Funnyちゃんミュージック

【ファーにいちゃんミュージック】

ROCKHURRAH WROTE:

今回取り上げるのはROCKHURRAHが好きな子供っぽい音楽の数々だ。
子供っぽいの解釈も定義も人によってマチマチだから読んでくれたみなさんと全てを共感出来るとは思わないが、ROCKHURRAHが考えるのはごく普通に稚気を感じるようなファニーな歌、というニュアンスでいいだろう。
子供の歌だからって決してアンパンマンやドラえもんの歌をパンク風にカヴァーしたもの、とかは選ばないつもりなので安心して。ちなみに電車や街中で見かける本物の子供はちっともかわいくないし大嫌いなんだが、これから取り上げるような音楽を好んで育ったような子供がいたら少しは考え直してもいいかな(ウソ)。

もう一つちなみにタイトルはビル・ネルソンズ・レッド・ノイズの名曲「Furniture Music」からのパクリだ。ビル・ネルソンのタイトルの元ネタが現代音楽家エリック・サティにあるから、かなり由緒正しいパクリであることは確か(自慢)。
さて、前置きはこれくらいにして始めるか。

Faust / I’ve Got My Car & My TV

まずはファウストのこの曲から。
ジャーマン・ロックの中でも前衛的でロック以外の要素を取り入れたフリー・スタイルの音楽は70年代にはクラウト(酢漬けキャベツ)・ロックと呼ばれた。
プログレッシブ・ロックやサイケデリック、さらにはフリー・ジャズや民族音楽の影響も感じられたり、つまりは70年代に考えられるミクスチャー・ミュージック的実験の結果がこれらクラウト・ロックと呼ばれる音楽には詰まっていたという事だね。
後のニュー・ウェイブの時代に花開く事になるごった煮音楽のひとつのルーツがここにある、とも言えるが、最悪の結果となってしまうようなものも見受けられる。
ファウストの場合はその辺のバランス感覚、センスが抜群で、今聴いても古臭くない革新的な部分を数多く持っていたと思える。この辺については当ブログの鳥飼否宇先生について書いた記事にも少し書いているから、興味ある人は左上の検索窓で参照してみて。
この曲は中でも大好きなものでメロディもアレンジも斬新の極み。ピンク・フロイド初期の大名曲「Bike」を初めて聴いた時と同じくらい感動した。

Young Marble Giants / Colossal Youth

パンクがニュー・ウェイブに代わった時代、全く新しいような音楽も生まれたが、過去からある音楽に何でも「ニュー」とか「ネオ」などと付けてしまった慣わしがあって、ネオ・アコースティックと呼ばれる音楽もこの辺りに登場した。
スコットランドの3人組ヤング・マーブル・ジャイアンツはその元祖的存在とも言われていたが、実は雰囲気の割にはアコースティック楽器を全然使ってないぞ、という点が秀逸だったね。
ウチの商品ページのコメントにも書いているが、兄+弟+清楚な三つ編み女子という、永遠の三角関係を予感出来るような組み合わせによる素朴過ぎる音楽。
簡単なギター・リフ、それに少しだけファンキーなチョッパー風ベース、その2つがメインの楽器でリズム代わりにもなり、あとは拙い歌だけという簡素さはこの時代にはかなり目新しいものだった。
スタジオでもライブでもほとんど変わらない模様で、ギタリスト(兄)がキーボード弾いてる間はギターはお休み状態。かなり素人っぽいね。今の時代の人が理解するのは難しいかも知れないが、うるさいパンクの後にこんなのが登場したらかなり目立つのは間違いない。
60〜70年代にスティールアイ・スパンやフェアポート・コンベンションが一部の曲でやっていたトラッド+清純女性ヴォーカルというスタイルを踏襲しつつも、こちらの方が童謡に近いからより子供の歌っぽいのかもね。

