好き好きアーツ!#53 世界アート(仮)探訪 3

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【アメリカ自然史博物館に行ったら、ベン・スティラーに会えるかも?】

SNAKEPIPE WROTE:

2018年7月以来、更新していなかった「世界アート(仮)探訪」をお届けしよう!
タイトルに「アート」とつけてしまったため、芸術関係の美術館や博物館に限定する予定だったけれど、そうとばかりも言っていられない。
今回は特にアートとは程遠い内容になりそうだよ。(笑)
早速いってみようか!

ネス湖の「ネッシー」やビッグフット(雪男)など、目撃情報はあるけれど、その存在が曖昧な生物のことをUMA(Unidentified Mysterious Animal:未確認生物)と呼んでいるらしい。
「ネッシー」にあやかって、芦ノ湖のアッシーや釧路湖のクッシー、洞爺湖のトッシー、長良川のハッシーなど、日本国内でも様々な「◯◯シー」と名付けられた生物がいるんだね。(笑)
そんな未確認生物について調査・研究を進め、展示を行っている博物館がある。
米国メイン州ポートランドにあるInternational Cryptozoology Museum(国際未確認動物学博物館)だよ!

画像には写っていないようだけど、「行きた化石」と言われる5.5フィート(約1m67cm)のシーラカンスが展示されているという。
そして1万点を超えるUMAの存在を証明する証拠が集められているというから、気になるよね!
「謎の生物」と聞くと、気になる人は多いはず。
ROCKHURRAHも興味があるというし、SNAKEPIPEも半分は嘘だろうと思いながらも、つい画面に見入ってしまうからね。
ちょっとインチキ臭さを感じながらも、近くに行ったら寄ってみたいよ。

ミュージアム・ショップにも注目だね。
UMAの代表格として、ビッグフット関連グッズがたくさん商品化されているんだけど。
画像にあるようにソックス($10)だったり、マグカップ($13)があったり、他にも「ビッグフット・バンドエイド」や「ビッグフット石鹸」も販売されているので要チェックだよ!
もちろんフィギュアやオーナメントもあるから、マニアにはたまらない。
自分用とお土産用と、両方買わないとね。(笑)

続いては、上に書いた「国際未確認動物学博物館」と同じにおいがする「INTERNATIONAL UFO MUSEUM AND RESEARCH CENTER(国際UFO博物館と研究センター)」を紹介してみよう。
このミュージアムがある場所、それがなんと1947年に米軍がUFOを回収したとして話題になったロズウェルだから、余計に気になるじゃないの!
この博物館の主旨は「ロズウェル事件やUFO研究に関連するその他の説明のつかない現象に関連する、書面、音声、視覚形式の資料と情報の収集と保存」だというから、本気なんだね。(笑)

と、書いたところでこの画像!
なんだか都築響一の「珍日本紀行」や「珍世界紀行」に載っているような雰囲気に感じてしまうんだけど?(笑)
ロズウェル事件については謎ばかりなので、証拠が陳列されていたら観てみたいと思うのが人情ってもんだよね。

ミュージアム・ショップも確認してみよう。
アニメ化されたエイリアン小僧が描かれたタンブラー($10.99)や「エイリアン」と大きく書かれたプレート($6)を発見!
このエイリアン小僧は、キーチェーンやマグネットにもなっているよ。
SNAKEPIPEだったら円盤型のマグネットにしようかな!(笑)

お次は「New Orleans Historic Voodoo Museum」にしてみよう。
その名の通りニューオリンズにあるブードゥー博物館なんだよね。
開館は1972年というから約50年の歴史があるという。
歴史的なブードゥー教の遺物、絵画、彫刻、その他の工芸品が展示されていて、ニューオリンズというユニークな都市を形作る豊かな文化について学ぶのに最適な場所とのこと。

内部の様子がこちら。
成り立ちが西アフリカだというので、確かにアフリカっぽい工芸品が並んでいるように見えるよ。
ブードゥーと聞くと、どうしても悪いイメージが頭をよぎってしまうけれど、実際のところはよく知らない信仰なんだよね。
この博物館行ったら、少しはブードゥーについて学べそうな感じ。
ミュージアム・ショップが見当たらなかったのが残念!

最後はこちら!
イタリアにある「Messner Mountain Museum」だよ。
「Messner Mountain Museum」には6つの博物館があり、それぞれ絶景に建てられているんだよね。
Corones」という名前の博物館を観て、まず驚くのはこの場所だよね。
クロンプラッツの山頂高原(2,275 m)にある、ザハ・ハディッドの設計による斬新な博物館!
山の歴史に関する展示がされているとのことだけど、この場所からの眺めが素晴らしいだろうね。

こちらはモンテライト(2,181 m)にある雲の博物館「dolomite」。
Enzo SivieroとPaolo Faccioという2人の建築家によって設計された、360度のパノラマを望むことができるガラス張りの建物なんだよね。
ロマン派から現代に至る絵画が展示されているようだけど、こちらもまた室内よりも外に目がいきそうだよ。

「dolomite」の注意事項として「良い天気の時」「ハイキングポールとリュックは禁止」「撮影は中庭のみ」などが記載されている。
登山で行くか、シャトルバスで博物館に行くかによっても荷物が変わってくるだろうね。
他の4箇所も素晴らしいので、HPで観てみてね!
それぞれ行き方が違うようなので、確認しないと。
すっかり行く気満々だけど、足腰大丈夫か?(笑)
 

