シリーズ現代の作家 横尾忠則/ピーター・ドイグ展 鑑賞

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【国立近代美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

「見つけてしまった!これは行かねば!」
長年来の友人Mからメッセージが届く。
何を見つけたんだろう、とメッセージに貼ってあるリンクを開いてみる。
そこには横尾忠則の版画展が載っていた。
2009年5月の「好き好きアーツ!#07 横尾忠則」や2019年6月の「B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」などで熱く語っている横尾忠則。
確かに観てみたい展覧会だよね!
場所はどこだろうと目を走らせる。
えー!町田なのー?
かなり遠い場所なので、数年前にも諦めた美術館だったことを思い出した。
あの時も横尾忠則展だったような?

今まで一度も行ったことがない町田。
せっかくなので出かけてみようか、ということになった。
そして友人Mとは定番になりつつある、展覧会のハシゴは今回も実行する予定。
かなりの距離を移動することになりそうだね。(笑)

梅雨がまだ明けていないけれど、少し気温が低い曇天は、歩くのには丁度良いね。
小田急線の快速に乗ると代々木上原から町田まで約30分。
そこまで遠くはないのかな?
友人Mも町田は初めてだという。
展覧会が開催されている町田市国際版画美術館は、町田駅から徒歩15分とのこと。 
方向音痴のSNAKEPIPEとは違い、地図が読める友人Mにとっては、初めて歩く場所も怖くないんだよね。(笑)

いくつかの大通りを渡りながら歩くこと約10分。
こっちの方角だと思う、と友人Mが指す道を見てびっくり!
立っている場所から、完全なつま先下がりの急勾配が広がっているじゃないの!
山を切り拓いて宅地にしたような場所で、ここを毎日歩く人は登山しているみたいな感じだろうな。
足腰が鍛えられること間違いなし。(笑)
「ひーーー!」
叫びながら転げるように坂を下り切ると、ようやく美術館の入り口が見えてきた。
森の中にひっそりと佇むような外観に「いいねー!」と声を上げる。
帰宅後調べて知ったけれど、美術館は芹ヶ谷公園という大きな公園の一角にあったんだね。
天気が良い時には、公園の散策も楽しそうだよ。

いよいよ美術館へ。
その前に看板を撮影する。
インスタグラムで画像をアップしている友人Mも撮影。
以前は撮影するのはSNAKEPIPEだけだったのに、最近では場所取りの順番を待つことがあるんだよね。(笑)
展覧会は企画展と常設展という構成になっていて、横尾忠則は常設展だった。
企画展はインドネシアの版画家の作品が展示されていたよ。

お客さんは友人MとSNAKEPIPEだけという完全な貸切状態!
これは前回友人Mと鑑賞した「森山大道展」と同じ状況じゃないの!
しかも、横尾忠則の作品は撮影オッケー。
しかもしかも!なんと無料だったんだよね!(笑)
横尾忠則の作品は、ほとんどが観たことがあったけれど、遠路を来た甲斐があったよ。
画像は「W Wonderland Ⅱ」 。
ショッキングピンクに目を奪われる。

「入れ墨男」と題された作品は、同じスクエア型の3作品と共に「風景」として組まれていた。
それぞれの作品にはクローズアップされた人物が一人だけ登場する。
朝日なのか夕日なのかは定かではないけれど、太陽を背にした入れ墨男の輪郭が光に包まれている様が美しい。 
横尾忠則は高倉健のポスターも作成していたので、「紋々系」をテーマにするのは得意という印象があるよ。
「入れ墨男」は1969年の作品というので、高倉健の作品と同時代じゃないかな?

インドをテーマにした作品も展示されていたよ。
1977年から1979年に放映されていたドラマ「ムー」や「ムー一族」のタイトルバックを思い出すね。
ROCKHURRAH RECORDSではつい最近「ムー」を観終わって「ムー一族」にしようかって時に、Netflixに入会しちゃったもんで。(笑)
Netflixには面白そうなドラマがいっぱいあるんだよね。
またいつかチャンスがあったら、70年代のドラマも観てみようかな。
画像は「水其天」(だったと思う)で1974年の作品だよ。
上下に海が配されているシンメトリー構図で、3つの円が描かれた中央には交合しているような男女の姿。
横尾忠則の魅力はコラージュの面白さと色彩だなあ、と改めて認識する。
行って良かった展覧会だったよ!

