ヒートパンクでぶっ飛ばせ!

【ギャグで作ったBINARY ARMY新商品(うそ)】

SNAKEPIPE WROTE:

11月でも暖かい日が続いたかと思ったら、ここのところ急に冬らしく寒くなってきましたな!
寒がりのSNAKEPIPEは防寒対策万全にしないと!
アウターはもちろんだけれど、インナーにも気を遣うこれからの時期。
周りを見渡せば目に付くのが「あたたか○○」という文字。
この言葉、弱いのよね~!(笑)
そして「あたたか」インナーの知名度ナンバーワンであり、このインナー戦争の先陣を切ったのはユニクロのヒートテック。
薄手だけど温かいと評判だったので、是非試したいと思った時にはすでに完売。
結局手に入れることができなかったため、今年は発売された9月に購入。
やっと着用し、感想が書けるようになった次第。(笑)
寒くなった、とは言っても真冬の厳しい本当の寒さとまではいかない今だからかもしれないけど、確かにヒートテックは温かいかも。
あの薄さでは想像できない温かさ、というギャップが余計に温かいと感じさせるのかもしれない。
1月2月の寒さに対してはどうなるのか、今から楽しみである。

ユニクロのヒートテックは大ヒット商品で、「ユニクロ一人勝ち」なんて記事を見たこともある。
購買側である消費者は単なる記事として見たり読んだりするだけだれど、その記事で悔しい思いをしているのはユニクロの同業者、販売側だろう。
ユニクロに続け、とばかりにクリソツ商品を開発し自社オリジナルとして販売しているようだ。
軽く調べただけでも以下のように種類豊富。

西友の「エコヒート」
ファッションセンターしまむらの「ファイバーヒート」
イオン「ヒートファクト」
イトーヨーカドー「パワーウォーム」
セシール「スマートヒート」
ワールド「ホットビート」
ニッセン「ヒートアルファ」
ミスターマックス「ヒートモーション」

うーん・・・。
ヒートテックに続いてのネーミングだからとは思うけど、みんな「ヒート」という言葉を入れてるのね。
ユニクロ商品に近い品質ですよ、ということもアピールしたいんだろうけど・・・。
どうしても二番煎じ感があるね。
よくぞここまでヒートに絡めた言葉を考えたもんだ、と笑いまで出てくるし。(笑)
ウチでも笑えるネーミングで「あたたかインナー」をギャグで作ってみよう、とROCKHURRAHが創作してくれたのが上の写真。
温かさに加えて除菌効果があり、冬でも軽やかな足取りで寒さを乗り切りましょうという逸品。
分かる人には分かるだろうけど、レッド・ホット・ロッキン・フッドのジャケットパロディね。
クラッシュじゃないからね。
除菌でジョーキングか。プッ!
こんなのあったらいいかもね?(笑)

続いてはアウター編。
秋から冬になって少し寒くなってくると俄然元気が出てくるROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
レザーはいろんな時期で着ているから冬ならでは、の素材ではないので特別な感情はない。
これからの時期威力を発揮するのがフライトジャケットである。
SNAKEPIPEは元々高校生の頃から上野の中田商店で買い物をするような軍物好きだったけれど、ROCKHURRAHの影響でより拍車がかかっている。
フライトジャケットとはその名の通り、軍用機に搭乗するパイロットが着ていたジャケットのこと。
MA-1やN-3Bを着ている男性はよく街で見かけるよね。
軍関係の洋服や小物類はハイテックな素材を使用し、機能性に優れ、デザインもシンプルで素敵!
NASAが開発した新素材、なんて言葉に滅法弱いROCKHURRAHとSNAKEPIPEにとって軍関係物はワクワクする世界である。
軍にはご存知のように陸・海・空と3つの種類があるけれど、その中でも空軍のジャケットがお気に入りだ。