好き好きアーツ!#52 鳥飼否宇 part21−天災は忘れる前にやってくる-

【タイトルに因んだ映像。音が出るよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

「ゔぁっ!」
何やら言葉にならない声でROCKHURRAHが叫ぶ。
一体どうしたの?何があったの?
「鳥飼先生の新作が出るよっ!」
「ええーっ!」
きちんとした言葉で大反応するのはSNAKEPIPE。
いつも同じパターンだけど、ROCKHURRAH RECORDS内での事実なんだよね。(笑)

大ファンの作家・鳥飼否宇先生の新作とは、なんというビッグ・ニュース!
2018年に刊行された「隠蔽人類」以来の作品になるんだね。
およそ1年間、待ち望んでいた鳥飼先生の新作とご対面できるとは嬉しい限り!(笑)
明日にでも本屋に行くか、と鼻息を荒くしたSNAKEPIPEだったけれど、今の御時世、通信販売が一番早いよね。
その日の注文で、翌日には新作を手にすることができたよ!

今回のタイトルは「天災は忘れる前にやってくる」だという。
天災って自然災害のことだよね?
光文社の紹介ページからあらすじを紹介させて頂こう。

眉唾の噂やホラばなしをネット配信して生計を立てている「特ダネ ゴーダニュース」の目玉企画は、社長の郷田とバイトの智己の災害現場への突撃ルポだ。
しかし、二人の行くところ、なぜかいつも災害の陰に怪しい事件が待っている!
ブラックなギャグとダークな欲望が軽快に展開し、意表を突くトリックと鋭い推理もたっぷり盛り込んだ、サービス満点の傑作。

有料会員向けのネット配信だけで生計を立てる人物が主人公とは、今どきだよね。(笑)
「眉唾の噂やホラばなし」とは、例えば「目から鱗、夜尿症にはナマズエキスが効く!」や「不忍池に半魚人が出現!!」といった類のものらしい。
「絶対うそでしょ」と思ってしまうヘッドラインだけど、お金払っても読む人がいるみたいなんだよね。
この手の会員費って月額いくらなんだろう。
例えば月額100円で3万人の会員なら月収300万円!
「特ダネ ゴーダニュース」には、それくらいの読者が存在しているとの記述があるので、そこまで違った数字ではないよね。
取材費とアルバイト代を支払ったとしても、良い収入になりそうだよ。
よし、これから当ブログも有料にしてみるか。(笑)

冗談はさておき、鳥飼先生の新作に話を戻そう。
「特ダネ ゴーダニュース」の社長である郷田俊男とアルバイトの三田村智己が、災害地域を取材中、事件に遭遇する。
それらの事件を連作短編にした小説が、「天災は忘れる前にやってくる」なんだよね!
さて、彼らはどんな事件に遭遇したのか?
小説の順番通りに感想をまとめていこう。
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未読の方はご注意ください!

天網恢々疎にして漏らさず

いきなり難しい文章から始まったけど、「天災は忘れる前にやってくる」では、タイトルに名言や格言が採用されている。
最初のタイトルは中国の思想家である老子の言葉だという。

天網は目があらいようだが、悪人を漏らさず捕らえる。
天道は厳正で悪事をはたらいた者には必ずその報いがある。

こんな意味だったんだね。
恥ずかしながらSNAKEPIPEは初めて知った言葉だよ。
鳥飼先生のデビュー作「中空」でも老子や莊子の思想について触れられているので、特に違和感もなくすんなり本文を読み進めることができた。
画像は牛に乗った老子だよ。(笑)

第1インシデントは地震!
震度7の地震が発生、死者・行方不明者合わせて約2,300人、負傷者は7,000人以上の甚大な被害が報告されたのである。
そんな被災地にネタ探しに乗り込む「郷田プロダクション」の郷田とアルバイトのトモミ。
ボランティアとして活動するため、ではないんだよね。
あくまでも「特ダネ ゴーダニュース」のネタを探すため、ジャーナリストとしての使命だ、と主張する郷田だけれど、実態は行き当たりばったり。
眉唾もののフェイク・ニュースで、読者の興味を煽る文章を捏造するのが得意な郷田は、地震からどんなニュースを創り出すんだろうね?
胡散臭い人物だけれど、何万人もの人が食いつく記事を書くことができるというのは、やっぱり才能だろうなあ。(笑)

2人が足として使用しているのは「ジムニー」だという。
SUZUKIのジムニーって名前は聞いたことあるけど、どんな車だったかな?
おお、改めて検索してみると、とってもカワイイじゃない!(笑)
色によっては軍用車両にも見えそうで、ちょっとジープっぽい感じ。
ミリタリー好きのROCKHURRAH RECORDSでは大好評だよ!
ただし大の男2人、しかも少し太り気味の郷田が隣では、窮屈になるかもしれないね。

郷田の年齢は50代のようだけど、トモミはいくつなんだろう。
郷田にコキ使われているアルバイトなので、20代から30代だと思われる。
南国生まれで、現在は一人暮らしをしているとのことだから、アルバイトでもそれなりの収入を得ているんだろうね。
こんなデコボココンビだけど、一応「阿吽の呼吸」で行動しているみたいだよ。

