I LOVE PIGBONE!

【あまりのおいしさに道化のバギーもびっくり!あっ、クリンゴンズか。(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

先日「めざましテレビ」を観ていたら、中国に進出している外食産業特集をやっていた。
マクドナルドやケンタッキーというお馴染みのファストフードはもちろんのこと、日本発のチェーン店も奮闘しているそうで。
その中でびっくりしたのが「味千拉麺」という熊本らーめんが人気という事実。
「中国のラーメンよりとんこつラーメンのほうがおいしい」
なんてインタビューに答えてる人もいて驚いてしまう。
中国には「とんこつ」の文化ってないのかな?
「とんこつラーメンの成り立ち」のようなことは詳しくないのでよく分からないけれど、4000年の歴史を持つ中国の人をも納得させるおいしさであることは間違いないだろう。

SNAKEPIPEの九州旅行記」や「ベストオブ2007」で書いたことがあるが、SNAKEPIPEも大のとんこつラーメン好き!
特別にラーメンランキングなどを気にしてはいないが、結構いろんなお店に足を運んでいると思う。
今回はいつもの音楽や映画ネタとは趣向を変えて、食べ物ネタ!
ズバリ、とんこつラーメンについて少し書いてみたいと思う。

山頭火一風堂などの有名店も行ったけれど、ちょっと違う気がした。
もう一度絶対行きたい、とまでは思わなかったのだ。
これは好みの問題なので、人それぞれ感想があって仕方ないだろう。
そんな中、近くに行けばなるべく食べたいと思う店もある。
新宿にある「肥後のれん」は「とんこつが好きで」と言う人を連れて行くと大抵「いいお店を教えてくれてありがとう」と感謝されるお店。
知らないで食べていたけれど、今調べてみたら「塩とんこつ」なんだって?
肥後というだけあって、熊本の濃い目こってりラーメン。
お薦めは「ぱーこーめん」という豚の角煮がごろごろ入ってるメニュー!
たまに味にバラつきがあって、非常に塩っぱい時もあるので要注意。(笑)

同じ新宿ならば「桂花」も有名だね。
このお店は九州出身の友人から「一番地元の味に近い味」との評価だったので、期待に胸をふくらませて出かけたSNAKEPIPEだった。
お店に近づく前からぷいーんと鼻をつくあの独特のとんこつ臭!
食べたのがかなり前だからあんまり覚えてないけど、麺が固過ぎて飲み込めなかった記憶がある。
「九州の麺はあれくらいが標準」
と聞かされてびっくりしたっけ。(笑)
まだROCKHURRAHの評価を聞いていないので、近いうちに行ってくるかな。

SNAKEPIPEが一人でも並んで何度も食べに行ってたのが「じゃんがらラーメン」だ。
あんまりはっきり覚えてないけれど、一番初めにとんこつラーメンを食べたのが原宿店のじゃんがらラーメンだったような?
そういう意味ではSNAKEPIPEにとってはとんこつ元祖の味になるのかな。
ここはラーメンにトッピングを全部加えると値段が1000円近くになってしまうのがちょっと痛い。
ラーメン一杯1000円って高くない?(笑)
でも好きなもんだからついつい通ってしまうんだな。
先日やっとROCKHURRAHと一緒に食することができた。
北九州出身のROCKHURRAHはどんな反応を示すのか、と興味津々のSNAKEPIPE。
なんにも言わないで黙々と食べ続けているのでちょっと不安・・・。
と思ったら「あまりにおいしくて急いで食べてしまった」とのこと。
良かったー!九州の人にも受け入れてもらったよ!(笑)
「また行きたい店」リストに登録だね。

人によってとんこつラーメンに求めるものって違うと思うので、その基準が同じじゃないと「おいしい店」の情報も共有し辛い。
SNAKEPIPEは「こってり」した濃厚スープに細麺が好み。
これはROCKHURRAHも同じなので、良かった。
麺が細ければ好みだったのに、と思ったのが「六角家」などに代表される横浜ラーメンか。
スープはものすごくおいしく頂いたけれど、麺が太い。
「ラーメンの麺は太いほうが好き」
という人も多いので、これは仕方ないね。

もっと気軽に自宅でもとんこつラーメンが食べたい、今すぐ食べたい!などと禁断症状が出た時にはどう対処するか?(大げさ)
実は結構最近のインスタント食品にもいいものあるんですよ、奥さん!(笑)
「マルちゃん」の名前で親しまれてる東洋水産がいい商品出してるんだよね。
商品名「九州ガラ炊き」シリーズとして「熊本ラーメン」「久留米ラーメン」「博多ラーメン」と3つのバージョンを展開。
「熊本」と「久留米」に挑戦してみたけれど、どちらもグー!(笑)
「やるなあ、マルちゃん!」「いいぞ!マルちゃん!」
などと掛け声をかけながらおいしく頂戴できる逸品。
どこのスーパーにも置いているわけじゃないので、見つけた時には買うことにしている。
とんこつ好きの方はご賞味あれ!

