アニッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来 鑑賞

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【ジャイルギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週のブログ、「ケリス・ウィン・エヴァンス 『L>espace)(…』」の記事の続きを書いていこう。
展覧会を「はしご」した話だよ。
表参道で必ず立ち寄る場所といえばジャイルギャラリー!
2024年1月まで開催されているのが「アニッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」なんだよね。
今回キュレーションしているのは、「デヴィッド・リンチ大好き」な飯田高誉さん!
飯田さんが企画した展覧会は難しいことが多いんだけど、リンチアンとして共通しているので、なるべく足を運びたいと思っているSNAKEPIPEだよ。
今回はアニッシュ・カプーアなので、ワクワクしながらROCKHURRAHと一緒に会場へ。

アニッシュ・カプーアについては2008年6月の「ターナー賞の歩み展」や2022年5月の「Anish Kapoor: Selected works」などで記事にしているよね!
大好きなアーティストだよ!

撮影についての許可を確認し、会場内へ。
入った瞬間、目に飛び込んできた風景がこれ。
「ぎゃっ」
叫んでしまいそうになるインパクトの強さ!
紙にガッシュで描かれた絵画作品と共に、赤黒い物体がそこかしこに点在している。
壁にも絵の具が飛び散っていて、まるで殺人事件現場に立っているかのよう。
ちなみにガッシュというのは、不透明水彩という絵の具のこと。
重ね塗りに適した水彩絵の具だという。
ペンキに近い感じになるのかもしれないね。

ウィーンでの展覧会で、カプーアは「大砲アート」とでも名付けたくなるパフォーマンスを見せている。
今回の「赤黒い物体」は似た雰囲気じゃない?
体を張ったアートは、まるで白髪一雄か!って思っちゃうね。(笑)

この展覧会に似合う音楽は何か、ROCKHURRAHと打ち合わせる。
BGMに選んだのがこちら!

Throbbing Gristleの「Beachy Head」だよ!
曲名の「Beachy Head」とは、イングランド・イーストボーン近くにある岬だという。
観光地としても有名らしいけれど、自殺の名所としても知られているんだとか。
不穏な雰囲気が、今回のカプーアの展覧会に似合っているように思うよ。
音を聴きながら、続きを観ていこう!

次の会場にも謎の物体が中央にドーンと置かれている。
壁の角にも、天井に迫るほどの高さにまで伸び上がるように成長している姿を確認。
そう、まるで生命体みたいなんだよね。
溶岩や肉塊にも見えるけど、今回は「謎の生命体」ということにしておこうかな。(笑)
「謎の生命体」が増殖していき、会場全体を覆ってしまいそうに感じたよ。

絵画作品はすべて「Untitled」となっていて、2022年制作とのこと。
アニッシュ・カプーアは現在69歳なので、68歳で描いた作品なんだね。
強烈な色彩と大胆な筆使いに、パワーがみなぎっている。
横尾忠則が86歳で100点以上の新作を短期間で描いていることにも驚いたけれど、今回のカプーアも圧巻!
力強さに満ちた作品を観て、SNAKEPIPEの体温が高くなってきたみたい。
エネルギーを注入され、血流が速くなったような感じかな?(笑)

展覧会のタイトルである「奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」に関して、キュレーターの飯田さんがサイトに解説を載せている。
カプーアの作品を鑑賞することで、自身の情動に気付くという。
先に「体温が上がり、血流が速くなったようだ」と感じたSNAKEPIPE。
まさにこの状態だったのかも?(笑)
「赤は神秘的な色」と語るカプーアは、意識的に赤色を使用した作品を制作していたので、鑑賞しているうちに闘牛の牛みたいに興奮状態に陥ったのかもしれないなあ。

展覧会用に動画が配信されていたよ。
とてもカッコ良い!

今まで鑑賞したことがあるカプーアの作品は、鏡や金属を使用した立体作品だけだったので、絵画作品は初めてだったかも。
エネルギッシュな作品群を鑑賞できて、とても嬉しかった!
こんな素晴らしい企画を無料で体験させてもらって、本当にありがたいね。
飯田さんの次のキュレーションにも期待だよ!

ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」鑑賞

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【エスパス ルイ・ヴィトン東京エレベーター前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されるケリス・ウィン・エヴァンスの展覧会「L>espace)(…」を知ったのは、数ヶ月前のことだった。
たまたまポスターを目にして気になっていたんだよね!
ケリス・ウィン・エヴァンスの名前は初めて聞くよ。
一体どんなアーティストなんだろうね?