ランチを済ませてから、続いて向かったのは東京国立近代美術館
昨年末にも友人Mと「窓展」を鑑賞した美術館だね。
この美術館は、他では観たことがない企画を立てることが多い印象があって、いつも楽しみなんだよね!
今回はスコットランドの画家、ピーター・ドイグの展覧会だという。
実はピーター・ドイグの名前を耳にするのは初めてのSNAKEPIPE。
経歴について調べてみようか。 

1959年 スコットランドのエジンバラに生まれる
1962年 カリブ海の島国トリニダード・トバゴに移る
1966年 カナダに移る
1979〜80年 ウィンブルドンスクールオブアートで学ぶ
1980〜83年 セントマーチンズスクールオブアートで学ぶ
1989〜90年 チェルシースクールオブアートで修士号を取得
1994年 ターナー賞にノミネート
2000年 友人であるクリス・オフィリと共にトリニダード・トバゴに戻る
2002年 活動拠点をポート・オブ・スペイン(トリニダード・トバゴ)に移す

テート(ロンドン)、パリ市立近代美術館、スコットランド国立美術館(エジンバラ)、バイエラー財団(バーゼル)、分離派会館(ウィーン)など、世界的に有名な美術館で個展を開催し、ドイツのデュッセルドルフにある美術アカデミーの教授にも就任している。
作品はクリスティーズやサザビーズなどで高額取引されている、世界的に有名な画家だという。

年表を見て気が付くのは、スコットランドで生まれてからトリニダード・トバゴ、カナダに行き、再びロンドンで学んだ後、またトリニダード・トバゴに戻っていること。
友人としてクリス・オフィリの名前が出てきたことにも驚いた。
2015年5月に「SNAKEPIPE MUSEUM #32 Chris Ofili」として紹介していた画家だったからね。
クリス・オフィリには注目していたのに、ピーター・ドイグは全く知らなかったのが残念ですな!(笑)

ピーター・ドイグについて少し勉強したところで、展覧会の感想をまとめていこうか。
「撮った写真をシェアしよう!」などと看板があったほど、作品撮影に対して寛容なのが嬉しい。
もちろんバシバシ撮らせてもらったよ!
たくさん撮った割には、曲がった写真が多かったのが玉にキズだけど!(笑)

「Swamped(のまれる)」は1990年の作品。
年表で確認するとチェルシーの学校に行っていた頃に描いていたことになるのかな?
湖だろうか、水面に映る木々の様子が描かれているように見える。
夜なのかもしれない。
枯れた木が骨のよう。
なんとも言えない魅力的な絵で、今回SNAKEPIPEが一番気に入ったのはこの作品だよ!
所蔵しているのは「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」で、素晴らしいコレクションを見せてくれたヤゲオ財団!
ちなみに落札額は約30億円らしいよ。(笑)

ピーター・ドイグは年表にもあったように、少年期に国をまたいで引っ越しているんだよね。
そのせいなのか、年代によって絵の雰囲気が違い、同じ画家の作品に見えないことがあったよ。
「Canoe-Lake(カヌー=湖)」は1997〜98年の作品だという。
緑色のカヌーに乗っている女性も緑色。
生きていないように見えてしまうのはSNAKEPIPEだけかな?
13日の金曜日(原題:FRIDAY THE 13TH 1980年)」の第1作目に、よく似たシーンがあるのをROCKHURRAHが教えてくれたよ。
この作品もヤゲオ財団の所蔵品だって。
もしかして好みが似てるのかも。(笑)

「この絵が一番!」
と興奮していた友人M。
「ラペイルーズの壁」は2004年の作品で、ドイグが撮影した写真をもとに描かれているという。
日傘から暑い日だということは想像できるけれど、陽気な明るさよりも物悲しさを感じるんだよね。
遠い記憶を呼び起こされるような、甘ったるい懐かしさも同時に味わう。
もうあの時には戻れない、という悔しい気持ちも入り交じる。
様々な感情が噴出する作品に巡り合うことは稀な経験だったよ。

作品のタイトルは「影」。
改めてじっくり鑑賞しても、この作品の人物がよく分からないんだよね。
顔だけ横向きの後ろ姿なのか?
「ギターを持った渡り鳥」(古い!)がテーマではないと思うけど?(笑)
彼方に見える船はおぼろげで、杭も本当に存在しているのか不明な描かれ方だよ。
SNAKEPIPEには、ギターの男が埠頭をさまよっている魂のように感じるんだけどね。
もしくはもぬけの殻になった男の心情なのか。
東京国立近代美術館では「ドイグ作品で物語を作ろう!」という子供向けの夏休み企画を立てているようだけど、この作品からはどんな物語ができるだろう?
入選作品はHPに掲載されるというので、楽しみに待っていよう。

