ビハインド・ザ・マスク

【蟹江敬三が天知茂に早変わり!んなバカな!】

ROCKHURRAH WROTE:

あまり旬な話題もなく単に自分たちの中の好みだけをさまざまな切り口で紹介しているこのROCKHURRAH WEBLOGだが、今回書きたいのはたぶん誰でも知ってる有名な作家、江戸川乱歩について。
と思ったがこの偉大な作家をたかがブログ程度の文章量で語るのは大変すぎる。そこで乱歩の作品についてはまた別の機会という事にして今回は70〜80年代に人気だった「江戸川乱歩の美女シリーズ」という一連のTVドラマについて書いてみよう。

そもそも江戸川乱歩は探偵小説の世界で日本を代表するメジャーな作家である事は誰にも異存はないはず。そして乱歩が創り上げた明智小五郎は金田一耕助と並んで誰でも知ってる名探偵なのも確かだろう。
大正13年「D坂の殺人事件」で登場して以来、現代でもこの名前を知らない大人は限りなく少ないと思える。ただし作者や探偵の知名度の高さとは裏腹に、熱心に乱歩作品を読み漁っている現代人は案外少ないのかも知れない。少年探偵団世代は遠い昔の話、映像化された乱歩の映画も一部を除いてロクなものがないしなあ。
そう言って嘆く人にオススメ出来るかどうかは抜きにしてROCKHURRAHとSNAKEPIPEが週末の楽しみにしていたのがこのTV版乱歩シリーズ。いや、単にDVDレンタル屋のサービス・デーに一気に借りてきて休みの間に観てただけなんだけどね。
大昔には確かに人気作家で大衆に読まれていたに違いないが、実際に読まずに知ったつもりになってる世代にも広く乱歩とは明智小五郎とは、という事を知らしめたのが70年代のこのシリーズだろう。

知ってる人はとうに知ってるだろうがこれは77年からテレビ朝日系列「土曜ワイド劇場」でやってた天知茂主演のTVドラマだ。天知茂が主演を務めた8年間で何と25作も作られていて乱歩の主要長編のうち映像化可能な作品はほとんど網羅されてる。
ウチの場合は正月くらいから週末限定で18作目くらいまでまとめて観たけどリアルタイムのファンにとっては「次はいつ?」と待ち焦がれる作品だったろうな。この辺は京極堂シリーズのファンも同じようなもんだろうか。

さて、このシリーズをそれぞれ少年少女時代に観ていたROCKHURRAHとSNAKEPIPEは近所のレンタル屋で見つけ大喜び、あやふやな記憶をもとに順序もメチャクチャにこれを観始める。 昔は原題ではなく「○○の美女」などというタイトルがついたこれらのドラマ、単に入浴シーンとか子供っぽい荒唐無稽な部分ばかり記憶に残っていて「バカらしいけど観るか」程度で借りてみたんだが、改めて得た感想は「やっぱりすんごく面白い」と一致したわけだ。
子供っぽい荒唐無稽な部分は乱歩の作品ではむしろ作者が好んで仕掛けるエッセンスで読者もそれを楽しむわけだから、全然マイナス要素じゃなかったという事だね。

このシリーズは大まかに言えば「黄金仮面」「黒蜥蜴」「地獄の道化師」「魔術師」「緑衣の鬼」など原作でもお馴染みの派手な怪人物が明智小五郎に挑戦して戦ってゆくというもの、あまりこけおどしの部分がなく一般的な殺人事件とその解決というもの、そういうふたつのパターンがあってそのどちらにも違った面白さがある。この辺はいわゆる通俗物と呼ばれた大人向け明智シリーズの原作と同じだね。

この手のTVドラマとしては意外なことに原作に割と忠実に作ってる部分も多く、どちらかと言うと原作至上主義のROCKHURRAHでも納得出来る範囲の脚色、割愛がされていて非常に高得点。たまに原作とはまるで違うものもあるけど乱歩の個性や作風をヘタに曲解してなくて、その辺に好感が持てる。
原作では明智小五郎が出てこない作品もTVシリーズでは無理やり明智の事件として扱われているというような強引な力技もなぜか許せてしまう。
そういう良い脚本もあるけど、このドラマに関しては明智小五郎役をやっている天知茂の素晴らしさに尽きる。