郷田の小さな「気付き」から犯人が割れる。
タイトルの「天網恢々疎にして漏らさず」と絡んで、見事にまとまったよ!
それにしても郷田が探偵役とはね?
己の欲を優先させる、いかにも人間臭い人物で、今までの鳥飼先生の著作では見かけなかったタイプなんだよね。

大山鳴動して鼠一匹

事前の騒ぎばかりが大きくて、実際の結果が小さいこと

これよくあるよね!
鳴り物入りで登場したけど、結果はまるでダメダメっていう話ね。
ラテン語のことわざが元になっているようだけど、この文言も初めて知ったSNAKEPIPE。
こんなところで無知を自慢してどうする。(笑)
ROCKHURRAHが「ことわざ」を分かりやすく画像にしてくれたよ。
あの山からこのネズミが!
なんてキュートなんでしょ。(笑)

第2インシデントは浅間山の噴火!
浅間山と聞いて連想するのは「浅間山荘事件」だね。
1972年2月、長野県北佐久郡軽井沢町にある河合楽器の保養所「浅間山荘」において連合赤軍が人質をとって立てこもった事件(Wikipediaより)である。 
あまり事件について詳しくないSNAKEPIPEは、だいぶ前にROCKHURRAHと一緒に「光の雨(2001年)」という映画を観て、連合赤軍について少し知ったくらい。
私刑による支配での団結は難しいこと、そして人間の残酷さを見たことを覚えている。
そんな浅間山が噴火し、その現場にネタ探し目的で訪れる郷田とトモミ。
命の危険を顧みず、よく頑張るよね。(笑)

郷田は一応(?)ジャーナリストなので、ドキュメンタリー映画も観ているんだね。
感銘を受けた映画としてヴェルナー・ヘルツォークの「ラ・スフリュール(原題:La Soufrière 1977年)を挙げる。
ヘルツォークといえば、2019年5月に「デヴィッド ・ リンチ_精神的辺境の帝国展 鑑賞」の中で、「狂気の行方(原題: My Son, My Son, What Have Ye Done (2009年)」の感想をまとめたっけ。
デヴィッド・リンチが製作総指揮だったために鑑賞したんだけどね。(笑)
記事にも「そんなに詳しくない監督」と書いているヘルツォークなので、「ラ・スフリュール」も知らなかったよ。
映像があったので、載せておこうか。(29分)

郷田とトモミ以外にも、命知らずの登山家がいる。
台風で波が大荒れの時にサーフィンやるような人がいるけど、似た感じかな?
そこで事件が起きるのである。

まさかそんな動機だったとは!
あっさり郷田が解き明かしたのは、年の功か?
そしてあんな結末とは、ね。
それにしても特に女性にとって、1歳の年齢間違いは大問題よねっ!(笑)

我が物と思えば軽し笠の雪

自分の利益になることならば、苦労を苦労と思わない。

これは松尾芭蕉に弟子入りした其角の句「わが雪と思へば軽し笠の上」からできた「ことわざ」だという。
この画像が其角のようだけど、ほとんど漫画だね。(笑)
酒豪だったという俳人だけれど、芭蕉からも才能を認められていたという。
なんだかドラマの主人公になりそうなタイプじゃない?

第3のインシデントは豪雪!
雪で閉ざされた地域での事件といえば、やっぱり映画「シャイニング」を思い出してしまうね。
建物に取り憑いている霊的な存在もさることながら、精神に変調をきたしたジャック・ニコルソンが怖くて!
あ、ジャック・ニコルソンの演技が素晴らしくて、に変えないとおかしな文章になってしまうね。(笑)

新年早々、豪雪地帯に取材に行く郷田とトモミ。
孤立した集落を目指して、雪道を車で移動する。
いわゆるジャーナリズムの精神を持つ人であれば、「眼の前にある現実」を報道したい、いやしなければならないという正義感が原動力になり、どんなに危険な場所にでも赴くだろう。
郷田の場合は動機が不純で、災害をネタにした記事を書き、会員数を増やし利益アップを狙っているにもかかわらず、目的地は正統派ジャーナリストと同じように危険な地域、というところにギャップを感じるんだよね。
ガセネタを書くなら、そこまでやらなくても良いような?(笑)

「我が物と思えば軽し笠の雪」は、またもや郷田が犯人を特定し、事件としての決着はついているけれど。
犯人の心境が腑に落ちないんだよね。
珍しく「おあとがよろしくなかった」作品かな。

善人なおもて往生をとぐ

善人でさえ救われるのだから、悪人はなおさら救われる。

親鸞の「歎異抄」に出てきた、非常に解釈が難しい言葉なんだよね。
タイトルでは「善人なおもって往生を遂ぐ」までだけれど、親鸞は「いわんや悪人をや。」と続ける。
意味を調べると「逆じゃない?」と感じてしまう不思議な言葉、どうやら「善人」と「悪人」の定義から勉強したほうが良さそうね。
しっかり文章にする力がSNAKEPIPEにはなさそうなので、親鸞について詳しい方のサイトをご参照くだされ!(笑)

