の演奏のほか、聴覚と視覚の結びつきを探る作品で、美術の分野でも活躍する
2011 「ザ・クロック」(2010)で第54回ヴェネチア・ビエンナーレ(2011)金獅子賞を受賞
現在も世界各国の主要な美術館での個展を開催するほか、音楽の分野でも重要な活動を続けている

スイスで育ったあと、アメリカで生活しているんだね。
現在はニューヨークとロンドンを活動拠点としているみたい。
いわゆるラップ音楽で使われているターンテーブルとは違って、打楽器としての役割をさせた初めての人物ということになるらしいよ。
理由は、なんとドラマーを探すことができなかったからというから面白いよね。(笑)
ソニック・ユースやジョン・ゾーン、大友良英など多くのミュージシャンと演奏や録音を行っているという。 
音を使った現代アート、どんな作品があるんだろうね?

会場に入ってすぐに展示されていたのは、床に直置きされたモニター12台。
「リサイクル工場のためのプロジェクト(2005年)」は、なんと東京で制作されたという。
工場内で作業中に響く音をリズムとして捉えてるんだよね。
やってることは70年代から80年代のインダストリアル系に近いのかな。
この手の音が大好物のROCKHURRAHは、この時点で興奮していたよ。(笑)
短いけれど動画を載せてみよう。

1984年の「ファスト・ミュージック」は、マークレーがレコードを食べる様子が映像化された作品。
ファスト・フードをもじったタイトルなんだろうけど、夢中になって食べまくってたよ。(笑)
80年代にこんなパフォーマンス・アートをやっていたんだね。
マークレーは学生時代、ヨゼフ・ボイスナム・ジュン・パイクがメンバーとされている1960年代から70年代の芸術運動「フルクサス」に興味を持っていたらしい。
その影響からなのか、そこまで難解なアートではないところも好ましいね。(笑)

SNAKEPIPEは「ビデオ・カルテット(2002年)」が最も印象に残ったよ。
あるテーマに沿った映画(映像)シーンをコラージュしていく作品なんだよね。
4つの大型スクリーンには、それぞれ別の映像が流れている。
例えば、画像は「NO」と叫ぶシーンだけを集めたところ。
左から2番めに、Sex Pistolsのジョニー・ロットンがいるよ。
「NO」の時にはやっぱり写っていて欲しい人物だよね!(笑)
およそ14分の映像作品だけれど、もっと長く感じる。
4つのスクリーンがあるので、4倍にあたる1時間ほどの映像を観た気分なんだろうね。
ありとあらゆる映像の網羅は、圧巻だったよ!
これだけの映像を集めるために、一体何本の映画を確認したんだろうね?(笑)

1979年から1986年に作られた「リサイクルされたレコード」は、複数枚のレコードをつなぎ合わせた、パッチワーク状態の作品なんだよね。
どうやらマークレーは、中古レコード屋で1ドル以下のレコードを購入し、作品にしていたらしい。
カラフルな見た目が楽しいし、実際にプレイヤーで音を再生したという。
どんな音か聴いてみたかったなあ!

1989年から90年にかけて制作された「アブストラクト・ミュージック」は、レコード・ジャケットの上にアクリル絵具で絵を描いた作品。
アブストラクトというだけあって、全て抽象画なんだよね。
使用しているレコード・ジャケットも、リサイクルしているようで、印刷されている文字の上に色を塗り、音楽のジャンルに匿名性をもたせることが目的だったとか。
ROCKHURRAHが書いているカテゴリー「ニッチ用美術館」でも、採用して欲しいジャケットだったよ。
ミュージシャンが分からない、というのは難しいのかな。(笑) 

複数枚のレコード・ジャケットをコラージュした「ボディ・ミックス」は1991年から92年の作品。
9作品が展示されていたけれど、全てが上半身男性で、下半身は女性というパターンだった。
観た瞬間に「ぷっ」と吹き出してしまう、面白い作品だったよ!(笑)
ガラスに反射して、自分や背景が写り込んでしまったため、比較的まともに撮影できたものを載せてみた。
黒い作品の場合は全滅だったね。
なんとか良い撮影方法はないものかね?