ピーター・ドイグは自分のスタジオで映画の上映会を行っているという。
「スタジオ・フィルム・クラブ」は2003年から、誰でも無料で参加できるプロジェクトとして始まったんだって。
その開催を告知するポスターが多数、展示されていたのが興味深かった。
恐らくピーター・ドイグによってセレクトされた映画が上映されるだろうから、映画の好みも分かるってことだよね。
デヴィッド・リンチの「ブルーベルベット(原題:Blue Velvet 1986年)」も上映されたようで、これはそのポスター。
デニス・ホッパーやイザベラ・ロッセリーニを描かずに耳だけとは!(笑)
この思い切りの良さには脱帽だね。

ストレンジャー・ザン・パラダイス(原題:Stranger Than Paradise 1984年)」もチョイスされたんだね。
まるで一冊の写真集のような映画だったことを思い出す。
いとこのエヴァが描かれているね。
映画の上映後は、作品について話し合ったりするらしい。
文化サロン的な役割を担っているという上映会には、どんな人が参加するんだろうね?
トリニダード・トバゴについてよく知らないSNAKEPIPEなんだけど、アート関係の方が多いのかな。
楽しそうだよね!

こっ、これはっ!
「ZATOICHI」って書いてあるから、まさかと思うけど「座頭市」?
キャプションを確認すると間違いないみたい。
ということは、描かれているのは勝新太郎か。
このぞんざいにも見える絵に思わず笑ってしまったよ。(笑)
ドイグは日本映画にも興味があるようで、小津安二郎の映画にも影響を受けていると話しているという。
いや、それにしてもこの座頭市はどうだろう、、、。

ピーター・ドイグは初めて知ったアーティストだったけれど、とても面白かった!
作品のほとんどが大型なのも迫力があったよ。
年代や描いた場所によって全く印象が違う作品の存在を知ることができるのも、個展ならでは。
鑑賞できて良かったよ!

ROCKHURRAH RECORDS暑中見舞い2020

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【ドイッチェランド感満載のポストカード】

ROCKHURRAH WROTE:

今年の梅雨は久々に典型的な雨続き、ジメッとした蒸し暑さばかりでまだ夏っぽい天気とは言えない日々が続いてるね。
夏の暑さもどんよりの湿気も大嫌いなROCKHURRAHは、すでに夏をすっ飛ばして秋の到来を待ちかねているよ。

前回のROCKHURRAHの記事でも書いた通り、使ってるMacを新しいのに買い替えたのはいいが、前の機種から環境を全部移行せずに必要なアプリケーションだけをインストールし直したり、うまくインストール出来なかったりで思ったより悪戦苦闘してしまった。
64ビット・オンリーになってしまったために、前は使えてた32ビットのアプリケーションが使えなくなってるのが一番の痛手だよ。
Photoshopに代表されるアドビ製品(ROCKHURRAHが持ってた古いヴァージョン)をはじめ「こいつもダメなのか?おまえまでもか?」と落胆するほど多くのアプリケーションが使えなくなってしまったよ。
主要なものはすでにヴァージョンアップはしてるんだろうけど、ずっと更新されてなくて永遠に使えなくなったような予感のする弱小アプリケーションを愛用してる場合が多いのだ。

そこで方向性を転換して、Macの仮想化を実現するParallels Desktop、VMWare Fusionという2大アプリケーションを導入して、その中でCatalina(現ヴァージョンのMac OS)より古いヴァージョンのOSをインストールしてみようと思いついた。
どちらもかなり前に試してみた事があったけど、その頃は自分のマシンのスペックが低すぎて実用化にはならないと痛感した覚えがある。しかもMacの中にMac OSを入れた事はなかった。
幸いなことにどちらのアプリケーションもCatalina対応のヴァージョンが出てて、期日限定の試用版がダウンロード出来るみたいなので早速試してみたよ。
Parallelsの方は面白いようにすんなりと目指す環境が出来て拍子抜けするくらいだったがVMWareの方、ちょっとクセが強くてさらに悪戦苦闘を何日も続けたのが個人的には、この夏一番の苦い思い出となってしまった。
まずインストールした直後の画面が異常に小さい。Retinaディスプレイに最適化、などと書いてあるくせにディスプレイ解像度が低いまんまでいくらやっても変えられず苦労したよ。
調べてみるとVMWare Toolsをインストールしないとダメみたいなんだが、インストールしようとすると「OSのヴァージョンが新しすぎます」などと無理難題を言ってくるのでイヤになる。
結局何度やり直したかわからないほどの労力をかけて、やっと普通の解像度に出来た時には試用版の期限切れ間近というありさま。
VMWareの方はParallelsに比べてマイナーな存在なのか、調べる記事が少ないから自分の症状に当てはまるようなのが見つからず、それが敗因となったわけだ。解像度くらいオプション(VMWare Tools)をインストールしなくても初期状態でやっとけよ、と言いたくなる。