第4のインシデントは離島での台風と火事。
郷田とトモミの当初の目的は、島で目撃されたジュゴンを撮影する、というものだった。
ジュゴンは人魚のモデルとされているので、眉唾もののニュースを発信している「特ダネ ゴーダニュース」では、格好のネタだろうと容易に推測できるよね。
ところが予想に反して、ジュゴンは現れず、郷田とトモミは火事の現場を撮影することに成功するのである。

臨場感あふれる動画をアップロードすると、たちまちアクセス数が増える。
「特ダネ ゴーダニュース」のフェイクではないニュースも人気があるんだね。(笑)
現場にいたからこその成果だけど、災害と聞くと「ほいきた!」とばかりに喜ぶ郷田は、非人道的とも言える。
そしてまた事件に遭遇するのである。

人それぞれに理由があるので、コメントが難しい事件だったね。
なんともやりきれない気分になってしまったよ。

株を守りて兎を待つ

古い習慣にとらわれて、時の変化に適応しないこと。
また、偶然の幸運を当てにする愚かさ。

中国春秋時代、ひとりの農夫が目前で木の切り株にぶつかって死んだウサギを手に入れ、それから毎日その切り株のところで見張りをしたという故事からできた中国のことわざみたいだね。
こういうタイプの人、今でもいるだろうな。
そんな話をしていると、急にROCKHURRAHが歌い出すではないの!

北原白秋作詞、山田耕筰作曲の歌だったとは!
静止画像がうさぎになってるし。
それにしても子供の頃の記憶により、ROCKHURRAHが2番まで歌い続けることに驚いたよ。(笑)
SNAKEPIPEは習った全く覚えがないんだけど、九州地方とは音楽の教科書が違ってたのかもね。

第5のインシデントは豪雨による川の氾濫である。
災害を取材し、有料サイトの会員数を増やすことで収入をアップさせた実績を持つ郷田は、新たな災害ネタを求めて水害に見舞われた地域に赴いていた。
自然災害が利益を生み出すことってあるんだけど、これを特需と言ってはバチが当たるよね。
郷田のような「人の不幸をネタにした記事を書く」タイプは気にしないどころか「ラッキー」くらいに思っているんだろうけど。

人間的には疑問を感じることが多い郷田だけど、推理力はあるんだよね。(笑)
かなり複雑なシチュエーションだったのに、今回の事件も見事に解決!
郷田はここまででいくら稼いだんだろう?

前門の虎、後門の狼

一つの災いを逃れても別の災いにあうたとえ。

中国の元代の学者である趙弼が記した書「評史」に書かれている「ことわざ」だという。
「ことわざ」に因んだ画像をROCKHURRAHが用意してくれたんだけど、なんてカワイイんでしょ!(笑)
こんな虎と狼だったら、大歓迎じゃない?
子供の頃から一緒にいたら、ずっと仲良しのままなのかな。
なんでこんなにカワイイ画像を選ぶか、ROCKHURRAH?(笑)

第6のインシデントは竜巻!
銀行強盗事件を取材するために訪れたのに、竜巻に遭遇する郷田とトモミ。
竜巻を間近で撮影した緊迫の動画だったら、かなりのアクセス数を稼げるだろうね。(笑)
郷田とトモミが乗っているジムニーまで、竜巻で車体が浮くほどの威力だったというから、自然の力は本当に恐ろしいよ。

この章では、なんと猟奇殺人を連想させる死体が登場する。
現場を想像すると、かなり怖い状態だよ。
郷田とトモミは平然と観察しているようなので、肝が据わってるのかな。

郷田の推理により、いくつかのパーツがカチッとはまりパズルが解けた。
人は土壇場になると、思いもよらない大胆な行動に出るのかもしれないね。
SNAKEPIPEにはできないだろうな。(笑)

同じ穴の狢

一見関係がないようでも実は同類・仲間であることのたとえ。
多くは悪事を働く者についていう。

さすがにこの「ことわざ」は聞いたことも、使ったこともあるよ。
「ことわざ」は知っていても、ムジナってどんな動物なの?
どうやらアナグマのことをいうんだね。
画像で見る限りでは、ハクビシンと区別がつかないよ。
「ことわざ」に動物が入っていることが多くて、今回の記事の画像だけみると何の記事を書いているのか不思議に思うかもね。(笑)

第7のインシデントは台風。
丁度この記事を書いている頃、台風6号が関東地方を直撃すると予想されていた。
現在では熱帯低気圧に変わったため、局地的な大雨に警戒する必要があるという。
ほとんど東京近辺から出たことがないSNAKEPIPEは、台風による被害という経験がないんだよね。
もちろん台風直撃で電車が動かない、ということはあるけれど、家の屋根が飛んだり窓ガラスが割れるというレベルの被害はないね。 
北九州出身のROCKHURRAHも、ほとんど被害に遭ったことがないという。

小説本文中の台風は猛威を振るっていて、傘が全く役に立たないほどの大雨と暴風の中、撮影に挑む郷田とトモミ。
「郷田が歩けば二次災害が起きる」じゃないけれど、 土砂崩れまで経験することになる。
これをまた好機と考え、取材を開始する郷田の根性は見上げたものだよ。

スクープを物にするために危険と隣合わせの行動をするジャーナリストといえば、戦場カメラマンなども同じだろうね。
SNAKEPIPEも写真の勉強をしている頃、その手の本を読んで刺激を受けたことがあるので、気持ちは分かる。
実際に行動に移すことができるかどうかが、ジャーナリストとしての資格だろうから、郷田は合格だね。(笑)

ペットのヨークシャーテリアが機動隊員によって助け出されるシーンがある。
ヨークシャーテリアといえば、鳥飼先生の「人事系シンジケート―T-REX失踪」 にも社長夫人のペットとして登場しているね。
好き好きアーツ!#44 鳥飼否宇 part18−激走&T-REX失踪−」 として感想をまとめているので、ご参照あれ!