「マルちゃん」のシリーズは美味しいけれど、生麺タイプなのでどうしても賞味期限が短めに設定されている。
ということで「買いだめ」が出来ないのが残念。
乾麺タイプだったら良かったのに、と思っていた時にたまたまイレギュラーに入荷されていたインスタントラーメンを購入したのだけれど、これが目ん玉飛び出るほどの衝撃!
五木食品が発売している「熊本もっこすラーメン」の素晴らしさをどうしたら文章でお伝えできるのだろう。
とんこつの独特の香りと濃厚な白濁したスープ、やや固さの残るストレートな細い麺!
こんなに本格的なインスタント食品があるなんて!と食べ終わった後すぐに五木食品に通信販売がないのかどうかを調べたほど。(笑)
非常にありがたいことに通販やってるみたいなので、是非とも取り寄せたいと思う。
「もっこす」の他にも「火の国とんこつ」やら「博多美人」、「アベックラーメン」など気になるネーミングがあるのでそちらもチェックしてみたい。(笑)
ROCKHURRAHによれば、五木食品は「九州地方ではうどんで有名なメーカー」とのこと。
しかもアベックラーメンは発売50周年を迎える、なんて書いてあったよ。
歴史のあるメーカーだったんだね!

なんて書いてたらまた「とんこつラーメン禁断症状」が!(笑)
前からあるのは知ってたけど、いまいち勇気がなくて入れなかったとんこつラーメン屋を思い出した。
「あまり期待しないで行ってみようか」
とROCKHURRAHと出かけたのが「山小屋」という九州筑豊ラーメンの店。
ちくほう?ちくほうって何?と思うのはSNAKEPIPEだけじゃないだろう。
「飯塚市、直方市、田川市の3都市を筑豊三都と呼ぶ」(Wikiより)
大昔は炭鉱のある場所として栄えていたらしい。
と、いうことで名前としてはマイナーな筑豊ラーメン、果たして味はいかに?!
こわごわ店内に入るとROCKHURRAHがすかさず小声で言う。
「ここの匂いは本物だよ」
出てきたラーメンのスープを一口飲んで、確信。
かなり濃い目のクリーミィなとんこつスープ。
キクラゲ、小口ネギ、チャーシューに紅しょうがとゴマが入る、非常にオーソドックスな九州とんこつラーメン。(ROCKHURRAH談)
期待しなかったのがより効果的だったのかもしれないけれど、意外にも非常においしかった「山小屋」も「また行きたい店」リストに登録決定!(笑)

うっ。書きながらまたお腹が空いてきてしまった。
早く五木食品「熊本もっこすラーメン」取り寄せなきゃ!(笑)

BREAK ON THROUGH TO THE OTHER SIDE

【イアン・カーティスを偲んで作ってみました】

SNAKEPIPE WROTE:

2週間ほど風邪のためダウンしてしまったSNAKEPIPE。
実はまだ完全には治っていないけれど、ブログを書くことを決意。(大げさ)
今年の風邪は長いみたいなので皆様もご注意を!

さて今回は「若くして亡くなってしまったアーティストの伝記映画」について書いてみたいと思う。
恐らく探せばもっとたくさん制作されているだろうけど、思いついた映画3本をまとめてみた。

まずは「ドアーズ」(原題:The Doors)1991年のアメリカ映画。
監督はオリバー・ストーン。
1971年に27歳で亡くなったドアーズのヴォーカル、ジム・モリソンの伝記映画である。
大学時代から死ぬまでが描かれている。

なんといってもこの映画のすごいところはジム・モリソンを演じたヴァル・キルマー
ジム・モリソンが乗り移ったんじゃないか、と思ってしまうほどそっくり。
吹き替えなしでヴァル・キルマー本人が歌っていたというのもびっくり。
顔立ちが似てると声質も近いだろうけど、それにしても「ものまね王座決定戦」で優勝できるほど。(笑)
ジム・モリソンの歌い方って難しいと思うけど、よく特徴を捉えてるよね。

ヴァル・キルマーの圧倒的な存在感のお陰でなんとか保ってはいるものの、映画として観た時にはやや物足りなさを感じてしまうのは事実。
同じ大学に通う友人とバンドを始め、あっという間にバンド名が決まり、「Light My Fire」のあの印象的なオルガンのイントロをほんの数分で作り、あれよあれよと人気バンドになっていく。
全部が本当のことなのかもしれないけど、ちょっと展開早過ぎないか?
ジム・モリソンに焦点を当ててるから仕方ないとしても、他のメンバーについてはほとんど何の情報もなし。
少し乱暴な感じがするのはSNAKEPIPEだけかな。