その昔SNAKEPIPEはとある量販店でMA-1のグランドクルー用(整備する人用)を手に入れていた。
これはかなり小さめサイズで着心地が良く、シンプルなデザインでコーディネイトし易かったため気に入っていた。
これ以外のMA-1はどれを着てもしっくりこなかった。
ROCKHURRAHがバズリクソンズのMA-1を持っていたが、「丈が短い」という理由でSNAKEPIPEにくれた。
せっかく高い買い物したのにね!(笑)
ちなみにROCKHURRAHはこれ以外にも「丈が短い」もしくは「丈が長過ぎる」ジャケットを多数所持。
何故だか丁度いい着丈にめぐり合わないようで。
そして短か過ぎた場合はSNAKEPIPEが着ることになるのだ。うひひ。(笑)

バズリクソンズの肉厚感と温かさを実感してからはSNAKEPIPEもフライトジャケットの魅力の虜になった。
今ではROCKHURRAHと二人合わせるとかなりの数を所持している。
軽くそれぞれのジャケットについての感想を書いてみようか。

MA-1 スカジャンなどと同じデザインで、クセがなく着易い。
初期型と裏がオレンジの後期型では随分雰囲気が変わるので、重さやデザインにもかなりの違いがあるよう。
メーカーによっても、作られた時期によっても丈の長さや横幅に違いがあるため着比べて一番合うものを選びたいね。
CWU-45P MA-1に続いて購入したのがこれ。
フラップがベルクロになっている大きなポケットが非常に使い易い。
MA-1のポケットにちょっと不安を感じることがあったため、このポケットには大満足!所持しているのはノーメックス(耐燃素材のこと)ではないけれど、MA-1より温かく感じる。
もしかしたら細身のタイプだったからか?
CWU-45Pには小さめの丸い襟が付いててかわいいんだけど、本当に寒い時期にはちょっと物足りない。
そのためSNAKEPIPEはムートンで取り外し可能な襟を制作。これで更に機能性とデザイン性アップ!最高だね!(笑)
N-3B これ、街でぶかぶかな大きさのセージグリーン色を着ている男性よく見かけるよね。
どうにもこの「ぶかぶか」加減がカッコ悪くて嫌だったので、SNAKEPIPEは子供用を購入。
小さめで着るととても良かった。(笑)
というか子供用は通常売られていないのかもしれないね。
あまりヴィンテージとか正規品にこだわりがないので、自分が気に入れば良い、と考えているからこれでオッケー!さすがにヘヴィゾーン用(-30℃まで対応)とされているだけあって、抜群の保温力!
ROCKHURRAHは名門グリーンブライヤー社製のいいN-3Bを愛用してたらしいけど、これまたサイズが大きかったため人にあげてしまったらしい。
ずっとN-3Bを欲しがっていたけれど、今年ようやく購入。
やっぱりちょっと大きいけど。(笑)
B-10 SNAKEPIPEが購入したのはB-10をモデルにしたアメリカ古着の恐らく子供用。(笑)
襟部分にファーが付いているため、ある程度の寒い季節にならないと着られないけれど、厚みはMA-1程度。
実はあまり役に立たないけれど、かわいいからオッケー!
ROCKHURRAH所持もB-10モデルの偽物。(笑)
コピー品ではなく、B-10をアレンジした全くの別物というところか。
襟のファーが異常なまでにゴージャスで、いきなり成金っぽくなってしまう。
成金っぽいB-10ってどうなの?(笑)
B-15 ROCKHURRAH所持の紺色のB-15Cは、かつてマリリン・モンローが着た写真で有名なタイプ。
初期型はナイロン素材じゃなくて、コットンツイルのものでジッパーが中央ではなくカッコいい。
B-15は何故かサイコビリーの方がよく着てるね。
防寒性は抜群だけど、ドカジャンとの区別がつき辛いため着用の際に注意が必要かも。(笑)
B-3 以前「劇的ビフォ→アフターpart2」でも書いたことがあるけれど、古着屋でダサいB-3を購入し、それをM-445タイプにリフォームした逸品!
ってことでB-3として書くのはヘンか?(笑)
SNAKEPIPEもずっとB-3のムートン狙ってるんだけど!
こんなに寒がりなんだから持ってないとね?(笑)
防寒着としてはチャンピオンだろう。
N-2B たまたま古着屋で小さいサイズを見つけて購入したものの、まだ一度も手を通していないため温かさや着心地について書けないのが辛い。(笑)
その昔渋谷に大勢いたチーマーがよく着用していたのを目にしたな。
このタイプはフード部分が大きな襟にも変わるので、恐らく肩部分はかなり温かいだろうね。
これから着るのが楽しみ!
N-1 これは番外編で、フライトジャケットなくて海軍のデッキジャケットなんだけど!(笑)
表地はコットン、裏地はモコモコで温かな逸品。
さすがに海で寒くない仕立てになっているため、風や冷たい空気の進入を極力防ぐように設計されている。
寒い冬にもってこいのデザインだね。ROCKHURRAHが所持しているのはCOMFORTEMPという素材のもので、自動的に快適な温度に調節するハイテク機能の優れもの。
ご丁寧に温度計まで付いてるし。(笑)
軽くて温かいけど、膨らんで見えるのが玉にキズ。

