映画の殿 第43号 エクストリーム・ジョブ

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【盗聴している麻薬班の5人。このシーンも大笑いしたよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAH RECORDSでは、週に2本程度の映画を鑑賞している。
以前はレンタルを利用し映画を楽しんでいたけれど、最近はご無沙汰になってしまった。
Netflixの中で映画を見つけて観ることが多くなったのが理由だよ。
ただ残念なことに、Netflixには例えばTSUTAYAやGEOでの新作映画となっている作品は入っていないことがほとんど。
Amazonプライムなどでは、新作は別料金を払って鑑賞が可能だけれど、Netflixは定額なので難しいんだろうね。

今回久しぶりにレンタル店に足を運んだのは、どうしても観たい映画があったから。
2021年1月に書いた「映画の殿 第42号 サイコキネシス -念力-」で主役を務めたリュ・スンリョンの作品が気になったんだよね!
変顔連発のスンリョンに魅了されたので、他の映画も観てみたい。
タイトルは「エクストリーム・ジョブ(原題:극한직업 2019年)」で、韓国の歴代興行収入1位を記録したアクション・コメディだという。
Netflixで公開される気配はないので、早速レンタルして観ることにする。
まずはあらすじを書いてみよう。

ひょんなことから大人気フライドチキン店を経営することとなった麻薬捜査班の姿を描いたコメディ。
忙しく走り回りながらも、思うような実績を積めずに解散の危機を迎えている麻薬班。
国際犯罪組織の国内麻薬密搬入情報を入手したコ班長は、チャン刑事、マ刑事、ヨンホ、ジェフンの4人のチーム員たちとともに潜伏捜査を開始する。
24時間監視のため、犯罪組織のアジト前にあるチキン屋を買い取り、麻薬班メンバーによるチキン屋稼業をスタートさせるが、絶対味覚を持つマ刑事の隠れた才能により評判が広まり、チキン屋は捜査にも手が回らないほどの大人気店となってしまう。
そんなある日、麻薬班に捜査の絶好の機会が訪れるが……。(映画.comより)

続いてトレーラーね。

あらすじやトレイラーで分かるように、かなりハチャメチャな展開だよね。(笑)
これは期待しちゃうよ!
※ネタバレしていますので未鑑賞の方はご注意ください

実績をあげられず解散危機に瀕している、麻薬班のコ班長を演じる我らがリュ・スンリョン。
冒頭から情けない捜査状況で、こんな顔をしているよ。(笑)
ダメダメ男役がウィル・フェレルに負けないくらい似合っているんだよね!
もしかしてSNAKEPIPEは、こういうタイプの役者が好きなのか?(笑)

麻薬班の紅一点、チャン刑事。
男勝りの性格で、女らしさが全く見えない役どころ。
演じているイ・ハニは、元ミス・コリアでミス・ユニバースで4位になるほどの美貌の持ち主で、しかもソウル大学校大学院国楽科卒業だというから驚いちゃうよね。(笑)

かなり個性的な顔立ちをしたマ刑事。
麻薬班の予算をギャンブルに使うなど、お荷物的存在のよう。
マ刑事の実家が焼肉店だったことが、チキン屋を成功させるヒントになるとはね!
特技があって良かったよ。(笑)

麻薬班の中で一番真面目なキム・ヨンホ刑事。
他の4人がチキン屋で奮闘している時にも、一人で捜査を続けている。
こういう人がいないと、金儲けに走りがちな麻薬班が正気に戻らないもんね。(笑)

一番若いキム・ジェフン刑事。
姓にキムが多いんだね。
2000年の調査によれば、韓国の全人口の2割がキム姓だとwikipediaに書いてあったよ!
ジェフン刑事は真面目な性格で潜入捜査にも積極的に取り組む。
職安前でサクラとして監視していたせいで、他の職探しの人たちに混ざって建設現場に送り込まれることまでやるとは熱血過ぎだよね! 

監視対象の人物がいるビルの前にあるチキン屋で張り込みする麻薬班。
張っているのがバレバレなこの行動からも、いかにダメなチームなのか分かるよね?
そしてこのチキン屋が店をたたむ話をしたことから、ここで商売を始めるという展開に!