バンドは知名度も上がりセールスも絶好調で、ジム・モリソンは時代の寵児となる。
それでも何故だかジム・モリソンは心に空洞の部分を抱えている。
グルーピーと遊んでも、黒魔術のような儀式をやっても、ドラッグでも満たされない。
そこにすっぽり収まるのがインディアンの幻影に象徴される死の匂いだ。
ジム・モリソンは死を恐れながらも、同時に強い憧れを持っていたように思える。
だからこその破滅的な、死に急いだ生き様だったのかもしれない。
ジム・モリソンの最期はバスタブの中。
やっと安息の地に行かれたような、穏やかな表情だった。

実はSNAKEPIPEはドアーズが好きで、ジム・モリソン詩集まで持っているのである。(笑)
一応読んではみたものの、やっぱり詩の世界は何回読んでも非常に難解。(ぷっ)
原文で読んで、意味を理解し、言葉の響きを堪能するなんて技は持ち合わせていない。
それでもジム・モリソンの心の深淵に少しでも触れることができるような気がして、ドアーズの曲に自分なりの物語を作ってみたりする。
時代がそうさせたということもあるんだろうけど、ジム・モリソンはやっぱり稀有な存在だな、と思う。

そういえばドアーズはカルトのヴォーカル、イアン・アシュベリーを加えて新生ドアーズとして活動再開し、来日もしていたようで。(現在は休止中?)
過去にあれほどまでに輝いてしまったバンドが、また現代に以前以上のまばゆい光を発することができるだろうか?
過去をなぞる結果になることが多いように思う。
バンド復活って厳しいよね。(笑)

続いては「コントロール」(原題:Control)、2007年。
監督は有名な写真家アントン・コービジン。(最近ではコービンというのが主流みたいだけど、80年代風にコービジンと読みたい)
1980年に23歳で亡くなったジョイ・ディヴィジョンのヴォーカル、イアン・カーティスの伝記映画である。

物語はイアン・カーティスの高校時代から始まる。
その当時のガールフレンド、デボラと19歳であっさり結婚。
卒業後は公務員、とバンドのヴォーカルとはかけ離れた人生設計にびっくり!
イギリスは日本と違って18歳から自分の意思で結婚ができるようなので、こういうのもアリなのかも?
それにしても早過ぎだよね?
それからバンド結成である。
うーん、やっぱり順番逆じゃないの?(笑)
バンド名は初め「ワルシャワ」、次にジョイ・ディヴィジョンに変更される。
ジョイ・ディヴィジョンってナチス・ドイツ将校の慰安所って意味なんだって?
ワルシャワにナチスって・・・政治的要素の強いパンクバンドを目指してたのかな。

バンドはトントン拍子でデビュー、当時できたばかりのマンチェスターのインディーズ・レーベル「ファクトリーレコード」の看板スターとして順風満帆なスタートを切る。
正直言ってSNAKEPIPEは、この手の音楽が一度聴いた人全てを納得させることができたのかなと疑問に感じてしまった。
この手の音楽というのは、地味で暗くて、ルックスなどに特別な特徴がないバンドなのにという意味である。
その手の音楽が得意なROCKHURRAHに聞いてみると
「パンクが終わって孤独感や不安感を持った行き場のない若者達が、次に精神的な支柱として求めたような音楽であり、そういう時代の流れに乗ってみんなが拠り所とするバンドになったのではなかろうか」
と返ってきた。
ふむ、なるほどね!(笑)
SNAKEPIPEは音楽よりも「あの」ヘンなグルグル腕振り回しダンスに目が点!
そして「あの」シャツにスラックスという公務員ファッション。
SNAKEPIPEが知ってるイギリスのバンドって、みんなお洒落に気配りする印象なんだけど・・・?

バンド活動をしていくうちにベルギー人のアニック・オノレと愛人関係になる。
アニック・オノレは音楽レーベル「クレプスキュール」の創始者で、ジョイ・ディヴィジョンの理解者。
当然のようにイアン・カーティスの理解者でもあった。
仕事をバリバリこなし、音楽を含む芸術活動を理解するお洒落な女性。
子供の世話にかかりきりで、生活臭がする妻を厭うようになるのも無理はない気がしてしまう。
SNAKEPIPEは決して不倫を良し、と言っているわけではないのでお間違えなく。

そして突然発症してしまった「てんかん」の恐怖がイアン・カーティスを襲う。
映画はとても上手にイアン・カーティスが精神的に追い詰められて行く様を描いている。
イアン・カーティスを知らなくても、伝記映画じゃなくても、ドラマとして充分完成されていると思う。
最期のシーンは観ていて悲しくなってしまった。