ここまでして新しいOSにする意味がないようにも感じるけど、すでに今年の秋にはさらに新しいOSがリリースされるらしい。
自分がどんどん時代遅れになってしまうのは構わないし、ROCKHURRAH RECORDSがそれをテーマとしてきたのも間違いないが、進化しても古いものを切り捨てないようなテクノロジーも同時にあって欲しいもんだ。

さて、冒頭にも書いた通り、全然暑中見舞いって実感が湧かないような天候が続いてる今年の夏だけど、毎年恒例なので今年も作ってみたよ。
見てわかる通り、先週SNAKEPIPEが記事にしてくれたばかりのバウハウスの影響をモロに受けたもの。
今に始まったわけじゃなくてずっと影響を受け続けているのがバウハウスと構成主義なので、インスタントに作ったとは言ってもウチの根本スタイルには違いないよ。
作った時にはバウハウスをイメージしたけど、後から見直すと80年代のFactory Recordsのジャケットみたいにも感じる。
同じようなものを取り入れて出力してるので似てしまうのも仕方ないね。

梅雨が明けてもこれから一ヶ月以上は個人的に大嫌いな季節が続くけど、早くマスクをしなくて済む世の中になって欲しいね。

ではまた、Bis bald! (ドイツ語で「またね」)

開校100年 きたれ、バウハウス 鑑賞

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【東京ステーションギャラリーに向かう階段を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

制限付きではあるけれど展覧会が開催されるようになってきた。
東京は感染が拡大しているので、より一層用心する必要があるけれど、情報を知った瞬間に「あっ!」と声を上げてしまったSNAKEPIPE。
それは東京ステーションギャラリー で、7月17日から開催される「開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎―」なんだよね!
今まで当ブログでは何度も登場しているバウハウス。
2018年7月に書いた「好き好きアーツ!#51 世界アート(仮)探訪 2」の中で「バウハウス博物館」を紹介しているね。
そこでバウハウスについて説明しているので、転記してみよう。

1919年、建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長としてスタートした学校「バウハウス」。
工芸・美術・写真・建築・デザインなどの総合的な教育機関だった。
1933年にナチス・ドイツにより閉鎖されるまで、合理的で機能主義的なアートを模索する。
現代にまで強い影響を与える活動をしたのが「バウハウス」なのである。

簡潔で分かりやすい文章だね。(笑)
バウハウスは憧れの学校なので「バウハウス博物館」には死ぬまでに行きたい、とまで書いていたよ。

今回の展覧会は、設立されてから100年経った2020年にバウハウスを特集するという、と企画なんだね。
バウハウスと聞けば居ても立ってもいられないROCKHURRAH RECORDS。
東京ステーションギャラリーでは完全予約制でのチケット販売とのことなので、早速日付を決めてチケットを手にしたのである。

雨が強まったり弱まったりしながら降り続いている。
SNAKEPIPEには長靴を履いて、降りたたみではなく、長い傘を持った時には帰りは晴れるというジンクスがある。
行きでは真っ当な服装に見えるんだけど、帰りはちょっと恥ずかしい感じね。(笑)
そのためなるべく折りたたみ傘を使用し、 長靴を履く時には細心の注意を払うことにしている。(大げさ)
東京ステーションギャラリーは東京駅構内にあるので、そこまで大きな傘は必要ないと判断。
防水のブーツで出かけたのである。

前回東京ステーションギャラリーに行ったのは、2019年8月の「メスキータ展」だった。
メスキータの作品の素晴らしさはもちろんのこと、ギャラリーが東京駅のレンガを使用した壁だったのも印象的だったことを思い出す。
残念だったのは、撮影許可がなされていなかったこと。
その経験から、恐らく今回も同様だろうと予想していた通り、撮影可能なポイントは2箇所のみ!
作品の著作権の問題があるのは理解できるけれど、もう少し緩めてくれても良いのに、と思ってしまう。

チケットは日付の他に時間の指定まであるので、そこまで多くのお客さんがいないのかと思いきや。
メスキータを鑑賞した時と、さほど違いのない観客数だったのが意外だよ。
ソーシャルディスタンスがきちんと守られているとは言い切れない環境だったんじゃないかな?
それでもなるべく人と離れるように鑑賞をしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
早速感想を書いていこう!