誰がチキンを揚げるのかを決めるための試食会。
紅一点のチャン刑事は、以前にもひどい料理を振る舞った経験があることも明かされる。 
そしてマ刑事のチキンが最高という結果になるから驚き! 
実際にお客さんが入店し、即興で味付けタレを作ったことが大成功になってしまうんだよね。(笑)
その味のレシピが公開されていたので、転記させてもらおう。
・醤油(75ミリリットル)
・砂糖(65グラム)
・味の素(1.25グラム)
・胡椒(2.5グラム)
・水あめ(3.75ミリリットル)
・食用油(7.5ミリリットル)
・ごま油(5ミリリットル)
・チリパウダー(3.25グラム)
・玉ねぎ・長ネギのみじん切り(43.75グラム)
・にんにく(18.75グラム)
・コーラ(31グラム)
これを混ぜて、揚げたチキンに絡めるんだよね。 
実はこれ、カルビのタレなんだって。
ということは焼き肉にも応用可能ってことなので、試してみたいよね!(笑)

カルビのタレを思いついたマ刑事の発言を聞いたスンリョンの変顔。
「サイコキネシス」の時ほど、顔芸が出なかった今回の映画だけど、ところどころに発見することができて笑ってしまう。
期待を裏切らないスンリョンに拍手を贈りたいね。(笑) 

カルビソースの唐揚げは大人気になって、行列ができる店になってしまう。
本来の目的である監視はそっちのけで、商売するだけで精一杯の麻薬班なんだよね。
こういう発想を映画にするところがすごいなあ!
「もし〜だったら面白いよね?」という話、韓国映画やドラマでよく観るんだけど、アイディアを形にする力がある国なんだろうね。

監視対象のイ・ムベ。
麻薬を扱う犯罪組織のボスで、麻薬班が尻尾をつかむために必死になっている大物なんだよね。
イ・ムベを逮捕できたら麻薬班を存続することができる! 
さすがにボスなので、頭が切れるしブレーンもいるから難しいんだよね。

麻薬組織に属しているようには見えないブレーンの人物。
名前が分からなかったのが残念。
普通のサラリーマンにしか見えないのに、犯罪に手を染めているところが恐ろしいよね。
この人のアイディアで、チキン屋が知らぬ間に悪の手先となってしまうとは!

途中にすったもんだがあり、危機を脱して最終的に麻薬班は犯罪組織を撲滅する。
画像は表彰されてるところね。
ダメダメのチームが勝利する、というのはウィル・フェレルの黄金パターンと同じなんだけど、やっぱりスッキリするよ。(笑)
「エクストリーム・ジョブ」は、麻薬班の5人のキャラクター設定が良かったことと、チキン屋の繁盛という発想の面白さが際立っていたね。
笑ってしまうシーンも多かったので、お勧めの映画だよ!(笑)

ROCKHURRAH紋章学 ナイフ・メーカー・ロゴ編

【ナイフといえばマック・ザ・ナイフ。弘田三枝子バージョンね!】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAH RECORDSでは、最近ホームベーカリーを使用して自家製パンを作っている。
決められた分量の小麦粉や塩などを容器にセットしてスイッチを押すだけ、という手軽さ。
「作っている」と自信満々で言えるほどのことはしていないんだけどね。(笑)
安全な材料を使い、自宅で焼き立てパンを食べることができるのは嬉しい限り。
簡単で美味しいパンに夢中だよ。(笑)

パンは1.5斤なので、食べる際にはカットする必要がある。
所持していたパン切り包丁は、「包丁5本セット」の中に入っていた思い入れのないもの。
焼き立てパンをうまく切ることができず、パンくずがボロボロ出てくるんだよね。
断面も美しくなくて、せっかくの美味しいパンが台無し!
一大決心をして、パンを切るのに特化したブレッド・ナイフを購入してみた。
今までパン切り包丁と書いていたものを、わざわざ「ブレッド・ナイフ」と変更したところに特別感がにじみ出ているよね。(笑)
このブレッド・ナイフ、そこまでお値段が高いものではないのにもかかわらず、切れ味最高!
パンくずが出ることもなく、ストレス・フリーで大満足。
より一層美味しく食べることができて良かった。

今回は、ナイフ・メーカーのロゴを特集しよう。
Amazonのカスタマー・レビューみたいな前振りが長過ぎたね。(笑)