イアン・カーティスという人は非常にもろく、傷つき易く、一人になるのが怖いタイプだったんだろうね。
だからいつまでも、本当はとっくに愛なんて感じていない妻とも続けている。
子供に対しても愛というよりは恐怖を感じている。
これはもしかしたら子供も同じ「てんかん」の血を受け継いでいるかもしれないということと、そのことで子供から冷たくされるかもしれないという2重の恐怖。
そんな心持では「我が家でくつろぐ」なんてことは難しいだろう。
早く離婚して、愛人のアニック・オノレと一緒になっていたら結果は変わっていたのかもしれないね。

最後は「シド・アンド・ナンシー」(原題:Sid And Nancy)、1986年。
監督はアレックス・コックス
告白すると、なんとSNAKEPIPEはこの映画を今まで観たことなくて、今回初めて鑑賞してみたのである。
なんで今まで観なかったのかって?
いや、なんとなく。(笑)

今さらだけど一応書いておくと、1979年に亡くなったセックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスを描いた伝記映画である。
映画はナンシーが死んでシドが取り調べられているシーンから始まり、シドの回想として物語が進行する。

初めに観たから「あの黒髪の人がシドか」と分かったけれど、冒頭シーンで一緒に登場しているオレンジ色の髪でベレー帽の人が誰なのか分からない!
話の文脈から「どうやらジョニー・ロットンらしい」と推測。
似てないよー!(笑)
シドはモデルといってもいいくらいのスタイルの良さが特徴なので、ゲイリー・オールドマンでは役不足だと思った。
オーディションなどで募集したらもっと似てる人いたんじゃないかな?
映画の中で唯一似ていたのはマルコム・マクラーレン役のみ!
他の人は誰も似ていなかった。

そして前からピストルズのファンだった、というナンシーと知り合う。
ここで前から疑問だったので調べてみると、どうやらナンシーはシドより1歳年下!
えっ、うそでしょー!と叫ぶ人多いはず。
ナンシーのほうが10歳くらい年上に見えるもんね。(笑)
いつの間にかシドとナンシーは「二人で一つ」状態、くっついてないと生きられないほどになっている。
ここの過程がよく描かれてなくて、はっきり分からなかったのが残念。
シドにはいっぱいファンいただろうに、わざわざナンシーを選ぶには理由があったんだろうなと。(笑)

シドとナンシーはどんどんドラッグに深入りし、堕落していく。
部屋は散らかり放題、寝てるのか起きてるのか分からないような怠惰な毎日。
あんな状態では明日への希望なんて何もなくなっちゃうよね。
それがパンクな生き方、と言えるのかもしれないけど?

ここまで書くと「どうして今まで観なかったのか」の答えが分かってきたように思う。
やっぱりあんまり面白くないし、シドやナンシーへの共感もないし、ゲイリー・オールドマンだし。(笑)
シドは一体何がやりたかったのかな。
21歳じゃ若過ぎる死だったね。

こうして3本についてまとめてみたけれど、前述したように映画として見ごたえがあったのは「コントロール」だった。
何故なのかと考えると、監督が実際にジョイ・ディヴィジョンと関わっていたことや原作が妻のデボラだったことが原因かな。
現実に本人に会って話したり見ていたら、より忠実に伝記映画ができるからね。
オリバー・ストーンやアレックス・コックスが本人と関わっていたのかどうかは不明だけど、どうしても「あとづけ」の感じはする。

イアン・カーティスは本当に追い詰められて、ギリギリのところまで行ってしまったんだろうね。
ジム・モリソンとシド・ヴィシャスはドラッグの過剰摂取。
これも広い意味では自殺になるんだろうけど、ひょっとしたら事故の可能性もある。
ドラッグに手を出していなかったら、今もまだ活動していたアーティストだったのかもしれないね。

昔の名前で出ています、か?(其の二)

【ROCKHURRAH RECORDSにならなかったらやってみたかったもの】

ROCKHURRAH WROTE:

(「其の一」を未読の方はそっちを先に読んで下さい)
何だか毎年恒例のような気がしないでもないが、SNAKEPIPEは先週のブログを書いた後に何年ぶりかのひどい風邪でダウン、今も寝込んでいるような状態だ。
それに加えてROCKHURRAHの愛機iMacなんだが、Snow Leopardのヴァージョンを10.6.2にアップデートしたとたんにメニューバーの表示がおかしくなってしまい、しかたなくMac付属のTime Machineというバックアップ・ソフトでアップデート直前の状態に復帰。
と思ったらバックアップ用にしていた外付けハードディスクが壊れてしまい、何度やっても復帰失敗という悲惨な状況となってしまった。結局新たにOSをインストールし直してもう一台あった外付けから何とかデータや設定は引き継いだものの、これで二日間も費やしてしまった。今も完全に元通りにはなってない状態。今週のブログには間に合ったが、直前までてんやわんやの修羅場だったのが実情だ。