原作としては明智小五郎が活躍したのは大正末期から昭和30年までなんだが、この「美女シリーズ」は放映していたのと同時期、つまり昭和50年代という舞台設定に置き換えている。その現代(昭和50年代当時の)に活躍する明智小五郎=天知茂とは・・・。
眉毛の間の深いシワに代表されるニヒルさと当時のダンディな中年を誇張し過ぎたキザな部分だけを見れば、この名優に馴染みのない世代の人は「何じゃこのオッサンは?」と思えるかも知れないが、これが一般的に考えられる名探偵の理路整然とした推理、というイメージを軽く超越してしまってるところがすごい。
たまに007並のアクションもこなして我々もビックリの大活躍をする。事件を解決するためには常識人が恥ずかしいと思えるような事も平気でする。要するにかなり常識外れな部分も併せ持った超探偵なのだ。
極め付けは毎回恒例となっているラスト近くの明智による変装。真犯人が明智を陥れ勝利の凱歌をあげているような時に最も効果的に犯人を告発するため?なのかどうかはわからないが、ここ一番で明智は巧妙な変装を解き、真犯人だけが「あっと驚く」という仕掛け。
ほとんどの場合、見ている人には明智が誰に化けているかは事前にわかってるのにね。

ちなみに変装以外でも天知茂版明智は住み込みの庭師とか工事人夫とか、天知茂本来のイメージからはかけ離れた人物になりすまして犯人を探るといったような傾向にある。このあたりの部分は明智役の天知茂自身が楽しんでやってるとしか思えないバカばかしさに溢れていて大笑い出来る。
文章でこの面白さを伝えるのは難しいのでまだこのシリーズを観た事ない人は是非ご覧になって頂きたい。

あと、天知茂の70年代ファッションも毎回凄過ぎる。派手な水玉のスーツに水玉のネクタイなどが代表的明智スタイル、襟はきわめて大きく裾はナチュラルに広がっている。正式名称はよくわからないが関西とかで70年代のヤンキーたちに人気だったニュートラ(本来のニュートラとは別もの)と呼ばれていたものと酷似している。オフの時はこういったスーツにキャプテン帽(それじゃ横山やすしでしょう)を合わせたり、もう毎回目が釘付けとなる事まちがいなし。
もしかしたら和製アラン・ドロンといった線を狙ってたつもりなのかも知れないが、このシリーズの天知茂も作者の江戸川乱歩同様に暴走しまくってるよ。

こういうわけで天知茂はウチのアイドルとなったわけだが共演もなかなか味があってよろしい。

まずは明智の相棒役、波越警部を演じる荒井注の独特なとぼけた味。原作ではあんまり出て来なかったような気がしたが石坂浩二版金田一耕助シリーズにおける間抜けな警部役、加藤武みたいなもんだろう。

そして原作では明智夫人となる文代。本当は「魔術師」の娘として登場するんだがこのシリーズでは最初から明智探偵事務所の助手として登場する。この役を「ムー」や「さかなちゃん」で人気あった五十嵐めぐみがやっている。
明智に憧れ、美女になぜかいつもモテてしまう明智に焼きもち、という役柄。この五十嵐めぐみと天知茂のやり取りも毎回の楽しみのひとつだ。

明智小五郎と言えば忘れちゃならないのが少年探偵団という別シリーズでも活躍する小林少年。何とこの役を第一回「吸血鬼」では大和田獏、それ以降はよく知らないんだが柏原貴なる人がやってる。原作ではよく「りんごのようなほっぺ」の少年として出てくるが、このTV版の配役はどう見ても少年じゃないだろ、とツッ込んだ人も多いだろう。

明智を含めたこの4人が犯人に対するのが黄金パターンなんだが「○○の美女」とタイトルにあるように毎回必ず美女役が出てきてこれもなかなか豪華。
※ここまで律義にリンク付けてたがもう面倒なので以後省略。
由美かおる、小川真由美、ジュディ・オング、古手川祐子、岡田奈々に片平なぎさなどなど、思いっきり70年代を満喫出来る。
ほとんどの作品では入浴シーンがあるんだが、ほぼ全て吹き替え。わざわざ体だけ別の人間が吹き替えして多くの人にスタイルが良くないとか誤解されるくらいなら本人がそのままやった方がいいんじゃないの?とも思ってしまうが。

ある意味かなりカルトな作品もあるしウソっぽいけど猟奇的描写もお色気もある。幅広い層が楽しめるエンタティンメント要素を凝縮したシリーズで人気があったのも頷ける。
何しろ25作もあるから全部の感想を書いていたらキリがないし、まとめの要約と言っても「みんな大体似たようなパターンで面白い」としか書きようがなくて結構難しいんだけど、食わず嫌いでこのシリーズを素通りしていた乱歩ファンも観たら目からウロコが堕ちる事間違いなし。

実は近所のレンタル屋ではなぜかシリーズのうち最後の数本だけ置いてなくてこの「美女シリーズ」を二人ともコンプリート出来てない状況で、それが残念。いつごろDVD化されたのかは全然知らないけど、あと少しなんだから何とか入荷してもらえないものかね。

カルトは儲かると?(博多弁)

【「ピンクフラミンゴ」、「イレイザーヘッド」、「リキッドスカイ」より】

SNAKEPIPE WROTE:

4日はSNAKEPIPEの誕生日!
おめでとう、SNAKEPIPE!(笑)
いくつになっても「誕生日は嬉しい日」と言い続けていこう!
ROCKHURRAHから手作りヒップバッグのプレゼント!
春夏用、作ろうと思ってたんだよねー!
さすがに良く分かってるね!どうもありがとう!(笑)
今回は一つ年をとったSNAKEPIPEが、10代の頃から好きな分野について熱く語ってみたい。

まだカルト映画、というジャンルが確立される前、レイトショーでロングランされていた映画がある。
「イレイザーヘッド」、「リキッドスカイ」、「ピンクフラミンゴ」が代表的な作品であった。
(他にもアレハンドロ・ホドロフスキーが有名だけれど、これはまた別の機会にまとめたいと思っている。)
情報だけが先行して実際に上映されるのはごく限られた、ある一部の劇場でだけ。
もしくは上映すらされなかったのかもしれない。
今のようにネットで簡単に情報が手に入る時代ではなかったので、情報を集めるのは大変だった。
本屋で仕入れる、レンタルビデオ屋で探す、映画館での予告、など実際に足を使って調べていた。
似た趣味の友人から今度どこそこでこんな企画があるらしい、という耳よりニュースもあった。
当時の記憶が定かではないため、どのようにして実際にそれらの映画を観ることに成功したのかはっきりしない。
ただ後のSNAKEPIPEに多大な影響をもたらしたことは確実である。(大げさ)

「イレイザーヘッド」(1977年)はこのブログに何度も書いているけれど、敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの初長編映画。
フィラデルフィアの重くどんよりした空気を上手く伝えるモノクロ映像である。
主役のジャック・ナンスが若い。
そして、あの髪型。
リンチがこの映画の完成に5年近くの年月をかけたことは有名な話だが、ナンスはその間ずっとあの髪型だったとは!
改めて観直してみると、リンチがこだわりを持って映像を作り上げていったのがよく解る。
モノクロームの美学。
それは光と影を使ったグラデーション。
室内の撮影はライトで調整できるだろうが、屋外では自然光のため、思い通りの映像に仕上げるのは難しいだろう。
映画開始から約10分程度の完成までに1年半かかっている、という記事を読んだ。
ものすごい執念、物凄い情熱!
粗筋として物語を語ると平凡な男に奇妙な子供ができた話になるが、この映画はそんなに単純ではない。
本筋以外の奇妙な出来事や脇役が映画をより効果的に盛り上げているように感じる。
出口がない閉鎖的な空気、将来が予想できない奇妙な赤んぼう。
いや、果たしてアレを子供と呼べるのか?
未だにあの赤んぼうの撮影秘話は語られていないそうだが、さすがは秘密を大事にするリンチ。
謎は謎のままでイイ。
あの話を現実のものと考える、もしくは誰かの頭の中の脳内映像(もしくは夢)と考えるなどの解釈は鑑賞者の好きでいいのだろう。

リンチは恐らく子供の頃に観たモノクロホラー映画の影響を受けているのだろう。
先日観た「ドラキュラ」に「イレイザーヘッド」によく似たショットがあった。
ドラキュラも影の表現が秀逸な作品で、モノクロのエンターテインメントを堪能することができる作品である。。
写真もそうだけど、色のない世界を表現するほうが難しいだけに練られている感じがする。
ムードも抜群だしね。
もちろん好みの問題もあるけれど。
以前紹介したプレイステーション2のCFでのニック・ケイブ版はまるでイレイザーヘッドだった。
異形の出現。
なんだか分からない未知の世界に迷いこんだ恐怖。
あり得ない光景を目にして、何が真実なのか分からなくなり自分の存在自体を疑ってしまうような精神の揺れ。

近所のレンタル屋では「イレイザーヘッド」をホラーのくくりに入れてるのに違和感を感じていたけれど、実はその見識は鋭かったりして?(笑)
というよりもカルトコーナーがないのがおかしいんだけどね!

ファンならサントラも持ってて当然なんだけど、これが効果音とか赤んぼうの泣き声などが収録されている代物で。
とても夜中に聴けないよー。えーん、こわいよー!
唯一音楽といえるのはラジエーターの中で少女が歌うリンチ作詞の「In Heaven」だけ。
これは後にジュリー・クルーズに提供した詩の雰囲気と同じで、ふわふわとした浮遊感とけだるさを同時に体感できる不思議な曲である。
やっぱりリンチの主題は「夢と現実の曖昧な境界」なんだね。