こんな感じで、フライトジャケットについて書いてると軽くてもこんなに長くなってしまった。(笑)
SNAKEPIPEは「うんちく」までは語れないけれど、少しでもその魅力をお伝えできたらいいなと思う。
まだまだ持っていないタイプはいっぱいあるので、いつか全てのフライトジャケットを所持してみたいものである。
今回はアメリカ軍についてだけ特集したけれど、ヨーロッパ軍物もとっても素敵なので、これもコレクションしたいな!
ただし国別にしないとダメだからコーディネイトが難しいけどね。(笑)

JUMPIN’, KICKIN’, TWISTIN’ SHOES

【髪型と靴は外せない最重要アイテム】

SNAKEPIPE WROTE:

今までメガネ、帽子、髪型と音楽に関わりのある分野の特集を記事にしたことがある。
今回はこれも音楽と密接に関わっているアイテム、靴を取り上げてみよう。
最近はあまり主義主張を靴に求める人は少なくなったのかもしれないが、80年代は靴を見ればその人の好きな音楽や主義などを垣間見ることができるほどの重要アイテムだった。
かくゆうSNAKEPIPEも子供で貧乏だったけれど(今は大人で貧乏か)靴だけは絶対に外せない、妥協してはならないお洒落アイテムと考えていた。

その頃履いていたのはROBOTのラバーソールだった。
少しゆるめの裂け目のあるボロボロのジーンズをロールアップして履くラバーソール。
この時に靴と同じように重要なアイテムはソックスだった。
格子柄やボーダーなどのなるべく派手目のソックスと組み合わせるのがポイント。
当時は今と違ってそこまで派手なソックスは少なかったのでよく歩いて探したものだった。
その足元にツンツンとんがりヘアで充分パンクを演出できた。
お小遣いに対してROBOTのラバーソールは目ん玉飛び出るほど高くて、それでも欲しくて欲しくて買った一番の宝物だった。
SNAKEPIPEは写真のような一番オーソドックスなタイプしか持っていなかったけれど、なんとROCKHURRAHはハラコタイプや色違いで何足も所持していたというから驚くじゃありませんか!
今よりお金持ちだったのね。(笑)
今はラバーソールといえばGEORGE COXが有名でネットでも買えるけれど、80年代には原宿に直営店があったことからA STORE ROBOTがダントツ人気だった。
竹下通りにパンク御用達の丸玉商店という店があり、そこでGEORGE COXが買えた。
日本製のラバーソールといえば今では知る人ぞ知る、COZO COMPANYがなかなか良いのを作ってたらしい。(ROCKHURRAH談)
ラバーソール=パンクというわけではなくて、前述したように髪型や服装が組み合わさってパンクになるのよね。