さて、SNAKEPIPEとROCKHURRAHの二人が敬愛しているミステリー作家、鳥飼否宇先生本人(もう呼び捨てには書けません、そして本当にありがとうございました。)から何とありがたいコメントを頂戴したという栄誉ある記事「昔の名前で出ています、か?」の第2部を書いてみよう。

前回はROCKHURRAHの故郷である福岡のレコード屋についての思い出を語ったが、今回は上京後の事。

すんごいローカルな話で申し訳ないがROCKHURRAHが生まれたのは陶芸で有名な福岡の山の中、物心ついた時にはかつて米軍ベースキャンプがあった基地の町にいた。なぜか米軍ハウスの払い下げ住宅なんかに住んでカッコいい身分だったんだが小学生の時に自分の不注意でちょっと実家燃やしちゃって、それが元で北九州に移り住む。そして上京するまでの間が前回の福岡レコード屋あたりの話だ。(「其の一」参照してね)

それで結局、その当時の北九州の荒涼とした雰囲気が嫌で東京に行く事にした。文化も音楽もやはり日本の最先端だからね。

上のような感じで自伝風に書いてみようとしたが、前書きも長かったし、たぶん長くなり過ぎるのでこの当時の東京レコード屋MAPをピンポイント殺法で紹介しよう。

<西新宿>
上京した最初、自分の部屋を探すまでの間は友人の部屋に少しの間、居候していた。それが新大久保、というか歌舞伎町の裏手の方(笑)。いきなり東京の右も左もわからない貧乏な田舎者がよりによってディープな場所に住んでいたものだ。そこからは西新宿のレコード屋通りまで歩いて行けたのが唯一良かった事。
その当時よく行っていたのはUK EDISONと新宿レコードあたりかな?

まだ本格的にレコードをコレクションする前の時代であり、貧乏であり、そもそも自分の部屋もないのにレコード集めてどうすんの?という状況だったな。風呂もトイレもない6畳一間のアパートに友人カップル+自分という絵に描いたような若気の至りの生活してたあの頃。「俺たちの朝」じゃあるまいし。
UK EDISONは当時流行りの若者文化であるパンクやニュー・ウェイブをいち早くメインにした輸入レコード屋の老舗というべきか?実はこの後下北沢に移り住んで少し行った事がある程度で、最も早く足を運ばなくなったレコード屋のひとつがここなのだ。だからあまり思い出もないし、その後この店がどうなったのかも全く知らないときている。おや?福岡にはまだ実店舗あるのか?思い出と言えばいつ頃だったか、大晦日にオールナイトのセールをやるという事で張り切ってパンクな正装で一晩中東京レコード屋巡りをしていたものだ。
通称ジュクレコで知られる新宿レコードは前編で書いたベスト電器のような感じで普通のレコード屋、なのに一角で輸入盤も扱っていて貴重な委託盤なども置いていた。どちらかというとメタル系メインの店なんだろうけど当時はパンクやニュー・ウェイブも扱っていたという記憶がある。80年代はレコードを身上潰すほど(笑)買いまくっていたもんでレコード袋コレクションも膨大だったんだが、この店の袋があまり記憶にないという事は買ってなかったんだろうね、きっと。覚えているのは近くにあったとんかつ「にいむら」の味だけ・・・。

しかし西新宿がレコード・コレクターの聖地だった時代に最も有名だったのは上記の店ではなく、ウッドストックや現在も活躍しているVINYLなどが代表的な店だろう。
ところが老舗のウッドストックも買った記憶がほとんどない。名前知らないが小さな公園の横にあるという素敵なロケーションだったにも関わらずROCKHURRAH好みのインチキな音楽があまり置いてなく、本気で玄人受けのする店だったからなあ。後年スカやレゲエの店になってからは全然行かなくなったし。
それに対してVINYLの方は西新宿ではダントツによく行ったし買ったものだ。あのピンクの袋コレクションも並べて敷き詰めると東京ドームの面積とほぼ同じ(ウソ)。
最初は一店舗しかなくてそのオープン当初に行った覚えがあるが、店の四隅に防犯見張り要員が立っていてまさに四天王状態。そこまでレコード引ったくり事件が多発してるのか?と思えるほどだ。まあパンク、ニュー・ウェイブ、ネオロカやサイコビリーのレア盤についてはよくぞここまで集めたもんだという充実ぶり。盤質が良いわけでもないし高いし、コメントとかもほとんどなくむしろ不親切な店なんだが、夢にまで見たようなレコードがちゃんと売っているという事が凄かった。VINYL JAPANレーベルのレコードもさすがに全部取り揃えていたし、どのジャンルのマニアも楽しめる店だと思う。休みの日は新宿に出てVINYL界隈からディスク・ユニオンというのが黄金のパターンだった。