「ピンクフラミンゴ」(1972年)もかなり衝撃を受けた作品である。
今まで何度観直したことだろう。
一番最初に観たのがいつのことだったか全く記憶にない。
ディバインの圧倒的な存在感とキテレツな主題だけが印象に残っていた。
ディバインのチームと、我々こそが一番と名乗りをあげたマーブル夫婦とが最低人間世界一を競うというのがテーマ。
なんとおバカでお下劣なんでしょ!(笑)
そこがこの映画の醍醐味であり魅力なんだけどね。
ディバインの派手な化粧や衣装、音楽もオシャレで悪趣味な部分以外を楽しむこともできる。
公開当時はかなりショッキングだったであろうこの映画も、今ではMOMA美術館に永久保存される栄誉を獲得したらしい。
前述のイレイザーも同様に永久保存認定。(ちなみにロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」トビー・フーパー監督の「悪魔のいけにえ」も永久保存だって)
人の価値観が変わったのか、アートの領域が広がったのか。
今ではバッドテイストやB級というのは宣伝文句になってるしね。
インディーズ、というジャンルと同じ運命をたどっているのが残念な感じ。
昔を懐かしむつもりはないけれど、あまりになんでもアリでオープンな状態は面白味に欠ける気がしちゃう。
2008年にはノーカット・無修正版も登場!
ずーっと昔に新宿で掘っ立て小屋みたいなモグリの上映でノーカットを観た時以来の無修正版鑑賞となった。
日本も随分コードがゆるくなったもんだね!(笑)

「ピンクフラミンゴ」はサントラも素晴らしい!
前に書いたことがあるけれど、「サーフィンバード」が非常に効果的に使用されていたり、全体にガレージ色の強いノリがいい音楽満載。
ラストの問題のシーンで使用されている「(How Much Is) That Doggie in the Window?」はご愛嬌だね。(笑)
誰にでもお勧めできる映画ではないがSNAKEPIPEにとっては重要な一本である。

最後に紹介するのは「リキッドスカイ」(1982年)。
ニューヨークを舞台にナイトクラブに集う若者たちを描いた作品である。
音楽、ファッション、部屋の装飾、途中で挿入される商業写真など、全てがスタイリッシュ。
主人公が住んでいるような屋上テラス付きのマンションにどれだけ憧れたことだろう。以前まではレンタルで簡単に観られたのに、今では入手困難。
元々DVD化はされてないため、ビデオにプレミアが付いてる模様。
待ってるファンも多いはずだけど、何か問題があって再発できないとか?
欲しいと思ってる人、多いだろうにね?
サントラだけは再発され、当然のように入手。
監督自身も参加した完全なオリジナル曲は、ニューウェイブというよりインダストリアル・テクノと言ったほうがいいかもしれない。
かなり独創的で、音楽も強烈な印象を持つ。
劇中エイドリアンが歌う曲は、ほとんどラップ!
歌詞はパンクでなかなか面白い。
亡くなった教授に向かっても「you go to hell!」って呪いのラップを捧げてたしね。(笑)

自分の生い立ちから始まりどうしてNYに来たのかを語る主人公マーガレット。
最先端を行く飛んでる女(古い)にもこんな一面があったとは。
いや、もしかしたら現代の都心部で生活している人たちも似たような心情を持つのかもしれない。
結局自分の絶対的な理解者が一人いれば、その他大勢の視線や噂に名前が上ることでの存在確認は必要がなかったはずだ。
存在価値を見出すための他者がすべていなくなってしまった後、エイリアンに救いを求めてしまうマーガレット。
この人は自分を理解し必要としてくれる、と勘違いしちゃったんだね。
まるでウェディングドレスのような裾の長いドレスを着て、旅立って行くマーガレットは美しいけれど、切なく哀しい。

それにしてもこの映画を観た後って必ずアップルパイが食べたくなっちゃうんだよね!(笑)

上記3本が10代の頃から大好きなカルト映画である。
最近のカルト事情をよく知らないなあ。
どうやらかなりカルトの範囲が広がってるようなのでこれもカルトと呼ぶのか、と思ってしまうこともしばしば。
なんかこうグッと来るようなカルト作品にめぐり会いたいなあ!
ひとまずはリンチの新作に期待かな。(笑)

潜入!モッズ集会緊急レポ!