Mano Negra / Noche De Accion

80年代後半から90年代初頭にかけてフランスで大活躍した大所帯バンドがマノ・ネグラだ。
ROCKHURRAHもこのバンドが大好きでほとんどのアルバムを所持している。
ヴォーカル、マヌー・チャオというスパニッシュ系フランス移民がメインとなっていて、兄弟や従兄弟など大勢が参加してマノ・ネグラとなったのだが、それ以前にホット・パンツというミルクシェイクス(ビリー・チャイルディッシュ)っぽいビート・バンド、Los Carayosというラスティック風のバンドをやっていたのも一部では有名?
マノ・ネグラとなってフランスで大ヒット、日本でも人気あって、伝説となった原宿ホコ天のライブや川崎クラブチッタでの圧倒的なライブ・パフォーマンス(このライブは「パチンコ地獄」というライブ・アルバムになっている)など、今でも語り継がれているほど。
彼らの音楽はパンク、レゲエ、スカ、ロカビリー、ラップ、アラブにキューバなどなど、短い曲の中にものすごく濃いものが凝縮されているのが特徴で、生命力に溢れた素晴らしい音楽だ。
フェルナンド・メイレレス監督の傑作映画「シティ・オブ・ゴッド」の中のブラジル人悪ガキ軍団とも共通する、したたかな強さがこのバンドの最大の魅力だと思う。
しかしホット・パンツ時代は随分キメキメのリーゼントだったのがマノ・ネグラになるとだらけたルーズなファッションとなって、上半身裸に七分丈パンツというどうでもいい格好がお気に入りの様子(笑)。
同時代にフランスでヒットしたレ・ネグレス・ヴェルトの伊達っぷりと比べると見た目的にはちょっと・・・なのが難点だな。
この曲は大傑作アルバム「Pachanka」に入っている景気の良い楽しい曲で、作業用のBGMとしても最適。

XTC / Do What You Do

パンク・ロックのちょっと後、英国ヴァージン・レーベルからデビューしたのが若くて威勢の良いこのバンド、XTCだった。
とにかく勢いがあって斬新でパワーに溢れたバンドだったので、初期ニュー・ウェイブを語る時には欠かせない名前だったと言える。
最初はアンディ・パートリッジのひっかくようなギターのカッティングが特に印象的で、素晴らしい名曲を量産していた。
しかし80年代初頭の「Black Sea」をピークとしてだんだん職人芸のデコレーション・ポップの世界に入ってゆき、遂には得意だったライブもやらなくなって、完成度だけが生き甲斐の若年寄のようになってしまう。
それ以降を評価する人も多数なんだが、ROCKHURRAHはやはり初期の元気いっぱいなXTCだけが好きだった。
この曲は1stアルバムに収録、軽く作ったような短いものでXTCにとってはさほど重要な曲じゃないのかも知れないが、こういう路線をもっと続けていて欲しかったな。

Plastic Bertrand / Le Petit Tortillard

ROCKHURRAH大好きバンドとして過去のブログでも何度か書いたベルギーのパンク貴公子(?)プラスティック・ベルトラン。
彼の曲はどれもこれも子供のまんまで夢いっぱいハッピーな気分になれるところが素晴らしい。
元々はベルギーでハブル・バブルというバンドをやっていてドラム担当だったらしいんだが、なぜかフランスでインチキ・パンク男として空前の大ヒット、それがプラスティック・ベルトランの代表曲「恋のウー・イー・ウー」だったというわけ。ROCKHURRAHは1stアルバムのアメリカ盤と日本盤、それに日本盤のシングル(「恋のパトカー」と改題)を所有して、いつも身近にベルトランがあったわけだが、オリジナルはフランス盤なので入手困難だった時代もありましたなあ。
この曲はダムドの「Jet Boy, Jet Girl」をはじめ、ソニック・ユースなど軽く10以上のバンドがカヴァーしているという被カヴァー率がおそろしく高い曲であまりにも有名。
当のベルトランもアイドル的大スターだから映像もたくさん残ってはいるが、演奏も演奏してるメンバーも映ってなくて一人で飛んで跳ねて回って歌ってるだけ、しかも歌は口パクらしく一体どこがパンクなの?と数多くの人に突っ込まれることは必至のいいかげんさ。というかその部分、その姿勢がパンクだったのでしょう、たぶん。
選んだ曲はその「恋のウー・イー・ウー」ではなくてアルバム1曲目の大好きな曲。邦題は確か「おとぎの列車」だったかな(笑)。