<下北沢>
新大久保の友人宅を出て一人暮らしを始めた場所は東北沢だった。当時は駅前に何もなく(今もそうかも知れないが)こじんまりとした静かなところだったが歩いて下北沢にゆけるという点で地の利は良かった。当時の下北沢は演劇や音楽関係者の人々に愛されて街全体に熱気と文化が溢れていて、個性的な人間のたまり場だったものよ。ここでROCKHURRAHは下北沢を訪れた人なら誰でも目にする有名な古本屋、ビデオ・レンタル、CD屋のドラ・・・いや、そのチェーン店の店員となる。今では下北沢に何軒もある大手になっているが当時は古本屋とその向かいのビデオ屋の二軒だけしかなかった。その店で出会った人々もかなり強烈に個性が強かった(ちなみに東京タワーズでいぬちゃんで「ドレミファ娘の血は騒ぐ」のあの人も同じ店の店員だった)が、パンクもテクノもネオ・サイケもガレージもフリー・ジャズもアヴァンギャルドもヘヴィ・メタルもみんな同時代に一緒くたになって酒を飲んで集っていたすごい面子。今はもう誰ともつき合いがないが、彼らとの交流で得たものはきっと今のROCKHURRAHの中にも生きているだろう。

さて、回想だか何だかわからなくなってきたがその店を卒業後、すぐ横にあったアメリカ買い付けの廃盤、カット盤専門店フラッ・・・いや、その有名レコード店にほんのわずかだけ籍を置く。オーナーは長髪にヒゲ、キリストかエル・トポかというような風貌なんだがまあパンクで紛い物大好きというROCKHURRAH、この店の雰囲気に合うはずもなく、ちょっとした事が原因ですぐに脱退してしまう。

この後はこれまた下北、渋谷、吉祥寺などで展開しているレコ・・・、いや、その大手中古レコード屋に潜り込む。ここでは店舗スタッフではなく、非常に珍しい経験なんだが、中古レコードの洗いという仕事を行なっていた。
DJ用ターンテーブルのようなものが2つ並んでレコードを仕掛けるんだが、アームの先はちょうどレコード盤のヴィニール部分を洗うための刷毛になっており中性洗剤ベースの洗浄液でまず全体を洗うという仕組みになっている。その後ビチャビチャの盤面を吸い取るための別のアームをセットして乾かすという工程を経て中古レコードはきれいになる。これを2台でリズミカルにうまくやるのは結構慣れがいる仕事でしかも1枚いくらの出来高制ときた。最初は洗浄液をつけ過ぎて中央のレーベル面(紙)を濡らしてしまったり失敗が多かったものだ。この当時ここで買った中古レコードのレーベルが水濡れ跡のようになっていた方、犯人はROCKHURRAHです。
買い取った中古レコードを一番最初に検分出来る身分で中にはお宝のようなものも当然混ざっている。これは個人的には非常に価値のある経験だったんだが何だか得体の知れない相方(日本人を非常に憎んでる人種)と二人だけ密室で一日中これやってるのも非常にしんどかった。しかも教えてもいないのに正月に自分の部屋訊ねて来られたり、ある意味デンジャラスな経験だったな。

あれ、全然下北沢の過去レコード屋紹介になってないし単なる身の上話、しかも思ったよりもずっと雄弁に語ってしまった。長くなり過ぎたのでこれ以上書く気なかったけど仕方なく「其の三」に続く。本気で続きあるのか?

CULT映画ア・ラ・カルト!【05】恨み・女任侠編

【お色気玲子とクールな芽衣子。どちらがお好み?】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のCULT映画ア・ラ・カルト!は70年代の女ヤクザ映画でテーマが恨みになっている2つのシリーズについて特集したいと思う。
恨みと言えばこの人、ご存知梶芽衣子
そしてもう一人は池玲子
二人がそれぞれ主演した「修羅雪姫」と「姐御伝シリーズ」について書いてみよう。

まずは「修羅雪姫」から。
これは小池一夫原作、上村一夫の漫画が元で、映画化されたのが1973年。
その漫画は未読のSNAKEPIPEなので、どこまで原作に忠実でどこが違っているのかを書くことができないのが残念だ。
時は明治時代、日露戦争の後が舞台になっている。
SNAKEPIPEには時代考証などは所詮無理な話だけれど、それにしても明治時代にこんな女性刺客がいたとはびっくり!