ラバーソール履いてリーゼントだったらロカビリーだし。
ラバーソールのトゥ部分が細めでコンビネーションだったりして、パンクのバージョンとは若干の違いがあったりするみたい。
ただしこれはネオロカ以降のことらしい。
それ以前の本格派ロカビリーはダブルコバの靴を履くとか。
ダブルコバって何、という方のために簡単に説明をすると靴のヘリ部分のステッチが2重になっている靴のこと。
結局ワンサイズ外側にせり出した形の靴で、ロカビリーの人は好んでこういう靴を履いていた。
昔は代官山にジュビリーという店があって、全国のロカビリアン達の憧れだったようで。
なんとここでも出てくるROCKHURRAHの自慢(?)だけれど、そのジュビリーシューズの赤いスウェードを持っていたとか!
ボーリングシャツにズートパンツなどとコーディネイトするのがお気に入りだったとのこと。
ROCKHURRAH、ネオロカもやっていたとは!
その高価なジュビリーシューズはあっさり捨ててしまったというから恐るべし。
でもズートパンツはずーっと穿けないしね。(笑)

続いては編み上げブーツタイプ。
編み上げブーツで有名なブランドといえばDr.MartensやGetta Grip!
マーチンやゲッタグリップ(ここからカタカナ表記)はパンク、スキンズ、ハードコア、サイコビリーなどなど攻撃的な音楽を好む人々が愛用している靴だ。
今でこそマーチンなどは靴の有名量販店でも軽く手に入ってしまうブランドになっているけれど、80年代はあまり日本に輸入されていなかったと思う。
SNAKEPIPEも原宿で見つけて大喜びで購入したっけ。(遠い目)
ROCKHURRAHもROBOTで買ったのが最初だったとのこと。
靴ヒモの色を黄色や赤に変えて、よりパンクっぽさを演出したものだ。
トゥ部分のスチールを露出させるスタイルが流行ったこともあったっけ。
懐かしいな。(笑)

マーチンに比べるとゲッタグリップはアーミーっぽさが強まるため、ゴツさ倍増!
ちょっとぶつかったり踏まれたりしたくらいじゃビクともしない頑強さは素晴らしい。
ROCKHURRAHはサイコビリー時代に迷彩柄のツナギと合わせて履いていたとか。
今でもSNAKEPIPEもROCKHURRAHもライブに行く時によく履く靴である。
満員電車とか人混みにも怖くないのでお薦めの逸品。(笑)
ただし!ゲッタグリップのHPを確認したところ、編み上げタイプは売ってないのかな?
しかもMADE IN ENGLANDは廃版になっている模様。
これはマーチンも状況が同じで、現行品はMADE IN CHINAに変わってしまっているようだ。
ちょっと風格がなくなっちゃったなあ、と悲しい気分である。
ENGLAND製、持ってて良かった。(笑)

ここで例外(?)を挙げるならば、パンクの中でもスニーカーがトレードマークのバンドのこと。
ご存知、ラモーンズ
ラモーンズはメンバーの苗字が同じだし、ほとんど似たような服装でまるで4つ子状態。
アメリカンタイプのライダースにTシャツ、ジーンズ、ジャック・パーセルのスニーカーがお決まりのスタイル。

最初に書いたように、現在は靴を見てもその人の主義主張を感じることが少なくなっている。
最近は「ロックテイスト」なる不思議な言葉が流行ってるようだし、実際に「ロックテイストな靴」は昔のヘヴィメタルの人が履くような靴だったりする。
生き様と主義主張とファッションが組み合わさることでパンクなのよ!
トレンドやマストアイテムが必要なもんには負けんばい!(笑)

昔の名前で出ています、か?(其の一)

【異界の場末にて好評営業中のROCKHURRAH RECORDS!】

ROCKHURRAH WROTE;

今週は本業なんだか趣味なんだか、今ではROCKHURRAH RECORDSなどという看板を一応掲げて細々と通販やってるROCKHURRAHがその昔に通っていたレコード屋について語ってみよう。今回はちょっと自伝風。