Klingonz / Pick Pick Yum Yum

結構長くなってしまったのでこれが最後、クリンゴンズ初期の名曲がこれだ。
ストレイ・キャッツなどが80年代に流行らせたネオ・ロカビリーに独自の病的なネジレ具合をミックスしたのがサイコビリーという音楽。
サイコ刈りと呼ばれるモヒカン・リーゼントのような奇抜な髪型と刺青というスタイルが主流で、80年代前半に流行したポジティブ・パンクのようなゾンビ風メイクのバンドまで現れ、特異な個性を持った変な奴らがゴロゴロしていたという時代だ。
ディメンテッド・アー・ゴーなどがその代表格だが、このクリンゴンズも一歩突き抜けたバカさ加減が人気のバンドだった。
サイコビリーはどうしてもかわいくはならない音楽だから上記のバンドらとは「ファニー」のニュアンスが違っているんだが、調子っぱずれで奇妙という部分では充分子供っぽいと思って選んでみた。

大昔のテレビ・アニメなどと違って今はアニメ・ソングにも子供っぽい部分がなくなってきてる傾向にある。
子供だから子供っぽい歌が好きなどという道理もないしね。
そんな時代に少しでも人と違う子供に育てたい元ロック少年少女だった親がいたら、自分の子供と一緒に歌うのもいいかもね(全然本心じゃないが)。

CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez part2

【新しいヒーロー登場?祝・初主演!ダニー・トレホ万歳!】

SNAKEPIPE WROTE:

ついにこの日がやってきた!
待ちに待ったロバート・ロドリゲス監督最新作「マチェーテ」の公開である。
以前「CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez」で書いてるね。

プラネット・テラー in グラインドハウス」には偽の予告編が入っていて、そのタイトルが「マチェーテ」(原題:Machete 2010年)である。
グラインドハウスはジョークで作ったような部分があって、「マチェーテ」予告編もいかにもありそうなB級映画らしい作りになっていた。

そう。
本当は偽の予告編の「マチェーテ」だったのに、どうやらそれが好評だったせいで映画化したという、なんともロドリゲス監督らしいエピソード。
主演は大注目の俳優、ダニー・トレホだにー。(笑)
アメリカではヒットしたという情報を「めざましテレビ」で観たけど、日本で公開されるのかなと心配していた。
そのため公開が決定した知らせには飛び上がるほど喜んだSNAKEPIPEである。
しっかり座席も予約して公開初日の初回に観てきただにー!(笑)

最近はほとんど「絶対観たい」と思う映画に巡り合わず、映画館に足を運ぶことが少なくなっていたため「新宿バルト9」という映画館は初めて。
ここはオンラインチケット予約ができて、しかも座席も前持って自分で選べるというシステムを採用しているのである。
これなら並ぶことなく、しかも好きな場所で観られるから安心ね!
行ってみると意外なことに(?)「マチェーテ」の初回は満席とのこと。
えっ、こんなに人気があったんだー!
「バルト9」は雛段形式(というのか)になっているため、満席でも前の座席の人の頭が気にならずに鑑賞できる。
いい映画館で良かった!
一つだけ最悪だったのが、映画が始まってから入場してきた隣のカップル。
飲み物買ってる時間があったら5分早く入れっつーの!
映画館でのマナーって前から言われてるけど、まだいるんだね、知らないお馬鹿が。
最初の数分は不快な思いをしたけど、ともあれ「マチェーテ」の始まりである。

そもそも「マチェーテ」って何?
ROCKHURRAHに聞いてみたら「山刀だよ!」と軽く返事が返ってきた。
ゲームのアイテムとして出てくることがあって、知ってたんだとか。
「マチェット」「マシェット」は英語読みで「マチェーテ」がスペイン語なんだって。
一つ勉強になったね!
そして今回の映画ではマチェーテ(山刀)を武器に持つ主人公の通称が同じくマチェーテ、なのである。
山刀みたいに粗野で荒々しいイメージを重ねてるのかもしれないね。

伝説的な凄腕メキシコ連邦捜査官だったマチェーテことダニー・トレホ。
麻薬王トーレス(スティーブン・セガール)の仕組んだ罠にかかり、妻や子供を殺され自らも殺されかかるマチェーテ。
そして3年後。
街角での賭けケンカでの強さをブース(ジェフ・フェイヒー)に見初められ、不法移民嫌いの政治家マクローリン上院議員 (ロバート・デ・ニーロ)暗殺を依頼されたせいで、追われる身になってしまう。
ただし移民・関税執行局職員サータナ(ジェシカ・アルバ)や移民ネットワークを指揮する伝説の革命家”SHE”ことルース(ミシェル・ロドリゲス)、そしてロドリゲス映画ではお馴染みの俳優チーチ・マリン演じるマチェーテの兄の牧師が味方になる。
ついに怒りを爆発させて敵地に乗り込むマチェーテ一味。
さて、復讐は果たせるのか!?