1958年 ウェールズ生まれ
1980年 英国ロンドンのセント・マーチンズ・スクール・オブ・アートで美術学士を取得
1984年 ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのフィルム & テレビジョン専攻で修士号を取得
1986年まで 映画監督デレク・ジャーマンの助手を務める
1988年 短編映画「ディグリーズ・オブ・ブラインドネス」を発表
90年代初頭 彫刻またはインスタレーションに分類されるさまざまなメディアを用いた作品に移行

エヴァンスの作品はニューヨーク近代美術館やテートモダン、ポンピドゥー・センターなどに所蔵されているという。
ネオンなどの光や音、ビデオを使用したスタイルなんだとか。
そして経歴の中で注目したいのが、デレク・ジャーマンの助手だったところ!
デレク・ジャーマンといえば、やっぱり「ジュビリー」かな。
トレイラーはこちら。

この映画については2018年3月に「映画の殿 第28号 パンクロッカー、スクリーンに現る」としてROCKHURRAHが記事にしてくれているので、そちらを参照してね!
独特の感性を持った映画監督の助手をしていたと聞くと、エヴァンスに興味が湧いてくる。
エスパス ルイ・ヴィトンの訪問予約をして表参道に向かったのである。

12月なのに夏日に迫る気温の高い日で、薄手のコートを脱いでしまうほど。
ピカピカの日差しに、日傘を用意すれば良かったと後悔したSNAKEPIPEだよ。
あと10日でクリスマスなのにね!(笑)

いつ行ってもルイ・ヴィトンの入り口では尻込みしてしまうSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも同じだったようだよ。
傘を傘袋に入れてくれたこともあったっけ。(笑)
買い物客ではなく、作品鑑賞のためだけに訪れているのにもかかわらず、ドアマン(?)が丁重にエレベーターまで案内してくれる。

7Fの会場に到着。
予約していたことを告げると、係の女性がにこやかに対応してくれる。
作品の撮影がオッケーなこと、作品の説明が載っているサイトの案内など、とても丁寧だよ。
ガランと広い会場に目をやると、最初に飛び込んでくるのは日差し!
エスパス ルイ・ヴィトンはガラス張りなので、まるで温室のような暖かさ、いや暑さ!(笑)

着ていたコートを脱ぎ、作品に近づいてみる。
「A=F=L=O=A=T」というタイトルの作品は、20本のガラス製フルートで作成され、音が鳴っていた。
大昔のSF映画に出てくる宇宙から来た生物みたいで、とても好き。
パリのフォンダンシオン ルイ・ヴィトンのために作られた作品なんだって。
ルイ・ヴィトンの説明に「この作品は少し変わった不気味な存在感を放っています」と書かれているよ。
その不気味さが良いんだね!(笑)

途中でROCKHURRAHも気付いたようだけど、今回の展覧会は夜になってから鑑賞すべきだったんだろうね。
明るい日差しの中でキレイに見えたのは松の作品「Still life(In course of arrangement…)Ⅱ」だね。
ゆっくりと回転する松には、何もトキメキはなかったのが正直なところ。
テキストがネオンで光る仕掛けになっている作品も、ほとんど空と一体になっていたもんね。
観ただけでは趣旨が伝わらないので、エヴァンスについて説明しているエスパス ルイ・ヴィトンの説明を引用させていただろう。

エヴァンスが作り上げるのは、意味の迷宮です。
空間に形となって現れる引用や原典のあるテキストは、しばしば不可解な難問の様相を呈します。
ポスト象徴主義や前衛の文学に垣間見られる遊びの要素や難解な側面が、インスピレーションの大きな源となっているのは明らかでしょう。(中略)
コンピュータに接続されている光が、その画面に流れていくウィリアム・ブレイクの詩や、フェミニスト理論家のジュディス・バトラー、神学者のミシェル・ド・セルトー、あるいはマルキ・ド・サドからの引用文をモールス信号の点滅で伝えるのです。
光を用いて不明瞭なステートメントを伝えるという手法に象徴されるような矛盾を顕在化させるのがこの作家の特徴です。
彼の見方では、詩は「実験のエキゾチシズム」と呼ばれるものから生まれ、その多義性の重なりの中で、事実とフィクション、現実とその分身、打ち立てられた確信と矛盾した感情などの間にある曖昧な領域を探求することができるのです。

