CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez part2

【新しいヒーロー登場?祝・初主演!ダニー・トレホ万歳!】

SNAKEPIPE WROTE:

ついにこの日がやってきた!
待ちに待ったロバート・ロドリゲス監督最新作「マチェーテ」の公開である。
以前「CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez」で書いてるね。

プラネット・テラー in グラインドハウス」には偽の予告編が入っていて、そのタイトルが「マチェーテ」(原題:Machete 2010年)である。
グラインドハウスはジョークで作ったような部分があって、「マチェーテ」予告編もいかにもありそうなB級映画らしい作りになっていた。

そう。
本当は偽の予告編の「マチェーテ」だったのに、どうやらそれが好評だったせいで映画化したという、なんともロドリゲス監督らしいエピソード。
主演は大注目の俳優、ダニー・トレホだにー。(笑)
アメリカではヒットしたという情報を「めざましテレビ」で観たけど、日本で公開されるのかなと心配していた。
そのため公開が決定した知らせには飛び上がるほど喜んだSNAKEPIPEである。
しっかり座席も予約して公開初日の初回に観てきただにー!(笑)

最近はほとんど「絶対観たい」と思う映画に巡り合わず、映画館に足を運ぶことが少なくなっていたため「新宿バルト9」という映画館は初めて。
ここはオンラインチケット予約ができて、しかも座席も前持って自分で選べるというシステムを採用しているのである。
これなら並ぶことなく、しかも好きな場所で観られるから安心ね!
行ってみると意外なことに(?)「マチェーテ」の初回は満席とのこと。
えっ、こんなに人気があったんだー!
「バルト9」は雛段形式(というのか)になっているため、満席でも前の座席の人の頭が気にならずに鑑賞できる。
いい映画館で良かった!
一つだけ最悪だったのが、映画が始まってから入場してきた隣のカップル。
飲み物買ってる時間があったら5分早く入れっつーの!
映画館でのマナーって前から言われてるけど、まだいるんだね、知らないお馬鹿が。
最初の数分は不快な思いをしたけど、ともあれ「マチェーテ」の始まりである。

そもそも「マチェーテ」って何?
ROCKHURRAHに聞いてみたら「山刀だよ!」と軽く返事が返ってきた。
ゲームのアイテムとして出てくることがあって、知ってたんだとか。
「マチェット」「マシェット」は英語読みで「マチェーテ」がスペイン語なんだって。
一つ勉強になったね!
そして今回の映画ではマチェーテ(山刀)を武器に持つ主人公の通称が同じくマチェーテ、なのである。
山刀みたいに粗野で荒々しいイメージを重ねてるのかもしれないね。

伝説的な凄腕メキシコ連邦捜査官だったマチェーテことダニー・トレホ。
麻薬王トーレス(スティーブン・セガール)の仕組んだ罠にかかり、妻や子供を殺され自らも殺されかかるマチェーテ。
そして3年後。
街角での賭けケンカでの強さをブース(ジェフ・フェイヒー)に見初められ、不法移民嫌いの政治家マクローリン上院議員 (ロバート・デ・ニーロ)暗殺を依頼されたせいで、追われる身になってしまう。
ただし移民・関税執行局職員サータナ(ジェシカ・アルバ)や移民ネットワークを指揮する伝説の革命家”SHE”ことルース(ミシェル・ロドリゲス)、そしてロドリゲス映画ではお馴染みの俳優チーチ・マリン演じるマチェーテの兄の牧師が味方になる。
ついに怒りを爆発させて敵地に乗り込むマチェーテ一味。
さて、復讐は果たせるのか!?

というのがあらすじなんだよね。(笑)
映画が始まって10分もしないうちに、いきなりの惨殺シーン。
ダニー・トレホがマチェーテ(山刀)を持ち一回転すると、周りにいた4、5人の首がゴロゴロっと落ちるのにはびっくり!
うっひゃー!相変わらずド派手アクション満開ですな!
「すごーい!」と手を叩いてしまったSNAKEPIPEである。(笑)
もう一つすごかったのが「腸ロープ」。
これは詳しくは書かないけど、他では観たことがないアクションだったね。
残酷だけど何故か笑えてしまうところが、さすがロドリゲス!