まさかそんな展開になるとは!
そして「同じ穴の狢」がそういう意味で使われることになるとは思ってもみなかったよ。
「そんな」とか「そういう」といった「濁した」物言いしかできないのが歯痒いけど、仕方ないね。(笑)

鳥飼先生の新作は、今までの先生の著作である「逆説的」、「ブッポウソウは忘れない」や「激走」と上にも登場した「人事系シンジケート―T-REX失踪」などと同様、「実際に起こり得る状況」を背景にした小説だったね。
語り部であるトモミに関する記述があまりなかったので、特徴を捉えることが難しかったかな。
ROCKHURRAH RECORDSが得意としている、マニアックなミュージシャンから名付けた登場人物当てや、アート系の話題を見つけることができなかったのは残念。

天災をキーワードにした小説とはどんな感じだろう、と少し不安を感じながら読み進めた。
どうして不安だったかというと日本で実際に起こっている災害なので、被害状況を生々しく感じてしまうのではないか、と想像したからなんだよね。
郷田の視点が、有料会員獲得に向けスクープを狙っているという、ヒューマニズム寄りではないのは前にも書いたよね。
それが冷静なカメラのレンズ的な役割を果たしていたようで、被害が甚大であっても重たい文章になっていなかったように感じる。
読むのが辛い小説になっていなかったのは、さすがに鳥飼先生だよね!
最近の鳥飼先生の著作は「〜シリーズ」ではないので、また懐かしい登場人物に再会したいと思ってしまうのはSNAKEPIPEだけかな?(笑)

好き好きアーツ!#51 世界アート(仮)探訪 2

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【ワシントンD.C.にある国立航空宇宙博物館も行ってみたいね!】

SNAKEPIPE WROTE:

「もし行かれたら嬉しいな、と思う博物館特集」として記事にした「好き好きアーツ!#46 世界アート(仮)探訪」の続編を書いてみよう。
実際に行かれたらもっと楽しいんだけどね?

最初に紹介するのは、オランダはアムステルダムにある「拷問博物館」だよ!
行かれたら楽しい博物館なのかどうかは不明だけど、近くにあると聞いたら行ってみたいと思うだろうな。
数ある博物館/美術館の中からでも、選んでしまったくらいだからね。
左の画像は入り口の様子なんだけど、そんなに「おどろおどろしく」ないよ。
道を歩いていたら通り過ぎてしまうかもしれないね?

ヨーロッパの中世と聞くと「異端」や「魔女裁判」といった単語が浮かぶよね。
2012年2月に「大人社会科見学—明治大学博物館・爆音劇場—」という記事を書いた。
レプリカだけれど「鉄の処女」という拷問器具(?)を鑑賞する目的で見学に訪れた内容だった。
「鉄の処女」は実際に使用されていたのか不明だったけれど、この椅子は本物だろうね。
鉄のトゲトゲが鋭く体に突き刺さる仕組み。
鍼灸どころじゃないよね?(笑)
ウェブサイトには、他にもどうやって使うのかよく分からない器具の写真が載っている。
オランダ語で説明されても理解できないかも。(笑)
「拷問博物館行ってきたよ」と話のネタにするような博物館かもしれないな。
恐らく今は、この程度では済まされない苦痛を与える方法が編み出されているだろうね。
以前鑑賞したイギリスのドラマ「好き好きアーツ!#48 UTOPIA」での拷問シーン、すごかったもんね。
日常的に使う、誰の家にでもあるスプーンを使うというところが余計に恐怖だったよ。
ああ、恐ろしい!

次も「ちょっと痛そう」な博物館を紹介してみよう。
アメリカ、カンザス州にある「有刺鉄線博物館」だ!
有刺鉄線と聞いて思い浮かべるのは何だろう?
立入禁止、もしくは出られないようにする目的で使用されるのが有刺鉄線だよね。
フランスで発明された有刺鉄線は、アメリカにおいては牧場や農場の境界線を示すために使用されたらしい。 
「有刺鉄線博物館」が掲げる使命の中にも「有刺鉄線の歴史とアメリカの発展における重要性」を伝えること、と書いてあるよ。 
実はSNAKEPIPE、有刺鉄線って好きなんだよね。(笑)
鉄でできていて尖っているので、パンクな雰囲気を感じるからかもしれない。
好き、と言ってもこんなに種類があるとは知らなかった!
しかもそれぞれに名前が付いているみたいなんだよね。
その名前が手書きで書かれているところも味があるなあ。
博物館にはショップがあるようなんだけど、有刺鉄線グッズが販売されているのかな?
残念ながら商品ページのリンクが切れているようで確認できなかった。
非常に興味あるよ!(笑) 
カンザス州に行くことがあったら、是非見学してみたい博物館だね。 