「バウハウス展」は5つのチャプターで構成されていた。

I 学校としてのバウハウス

1919年に建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長として設立されたバウハウスの授業内容を表した図のようだね。
この図だけでもオシャレに見えてしまうよ。(笑)
VORLEHRE  講義
NATURSTUDIUM  自然を学ぶ
LEHRE VON DEN STOFFEN  ファブリックから教える
MATERIAL UND WERKZEUGLEHRE  材料や工具
翻訳してみたけど、合ってるのかな?
バウハウスのバウとは建築のことだという。
松村邦洋のネタ「バウバウ」は全く関係ないってことね!(古い!)

II  バウハウスの教育

バウハウスには、錚々たるアーティストが教師として講義を行っていたんだよね。
モホリ=ナギやパウル・クレー、カンディンスキーなどが教鞭をとるなんて、まさに垂涎モノじゃない?
ちなみに展覧会ではモホイ=ナジと表記されていたけれど、SNAKEPIPEは昔覚えた通りにモホリ=ナギと書くことにしよう。
このチャプターでは、アーティストの授業に臨んだ学生の作品が展示されていたよ。
画像のように、一枚の紙から建築物のような立体を作り上げている作品。
独創的なカッティングでバランスを取って、ちゃんと立ってるんだもんね!
とても驚いたよ。

III 工房教育と成果

バウハウスは建築という外側だけじゃなくて、内装に当たる部分も学んでいたんだよね。
3章では椅子やティーポットなどの工芸品が展示されていたよ。
画像は会場出口付近に置かれていた、撮影可能エリアの椅子。
マルセル・ブロイヤーのワシリーチェアとミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアだって。
万が一壊したり汚したりしたら、と想像してしまい怖くて座れなかったよ。(笑)

広告に関する展示もされていたね。
家具やランプなども素敵だけれど、ROCKHURRAH RECORDSが最も目を輝かせるのは、紙媒体の作品みたいだね。
タイポグラフィやコンポジションのカッコ良さったら!
画像は1章に展示されていた、パウル・クレーの教科書だと思うけど、シンプルなのに印象的だよね。
このような構成は、まるで日本画のようだと以前書いたけれど、空間の使い方が独特だと感じるよ。
バランス感覚が素晴らしいんだよね!

「三つ組のバレエ」という動画も流れていたね。
上映時間30分だというので少しだけ観たよ。
ご丁寧に「インターネットでも鑑賞できます」と書いてあったので、ROCKHURRAHが調べてくれたよ。

1970年の作品とのこと。
随所にバウハウスらしい円形の回転が見られるよね。
30分あるので、時間に余裕がある時に鑑賞してみよう。
バウハウスで映像作品や舞台装置を制作していたとは知らなかったよ。

IV  「総合」の位相

ここではやっぱりモホリ=ナギの作品展示が嬉しかったね。
2011年9月にDIC川村記念美術館で鑑賞した「モホイ=ナジ/イン・モーション」にも展示されていたけれど、やっぱり好きな作品は何度観ても良いものだね!
モホリ=ナギの映像作品も非常にカッコ良いので、載せておこう。

「光の戯れ 黒 白 灰色」という1930年の作品。
ROCKHURRAHと共に映像に見入ってしまう。
「光の戯れ」というよりは「影の戯れ」が合っているような?
映像でも構成美を追求しているモホリ=ナギ、やっぱり好きだ!(笑)

V バウハウスの日本人学生

最終章ではバウハウスに在籍していた日本人の作品を紹介していたよ。 
1920年代に勉強のためにドイツに留学できるなんて、勇気と度胸とお金があったんだろうね。
羨ましいと思う反面、一歩足を踏み出すことができるのかと自問してしまう。
憧れの20年代をヨーロッパで過ごしたら、その後はどんな人生を歩んだんだろう。
山脇夫妻は夫婦で留学してたというので、きっと楽しかっただろうね。
奥様である道子さんの本が面白そうなので、読んでみたいな!