テンポの良いアクションとストーリー展開。
マカロニ・ウエスタン映画の王道ともいえる裏切りと復讐がメインだから、決して新しいとは言えないのにね。
移民問題を絡めたり、映像を記録してDVDに焼いたりするような部分があったために、現代風の仕上がりになっているのかな。
今回の「マチェーテ」ではテキサス州が舞台になっているけど、アメリカ南部には根強い差別意識があるみたいだからね。
イージー・ライダー」ではマルディグラに行くために南部(ニューオリンズ)に行って、差別され殺されてたし。
恐らくロドリゲス監督自身もメキシコ系アメリカ人なので、差別に関して嫌な思い出があるんじゃないかと想像する。
ただし、ロドリゲス監督の作品では「差別問題」と言葉にするほど重くはなく、さらっと触れているだけのような印象を持った。
映画の中で悪党をバシバシやっつけていくことで監督自身も復讐してるのかもしれないね。
確かに観ていてスッキリしちゃったし。(笑)

SNAKEPIPEやROCKHURRAHは大ファンだから喜んだけど、普通に考えたらダニー・トレホが主役って有り得ないよね?
ロバート・デ・ニーロやスティーブン・セガールを追いやっての主役ってところが更にすごいよね。。
かなりの強面だし、刺青だし、筋肉だし。(笑)
1944年生まれの今年66歳!
60代のアクション俳優って…あまりいないよね?
実際に刑務所に長く入っていた経歴を持ってるらしいし。
いやあ、やっぱりあの迫力は「本物」の人だから出るんだね!
映画の中で軽くパソコンは使っていたけど、携帯メールは打てないというお茶目ぶりには笑わせてもらった。(笑)
今回の映画で益々ファンになったダニー!(まだ言うか)

エイプリル役で出演していたリンジー・ローハンもルース役のミシェル・ロドリゲスもダニー・トレホと同じく「ムショ仲間」なのには恐れ入る。
刑務所経験アリの役者が3人もいるなんて、すごい映画だよね。(笑)
ミシェル・ロドリゲスは「怖い顔の女優だな」と「バイオハザード」を観て思っていたので、今回の役どころはとても似合っていたと思う。
顔といえば、移民局職員役だったジェシカ・アルバが「にじいろジーン」で「じぃちゃん!ばぁちゃん!唯が行ぐがらな~」を担当している佐藤唯に似て蝶だったんだよね。
いつ山形弁を喋り出すかと思ってヒヤヒヤしちゃったよ。(うそ)

期待以上の出来に大満足だった「マチェーテ」。
エンディングで「続・マチェーテ」の文字が出たのを観てまた笑った。
本気なのか冗談なのか分からないよね。
続編作ってくれるの、ロドリゲス監督?
どうなるのか乞うご期待!だね。(笑)

CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez

【ロドリゲス監督の次回作「マチェーテ」。主演は大注目のダニー・トレホ!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のCULT映画ア・ラ・カルト!はロバート・ロドリゲス監督。
最近には珍しくこの監督の作品を観たい、と選んでいるのがロドリゲス作品。
全てを網羅しているわけではないけれど、かなりの本数を観ているので簡単にまとめてみようかな。

ロバート・ロドリゲス監督は1968年、テキサス州生まれのメキシコ系アメリカ人。
まだ42歳と、とても若いのである。
テキサスという土地とメキシコの血がそうさせるのか、ど派手なアクションが得意である。

ロドリゲス作品を一番初めに観たのは「デスペラード」(原題: Desperado 1995年)だった。
この作品はアントニオ・バンデラスが主役で、ギターケースの中に銃を隠し持ちギャングのボスに立ち向かう映画である。
ウエスタン調の雰囲気と残酷描写、そして馬鹿馬鹿しいまでに派手なアクション!
盟友であるタランティーノ監督も俳優として出演している。
タランティーノらしく、オチがかなり後にくる話を延々を喋り続ける役。
しかもそのオチがあまり面白くない。(笑)
いかにもウエスタン映画でありそうなバーのシーンで、いかにもありそうな殺され方が恐らくタランティーノの気に入ったんだろうな。
「ウエスタン映画で殺されてみたい」願望なのかもしれないね。
この映画の中で一番興味を持ったのは刺青を入れたナイフ投げの男。
一言もセリフがない役だったけれど、非常に存在感があった。