フランシス・ベーコン、もしくはデヴィッド・リンチを思わせる「コーラスII」は1988年の作品。
雑誌に載っていた写真を再撮影しているんだとか。
テーマは「聞こえない音楽」だって。
実際には聞こえなくても、記憶と照らし合わせて想像することができる、という意味らしい。
口の形だけで言葉や音を想像するのは、国籍も含めて個人差ありそうだね。

2018年から19年に制作された「叫び」は、日本のマンガからイメージを切り取り、コラージュして拡大した後、ベニヤ板に彫った木版画だって。
確かにマンガには「うおぉぉぉ」とか「とりゃーーーー」みたいな、叫ぶシーン多いよね。
実は説明を読まないで作品だけ観ていたので、木目はデザインされたものだと思っていたよ。
上の「コーラスII」同様、「叫び」も「聞こえない音楽」シリーズになるんだろうね。
マンガとコラージュと木版というミクスチャーが面白かった。

映像作品の「サラウンド・サウンズ」は2014年から15年の作品。
アメリカン・コミックによく出てくる効果音を表すオノマトペを抜き出し、アニメーションにしてるんだよね。
百聞は一見に如かず。
映像を載せてみよう!(笑)

「フェイス」は、コロナのため引きこもりを迫られたマークレーが制作した2020年の作品だという。
人間の顔がオノマトペによって隠されているというのが、怒りや不安の可視化を表していると説明文に書いてあるよ。
そう聞けば「なるほど」と思うけど、SNAKEPIPEは説明なくてもコラージュ作品として楽しんだよ!
不安というよりはポップな印象が強かったけどね?

続いて「ユージーン・スタジオ 新しい海」を鑑賞する。
ユージーン・スタジオという名前を聞いたのも初めてなので、調べてみよう。
1989年生まれの寒川裕人によるアーティスト・スタジオで、国際的に評価が高まっているらしい。
詳しい説明があまりなくて、寒川裕人以外にスタジオに所属しているのかなども不明!
作品も今回初めて鑑賞するので、知識ゼロのまま会場に入ってみる。
こちらもほとんど撮影可能だったので、たくさん撮影してきたよ。
今回はSNAKEPIPEの琴線に触れた、2つの作品だけ紹介しようと思う。 

会場入ってすぐに「ホワイト・ペインティング」シリーズという、真っ白いカンヴァスが展示されているのが目に入る。
説明聞かないと解らないタイプの作品なんだよね。(笑)
どうやら世界各国の人々が口づけたカンヴァスだという。
こういう観念的な作品も現代アートだけど、SNAKEPIPEは観た瞬間に「好き!」と思う直感的アートに惹かれる。
今回のユージーン・スタジオで好きだったのは「善悪の荒野」という2017年の作品。
燃えてしまった室内を構築していて、廃墟好きにはたまらないんだよね。
この作品、本当に燃やして作ったのかなあ?(笑)

もう一つは映像を載せようかな。

「ゴールドレイン」は金箔と銀箔の粒子が降ってくる、というシンプルな作品なんだよね。
2020年9月に鑑賞した「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」に展示されていた「Beauty」に似ていたよ。
とても美しい時間が経過していたね。

今回は2つの展覧会をハシゴしてみたよ。
クリスチャン・マークレーは、音楽(音)をテーマにしたコラージュ作品で、とても楽しかった!
現代アートにおける映像作品で、こんなに面白かったのは2011年に鑑賞した「ゼロ年代のベルリン展」でのミン・ウォン以来かも。(笑)
レコード好きのROCKHURRAHも大満足の展覧会だったよ!
ユージーン・スタジオは、ある程度勉強して、予備知識を持ってから鑑賞したほうが楽しかったのかもしれないね。

2022年もたくさん展覧会を鑑賞したいと思っているよ。
本年もどうぞよろしくお願いいたします!