次に紹介するのは「International Clown Hall of Fame and Research Center」というアメリカ、ウィスコンシン州にある「ピエロ博物館」だよ!
好き好きアーツ!#38Alex de la Iglesia part3」の中で「気狂いピエロの決闘」について書いた時、ピエロとクラウンの違いに触れたことを思い出した。
道化師というのがクラウンを意味し、ピエロとは涙を描いているクラウンのことをいうらしい、と非常に簡潔にまとめているよ。(笑)
日本ではどちらもピエロになってるので、「ピエロ博物館」で良いね?
「ピエロ博物館」のウェブサイトを観ても、何が鑑賞できるのかイマイチ分からないんだよ。
ほとんどリンクがないからね。(笑)
HPに記載されているミッションには「歴史を超越する希少な芸術形態であるピエロの役割を理解し、伝統を守り共有すること」とある。
ピエロと聞くとどうしても江戸川乱歩や前述の「気狂いピエロの決闘」などを連想してしまう。
スティーブン・キングの「IT」に出てくるペニー・ワイズや、そのモデルとされるシリアルキラーのジョン・ウェイン・ケイシーも思い出す。
ジョン・ウェイン・ケーシーが描いたピエロの絵については「シリアルキラー展 鑑賞」に書いているね。
SNAKEPIPEにとってピエロは笑いの対象というよりは恐怖を感じる存在になっているみたい。
「ピエロ博物館」は怖いもの見たさ、で行ってみたいね !(笑)

最後は「ROCKHURRAH RECORDSが死ぬまでに一度訪れたい博物館」の紹介ね。
ドイツはワイマールにある「Bauhaus Museum(バウハウス博物館)」だ!
1919年、建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長としてスタートした学校「バウハウス」。
工芸・美術・写真・建築・デザインなどの総合的な教育機関だった。
1933年にナチス・ドイツにより閉鎖されるまで、合理的で機能主義的なアートを模索する。
現代にまで強い影響を与える活動をしたのが「バウハウス」なのである。
SNAKEPIPEが入学したかった憧れの学校なんだよね!(笑)
ROCKHURRAHが好きなバンド「バウハウス」もここからバンド名を採用しているとのこと。
機能性とデザイン性を兼ね備えていながらシンプルを極めるのが「バウハウス」の特徴なんだよね。
ROCKHURRAHは昔からそのデザイン性に惹かれていたという。
SNAKEPIPEもモホリ=ナギやカンディンスキーは知っていたけれど、「バウハウス」について知れば知るほど、興味が湧くアーティストがたくさんいることが分かる。
例えば「バウハウス」のポスターとして有名な左の画像だけど、作者は「Joost Schmidt」。
読み方はユースト・シュミットでいいのかな?
残念ながらSNAKEPIPEは知らないアーティストだったんだよね。
作品は観たことがあっても、作者名は知らないことが多い「バウハウス」。
建築や工芸の世界になったらもっと知らないことがいっぱいなんだろうな!
これは「バウハウス博物館」に行って勉強しないとね。
2019年に「バウハウス博物館」がリニューアル・オープンするようで。
その宣伝用映像を最初に載せてみたよ!
やっぱりカッコ良いね。

今回は「世界アート(仮)探訪」の第2弾を書いてみたよ!
きっと他にも面白そうな美術館や博物館があるはず。
将来の計画のために続けていきたい企画だね!

好き好きアーツ!#50 鳥飼否宇 part20−隠蔽人類−

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【「隠蔽人類」映画版(想像)のポスターをROCKHURRAHが作成】

SNAKEPIPE WROTE:

NHKスペシャル「人類誕生」第1集が放映されたのが2018年4月8日のこと。
ヒトはどのように進化していったのかを探る全3回のシリーズである。
録画しておいた番組を鑑賞し、CGとは思えないほどのリアルな映像に驚く。
「人類誕生」第2集の放映も楽しみだね!

「人類誕生」を鑑賞して、しばらく経ったある日、ROCKHURRAHが興奮気味に叫んだのである。
「鳥飼先生の新作が出るよ!」
電子書籍「ジャーロ」に連載されている時は我慢して、1冊にまとまるのを待っていた小説の刊行である。
待ちかねていた、その時がやってきたのだ!
タイトルは「隠蔽人類」。
前述のNHKスペシャルとのシンクロを感じてしまうよね。
NHKスペシャルは恐らく多くの人が目にする番組だと思うし、日頃から人類について考えたり、思いを馳せる人ばかりではないはず。
大勢の人が日頃ほとんど耳にすることがないであろう「ホモ・サピエンス」という単語を意識した後、鳥飼先生の「隠蔽人類」が発売されるなんて、まるでNHKスペシャルとのコラボみたいじゃない!(笑)
鳥飼先生に追い風が吹いているように感じて嬉しくなる。
嬉しいサプライズにより新作を入手したことは、先週の冒頭でも書いていたね。
本当にありがとうございました!(笑)

鳥飼先生の新作「隠蔽人類」はどんなお話なんだろう?
光文社の紹介ページに載っていたあらすじを引用させて頂こう。

形質人類学者の日谷隆一率いる日本人学者の調査団は、アマゾン奥地の未接触民族キズキ族の村で世紀の大発見をした。
DNA分析から、彼らがホモ・サピエンスではない別種の人類、隠蔽種の可能性が見つかったのだ。
しかし沸き立つのもつかの間、調査団メンバーの一人が首を切断され、発見された。
調査団以外の全員にアリバイが。
犯人は──!? 
さらに、隠蔽人類と殺人の「秘密」は日本へ。
殺戮の連鎖が巻き起こり、探偵役が次々に死んでいく。
ことごとく読者の予想を裏切り、皮肉と逆説をはらんで疾走していく事件の展開。
誰にも結末を読ませない、圧倒的に面白い驚愕ミステリー!

