映画の殿 第82号 市民捜査官ドッキ編

20260510 top.
【市民捜査官ドッキの登場人物は意外と少ないね】

SNAKEPIPE WROTE:

ゴールデンウィークはあっという間に終わってしまったね。
みなさまはどんな連休を過ごされたかな?
ROCKHURRAH RECORDSでは、特にお出かけもせず、庭の手入れをしたり映画を観て過ごしていたよ。
いくつかの配信サービスを契約していると、ドラマも映画も選び放題!
昔の映画でも新作でも鑑賞できてしまうので、映画館に足を運ぶことがなくなってしまった。
今回は、連休中に観た映画の感想を書いてみよう。
何本か観た中でナンバーワンだったのは、これ!

「市民捜査官ドッキ(原題:시민덕희 2024年)」は、ラ・ミランが主役!
「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」「ジョンニョン: スター誕生」などのドラマや「親切なクムジャさん」「正直政治家チュ・サンスク」で大ファンの女優だよ。 
他にポスターで確認できるのは、左隣に名バイプレーヤーのヨム・ヘラン!
「悪霊狩猟団: カウンターズ」の役名から、今でもチュさんと呼んでしまうよ。
最近では「おつかれさま」での母親役が印象的だったね。
ラ・ミランとヨム・ヘランが出演しているなら間違いなし!(笑)
まずはあらすじを書いてみよう。
※ネタバレしている可能性がありますので未鑑賞の方はご注意ください

クリーニング店が火災になりお金を必要としていたドッキに、銀行のソン代理から融資商品を紹介したいとの電話がかかってくる。
融資に必要だからとあれこれ手数料を請求され、ソン代理に送金したドッキ。
しかし、この一連の流れが振り込め詐欺であったことを後から知り、ショックを受ける。
全財産を失い子供たちと路頭に迷うドッキに、再びソン代理から電話がかかってくるのだが…。
今度はドッキに詐欺組織の情報提供をすると助けを求めてきた!
警察も諦めたこの事件。
だがドッキはソン代理を救い奪われたお金も取り戻したい一心で、それぞれ特技を持つ心強い同僚たちと共に中国・青島(チンタオ)へと向かう。
(THE KLOCKWORXより)

トレイラーはこちら。

振り込め詐欺の被害者ドッキを演じるラ・ミランが捜査に乗り出す話なんだね!
日本でも横行している犯罪の手口だけど、韓国も同じ状況だったとは。
ドッキは、シングルマザーで幼い子ども2人を抱え、生活に追われている。
本作品出演当時50歳手前のラ・ミランなので、子供が小さすぎるように感じてしまったけど。(笑)
警察はあてにならないから、と自分で捜査に乗り出すドッキ。
最初はお金を取り戻すために始めたけれど、正義のために闘う姿はカッコ良いね!
ラ・ミランはドッキ役がよく似合っていたよ。

ドッキが働いているクリーニング工場の同僚、ポンニムをヨム・ヘランが演じている。(画像左)
ポンニムは中国出身で韓国で働いている設定なので、2か国語を話すんだよね。
中国語の基本的な発音は大学時代に勉強していたらしいけれど、この映画のために相当練習したんだとか。
最初から喋ることができるのかと思ってしまうほど流暢で自然な中国語だったから、特訓の賜物と聞いて驚いたよ!
演技派女優として地位を確立しているヨム・ヘランだけど、更に努力を重ねているんだね。
ドッキとの友情のため、仕事も休んで捜査に協力する。
ラ・ミランとヨム・ヘランの掛け合いがリズミカルで見事だったよ!

ドッキと同じクリーニング工場で働くスクチャも捜査に協力する。
演じていたのはチャン・ユンジュで、ドラマ「涙の女王」や映画「三姉妹」で観た女優だよ。
「市民捜査官ドッキ」では、捜査のためとはいえ中国行きは観光目的のようにはしゃいでいる。
お気楽キャラは必要だね。(笑)
立派な望遠付きカメラを持参して、隠し撮りを行う。
そのおかげで捜査が進展し、お役に立っていたね!