【お馴染みのライブ会場入り口の告知】

SNAKEPIPE WROTE:

バンドをやってる友人がいる。
今までに何度も今度ライブ行くよ、と言ってきたのに口約束だけ。
実際に足を運んだことがなかった。
ジャンルがいつも行くようなパンク系やサイコ系ではなくモッズ系のため余計にライブ行きを見送っていたのかもしれない。

先日その友人からメールが届いた。
十数曲のMP3が添付されていて、それぞれの曲についての正直な感想を聞かせて欲しいとのこと。
全然ジャンルが違うSNAKEPIPEが感想言っていいのかな、と思いながらも抜き打ちテストのようなハプニングを楽しんだ。
メールにはMP3以外に曲名もバンド名も付与されていなくて、全く何の情報もない。
友人のバンドの曲も入っているらしいが、何曲目なのかも分からない。
思うままに感想を言ってしまって、友人のバンドをけなしてしまうかもしれない。
非常にスリリングな体験になりそうだ。
この年になっても本音と建前の使い方をよく知らないSNAKEPIPEは、詳しい内容は割愛するが素直に感想を書き連ねメールを返信。
友人からは非常に感謝され、実はそれらのMP3の曲はモッズのコンピレーションアルバムに入る曲だったこと、今度レコ発ライブがあるので招待したいとの返事をもらった。
なんと!初めてのモッズ集会!モッズ・ライブ参加決定!(笑)
パンクやサイコなら分かってるけれど、モッズのライブの予想ができない。
モッシュなら知ってるし、モップスも分かるんだけど。(苦しい)
何を着て行こうか悩んでしまう。
そもそもモッズ(男)の服装はなんとなく知ってるけれど、モッズ(女)について知らないし。
友人に相談してみるといつも通りのパンクの服装でいいんじゃない?とのこと。
そうね、ジャンルに合わせることもないか。
と思いつつ、ちょっとモッズに変身してみたかったなとも思う。

そしてついにライブ当日である。新宿JAMって初めてかも?
東新宿駅が一番近い、と調べ新宿から歩くこと約20分。
今までほとんど歩いたことがない地域。
しかもガランとしてて寒い!
開場時間前には新宿JAMに到着して、いつも通りに看板を撮影。
おや?貼り紙がされている。
なんとリハーサルが遅れているため開場時間も遅くなるとのこと。
仕方なく近くでお茶を飲んで待つことに。
1時間程歓談した後ドキドキしながら再びJAMへ。
今度は入れた。良かった!(笑)

まだ演奏は開始されていなくてDJタイムだったため、照明は明るいまま。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは二人共鋲ジャンに革パンという、まるで
「モッズの集会に殴りこみに来たロッカーズ」
のよう。
非常に冷たい視線を浴びてしまった。(笑)
演奏開始になる前にお決まりの観客チェック!
男性はモッズコートじゃこの時期寒いせいかスーツの上にモッズコート(M51)じゃなくてN3、ポークパイのような服装。
もしくはGS系の古着ファッション。
女性はほぼ8割が古着ワンピース(もしくは古着風の)で60年代の雰囲気。
パンク・サイコ系ライブの観客に比べるとかなり地味。
すごいお洒落だな、と思える人は残念ながらいなかった。
革ジャン率は5%くらい、鋲ジャンは皆無。(当たり前か)
ロンドンナイトのDJやってる稲葉さんも来てるな。
前に挨拶したことあるけど、覚えてないだろうな。(笑)
観察してるうちに時間通り19時に演奏が開始された。

Little Soul Drip
The Mammals
SNATCH’
pamplemousse
THE HAMMONDO CONNECTION
THE FAVE RAVES
the hair

上記の7つのバンドが出演したけれど、全て初めて観るので名前が分からないため、出演順に感想を書き連ねてみたいと思う。(上の順番でいいのかもしれない)

1番目に出たバンド。
ネオGS系。
初期のストライクスを思わせるビートルズ風のスーツ。
一名だけ服装が違うのが気になる。
SNAKEPIPEも知ってる曲「 ウォーキング・ザ・ドッグ」を演奏。
うーん、やっぱりダイナマイツのカヴァーにはかなわないなあ。(笑)
演奏がもっと上手くなってキレが良くなれば割と好きかも。
               
バンド交替のDJタイムにスルスルと滑るように踊り狂ってる観客を発見。
あのダンスに名前を付けるならば「ムーンウォークダンス」とでも言おうか。(笑)
本人はノリノリで「見て!見て!」と言わんばかりに披露していたけれど、他ではあまり見かけたことがないダンス。
観たことがあるとすれば「薔薇の葬列」の中に似たダンスがあったかも。(笑)
そのうちにムーンウォークダンスが波及していき、第2、第3のムーンウォーカーが出現してきた!
あの踊りってモッズでは当たり前なの?
変わった見世物だったな。

2番目、The Mammals
これは前に聴いた時にライブが良さそうなバンドだなと感想を持っていた通り、かなり迫力がある。
ヴォーカルの声量がすごいが、ルックスがちょっと不気味。
しかも時々意味もなく笑ったりするので怖い。
ギターの人はパンクに転向したほうが良さそうなポールシムノンばりのスタイル。
SNAKEPIPEの好みとしては、もっと70年代ロック色を打ち出してハードでワイルド、パワフルの3拍子を打ち出したほうがファン(特に男性の)が増えそうな気がする。