デスペラードは3部作になっていて、ぞの元ネタとなったのが「エル・マリアッチ」(原題:El Mariachi  1992年)である。
この映画で出演しているのは無名の俳優ばかり、予算もかなり低く、そういう意味では話題性に乏しい映画のはずである。
ところがぎっちょん!(笑)
この映画、すごく面白かったんだよね!
キレのあるカットやアクションシーン、話の面白さ。
「お金がないからできない」
「いい役者がいないから難しい」
なんてことはないんだね。(笑)
撮りたいから撮る、というガッツ(死語?)が存分に伝わってくる。
言い訳せずに、自分ができる範囲で充分人を納得させる面白い映画が作れるんだなと感心してしまった。
やっぱりいるんだねえ、真剣に映画作りをする人って!
これじゃあ出世するはずじゃわい。(笑)

そして「デスペラード」後編の「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」(原題:Once Upon a Time in Mexico  2003年)。
3部作とはいっても、全てのストーリーが連続しているわけではなくて、ギターケースを持った主人公という設定が同じなんだよね。
またもやこの映画の主役はアントニオ・バンデラス。
「デスペラード」がヒットしたせいだろう、準主役としてジョニー・デップも登場している。
SNAKEPIPEはジョニー・デップである必然性はあまりないなあ、という感想を持ったけどね。(笑)
予算が高くなったせいで、アクションはより派手になり火薬の量も増えている。
話もちょっと複雑になっていて、誰が味方で誰が敵なのかよく判らなくなる感じ。
お金をかければいいってもんじゃないんだなあ、という感想を持った。
低予算だと褒められるけど、予算が高く組まれると「それでこの出来?」と言われてしまう映画人って辛いねえ。(笑)

ロバート・ロドリゲスってどうやらかなりゾンビ映画が好きみたい。
フロム・ダスク・ティル・ドーン」(原題:From Dusk Till Dawn 1996年)と「プラネット・テラー in グラインドハウス」(原題:PLANET TERROR in Grindhouse  2007年)はホラー映画といっていいと思う。
ジョージ・A・ロメロ監督の特殊メイクでもお馴染みのトム・サヴィーニが俳優として両方の映画に出演しているのも、ホラー映画好きにはニヤッとさせられる。
とてもいい味出してるんだよね!

「フロム・ダスク・ティル・ドーン」はジョージ・クルーニーと、また俳優として登場のタランティーノが犯罪者兄弟という役どころ。
この二人が兄弟って設定自体ちょっと有り得ないけどね?(笑)
前半と後半で全く別のジャンルになってしまうところが斬新な映画である。
前半は犯罪者兄弟が人質を取って逃亡するアクション映画。
後半はタランティーノの血を見たダンサーがバンパイアに変身するところから、急にホラー映画になってしまうのだ。
この滅茶苦茶ぶりがたまらない!(笑)
そして人質と犯罪者が揃ってバンパイアに立ち向かう、という本来の筋とはかけ離れた物語になっていく。
ホラー映画なのに笑ってしまうのもなかなかない経験だよね。

「プラネット・テラー in グラインドハウス」は初めからアクション・ホラー映画って書いてあるよ!(笑)
SNAKEPIPEが知らないだけかもしれないけど、アクション・ホラーなんてジャンルあったのかな?
これもまた「んな馬鹿な!」連発のど派手な映画である。
ゴーゴー・ダンサーが事故に遭遇し、失った片足の代わりにマシンガンを装着して街に溢れたゾンビと戦う話である。
と書いたけど、これだけでもその滅茶苦茶ぶりがよくわかるよね。(笑)
丁度同時期に「片腕マシンガール」という映画があったので、それの足バージョンだね!
それにしてもあの片足の撮影はどうやったんだろう?
ものすごくリアルだったんだけどね。
あの女性がロドリゲス監督の婚約者だっていうから驚くじゃありませんか!
ま、あそこまで徹底してロドリゲス世界を表現できる女性なら上手くいくか!(笑)
そしてこの映画にもタランティーノが俳優として出演。
かなり情けない役だったけど、やっぱり出たいんだね。(笑)
かつてSNAKEPIPEがそうだったように、ゾンビ映画と聞くだけで嫌悪感を感じる人が多いと思うけど、この映画は絶対お薦めよ!