「意味の迷宮」やら「矛盾を顕在化」「曖昧な領域を探求」といった文言が並んでいるので、かなり難解で複雑な作品なんだね。
アーティストの意図を理解してから鑑賞したら、もっと面白かったのかもしれない。

夜になると、こんな感じに見えるらしい。(笑)
この空間を目に前にしたら「うわっ」と声が出たかもしれない。
説明がなくても驚きや喜びを感じたかも。
光やネオンの作品を鑑賞する時には時刻を考えないといけないね。
そのためには事前に予習する必要ありだわ。
エスパス ルイ・ヴィトンは大失敗してしまったけれど、この後もう一つの展覧会を「はしご」したんだよね。
さて、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは何を観てきたのか?
次回をお楽しみに!(笑)

映画の殿 第61号 韓国ドラマ編 part16

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【文中で紹介できなかった個性的なバイプレーヤーがいっぱい!】

SNAKEPIPE WROTE:

毎晩何かしらのドラマを鑑賞しているROCKHURRAH RECORDS。
一日の疲れを癒やす時間になってるんだよね!
今回は4本の韓国ドラマについて書いていこう。

最初は「悪霊狩猟団: カウンターズ シーズン2(原題:경이로운 소문2 2023年)から。
2021年11月の当ブログ「映画の殿 第48号 Netflixドラマ編 part4」で「悪霊狩猟団: カウンターズ」の感想を書いているSNAKEPIPE。
「シーズン2の制作が決定したらしいので、楽しみに待っていよう!」と綴っているね。
ついにシーズン2の放映が始まり、期待に胸をふくらませる。
いや、全然ボインちゃんじゃないんだけど!(笑)

昼は麺物屋の従業員、夜は悪霊と戦う正義の味方。
特別な力を与えられたカウンターたちは、今日も命がけの戦いに挑む。
この世の平和と、大切な人たちを守るため。(Netflixより)

あらすじもシーズン1とほとんど変わってないね。

カウンターズの面々が変わらぬ姿で登場したのは、とても嬉しかった。
チュさんを演じる大好きな女優ヨム・ヘランがピンクっぽいヘアスタイルに変わっていて、オシャレだったよ。(笑)

シーズン2では「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」でヨンウの上司で良い弁護士役だったカン・ギヨンが悪役で、カウンターズと対決する話に集約されていて面白味に欠けてしまったかな。
カウンターズに新入りで入った男にも魅力がなかったし、ハナの恋愛話もドラマを盛り上げる要素にまではならなかったような?
全体的に「いまいち」で、期待していただけに残念だった。
シーズン2になって失速するドラマが多いのは仕方ないのかなあ。

ダリとカムジャタン~真逆なフタリ~(原題:달리와 감자탕 2021年)」で主役を演じているのは、ドラマ「セレブリティ」でソ・アリを演じたパク・ギュヨン。
特に好みというわけではないけれど、たまたま続いて主演ドラマを鑑賞だよ。
スタイル抜群の女優だよね!

商魂たくましいコスパ男子と芸術を愛する生活力ゼロのヒロイン、
真逆の2人が美術館再興のため力を合わせるハートウォーミングラブコメディ!(KnTVより)

 

美術館が舞台になっているので、実在のアーティストの名前が時々出てきて楽しかった。
それにしても韓国人で本名がダリっているのかな?(笑)
カムジャタン屋を経営するチン・ムハクを演じる俳優キム・ミンジェが、「太陽を抱く月」や「怪物」などで有名なヨ・ジングに見えてしまったのはSNAKEPIPEだけかな。(笑)

あらすじには「ラブコメ」と書いてあるけれど、コメディ要素はそんなに強くなかった。
ライバルが出現する「よくあるタイプの」恋愛ドラマだけれど、利権が絡んだために話が少し複雑だったかも。
美術館の経営って大変なんだ、ということがよく分かったよ!

「キム秘書はいったい、なぜ?」でファンになったファン・ボラが、ムハクの秘書として登場していて嬉しかった。
今回はツィギーみたいなショートカットでボーイッシュな雰囲気だったね。
やっぱりファン・ボラ、好きだわ!(笑)

「ライブ~君こそが生きる理由~(原題:라이브 2018年)」は、「3食ごはん」やドラマ「サウンド・オブ・ハート」でお馴染みのイ・グァンスが主役!
そして脚本は「私たちのブルース」のノ・ヒギョン!
この脚本家のドラマをもっと観たいんだよね。