最初に紹介するのは、ドイツのZwilling J. A. Henckels AG(ツヴィリング J.A. ヘンケルス)。
調べて初めて知ったけれど、創業は1731年というから、およそ300年の歴史があるメーカーということになるんだね!
日本は江戸時代で、暴れん坊将軍、徳川吉宗の時代だよ。(笑)
その頃にこの双子マークを商標登録していたというから、驚いてしまうね!
ROCKHURRAH RECORDSが愛用している爪切りと同型タイプの画像を載せてみたよ。 
画像はツヴィリングの爪切りなので、マークが双子なんだよね。
ウチにあるのは、ヘンケルスブランドなので、マークには1人しかいないの!
お値段の違いが、明確化されているとは知らなかったよ。(笑)
リーズナブルとはいっても、爪切りとしては高額だったけどね。
さすがにヘンケルス、よく切れるよ!

 続いては蝶マークのBenchmade(ベンチメイド)。
創業は1979年というアメリカのメーカーなんだよね。
蝶をみて想像できる通り、バタフライ・ナイフで有名だという。
ベンチメイドがオレゴン州を拠点にしているのは、オレゴン州がナイフに関する法律が緩めだということらしい。
ベンチメイドのサイトには、アウトドアやタクティカルな目的で使用する動画が載っている。
ナイフが必需品という場面がたくさんあることが分かるね。
こんなに美しいバタフライ・ナイフを見ると、意味もなく欲しくなってしまうよ。
実はROCKHURRAHもSNAKEPIPEも、かつてバタフライ・ナイフを持っていて、素早く刃先を出す練習をしていたことがあるんだよね。
あれは一体いつのことだったろう。
そしてあのナイフはどこにいってしまったのか。(遠い目)

蝶の次は馬だよ!
Rick Hinderer knives(リックヒンダラー ナイブス)は、米国オハイオ州のナイフ・メーカー。
どうやらリック・ヒンダラーは、最初に芸術性の高い美しいナイフを制作していたらしい。
消防士だったリックは、レスキューダイビングチームに加わった後、実用性とデザイン性を兼ね備えたナイフを作り始めたという。
確かに持ちやすそうで、レザーのケースもオシャレ!
ブレードの滑らかなラインも美しいよね。
切れ味も良さそう。
どうしてロゴが馬なのかは、分からなかったよ。

アメリカのSpyderco(スパイダルコ)は蜘蛛をモチーフにしたロゴだね。
2012年9月の「がっちりBUYましょう!vol.7 衝動買いツール編」で、ROCKHURRAHがこのメーカーについて触れている。
スパイダルコのスパイダーレンチが入手できなかったため、レザーマンの商品を購入したという。
載せた画像が、そのスパイダーレンチ。
確かに意味もなく、欲しくなるデザインだよね!
今でもROCKHURRAHにとって憧れのブランドだって。
見つけたらプレゼントしようかな!(笑)

Microtech Knives(マイクロテックナイブス)もアメリカのメーカーだね。
ロゴに使用されているのは、鷲の爪だという。
色合いのせいか、家紋のように見えてしまうよ。(笑)
鷹のマイクロテックは飛び出すタイプのタクティカル・ナイフが主流らしい。
空から急降下して獲物を素早く確保する鷲の爪をイメージに使用するのも納得だね!
なんだか持っているだけで強くなった気分になれそうなナイフじゃない?
黒色のナイフ、カッコ良くて欲しくなってしまうね。
残念ながらマイクロテックのナイフは日本では銃刀法違反に当たるようで、入手することはできないみたいだよ。
余談だけど、マイクロテックのサイトデザインが、ロシア構成主義っぽい色合いだったのも良い感じだね!

次に紹介するのはイタリアのViper(ヴァイパー)。
ここまで蝶、馬、蜘蛛、鷲と来て、ついに蛇だよ。 
蛇は蛇でも、SNAKEPIPEとは違って、毒蛇らしいので注意が必要だね。 (笑)
ヴァイパーは、1987年にイタリアの刃物の産地として有名なマニアーゴに設立されたという。
様々なラインナップがあるけれど、載せた画像は「Classic 4000 – Damasco」というシリーズ。
どうでしょう、この芸術的なナイフは!
コレクション用なのかもしれないけど、うっとり眺めていたくなる逸品だよね。
さすがイタリアという気品にあふれているよ。
画像に、チラッと葉巻が置いてあるのもダンディズムの証だろうね。
毒蛇のイメージとはちょっと違うようだけどね?

