
【大回顧展The Art of Lightの展示風景】
SNAKEPIPE WROTE:
今回はイギリス人アーティスト、ブライアン・クラークを特集してみよう。
検索していたら、とても美しいステンドグラスが目に入り、興味を持ったよ。
まずは経歴を調べてみようか。
1953 イギリス・ランカシャー州オールダムに生まれる 1965 奨学金を得てオールダム美術工芸学校に入学 1970 ノース・デヴォン芸術デザイン大学で建築ステンドグラスを学ぶ 1975 ロングリッジの聖ローレンス教会の窓を制作 1979 BBCドキュメンタリー『Brian Clarke: The Story So Far』放映 1987 東京・西武美術館で個展「Brian Clarke: Stained Glass」を開催 1988 磯崎新と相模湖カントリークラブで協働 1998 フランシス・ベーコン遺産管理人に就任 2007 建築財団会長に就任 2016 ザハ・ハディッド財団会長に就任 2018 ノリッジで大規模回顧展「Brian Clarke: The Art of Light」を開催 2024 芸術への功績によりナイト爵位を授与される 2025 71歳で逝去
80年代に日本で個展を開いていたり、相模湖カントリークラブというゴルフ場のクラブハウスにステンドグラスを制作していたりと日本に縁がある人物なんだね。
フランシス・ベーコンの遺産管理や建築家ザハ・ハディッド財団の会長に就任するとは、アーティスト同士のつながりがあったことが分かる。
そして昨年亡くなっているとは、とても残念だよ。
載せた画像は70年代に撮影されたブライアン・クラーク本人!
イギリスの70年代後半はパンク全盛期だもんね。
パンクのエネルギーに触発されて制作された「Dangerous Visions 1 」は、裂いたキャンパスから血が流れている作品なんだよね。
血に見立ててワニスや木材防虫剤、そして膠液を混ぜたものを使用しているらしい。
そしてその傷を修復するためにテープを貼ったり、安全ピンを使っているところがパンクっぽいよね!
キャンバスを切り裂いた最初の人物はイタリアの芸術家ルチオ・フォンタナだけれど、それを再び「つぎはぎで修復した最初の人物は自分だ」とブライアン・クラークは主張しているんだとか。
パンク要素を含んだ少し暴力的な作品はとても好みだよ!
左側の黄色いラインは何を意味しているんだろうね。
「Dangerous Visions」は連作になっていて、他の作品にも黄色いラインが共通して描かれているよ。
パンクに関係するんだろうね。

1970年代から一気に30年ほど飛んで、2013年の作品「Lancashire Cotton Mills(ランカシャーの綿工場)」に強く惹かれる。
これはブライアン・クラークが幼少期を過ごしたオールダムの綿工場をモチーフにしているんだとか。
少年時代に目にした、アイデンティティの形成に深く関わった原風景なんだね。
この作品群は「まるでデヴィッド・リンチ」のようで、SNAKEPIPEは嬉しくなったよ!(笑)
黒バックに白と赤だけというシンプルな色合いが素敵。
短くて白い線がパラパラと降り注いでいるようなところもリンチみたい。
このシリーズを並べて飾りたくなるね!
2003年に制作された「Francis Bacon Trial(フランシス・ベーコン裁判)」は3つの作品で構成された連作だという。
載せたのは「Untitled Triptych(無題の三連画)」で、ベーコンのトリプティク(三幅対)に倣った構図だね。
ベーコンの顔写真が掲載された新聞記事をバックに、髑髏が描かれている。
年表にあるように「ベーコンの遺産管理人」になったクラークが、遺産管理や作品の真正性、財産処理などをめぐって発生した裁判を題材にした作品なんだとか。
クラークはベーコンともベーコンの遺産相続人であるジョン・エドワーズとも深い関わりがあったという。
エドワーズの依頼によって、裁判所から任命された唯一の遺産執行人だったというクラークは、裁判でほとほと疲れ果てたらしい。
ダークな作風によって表現されているよね。
1990年に制作された「The “C” Collages」は、コラージュ作品なんだね。
作品群にはグリッド(格子)が採用されているのが特徴で、そこに新聞の切り抜きや破られた紙片などが貼り付けられている。
グリッドに対するクラークの考えは「混乱やカオスをもたらすために必要な秩序」という位置づけらしい。
正義があるから悪も生まれるみたいなものか?(笑)
そうした意味を追求したり理解しなくても、観た瞬間に好きになる作品だよ。
16連作のシリーズなので、並べて展示されていたら圧巻だろうね!
クラークは彫刻も手掛けているんだね。
「Portia’s Dream(ポーシャの夢)」は、2012年のブロンズ彫刻だって。
正十字の下に根っこみたいなヒゲがあって、今にも動き出しそうな感じだよ。
ユーモラスにも見えるけど、タイトルの「ポーシャ」は戯曲「ジュリアス・シーザー」においてシーザーを暗殺したブルータスの妻の名前だという。
シェイクスピアの作品とされる「ジュリアス・シーザー」なので、イギリス人にとっては馴染み深いものなんだろうね?
このブロンズ彫刻を観て、シェイクスピア愛読者には何か納得する解釈があるのかもしれない。
2011年オランダ・ハーグで開催された展覧会用に制作した絵画シリーズ「Astragals(アストラガルズ)」も色や構図が素敵だね!
暗い背景に白い線で同一モチーフを連続して描いて、キャンバス全体を横断する構成になっているんだって。
ポルシェや戦闘機が描かれている作品もあるんだよね。
載せた作品「Heidegger’s Forest(ハイデガーの森)」は油彩画で、2m四方の大きな作品なんだね。
ドイツの哲学者ハイデガーの名前が付いているので、恐らく何かしら思索や探求を意味しているんだろうね。
他にもオーストリアの哲学者ウィトゲンシュタインの名前がある作品も同シリーズにあったよ。
抑えた色使いだけれど、大胆に筆を動かしているように見える作品群。
現物を観てみたいね!
最後にステンドグラスの作品ね!
「World Without End(終わりなき世界)」は、海に漂うクラゲをモチーフにした2017年の作品。
屏風のように折りたたむことができるという。
ステンドグラスを支え接合するために伝統的に用いられてきた鉛のケーム(鉛桟)を排除する革新的な技法によって制作されているため、ガラスそのものが水のように漂う効果があるんだって。
海の中を覗いているような気分になりそうだね!
パンク精神に共感したことがあるアーティストなので、作品にも共鳴してしまうよ。
とても好みで知ることができて良かった!
亡くなってしまった昨年も精力的に活動していたようなので、訃報が残念でならない。
日本でも大回顧展開催して欲しいよ!