というのがあらすじなんだよね。(笑)
映画が始まって10分もしないうちに、いきなりの惨殺シーン。
ダニー・トレホがマチェーテ(山刀)を持ち一回転すると、周りにいた4、5人の首がゴロゴロっと落ちるのにはびっくり!
うっひゃー!相変わらずド派手アクション満開ですな!
「すごーい!」と手を叩いてしまったSNAKEPIPEである。(笑)
もう一つすごかったのが「腸ロープ」。
これは詳しくは書かないけど、他では観たことがないアクションだったね。
残酷だけど何故か笑えてしまうところが、さすがロドリゲス!

テンポの良いアクションとストーリー展開。
マカロニ・ウエスタン映画の王道ともいえる裏切りと復讐がメインだから、決して新しいとは言えないのにね。
移民問題を絡めたり、映像を記録してDVDに焼いたりするような部分があったために、現代風の仕上がりになっているのかな。
今回の「マチェーテ」ではテキサス州が舞台になっているけど、アメリカ南部には根強い差別意識があるみたいだからね。
イージー・ライダー」ではマルディグラに行くために南部(ニューオリンズ)に行って、差別され殺されてたし。
恐らくロドリゲス監督自身もメキシコ系アメリカ人なので、差別に関して嫌な思い出があるんじゃないかと想像する。
ただし、ロドリゲス監督の作品では「差別問題」と言葉にするほど重くはなく、さらっと触れているだけのような印象を持った。
映画の中で悪党をバシバシやっつけていくことで監督自身も復讐してるのかもしれないね。
確かに観ていてスッキリしちゃったし。(笑)

SNAKEPIPEやROCKHURRAHは大ファンだから喜んだけど、普通に考えたらダニー・トレホが主役って有り得ないよね?
ロバート・デ・ニーロやスティーブン・セガールを追いやっての主役ってところが更にすごいよね。。
かなりの強面だし、刺青だし、筋肉だし。(笑)
1944年生まれの今年66歳!
60代のアクション俳優って…あまりいないよね?
実際に刑務所に長く入っていた経歴を持ってるらしいし。
いやあ、やっぱりあの迫力は「本物」の人だから出るんだね!
映画の中で軽くパソコンは使っていたけど、携帯メールは打てないというお茶目ぶりには笑わせてもらった。(笑)
今回の映画で益々ファンになったダニー!(まだ言うか)

エイプリル役で出演していたリンジー・ローハンもルース役のミシェル・ロドリゲスもダニー・トレホと同じく「ムショ仲間」なのには恐れ入る。
刑務所経験アリの役者が3人もいるなんて、すごい映画だよね。(笑)
ミシェル・ロドリゲスは「怖い顔の女優だな」と「バイオハザード」を観て思っていたので、今回の役どころはとても似合っていたと思う。
顔といえば、移民局職員役だったジェシカ・アルバが「にじいろジーン」で「じぃちゃん!ばぁちゃん!唯が行ぐがらな~」を担当している佐藤唯に似て蝶だったんだよね。
いつ山形弁を喋り出すかと思ってヒヤヒヤしちゃったよ。(うそ)

期待以上の出来に大満足だった「マチェーテ」。
エンディングで「続・マチェーテ」の文字が出たのを観てまた笑った。
本気なのか冗談なのか分からないよね。
続編作ってくれるの、ロドリゲス監督?
どうなるのか乞うご期待!だね。(笑)

超驚愕現代アートコレクション

【山下信一のフィギュア達】

SNAKEPIPE WROTE:

「面白そうな企画があるんだけど、一緒に行かない?」
と友人Mから電話があった。
友人Mとはこのブログに何度か登場している、映画やアート鑑賞に同行する情報通の友人である。
このMから「一緒に行こう」と誘われる催し物は、大抵SNAKEPIPEの琴線に触れることが多くハズレがない。
好みのタイプが似ているせいだろう。

今回誘われたのは六本木ヒルズ内にある森アーツセンターで開催されている「北原照久の超驚愕現代アートコレクション」。
「北原照久って知ってるでしょ?」
と聞かれたけれど、恥ずかしながらSNAKEPIPE、その方のことなんにも知りましぇん!
ROCKHURRAHに聞いてみると
・ブリキのおもちゃのコレクター
・「開運!なんでも鑑定団」に出演している鑑定士
・海まで自分の家、というような豪邸に住んでいる
とスラスラ答えるではありませんか!
えー、そんなに有名人なのー?
「知らないほうがおかしい」
とMにまで言われてしまった。
勉強し続け、テレビも見ないし雑誌も読まないために
「ピンクレディって誰ですか?」
とインタビュアーに問う東大生の話を聞いた時には
「えっ、世の中にはそんな人がいるんだ!」
とびっくりしたことがあったけど、今回のSNAKEPIPEはまさにその状態。
マズイねえ、これ!
いや、何がマズイってピンクレディの話で年代が判るってことが。(笑)

今回の企画は、その北原照久が館長を務める箱根の「北原ミュージアム」には展示されていない「もうひとつのコレクション」が展示されているとのこと。
ROCKHURRAHも口にしていたように、この方はブリキのおもちゃの世界的なコレクターだとか。
それ以外のコレクションとは何ぞや?
うーん、とっても楽しみ!
この時期がハロウィーンと重なっていたため「仮装して来館された方は半額」、って書いてあるよー。
本気で仮装して行こうかと思ったSNAKEPIPEだけど、友人Mが一緒なのでやめることにした。(笑)
とは言っても普段着はミリタリー系が多いので、それも一種の仮装(コスプレ)と言えるかもしれないけど?

平日だったためか、非常に人が少なくてガランとした森アーツセンター。
アート鑑賞はこれくらいがいいねー!
「もぎり」の女性が
「今回の展示は一部を抜かして撮影オッケーです」
と案内してくれる。
ぐがーーー!この時に限ってカメラを忘れてしまったSNAKEPIPE。
携帯もロッカーに入れてきちゃったし。
ええぇぇっ、とその女性の前で崩れてしまった。うーん、残念!
但し悔しいから言うわけじゃないけど、誰でも撮影オッケーな作品をあえてSNAKEPIPEが撮らなくてもいいかな、とも思ったのも事実。
脳内記録装置あるし。(笑)

一番印象的だったのは、恐らく今回の目玉だと思われる山下信一のフィギュア達。
高さ約60cmの箱の中に入った半裸の少女がズラリと並んでいる。
箱はアクリルケースもあれば、バービー人形が入っているようなパッケージもある。
一つ一つの人形の表情や衣装などがあまりに精巧に造られていて、観れば観るほど様々な発見があった。
背景になる箱も凝っていて、箱まで含めて作品なんだなとよく判る。
人形達はレトロな雰囲気も素敵だけれど、未来的なタイプのフィギュアのほうに惹かれた。
まるで「攻殻機動隊」の中に出てくるような人形達。
「フィギュア・コンプレックス」なんてタイトルが付いてたから余計にそう感じたのかもしれないね。
人形好きのMも圧倒されたようで
「ずるいと思わない?これ全部北原さんの物なんだよ!」
とお怒りモード。
「一体よこせって感じ!」
って結局欲しいだけじゃん。(笑)
いや、でも良く解るよその気持ち。
SNAKEPIPEも家に飾りたいと思ったからね。

北原照久という方は昭和の香りが好きなんだろうね。
昭和30年代をイメージした架空の風景を描いた毛利フジオの作品群は、経験したことがない時代のはずなのにどこか懐かしさを感じさせる。
平和でのどかな明るい日本の姿。
本当に昭和30年代ってこんな雰囲気だったのかなあ?
毛利フジオが憧れて描いているから色調が明るいのかしら?
故・今敏監督「妄想代理人」の中にも昭和30年代っぽい書き割りの風景が出てきたことを思い出す。
やっぱりあの時もどこか懐かしくて良い時代だな、と感じたっけ。