子供向けだからやめようかと思ったけれど、一応観てみた作品が「スパイキッズ」(原題: Spy Kids 2001年)。
さすがにファミリー向け映画だけあって、ロドリゲス特有の(?)毒気はほとんど感じられない。
大活躍する2人のお父さん役、アントニオ・バンデラスがあんなにコミカルな役を演じるとはびっくりした。
子供達が手に入れるスパイ・グッズ屋さんのオーナーが「デスペラード」のナイフ男!
バンデラスの兄、という役どころである。
今まで観たロドリゲス映画の中に彼は必ず出演しているけれど、笑った顔を見たのはこの映画が初めて!
子供向け映画ではいい人になってるんだ、とびっくりしちゃったよ!
皆さん、今までのイメージとは違ってるのね。

「シン・シティ」(原題: Sin City 2005年)はアメリカン・コミックが原作の映画化。
ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、ルトガー・ハウアーと知っている俳優がクレジットされているけれど、特殊メイクされているため判り辛い。
話が3つのパートに分かれているため、話の区切りがはっきりしない時があって苦労したのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
コミックが原作なだけあって、結構エグい描写があったけれど、モノクロームだからそこまで酷く見えなかったね。
血の色は白になってたし。(笑)
2つめのエピソードに出てきた娼婦の防衛隊がカッコ良かったな!

「プラネット・テラー in グラインドハウス」には偽の予告編が入っていて、そのタイトルが「マチェーテ」(原題:Machete 2010年)である。
グラインドハウスはジョークで作ったような部分があって、「マチェーテ」予告編もいかにもありそうなB級映画らしい作りになっていた。
そしてその主演が「デスペラード」の時から注目していた俳優、ダニー・トレホ
調べてみるとダニー・トレホ、ロドリゲスの従兄弟だって。(笑)
傷だらけの顔と鍛え上げられた筋肉、そして刺青!
一度見たら忘れられない俳優だよ。
こんなに存在感のある従兄弟だったら出演依頼したくなるよね!
初めは偽の予告編だったはずなのに、「マチェーテ」本編を本当に作ったらしい。(笑)
これは非常に楽しみ!
1987年公開のアーノルド・シュワルツェネッガー主演「プレデター」のリメイク版、現在公開中の「プレデターズ」もいつか観てみたい。
ど派手アクションとB級っぽさプンプンのロドリゲスからは目が離せない!(笑)

CULT映画ア・ラ・カルト!【07】ピンキー・バイオレンス編

【女番長シリーズに出演のスケバン達】

SNAKEPIPE WROTE:

7月12日の月曜日はこの数年の中で最もツイてない日だったように思う。
1.風の強さのために朝一番で傘が壊れる。
2.日頃使っているロッカーの鍵が開かなくなる。
3.そして極めつけはなんとパソコンが壊れてしまったのである。
いきなり「バツッ」と変な音がしたかと思うと、急に電源が落ちてしまった。
何事かと思って電源を入れても「キューン」とすぐに落ちる。
恐らく電源系統の不調のせいだと思うけれど、中身を探って修理するなんて技は持ち合わせてないしね。
4年前に買ったパソコンなので買い替えてもいいか、とあっさり決断。
バックアップは外付けHDDに保存しているので、データがどうのという問題もなし。
日進月歩の世界だから当たり前だけど、前回の機種よりハイスペックなパソコンを手に入れることができた。
これでついにSNAKEPIPEもWindows7になっちゃったね。(笑)

前フリは全く内容とは関係なくて、今回は70年代に流行した東映ピンキー・バイオレンスについて書いてみようと思う。
とはいっても70年代初頭の映画がほとんどなので、今では手にすることができないものが多いんだよね。
いろんなシリーズ物になっていて面白そうなのに残念!
今日はその中から、観ることができた3本についてまとめてみようかな。

「女番長ゲリラ」(1972年)
杉本美樹が主役のスケバン映画。
新宿赤ヘル団という4人のバイクチーム。
映画が始まってすぐに男4人に絡まれると、いきなり片乳を出し刺青を見せる杉本美樹。
全く必然性のないヌードは70年代にはよくあるパターンだよね。(笑)
東京の赤ヘル団vs京都のスケバングループの対決で、東京の勝ち。
杉本美樹が京都で番を張る(死語)ことになる。
そこに暴力団や杉本美樹の恋愛話などが絡んできて、スケバンの愛と友情、そして悲しみなどが綴られているのだ。(変な説明か)。