3番目はインストバンド。
この手のジャンルに関しては全く無知のSNAKEPIPE。
ある程度演奏が上手いのは当たり前だし、どの曲を聴いてもどこかで聴いたように思えてしまう。
特にこれといった特徴もなく、BGMとして聴き流してしまった。

4番目は女性ギター/ヴォーカルと女性ベースのバンド。
フレンチポップスみたいなのに、最初の3曲全ての最後がクラッシュの「トミー・ガン」のイントロそっくりで終わる。
そのことに気付いてROCKHURRAHと笑っていたら
「おかしいですよね!おかしいですよね!」
と全然知らない観客の一人も笑いながら話しかけてきた。
「なんでトミーガンなんだろうね?」
「そうそう、おかしー!」
と知らない人と盛り上がってしまった。(笑)
最後の曲だけがまるでエゴラッピンみたいで、他の曲に関してはトミーガンのバンド、としての印象しか残らなかった。

5番目。
またもや全員スーツでメガネ、という1番目に出たバンドと同じようなスタイル。
人気があるバンドだったみたいだけど、SNAKEPIPEには何がやりたいのかよく分からなかった。
スタイル・カウンシルのカヴァーをやってたらしいけど、ROCKHURRAHに言われるまで気付かなかった。
いや、そう言われても分からなかったSNAKPIPE。
原曲は知ってるはずなのにね!            

6番目、オヤジバンド。
現代のキングトーンズか、と思うような高音のヴォーカルはすごい声量の持ち主。
R&B要素が強いこの手のバンドは演奏もヴォーカルも上手くて当然だと思うので、あえて特徴的とは言えない気がする。
もしこのバンドが「イカ天」に出たとしたら、恐らく審査員の伊藤銀次あたりから
「完成度高いけど、まとまり過ぎてて面白くない」
って言われるだろうな、って感じ。(古い!)
ちょっと暑苦しく、しつこい雰囲気なのでSNAKEPIPEは「一度でお腹いっぱい」と思ってしまった。

ラスト、the hair登場。
スタートはすでに23時を超えていて、ちょっと電車の時間が気になりだした。
初めて観るので、ヴォーカルが女性なのも知らなかった。
正統派モッズ、というのかな。
ソフトな曲からR&B要素が入った曲、いかにもモッズという曲があり、さすがにキャリアの長さを感じさせる貫禄の演奏。
ギター・あいさとうさん、すごい上手い!
ヴォーカルがまるでジッタリン・ジンみたいにどんな時でも無表情なのが気になる。
いや、彼女に笑顔は似合わないかな?
あいさとうさんのボソッと呟くようなMCがもっと聞きたかったな。
6番目のバンドあたりから気になってたんだけど、ヴォーカルの音が割れて聴き辛くなっていたような。
PAがいまいち?
そのためthe hairの時も同じように音が割れていたのが非常に残念だった。

今回のモッズ集会の感想をまとめてみようかな。
モッズ、と聞いて思い浮かべるのはThe WhoThe Jamだけど(というよりそれしか知らないかも)、その2つのバンドのルーツとなるような黒っぽい音楽を踏襲したバンドが多かったかな。
もっと進化させたり、ミクスチャ要素が入ってくると面白くなりそうだけどね?
温故知新という言葉にあるように古いものを求めるのもアリだけど、新しきを知るところには来てない気がして少し残念。
音楽も服装もネオじゃなくてオリジナルのカヴァーなんだね。
現代に持ってくるならば、プラスアルファのスパイスが欲しい。
そんなに詳しくないSNAKEPIPEが言うのは失礼かもしれないけどね!

最後に、友人F君、ご招待&ゴチありがとう!
しかも奥様のAさんからもゴチしてもらっちゃって!サンキューです!
この場を借りてお礼を言わせてもらうね。
また今度ゆっくり話したいね!

Macで●REC

【ちょっと苦しいけどBill Nelson's Red Noise風にROCKHURRAHが制作】

ROCKHURRAH WROTE:

ROCKHURRAH家7つの自慢のうち、真っ先に思いつくものと言えば(「世界☆ぐるぐるジーン」的に言ってみた)ウェブ・ブラウザを不必要なほど豊富に取り揃えている事と、音楽を録音する環境がやたら充実している事だ。
そういうわけで今回はパソコンを使った録音に焦点を当ててみよう。

ちなみにROCKHURRAHはWindowsの世界は詳しくないので、自分が普段使ってるMacでの環境のみ書く事にする。

最初に断っておくがROCKHURRAHはデジタル・オーディオ・レコーディングのプロでも何でもないし特に詳しくもない、ミュージシャンのように楽曲を作って活動してるわけでもない。いや、楽曲を作っていた時期もあり、なかなかクオリティは高かったと自分でも言えるんだが、それは良く出来た趣味のひとつ。今は単にひたすらレコードをラインから録音してるだけの素人だ。それがこんな記事を書くというだけで無謀な話なんだが、他に目ぼしいネタもないので仕方ない。何か専門的な内容を期待した人はごめんなさい。