女性で地方大出身というだけで就職先が決まらないジョンオ。
一方、インターンとして働くものの会社がマルチ商法で倒産してしまったサンス。
そんな二人はひょんなことから警察を目指し、熾烈な競争を経て警察学校を卒業。
明るい未来がやってくると思っていたのも束の間、韓国国内で一番忙しいと言われる「ホンイル交番」に配属される。
期待でいっぱいの二人だったが、想像をはるかに超える過酷な仕事に現実と夢の狭間で悩まされる…。(Prime Videoより)

 

真面目な役のグァンスに違和感があるのは、「サウンド・オブ・ハート」が似合い過ぎていたからだろうね。(笑)
「国内で一番忙しい」とあらすじにあったように、毎日のように事件が起こる。
給料は安いのに、酔っぱらいに殴られたり汚物の処理までしなきゃいけないとは散々だよ。
それでも正義感を持って職務を全うしようとする警察官を描いたドラマなんだよね。

グァンス演じるサンスの母親役にヨム・ヘランが出演していたよ!
良い味出してるね!

かなり残酷な事件が続くので、全体的には重たい空気が漂っていたけれど、SNAKEPIPEは続きが気になり惹きつけられたよ。
展開はもちろんのこと、ドラマを盛り上げていたのは音楽!
気になった2曲を載せておこう。

Family of the Yearの「Carry Me」は、とても良いタイミングで流れる曲だったね。
まるでサイモンとガーファンクルみたいな曲調なので、てっきり70年代のバンドかと思いきや、2009年にロサンゼルスで結成されたバンドとは驚き!

少し哀愁を帯びた時に流れたのがこの曲。
Jon Allenの「In Your Light」だって。
ジョンのスペルがPGAゴルフのジョン・ラームと同じだね。(笑)
ジョン・アレンはイギリスのシンガー・ソング・ライターで、2008年のデビューアルバムに収録された「In Your Light」が注目を集めたとのこと。
韓国ドラマでイギリスやアメリカの曲を教えてもらったね!

最後は「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~(原題:정신병동에도 아침이 와요 2023年)」ね。
精神科医の看護師として働いた経験を持つ漫画家イ・ハラによるウェブトゥーンが原作のドラマとのこと。
「パラサイト」や「私たちのブルース」などで有名なバイプレイヤー、イ・ジョンウンの顔をNetflixの新作コーナーで見かけたのが、ドラマ鑑賞の決め手になったよ。
好きな俳優が出演しているのは嬉しいもんね!
そして「今、私たちの学校は…」のイ・ジェギュが監督しているという。
全力疾走のゾンビが忘れられないドラマだったよね!

内科から精神科に異動してきた心優しい看護師ダウンは、これまでに経験したことのない激務の中、精神病棟で様々な心の痛みを抱える患者たちに出会う。
患者が抱える問題に共に向き合い、苦悩しながらも、周りに支えられながら成長していく。(シネマトゥデイより)

 

ROCKHURRAH RECORDSは未鑑賞だけど「力の強い女 ト・ボンスン(原題:힘쎈여자 도봉순 2017年)」で主役を演じたパク・ボヨンが精神科の看護師ダウンなんだよね。
「力の強い女」は予告を観る限りコメディのようなので、今回の役どころとは随分違うんじゃないかな?

精神科に異動し、徐々に仕事に慣れていくダウンが、ショッキングな出来事をきっかけに自身も心の病気になってしまうとは!
最初から障害を抱えた人物が登場するドラマは観たことがあるけれど、主人公が病んでいく過程を描いているのは初めてかも。
家族や友人、ベテラン看護師イ・ジョンウン演じるソン・ヒョシンなどの支えで回復していく。
職場に復帰すると、また別の問題が発生し、一難去ってまた一難という状態。
実際には、ダウンのように復帰する人は少ないんじゃないかなと予想する。
SNAKEPIPEだったら、再発を恐れて別の職業を選択するだろうなあ。
色々なことを考えさせられるドラマだったよ!

今回は4本のドラマを特集したよ!
「ライブ」や「今日もあなたに太陽を」は社会派のドラマで、見応えあったね。
ドラマ鑑賞は続いているので、備忘録として書いていくよ。
次回をお楽しみに!