本当は「あのレコード屋はどこに行っちゃったんでしょうねぇ」というような文章にする予定だったんだが最近レコード屋通いも全然ご無沙汰、つまり消えてしまったところも実はまだ現存するところも知らない状態なので消えたレコード屋特集とはならなかった。おそらく日本一音楽雑誌を読まない現役レコード屋(?)であるROCKHURRAH、自慢にもならないが簡単に言えば情報不足というわけだ。

今でもレコード・コレクターと呼ばれるような人間はいて、各地で掘り出し物を見つけて狂喜している事と思う。ただ可哀想なのは最近ではそういう人々がはしご出来るほどに店の数が多いわけじゃないし一日レコード屋巡りをしても収穫は少ないに違いない。
インターネットが普及した90年代後半以降はコレクターが欲しがるようなレコードの流通価格が平均化してしまい、西新宿で買おうが西大路で買おうが要するに日本全国値段は変わらないというような状況、これじゃあ面白くも何ともないもんだ。時代は加速をつけてつまらない方向に向かっているな。

ROCKHURRAHが音楽に目覚めてレコード屋通いをはじめた頃はまだ音楽も文化も渾沌の時代だ。地元小倉からわざわざ高速バスに乗って福岡のレコード屋まで仕入れに行っていた。東京よりは出島が近いってのに、南蛮渡来の輸入盤屋なんてものは北九州にはロクになかったからだ。
その頃福岡でお目当てのレコード屋とくればレコード・プラントKBCとベスト電器の中にあったサウンド・ベストの2軒だった。当時の天神を知る人は納得してくれよう。知らない人も多かろうから軽く書いてみよう。

KBCは九州朝日放送、つまりテレビ朝日の九州版といった放送局のことで、その電波塔の下で輸入盤屋をやっていたのだ。九州では(たぶん)いち早くタワー・レコードKBCとなった(その後に出来たタワー・レコードとは別物)し、その後にはトラックスという名前で福岡の音楽シーンを盛り上げた伝説のレコード屋だ。その他の年代はスコーンと抜けてるがパンク、ニュー・ウェイブの時期には随分通ったもんだ。
センスの良い展示の仕方と音楽に対する情熱、愛情のこもった店でROCKHURRAHの音楽遍歴のルーツとも言える店。今でも愛聴しているJoy DivisionThis Heatになぜか同日に巡り合ってしまったのもこの店だ。Pere Ubuとの衝撃的な出会いもここだったなあ。
個人的な付き合いは特になかったけど後のトラックスの店長Tさん(当時はここで働いていた)の事を知らなければ、もしかしたらROCKHURRAHは今のような人生を送ってなかったかも。

サウンド・ベストの方はさすがに記憶もあやふやなんだが、関東方面にもちらほらある家電量販店ベスト電器(福岡が本店)の中のレコード・コーナーがここだった。
どこの家電量販店にもあるCDコーナーみたいなもんか?と多くの人が思うだろうが、それが大違い。売り場主任なのか何なのかよくは知らないが博多弁でまくし立てるその人がなぜか好き勝手にパンク始めました、という風情の店作り、量販店の中でこれは尋常じゃないと思ったものだ。特に当時の福岡ではあまり手に入らなかった7インチ・シングルを多く扱っていたのがパンク的で良かった。
最初は「何この店?変わってるな」という感覚で買ったんだが、レジでいちいち買ったレコードにマニアックなコメントを言ってくれる。量販店の中だから無論店員さんもパンクな髪形でも服装でもない、なのにスピリットはパンクそのもの。そのミスマッチが面白くて通ったものだ。
KBCではニュー・ウェイブをメインで、サウンド・ベストではパンクばっかりという同時進行で音楽を買い漁っていたのが当時の楽しみだった。スタンプ・カードがいっぱいになって最初に引き換えで貰ったのがプラスティック・ベルトランの1stアルバムだというのもいかにもROCKHURRAH的だと思える。