鑑賞し終わって、ミュージアムショップに行く。
大抵の場合は、展覧会で紹介されていた作品のクリアファイルやノートなど、どこに行っても特に代わり映えのしない商品が陳列されていることが多い。
ところが!
今回はROCKHURRAHと鼻息が荒くなってしまった。
Tシャツである。
言葉を発する間もなく、すでに手に取っていたSNAKEPIPE。
シュミットのポスターはバウハウスを象徴するデザインだからね!
ROCKHURRAHはヘルベルト・バイヤーの作品がプリントされた黒いTシャツをセレクト。
なんとSNAKEPIPEのTシャツ、プレゼントしてくれるって!
やったー!ありがとう、ROCKHURRAH!(笑)

バウハウスの展覧会を知り、喜び勇んで出かけたけれど、少々不満が残る結果だったことも加えておこう。
展覧会のサイトで「こんな作品が展示されます」と数点が紹介されているけれど、そのほとんどが「ミサワホーム所蔵」なんだよね。
まさか展覧会では違うよね、と思っていたのに、ほぼ9割程度が「ミサワホーム」の所蔵品。
他は国立近代美術館などで、どちらにしても日本に存在しているバウハウス作品を集めてみたよ!という展覧会だったんだよね。
そして撮影可能なのは、前に載せた椅子2脚と、誰の作品でもない「色のある影」を実感する展示のみ。
手がSNAKEPIPEで、撮影がROCKHURRAHの、この画像ね。
日本の所蔵品だったら、もう少し撮影可能領域を広げて欲しかったな。
それが少し残念だった。

ペイン・アンド・グローリー 鑑賞

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【TOHOシネマズの看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

スペインの映画監督であるペドロ・アルモドバルの新作が発表されるニュースを知ったのは、随分前のことだ。
映画のタイトルは「ペイン・アンド・グローリー (原題:Dolor y gloria)」。
ROCKHURRAHが教えてくれた情報によると、アルモドバル監督の常連である俳優、アントニオ・バンデラスペネロペ・クルスも出演するとのこと。
2019年9月、アルモドバル監督プロデュースの映画「永遠に僕のもの」の感想をまとめた時にも新作映画のトレイラーを載せていたっけ。
公開日がいつになるのか、ROCKHURRAHと心待ちにしていたのである。

ところが…。
新型コロナウイルスの影響により、美術館や映画館は予定の公開を見合わせたり延期することになった。
コロナ以前には映画や展覧会情報を定期的に集め、鑑賞の計画を立てるのが日常だったけれど、そうした習慣が叶わなくなってしまった。
アルモドバルの新作についての情報を集めることも失念していたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。

2周間前に「森山大道の東京 ongoing」の中で、約半年ぶりに長年来の友人Mに会ったことを書いた。
情報通の友人Mから「そういえばアルモドバル、始まったね」 という発言があった。
なんと!
情報検索を忘れている間に、いつの間にか公開日が決定していたとは!
ありがとう、友人M。
早速、ROCKHURRAHと映画鑑賞の日取りを決めたのである。

アルモドバル作品を劇場で観るのは、今回が2回目だ。
前回は「アイム・ソー・エキサイテッド!」だったので、今から6年も前のことになるんだね。 
実は2016年に「ジュリエッタ」が公開されているけれど、劇場には足を運んでいない。
DVDになってから鑑賞していたことを思い出したよ。(笑)
アルモドバル監督作品のコンプリートを目指しているので、この作品もブログにまとめないとね! 

「ペイン・アンド・グローリー」を観るのに選んだのは日比谷のTOHOシネマズ。
ここは2019年12月に「パラサイト 半地下の家族」鑑賞のために訪れていて、「恐らくどのシートに座っても、快適に映画が楽しめそう」と感想を書いているSNAKEPIPE。
いつ雨が降ってもおかしくない曇天の中、ROCKHURRAHと共に出かけたのである。
電車の遅延が発生し、予定より少し遅れて日比谷に到着。
上映されるスクリーンによってフロアが異なっているようで、予約したチケットを発券しようとしても「予約なし」という画面しか出てこない!
フロアが違うのか、と4Fに上がって作業を繰り返すも結果は同じ。
チケット販売の係に問い合わせると
「こちらはTOHOシネマズ シャンテのチケットで当TOHOシネマズ日比谷ではございません」
ときっぱり言われてしまうではないの!
がーん!