Holidays In The 散歩 ファーレ立川

20231126 14
【立川市公認なりそこねキャラクター「ウドラ」と公認キャラクター「くるりん」を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

社会人になってから、共通の趣味を持つ友達を作るのって難しいよね。
個人的な話をすることも少なくなっているし。
SNAKEPIPEが以前から知っていた女性からナンパされ(笑)、一緒に飲みに行ったのが今年の3月。
女2人の飲み会は大いに盛り上がり、「現代アート好き」という共通の嗜好が発覚!
それ以来、展覧会情報を交換するなど親交が深まっている。
彼女の名前は友人Hとさせてもらおう!(笑)

ROCKHURRAH RECORDSの移転に伴う作業が一段落し、少し時間に余裕が生まれてきた。
そんな時、友人Hから「立川に遊びに来ませんか?」と誘いを受ける。
立川は友人Hのホームタウンなんだよね。
そして「パブリック・アートがたくさんある」というのである!
かつて「鳩ノ巣渓谷」や「高尾山」だったり、「横田基地」など西東京方面に行ったことはあるけれど、立川で下車したことはないSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHはかつて、友人を訪ねて遊びに行ったことがあるそうだけど、今から何十年前の話なんだろうか?(笑)

「立川 アート」と検索すると「ファーレ立川アート」がヒットする。

イタリア語の「FARE(創る・創造する、生み出す)」に立川の頭文字“T”をつけた「ファーレ(FARET)立川」にある、
世界36か国92人の作家による109点のパブリックアートです。(公式サイトより)

えっ!パブリック・アートが109点!
友人Hと日取りを決め、ROCKHURRAHと共に立川に向かったのである。

パブリック・アートは屋外展示のため、雨天での鑑賞だと厳しいはず。
日頃の行いが良かったのか、この日は「季節外れの暖かさ」になるという予報だった。
立川までの電車内には強めの空調が入っていて、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは体が冷えてしまったよ。
もう少し着込んでも良かったかもしれないね。
そして立川に到着!

「ファーレ立川」は北口にあるという。
改札を抜けて北口方面に歩き始めてびっくり。
ルミネがある!
伊勢丹がある!
高島屋SCまである!
モノレールも走っている!(笑)
道が広いので、人の多さが気にならない。
立川って都会だわ〜!
かつて府中や町田に行った時にも、SNAKEPIPEの勝手な想像を遥かに超えた都会ぶりに驚いたけれど、立川は更に素晴らしいね。

立川すごいね、などと話ながらROCKHURRAHと歩いていると、目に入ってきたのがこれ。
「ファーレ立川は、1994年10月13日に、立川駅北口の米軍基地跡地に誕生したホテル、デパート、映画館、図書館、オフィスビルなど、11棟の建物からなる5.9haの街です。(公式サイトより)」
ということは、5.9ヘクタールの敷地内にアート作品が点在してるんだね!
ゆっくり歩いて作品巡りをしてみよう。

これは宮島達男の作品では?
光っていないと数字の「8」がたくさん並んでいるようにしか見えないよね。
「Luna」というこの作品は、夜になるとピンクとグリーン色の数字が点滅し、カウントダウンを繰り返すという。
夜にならないと鑑賞できない作品もあるんだね。
いつかリベンジしようと強く心に誓うSNAKEPIPEだよ。(笑)

2020年1月に「収集狂時代 第14巻 高額アート編#03」で97億円もの高値がついた記事で紹介したロバート・ラウシェンバーグの作品も展示されていたよ!
「自転車もどき VI」と題された作品で、こちらも夜になるとネオン管が光るんだとか。
日中は完成した状態が観られないとは、とても残念!
この作品もリベンジしないと。(笑)

毎朝テレビで箱根彫刻の森美術館のCFを観ていて、その中でも紹介されているニキ・ド・サンファル。
彫刻の森では「ナナ」という巨大な女性像が展示されているんだね。
いつか箱根にも行ってみたいなあ。
立川ファーレにもニキの作品があったよ。
「会話」とタイトルが付けられた2人が座れるベンチなんだよね。
蛇の装飾がカラフルでキュート!
ここに座っておしゃべりしたら楽しそうだよね。
こうした作品が路上に置かれてるのってすごいよ、立川!(笑)

「これはっ!」
思わず声を出してしまったSNAKEPIPE。
植松奎二の「浮くかたち-赤/垂」は、まるでロシア構成主義のグラフィックを立体にしたみたいじゃない?
例としてエル・リシツキーの作品を載せてみたけど、雰囲気近いよね?
植松奎二は日本とドイツを拠点に活動しているんだとか。
バウハウスの影響も受けているだろうと推測する。
ロシア構成主義もバウハウスもROCKHURRAH RECORDSの大好物。(笑)
今回初めて知ったアーティストなので、もう少し詳しく知りたいと思ったよ!