簡単にあらすじを書いてみよう。
あまりに不当な理由で亭主と子供を殺された女が、殺したメンバーの一人を殺害し投獄される。
そして復讐を託すために獄中で子供を産む。
雪の降る日に生まれたからという理由で名前は雪という女の子だ。
出産後に母は帰らぬ人となる。
修羅の道を行く運命を背負い母の恨みをはらす目的で生まれてきた子供、という設定だ。
恨みをはらす、というのは母の亭主を殺した残りの3人を同じ目に遭わせるというものである。

獄中で母親に「雪をよろしく」と頼まれた女が幼い修羅雪を連れて行った先がお寺。
そこの和尚さんが剣豪だったため特訓を受けるのだ。
寺の和尚さんが殺人マシーンにするために少女をしごくシーンがすごい!
しかも和尚さん役は水戸黄門様で有名な西村晃
ますますギャップを感じてしまう。
普通に考えて和尚さんが復讐に手を貸すというのは設定としておかしいと思うけれど、映画ということで良しとするか。(笑)
とても女の子相手とは思えないほどキツい特訓を受け、雪は剣の腕を上げ、空中で回転するような技も身につける。
こういうアクロバット的な要素も含まれているので、アクション映画として観ても面白いんだよね。

そして成長した修羅雪は女刺客として「その道」で有名で、いろんな仕事を請け負って生活しているようだ。
そのため賭場にも自由に出入りできて、壺振りまでやってるからすごい!
「入ります」「よ、ござんすか」のあれ、ね。
ここら辺はヤクザ映画らしいシーンで、梶芽衣子は凛とした雰囲気があるからよく似合っていた。
ふすまが花札の柄になっていて、その前に座る白黒の縦縞の着物を着た修羅雪がとてもカッコいい!

話の途中から登場する新聞記者役の黒沢年男演じる足尾龍嶺。(若い!)
なんと特訓をしていた和尚の知り合いで、修羅雪の身の上を知ることになる。
いつしか修羅雪の味方のような存在になっていく。
が、とても悲しい事実が発覚。(ここではあえて言わないでおこうか)
修羅雪は少しは心を通わせていたと思われる足尾龍嶺に対しても、ほとんどためらわずバッサリ。
恋愛よりも当初の目的「恨みをはらす」ほうが先、という初志貫徹ぶり!
シビれる~!

修羅雪の母の恨みをはらす目的は成就し、めでたしめでたし。
とならないのは次回作があることでも分かるよね。
修羅雪はすっかり「おたずね者」になっちゃって。

というところから始めるのが「修羅雪姫 怨み恋歌」1974年公開作品だ。
前作からの続きなので、時代設定などはもちろん全て同じ。
「日本勝った、日本勝った、ロシア負けた~」
なんて歌を子供が歌っているシーンも出てきた。
あの歌は本当にあったのかな?

修羅雪は警察に追われ続け、ついに御用となってしまう。(表現古い?)
37人を殺害した罪ということで絞首刑を言い渡されるが、執行当日に何者かの手により身柄を拘束されてしまう。
「命の恩人」と思った人物は、修羅雪の腕を買い仕事をしてもらいたいと切り出すのだった・・・。

と、まるでWikipediaのあらすじのような書き方をしてみたけど。(笑)
囚人として馬車で移送されている修羅雪を開放しに来た賊(?)が面白かった。
時代ということを考えてだろうけど、「おかめ」の仮面を付け帽子をかぶり馬に乗って来るのだ。
せめて般若の面くらいにして欲しかったんだけどね。
ちょっと間が抜けて見えたのはSNAKEPIPEだけかしら?(笑)

仕事の依頼をするのが秘密警察所属の岸田森演じる菊井。
あまり岸田森が出演している映画って観たことないんだけど、すごい役者さんだね。
まずは顔がすごい!
ドラキュラ役、と聞いて納得だね。
この菊井という男が非常に嫌なヤツで、修羅雪のライバルといったところか。

今回は原田芳雄が修羅雪の淡いロマンスの相手といった役どころで登場。
無政府主義者(アナーキスト)、明治時代当時は反政府主義者とみなされ、いつでも警察にマークされている兄(伊丹十三)がいる設定だ。
この伊丹十三の妻役として吉行和子
この映画で吉行和子の濡れ場を見ることになるとは思いもよらなかったわい。(笑)

今回の修羅雪は前回よりも更にアクション度アップ!
着物姿の女で馬にまたがるのは初めて観た!
横座りじゃなくて、またがってるとこね。(笑)
坂を下りながらの殺陣シーンは難しかったんじゃないかな。
海際での波しぶきをあげながらの横走り殺陣はチャンバラではお馴染みだけど、キレイな女性でのバージョンはあまりないよね。
ラストの急な階段での殺陣。
梶芽衣子は「他の役者さんが上手に動いてくれただけです」なんてインタビューで答えてたけど、動きがきれいでとても様になっていると思う。

ラストではまたちょっと心を通わせていた原田芳雄を背中から一突き!
今回は「とどめをさす」のが「優しさ」ともいえたけど。
修羅雪はどうも恋愛が似合わない設定みたいね。