この人は後に独立してセブンティーズ・レコーズという素晴らしいレコード屋をはじめたんだが最初は神社の鳥居をくぐったような怪しい飲み屋ビルの片隅でやっていた。ゴミのような風景に妙にマッチしていてここも大好きな店だったんだが、レコードに付いているコメント、キャプションの類いもローカル色豊かで「こげん凄かレコード、買わな損ばい」などという感じ。博多弁は博多っ子ではないROCKHURRAHがテキトウに書いたのでそういった雰囲気だと想像して。
この店はROCKHURRAHがその後上京して東京で働いている間に火事で焼失してしまったらしい。盆や正月に帰省してセブンティーズに行くのが楽しみだったのに。
その後別の場所で復活したんだが、音楽への熱い意気込みを貫いた尊敬出来る大先輩だと言える。

この後、ROCKHURRAHは永らく東京で生活することになるんだが、長くなりそうなんでその東京編は次回という事にして今回は博多編のみにしておこう。

ごく短い期間ではあったが東京から出戻りだったROCKHURRAHは小倉よりは都会っぽくて住みやすそうな福岡に住んでいた。ここで運命の導きにより(大げさ)前述のレコード・プラントKBCと再会してしまうのだった。去年のブログ「マルワランド・ドライブ」で書いた通り、テキ屋一家に連れられて巡業していた後の話。
縁があってそのKBCが当時やっていたトラックスというレコード屋で働く事となったのだ。トラックス自体はすでにあったんだが、ちょうどその時、天神に新しく出来た大型ショッピングモールのワンフロアまるまる使って巨大レコード屋に生まれ変わろうというリニューアル企画があって、そのオープニング・スタッフとして採用されたのだ。
それ以前にも中古レコード店や輸入レコード店、なぜかレコード洗いのバイト(笑)まで経験していたんだが、どれもこれもアングラ感漂う世界。いわゆるメガストア系でははじめての体験だ。ここは服装も髪形もまるっきりの自由で好きなスタイルで働く事が出来たのが素晴らしい。
オープン前に徹夜で什器やCDの移転作業をやったり、何の因果かエルビス・コステロとトイレで並んでしまったり、短い間でもなかなか充実した日々が送れた。
がしかし、元来のアンダーグラウンド病であるROCKHURRAHなのでやっぱり巨大店舗には向いてないなあと痛感する事もあってこの店から、というより福岡から再び去ってしまった。パンクやニュー・ウェイブに出会った少年時代、そしてパンクな青春を送った日々、その時から比べると時代の勢いが確実に衰えてるのを感じたのもこの頃だ。

なんて、珍しくセンチメンタルな雰囲気で書いてしまったが、この後ROCKHURRAHはどこをほっつき歩いてSNAKEPIPEと出会ったのか?
詳しくは次回の第2部「立志篇」にて、乞うご期待!

CULT映画ア・ラ・カルト!【04】屋根裏の散歩者

【屋根裏の散歩者に出演の個性派俳優達】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも、今まで何度も読み返している作家の一人が江戸川乱歩である。
乱歩の作品は何本も映画化されている。
今年(2009年)も若松孝二監督が「芋虫」を映画化、なんてニュースがあった。
乱歩の作品は製作者の創作魂に火を点ける要素があるのかな。(笑)
今回取り上げる「屋根裏の散歩者」も今までに4回制作されているようである。
そして実際鑑賞したのはそのうちの2本。
CULT映画の「くくり」に入れていいのかどうかは疑問だけど、まあいいか。

最初は1970年、木俣堯喬監督で映画化されているようだけど詳細は不明。
調べてはみたけれど情報がほとんどなくて、出演者が誰だったのかも全然分からない。
当然のように観ていない。