思えばROCKHURRAHは昔から録音の好きな少年だった。音楽を聴くという事と録音するという事が同じくらい好きで録音ばかりしてた。誰でもやってた事なのかどうかは知らないがレコードの中からピックアップしたお気に入りの曲を全体の構成を考えてカセット・テープ(時代だね)に録音して自分だけのベスト盤といったものを山のように作ってきた。時代は変わってカセットがMDになったり自家製CD-Rになったりしたが、やってる事はずっと同じだ。これをウォークマンで聴いたり、(人の)車の中でかけたり、友達に作ってやったり、もうそんな事ばっかやってたのが我が青春時代だと思える。

普通とちょっとだけ違うとすれば、こういったベスト盤に「マイ・ミュージック」などと情けないタイトル(笑)ではなく、何となくそのベスト盤自体を確かに感じさせる深遠なタイトルを付けて、ちゃんとした自分なりの解説を冊子にして人に贈ったものだ。これは大変に評判良くて、時代ははっきり言えないが当時のシモキタ界隈でパンク、ニュー・ウェイブと言えばROCKHURRAHと胸を張って言えるくらいのマニアっぷりだったものよ。ちょっと大げさ過ぎた?

今ではそういうのもiPodだったり携帯だったりパソコンだったり趣味のDJだったり、自家製コンピレーション好きというのは時代が変わっても廃れたとは思えないけど、世の中の全部の楽曲がCDやデジタルになってるわけじゃない。
そこで登場するのがレコードなどのアナログ音源をパソコンに録音するという行為だ。
今回は技術的な事は抜きにしてMacで録音するためのアプリケーション(単に使った感想程度なんだが)について語ってみよう。相変わらず前置き長いな。

こういう録音ソフト、いわゆる波形編集ソフトはWindowsでもMacでも無料のものから高級なものまで出回っていて、今回はたまたま持っていたものだけしか書けなかった。素人だから持ってないものは触れない、当たり前の法則。
一応知らない人のために書いておくが、波形編集ソフトとはパソコンに録音した音声を視覚的に「波のような形」に表示して、不必要な部分をカットしたり音をより良くするための特殊効果とかを加えたりして再度パソコンなどで扱えるファイル形式に保存出来るというものだ。説明するまでもないがiTunesとかそういうのとは少し違う。さらに最初に書いたように楽曲を作ってミキシングしたりマスタリングしたりするDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)といったものとも少し違う。


では安い順から。

まずは無料波形編集では定番、Audacity
WindowsでもMacでもLinuxでも、もっとマイナーOSでも動くという汎用性の高さ、そしてタダという魅力から数多くの人がこれを使った録音の経験があると思われる。
日本語の解説のようなものを何とリザードのモモヨが書いているというのも東京ロッカーズ世代ならずともポイントは高いだろう。
そのアプリケーションの性能とか出来る機能とか言われても興味ない人にはどうでも良いだろうから、今回は録音や保存のしやすさとか見た目とか、そういうとっつきやすい部分にのみ焦点を当ててゆく。
写真を見ての通り、ひとつのウィンドウの中に全部のパーツがスッキリ収まっていて見た目はわかりやすい。もっと新しいヴァージョンのはちょっと見た目が違ってるがウチはなぜかこの古いヴァージョンの方を使っていた。こっちの方が特にイイという事もなかった。
この手のソフトは日本語のサイトはあっても半分以上は英語の解説だったりソフト自体の日本語化も手動だったり、日本語化しても言葉がヘンだったり、オープンソース系の海外無料ソフトにはありがちな話。要するにあまり親切ではないんだな。
初期状態でMP3への変換は出来ないのだが、音が良いのとエンコード速度が遅い事で有名なLAME(無料のMP3変換ツール)をダウンロードしてきてAudacityとの関連付けをする事で録音→MP3変換が直で行なえるようになる。起動する時だったかMP3保存する時だったか忘れたがLAMEのある場所聞いてくるので、そこを指定してやれば大丈夫。
こういうのを全くやった事ない人には設定とか、ややわかりにくい部分もあるけど、普及してるソフトだから解説サイトを見れば大体出来るでしょう。無料なんだけど結構高機能でクセがない使い心地。単に録音して前後の不要な部分をカットしたりフェードイン、フェードアウトしたり、ノーマライズ(音量を最適化)したりといった基本的用途ならばこのソフトで充分だろう。