Al Mar Knives(アルマール ナイフ)は印鑑がロゴに入っているので、日本製かと思いきやアメリカのメーカーなんだよね。
中国からの移民でアメリカで生まれたAlfred Clark “Al” Marが、1979年に設立したという。
中華系だから漢字の印鑑を使用したんだね。
1979年から2019年までは、岐阜県関市でナイフが製造されていたらしい。
創業者アルマールが、元グリーンベレー隊員ということで、タクティカル系が得意なんだね。
重厚な雰囲気が素晴らしい!
SNAKEPIPEが持つにはゴツ過ぎるけど、惚れ惚れするデザインだよ。

最後はこちら!
MCUSTA(エムカスタ)は日本のブランド。
上のアルマールが製造していたのと同じ、関市にあるメーカーだという。
印鑑を使用したロゴも似た雰囲気だよね?
載せた画像は「三昧」というシリーズの限定版で「朱雀」だって。
美しさに圧倒されてしまうよ。 
すでに完売しているとのことだけど、和風の美しいデザインは海外でも大人気なんじゃないかな?
いつか手に入れてみたいものだよ。

今回はナイフ・メーカーのロゴを特集してみたよ!
海外では動物モチーフが多いことが分かって面白かった。
またロゴ・デザインを探してみよう。
次回も楽しみに待っていてね!

佐藤可士和展 鑑賞

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【毎度お馴染みの構図で看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

「すごく有名な人なんだよ。知らないの?」
長年来の友人Mの発言である。
現在、国立新美術館で開催されている佐藤可士和展についての会話なんだよね。
SNAKEPIPEは佐藤可士和という人物を全く知らなくて。 
せっかくなので、経歴を調べてみようか。 

1965年 東京生まれ
1989年 多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン科卒業後、博報堂に入社
2000年 独立し、株式会社サムライ設立
2007年〜 明治大学客員教授
2008年〜 多摩美術大学客員教授

博報堂に入社して独立とは、エリート中のエリート!
ROCKHURRAH RECORDSではグラフィックやタイポグラフィに関する記事を書いてきているつもりだったけれど、佐藤可士和は全く知らなかったよ。(笑)

気温が上昇し、初夏の陽気になるという快晴の日、六本木に向かう。
なんとこの日、SNAKEPIPEに珍しく待ち合わせに遅刻してしまったんだよね!
1時間勘違いしていたことが原因なんだけど、友人Mはショップ巡りをして優雅な時間を過ごしていてくれたので良かった。
もちろんランチをご馳走して、お詫びしましたとも。(笑)
桜が満開で、とてもキレイ!
会場である国立新美術館を撮影してみたよ。 

国立新美術館は、コロナ対策のため予約制が原則とのこと。
事前に友人Mが手配してくれたので、距離をとって列に並ぶ。
入場を待っている客層は、全体的に若いよ。
SNAKEPIPEが命名した「国立系(高齢者のアート好き)」とは 違うことに気付く。

いよいよ入場となる。
人数をカウントしている係員の指示に従って入ったけれど、会場入口から密な状態になっていた。
今回の展示は、ほとんど全て撮影オッケー。
そのためスマホを片手にしたお客さんが立ち止まるんだよね。
佐藤可士和が手がけたパルコの広告(2000年)がこれ。
今年の1月に鑑賞した石岡瑛子展で目にした石岡瑛子版を彷彿させる作品だよね。

佐藤可士和が手がけたロゴマークの一部。
セブンアンドアイ、ツタヤ、ユニクロ、そして会場となっている国立新美術館もあったよ。
これらのロゴは1mくらいの大きさで、壁にかけられていたんだよね。
そんなに大きくしなくても。(笑)
あまりに有名過ぎて、撮影することに躊躇してしまうほど。

その他のロゴが一覧になっている。
どこかで目にしたことがあるロゴもありそうだけど、企業名と一緒に展示していないので、謎のロゴも見受けられるよ。
四角4つが横並びとか、横棒2本は、どんな会社なんだろう?
正解は、会場でもらったマップに記されているよ。
見ただけで全問正解の方はいるかな?(笑)