アマゾン奥地で大発見、なんてワクワクするよ。(笑)
ROCKHURRAHは、タイトルと冒頭のシチュエーションから香山滋の「オラン・ペンデクの復讐」や昔の探偵小説でいう「魔境冒険物」を連想したらしい。 
SNAKEPIPEが思い出したのは、 鳥飼先生の「桃源郷の惨劇」。
外国を舞台にしていて、新種の鳥「ミカヅキキジ」を追うミステリーだったからね!
それにしても「隠蔽種」ってなんだろうね?

隠蔽種とは本来は別種であるが、外見上の区別がつかず、同一種として扱われていた種。
遺伝子の塩基配列などを調べる分子系統学的な手法で、別種の存在が明らかになることが多い。

似ていたから気付かなかったけど、よく調べてみたら別物だったということだね。 
簡単に説明し過ぎ?(笑)
本当はDNAやRNAやヌクレオチドとか遺伝子が、などと書くべきなんだろうけどね。
詳しく知りたい方は専門家の文章を参照してちょ。
「隠蔽人類」とは、人のように見えるけど、実は「ホモ・サピエンス」ではなかった人類ということなんだね。

「隠蔽人類」は5章からなる連作短編。
章ごとに感想をまとめていこうと思うんだけど、果たしてうまく書けるかどうか。(笑)
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未読の方はご注意ください!

隠蔽人類の発見と殺人
綾鹿科学大学の形質人類学者である日谷隆一教授他、4人の日本人がアマゾンに行くところから話が始まる。
ということは「隠蔽人類」は「綾鹿市シリーズ」ってことで良いんだろうね?
「綾鹿市」という架空の地域で起こるミステリーは「綾鹿市シリーズ」と呼ばれ、鳥飼先生の代表的なシリーズとして有名なのである。
鳥飼先生のWikipediaがまだ更新されていないようなので確認できなかったけれど、新作は「綾鹿市シリーズ」だね!
綾鹿市は架空の都市だけど、地図が欲しくなるほどだよ。(笑)
何故、綾鹿科学大学の学者がアマゾンに行くことになったのか?
それはアメリカ人冒険家クリス・グロールの手記により、未接触部族の存在が明らかになったためである。
クリス・グロールにより、その部族はキズキ族と名付けられていた。
クリス・グロールが濁流に飲まれ不慮の死をとげたことにより、キズキ族についての詳細は不明なまま。
世界各国の人類学者がこぞってアマゾンに向かい、調査を開始するも発見には至っていなかったのである。

クリス・グロールというのはニルヴァーナだね、ROCKHURRAHが言う。 
アメリカのバンド、ニルヴァーナのメンバーだったクリス・ノヴォセリックとデイヴ・グロールの名前を組み合わせるとクリス・グロールになっちゃうよ! (笑)
よく分かったね、と感心するSNAKEPIPEに「初心者レベル」との返答!
鳥飼先生の小説には、名前の由来を解く楽しみも隠されていて、「痙攣的」や「爆発的」では夜な夜な謎解きに明け暮れたっけ。
「隠蔽人類」の登場人物も試行錯誤して考え続けていたけれど、日本の城や半島の名前が多い、ということしか見いだせなかった。
全員が城の名前じゃなかったので、恐らく不正解だろうな。(笑)

世界中の調査団はキズキ族を発見することができなかったのに、日谷チームは見事に発見し接触に成功する。
これだけでも充分な成果だけれど、日谷チームはキズキ族のDNAサンプルの入手にも成功し、驚くべき結果を目にするのである。
あらすじにもあるように、そこで事件が起こってしまうんだよね。

キズキ族は白人のような容姿で、アスリートのような引き締まった体型をしているという。
菜食主義で性格は温厚、富を蓄えるという概念がないなんて、それだけでもう人間じゃないかも。(笑)
部族の全員がお釈迦様みたいだよね。
キズキ族の一員になりたいかと聞かれたら迷ってしまうかもしれない。
ええ、SNAKEPIPEは欲にまみれて生きてますから。(笑)

綾鹿科学大学の准教授である尾崎が殺されてからの展開には驚いた!
まさかそんな秘密が隠されているとは。 

隠蔽人類の衝撃と失踪

日谷教授は、キズキ族の女性・ミラを伴って帰国した。
未接触部族というだけでも衝撃的なのに、ミラは美しくモデル並のスタイルの持ち主。
衣服を身に着ける習慣がないため真っ裸だというのもセンセーショナルだよね。
学術目的以上に、男性陣がこぞって見物にやってくるのも仕方ないかもしれないね?(笑)

そんなミラをイメージしてROCKHURRAHが作成してくれたのが一番上の画像。
「隠蔽人類」が映画になったら、という想定なので真っ裸にはしなかったという。
ジャングルと塩基配列をバックにした半裸体美女とはニクい演出だね。(笑)
いつも作成してくれてありがとう! 