心の中にメラメラと炎が燃えてるのに、ぐっと睨みつけるまなざしだけで表現ができる女優はあまりいないと思う。
もしかしたら日本特有の文化なのかもしれないけど、仁義な世界というのはストイックな感じだからね。
タランティーノ監督が修羅雪姫から影響を受けて映画を製作した、というのは分かる気がするね。

さて続いては梶芽衣子にはないものを持った女優、池玲子の登場だ。
池玲子って誰、という人が多いと思う。
たまたまROCKHURRAHが石井輝男監督について調べている時に知った女優だったのだ。
石井輝男はこのブログで何度か紹介しているけど、カルトな映画をたくさん残したお気に入りの監督である。

「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」は1973年の東映作品。
普通のヤクザ映画かと思いきや、観始めて5分もしない内にびっくりする。
なんと池玲子、全裸で殺陣!(笑)
入浴シーンからいきなり襲われ、反撃に出るという設定だったから不自然ではないにしてもタイトルバックが始まる前にすでにお色気満点!
雪が降る中を全裸でバッサバッサと斬りつけるのは、なんともお見事。
一体どんな展開になるのかとても楽しみになる。

池玲子扮する葛西杏子、通称「猪の鹿お蝶」は子供の頃に目の前で父親を殺される。
父の恨みをはらす、というストーリーである。
時代設定も明治時代の同じ頃、身内の恨みをはらすために女が頑張る、という大筋も前述の修羅雪姫とほぼ同じ!
ただどちらも同じ1973年公開作品で、どっちが先なのかよく分からなかった。

梶芽衣子の修羅雪姫は剣の腕前で悪人をなぎ倒していったけれど、池玲子の猪の鹿お蝶は使えるものはなんでも使う。
武器はドスも拳銃も使う。
相手が敵と分かっていても、自分の肉体まで差し出しとどめをさす。
女だからできる、いや女ならではの方法で手段を選ばず目的達成するところが梶芽衣子との大きな違いだ。

そしてその脱ぎっぷりの良さには恐れいってしまうほど。
ヌードモデルをやっていたというだけあって、さすがに整ったプロポーション。
演技力もあって、殺陣の動きもいい。
池玲子、すごい!とすっかりファンになってしまった。(笑)

お色気シーンあり、でもやっぱり任侠の道も忘れてないのよ、というミックス感が新しい感じがする。
明治時代だから鹿鳴館、と外人がいっぱい出てくるのも珍しい。
スウェーデンの女優クリスチーナ・リンドバーグまで出演しているし。
セリフが英語になっちゃうところもあって、国際的な映画でもある。

最後にどんでん返しがあったけれど、猪の鹿お蝶は当初の目的である父の仇を討つ。
雪の降る中、足をひきずりながら歩いて行くところで終了。
一体猪の鹿お蝶はどうなっちゃったのか、と想像にお任せしますというラストね。

次回作の「やさぐれ姐御伝 総括リンチ」も1973年と同年の作品だ。
こちらの監督が石井輝男。
1年のうちに2本も撮ってるってすごいパワフルだね!

今回の姐御伝シリーズは前作の続き、というわけではなくて別の物語が進行する。
池玲子の「猪の鹿お蝶」という設定だけが同じ。
麻薬密売しているヤクザにお蝶が関わる話である。

今回はタイトルバックの殺陣のシーンで、またまたやってくれてる池玲子。
誰も着物に刀入れてないと思うのに、どんどん着物が脱げていつの間にか全裸に。(笑)
池玲子=全裸殺陣の構図が出来上がったね。
面白過ぎだよ!

麻薬取引に利用された女スリ集団やまた別のズべ公グループ(死語)など、女ばかりの集団が入り乱れ、その時代にこんなに悪さをする女が多かったのかなと疑問。
最後にはそれらの女集団が一丸となって麻薬密売ヤクザを撲滅するために立ち上がる。
そしてその時にまた全員がわざわざ脱いじゃうところがおかしい!
あまり必然性がないところでヌードお披露目があるんだよね。
その昔「女ばかりの水泳大会」などでよく「出ました、ポロリ!」なんてヤラセ放送があったけど、そんなの目じゃないほどの女全員脱ぎまくり!(笑)
あそこまで「あっけらかん」としていると笑いになるから面白い。

前作に比べると「恨み」の度合いが低いため、壮絶感はあまりない。
いくつかの女集団が出てきたことで話も複雑になっていて、スカッとしない。
この映画の魅力は池玲子だけ、かな?(笑)

梶芽衣子と池玲子、名前も似てるし。
恐らく梶芽衣子の向こうを張るような女優として存在してたのかなと想像する。
今回の修羅雪姫と姐御伝も役柄に近いものがあるしね。
他にも梶芽衣子主演の「野良猫ロック」に対抗したと思われる池玲子の「女番長ブルース」があるので、またの機会に書いてみたいと思う。