セブンイレブン商品のパッケージ・デザインもやっているんだね。
佐藤可士和の名前を知ったのも初めてだけれど、「クリエイティブ・ディレクター」という肩書も初耳だよ。
コンセプトを開発し、アイデアを具現化するための指針を決定する責務を担い、各分野の専門スタッフを指揮する中心的な立場の人物(wikipediaより)を指すという。
トータルプロデュースする人、という理解で良いのかな。

順路に従い歩いていくと、大きなパンダを発見!
これは「佐藤可士和展オリジナル お買いものパンダ」だって。
かわいいものには目がない、10代くらいの4人組女子が、かわるがわるパンダと一緒に撮影している。
時間がかかりそうだから、次に行こうとすると
「写真撮りたい」
と4人組女子が立ち去るまで待つという友人M。
そうだった!
友人Mが大のパンダ好きだったことを失念していた!(この記事参照)
女子達を待っていると
「撮影お願いしても良いですか」
と声をかけられてしまった!
SNAKEPIPEが快く応じ、パンダと女子4人をパチリ。
喜んでもらって良かった。(笑)
友人Mも思い切りパンダの撮影ができて良かったね。

展覧会のポスターになっている作品「LINES」。
上のパンダが着ているTシャツも赤白青のボーダーだよね。
このボーダーの太さが変化したり、格子状になったりして様々なパターンがあったよ。
この作品はムービーだったけれど、動画撮影は禁止されていたので画像で記録したよ。

「LINES」が有田焼になって展示されていた。
とても美しくて、販売されていたら欲しかったなあ!
きっとかなりの高額になるだろうけど。(笑)
飾皿としても良いけど、実際に使用するお皿だったら素敵だよね。
一体どんな料理を盛り付ければ良いのか考え中!(うそ)

現代の日本を代表する企業名が揃い踏み!
今まで目にしていたロゴ・デザインが、佐藤可士和の手によるものだったと知り驚く。
現代日本の消費を促す立役者、ということになるのかな。
客層が若いのも納得だよ。
確かに友人Mの言う通り「有名な人」だね。(笑)

大人社会科見学—国立歴史民俗博物館—

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【国立歴史民俗博物館入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

何年も前からROCKHURRAHが「気になる場所」として挙げていたのが、佐倉にある国立歴史民俗博物館だった。
同じ佐倉にある川村記念美術館には、小旅行気分で数回通ったことがあり、その頃から話題にのぼっていた博物館なんだよね。
何年越しに実現したのか分からないくらい、念願だった博物館行きを決定!(おおげさ)
よく晴れた風の強い日、佐倉に出かけたのである。

博物館へはJRもしくは京成佐倉駅からバスで行かれるという。
車を所持していないROCKHURRAH RECORDSは、公共交通機関を利用して移動するので、徒歩かバスで行かれるかどうかは非常に重要なんだよね。(笑)
佐倉駅に到着すると、運良くバスが待っている。
なんと2人だけの貸し切り状態!
博物館に行く人たちは、マイカー族なのかもね?
最近ではマイカー族って使わないか。(笑)

バス停から博物館までは、長い急な上り坂を歩くことになる。
強い風に飛ばされないよう帽子を押さえながら進む。
上り切ると、大きな建物と広大な城址公園が見えてくる。
もう少し風が弱かったら、公園内も散策するのも楽しかったかもね。

開館時間を1時間程過ぎた入場だったせいか、そこまでお客さんは多くない。
チケットを買うために並ぼうとすると、「入館者確認票」の提出を求められる。
氏名と住所、何名にて来館したのかを記名し、提出しないと入館できないという。
体温を測るのはもちろんだけれど、確認票を書いたのは初めてかも。
国立の機関だから余計に厳しいのかな。
コロナ対策だから仕方ないよね。 