続いて1976年版、田中登監督。
タイトルは「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」。
日活宮下順子、とくればそれだけである年代の方には内容が想像できるというもの。(笑)
にっ、日活ロ・マ・ン・ポ・ル・シェ!じゃなくてポ・ル・ノ!(ボケ)
そして実際観てみると、やっぱり想像通りだったのである。
原作には全くなかった設定、清宮美那子(お金持ちの奥様)こと宮下順子が主人公の物語。
この奥様が人目を忍んで「自分の快楽のため」にお出かけするアパートがある。
黒塗りの車から降りて、まっすぐ前を向きヒラヒラのついた日傘をさし、颯爽と歩く姿は秘密の場所に行くには派手過ぎる。
とても「こそこそ」しているようには見えず、かなり目立ってると思うけどいいのかなあ?(笑)
そのアパートには「奥様専用」の情人がピエロの扮装で待っている、という寸法。
このピエロってところが乱歩っぽい設定でなかなか良かった。
いつでも帽子と手袋を着けたまま狂態を魅せる宮下順子もいい味だしてるし。(笑)
そして奥様とピエロの様子を屋根裏から覗き見しているのが本来は小説の主人公、石橋蓮司演じる郷田三郎である。
石橋蓮司にはアブノーマルのイメージが強いので、覗き見をしている姿に全く違和感を感じなかった。

原作とはかなりかけ離れたストーリーが大部分を占めていて、宮下順子主体の展開については「日活だからいいのか」と思うけど、一つ重要だと思ったのは毒薬を使う場面。
映画だけ観ているとあまりに唐突に殺人計画を実行してるんだよね。
原作を読んでいるから理解できるけど、ちょっとその部分の説明が足りない気がした。
かなり無理のあるお話になってるから仕方ないのかな?
ま、それを言ってしまうとラストシーンなどはハチャメチャだし!
こんなのアリ?
時代考証されてるの?
なんてあまり深く考えなくていいのかな。
ラストの井戸のシーンが一番怖かったね!

1992年版はウルトラマンで有名な実相寺昭雄監督。
主演は三上博史演じる郷田三郎。
大抵の乱歩作品の映画化というと上述した1976年版にも「人間椅子」が、以前記事にした「 CULT映画ア・ラ・カルト!<02>石井輝男」にも「盲獣VS一寸法師」があるように2つ以上の物語がミックスされる傾向が強い。
そんな中、この作品は他をミックスさせずに純粋に「屋根裏の散歩者」に迫っているという時点で素晴らしい。(笑)
退屈を持て余した三上博史が女装して遊ぶシーンもあったりして、かなり原作に忠実に映像化されていることが分かる。
そして三上博史もとても良かった。

原作と違う点は、明智小五郎が同じ下宿にいること。
推理するためと考えてみれば、そんなにおかしな設定ではないか。
この明智小五郎を嶋田久作が演じている。
おお!嶋田久作!懐かしき東京グランギニョル!(笑)
怪優のイメージがある嶋田久作だけど、意外にも明智小五郎が似合ってたね。
それにしても天井から逆さになってニタニタ笑う嶋田久作、怖っ!

下宿には様々な芸術活動を行う人がたむろしていて、その雰囲気は面白そうだった。
創作活動だけで食べていかれたのかな、などと想像するのも面白い。
それらの芸術家達に混ざって、またもや原作にはない設定の宮崎ますみが登場するけれど、あんまり意味がなかったような気がする。
ちょっときれいどころ入れときましたから、ってな具合か?(笑)

総合的に判断すると乱歩作品の映画化として「かなりいい線いってる」作品だと思う。

そして2007年版「エロチック乱歩 屋根裏の散歩者」、三原光尋監督。
ズバリ「エロチック」とタイトルに入ってるし!
本来の主人公である郷田三郎の「ご」の字も見当たらない「屋根裏の散歩者」ってどうなの?
全く原作からかけ離れた話になってるんじゃなかろうか、と推測。
あまり観る気がしない。

「屋根裏の散歩者」はどうしても「覗き」という犯罪行為を主題にした物語のため、R-18指定になってしまうようで。
そのため「皆様是非ご鑑賞ください」とお薦めはできないけどね!