日比谷にTOHOシネマズが2つあるんだよね。
間違った方に行ってしまい、慌ててエスカレーターを降りる。
この時点でROCKHURRAHと共に小走りになり、東京ミッドタウン日比谷を出る。
出る間際にいた係員に「TOHOシネマズ シャンテはゴジラの後ろの建物」と教えてもらい、走って行く。
電車で遅延した時間、劇場を間違えた時間が悔やまれる。
無事に上映開始時間には間に合ったけれど、2人とも汗だく!
次回日比谷のTOHOシネマズに行く時には、ちゃんと調べてからにしようね。(笑)
案内役が遂行できなくて、ROCKHURRAHに「ごめんなさい」だよ。
2014年にも「マチェーテ・キルズ」鑑賞の時、チケット予約の日にちを間違えるという大失態があったよ、とROCKHURRAHから指摘が!
全然学習してないなあ。
重ね重ね、本当にごめんなさい!

前振りが非常に長くなってしまったけれど、話を戻して。
「ペイン・アンド・グローリー」のトレイラー(日本バージョン)を載せようか。

続いてあらすじを紹介しよう。

脊椎の痛みから生きがいを見出せなくなった世界的映画監督サルバドールは、心身ともに疲れ、引退同然の生活を余儀なくされていた。
そんななか、昔の自分をよく回想するようになる。
子供時代と母親、その頃移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局。
その痛みは今も消えることなく残っていた。
そんなとき32年前に撮った作品の上映依頼が届く。
思わぬ再会が心を閉ざしていた彼を過去へと翻らせる。
そして記憶のたどり着いた先には・・・。 ( 公式サイトより)

それでは感想を書いていこう。
ネタバレしないように書いているつもりですが、未鑑賞の方はご注意ください。

「ペイン・アンド・グローリー」の主役、サルバドールを演じるアントニオ・バンデラス。
あらすじにもあるように映画監督なんだよね。
これはもうアルモドバルの分身と言って良い設定だよ。
予告で観た時には「老けたなあ」なんて思ってしまったけれど、年齢なりの魅力が増しているのが分かる。
グリーンのレザー・ジャケットをさりげなく着こなしたりして、「ちょい悪オヤジ」系ファッションが良く似合うこと。(笑)
バンデラスがアルモドバル監督作品で主役を務めるのは「私が、生きる肌 (原題:a piel que habito 2011年)」以来じゃないかな?
収まるところに収まったような、非常にしっくりくるキャスティングで、観ていて安心感があった。
そしてバンデラスの演技も、自然でとても良かったね!

ペネロペ・クルスも「しっくりくる」女優の一人。
アルモドバル監督作品では「ボルベール」で主役を務めていたことで有名かな?
「ペイン・アンド・グローリー」では、少年時代のサルバドールの母親役だった。
貧しい暮らしぶりだったため、華やかな衣装に身を包むことはなく、どちらかというといつもイライラしている役どころ。
それでもペネロペの美貌は健在で、現在46歳だけれど老けた感じはなかったよ。

セシリア・ロスもアルモドバル監督作品の常連。
「アイム・ソー・エキサイテッド!」ではSMの女王役だったよね。
「ペイン・アンド・グローリー」では、冒頭にちょっとだけ出演していたけれど、存在感は抜群!
サルバドール監督作品にかつて出演したことがある女優、という役どころ。
サルバドールをアルモドバルに置き換えても、全く問題ないよね。(笑)

フエリタ・セラーノも、アルモドバル監督作品でお馴染みの女優だね。
バチ当たり修道院の最期 (原題:Entre tinieblas 1983年)」から出演しているので、相当長いお付き合いだよ。
リンクを貼った「バチ当たり〜」についての感想に、若き日のフリエタの画像があるので、見てみてね!
御年87歳だけれど、そこまで老けてなかったフリエタ。
サルバドールの母親役がぴったりだったよ!

少年時代のサルバドールが座って読書をしている。
あらすじにある「バレンシアの村での出来事」のワンシーンなんだよね。
この時点では意識していなかったようだけど、恐らく白いタンクトップの青年に出会ったことが同性愛者であることを自覚する引き金になったようだよ。
そしてこの子供時代のエピソードが、アルモドバルの自伝的映画「バッド・エデュケーション (原題:La Mala Educación 2004年) 」以前の物語なんだろうな。
「ペイン・アンド・グローリー」で神学校に推薦されることになっていたからね。

あらすじにあった「マドリッドでの恋と破局」の相手がフェデリコ。
演じているのは、アルゼンチン俳優レオナルド・スバラーリャ。
出演作を調べていたら鑑賞している作品が何本かあったよ。
バンデラスと並ぶと2人が似ていて分からなくなることがあったので、服の色で区別していたSNAKEPIPE。
皆様もお気を付けください。(笑)