第2章は密室に関するトリックが使われる。
完璧に思われたセキュリティを突破することができたのは何故か、という点がポイントかな。
第1章でも予想外の展開に付いて行かれるか不安になりながら読み進めてきたけれど、第2章でまたもや先が全く分からない展開になっていく。
SNAKEPIPEの頭で理解できるだろうか?(笑)

隠蔽人類の絶滅と混乱

混乱してしまったSNAKEPIPEは第3章を読んで安心する。 
第2章の顛末が説明されていたからだ。
内容を理解しないと読み進めることができないという、当たり前のことを改めて認識したよ。(笑)
これですっきりした気分で第4章に進むことができるね!

第3章にはロバート・ハンダという外国人留学生が登場する。
日本語が堪能な日系アメリカ人で、形質人類学を専攻している。 
日谷教授を紹介する時にも何気なく形質人類学と書いてしまったけれど、やっぱり調べてみようね。

人類やチンパンジーやゴリラなどヒト科の共通祖先からどのように原生人類が進化してきたのかを解明する学問である。
主に発掘された霊長類や人類の化石を対象に、その形態を分析する。
骨や歯の形態からその古人類の運動様式・食性・性・生活環境・社会構造などを明らかにする。

まさにNHKスペシャルの「人類誕生」なんだね。
どうしてロバート・ハンダが日本の大学に籍をおいているのかは不明だけど、第3章では大活躍する。
片言の日本語かと思いきや、かなり長いセリフを喋ってるんだよね。
ロバートのパートはカタカナ表記されているので、いつの間にか変なアクセントを付けて読み進めていることに気付く。
ケント・デリカットが喋ってるみたいな、ね。(笑)

いやはや、こんなにハチャメチャになってしまうなんて!
「芸のためなら女房も泣かす」(浪花恋しぐれ!古い!)
じゃないけど、善悪は後回しになっちゃうものなのかなあ?
成果を求めるあまり、行き過ぎた行動に出るジャーナリストを描いた映画「ナイトクローラー」を思い出したSNAKEPIPE。
「ナイトクローラー」のジャーナリストには共感する部分もあったから、そう考えると「隠蔽人類」での行動も納得できるかもしれない。
そうだよね、自分なりの目的あったら普通じゃないこともやっちゃうかもね。(笑)

隠蔽人類の発掘と真実

舞台は再びアマゾンへ。 
スペイン語が堪能で、生物に詳しい宮路司という翻訳家が登場する。
元・形質人類学教授だった父親と共に、キズキ族の村を探すためである。
恐ろしい鳴き声の正体をホエザルだと見抜いたり、飛んでいる鳥の名前を言ったりするシーンはまるで「観察者シリーズ」のトビさんが出てきたようで嬉しくなるね。
「観察者シリーズ」は2015年の「生け贄」が最後の刊行なので、3年前になるんだね。
またトビさんやネコに会える日が来ると良いな!(笑)

手がかりを得て帰国した宮路親子は驚愕の事実を知ることになる。
いや、驚いたのは宮路親子ばかりではない。
読んでいるSNAKEPIPEも顎が外れるほどだった。(大げさ)

ここまで「どんでん返し」が繰り広げられる鳥飼先生の作品は初めてだよ!

隠蔽人類の絶望と希望

最終章では綾鹿市を離れて、世界規模にまで広がりを見せる壮大なストーリーになっていた。
この章で、今までの疑問が解決することになる。 
まさかそんな事実が隠蔽されていたなんて!
「隠蔽人類」は章ごとの殺人事件と共に「DNA」に関するミステリーを合わせ持った小説だったんだね。
 生物学meetsミステリー、最後はSFになった感じかな?

実際に「ホモ・サピエンス」ではない、別種の人類が隣にいたらどうなるんだろう。
想像しようとしてもできないのは、全く経験がないからだろうね。
世界中の人が温和なキズキ族のようだったら、何の問題もなく全ての人類を受け入れるだろうけど。(笑)
隔離したり殲滅させようとする意見が出るのも納得できる。
前から虫が好かなかったとしたら尚更だろうね。

次々と探偵役がいなくなってしまう(光文社のあらすじより)「隠蔽人類」は、鳥飼先生の作品では初の試みかも?
アマゾンから始まり綾鹿市に移って、最終章ではインターナショナルな舞台に発展するなんて思いもよらなかったよ。

ROCKHURRAHが連想していた「オラン・ペンデク」や「魔境冒険物」とは全く違う作品だったね。
読み進める程に混乱し、死体はどんどん増えていく!
分かったと安心するのも束の間、新たな疑問にぶつかる、どんでん返しの連続だったね。
展開は急だったけれど、決して奇想天外ではない。
本当にこんな状況が訪れたら、と想像してROCKHURRAHとの議論が白熱したのは言うまでもない。(おおげさ)
驚愕しながら一気に読み進めた鳥飼先生の新作、楽しかった! (笑)