この映画の中にはいろんなゲストが出演している。
岡八郎鳳啓助京唄子といった当時人気があった芸人がほとんど映画の内容とは関係がなく、ただ笑いを取るためだけに登場する。
あがた森魚も「赤色ブルース」を劇中で歌い、役名も「あがた森男」とほとんどそのまんま。
遠目で見ると「ずうとるび」の新井か野村よっちゃんか、という風貌だね。(笑)

それにしても主役の杉本美樹は普通なら主役になれるような女優じゃなかったように思うけど、他に誰もいなかったのかしら?
途中から池玲子と杉本美樹が並ぶと「女王と小間使い」くらいの差が出てしまっていたように思う。
赤ヘル団の中に杉本美樹より絵になりそうな女性がいたけど、彼女じゃダメだったのかしらね。
池玲子の後ということで堂々主役の座を勝ち得たみたいだけど、どうも腑に落ちないSNAKEPIPE。
どんなシーンでも撮影OKというガッツが認められたのかな?

調べてみると、どうやら「東映のドル箱ポルノ女優」だった池玲子が歌手に転向する、というので女優を一度辞めたらしい。
その時に撮影されたのが杉本美樹を主演にした女番長シリーズだったみたいね。
池玲子がまた映画に復活して、杉本美樹と共演になった様子。
なるほど納得ね!(笑)

「恐怖女子高校 暴行リンチ教室」(1973年)
まずはタイトルからしてすごいよね。(笑)
恐怖、暴行、リンチ、と三拍子揃ってるし。
主演は杉本美樹。助演に池玲子。
全国の女番長が集められる「希望学園」という女子高が舞台。
風紀委員を務める女子高生チームが学校側とグルになって、総括の名の元に気に入らない女子高生をリンチをする。
リンチの場所は化学実験室。
いろんな器具がありそうだもんね。(笑)
そのリンチの方法がすさまじい。
初めに出てくるリンチは「血を抜く」というもの。
しばりつけ、注射器を使って大量の献血状態。
「人はね、血が1/3なくなったら死ぬんだよ」
なんて笑いながら言う風紀委員長。
スプラッター系が苦手なSNAKEPIPEは、このシーンでちょっとめまいが…。

殴る蹴る、は当たり前。
体に電流を通したり、大量の水を飲ませてトイレに行かないようにする、なんていうのもあった。
ひや~、本当にこんなことを女子高生が考えるかと思うと恐ろしいね!
といっても風紀委員側もその他のズベ公(笑)も全然女子高生には見えないんだけどね。

悪い大人が牛耳る高校とその手先となっている風紀委員を杉本美樹らのグループが一網打尽、めでたしめでたしのラストになるんだけどね。
それにしてもこの番長シリーズって人気があったのかかなりの数、制作されてるみたいなんだよね。

「女番長ブルース 牝蜂の挑戦」(1972年)
我らが池玲子主演の女番長シリーズ。
実はこれがシリーズ2作目で、1作目の「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」(1971年)は残念ながら未見なんだよね。
機会があったら是非観たい作品!

この映画は池玲子がリーダーの京都のパール団と大阪の黒百合団の抗争、そこに絡んでくる暴力団との話である。
上述した3本共に共通するんだけど、女番長が「サシで勝負」する前に必ず仁義を切るのが特徴なんだよね。
あの、「おひかえなすって」のポーズ、右手を差し出し腰を落として
「ワタクシ、生まれは○○、育ちは××、~の、XX、です」
とヤクザ映画さながらの挨拶。
しかも書いたように句読点の付け方が変わってるの。
あれが正式な仁義の切り方なのかな?

結局、最後はスケバン(女)と暴力団(男)との戦いになり、女が勝つ。
悪だくみする暴力団がいて、最初は必ず痛い目に遭うスケバンが復讐するというもの。
スケバンシリーズは全体に同じパターンが多いね。
ストーリーだけを追ってしまうと単純なんだけど、70年代映画は今よりもタブーが少なかったようで窮屈さがないところが好きだな!