すべての条件をクリアして、いざ入場!
展示は第1展示室から第6展示室まで区分けされている。
まずは第1展示室の「先史・古代」から観ていこう。
まるで日本史の授業を受けているように、石器時代人の生活、縄文文化や稲作の開始などに関する物品や復元模型が並んでいる。
この展示室で最も興奮したのが、縄文土偶と土器!
以前より土偶には興味津々で、ミニチュアの土偶をデスクに飾り、可愛がっているSNAKEPIPEなんだよね。(笑)
画像には、複数の土偶が並んでいるけれど、これらはもちろん複製。
複製だからこそ、こうして一堂に会することができるってわけだ。 
調べてみると展示されていた「縄文のビーナス」などは、国宝に指定されている土偶だったんだね。
今から4500年以上前に作られた土偶や土器には、なんともいえない迫力があるよ。
右に載せた土器の画像、斬新だよね!
あの岡本太郎が、この土器を観て「なんだ、コレは!」と叫んだのは納得。
実際に使用するために作ったとしては、デコラティブで不思議なデザインだもんね。
この土器を作った人は、アーティストに間違いないよ!(笑)

観た瞬間に「ねじ式!」と叫んでしまった土偶。
腕の押さえ方と顔立ちが似て見えるんだよね。(笑)
今から3000年前の作品とのことだけど、この頃にすでに「ねじ式」の原型があったとは!

こちらはお目々ぱっちりの「みみずく土偶」ちゃん!
まるでキャラクター用にデザインされたような愛らしさ。
本当に4000年前の物なのかと疑ってしまうよ。
極端にデフォルメされた顔がみみずくに似ていることから、その名がついたという「みみずく土偶」ちゃん。
やっぱり愛称は「みみちゃん」かな。(笑)
あまりの可愛らしさに、レプリカが欲しくなったSNAKEPIPEだよ!

弥生時代のものとされる鏡。
なんでしょうか、この精巧な造りは!
正確に円を描き、更に正方形が刻まれている。
丸いビスが、まるでスタッズみたいでカッコ良いよ。
ぐるりと囲んだ円には、漢字とおぼしき文字まであるし。
この鏡は恐らく中国産で、日本に輸入された物だと思うけど詳しい説明はされていなかったよ。

「有鉤銅釧」とキャプションが書いてあるけれど、これだけだと意味が分からないよね。
下に英語で書いてある説明でやっと何のための物か分かったSNAKEPIPE。
これはブレスレット!
とがった部分がまるでパンクじゃないの。(笑)
元々は貝を切ってブレスレットにしていた名残で、このようないびつな形が一般的になった、ということは帰宅後調べて知った事実。
とがった部分に関しては、不明とのこと。
きっとパンクなトゲトゲ好きがいたに違いないという説は認められないかな。(笑)

第1展示室での縄文時代に興奮し過ぎて、鑑賞にかなりの時間を費やしてしまった。
まだまだ先は長いのにね!
第2展示室は「中世」とのこと。
平安時代半ばから戦国時代までを中世とするらしい。
第1展示室が5000年以上のスパンで構成されていたので、中世は1000年分にも満たないってことになるのかな?

土偶や土器のあとに現れたのが、この「ひとがた(人形)」だった。 
どんどん歩き進めていくうちに、「とほほ」な展示を探していることに気付いたSNAKEPIPE。
抜けた表情だったり、ぞんざいな作りになっている展示物を発見すると夢中で写真を撮ってしまう。
「とほほ」物には目がないからね。 (笑)
8世紀から9世紀頃の物とされる「ひとがた」は、一体何のために制作されたんだろうね?
まさかと思うけど、愛玩用の人形じゃないよね?

いきなり戦国時代の画像になっているけれど、この間にも興味深い展示はたくさんあったよ。
写真の下のほうにある鉄砲は、その装飾に目が釘付け!
この鉄砲は使用するためのものだったのか、それともインテリアだったのかは謎だけど、非常に美しかったよ。
燧石銃というフリントロック式の銃だそうで。
こういう銃もその時代には、日本にあったんだね。

キリシタン大名の洗礼名が載っていたよ。
印鑑だったのか、シンボルだったのか不明だけど、まるでロゴマークに見える図が秀逸で驚いてしまう。
「フランシスコ」を「FRCO」と略し、更に「F」と「R」を重ねて1文字に見せているところが現代的だよね!
右下の黒田長政、NAGAMASAをNGMSと母音を抜いて表記しているのも見逃せないよ。

第3展示室は「近世」。
16世紀末から19世紀半ばの人々の生活に焦点が当てられている。
NHKの番組「浮世絵EDO-LIFE」を観て、江戸時代の庶民の暮らしぶりを知ったROCKHURRAH RECORDS。
江戸時代は、思っているよりもずっと進んでいて、様々な楽しみをたくさん知っていたみたいなんだよね。

裕福な女性の衣装として展示されていた着物。
まるでパッチワークのように、複数の別の模様が組み合わされていたり、下の柄に合わせて、リボンが立体になっていたりと驚くような技巧が凝らされている。
オーダーメイドでしつらえているのか不明だけど、これは作るのに相当な技術が必要じゃないかな?
お値段がいかほどだったのか、そしてどのくらいの頻度で着物を買い替えていたのか気になるわ〜!