昭和の時代をジオラマで表現していたのが山本高樹
新宿ゴールデン街や有楽町ガード下など、とても庶民的な風景を精巧に再現している。
ミカン箱くらいの空間に存在している世界。
その中で本当に生きているような表情をした、ほんの数センチの人々。
じーっと観ていると、その世界の中に入って行かれそうである。
隅々までこだわって造られていて、これらの作品群も奥のほうまで観れば観るほどに発見がありとても楽しかった。

昭和の代表と言えば、やはりこの方横尾忠則先生!
SNAKEPIPEが敬愛するアーティストであり、何度か個展に足を運んだこともある。
作品ももちろん大ファンだけれど、浮世離れした横尾氏本人にも魅力を感じるのだ。
前述した山本高樹の作品「新宿ゴールデン街」にも横尾氏のポスターが作品内作品としてミニチュアで登場していたね。
横尾忠則氏本人の作品としては今回は油絵が一枚と、他にはポスターが展示されていた。
今までほとんどのポスター作品を観たと思っていたのに、今回初めて観る物がありびっくり。
どうやら個人や企業などが依頼して作られた作品だったようで。
県の観光案内から結婚した記念などに横尾氏のポスターとは!
ちょっと贅沢だけど、横尾氏の独特の構図と色彩は確実に観る者を捉えるはずなので宣伝効果は抜群なんじゃないかな?

もう一人昭和、という括りというよりはファッションの興味から書きたいのは岡本博。
この方はイラストレーターであり「トイズ・マッコイ」というバイク系アパレルメーカーの創始者だそうで。
岡本博の名前を言っても知らなかったROCKHURRAHだけど、スティーブ・マックィーンのイラストを見せたら
「あぁ、この人か。」
と分かった模様。
リアル・マッコイズの頃からスティーブ・マックィーンがテーマだった、とROCKHARRAHは知ってたようで。
今回展示の油彩画(イラストだったのか?)はモチーフがバイクとB-3ジャケットとはさすが!
ムートンの質感が良く出ていて感心してしまった。

今回のアートコレクションは、とても興味深く面白い展示がいっぱいで楽しかった。
恐らくブリキのおもちゃだけだったら、SNAKEPIPEは同じ感想を持たなかったかもしれないね。(笑)
SNAKEPIPEは現代アートを観る時にいつも
「その作品を欲しいと思うかどうか」
を基準にして良し悪しを決めている。
もちろん本気で「絶対家に持って帰る」とまでは思わないし、アート作品を買うなどと大それたことを考えたこともない。
それを実践しているのが北原照久という人なんだね。
「家に飾って、心ゆくまで眺めたくて購入しました」
みたいに書いてあるし!
これだけの作品を買うって一体どれだけのお金持ちよ?
好きな物を追い求めて収集するコレクター気質は誰でも持っている願望なんだろうけど、それを極めて職業にまでしてしまった人は少ないよね。
ユイスマンスの「さかしま」や江戸川乱歩の小説でも描かれるように、自分にとっての楽園を構築することがライフワーク。
そんな生き方ができたら楽しいだろうね!

がっちりBUYましょう!vol.1 レディース・サイズ実物ミリタリー編

【M-65を愛用する有名人(一部不適切?)】

SNAKEPIPE WROTE:

自分の好きなモノを制作するのも好きだけど、上手な買い物ができた時も非常に嬉しい。
古着屋での買い物では多少のキズや汚れ、サイズの大きさなどは自分の好みに修正することもあるけれど、稀に程度も良くてサイズもぴったりのモノが手に入ることもある。
たまたま見たサイトでお値打ち品を発見、最後の一点を購入したり。
そしてワクワクしながら配送を待ち、実際に手にした時に思った以上の出来栄えにうっとり!
こんな時は本当に「出会った」気がして、運命まで感じてしまうほど。(大げさ)
今回はそんな運命的な出会いをした逸品を紹介してみたいと思う。