ファッションの歴史は巡るといわれるけど、この映画の中の黒百合団の服装はとてもカッコいい。
革ジャンにスリムのジーンズをロールアップ、そしてブーツという70年代にアメリカで流行したガールズ・バイカー物をアレンジしたかのような服装。
今でも十分通用しそうだね。

以前書いたブログ「CULT映画ア・ラ・カルト!<05> 恨み・女任侠編」にも書いたけれど、SNAKEPIPEとROCKHURRAHはすっかり池玲子ファン。(笑)
スケバン、というとやっぱり有名なのは梶芽衣子の「野良猫ロック」シリーズだけれど、どうもこちらは何本か観てもピンとこなかった。
梶芽衣子の良さが上手く伝わっていないように感じたからね。
まだまだ池玲子の出演の作品があるので、観られる時を楽しみにしたい。

CULT映画ア・ラ・カルト!【06】JOHN WATERS part2

【Cecil B Demented Are Go!(音が出ますので注意)】

SNAKEPIPE WROTE:

さて今回はジョン・ウォーターズ監督の第2弾!
CULT映画ア・ラ・カルト!JOHN WATERS part1」でも書いたけれど、ジョン・ウォーターズの映画を入手しようと思ってもなかなか難しい昨今。
今回も仕方なく紹介する3本のうち2本は字幕なしの状態で鑑賞。
以前観たのは随分昔だから記憶はあやふや。
しかもSNAKEPIPEのヒアリングに問題があるため完全に理解したとは言い難いまま書いてみようと思っている。
かなり無謀かな?(笑)

クライ・ベイビー」(原題:Cry-Baby)1990年。
ジョニー・デップ演じるクライベイビー率いる不良チーム「ドレイプス」といい子ちゃんチームの「スクエアズ」の対立と恋を描いたミュージカル映画。
実はSNAKEPIPEは観たことないんだけど、恐らく「ウエストサイド物語」に近いみたいね。
それをパロディ化してるのかもしれない。
途中で出てくる「肝試しレース」は「理由なき反抗」にあった「チキンレース」みたいな感じだったしね。
ヘアスプレー」と似た雰囲気で、結局ジョン・ウォーターズもデヴィッド・リンチと同じく50年代が大好きなんだろうね。(笑)
ストーリーはどーってことないし結末も予想通りだけれど、俳優の個性がイカしてる。
なんとジョニー・デップの(多分)おじいさん役がイギー・ポップ
途中でウサギの着ぐるみ姿で登場するシーンもあり、あのパンクの帝王が!と笑ってしまう。

クライベイビーはロカビリーバンドをやっていて、ジョニー・デップが裏声使いまくりで(ヒーカップね)歌うのはさすがにミュージシャン!
聴かせてくれます!
ウッドベース担当してる俳優さんがストレイ・キャッツの人によく似てること!
当然違う人だけどね。(笑)
バンドのメンバーとしてトレイシー・ローズがいたけど、彼女も本当にサイコビリーの女性版みたいでかなりきまってていい感じだった。

脇はしっかり個性派でまとめているのに、何故かヒロイン役が凡庸な女優。
これだけが納得いかなかったな。

セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ」(原題:Cecil B. Demented)2000年。
この映画だけは字幕ありで鑑賞したため完全に理解できている一本。(笑)
アングラ映画を撮ることを誓い合ったチーム「スプロケット・ホールズ」が命がけで映画を完成させる物語。
今回はヒロインとしてハリウッド女優のメラニー・グリフィス
シリアル・ママ」のキャサリン・ターナーの時もびっくりしたけど、メラニーもよくウォーターズ作品の出演を決心したものだ。
やっぱりこれも「経験」とか「幅を広げる」ためだったのかな?
映画の中でもハリウッド女優役で初めはとても性格の悪いタカビー(死語?)だったけれど、「スプロケット・ホールズ」に誘拐されて無理矢理アングラ映画に出演させられていくうちに女優魂に火が点く。
よーやるわ、と思うほど弾けまくってたメラニーもやっぱりウォーターズ・マジックにかかっていたのかな?(笑)

一番笑ったのは「スプロケット・ホールズ」のメンバー紹介のシーン。
アングラ映画をこよなく愛する彼らは崇拝する映画監督の名前を刺青しているのである。
監督:セシル・B・ディメンテッドはオットー・プレミンジャーの刺青
俳優:チェリッシュはアンディ・ウォーホールの刺青
俳優:ライルはハーシェル・ゴードン・ルイスの刺青
撮影:パムはサム・ペキンパーの刺青
録音:シャルドネはスパイク・リー刺青
美術:ルイスはデヴィッド・リンチの刺青
衣装:フィジットはウィリアム・キャッスルの刺青
メイク:レイヴンはケネス・アンガーの刺青
ヘア:ロドニーはペドロ・アルモドバルの刺青
運転手:ピーティはライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの刺青
プロデューサー:ダイナはサム・フラーの刺青
刺青を見せながら一人一人が名前と役割を自己紹介の形で語る。
その時にバックに流れる音楽がそれぞれの監督の作品で使用された音楽になっているところが凝った演出かな。
SNAKEPIPEも敬愛するデヴィッド・リンチの紹介の時にはツイン・ピークスの音楽が流れていた。
そしてデヴィッド・リンチの名前が彫られている箇所は指だったのだけれど、DAVID LYNCHと5文字ずつあるため一本の指にIDとCHが小さく彫られているのが笑える。
よく見かけるようなLOVEとHATEだったら4文字だからおさまりがいいんだけどね!(笑)