そろそろ友人Hとの待ち合わせ時刻が近づいてきた。
地元民である友人Hが、お勧めのタイ料理屋さんに連れていってくれるというのである。
北口から駅に戻り、友人Hと合流する。
お顔立ちが華やかな友人H、目立つ色の服や小物が良く似合っていたよ!
ROCKHURRAHと友人Hは初対面だけれど、何の違和感もなくすぐに慣れていて良かった。(笑)
タイ料理屋は、雰囲気も良くてとても美味しかったよ!
次は違うメニューも食べてみたいな。

ランチの後、近くのレコード屋を散策する。
立川には映画館や本屋が複数あって、レコード屋まであるとは!
文化レベルの高さが羨ましいね。

アニッシュ・カプーアの作品も展示されていたよ。
「山」という、そのままズバリのタイトルが付いているけれど、素材は鉄なんだよね。
等高線を基に立体にしたような幾何学的な造形にしている。
クローズアップにして部分だけを観ているとJoy Divisionの1stアルバム「Unknown Pleasures」を思い出してしまった。(笑)
カプーアの作品は、雨風にさらされることで作品が変化していくんだろうね。

カプーアに続き、ここからは鉄を素材にした作品を紹介していこう。
ブルガリアのゲオルギー・チャプカノフは、立川の鉄屑屋さんから昔使われた農機具の残骸を収集し、それを使って作品制作をしたという。
最初に観た羊(画像上)にグッとくる。
頭部にネジみたいなパーツが貼られているところが気に入ったよ。
下の犬もロボット犬みたいで、とても可愛い!
庭に飾りたくなるほどだったよ。(笑)
チャプカノフの作品は、もう一点「馬」があるようなので、次回は是非見逃さないようにしたいね!

不思議な形に惹かれて近寄ってみる。
鉄にペンキを塗っているのかな?
かなり乱暴に筆を使っているのでPUNKっぽくてカッコ良い。(笑)
ROCKHURRAH RECORDSの事務所にも取り入れてDIYやりたいね、などと話す。
これは彦坂尚嘉の「母と子を殺した父親のようなもの」「父親に殺された子を受精させた父親のようなもの」という不穏なタイトルが付いた作品。
経歴を調べると「現代アーティスト、詩人、ノイズ音楽家」とあり、1971年に開催された個展のタイトルが「REVOLUTION」だって。
やっぱりPUNKな人なんだね。
気になるアーティストが増えて嬉しいよ!(笑)

スペインのジャウマ・プレンサも鉄を素材に使った作品だったよ。
観た瞬間に「男根崇拝系」と思ってしまった。
友人Hも同意してくれたので良かったよ。(笑)
書き込まれている文章の意味は分からなかったけれど、らせん状にアルファベットがつながっていてオシャレ!
上部に付いているペンチみたいな装飾も好き。
虎ノ門ヒルズにも大型作品が展示されているようなので、観てみよう。

ポーランドのタデウス・ミスロウスキーはロシア構成主義やシュプレマティスムの影響から幾何学的な作品を制作しているという。
鉄でできた作品を目にした友人Hが「ジャーマン・テクノのイメージ」と感想を言う。
一般人には出ないセリフだよね。(笑)
ミスロウスキーの作品は4点あったけれど、2点だけ画像を載せてみたよ。
骨太でシンプルなカッコ良い作品だった。

かなり歩いたので休憩しましょう、とお茶を飲む場所を探すことに。
立川ステージガーデンという3,000人を収容できるコンサート会場方角に歩いていく。
階段を上ると大きな広場に人が大勢集まっている。
覗いてみると、立川立飛杯という将棋のイベントが開催されていたんだよね。
小学生相手にレジェンドの棋士達が勝負をしてくれる「ぐるぐる将棋」の真っ最中だった。
そして画像は羽生善治!
友人Hから「立川に羽生さん来るんですよ」と情報は聞いていたけれど、まさか本物に出会えるとは驚いてしまった。
皆様がスマホを構えていたので、SNAKEPIPEも撮影させてもらっちゃった。
友人Hは「頭が良くなる!ご利益がある」と羽生さんの空気を自分に向けて呼び込んでいるし。(笑)
嬉しいハプニングだったね!

立川を歩いた「Holidays In The 散歩」、とても楽しかった!
都会的でアートな空間が広がる、素敵な場所に誘ってくれた友人Hに感謝だよ。
夜にならないと完成形にならない作品が他にもあるようなので、また行ってみたいね。(笑)