江戸時代には旅行が大ブームだったらしい。 
「お伊勢参り」をはじめとする観光旅行が好まれ、温泉に入ることやお土産を買うなど、現代と変わらない旅を楽しんでいたという。
SNAKEPIPEが気になったのは、そんな旅の途中で旅人が食べていた食事を紹介した展示だよ。
上が中山道にある宿の夕食で、ご飯と汁と魚と豆腐だって。
粗末、と書かれているけど、どうだろう。
下は東海道にある宿の夕食。
びっくりなことに鰻が出てるんだよね!
これはかなり豪華だと思うよ。
江戸時代の人は、美味しい物食べて旅行してたんだね。

第4展示室に到着する頃には、もう13時近くになっていた。
すっかりお腹はペコペコ!
縄文時代に興奮し、時間配分を間違えたみたいだよ。(笑)
あともう少しだから頑張ろう、ゴールは目の前だ!とROCKHURRAHと励まし合う。

第4展示室は「民俗」。
ここで注目したのは「妖怪の世界」の展示。
河童や海に現れる妖怪の絵などを見ることができる。
画像は「化物行灯」という明治時代の物。
平面に描かれた展開図を切り抜いて立体的に組み立てる玩具だという。
複製で販売して欲しいくらい気に入った逸品だよ!

「狐の窓のつくりかた」は、指を交差させ隙間から覗くと異界が見えるというもの。
ROCKHURRAHと一緒にやってみたけれど、この形にするのは至難の業。(笑)
誰もができるような易しい方法で見える、というのは面白くないもんね。
他にも異界を見るための方法がいくつか載っているので、知らない世界を知りたいと願い人が多かったことが分かるね。

第5展示室は「近代」。
19世紀後半から1920年代までを特集している。
大正から昭和の初め頃の浅草を再現した風景を歩くことができる。
ちょっといかがわしくて猥雑な雰囲気を味わえるよ。
この時代といえば、思い出すのは江戸川乱歩!
きっと乱歩はこんな場所を歩いていたに違いないね。(笑)

当時使用されていたマッチの展示もあった。
ROCKHURRAH RECORDSでは「ビザール・グッズ選手権」というカテゴリーの中で、 日本を含めたマッチのパッケージ・デザインについて特集したことがある。
小さな箱を彩る凝った意匠に魅了されるんだよね!
今回展示されていたのは、メーカーやショップが宣伝用に作成していたものなのかな? 
「味の素」や「シャチハタ」の文字が見えるよね。
じっくり観ていると、「とほほ」なデザインもあって嬉しくなってしまう。 
もっと接写で撮ればよかったな!

第6展示室は「現代」。
1931年の満州事変から1970年代までを特集していたよ。
もうこの頃には14時近くになっていて、お腹と背中がぺったんこ状態!
展示はもちろん鑑賞したけれど、ランチにありつきたい気持ちが優先してしまった。
画像は館内にあるレストラン「さくら」で注文した「古代カレー」だよ。
古代米を使用しているとのこと。
プチプチした食感が面白かった。

歴史の教科書を総ざらいしたような感じで、興味深い展示に満足した。
広範囲に渡る展示なので、特別驚くことはなかったけれど、充分楽しむことができたよ!
一番興奮した縄文時代は、改めて好きだということを実感。
先日行った岡本太郎記念館でも同じ感想を持ったけれど、縄文時代の土偶や土器にも強いパッションを感じるんだよね。
ほとばしる情熱とでもいうのか、技巧ではない魂の叫びというのか。(陳腐!)
下手のほうがいいんだ。笑い出すほど不器用だったら、それはかえって楽しいじゃないか。」
という岡本太郎の言葉が良く分かった気がするよ。
またROCKHURRAHと、お出かけしましょ!(笑)