この映画の中ではジョン・ウォーターズには珍しく(?)強烈なハリウッド批判や映画のマナーに関するメッセージなどが盛り込まれていた。
そのためか撮影はヨーロッパで行われたとか。
あら、今回はボルチモアじゃなかったんだね。(笑)
「映画の最中に喋るなんて」
「映画が始まってから入場するとは」
という実は当たり前のことなのに、実際にはまだまだマナー違反の人がいっぱいいる現状に腹を立てる「スプロケット・ホールズ」の面々。
ま、これはジョン・ウォーターズを代弁してるんだろうけど。
ほんとに映画館で不快な思いをすることって多いもんね。
SNAKEPIPEも大きくうなずいちゃったよ!

この映画ではウォーターズの映画の嗜好がよく分かる。
「良質なファミリー映画」はダメだけど「アクション映画」や「ポルノ映画」はオッケー。
パゾリーニ映画祭にお客さんが一人も来ないなんて!」
というセリフもあって笑ってしまった。
完全に「フォレスト・ガンプ」を馬鹿にしたシーンまで出てきて、痛烈に批判。
ただし、SNAKEPIPEもROCKHURRAHもその手のハリウッド映画ってほとんど観ないからパロディなのかどうかが分からなかったけど。(笑)

テーマが明確で脇の俳優の個性がはっきりしていて、とても面白い映画である。
音楽も毎度のウォーターズの好みとはかなり違っていて、ヒップホップやハードコアな音を取り入れていたところも斬新だった。
テロリズムにスウィートな50年代風ポップスは合わないか!(笑)

ア・ダーティ・シェイム」(原題:A Dirty Shame)2004年。
この映画、なんと日本未公開作品!
実はSNAKEPIPEもジョン・ウォーターズについて調べていた時に初めて知ったのである。
もう6年も前の新作を知らなかったとはSNAKEPIPE、ウォーターズファン失格だよ!
それにしても今までウォーターズ作品が日本で公開されなかったことがないので、未公開とはとても不思議だ。
ということでこの作品も字幕なしで鑑賞。
主演がなんと「ブレイクアウェイ」でブレイクしたトレイシー・ウルマン
「ヘアスプレー」の主人公もトレイシー。
「クライベイビー」に出演したトレイシー・ローズ。
これで3人目のトレイシーである。
余程ウォーターズが気に入ってる名前なのかもしれないね。(笑)

トレイシー・ウルマン演じる主人公シルヴィアが突発的な事故で頭を強打。
その事故がきっかけで貞淑な妻から一転、淫乱女になり町中の人を巻き込んでいく話である。
トレイシー・ウルマンの変貌ぶりが見事で、「よーやるわ!」と感心してしまうほどノリノリの演技に笑わされる。
トレイシー・ウルマンはコメディが得意みたいだから、この程度の弾け具合はへっちゃらだったのかもしれないね。
トレイシー・ウルマンとウォーターズのコンビネーションは全く想像できなかったけれど、ここまでやる気マンマンのトレイシーなら第二のディバインも夢じゃないかも?(笑)

なんともチープな作りで、ストーリーにひねりもなく
「Let’s Go Sexy!」
を合言葉に町中の人々が官能の世界に行くこの映画が新作とは!
1964年から始まるウォーターズの映画人生40年、未だにこのジャンルの作品を作り続けるその精神力!
SNAKEPIPEとしてはさすがウォーターズ、と拍手したい気分である。(笑)
一般ウケはしないと思うので、日本未公開だったのもうなずけるけどね。

どうやらウォーターズの新作は2010年「Fruitcake」のようなので、今からとても楽しみだ。