青島にいるポンニムの妹を演じていたのは、アン・ウンジン。
最初は「空から降る一億の星」に出演していたチョン・ソミンと間違えてしまった。
アン・ウンジンは、ドラマ「憑依」や「他人は地獄だ」で観ていたようだけど、あまり覚えていないよ。
「市民捜査官ドッキ」では中国で生活している設定なのに、姉のヨム・ヘランより中国語を話す機会がなかったような?(笑)
ドッキに協力し、運転手として街を案内する。
地元民だけあって、この協力がなかったら捜査できなかっただろうね。

特殊詐欺グループで「かけ子」のジェミン。
銀行員のソン代理としてドッキを騙した張本人!
演じているのは、映画「エクストリームジョブ」では麻薬捜査班の刑事として出演していたコンミョン。
あの時は刑事だったのにね。(笑)
「市民捜査官ドッキ」では、脅迫を受け軟禁された上で「かけ子」として利用されている役どころだったよ。
そしてドッキに助けを求める電話をする。
この設定は実話に基づいているみたいだけど、中国を舞台にするところは映画のために追加されたみたいだね。
料理店名をヒントに使うところが面白かったよ。

ジェミン同様に軟禁されている犯罪グループのメンバーの一人に見覚えがあったよ。
ドラマ「ハピネス」でアンドリュー役を演じていたイ・ジュスン!
観た瞬間に「アンドリューだ!」と叫んでしまったよ。(笑)
「市民捜査官ドッキ」では、犯罪グループに所属していながらも、ヤク中になっていたよ。
そのおかげで命が助かったともいえるから皮肉なものだね。
犯人の顔を見た証拠には大笑いさせてもらったよ!(笑)

「市民捜査官ドッキ」は、おばちゃんパワー全開で犯罪に立ち向かう様子が描かれていた。
笑いもあり、勇気を与えてくれたのですっきりするね!
この映画が公開されてから元になった事件が再注目され、犯人逮捕に奮闘した被害女性に報奨金が支払われたという。
そのエピソードも良いね。
未鑑賞の方に、是非オススメだよ!(笑)

チュルリョーニス展 鑑賞

20260502 12.
【西洋美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週のブログ「北斎 冨嶽三十六景 鑑賞」で予告していたように、今回はもう一つの展覧会である「チュルリョーニス展 内なる星図」の感想をまとめていこう。
チュルリョーニスって初めて聞く名前だよ。
まずは経歴をまとめてみようか。

1875 リトアニア(当時ロシア帝国領)のヴァレナ近郊に生まれる
1889 ポーランドのプラテリ家音楽学校に入学
1894 ワルシャワ音楽院に入学
1901 ライプツィヒ音楽院に留学
1904 ワルシャワの美術学校に入学
1905〜 音楽と絵画を融合させた独自の作品(「ソナタ」シリーズなど)を制作し始める
1909 作家のソフィヤ・キマンタイテと結婚
1911 精神療養施設で死去

35歳という若さで亡くなっている、早逝のアーティストだったとは。
最初は作曲家として有名だったんだね。
音楽と絵画を融合させたアーティストって、現代でも珍しいんじゃないかな?
チュルリョーニスの音楽がYouTubeにあったので載せてみよう。

絵画作品も紹介している動画で、チュルリョーニスの世界がよく分かるね!
ここで予習が完了したので、展覧会についての感想を書いていこう。
会場での撮影はオッケーだったので、いつも通りたくさん撮らせてもらったよ。
気になる作品を紹介していこう!

「森の囁き」は、ワルシャワの美術学校に入学した1904年に描かれた作品だという。
ほとんど黒に近い木立と、ブレたような人の手が描かれている。
遠くに見えるのは海なのかな。
朝焼けか夕焼けの淡いオレンジ色の空が不穏な感じだよね。
チュルリョーニスの作品はほとんどがテンペラを使用していたようだけど、この絵は油絵だった。
この作品の色味が一番濃くて、暗かったよ。
SNAKEPIPEは、リンチの絵を連想した。
ちょっと雰囲気似てるんだよね!