32年前のサルバドール作品に出演し、仲違いしていた俳優のアルベルト。
セリフを勝手に変えたことが原因だったらしいけれど、実際の映画制作現場でもありそうな話だよね。
アルベルトを演じたのは、アシエル・エチェアンディア。
カッとしやすい雰囲気がとても上手だったよね。
そして画像で着用しているレザー・ジャケットがオシャレ!
バンデラスが着ているグリーンのジャケットもそうなんだけど、こちらのスタッズ付きジャケットも販売されているんだよね。
映画を元に作ったんじゃないかな?
因みにスタッズ付きは$179、日本円で約19,000円だって。
お買い得かも?(笑)

過去における3つのペインが上述した3人の男たちとの関係なんだよね。
そして身体には脊椎の痛みもあるサルバドール。
サルバドールを癒やしてくれるのはアート作品だったのかもしれない。
アルモドバルの作品には、今までにも数々のアートが登場してきたよね。
まるで美術館のようなサルバドールのコレクションを紹介してみようか。

上の画像で右端にチラリと見えている絵画。
Sigfrido Martín Begué、シグフリド・マルティン・ベゲと読んで良いのか?
読み方違ってたら教えてください!
そのカタカナで検索してみたところ、日本のサイトで情報は得られなかったよ。
1959年マドリッド生まれのシュールレアリズムや未来派の絵画を描いていた画家だという。
これは「El olfato Santa Casilda」(サンタ・カシルダの香り)というタイトルで1986年の作品とのこと。
シチュエーションがよく分からないけれど、大きな絵画でインパクトがあったよ。

Maruja Mallo、マルーハ・マロは1920年代のスペインの画家だという。
スペインでの呼び方なのか「1927年の世代」と言われるアーティストの一人なんだって。
よくゴルフなどで同年代にキャリアをスタートさせた大型新人グループを、「黄金世代」と呼ぶことがあるけれど似た感じなのかな?
マルーハ・マロは女流画家でダリ、マグリット、エルンストやミロといった錚々たるメンバーの仲間だったらしいのに、SNAKEPIPEは初めて名前を知ったよ。
教えてくれてありがとう、アルモドバル!(笑)
バンデラス演じる主役の名前がサルバドール・マロなのは、マルーハと関係があるのかもしれないね?
「El racimo de uvas」(ぶどうの房)は1944年の作品だという。
シンメトリーの構図で、一粒一粒の輝きが美しい。
左右で光の当たり方が違うところが人の運命のようにを感じてしまうのは陳腐な感想だろうか?

リビングに飾られていたのはGuillermo Pérez Villalta、ギレルモ・ペレス・ビジャルタの作品。ビジャルタは1948年生まれの画家、彫刻家、デザイナーだという。 
1949年生まれのアルモドバルとはまさに同世代のアーティストだね。
この作品は「Artista viendo un libro de arte」(アーティストがアートブックを閲覧)とのこと。 
まるで着物のように見える衣装を身に着けたのっぺらぼうの人物。
2次元と3次元が混ざりあったような不思議な空間は、昼なのか夜なのかも判別できない。
本当に画集を観ているのだろうか?
とても奇妙な絵画に見えるけれど、アルモドバルはどんな感想を持っているのかな。

「ペイン・アンド・グローリー」はアルモドバルの自伝的映画とのことで、私物を多く使用したらしい。
アート作品以外にも家具や食器など、心から愛している物を登場させることでリアリティを出したかったんだろうね。
アルモドバルの感性に触れることができて、「あの部屋に行ってみたい!」と思ったSNAKEPIPEだよ。

アルモドバルは今年で70歳。
人生の終盤にさしかかり、過去の振り返りを行っているのかもしれない。
そしてその時々で心に深く刻まれた印象的な出来事を映像化しているのかな。
そうしたペインがあるからこそ、今のアルモドバルがあり監督として成功しているという意味のタイトルなのか。
ちょっと短絡的かな?(笑)

2019年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、 2020年のアカデミー賞国際映画賞も獲ったのは、ポン・ジュノ監督の「パラサイト」だったけれど、アルモドバルもノミネートされてたんだよね。
どちらかの賞はアルモドバルだったんじゃないかな、と思ってしまったSNAKEPIPE。
いつの日かアルモドバルにもパルム・ドールなどのグローリー獲って欲しいよね。
まさに「GET THE GLORY!」だよ。(笑)
次回作も楽しみに待っていよう!