ネットのミリタリー系通販サイトを見ていたROCKHURRAHが
「これ、サイズ小さそうだよ」
とフライトスーツを指さしている。
そう、ミリタリー物はメンズ仕様が当たり前の世界だから、少しでも小さいサイズがあると見入ってしまうSNAKEPIPE。
ジャケットやパンツなら多少大きくてもベルトで締めたり直したりするけれど、「つなぎ」になるとなかなか難しいことが多い。
日常的に着用することはほとんどないけれど、なぜだか「つなぎ」が好きで複数所持しているSNAKEPIPEである。
もちろんどれもダボダボで、子供が大人用を着ているような感じなんだけどね。(笑)
そのため「小さめのつなぎ」という語句は唾をゴクッと飲み込む程魅力的な言葉。(ぷっ)
書いてあるサイズを見ても、ミリタリー物としてはかなりの小ささであることが判る。
米軍や特殊部隊の服飾に興味ある人なら誰でも知ってる納入メーカー、アトランコ社製(TRU-SPEC)のCWU-27/Pがびっくり価格!
ええい、ダメで元々、買うっきゃないでしょ!と注文してみることに。
数日後、配送された商品を着用してみると、驚くほどのぴったりサイズ!
こんな「つなぎ」が欲しかった、と夢見ていた通りの逸品!
どれどれ、と手に取ったROCKHURRAHがミルスペックを見て
「ええっ!」
と叫ぶじゃありませんか!
何事かと思いきや、どうやらサイトに紹介されていたTRU-SPECとは違う商品だったよう。
悪い知らせかと思うとその逆で
「グリーンブライアー…本物だ!」
なんと80年代くらいに実際に米軍に納入していた実績を持つメーカーらしいのだ。
高級品じゃないけど、N-3Bの後期型などで後に「ホープ」のブランド名として有名なメーカーである。
SNAKEPIPEが無造作に開けてしまったビニール袋には、正式な軍支給品である証明のラベルが貼ってあった。
耐熱アラミド繊維100%!
摂氏400度の熱に耐えるハイテク素材で、一般的にはCWU-45/Pなどのフライトスーツに使用されることが多い。
今回購入したCWU-27/Pは同じシリーズなので、パイロット用の「つなぎ」なのね。
これでどんな火の中でもへっちゃら!
やったね、SNAKEPIPE!(笑)
ポケットもやたらにいっぱいあるし、意味不明(本当は意味があるんだろうけど)のヒモが付いてたりして本格的!
ほんの数千円で、ものすごい良い物が手に入って嬉しい限り。
それにしても、こんなに小さいサイズの「つなぎ」を着るアメリカ人パイロットが本当にいるんだろうか?

何故だか昔から胸ポケットのあるジャケットが好きなSNAKEPIPE。
肩章が付いているデザインも大好き!
古いデザインで言うと、例えばサファリジャケットとかね。
ミリタリージャケットの中ではやっぱりM-65!
「これ、欲しい!」
と一目惚れしたジャケットなのである。
前にポケットが4つ。
肩章も付いてるしね。
欲しくてたまらなかったのに、M-65は大きなサイズしか見当たらない。
ちょっと細くて丈が短い、と思うと「なんちゃって」のミリタリーテイスト系。
それじゃダメだわっ!本物が欲しいのよっ!
というSNAKEPIPEの執念が実ったのか。
なーんとミリタリーショップではなく、一般的な古着屋でSNAKEPIPEサイズのM-65を発見!
とは言ってもまたもや見つけたのはROCKHURRAH。
「これ、サイズ小さそうだよ」
と全く前述のフライトスーツと同じセリフ。(笑)
小さいサイズ、という言葉に弱いSNAKEPIPEはあまり期待せずに試着してみた。
だってほら、M-65の小さいサイズに出会ったことがなかったからね。
ところがっ!今回のジャケットは本当に小さかった!
X-SMALL、X-SHORTという今まで見たことがない極小物!(笑)
袖丈や着丈もぴったり!
古着だけど程度も良いし、お値段もお手頃なので早速購入。
前からずっと欲しかった物が手に入って本当に嬉しい!
これでウッドランドを上下着用、ブーニーハットで本格派ベトナムヴァージョン。
髪を長くおろしてジーンズを合わせると70年代風!
モヒカンにすればタクシードライバーヴァージョン!(んな馬鹿な)
これでまたお気に入りが増えたね。
またいろんな「出会い」があるといいな!