1907年に制作された「冬」は、8点の連作なんだよね。
こちらは紙にテンペラで描かれている。
テンペラって馴染みがないので調べてみると、油絵具が普及する前には主にヨーロッパで使用されていた絵具だという。
顔料に卵を混ぜた卵テンペラが代表的なテンペラ技法だという。
卵テンペラは経年劣化しにくい特徴があるんだって。
「冬」シリーズは、樹木をモチーフに、厳しさと共に荘厳な印象を与えてくれる作品だった。
順に鑑賞すると物語が分かり、穏やかな気分になったよ!

1907年以降、チュルリョーニスはソナタ形式を導入した絵画制作を始めたんだとか。
ソナタといえば「冬のソナタ」を連想する人も多いだろうけど(笑)、そもそもソナタってなんだろう?
16世紀末から発展したピアノやヴァイオリンで奏でる、3〜4つの楽章で構成される楽曲のジャンルを指すという。
小説でいうところの起承転結のようなものか?
1908年の作品「舵のソナタ」は、オレンジと水色を使用した淡い色調の4連作で、とても美しかった。
タイトルにある舵がモチーフになっているようだけど、何が描かれているのかはハッキリ分からなかった。
モヤがかかったような水辺の風景に惹きつけられたよ!

「リトアニアの墓地」は1909年の作品だよ。
とても神秘的な印象の作品で、目が釘付けになってしまう。
十字架制作はリトアニアを代表する伝統文化のひとつなんだとか。
キリスト像や聖人像を収めた祠が載っている形状もあるという。
この作品に描かれているのも、リトアニア独自の十字架なのかな。
色のバランスが美しいね!
空には北斗七星がきらめいているよ。
静寂と不穏がチュルリョーニスのテーマなのかもしれない。

1908年の「頭文字のヴィネット」は、かわいらしい作品だった。
観た瞬間に「かわいい!」と口走るSNAKEPIPE。
紙にインクで描かれたアルファベットは、アール・ヌーヴォー調で素敵なんだよね!
「A」「B」「D」のように並んでいる。
26文字分作成されていたのか不明だけど、自分の名前をこの作品で並べられたら嬉しいだろうなあ!
若々しい生命力と純粋さのを象徴とされるチューリップの花が繰り返し描かれているのが特徴的だね。
とても気に入った作品だよ!

1909年の「夢のおとぎ話」は、シュルレアリスムの作品のようだね。
螺旋の城壁は本当に城へと続いているのかな?
フランツ・カフカの「城」を思い出してしまったよ。(笑)
この年、チュルリョーニスは新婚で妻と旅行して素晴らしい夏を送ったらしい。
悦びに満ちた作品と解説に書いてあったけれど、本当かな。
SNAKEPIPEはシュールで不条理なイメージを持ったよ。
だから好きなんだけどね。(笑)

展覧会のポスターに使用された「祭壇」は、1909年の作品だよ。
上に書いた「夢のおとぎ話」と同様で、対象を俯瞰して描いているんだね。
この作品も不思議な要素がいっぱいだよ。
祭壇には登れるのか、頂上から出ている煙は何なのかなど、たくさんの「?」が出てくるよ。
祭壇に描かれたオレンジ色の部分には、塔や橋、騎士、天使などが描かれているという。
モチーフが何かが分からなくても、象徴的なものだという予想はできるよね。
この絵を描いた翌年の2010年、過労や精神的負担から体調を崩して療養生活に入るチュルリョーニス。
絵画制作をしたのはわずか6年で、その間に300点以上の作品を手掛けたという。

約80点ほどの展示作品を鑑賞できて良かった!
ミュージアム・ショップに立ち寄ると、今回の展覧会用のグッズに目を見張る。
どこにいっても見かける展覧会トートバッグなどもあったけれど、珍しいのは豆皿!
3種類が販売されていて、ROCKHURRAHが2種類を買ってくれたよ。
「リトアニアの墓地」と「祭壇」の豆皿、素敵だよね!
他に「頭文字のヴィネット」がプリントされたクリア・ファイルも買ってもらい大満足だよ。
ありがとう、ROCKHURRAH!
チュルリョーニスの豆皿に明太子のせて、食べようね。(笑)