はい、では次。

あまり有名じゃないがHairer Softなるところが出してるAmadeusという波形編集ソフト。
Amadeus 2とProという2つのヴァージョン展開しているが今回試してみたのは2の方。Pro版でも40ドルだが、この2は既に開発終了している模様。
実は結構昔にMac用の波形編集ソフトを探していた時に知り、シンプル極まりない&簡単な操作性、きびきびした動作に惚れ込んだもの。シェアウェアだけどKagiという支払いシステムがよくわからず買わなかったという過去がある。海外製だけどちゃんと日本語で動いてるし読み込みやエンコードも速くて機能的には好きな感じ。設定とかあまりしなくても当たり前のようにクイクイ動いてくれる(何じゃその表現?)。
MP3やAAC(iTunesとかで標準の音声ファイル)で保存する時にその場で音の品質とか設定出来るところが良いね。録音した曲の音程を変えずに速くしたり遅くしたり、ピッチ変更とか出来るところが気に入った。あっ、Audacityにも付いてる機能か?というか今回書いたソフトには全体的に付いてる機能だった。
見た目が95%モノクロで、清潔感溢れる画面があまり好きではないROCKHURRAHにはこの白さが眩しい(笑)。どちらかというと殺風景であまりMacっぽくはないなあ。軽快な動作こそが命でモノトーン好きの人には間違いなくオススメ出来る。


前置き長かったからさっさと行こうか。

お次はFreeverseなるところが出してるSoundStudio3だ。
79.99ドルという半端な価格はどうなのかね?これも海外版だったんだが問題なく日本語表示されてる。ちなみに日本版はアクト・ツーが出しててなぜかオリジナルより安い4980円。見た目はいかにもMacっぽいし波形やバックグラウンドもお好きな色に変えられる。そういう意味のカスタマイズが好きなら迷わずオススメ。ウチの環境では読み込みやMP3への変換という動作も最速だった。
どのソフト使ってもやってる事は大差ないROCKHURRAHとしては、迅速に働いてくれて何となく楽しげな色で録音出来るこのソフトが目下のところ一番気に入ってる。使いこなすのはたぶん最も簡単だ。宣伝してもROCKHURRAHには得にならないがこりゃいいよ。
しかし「楽しげな色」を意識して画面キャプチャしたんだが、こりゃ派手すぎたか(笑)。普段はもっと渋い色でやってます。


さて、最後に紹介するのはMacの世界では有名過ぎるこの一本、Bias謹製のPeak Proだ。

バリューパックで348ドル、日本では54800円ほどもする。何か計算合わなくないか?
本気で本格的にやる人以外は気軽にゃ買えない、名前の通りプロ向けの一本だ。
もうすでにヴァージョン6まで出てるんだがROCKHURRAH所有のはひとつ前のヴァージョン。さすがに54800円あったらもっと違う事に使うって。
画面見てわかる通り多機能ぶりを示すアイコンがうるさ過ぎるくらいにたぶん何でも出来るし、音もピカイチだろう。ただしプロだったら出来て当然、と言わんばかりの高踏的な設定の難しさ。音楽を録音した時も一旦無圧縮の状態で保存した後、MP3とかに変換しなきゃならないからあまりお手軽な感じはしない。金額もこれだしはじめての録音とかでは使えないだろうね。金が有り余ったゴージャスな人か、これで食ってゆこうとしてる人だけに(これを使った職業もあまりなさそうだが)オススメ。
上のSoundStudio3よりもさらに派手な画面にしてしまい目が痛いよ。

今回はこの4つのソフトを検証(と言うほど大げさなもんじゃないが)してみて、実に久しぶりに触ったものもあるけど操作さえも忘れてしまった、というものはなくて良かった。ここに挙げた4つの波形編集ソフトが代表的なものではないし、他にもアドビが出してるSound Boothとかアップルが出してるビデオ編集ソフトFinal Cutに付属のSound Track Proとか色々選択肢はある。波形編集だけに特化してなければ最初から大体のMacの付属してるGarageBandとかアップルのLogicとかでも録音自体は出来る。
全体的に高くて多機能過ぎか安くてシンプル無能過ぎという両極端な傾向にあるなあ。Windowsではフリーや廉価なものでも山のようにそういうソフトはたぶん出てるはずだけどMac用ではちょうどいいものが少ないという気がする。やりやすさとか見た目とか欲しい機能とかは人によってさまざまだろうが、取り合えずROCKHURRAHのオススメはSound Studioかな。

肝心の音の方は全てのソフトが変換の拠り所としているLAMEが同じものだと思えるので、ROCKHURRAHにはその詳細な違いがあまりわからなかった。「だったら別にフリーのAudacityで充分じゃん」と思えるけど、せっかくMacを使うんなら少しでもMacならではのソフトを使いたいというような部分もある。たったそんだけの事でやる気も随分変わってくるしね。皆さんもそういうちょっとしたこだわりを大事にしてみてはどうだろうか?